説明

内燃機関の排気ガスに含まれている汚染物質を処理する方法およびそれを用いた汚染物質処理システム

【課題】固体の形態で貯蔵された化合物を使用することによって、ある制限された容積を備えた車輌に化合物を配置することを可能にする。
【解決手段】本発明は、選択的な触媒還元の触媒手段(62)と、還元剤を排気ライン(L)内に噴射して汚染物質を処理する噴射手段(82)とを含む排気ライン(L)を有するシステムで排気ガス汚染物質を処理する方法である。本発明は、有機窒素化合物を加熱して、アンモニアを含む気相の還元剤と気相の別の還元剤と水蒸気とで少なくとも構成された混合物に分解することと、この混合物を圧縮した後に冷却して蒸気を液相の水に凝縮させ、かつ、前記2つの還元剤のうち一方の還元剤の気相ともう一方の還元剤の液相を得ることと、触媒手段(62)と共同して排気ガスの汚染物質を処理するため、上記一方の還元剤を排気ライン内に噴射することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車の内燃機関の排気ガスの汚染防止処理を対象とする方法に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、特にディーゼル式の自動点火内燃機関の排気ガスに含まれる汚染物質を処理する方法に関するが、ガス状燃料、すなわちガソリンや特に希薄混合気によって動作する機関のような火花点火機関用の方法を除外するものではない。
【0003】
本発明は、この方法を使用する排気ガス汚染防止処理システムにも関する。
【背景技術】
【0004】
周知のように、このような機関の排気ガスは、ガソリンまたはガスで動作する機関の場合の、未燃焼炭化水素、一酸化炭素、より一般的にはNOxと呼ばれる窒素酸化物(NOおよびNO2)のような、さらにはディーゼル式機関の場合の粒子のような多数の汚染物質を含む。
【0005】
排気ガス基準を満たし、かつ環境を保存するために、排気ガスを大気中に排出する前にこれらの汚染物質を処理する必要がある。
【0006】
一般に公知のように、これは機関の排気ライン内を循環する排気ガスを処理するシステムによって実現される。
【0007】
そのため、より一般的には酸化触媒と呼ばれる触媒手段が、希薄混合気によって動作する機関の場合の未燃焼炭化水素および一酸化炭素を酸化させるのを可能にしている。
【0008】
ディーゼル機関の排気ラインの場合には、微粒子フィルタをこの配管上に配置して、排気ガス中に存在する微粒子を保持し、これにより、微粒子が大気中に排出されるのを防止することができる。
【0009】
このフィルタは、触媒フィルタであってもよいが、濾過性能を維持するために定期的に再生する必要がある。この再生動作は主として、一般にフィルタを通って流れる排気ガスの濃度を高めることによって、フィルタの温度を上昇させることから成る。得られる温度が高くなることによって、このフィルタに保持された粒状物を燃焼させることができる。
【0010】
また、NOxの処理を可能にするために、排気ガスは、他の触媒手段、特にSCR(選択的な触媒還元)触媒型触媒も通って流れる。このSCR触媒は、還元剤の作用によってNOxを窒素に選択的に還元するのを可能にする。
【0011】
この還元剤は、一般にSCR触媒の上流側で噴射されるが、アンモニア、あるいは分解によってアンモニアを生成する尿素のような化合物、あるいは炭化水素含有物質から得られる炭化水素であってよい。
【0012】
この還元剤は、排気ガスと混合し、次に、たとえば、
4NH+2NO+2NO→4N+6H
または 4NH+4NO+O→4N+6H
のようないくつかの可能な化学反応に従ってSCR触媒上で排気ガスのNOxと反応する。
【0013】
従来この用途に使用されている還元剤の化学前駆物質は、大容積に貯蔵する必要があるが、一方で、車輌内で利用できる空間は限られている。大容積が必要であるのは、この化学前駆物質が液体の態様で貯蔵され、水で希釈されるからである。
【0014】
さらに、SCR触媒は、アンモニアをNOx還元剤として使用するが、一般に、温度が180℃から250℃の間の範囲の点火温度より高い場合にしか動作可能にならない。この温度より低く、特に車輌の低温始動時には、NOxはアンモニアを基としたSCR触媒では処理されない。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、高密度の化合物を、すなわち固体の形態で貯蔵された化合物を使用することによって上述の欠点を解消するのを可能とする。これによって、ある制限された容積を備えた車輌に化合物を配置することができる。
【0016】
そのため、本発明は、特に内燃機関の排気ガスに含まれている汚染物質を処理する方法であって、排気ガスが通る選択的な触媒還元の触媒手段を有する排気ラインと、汚染物質が触媒手段を通って流れるときに還元剤を排気ライン内に噴射して汚染物質を処理する噴射手段とを備えたシステムにより汚染物質を処理する方法において、
有機窒素化合物を加熱して、アンモニアを含む気相の還元剤と別の気相の還元剤と水蒸気とで少なくとも構成される混合物に分解することと、
この混合物を圧縮後に冷却して水蒸気を液相の水に凝縮させ、かつ、上記2つの還元剤のうち一方の還元剤の気相ともう一方の還元剤の液相を得ることと、
少なくとも触媒手段と共同して排気ガスの汚染物質を処理するため上記の一方の還元剤を排気ライン内に噴射することと、を含むことを特徴とする方法に関する。
【0017】
本発明による方法は、排気ライン上に追加の触媒手段を配置することと、追加の触媒手段と共同して排気ガスの汚染物質を処理するために上記のもう一方の還元剤を噴射することを含んでよい。
【0018】
本発明による方法は、液相の水を排気ライン内に噴射することを含んでよい。
【0019】
本発明による方法は、液相の水を用いて化合物の水溶液を準備することを含んでよい。
【0020】
本発明による方法は、液相の水を外部に排出することを含んでよい。
【0021】
本発明による方法は、第1の冷却手段により混合物を冷却して2つの還元剤の気相と液相の水とを得て、それから、第2の冷却手段により該2つの還元剤の気相を冷却して気相の還元剤と液相の別の還元剤を得ることを含んでよい。
【0022】
本発明による方法は、有機窒素化合物を加熱して、アンモニアを含む還元剤と炭化水素物質を含む別の還元剤とで少なくとも構成される混合物に分解することを含んでよい。
【0023】
本発明は、内燃機関の排気ガスに含まれている汚染物質を処理するシステムであって、排気ガスが通る選択的な触媒還元の触媒手段を有する排気ラインと、汚染物質が触媒手段を通過するときに、還元剤を排気ライン内に噴射して汚染物質を処理する噴射手段とを有するシステムにおいて、有機窒素化合物を加熱して、気相の少なくとも2つの還元剤で構成され還元剤の一つがアンモニアと水蒸気とを含んでいる混合物を得る手段を備えた還元剤生成装置を有することを特徴とするシステムに関する。
【0024】
本発明によるシステムは、上記の気相の2つの還元剤の一方を噴射する手段に関連する追加の触媒手段を有してよい。
【0025】
そのもう一方の気相の還元剤は炭化水素物質を含んでよい。
【0026】
このシステムは、気相の2つの還元剤と水蒸気との混合物を冷却して、液相の水と、還元剤の少なくとも一方の液相とを得るのを可能にする手段を有してよい。
【0027】
有機窒素化合物は、アンモニアと少なくとも炭化水素物質とに分解できる化合物を含んでよい。
【0028】
有機窒素化合物はヘキサメチレンテトラミンを含んでいるのが良い。
【0029】
有機窒素化合物は、酢酸アンモニウムを含むアンモニア塩を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の他の特徴および利点は、本発明によるシステムを示す添付の単一の図を参照して、非制限的な例として与えられる以下の説明を読むことによって明らかになろう。
【0032】
この排気ガス汚染防止処理システムは、少なくとも2つの還元剤を生成する装置Dと、それに関連する排気ラインLとを有している。
【0033】
この装置Dは、加水分解または熱の作用によって、アンモニアと、炭化水素物質、特に炭化水素とに分解する特定の特徴を有する、好ましくは気相の塩基性化合物12を収容している貯蔵容器10を有する。
【0034】
一例として、この塩基性化合物は有機窒素化合物であってよい。加水分解または熱分解によって得られる化合物(アンモニアや炭化水素など)の分離は、一連の凝縮によって実施することができる。
【0035】
この化合物は、ヘキサメチレンテトラミン(略してHMT、より一般的にはウロトロピンと呼ばれる)、または酢酸アンモニウムのようなアンモニウム塩であってよい。これらの化合物は有利なことに、固体の態様で貯蔵することができる。これによって、容器のサイズを著しく小さくすること、および/または化合物の移送量の増加が可能になる。
【0036】
この容器は、この容器からの塩基性化合物を加熱する手段16に、配管14によって連結されている。
【0037】
有利なことに、このような加熱手段は、一方ではこの化合物によって横切られ、他方では熱源20、ここでは機関の排気ガス20によって横切られ、その排気ガスの熱をこの化合物に伝達する熱交換器18から成っている。
【0038】
車輌の機関冷却材、この機関の潤滑油、バーナー、電気抵抗ヒータのような一般的に公知の他の種類の熱源または加熱手段を検討することができる。
【0039】
この交換器は、加熱された化合物の圧縮器24に別の配管22によって連結されている。この圧縮器24は、圧縮された高温の化合物を冷却する複数の第1の手段28の一つに配管26によって連結されている。
【0040】
これらの第1の冷却手段28は、一例として、配管26からの圧縮された高温の化合物によって横切られるとともに戸外の新鮮な空気32のような冷却流体によって横切られる熱交換器の形をした冷却器30を有する。
【0041】
冷却された化合物用の第1の貯蔵・分離手段を形成する密閉タンク34が、配管36によってこの冷却器30に連結されている。このタンク34は、2本の出口管38、40を有している。気体態様の流体のための出口管38(ガス出口管と呼ぶ。)がこのタンク34の上部から始まっている。液体態様の流体のための別の出口管40(水性液体出口管と呼ぶ。)がこのタンク34の底部から始まっている。
【0042】
ガス出口管38は、有利なことに第1の冷却手段28と同様の、冷却流体46、この場合も戸外の空気が通過する別の冷却器44を有する第2の冷却手段42に至っている。
【0043】
この冷却器44は、第2の貯蔵・分離手段を形成し、やはり2本の出口管と、容器自体の上部に配置されたガス状流体出口管52と、容器自体の下部に配置された液体流体出口管54とを有する密閉容器50に、配管48によって連結されている。
【0044】
この容器50の2本の出口管52および54は、それぞれ流体循環制御手段、例えば、配管52上に配置された液体計量ポンプ56と、配管54上に配置されたガス計量ポンプ58とを備えることが好ましい。
【0045】
同様に、タンク34の水性液体出口管40は、配管40条に配置されたコック、弁、および計量ポンプなどの形をした流体循環制御手段59を有している。
【0046】
図示の例では、装置Dは、排気ラインLにおいて、内燃機関の燃料混合物の燃焼によるガス(矢印A)の入口とガスを大気中に排出するための出口(矢印S)との間を循環する排気ガスの汚染防止処理を目的とするシステムに属している。
【0047】
この排気ラインLは、アンモニアを還元剤として使用するSCR触媒62を収納する排気チューブ60を有している。
【0048】
このSCR触媒62は、機関から来る排気ガスのための入口ボックス66と、排気チューブ60に連結され、汚染防止された排気ガスを大気中に排出する(矢印S)処理済みガス出口ボックス68とを備えた管状のケーシング64を有している。
【0049】
ケーシング64は、入口ボックス66と出口ボックス68との間に配置されたフィルタ支持体70を収容している。この支持体70は、好ましくはモノリシック型であり、1つまたは2つ以上の触媒反応物質がこのような排気ガスのNOxに作用するように設定された支持体からなる。
【0050】
排気チューブ60上で追加のSCR触媒72がSCR触媒62と排気ガス出口(矢印S)との間に配置されることが好ましい。この追加の触媒は、管状のケーシング74と、排気チューブ60の一部によって第1のSCR触媒62の出口ボックス68に連結された入口ボックス76と、排気チューブ60に連結され、汚染防止された排気ガスを大気中に排出する(矢印S)出口ボックス78とを有することが好ましい。
【0051】
ケーシング74も、好ましくはモノリシック型であり、SCR触媒62からの排気ガスのNOxに作用するように化学的に活性であるフィルタ支持体80を有している。
【0052】
有利なことに、この追加の触媒は、炭化水素物質を還元剤として使用することによってNOxに作用する特定の特徴を有している。
【0053】
あるいは、この追加のSCR触媒は、1つまたは2つ以上の触媒反応物質を含浸され、NOxおよび/またはフィルタの発熱に作用するフィルタ支持体を有する微粒子フィルタまたは触媒微粒子フィルタで置き換えることができる。この場合、炭化水素物質は、触媒微粒子フィルタに貯蔵されたNOxの還元、および/またはこのフィルタに存在する粒状物を燃焼させるのに必要な発熱に使用される。
【0054】
以下の残りの説明では、一例としてのみ、排気ガス入口(矢印A)と排気ガス出口(矢印S)との間に、SCR触媒62(主触媒と呼ぶ。)と追加のSCR触媒72をこの順序で有する排気ラインLについて検討する。
【0055】
図1に示されているように、容器50からガス状流体を送り出す出口管52は、排気チューブ60の、主触媒62の入口ボックス66の上流側に配置された部分におけるアンモニア含有還元剤用の噴射点82で終わっており、これにより、アンモニア含有還元剤用の噴射手段を形成する。炭化水素ベースの還元剤を排気ラインに送り込む手段を形成するために、液体流体出口管54は、排気チューブ60の分岐連結部84の所で終わっている。この分岐連結部84は、主触媒62の出口ボックス68と追加の触媒72の入口ボックス76との間に配置されている。水性液体出口管40は、追加の触媒72の下流側の、追加の触媒72の出口ボックス78と排気ガス出口(矢印S)との間に配置された連結管86の所で終わっており、この排気ラインにおけるこの液体の取込手段を形成する。
【0056】
本発明の範囲から逸脱せずに、上述した各配管は、それに対応するボックス内で終わってよい。そのため、液体流体出口管52は主触媒62の入口ボックス66内で終わってよく、ガス状流体出口管54は追加の触媒72の入口ボックス76内で終わってよく、水性液体出口管40はこの追加の触媒72の出口ボックス78内で終わってよい。
【0057】
水性液体出口管40の出口は、関連する液体を外部に排出するように図中に点線40aで示されているように開放されていても、あるいは液体を容器10に入っている化合物と混合するように容器10に連結してもよい(点線40b)。
【0058】
次に、容器10に入っている化合物12が水性ヘキサメチレンテトラミン(HMT)溶液(C12+HO)である例に基づいて説明を続ける。
【0059】
HMTは、最初固相であり、好ましくは小さいペレット(約10mm)の形であり、容易に貯蔵される。したがって、このHMTを水と混合して水溶液を得ることができ、次に、水溶液が容器10に送り込まれる。
【0060】
他の方法は、必要なときにのみペレットを水に溶解させることから成り、これによって、貯蔵量が少なくなる利点が得られる。
【0061】
この溶解に必要な水は、以下に説明するように装置自体から供給することができる。
【0062】
この溶液はまず、加水分解を受けながら熱交換器18を通って流れることによって260℃に近い最低温度、好ましくは炭化水素物質のひび割れ温度または反応温度より低い温度に加熱される。
【0063】
得られた混合物は、水蒸気に関連するアンモニア(NH)およびホルムアルデヒド(HCO)気相を含む。得られた混合物は次に、配管22を通して圧縮器24に送られ圧縮される。この圧縮は4バールから10バールの間の範囲であることが好ましい。
【0064】
圧縮された混合物は次に、混合物の圧力に応じて約150℃から約180℃の範囲の温度の冷却器30を通過することによって冷却される。冷却は、水蒸気を凝縮させ、アンモニアとホルムアルデヒドの混合物(NH+HCO)を有する気相と、水(HO)を含む液相と、を含む2つの相で構成された混合物を、配管36を通してタンク34に送り込む効果を有する。
【0065】
タンク34では、2つの相が分離し、このタンク34の底部に入っている水が、水性液体出口管40を通して排出される。この水は次に、連結管86を通して排気チューブ60に送られるか、あるいは自由な液体出口管40aを通して外部に送られるか、あるいは配管40bを通して容器10内に送られ、容器10に入っているHMTペレットの少なくとも一部を溶解させ、所望の水溶液が得られる。流体循環制御手段59は、タンク34内の液位が不十分であるときに配管内の水循環を停止すること、および/または所望の量の水性HMT溶液が得られるように容器10に送られる水の量を調節することを可能にする。
【0066】
もちろん、後者の場合、分解による水が回収される場合でも、まず十分な量の水がタンク34内に供給され、容器に入っているHMTを溶解させる。
【0067】
流体循環制御手段59は、水を連結管86を通して排気チューブに送ること、および/または自由な液体出口管40aを通して外部に送ること、および/または配管40bを通して容器10内に送ることを可能にするように構成することもできる。
【0068】
このタンク34の頂部に入っているガス状態混合物は、ガス出口管38を通して第2の冷却器44に排出され、第2の冷却器44を通って流れ、ほぼ周囲温度に冷却される。
【0069】
冷却は、炭化水素蒸気相を液相に凝縮させるのを可能にする。
【0070】
この冷却器44の出口の所で、配管48は、2つの相、冷却器44内の冷却による炭化水素液相(ホルムアルデヒドHCO)とアンモニア気相(NH)とで構成された混合物を容器50の方へ送る。この2つの相は、この容器50内で、底部における炭化水素液相とその上部におけるアンモニア気相とに分離される。
【0071】
ガス状アンモニアは、液体計量ポンプ58が、特に車輌の計算器などの制御手段の作用の下で作動させられたときに、ガス状流体出口管52を通して主触媒62の上流側の噴射点82の所で排気ライン内に噴射される。
【0072】
これによって、このアンモニアは高温の排気ガスと混合する。このようにして形成された混合物は、主SCR触媒を通って流れるときに排気ガスのNOxと反応し、それによってNOx汚染防止処理が行われる。
【0073】
同様に、ガス計量ポンプ56の動作時には、液体炭化水素が液体流体出口管54を通し、分岐連結部84を通して追加の触媒72の上流側の排気ラインに送られる。
【0074】
排気チューブ60内に噴射された炭化水素は、主SCR触媒からの排気ガスと接触したときに気化する。この気化した炭化水素は、追加のSCR触媒を通って流れるときに還元されなかったNOxと反応することにより排気ガスと混合する。これによって、NOx汚染防止処理を終了させることができる。
【0075】
アンモニア気相および/または炭化水素液相は、後で、一方および/または他方の計量ポンプが機関の動作条件に関連して動作可能でないときに使用できるように任意にアキュムレータに貯蔵することができ、すなわち、ガスアキュムレータ90および液体アキュムレータ92にそれぞれ貯蔵することができる。
【0076】
また、液体出口管54からの炭化水素還元剤に反応する酸化触媒微粒子フィルタで、追加のSCR触媒72を置き換えることも可能である。
【0077】
この場合、炭化水素は触媒によって酸化させられる。この反応は、フィルタに閉じ込められた粒子の燃焼を開始するのに使用される熱を発生させる。
【0078】
2つの触媒を一般に機関の低温始動用の方式に従って使用することができ、排気ガス温度が主SCR触媒62を動作可能にするのに不十分であるときには従来のSCR触媒72のみが出口管54からの炭化水素に使用されることに留意されたい。このようなガスの温度が十分な温度(200℃程度)になった直後に、主SCR触媒62が、出口管52から供給されるアンモニアと反応することによって動作可能になり、ガス計量ポンプ56の動作を停止することによって追加のSCR触媒72を動作不能にすることができる。
【0079】
もちろん、圧縮器24、計量ポンプ56、58、および流体循環制御手段59は、機関の計算器のような任意の手段によって、計算器のチャートに含まれる様々な汚染防止方式に従って作動するように制御される。
【0080】
本発明は、上述の例に限定されず、本発明が対象とする任意の変形の実施形態または均等の実施形態を包含する。
【0081】
特に、容器10で他の種類の化合物を使用し、それによって、容器50において液体形態のアンモニアおよび気体形態の他の還元剤を得ることを検討することができる。
【0082】
この場合、液体出口管54は噴射点82の所で終わり、ガス出口管52は分岐連結部84の所で終わる。
【符号の説明】
【0083】
D 装置
L 排気ライン
10 貯蔵容器
12 塩基性化合物
14 配管
16 加熱手段
18 熱交換器
22 配管
24 圧縮器
26 配管
28 第1の冷却手段
30 冷却器
32 新鮮な空気
34 密閉タンク
36 配管
38 出口管
40 出口管
40a 出口管
40b 配管
42 第2の冷却手段
44 第2の冷却器
48 配管
50 容器
52 ガス状流体出口管
54 液体流体出口管
56 液体計量ポンプ
58 ガス計量ポンプ
59 流体循環制御手段
60 排気チューブ
62 SCR触媒
66 入口ボックス
68 出口ボックス
70 フィルタ支持体
72 追加のSCR触媒
74 管状のケーシング
76 入口ボックス
78 出口ボックス
82 噴射点
84 分岐連結点
86 連結管
90 ガスアキュムレータ
92 液体アキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスに含まれている汚染物質を処理する方法であって、前記排気ガスが通る選択的な触媒還元の触媒手段(62)を有する排気ライン(L)と、前記汚染物質が前記触媒手段を通って流れるときに、還元剤を排気ライン(L)内に噴射して前記汚染物質を処理する噴射手段(82)とを有するシステムにより汚染物質を処理する方法において、
有機窒素化合物を加熱して、アンモニアを含む気相の還元剤と気相の別の還元剤と水蒸気とで少なくとも構成された混合物に分解することと、
前記混合物を圧縮した後に冷却して前記水蒸気を液相の水に凝縮させ、かつ、前記2つの還元剤のうち一方の還元剤の気相ともう一方の還元剤の液相を得ることと、
少なくとも前記触媒手段(62)と共同して排気ガスの前記汚染物質を処理するため前記一方の還元剤を前記排気ライン内に噴射することと、を含むことを特徴とする汚染物質処理方法。
【請求項2】
前記排気ライン上に追加の触媒手段(72)を配置することと、前記追加の触媒手段と共同して前記排気ガスの前記汚染物質を処理するために前記もう一方の還元剤を噴射することとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の汚染物質処理方法。
【請求項3】
前記液相の水を前記排気ライン内に噴射することを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の汚染物質処理方法。
【請求項4】
前記液相の水を用いて化合物の水溶液を準備することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の汚染物質処理方法。
【請求項5】
前記液相の水を外部に排出することを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の汚染物質処理方法。
【請求項6】
第1の冷却手段(28)により前記混合物を冷却して前記2つの還元剤の気相と液相の水とを得て、それから、第2の冷却手段(42)により前記2つの還元剤の気相を冷却して、気相の還元剤と液相の別の還元剤とを得ることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の汚染物質処理方法。
【請求項7】
前記有機窒素化合物を加熱して、アンモニアを含む還元剤と炭化水素物質を含む別の還元剤とで少なくとも構成された混合物に分解することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の汚染物質処理方法。
【請求項8】
内燃機関の排気ガスに含まれている汚染物質を処理するシステムであって、前記排気ガスが通る選択的な触媒還元の触媒手段(62)を有する排気ライン(L)と、前記汚染物質が前記触媒手段を通過するときに、還元剤を排気ライン(L)内に噴射して前記汚染物質を処理する噴射手段(82)とを有するシステムにおいて、
有機窒素化合物を加熱して、気相の少なくとも2つの還元剤で構成され該還元剤の一つがアンモニアと水蒸気とを含んでいる混合物を得る手段(16)を備えた還元剤生成装置(D)を有することを特徴とする汚染物質処理システム。
【請求項9】
前記2つの還元剤の一方を噴射する噴射手段(84)に関連する追加の触媒手段(72)を有する、請求項8に記載の汚染物質処理システム。
【請求項10】
気相の前記2つの還元剤のもう一方は炭化水素物質を有する、請求項8に記載の汚染物質処理システム。
【請求項11】
前記還元剤生成装置は、気相の前記2つの還元剤と水蒸気との混合物を冷却して、液相の水と、前記還元剤の少なくとも一方の液相とを得るのを可能にする手段(28、42)を有する、請求項8から10のいずれか1項に記載の汚染物質処理システム。
【請求項12】
前記有機窒素化合物は、アンモニアと、少なくとも炭化水素物質とに分解できる化合物を有する、請求項8に記載の汚染物質処理システム。
【請求項13】
前記有機窒素化合物はヘキサメチレンテトラミン(C12)を有する、請求項8に記載の汚染物質処理システム。
【請求項14】
前記有機窒素化合物はアンモニウム塩を有することを特徴とする、請求項8に記載の汚染物質処理システム。
【請求項15】
前記アンモニウム塩は酢酸アンモニウムを含む、請求項14に記載の汚染物質処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−122593(P2011−122593A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274634(P2010−274634)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】