説明

内燃機関の希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元するための方法および触媒、ならびに該触媒の製造法

【課題】高い排ガス温度でバナジウム化合物の放出を全く示さないかまたはバナジウム化合物の公知技術水準に対して本質的に減少された放出を示しかつSCR触媒の卓越した活性および長時間安定性を示す、希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元触媒での選択的接触還元によってアンモニアを用いて還元するための方法。
【解決手段】内燃機関の希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元触媒での選択的接触還元によってアンモニアを用いて還元し、その際排ガス中に含有されている一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化し、その後に排ガスをアンモニアと一緒に還元触媒上に導く方法の場合に、還元触媒が遷移金属と交換されたゼオライトを含有し、一酸化窒素の酸化が、排ガスが還元触媒との接触前に二酸化窒素を30〜70体積%含有するように実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元触媒での選択的接触還元によってアンモニアを用いて還元し、その際排ガス中に含有されている一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化し、その後に排ガスをアンモニアと一緒に還元触媒上に導く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的接触還元(SCR=selective catalytic reduction)の方法は、久しく発電所の範囲内で発電所の煙道ガス中に含有されている窒素酸化物の還元のために使用されている。発電所の煙道ガスは、正味での酸素の高い含量のために酸化作用を有する。従って、この煙道ガス中に含有されている窒素酸化物を窒素に還元することは困難である。この問題は、煙道ガスをアンモニアと混合し、300〜550℃の温度で適当な還元触媒上に導くような所謂選択的接触還元によって解決される。還元触媒としては、酸化バナジウムおよび酸化タングステンを含有する二酸化チタン触媒とともに、イオン交換ゼオライト、例えばZSM−5、モルデナイトおよびフォージャサイトが使用される。選択的接触還元に適している還元触媒は、以下、SCR触媒とも呼称される。
【0003】
選択的接触還元をディーゼルエンジンおよび希薄運転されるオットーサイクル機関の排ガスからの窒素酸化物の除去にも使用することが数年来試みられている。また、この排ガスは、酸素15体積%までの高い含量を有する。この排ガス中に含有されている窒素酸化物は、エンジンの運転状態に依存して60〜95体積%が一酸化窒素からなる。
【0004】
公知のSCR触媒は、触媒活性が自動排ガス浄化の際に存在する高い空間速度にとって不十分であり、急速な老化をまねくという欠点を有している。酸化バナジウムを含有する触媒の場合には、700℃を超えると明らかな活性損失を生じる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19820682号明細書A1の記載によれば、内燃機関の希薄排ガス中の窒素酸化物の還元を改善させるために、まず二酸化窒素についての排ガス含量を50体積%にまで上昇させることは、公知である。これは、引用されたドイツ連邦共和国特許出願公開明細書の記載によれば、一酸化窒素をガス放電で酸化することにより二酸化窒素に変えることによって行なわれる。次に、こうして処理された排ガスは、還元剤、有利にアンモニアの供給下にSCR触媒上に導かれる。適当なSCR触媒としては、発電所の窒素除去部からの触媒ならびに銅陽イオンと交換されたZSM−5ゼオライトが挙げられる。
【0006】
また、米国特許第5891409号明細書の記載によれば、数多くの還元触媒が一酸化窒素よりも二酸化窒素の還元のために高い活性を有することは、公知である。従って、米国特許第5891409号明細書の記載によれば、最初に内燃機関の希薄排ガス中に含有されている一酸化窒素を酸化触媒で酸化し、二酸化窒素に変え、次に形成された二酸化窒素を還元剤としての炭化水素の添加下にSCR触媒で窒素、二酸化炭素および水に変換することが提案されている。好ましい還元触媒としては、γ−酸化アルミニウムからなる触媒が挙げられる。
【0007】
WO 99/39809には、一酸化窒素の少なくとも一部を二酸化窒素に変換する酸化触媒、粒子フィルター、還元剤、例えばアンモニアのための源およびSCR触媒からなる、殊にディーゼル機関の燃焼排ガス中の窒素酸化物を減少させるための系が記載されている。この系を用いた場合には、窒素酸化物の反応は明らかに改善されることができる。好ましくは、V/WO/TiO触媒を基礎とするSCR触媒が使用される。
【0008】
通常、発電所の範囲内で使用されるV/WO/TiO触媒の問題は、より高い排ガス温度で揮発性の毒性バナジウム化合物が放出されうることにある。このバナジウム含有触媒を例えば遷移金属、例えば鉄または銅と交換されたゼオライト触媒を基礎とするバナジウム不含の触媒と交換することは、この触媒の公知の僅かな老化安定性のために不適当であると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19820682号明細書A1
【特許文献2】米国特許第5891409号明細書
【特許文献3】WO 99/39809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、高い排ガス温度でバナジウム化合物の放出を全く示さないかまたはバナジウム化合物の公知技術水準に対して本質的に減少された放出を示しかつSCR触媒の卓越した活性および長時間安定性を示す、希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元触媒での選択的接触還元によってアンモニアを用いて還元するための方法を記載することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、排ガス中に含有されている一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化し、その後に排ガスをアンモニアと一緒に還元触媒上に導くことによる、アンモニアを用いての選択的接触還元方法によって解決される。この方法は、還元触媒が遷移金属と交換されたゼオライトを含有し、一酸化窒素の酸化が、排ガスが還元触媒との接触前に二酸化窒素を30〜70体積%含有するように実施されることによって特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】排ガスへのアンモニアの直接的な添加の際に本方法を実施するための排ガス清浄化系を示す略図。
【図2】アンモニアを供給する化合物からの加水分解によってアンモニアを取得する際の本方法を実施するための排ガス清浄化系を示す略図。
【図3】30000h−1の空間速度および1:1のNO/NO体積比で新鮮なFe−ZSM−5触媒についての排ガス温度に依存する窒素酸化物の変換率Xを示す線図。
【図4】30000h−1の空間速度および3:1のNO/NO体積比で老化したFe−ZSM−5触媒についての排ガス温度に依存する窒素酸化物の変換率Xを示す線図。
【図5】30000h−1の空間速度および1:1のNO/NO体積比で老化したFe−ZSM−5触媒についての排ガス温度に依存する窒素酸化物の変換率Xを示す線図。
【図6】30000h−1の空間速度および1:3のNO/NO体積比で老化したFe−ZSM−5触媒についての排ガス温度に依存する窒素酸化物の変換率Xを示す線図。
【図7】60000h−1の空間速度および異なる排ガス温度で酸化触媒による排ガス中でのNO含量を示す線図。
【図8】120000h−1の空間速度および異なる排ガス温度で酸化触媒による排ガス中でのNO含量を示す線図。
【図9】180000h−1の空間速度および異なる排ガス温度で酸化触媒による排ガス中でのNO含量を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、本方法においてV/WO/TiO触媒は全く使用されない。むしろ、特定の遷移金属と交換されたゼオライト触媒が使用される。好ましい遷移金属は、クロム、鉄、ニッケル、銅、セリウム、プラセオジム、テルビウムまたはこれらの混合物である。この場合、交換成分としては、バナジウムを使用してもよい。それというのも、このバナジウムは、ゼオライト触媒の格子中には、V/WO/TiO触媒の場合よりも本質的に堅固に結合されているからである。しかし、好ましくは交換元素としてのバナジウムは完全に省略される。
【0014】
排ガス中での二酸化窒素含量の上昇は、記載された還元触媒の活性を明らかに改善し、触媒の老化をも減少させることが判明した。それとともに、二酸化窒素は、殊に低い温度で触媒の活性を上昇させる。二酸化窒素のこのプラスの作用は、例えば2価の銅イオンが触媒中で選択的接触還元によって1価の銅イオンに還元され、それによって触媒活性が減少されることに基づくものと思われる。排ガス中に含有されている酸化物成分、例えば酸素および二酸化窒素によって、銅イオンは、2価の銅イオンに再酸化され、それによって元来の活性を再び取得する。この場合、二酸化窒素は、高い酸化能のために特に有利に作用する。この反応原理は、全てのSCR活性遷移金属イオンに当てはまり、このSCR活性遷移金属イオンは、このような原子価交換を可能にする。これには、バナジウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、セリウム、プラセオジムおよびテルビウムのイオンが属する。特に好適であるのは、鉄、銅およびセリウムのイオンである。
【0015】
本発明に適したゼオライトは、例えばZSM−5、A、β、X、Y、フェリエライト、リンデ型Lおよびフォージャサイトの群からのゼオライトである。このゼオライトは、混合物として使用されてもよい。
【0016】
特に好ましくは、鉄および/または銅と交換されたZSM−5ゼオライトが触媒として使用される。この触媒は、窒素に対して高い選択性を有する。SCR反応の副生成物、例えば笑気ガス(NO)は、Fe−ZSM−5触媒の使用の際に微少量でのみ発生する。
【0017】
エンジンの排ガス中での二酸化窒素の形成もしくは二酸化窒素量の上昇のために、酸化触媒は、固有のSCR触媒の前方で接続されることができる。こうして、殊にFe−ZSM−5の場合には、老化後であってもSCR反応での高い変換率をなお達成することができる。また、酸化触媒とともに、二酸化窒素を含有する別の装置、例えばガス放電部を使用することもできる。
【0018】
二酸化窒素への酸化触媒を用いての一酸化窒素の完全な変換は、望ましいことではなく、還元触媒と比較して酸化触媒の相応する負荷および/または寸法決定によって回避させることができる。酸化触媒としては、例えば場合によっては安定された、活性の酸化アルミニウムからなる担持材料上の白金触媒を使用することができる。担持材料上での白金の濃度は、触媒の全質量に対して0.1〜5質量%であることができる。触媒は、被膜の形で通常のハネカム体上に塗布される。被膜濃度は、排ガスが酸化触媒の後方で二酸化窒素約30〜70体積%を含有することを保証するために、ハネカム体に対して50〜200g/lを選択することができる。使用されるハネカム体の体積に関連して、二酸化窒素の必要とされる生産に適合させるが可能である。
【0019】
更に、酸化触媒の課題は、排ガス中に含有されている一酸化窒素および殊に炭化水素をできるだけ完全に二酸化炭素および水に変換することにある。それというのも、いずれにせよ炭化水素は、次のゼオライト触媒によって貯蔵されるからである。それには、ゼオライト触媒の炭化および失活の危険が結び付くであろう。
【0020】
本発明による方法における使用に適した酸化触媒は、触媒活性成分として広く表面積の担体酸化物、有利にγ−酸化アルミニウム上の白金を有するものである。特に好ましいのは、二酸化珪素約5質量%で安定化された酸化アルミニウムである。
【0021】
選択的接触還元に必要とされるアンモニアは、還元触媒との接触前に排ガスに直接に添加されることができる。しかし、好ましくは、アンモニアは、車両の端部に接してアンモニアから加水分解可能な化合物から取得される。この目的のために、排ガスには、一酸化窒素の部分的酸化後および還元触媒との接触前に加水分解可能な化合物が供給され、引続き排ガスは、加水分解触媒上に導かれる。加水分解可能な化合物としては、尿素またはアンモニウムカルバメートが適している。
【0022】
本方法に必要とされるSCR触媒は、記載された金属イオンと交換されたゼオライト触媒である。このゼオライト触媒の製造のために、種々のイオン交換法が使用されてよい(固体交換、水溶液中での交換、極性または非極性の有機溶剤中での交換)。しかし、この場合には、Fe−ZSM−5の製造は、特に困難であることが証明されている。水溶液中での通常の交換法は、使用不可能であることが判明した。それというのも、鉄(III)化合物は、大きな水和物スリーブによって殆んどゼオライトの細孔中に侵入することができず、したがって酸溶液中での交換を著しく困難にする。アンモニアアルカリ性溶液中での交換は、同様に不適当であることが判明した。それというのも、この場合には、水酸化鉄が形成されかつ沈殿するからである。
【0023】
鉄(II)塩の水溶液との交換は、一般に最初に鉄(II)から鉄(III)への酸化を導くが、しかし、不活性ガス、例えば窒素またはアルゴンでの溶剤の相応する前処理によって回避されることができる。しかし、硫酸鉄(II)および塩化鉄(II)とともに、難溶性の鉄塩だけを使用することができる。僅かな溶解性を有する塩を使用する場合には、イオン交換は、緩徐にのみ行なわれる。
【0024】
最も簡単で最高の方法として、Fe(II)塩化物およびFe(III)塩化物を用いてのゼオライトの固体イオン交換が強調された。この場合、完全な交換に必要とされる量の鉄塩は、ゼオライトと一緒に均一な粉末に混合される。次に、この混合物は、窒素流の下でイオン交換が開始されるまで加熱される。形成される塩酸は、窒素流で搬出される。経験によれば、イオン交換は、300℃の温度で約2時間後に終結している。この場合、交換されたゼオライトは、水で洗浄され、120℃で乾燥される。その後に、再び温度は、300℃で2時間に亘って窒素の下で継続される。
【0025】
完成したゼオライト触媒は、有利にセラミックまたは金属からなるハネカム体上の被膜の形で施こされる。このために、触媒粉末は、結合剤としての硝酸ジルコニルと一緒に水中に懸濁される。設けられたハネカム体は、生じる被覆懸濁液を用いて公知方法で被覆されてよい。この場合、好ましくは、ハネカム体の体積1リットル当たり触媒粉末が200グラムになるまでの被膜濃度を達成することが努力される。被覆後、ハネカム体は、触媒粉末をハネカム体上に固着しかつ硝酸ジルコニルを酸化ジルコニウムに変換するために、例えば4時間約300℃でか焼される。1つの好ましい触媒は、被膜の全質量に対して酸化ジルコニウム1〜10質量%を含有する。
【0026】
更に、本発明を説明するために、図1〜9ならびに実施例が使用される。
【0027】
図1には、本発明による方法に適した排ガス浄化系の構造が略示されている。この排ガス浄化系は、酸化触媒(1)および後接続された還元触媒(2)からなる。酸化触媒中には、内燃機関から来る排ガスが侵入し、この場合この排ガスは、なかんずく一酸化窒素および酸素を含有する。酸化触媒中で一酸化窒素の一部は、二酸化窒素に酸化され、したがって一酸化窒素と二酸化窒素とからなる混合物は、酸化触媒を去る。このガス混合物には、還元触媒中への侵入前にアンモニアが還元剤として0.6〜1.6のモル比NH/NOで供給される。還元触媒中で、このガス混合物は、窒素対水に変換される。モル比NH/NOは、以下α−値(α)とも呼称される。
【0028】
図2は、図1の排ガス浄化系の1つの変法である。アンモニアの代わりに、排ガスには、酸化触媒系の後方でアンモニアに分解可能な化合物、例えば尿素が添加される。アンモニアの放出のために、還元触媒の前方には尿素−加水分解触媒(3)が排ガス流中に配置されており、この尿素−加水分解触媒は、尿素をアンモニア、二酸化炭素および水に分解する。
【0029】
還元触媒の製造:
本発明による方法への使用のために、Fe−ZSM−5触媒を次のように製造した:40のモジュール(ゼオライトのモジュールは、モル比SiO/Alである)を有するゼオライトH−ZSM−5を注意深くFeClと混合し、引続き窒素流の下で300℃で2時間熱処理した。この場合、FeClの量をゼオライトの完全な交換が交換能に相応して行なわれるように定めた。次に、交換されたゼオライトを水で洗浄し、120℃で乾燥し、その後に再び300℃で2時間窒素の下で処理した。
【0030】
こうして取得された触媒粉末は、粉末の全質量に対して1.7質量%の鉄含量を有していた。この粉末を結合剤としての硝酸ジルコニルと一緒に水中に分散させ、62cm−2のセル密度を有する菫青石からなる常用のハネカム体の被覆に使用した。この被覆を300℃で4時間空気に接するようにしてか焼した。完成被膜は、触媒粉末196g/lおよび酸化ジルコニウム6g/lを含有していた。
【実施例】
【0031】
本発明による方法における試験のために、直径2.54cmおよび長さ7.62cmを有する前記触媒の中空芯材に30000h−1の空間速度で次の合成ガス混合物を反応作用させた:
1:1;3:1および1:3のNO:NOの比の窒素酸化物500体積%、
アンモニア450体積%、
酸素5体積%、
水蒸気1.3体積%、
窒素 残分。
【0032】
合成ガスの温度を数工程で150℃から525℃へ上昇させた。全ての温度工程のために、ガス組成を還元触媒の後方で分析した。
【0033】
図3には、新しい触媒についての結果が示されている。この場合、体積比NO/NOは、1:1であった。
【0034】
図4〜6は、老化された触媒についての結果を示す。老化のために、触媒を熱水条件下で650℃の温度で48時間貯蔵した。
【0035】
図4は、3:1のNO/NOの体積比についての結果を示し、図5は、1:1のNO/NOの体積比についての結果を示し、かつ図6は、1:3のNO/NOの体積比についての結果を示す。この測定から明らかなように、老化された触媒は、1:1の体積比NO/NOの際に新しい触媒よりも良好な深部温度活性(150〜250℃)を示す。触媒活性の依存性および体積比NO/NOの窒素への変換の選択性に関連して、約1:1の値は最適である。
【0036】
要求される体積比は、反応触媒の前方で排ガス流中に供給される酸化触媒(図1および2)によって調節されることができる。
【0037】
図7〜9は、次の組成:
一酸化窒素NO 500体積%、
酸素 5体積%、
水蒸気 1.3体積%、
窒素 残分
の合成ガスを用いての負荷の際に白金酸化触媒の後方で測定された二酸化窒素濃度を示す。
【0038】
白金触媒は、62cm−2のセル密度を有する菫青石からなるハネカム体上で120g/lの濃度で施こされた。触媒の白金含量は、ハネカム体の体積1リットル当たりPt3.2gであった。
【0039】
前記図は、要求されるNO/NO2体積比が60000〜180000h−1の空間速度RGの幅広い範囲に亘って維持されることができることを示す。この場合には、空間速度が増加するにつれて、即ち負荷が増加するにつれて、エンジンの排ガス温度が上昇されることを考慮することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 酸化触媒、 2 還元触媒、 3 尿素−加水分解触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元触媒での選択的接触還元によってアンモニアを用いて還元し、その際排ガス中に含有されている一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化し、その後に排ガスをアンモニアと一緒に還元触媒上に導く方法において、還元触媒が遷移金属と交換されたゼオライトを含有し、一酸化窒素の酸化が、排ガスが還元触媒との接触前に二酸化窒素を30〜70体積%含有するように実施されることを特徴とする、内燃機関の希薄排ガス中に含有されている窒素酸化物を還元するための方法。
【請求項2】
遷移金属がバナジウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、セリウム、プラセオジム、テルビウムまたはこれらの混合物の群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
還元触媒が鉄、銅、セリウムまたはこれらの混合物と交換されたゼオライトを含有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
還元触媒がZSM−5、A、β、X、Y、フェリエライト、リンデ型Lおよびフォージャサイトの群からの少なくとも1つのゼオライトを含有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
還元触媒が鉄および/または銅と交換されたZSM−5−ゼオライトを含有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
排ガス中に含有されている一酸化窒素の酸化を酸化触媒を用いて行なう、請求項1記載の方法。
【請求項7】
排ガス中に含有されている一酸化窒素の酸化をガス放電により行なう、請求項1記載の方法。
【請求項8】
選択的接触還元に必要とされるアンモニアをアンモニアに加水分解可能な化合物から取得し、そのために排ガスに一酸化窒素の部分的酸化後および還元触媒との接触前に加水分解可能な化合物を供給し、引続き排ガスを加水分解触媒上に導く、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
アンモニアに加水分解可能な化合物が尿素またはアンモニウムカルバメートである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法に使用するための還元触媒において、ハネカム体上に鉄と交換されたゼオライトならびに結合剤として酸化ジルコニウムからなる被膜を有することを特徴とする、請求項9記載の方法に使用するための還元触媒。
【請求項11】
被膜が鉄で交換されたZSM−5ゼオライトを有する、請求項10記載の還元触媒。
【請求項12】
請求項10または11記載の還元触媒を製造する方法において、鉄で交換されたゼオライトを鉄−II塩もしくは鉄−III塩との固体イオン交換によって取得し、引続き硝酸ジルコニルと一緒に水中に懸濁させ、被膜としてハネカム体上に塗布し、最終的に被膜を空気に接するようにしてか焼する、請求項10または11記載の還元触媒を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−61470(P2012−61470A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271358(P2011−271358)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【分割の表示】特願2001−121419(P2001−121419)の分割
【原出願日】平成13年4月19日(2001.4.19)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】