説明

内燃機関の吸気装置

【課題】共鳴管長や管径の違いを十分に反映させて、周波数の異なる所定レベルの複数の効果音を創出することができる構造を提供する。
【解決手段】吸気装置のクリーンサイドダクトに、パイプ片12,13からなるサウンドクリエータパイプ10を接続する。サウンドクリエータパイプ10内に、振動体あるいは音圧発生源として機能する隔壁状で且つベローズ状のサウンドピース16と、同じく隔壁状のサウンドプレート17を直列に配置する。吸気装置の吸気脈動に応じて振動するサウンドピース16の共振周波数はサウンドピース16からサウンドプレート17までの間の管径や管長によって決定される。他方、サウンドプレート17の共振周波数はサウンドプレート17の下流側の管径や管長によって決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の吸気装置に関し、特に吸気音に付加されるべき効果音を積極的に外部に放出するようにしたいわゆる音質付加機能付きの吸気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の内燃機関の吸気装置として、例えば吸気系に管状体を接続するとともに、その管状体に吸気脈動に応じて振動する振動体を設け、その振動体の振動に基づく効果音を積極的に吸気音に付加し、もって車室内でスポーツ感あるいは迫力感のある吸気音を得ることができるようにしたものが知られている。その上で、上記公知技術を前提として、一つの振動体に共振周波数の異なる複数の振動領域を設け、各領域ごとに周波数の異なる効果音を創出することができるようにしたものが特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−184991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、板厚方向で互いにオフセットしていて且つ共振周波数の異なる複数の振動領域を備えてはいても、一つの板状の振動体であることに変わりはなく、したがって、例えば各振動領域ごとの材質、板厚、剛性等の違いによる共振周波数のチューニングは比較的容易ではあっても、各振動領域ごとの位置の違いに基づく共振周波数のチューニングは困難である。
【0005】
特に振動体が配置された管状体は共鳴管として機能するものであるが、その共鳴管長や管径の違いに基づくチューニングは困難で、共鳴管長や管径の違いを効果音に十分に反映することができないことになる。そのため、周波数の異なる所定レベルの複数の効果音を十分に創出することができず、さらなる音質付加効果の向上の上でなおも改善の余地を残している。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ共鳴管長や管径の違いを十分に反映させて、周波数の異なる所定レベルの複数の効果音を創出することができる内燃機関の吸気装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、管状体を内燃機関の吸気系に接続するとともに、その管状体の内部に吸気系の吸気脈動に応じて振動する隔壁状の複数の振動体を直列に配置してあることを特徴とする。
【0008】
この場合において、請求項2に記載のように、上記振動体は管状体の内部をその長手方向において吸気系側と反吸気系側とに隔離していて、吸気系側に最も近い上流側の振動体以外の振動体を開閉可能としてあることが望ましい。
【0009】
何故ならば、吸気系側に最も近い上流側の振動体以外の振動体を開閉可能としてあることで、実質的にその開閉可能な振動体を有効に機能させたり、あるいは振動体として機能させないようにすることができるからである。
【0010】
また、請求項3に記載のように、上記管状体の長手方向中間部が局部的に管径が大きな拡張室となっていて、吸気系側に最も近い上流側の振動体を上記拡張室内に配置してあることがより大きな共鳴効果を得る上で望ましい。
【0011】
さらに、請求項4に記載のように、吸気系側に最も近い上流側の振動体は一端が閉塞された有底円筒状で且つベローズ状のものであることが振動体本来の機能向上の上で望ましい。
【0012】
ここで、請求項5に記載のように、吸気系側に最も近い上流側の振動体以外に二つの振動体を配置してあり、それら二つの振動体を個別に開閉可能としてあると、音質付加の機能向上の上で一段と有利となる。
【0013】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、共通の管状体の内部に配置したそれぞれの振動体が、吸気系の吸気脈動に応じて固有の共振周波数のもとで振動して所定の効果音を発生することになる。この場合において、振動体の数を例えば二つとすると、管状体が共鳴管として機能することから、吸気系側に近い上流側の振動体の共振周波数は、当該上流側の振動体から下流側の振動体までの管長と管径によって決まることになる。他方、下流側の振動体の共振周波数は、当該下流側の振動体よりも下流側の管長と管径によって決まることになる。その結果として、上流側の振動体の吸気脈動による振動と下流側の吸気脈動による振動との励振作用によって、周波数の異なる所定音圧レベルの複数の効果音を増幅または増大させて放出することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、共鳴管として機能する管状体の管長の違いを各振動体ごとに十分に反映させて、周波数の異なる所定音圧レベルの複数の効果音を容易に創出することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、上流側の振動体以外の振動体を開閉可能としたことにより、実質的にその開閉可能な振動体を有効に機能させたり、あるいは振動体として機能させないようにすることができ、例えばエンジン回転数に応じて効果音の音質を任意に且つ積極的に可変制御することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、拡張室が共鳴室として機能することで、周波数の異なる所定レベルの複数の効果音を創出する上でより有利となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、上流側の振動体として一端が閉塞された有底円筒状で且つベローズ状のものを採用したことにより、振動体の振動によって音圧レベルを上げることができ、周波数の異なる所定音圧レベルの複数の効果音を創出する上で一段と有利となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、上流側の振動体以外に二つの振動体を配置して、それら二つの振動体を個別に開閉可能としてあることことから、例えばエンジン回転数に応じて効果音の音質を任意に且つ積極的に可変制御する際の自由度が一段と高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態として自動車の吸気装置を含むエンジンルームを模式的に示した平面説明図。
【図2】図1に示したサウンドクリエータパイプの拡大断面説明図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図で、サウンドクリエータパイプの断面説明図。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す図で、サウンドクリエータパイプの断面説明図。
【図5】図4のサウンドクリエータパイプにおいて双方のサウンドプレートが開いた状態を示す断面説明図。
【図6】図4のサウンドクリエータパイプにおいて一方のサウンドプレートが開いた状態を示す透視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1,2は本発明に係る吸気装置のより具体的な第1の実施の形態を示す図であり、特に図1は自動車の吸気装置を含むエンジンルームを模式的に示した平面説明図を、図2は図1の要部の詳細をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、ダッシュパネル2やフロントサイドパネル3等にて隔離形成されたエンジンルーム1内には例えばV型6気筒タイプのエンジン4が配置されている。エンジン4には当該エンジン4に外気を導入するための吸気系としての吸気装置5が接続されている。吸気装置5は車両前面に外気取り入れ口6が開口するように配置されているものであって、外気取り入れ口6から取り入れられた空気は、エアクリーナ7やスロットルバルブ8、さらには図示しない吸気コレクタやブランチ管を経て各気筒の燃焼室に導入されることになる。
【0022】
そして、エアクリーナ7のクリーンサイドとスロットルバルブ8とを接続しているクリーンサイドダクト9には、ピストンや吸気バルブ(いずれも図示せず)の往復動により生ずる吸気装置5内の吸気脈動に応じて所定周波数の吸気音を増幅または強調(増大)して所定の音圧レベルの効果音として放出する音質付加機器として管状体たるサウンドクリエータパイプ10を接続してある。なお、図1の11はステアリングホイールを示している。
【0023】
図2は上記サウンドクリエータパイプ10の詳細を示す断面図で、一端の接続口10aが図1に示すようにクリーンサイドダクト9に接続され、他端の開放端10bはダッシュパネル2に対し所定距離隔てて対向させてある。したがって、先に述べたようにサウンドクリエータパイプ10の接続口10a側からは吸気装置5の吸気脈動が導入されることになる。
【0024】
サウンドクリエータパイプ10は、その長手方向において、フランジ部12aまたは13aを有する樹脂製の二つのパイプ片12,13に分割されていて、双方のフランジ部12a,13a同士を嵌合させることで一本の連続した筒状の管状通路を形成している。ただし、一方のパイプ片13の端部には局部的に大径化した大径部14を形成してあり、したがって上記のように双方のパイプ片12,13同士を嵌合させたときには、大径部14がパイプ片13の一般部たる小径部15よりも大径の拡張室として機能するようにしてある。
【0025】
そして、この拡張室として機能する大径部14には振動体または音圧発生源として機能する樹脂製で且つ略ハット型断面形状をなすベローズ状のサウンドピース16を配置してある。このサウンドピース16があることによって当該サウンドピース16が実質的に隔壁として機能し、サウンドクリエータパイプ10内は一方のパイプ片12側の空間と他方のパイプ片13側の空間とに隔離形成されていて、それぞれの空間は相互に独立しているとともに、図1にも示すように、一方のパイプ片12側の空間は吸気装置5の一部であるクリーンサイドダクト9の内部空間と連通している。
【0026】
サウンドピース16は開放端10b側に向かって凸形状をなす有底円筒状のものであって、基部側にフランジ部16aが一体に形成されているとともに、長手方向の中間部である胴部が可撓性に富むベローズ部16bとなっていて、さらに有底形状の底部相当部の振動面16cが振動源または音圧発生源として機能することになる。そして、双方のパイプ片12,13のフランジ部12a,13a同士を嵌合させる際に、両者の間にサウンドピース16のフランジ部16aを挟み込むことでサウンドクリエータパイプ10内にサウンドピース16を固定支持させてある。
【0027】
また、他方のパイプ片13の一般部たる小径部15には、サウンドピース16と同様に振動体または音圧発生源として機能することになる例えばゴム等の弾性体からなる板状またはダイヤフラム状のサウンドプレート17を固定支持させてある。サウンドプレート17は他方のパイプ片13の小径部15に内接していて、このサウンドプレート17があることによって当該サウンドプレート17が上記サウンドピース16と直列関係にある隔壁として機能することになる。この他方のパイプ片13の小径部15内はサウンドピース16側の空間と開放端10b側の空間とに隔離形成されていて、それぞれの空間は相互に独立しているとともに、開放端10b側の空間は外部に開放されている。そして、吸気装置5側の吸気脈動が直接作用する側を上流側とした場合、サウンドピース16が上流側の振動体または音圧発生源として、サウンドプレート17が下流側の振動体または音圧発生源としてそれぞれ機能することになる。
【0028】
ここで、共に振動体または音圧発生源として機能することになるサウンドピース16とサウンドプレート17とを比較した場合、先に述べたように両者は形状および材質が異なるだけでなく、サウンドプレート17の直径はサウンドピース16の振動面16cの直径よりも小さいものとなっていて、さらにサウンドピース16がベローズ部16bを有しているのに対して、サウンドプレート17はベローズ部を有していない。故に両者の振動特性、すなわちサウンドピース16とサウンドプレート17の共振周波数は互いに異なるように設定してある。
【0029】
なお、この実施の形態ではサウンドピース16を樹脂製のものとし、サウンドプレート17をゴム製のものとしているが、いずれのものも振動体あるいは音圧発生源としての機能が発揮されるならば、その材質は特に問わないものである。また、サウンドピース16をサウンドプレート17と同じ板状またはダイヤフラム状のものとしても良いことは言うまでもない。
【0030】
しかも、サウンドピース16およびサウンドプレート17が設けられた管状体としてのサウンドクリエータパイプ10は共鳴管としても機能することから、サウンドピース16およびサウンドプレート17のそれぞれの下流側の管径および管長によっても上記の共振周波数が決定される。具体的には、サウンドピース16の基本共振周波数は、サウンドクリエータパイプ10のうちサウンドピース16の位置からサウンドプレート17の位置までの間の管径(内径)や管長、つまり大径部(拡張室)14や小径部15の管径や管長によって決定される。他方、サウンドプレート17の基本共振周波数は、サウンドクリエータパイプ10のうちサウンドプレート17の位置から開放端10bまでの間の管径や管長、つまりサウンドプレート17よりも下流側の小径部15の管径や管長によって決定されることになる。
【0031】
したがって、このように構成された吸気装置5によれば、先に述べたようにサウンドクリエータパイプ10の一方のパイプ片12の内部空間が吸気装置5側の吸気通路であるクリーンサイドダクト9に連通していることから、アクセル開度ひいてはエンジン回転数に連動する吸気装置5の吸気脈動はそのまま加振源としてパイプ片12の内部空間に及ぶことになる。
【0032】
ここで、上記吸気脈動によるサウンドピース16の振動に着目した場合、その吸気脈動を受けてサウンドピース16の振動面16cがベローズ部16bの伸縮変位を伴いながら特定の共振周波数のもとで振動する。このサウンドピース16の振動によって生じる音波(音圧)のうち所定の共振周波数の音波が大径部14および小径部15を含むパイプ片13でのいわゆる気柱共鳴に基づく共鳴によって増幅または強調されることになる。なお、この気柱共鳴は先に述べたように当該サウンドピース16よりも下流側であって且つサウンドプレート17までのパイプ片13の管径および管長に大きく依存するものであることは先に述べた通りである。
【0033】
こうして気柱共鳴によって増幅または強調された音波はパイプ片13の小径部15を伝わり、所定音圧レベルの効果音としてパイプ片13の開放端10bから図1のダッシュパネル2等に向けて放出されることになる。この効果音はダッシュパネル2等に伝播した上で、上記吸気装置5の吸気音に付加または重畳されるとになり、車室側ではその音質が付加されたスポーツ感あるいは迫力感のある吸気音を得ることができる。
【0034】
他方、サウンドピース16の下流側のサウンドプレート17の振動に着目した場合、加振源としての吸気装置5の吸気脈動を受けてサウンドプレート17がサウンドピース16の振動とは異なる特定の共振周波数のもとで振動する。このサウンドプレート17の振動によって生じる音波(音圧)のうち所定の共振周波数の音波がサウンドプレート17よりも下流側のパイプ片13の小径部15でのいわゆる気柱共鳴に基づく共鳴によって増幅または強調されることになる。
【0035】
以降は先の場合と同様に、気柱共鳴によって増幅または強調された音波はパイプ片13の小径部15を伝わり、所定音圧の効果音としてパイプ片13の開放端10bからダッシュパネル2等に向けて放出されることになる。そして、この効果音はダッシュパネル2等に伝播した上で、上記吸気装置5の吸気音に付加または重畳されるとになり、上記と同様に車室側ではその音質が付加されたスポーツ感あるいは迫力感のある吸気音を得ることができる。
【0036】
このように本実施の形態によれば、周波数の異なる複数の音波を個別に増幅または強調した上で効果音として吸気系の吸気音に付加または重畳することが可能となり、車室側でのその音質が付加されたスポーツ感あるいは迫力感のある吸気音を体感する上できわめて良好なものとなる。
【0037】
また、サウンドピース16とサウンドプレート17の形状や材質、さらにはパイプ片12,13の管径や管長等を適宜選定してチューニングすることで、狙いとするエンジン回転数域において周波数の異なる複数の効果音を個別的に吸気装置5の吸気音に付加または重畳することが可能となる。
【0038】
さらに、サウンドピース16の振動に基づく気柱共鳴には当該サウンドピース16の下流側のパイプ片13の大径部14および小径部15の管径や管長が大きく影響し、他方、サウンドプレート17の振動に基づく共鳴には当該サウンドプレート17の下流側のパイプ片13の小径部15の管径や管長が大きく影響することは先に述べた通りである。その上で、本実施の形態では、サウンドクリエータパイプ10の長手方向において直列関係にある振動源としてのサウンドピース16とサウンドプレート17とが相互に独立していて且つ大きく離れているので、振動源であるサウンドピース16とサウンドプレート17の位置の違いに基づく共振周波数のチューニングも十二分に反映することができるようになる。
【0039】
言い換えるならば、サウンドクリエータパイプ10のうち振動体としてのサウンドピース16の下流側の管径と管長とに基づいて創出される基本共振周波数の効果音と、同じく振動体としてのサウンドプレート17の下流側の管径と管長とに基づいて創出される基本周波数の効果音が、サウンドピース16およびサウンドプレート17のそれぞれの吸気脈動に伴う振動によってさらに励振されて、結果として各周波数の効果音を増大させることになる。そのため、周波数の異なる所定レベル音圧レベルの複数の効果音を個別に且つ十二分に創出することができ、さらなる音質(音圧)付加効果の向上を期待できるようになる。
【0040】
図3は本発明に係る吸気装置の第2の実施の形態を示す図で、先に図2に示した第1の実施の形態のものと共通する部分には同一符号を付してある。
【0041】
この第2の実施の形態では、図3に示すように、共鳴管としても機能することになるサウンドクリエータパイプ10の一部であるパイプ片13の小径部15の長さを図2のものより長く設定するとともに、その小径部15において振動体としてのサウンドプレート17の上流側に当該サウンドプレート17と同一のもう一枚のサウンドプレート18を配置したものである。ただし、サウンドプレート18の振動特性をサウンドプレート17とは異ならせるべく、サウンドプレート18の板厚や材質をサウンドプレート17と異ならせることももちろん可能である。
【0042】
この第2の実施の形態によれば、サウンドピース16の下流側の管径と管長とに基づいて創出される特定の基本周波数の効果音、およびサウンドプレート17の下流側の管径と管長とに基づいて創出される特定の基本周波数の効果音とは別に、双方のサウンドプレート17,18間の管径と管長とに基づいて創出される特定の基本周波数の効果音が創出されることとなる。その結果として、さらに一層の音質(音圧)付加効果の向上を期待できるようになる。
【0043】
図4〜6は本発明に係る吸気装置の第3の実施の形態を示す図で、先に図3に示した第2の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0044】
この第3の実施の形態では、図3の構造を前提とした上で、図4に示すように、他方のパイプ片13の一般部たる小径部15に内接する振動体としての各サウンドプレート17,18を軸体19または20にて他方のパイプ片13に回動可能に支持させて、いわゆるバタフライバルブの形態としたものである。
【0045】
より具体的には、図6にも示すように、他方のパイプ片13の小径部15の外側にヒンジブラケット21a,21bを対向配置してあり、これらのヒンジブラケット21a,21b側に付帯している軸体19,20を各サウンドプレート17,18側の対応する穴に挿入することでそれぞれのサウンドプレート17,18を回動可能に支持させて、それぞれのサウンドプレート17,18を独立して開閉可能な構造としたものである。各サウンドプレート17,18の軸体19,20は相互に独立した電動モータその他のアクチュエータ22,23に接続されていて、各サウンドプレート17,18はアクチュエータ22,23の起動により個別に開閉駆動可能となっている。
【0046】
ここで、それぞれのアクチュエータ22,23は、例えば予め設定してある特定のアクセル開度あるいはエンジン回転数に応じて個別にあるいは同時に起動させることが可能である。したがって、かかる機能さえ実現できれば、アクチュエータ22,23としては、電動モータのほか負圧アクチュエータその他の任意のものを用いることができる。
【0047】
なお、図4は双方のサウンドプレート17,18が共に閉止している状態を示しているのに対して、図5は双方のサウンドプレート17,18が共に開いている状態を示している。さらに、図6は上流側のサウンドプレート18が開で、下流側のサウンドプレート17が閉止している状態を示している。
【0048】
したがって、この第3の実施の形態では、図4に示すように、双方のサウンドプレート17,18が共に閉止している状態では、これらのサウンドプレート17,18は図3のものと同様にそれぞれに振動源として機能することが可能であり、結果として図3に示したものと同様の機能が発揮されて、周波数の異なる所定音圧レベルの三種類の効果音を吸気音に付加または重畳することが可能となる。
【0049】
その一方、図5,6に示すように、エンジン回転数に応じていずれか一方のサウンドプレート17もしくは18または双方のサウンドプレート17,18を開動作させることで、少なくとも開状態にあるサウンドプレート17もしくは18または17,18は振動源として機能しないことになる。その結果として、いずれか一方のサウンドプレート17もしくは18あるいは双方のサウンドプレート17,18を開動作させた場合には、サウンドクリエータパイプ10としては少なくとも図3とは異なる挙動のもとでの音質(音圧)付加機能が発揮される。
【0050】
例えば、図5のように双方のサウンドプレート17,18が開いている状態では、先にも述べたようにそれらの双方のサウンドプレート17,18は実質的に振動源あるいは音圧発生源としては機能しないことから、サウンドピース16のみが振動源あるいは音圧発生源として機能することになる。そして、この場合には、サウンドピース16の振動に基づいて創出される所定音圧レベルの効果音の基本周波数は、サウンドピース16の下流側の管径と管長とに基づいて、言い換えるならば双方のサウンドプレート17,18が存在しない場合と同等の管径と管長とに基づいて決定される。ただし、振動体あるいは音圧発生源として機能しない開状態の双方のサウンドプレート17,18はパイプ片13に付帯する付加重量(マス)としてのみ機能する。
【0051】
他方、図6に示すように上流側のサウンドプレート18のみが開いている状態では、その開いているサウンドプレート18は実質的に振動源あるいは音圧発生源としては機能しないことから、サウンドピース16と下流側のサウンドプレート17のみが振動源あるいは音圧発生源として機能することになる。そして、この場合には、サウンドピース16の振動に基づいて創出される所定音圧レベルの効果音の基本周波数は、サウンドピース16の下流側の管径と管長とに基づいて、言い換えるならばサウンドピース16から下流側のサウンドプレート17までの管径と管長とに基づいて決定される。同様にサウンドプレート17の振動に基づいて創出される所定音圧レベルの効果音の基本周波数は、そのサウンドプレート17の下流側の管径と管長とに基づいて決定される。これらの場合においても、振動体として機能しない開状態のサウンドプレート18はパイプ片13に付帯する付加重量(マス)としてのみ機能する。
【0052】
もちろん、図6のように上流側のサウンドプレート18を開くのに代えて、当該上流側のサウンドプレート18を閉じる一方で、下流側のサウンドプレート17を開くことも可能である。この場合において、サウンドプレート18の振動に基づいて創出される所定音圧レベルの効果音の基本周波数は、そのサウンドプレート18の下流側の管径と管長とに基づいて、言い換えるならばそのサウンドプレート18から開放端10bまでの管径と管長とに基づいて決定される。
【0053】
このように本実施の形態によれば、周波数あるいは音質の異なる所定音圧レベルの三種類の効果音を吸気音に付加または重畳することが可能となるだけでなく、アクチュエータ22,23にてそれぞれのサウンドプレート17,18を開閉駆動するタイミングを調整することで、吸気音に付加または重畳されるべき効果音の音質を任意のエンジン回転数で変化させることが可能となる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、サウンドプレートを1枚あるいは2枚設けて周波数あるいは音質の異なる所定音圧レベルの効果音を付加または重畳したものを説明したが、サウンドプレートの枚数に制限はなく、所望の枚数のサウンドプレートを設けることができるものである。
【符号の説明】
【0055】
5…吸気装置(吸気系)
9…クリーンサイドダクト
10…サウンドクリエータパイプ(管状体)
12…パイプ片
13…パイプ片
14…大径部(拡張室)
16…サウンドピース(振動体)
16b…ベローズ部
17…サウンドプレート(振動体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状体を内燃機関の吸気系に接続するとともに、その管状体の内部に吸気系の吸気脈動に応じて振動する隔壁状の複数の振動体を直列に配置してあることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
上記振動体は管状体の内部をその長手方向において吸気系側と反吸気系側とに隔離していて、吸気系側に最も近い上流側の振動体以外の振動体を開閉可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
上記管状体の長手方向中間部が局部的に管径が大きな拡張室となっていて、吸気系側に最も近い上流側の振動体を上記拡張室内に配置してあることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
吸気系側に最も近い上流側の振動体は一端が閉塞された有底円筒状で且つベローズ状のものであることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項5】
吸気系側に最も近い上流側の振動体以外に二つの振動体を配置してあり、それら二つの振動体を個別に開閉可能としてあることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の内燃機関の吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−168902(P2010−168902A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9433(P2009−9433)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)