説明

内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動方法及び装置

【課題】過熱の危険無しに粒子フィルタの迅速な再生を可能にする、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動方法及び装置を提供する。
【解決手段】必要に応じて、堆積された粒子(m_P_Ist)から再生され、粒子フィルタ(17)が排気ガス温度(te_vDPF_Ist)に影響を与えることによる再生のために粒子フィルタ(17)の手前の上流側で加熱される、内燃機関(10)の排気ガス領域(13)に配置された粒子フィルタの作動方法において、粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度(te_vDPF_Ist)が予め設定された排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)に基づいて決定され、排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)が再生の間の粒子フィルタの少なくとも一つの特性値(m_p_Ist、dm/dt、te_DPF、dte_DPF/dt、dte_DPF/dx)に依存している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動方法及びこの方法の実施のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子フィルタの再生は、粒子フィルタ内に堆積された粒子の燃焼除去によって行われ、この燃焼は、粒子の状態調節をしなければ、およそ550℃の温度から始まる。DE101 08 720 A1から、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動のための方法及び装置が知られているが、それによれば、内燃機関の状態及び/又は粒子フィルタの状態を示す少なくとも一つの運転特性値からスタートし、そこから粒子の燃焼除去の強さを表している特性値が定められる。この特性値が閾値と比較される。閾値をオーバーした場合には、粒子フィルタの過熱を防止するために、排気ガス中の酸素含有量を減らすための介入を目的とする、反応速度を低下させるための措置が導入される。
【0003】
DE 10333 441 A1には、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの再生が記載されているが、それによればラムダ信号の予め設定された目標値或いは変化の目標値に対する制御が考えられており、その制御の際には、目標値或いは変化の目標値は、粒子フィルタの中に堆積されている粒子の酸化に基づく望ましくない程高い熱の放出が避けられるように、事前設定される。
【0004】
DE 10248 431 A1には、粒子フィルタの負荷状態を測定するための方法が記載されており、この方法は、粒子フィルタの流れ抵抗を特徴的に示すパラメータ値が粒子フィルタ内の温度と粒子フィルタ内の圧力から決定され、又この方法はそのようにして決定されたパラメータ値から、粒子負荷状態を判定する。
【0005】
EP 1130 227 A1から、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの再生を支援するためのシステムが知られているが、このシステムでは、粒子フィルタ再生の開始及び維持のための排気ガス温度が排気ガス領域への炭化水素の送入によって引き上げられる。酸化触媒の手前、酸化触媒に隣接して配置されている粒子フィルタの後方並びに酸化触媒と粒子フィルタとの間の排気ガス温度が測定される。出発点は、例えば550℃の排気ガス温度目標値であり、再生の導入のために粒子フィルタはこの温度にされなければならない。排気ガス温度の引き上げは、本質的に、排気ガス中に引き上げられた炭化水素成分をもたらす、内燃機関への少なくとも一回の燃料後噴射によって行われ、この炭化水素成分が酸化触媒の中で発熱的に反応する。燃料後噴射は、少なくとも予め設定された排気ガス目標値が得られるまで、続けられる。
【0006】
DE 102004 031 321 A1には、内燃機関の排気ガス径路への燃料の注入のための方法及びこの方法の実施のための装置が提案されているが、それによれば、燃料は、加熱されるべき構成部分の予め設定された目標温度に到達するために或いは加熱されるべき構成部分の手前の上流側で少なくとも排気ガス温度目標値に到達するために、発熱反応に転換されるとされている。必要となる燃料の注入量は、発熱反応のモデルを考慮して計算される。ここに記載されている手法は、最小の燃料注入量で予め設定された温度目標値の到達を可能にする。過剰注入は回避される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、過熱の危険無しに粒子フィルタの迅速な再生を可能にする、内燃機関の排気ガス領域内に配置された粒子フィルタを作動する方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
必要な場合に、堆積された粒子から再生され、粒子フィルタが排気ガス温度に影響を与えることによる再生のために粒子フィルタの手前の上流側で加熱される、内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動のための本発明に基づく方法は、粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度が予め設定された排気ガス温度目標値に基づいて決定されること、及び排気ガス温度目標値が再生の間の粒子フィルタの特性値に依存していることを提案している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度を単に粒子フィルタの再生の開始時だけでなく、進行中の再生の間も排気ガス温度目標値に基づいて決定することを提案している。粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度は、冒頭に述べられた従来技術の中で利用可能な手段を用いて、比較的正確に排気ガス温度目標値に基づいて決定することができる。
【0010】
例えば粒子フィルタの手前の上流側の内燃機関の排気ガス領域へ酸化性の反応剤の注入が提案されている。この反応剤は、熱エネルギーを生成するために、例えば触媒として働く面の上で発熱的に反応する。この発熱反応によって調節された排気ガス温度は、その際冒頭で述べられた従来技術の中で知ることのできる手法によって求められる。提案されている限り、排気ガス実際温度は、例えば排気ガス温度モデルに基づいて或いは測定に基づいて、比較的簡単に求めることができる。
【0011】
本発明のために重要なのは、排気ガス温度目標値の決定の際に、再生の間の粒子フィルタの少なくとも一つの特性値を考慮することである。そのような特性値には、例えば粒子フィルタ中に堆積された粒子量或いは粒子質量、例えば粒子質量変化速度或いは粒子燃焼除去速度、例えば粒子フィルタ温度、例えば粒子フィルタ温度変化速度、或いは例えば粒子フィルタ温度勾配がある。
【0012】
本発明によれば、利用可能な加熱エネルギーを実際に必要な加熱エネルギー要求に正確に適合させることを可能にする。この手法は、とりわけ一方では粒子フィルタにとって有害な温度過昇を防止すると共に、他方では再生の維持に配慮するので、再生を迅速に終了させることができる。それ故この粒子フィルタの再生はエネルギー効率が良い。
【0013】
本発明の実施態様では、排気ガス温度目標値の決定の際に、既に例として述べられた諸特性値の少なくとも一つを考慮することが提案されている。
とりわけ有利な一実施態様は、特性値モデルの中で特性値についての少なくとも一つの尺度(値)を求めることを提案している。この措置によって、再生の間に粒子フィルタの少なくとも一つの特性値を測定技術によって測定することを無用とすることができる。この特性値モデルは、特に粒子燃焼除去モデルであり、関与する反応相手の反応プロセス或いは反応速度が考慮される。
【0014】
この実施態様の拡張例は、特性値モデルが粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度実際値についての尺度及び/又は内燃機関の排気ガス流についての尺度及び/又は排気ガス中の酸素濃度についての尺度を考慮することを提案している。上述の諸パラメータは、一方では少なくとも一つの特性値に決定的な影響を与えると共に、他方ではそれぞれモデルに基づいて或いは測定技術的に比較的簡単に求めることができる。
【0015】
一実施態様では、特性値モデルから求められた粒子フィルタ温度についての尺度と測定された粒子フィルタ温度との比較から、特性値モデルの修正のための修正値を求めることが提案されている。特性値モデルの適合は、特性値モデルを反応の間に粒子フィルタの中で実際に行われているプロセスに合わせて微調整することを可能にし、特に長期的影響の補償を可能にする。
【0016】
内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動のための本発明に基づく装置は先ず、上記の方法の実施のために特別に作られた制御装置に関している。
制御装置は、好ましくは少なくとも一つの電気メモリを含んでおり、このメモリにこの方法の諸ステップがコンピュータプログラムとして格納されている。
【0017】
本発明に基づく装置の一つの実施態様は、粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度実際値の測定のための温度センサを想定している。この措置によって、粒子フィルタの手前の上流側の排気ガス温度を予め設定された排気ガス温度目標値に合わせて、簡単に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に基づく方法が実施される技術的環境及び機能ブロック図を示す。
【図2】再生の間の粒子フィルタの少なくとも一つの特性値に応じた排気ガス温度目標値の時間的変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は内燃機関10を示しており、その吸気領域11に空気量測定装置12が配置され、その排気ガス領域13に反応剤注入装置14、触媒15、第一の温度センサ16、粒子フィルタ17、第二の温度センサ18が配置されている。
【0020】
排気ガス領域13には排気ガス流ms_abgが、粒子フィルタ17の手前の上流側には排気ガス温度実際値te_vDPF_Istが、又粒子フィルタ17の中には粒子フィルタ温度te_DPFが現れる。
【0021】
空気量測定装置12は、制御装置20に空気信号ms_Lを、内燃機関10は回転数nを、第一の温度センサ16は第一の排気ガス温度測定値te_vDPF_messを、又第二の温度センサ18は第二の排気ガス温度測定値te_DPF_messを送り込む。
【0022】
制御装置20は、燃料配分装置19に燃料信号m_K並びに燃料後噴射信号Po_Iを、又反応剤注入装置14に反応剤信号HC_Iを送り込む。
制御装置20は、燃料信号決定装置21を含んでおり、燃料信号決定装置21には空気信号ms_L、回転数n、トルク目標値Md_Sollが送り込まれ、燃料信号m_Kを作り出す。
【0023】
制御装置20は更に、温度調節器22を含んでおり、温度調節器22には温度差dteが送り込まれ、燃料後噴射信号Po_Iと反応剤信号HC_Iを生成する。
第一の加算器23は、排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollと排気ガス温度実際値te_vDPF_Istとから、温度差dteを算出する。
【0024】
制御装置20は更に、特性値モデル24を含んでおり、特性値モデル24には負荷状態測定装置25によって生成された粒子スタート値m_P_Start、排気ガス温度実際値te_vDPF_Ist、排気ガス流ms_abg、並びに酸素濃度lamが送り込まれ、粒子負荷尺度(値)m_p_Ist、粒子変化速度dm/dt、粒子フィルタ温度te_DPF、粒子フィルタ温度変化速度dte_DPF/dt、並びに粒子フィルタ温度勾配dte_DPF/dxが生成される。
【0025】
粒子負荷尺度m_p_Ist、粒子変化速度dm/dt、粒子フィルタ温度te_DPF、粒子フィルタ温度変化速度dte_DPF/dt、並びに粒子フィルタ温度勾配dte_DPF/dxは、排気ガス温度目標値決定装置26に送り込まれ、排気ガス目標値te_vDPF_Sollが生成される。
【0026】
第二の加算器27は、第二の温度測定値te_DPF_messと特性値モデル24によって生成された粒子フィルタ温度te_DPFとから修正値Korrを算出し、この修正値Korrは特性値モデル24に送り込まれる。
【0027】
図2は、異なる時点ti1、ti2、ti3、ti4、ti5、ti6における粒子負荷尺度m_p_Ist、粒子変化速度dm/dt、粒子フィルタ温度te_DPF、並びに粒子フィルタ温度変化速度dte_DPF/dtと、排気ガス目標値te_vDPF_Sollとの間の関係を示している。第一の時点ti1には、粒子スタート値m_P_Startがあり、又排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollは温度スタート値(570℃)に定められている。第六の時点ti6では、排気ガス目標値te_vDPF_Sollは温度最高値(680℃)へと上昇する。
【0028】
本発明に基づく方法は次のように作用する。
燃料信号決定装置21は、空気信号ms_L、回転数n、及びトルク目標値Md_Sollに応じて、燃料信号m_Kを求める。空気信号ms_Lは、内燃機関10によって吸引される空気についての尺度であり、その際エアマス或いは空気量が係わって来ることがある。トルク目標値Md_Sollは、内燃機関10が駆動エンジンとして用いられている詳しくは説明されない自動車の同じく詳しくは説明されないアクセルペダルの位置から導き出される。燃料信号m_Kは、燃料配分装置19へ送られ、燃料配分装置19は、定められた燃料量を定められた時点に内燃機関10の個々のシリンダに配分する。
【0029】
内燃機関10の排気ガス領域13には粒子フィルタ17が配置されており、このフィルタ17が、必要に応じて、堆積された粒子から再生される。例えば、燃料添加によって粒子の状態調節をしなければ、粒子燃焼除去のための点火温度はおよそ550℃である。この温度スタート値は、図2によって示されている実施例では、例えば570℃であるが、このスタート値に再生のスタートのための排気ガス目標値m_p_Istが定められている。
【0030】
粒子フィルタ17の加熱が、粒子フィルタ17の手前の上流側で排気ガス温度te_vDPF_Istに狙いを定めて影響を与えることによって行われる。そのような影響は、酸化性の反応剤を粒子フィルタ17の手前の上流側の排気ガス領域13内へ送り込むことによって与えることができ、その際には、反応剤が排気ガス領域13内に存在している酸素と発熱的に反応する。酸化性の反応剤としては、例えば燃料を考えることができる。
【0031】
燃料は、例えば少なくとも一回の燃料後噴射によって供給することができる。燃料後噴射の量並びに時点についての尺度は、燃料後噴射信号Po_Iによって燃料配分装置19に伝えられる。代わりの手法として或いは追加として、酸化性の反応剤を反応剤注入装置14を用いて排気ガス領域13へ直接注入することを考えることができる。注入されるべき量並びに時点についての尺度は、反応剤信号HC_Iによって反応剤注入装置14に伝えられる。
【0032】
反応剤は、例えば図示されている実施例では、触媒15として排気ガス領域13に備えられている触媒として働く面の上で反応する。触媒15としては、粒子フィルタ17から分離された酸化触媒を考えることができる。場合によっては、触媒15は構造的に粒子フィルタ17と一体化されていることができる。熱量或いは発生する排気ガス温度実際値te_vDPF_Istについての尺度は、冒頭に述べられた従来技術に従って、排気ガス領域13へ注入された反応剤の既知の尺度と、排気ガス領域中の酸素濃度lamについての尺度とに基づいて得ることができ、その際、酸素濃度lamは、例えば詳しくは説明されないラムダセンサを用いて或いはモデルに基づいて求めることができる。
【0033】
好ましくは、排気ガス温度実際値te_vDPF_Istの測定のために、第一の温度センサ16が備えられ、温度センサ16は、制御装置20に第一の温度測定値te_vDPF_messを、粒子フィルタ17の手前の上流側の排気ガス温度実際値te_vDPF_Istについての尺度として送り込む。
【0034】
好ましくは、排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollは、予め設定された値に調節される。温度調節器22は、燃料後噴射信号Po_I及び/又は反応剤信号HC_Iを備えられている調節の枠組みの中で温度差に応じて決定するが、この温度差は、第一の加算器23が予め設定された排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollと排気ガス温度実際値te_vDPF_Istとの差として得られる。
【0035】
排気ガス温度実際値te_vDPF_Istは、排気ガス温度モデルに基づいて計算されるか或いは好ましくは第一の温度センサ16を用いて測定される。
粒子フィルタ17の手前の上流側の排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollは、排気ガス温度目標値決定装置26によって、再生の間に粒子フィルタ17の少なくとも一つの特性値に応じて決定される。図示されている実施例では、上記の特性値として、粒子負荷尺度m_p_Istについての少なくとも一つの尺度、及び/又は粒子質量変化速度dm/dtについての少なくとも一つの尺度、及び/又は粒子フィルタ温度te_DPFについての少なくとも一つの尺度、及び/又は粒子フィルタ温度変化速度dte_DPF/dtについての少なくとも一つの尺度、及び/又は粒子フィルタ温度勾配dte_DPF/dxについての少なくとも一つの尺度が考えられている。
【0036】
原理的には、m_p_Ist(粒子負荷尺度)、dm/dt(粒子変化速度)、te_DPF(粒子フィルタ温度)、dte_DPF/dt(粒子フィルタ温度変化速度)、dte_DPF/dx(粒子フィルタ温度勾配)の中の少なくとも一つの特性を測定することができる。粒子フィルタ温度te_DPFの測定のために、第二の温度センサ18が備えられていることがあるが、温度センサ18は、粒子フィルタ温度te_DPFについての尺度として、第二の温度測定信号te_DPF_messを制御装置20に送り込む。
【0037】
図示されている実施例では、測定値の代わりに、特性値m_p_Ist(粒子負荷尺度)、dm/dt(粒子変化速度)、te_DPF(粒子フィルタ温度)、dte_DPF/dt(粒子フィルタ温度変化速度)、dte_DPF/dx(粒子フィルタ温度勾配)の中の一つが、好ましくは特性値モデル24を用いて既知のパラメータ値から求められる。
【0038】
特性値モデル24は、図示されている実施例では、再生の開始時に粒子フィルタ17の中に堆積されている粒子量或いは粒子質量を示す粒子スタート値m_P_Startについての少なくとも一つの尺度を考慮する。粒子スタート値m_P_Startは、例えば冒頭で述べられた従来技術の中に詳しく記載されている負荷状態測定装置25からもたらされる。
【0039】
更に、好ましくは、排気ガス温度実際値te_vDPF_Istについての少なくとも一つの尺度が考慮される。好ましくは、更に排気ガス流ms_abgについての少なくとも一つの尺度、排気ガス質量流量或いは排気ガス体積流量が考慮される。更に、好ましくは、酸素濃度lamについての尺度、例えばラムダ信号が考慮される。
【0040】
特性値モデル24は、関与する反応相手の反応速度を考慮する。反応相手としては少なくとも、主として炭素から成り立っている粒子、並びに酸素が用いられる。特性値モデル24は、特に粒子燃焼除去モデルと見なすことができる。求められた粒子フィルタ温度te_DPF並びに粒子質量変化速度は、粒子スタート値m_P_Startが高くなればなる程、排気ガス温度実際値te_vDPF_Istが高くなればなる程、排気ガス流ms_abgが低くなればなる程、又酸素濃度lamが高くなればなる程、高くなる。
【0041】
例えば粒子数或いは粒子質量を反映している粒子実際値m_pIstは、例えば粒子変化速度の積分から得ることができる。粒子フィルタ温度変化速度dte_DPF/dtは、粒子フィルタ温度te_DPFの時間微分から得ることができる。粒子フィルタ温度勾配dte_DPF/dxを求めるためには、粒子フィルタ構造の知識が必要である。
【0042】
特性値モデル24の監視或いは修正は、第二の加算器27が、粒子フィルタ温度te_DPFについての尺度を反映している第二の温度測定値te=DPFと、特性値モデルによって求められた粒子フィルタ温度te_DPFとの間の差として生成する、少なくとも一つの修正値Korrを用いて可能となる。
【0043】
図2は、特性値m_p_Ist(粒子負荷尺度)、dm/dt(粒子変化速度)、te_DPF(粒子フィルタ温度)、dte_DPF/dt(粒子フィルタ温度変化速度)、dte_DPF/dx(粒子フィルタ温度勾配)の中の少なくとも一つに応じた排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollの決定の可能な時間的変化を示している。
【0044】
排気ガス温度目標値te_vDPFは、粒子燃焼除去のための最低スタート温度である、例えば570℃(但し少なくとも550℃とする)の温度スタート値に設定されている、粒子スタート値m_P_Startのある第一の時点ti1に始まる。内燃機関10の燃料に添加剤が混合されている限り、最低スタート温度は、例えば400℃へ低下する。第二、第三、及び第四の時点ti2、ti3、ti4では、それぞれ排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollの引き上げが行われる。粒子フィルタ温度te_DPF(この温度を特性値モデル24は第五の時点ti5の手前で測定する)が、例えば許容されない程高くなる恐れがあると、排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollは、第五の時点ti5で引き下げられる。
【0045】
第六の時点ti6では、排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollが、温度最高値、例えば680℃へ引き上げられるが、この温度は、図示されている実施例では、最高設定値に相当している。
【0046】
図2に示されている不連続的な温度変化の代わりに、予め設定された排気ガス温度目標値te_vDPF_Sollを連続的に変化させることもできる。
【符号の説明】
【0047】
10…内燃機関
11…吸気領域
12…空気量測定装置
13…排気ガス領域
14…反応剤注入装置
15…触媒
16…第一の温度センサ
17…粒子フィルタ
18…第二の温度センサ
19…燃料配分装置
20…制御装置
21…燃料信号決定装置
22…温度調節器
23…第一の加算器
24…特性値モデル
25…負荷状態測定装置
26…排気ガス温度目標値決定装置
27…第二の加算器
dm/dt…粒子変化速度
dte…温度差
dte_DPF/dt…粒子フィルタ温度変化速度
dte_DPF/dx…粒子フィルタ温度勾配
HC_I…反応剤信号
Korr…修正値
lam…酸素濃度
Md_Soll…トルク目標値
m_K…燃料信号
m_p_Ist…粒子負荷尺度
m_P_Start…粒子スタート値
ms_abg…排気ガス流
ms_L…空気信号
n…回転数
Po_I…燃料後噴射信号
te_DPF…粒子フィルタ温度
te_vDPF_Ist…排気ガス温度実際値
te_DPF_mess…第二の排気ガス温度測定値
te_vDPF_mess…第一の排気ガス温度測定値
te_vDPF_Soll…排気ガス温度目標値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じて、堆積された粒子(m_P_Ist)から再生され、粒子フィルタ(17)が排気ガス温度(te_vDPF_Ist)に影響を与えることによる再生のために粒子フィルタ(17)の手前の上流側で加熱される、内燃機関(10)の排気ガス領域(13)に配置された粒子フィルタ(17)の作動方法において、
粒子フィルタ(17)の手前の上流側の排気ガス温度(te_vDPF_Ist)が予め設定された排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)に基づいて決定されること、
排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)が再生の間の粒子フィルタ(17)の少なくとも一つの特性値に依存していること、及び
特性値が、粒子フィルタ温度(te_DPF)についての尺度、粒子フィルタ温度変化速度(dte_DPF/dt)についての尺度、及び粒子フィルタ温度勾配(dte_DPF/dx)についての尺度の少なくともいずれかであること、
を特徴とする内燃機関の排気ガス領域に配置された粒子フィルタの作動方法。
【請求項2】
排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)が、内燃機関(10)への少なくとも一回の燃料後噴射、及び内燃機関(10)の排気ガス領域内への反応剤の注入の少なくともいずれかによって得られることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
粒子フィルタ(17)の手前の上流側で排気ガス実際温度(te_vDPF_Ist)が測定され、制御が予め設定された排気ガス温度目標値(te_vDPF_Soll)に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項4】
特性値についての尺度が、粒子フィルタ(17)の再生の開始時に粒子フィルタ(17)の中に堆積されている粒子量或いは粒子質量を示す粒子スタート値(m_P_Start)、粒子フィルタ(17)の手前の上流側の排気ガス温度実際値(te_vDPF_Ist)、排気ガス流(ms_abg)、及び排気ガス中の酸素濃度(lam)に基づいて特性値を生成する特性値モデル(24)で求められることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
【請求項5】
特性値モデル(24)から求められた粒子フィルタ温度(te_DPF)についての尺度と、測定された粒子フィルタ温度(te_DPF_mess)との比較から、特性値モデル(24)の修正のための修正値(Korr)が求められることを特徴とする請求項4に記載の作動方法。
【請求項6】
内燃機関(10)の排気ガス領域(13)に配置された粒子フィルタ(17)の作動装置において、
請求項1ないし5のいずれかに記載の作動方法を実施するための少なくとも一つの制御装置(20)と、
燃料を内燃機関(10)へ後噴射する手段(19)、及び排気ガス領域(13)内に存在する酸素と発熱的に反応する反応剤を排気ガス領域(13)内に注入する反応剤注入装置(14)のいずれかと
を備え、
制御装置(20)が、燃料を後噴射する手段及び反応剤注入装置(14)のいずれかを、粒子フィルタ(17)に堆積された粒子(m_P_Ist)を燃焼除去するように制御する
ことを特徴とする作動装置。
【請求項7】
排気ガス温度実際値(te_vDPF_Ist)を測定するための温度センサ(16)を、粒子フィルタ(17)の手前の上流側に備えたことを特徴とする請求項6に記載の作動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−92151(P2013−92151A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265182(P2012−265182)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2007−48638(P2007−48638)の分割
【原出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】