説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】少ない燃料消費量でフィルタ部材を再生する。
【解決手段】DPF再生装置は、エンジンの排気装置に配置されたDPF7の微粒子の堆積量を推定する堆積量推定部24と、堆積量推定部24が推定した堆積量推定値を基にDPF7を再生するか否かを判定する処理判定部22と、処理判定部22がDPF7を再生する判定を行うとエンジン3を駆動制御してDPF7を再生処理する第1DPF再生制御部30と、操作されてエンジン3の停止を指示するスタータスイッチ17と、スタータスイッチ17からの停止指示によってエンジン3の駆動を停止するエンジン停止制御部27と、スタータスイッチ17が操作されかつ第1DPF再生制御部30がDPF7の再生処理を実行中のときDPF7の再生処理が完了するまでエンジン3の駆動停止を禁止するエンジン停止禁止制御部28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気装置に関し、排気装置に流れる排気中のカーボンなどを除去する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気中に含まれるカーボンなどを除去するために排気管内にフィルタ部材(パティキュレートフィルタ)を配置する内燃機関の排気浄化装置が知られている。
このフィルタ部材は、排気微粒子を捕集し続け飽和状態になると、捕集した排気微粒子を燃焼させフィルタ機能を再生させる必要がある。
【0003】
そこで、従来の内燃機関の排気浄化装置では、フィルタ部材の上流と下流に排気圧センサを配置し、これら排気圧センサの差圧が大きい場合、ファイルタ部材に排気微粒子が堆積していると判断し、所定時間燃料噴射量を増量させることによって、排気温度を上昇させて排気微粒子を燃焼除去させ、フィルタ部材を再生させる。また、前記の排気圧センサを用いずに微粒子の堆積量を推定する方法としては、燃料噴射量や吸気量に基づき予め時間当たりの堆積量を設定しておき、この時間当たりの堆積量による運転を何時間継続したかを演算して、堆積量を推定する方法がある。即ち、例えば時間あたりの堆積量が5mmの運転を10秒継続し、その後20mmの運転を10秒継続した場合、堆積量が250mmと推定する方法である。
【0004】
また、フィルタ部材を再生させるために、手動スイッチを設け、車両停車時に手動スイッチがオンにされると、フィルタ部材を再生させるものがある。
また、このような技術を用いると、フィルタ部材の再生中にイグニッションキーがオフにされた場合、フィルタ部材に排気が流れなくなるため、フィルタ部材に蓄積された熱がその逃げ場を失い、高温となったフィルタ部材がその耐久性を低下させてしまうといった問題があった。
このような問題に鑑み特許文献1に開示の内燃機関の排気浄化装置では、イグニッションキーがオフになったことが検出された場合、フィルタ部材の温度が低下するまで内燃機関の停止を禁止し、フィルタ部材の再生処理を継続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−83306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示の内燃機関の排気浄化装置では、運転者によってイグニッションキーがオフにされた後にフィルタ部材が所定温度まで低下すると、フィルタ部材が十分な再生処理がなされる前であってもエンジンが停止するようになる。
よって、特許文献1に開示の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関が次回始動した場合、フィルタ部材の再生処理を再度行うことになる。このとき、フィルタ部材は、エンジンが停止したことによりその温度がさらに低下しているため、内燃機関の排気浄化装置を搭載する車両は、フィルタ部材の温度を再度昇温させるために多くの燃料を消費し、その結果、燃費の悪化を招くという問題が生じる。
そこで、本発明の目的は、少ない燃料消費量でフィルタ部材を再生することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、(1)本発明の一態様では、内燃機関の排気装置に配置され排気を浄化するフィルタ部材を再生処理する内燃機関の排気浄化装置において、前記フィルタ部材の微粒子の堆積量を推定する堆積量推定部と、前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値を基に前記フィルタ部材を再生するか否かを判定する再生判定部と、前記再生判定部が前記フィルタ部材を再生する判定を行うと前記内燃機関を駆動制御して前記フィルタ部材を再生処理する再生処理部と、操作されて前記内燃機関の停止を指示する停止指示部と、前記停止指示部からの停止指示によって前記内燃機関の駆動を停止する駆動停止部と、前記停止指示部が操作されかつ前記再生処理部がフィルタ部材の再生処理を実行中のとき前記フィルタ部材の再生処理が完了するまで前記内燃機関の駆動停止を禁止する駆動停止禁止部と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置を提供できる。
【0008】
(2)本発明の一態様では、前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値を基に再生処理時間を設定する再生処理時間設定部と、前記再生処理部による再生処理の開始時に計時を開始する計時部と、を備え、前記駆動停止禁止部は、前記計時部の計時時間が前記再生処理時間設定部が設定した再生処理時間に達したとき前記フィルタ部材の再生処理が完了したと判定する。
【0009】
(3)本発明の一態様では、前記フィルタ部材の温度を検出する温度検出部を備え、前記温度検出部が検出した温度が予め設定した温度以下のとき前記計時部による計時を停止する。
(4)本発明の一態様では、前記再生処理時間設定部は、前記停止指示部が操作される以前に再生処理時間を設定する。
【0010】
(5)本発明の一態様では、前記再生処理部は、前記停止指示部の操作前には前記内燃機関の運転状態に応じて該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第1再生制御を行い、前記停止指示部の操作後には前記内燃機関の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によって該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第2再生制御を行い、前記再生処理時間設定部は、前記堆積量推定部が推定した堆積量が堆積していると推定される前記フィルタ部材を前記第2再生制御によって再生処理を完了するまでに要する時間を前記再生処理時間として設定する。
【0011】
(6)本発明の一態様では、前記駆動停止禁止部は、前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値が予め設定した値よりも小さいとき前記フィルタ部材の再生処理が完了したとの判定を行う。
(7)本発明の一態様では、前記再生処理部は、前記停止指示部の操作前には前記内燃機関の運転状態に応じて該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第1再生制御を行い、前記停止指示部の操作後には前記内燃機関の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によって該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第2再生制御を行い、前記駆動停止禁止部は、前記第2再生制御によるフィルタ部材の再生処理の実行中に前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値が予め設定した値よりも小さいとき前記第2再生制御によるフィルタ部材の再生処理が完了したとの判定を行う。
【0012】
(8)本発明の一態様では、前記内燃機関の排気装置において前記フィルタ部材の前後それぞれに排気圧センサを備え、前記堆積量推定部は、前記各排気圧センサの検出圧力の差圧を基に前記堆積量を推定し、前記停止指示部が操作されたとき前記各排気圧センサへの電力供給を停止する。
【発明の効果】
【0013】
(1)の態様の発明によれば、停止指示部が操作されたときでも再生処理部がフィルタ部材の再生処理を実行中のときには、フィルタ部材の再生処理が完了するまで内燃機関の駆動停止を禁止できる。
これにより、本発明では、車両停止後に運転者が停止指示部を操作した場合でも、フィルタ部材の再生処理が完了するまで内燃機関の駆動停止を禁止して、再生処理部によるフィルタ部材の再生処理を継続させることができる。
よって、本発明では、内燃機関を停止させ、次回始動後に内燃機関の冷間状態からフィルタ部材の再生処理を実行する場合と比較して、短時間でフィルタ部材を再生でき、燃料消費を抑制できる。
【0014】
(2)の態様の発明によれば、簡易な構成でフィルタ部材の再生処理が完了したことを判定でき、確実にフィルタ部材の再生できる。
(3)の態様の発明によれば、外気温の変化や風の強弱等によって一時的にフィルタ部材の温度が低下するようなとき計時を停止させることができる。これにより、本発明では、フィルタ部材の再生に必要な時間を確実に確保できる。
【0015】
(4)の態様の発明によれば、停止指示部が操作された後に再生処理時間を設定するための待機時間を生じることはなく、フィルタ部材の再生処理を迅速に進行させることができ、結果として、燃料消費を抑制できる。
(5)の態様の発明によれば、実行する再生制御に対応して過不足なく再生処理時間を設定できる。
【0016】
(6)の態様の発明によれば、必要以上に内燃機関の駆動停止を禁止してしまいフィルタ部材の再生処理を継続してしまうのを防止できる。
(7)の態様の発明によれば、停止指示部の操作後には内燃機関の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によって内燃機関を駆動制御する第2再生制御を行い、この第2再生制御による安定したフィルタ部材の再生処理中の該フィルタ部材の堆積量推定値を用いることで、フィルタ部材の再生処理が完了したとの判定を高い精度で行うことができる。
よって、本発明では、無駄な再生処理時間が生じることを防止できる。
(8)の態様の発明によれば、不要な電力消費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態のDPF再生装置によって再生処理されるDPFを有する車両の吸排気系の構成例を示す図である。
【図2】DPF再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】インストルメントパネルの構成例を示す図である。
【図4】ECUによるDPF再生制御の処理例を示すフローチャートである。
【図5】ECUによるDPF再生制御の処理例の一部を示すフローチャートである。
【図6】ECUによるDPF再生制御の処理例の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(構成)
先ず、図1には、本実施形態における車両の吸排気系の構成例を示す。図1に示すように、この車両は、本発明を適用したDPF(Diesel particulate filter)再生装置によって再生処理されるDPF7を有する。
【0019】
図1に示すように、車両の吸排気系において、吸気通路1には、上流の集合管1aに開閉バルブを有する吸気調整装置2が設けられ、エンジン3の直上に燃料噴射弁を有する燃料噴射装置4が設けられている。燃料噴射装置4は、燃料噴射弁の燃料噴射量や燃料噴射タイミング等が後述のECU(Electronic Control Unit)20によって制御されて燃料を噴射する。また、吸気調整装置2、開閉バルブのバルブ開度等がECU20によって制御されて吸入空気を調整する。
【0020】
また、排気通路5の集合管5aには、下流側に向かって触媒6及びDPF7が設けられている。触媒6は、酸化されやすい一酸化炭素や炭化水素、粒子状物質を除去する。また、DPF7は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであり、排気ガス温度が設定温度以上になると捕集した粒子状物質を強制的に燃焼することによって捕集機能を再生する。このDPF7は、本実施形態のDPF再生装置によって再生処理される。
【0021】
図2は、DPF再生装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、DPF再生装置を搭載する車両10は、さらに、車速センサ11、アクセルセンサ12、排気圧センサ13,14、フィルタ温度センサ15、DPF再生スイッチ16、スタータスイッチ17、ECU20、及び警告装置50を備えている。
車速センサ11は、車速を検出する。そして、車速センサ11は、検出値をECU20に出力する。また、アクセルセンサ12は、アクセルペダルの踏み込み量又はスロットルバルブの開度を検出する。そして、アクセルセンサ12は、検出値をECU20に出力する。例えば、アクセルセンサ12は角度センサである。また、各排気圧センサ13,14は、図1に示すように、DPF7の上流側及び下流側の直近にそれぞれ配置されており、排気圧を検出する。そして、各排気圧センサ13,14は、検出値をECU20に出力する。また、フィルタ温度センサ15は、DPF7の温度を検出する。そして、フィルタ温度センサ15は、検出値をECU20に出力する。
【0022】
また、DPF再生スイッチ16は、乗員によって操作されてその操作状態に応じたDPF再生指令信号PtをECU20に出力する。また、スタータスイッチ17は、例えばプッシュ方式のスイッチ(プッシュスタータスイッチ)であって、乗員によって操作されてその操作状態に応じたエンジン駆動指示信号(エンジン停止指示信号)PsをECU20に出力する。
【0023】
また、警告装置50は、ECU20によって制御されて警告出力を行う。本実施形態では、警告装置50は、警告音出力部51及び警告表示部52を備えており、これらがECU20によって制御される。
図3は、インストルメントパネル60の構成例を示す図である。なお、この図3では、ステアリングホイールを記述していない構成例を示す。
【0024】
図3に示すように、インストルメントパネル60には、警告装置50が備えられている。本実施形態では、インストルメントパネル60のインジケータ61内に警告装置50が備えられている。また、インストルメントパネル60の左側にDPF再生スイッチ16を備え、インストルメントパネル60の右側にスタータスイッチ17を備えている。
【0025】
図2に戻り、ECU20は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えるコントローラにおいて構成されている。例えば、ECU20は、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。そして、ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
【0026】
本実施形態では、ECU20は、情報取得部21、処理判定部22、入力判定部23、堆積量推定部24、計時カウント部25、待ち受けカウント部26、エンジン停止制御部27、エンジン停止禁止制御部28、警告出力制御部29、第1DPF再生制御部30、第2DPF再生制御部31、及び記憶部40を備えている。
ここで、図4乃至図6には、ECU20によるDPF再生制御の処理例のフローチャートを示す。ECU20は、図4乃至図6を例えば10msec毎に繰り返し実行する。
【0027】
以下に、図4乃至図6の処理手順を説明するとともに、前述のECU20の各部の処理内容を説明する。
図4に示すように、先ず、ステップS1において、情報取得部21は、以降の処理で使用する各種情報を取得する。具体的には、情報取得部21は、車速センサ11、アクセルセンサ12、排気圧センサ13,14、及びフィルタ温度センサ15からの検出値等を取得する。また、情報取得部21は、記憶部40に記憶されている計時タイマカウント値T(図2に示す計時タイマカウント41)及び待ち受けカウント値Ct(図2に示す待ち受けカウント値42)を取得する。
【0028】
ここで、計時タイマカウント値Tは、第2DPF再生制御によってDPF7の再生処理を完了するのに要する所要時間である。例えば、計時タイマカウント値Tは、実験的、経験的、又は理論的に決定されている。
また、待ち受けカウント値Ctは、実験的、経験的、又は理論的に決定されている。待ち受けカウント値Ctは、例えば、60秒である。
【0029】
次に、ステップS2では、堆積量推定部24は、DPF7への微粒子の堆積量を推定する。具体的には、堆積量推定部24は、前記ステップS1で取得したDPF7の上流側の排気圧センサ13と下流側の排気圧センサ14との差圧を基に、微粒子の堆積量を推定する。ここで、堆積量推定部24は、差圧が大きいほど微粒子の堆積量が多いと推定する。例えば、堆積量推定部24は、記憶部40に記憶した予め用意したテーブル等を参照して、差圧に対応する堆積量を推定する。若しくは、時間当たりの堆積量を予め設定しておき、継続時間を演算して堆積量を推定しても良い。
【0030】
次に、ステップS3では、処理判定部22は、前記ステップS2で取得した堆積量推定値Aが予め設定した値(設定値)Ath1以上であるか否かを判定する。ここで、設定値Ath1は、DPF7の再生処理を開始させるために設定した値であり、例えば、DPF7が適切に機能を発揮できなくなる程度の微粒子堆積量である。この設定値Ath1は、例えば、実験的、経験的、又は理論的に設定された値である。処理判定部22は、堆積量推定値Aが設定値Ath1以上であると判定すると(A≧Ath1)、ステップS4に進む。また、処理判定部22は、堆積量推定値Aが設定値Ath1未満であると判定すると(A<Ath1)、ステップS7に進む。
【0031】
ステップS4では、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御を実行する。さらに、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御フラグDsを1に設定する(Ds=1)。
【0032】
ここで、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御として、燃料噴射装置4において燃料噴射量を増加させる燃料噴射量補正制御、又は燃料噴射時期を遅らせる燃料噴射時期遅延制御を行う。ここで、第1DPF再生制御は、後述の第2DPF再生制御部31が行う第2DPF再生制御と異なり、車両走行中のエンジン3の運転状態に応じてDPF7を再生処理するためのエンジン3の駆動状態を変化させる。具体的には、第1DPF再生制御部30は、エンジン3の駆動状態として、燃料噴射量又は燃料噴射時期を変化させる。例えば、第1DPF再生制御部30は、前記ステップS1で取得したアクセルセンサ12からの検出値を基に、運転者のアクセル踏み込み量が大きく、加速要求があると判断した場合、燃料噴射の増加量を調整し適正な噴射量に近づける。また、第1DPF再生制御部30は、同様の条件下において、燃料噴射時期を遅延した状態から戻すことで適正な燃焼状態へ近づける。つまり、第1DPF再生制御部30は、加速要求がある場合、その加速要求の優先順位が高くなり、DPF7の再生処理の優先順位が低くなるようにエンジン3を駆動制御する。
【0033】
次に、ステップS5では、処理判定部22は、前記ステップS1でフィルタ温度センサ15によって取得したDPF温度Tdが予め設定した値(設定値)Tdth以上であるか否かを判定する。ここで、設定値Tdthは、DPF7の再生を進行させるために最低限必要なDPF7の温度であり、例えば、実験的、経験的、又は理論的に設定された値である。この設定値Tdthは、例えば、300℃である。処理判定部22は、DPF温度Tdが設定値Tdth以上であると判定すると(Td≧Tdth)、ステップS6に進む。また、処理判定部22は、DPF温度Tdが設定値Tdth未満であると判定すると(Td<Tdth)、ステップS8に進む。
【0034】
ステップS6では、計時カウント部25は、前記ステップS1で取得した計時タイマカウント値Tのカウントダウンを開始する。そして、計時カウント部25は、ステップS6に進む。
また、ステップS7では、計時カウント部25は、計時タイマカウント値Tをリセットする。そして、計時カウント部25は、ステップS8に進む。
【0035】
次に、ステップS8では、処理判定部22は、車両が停止したか否かを判定する。具体的には、処理判定部22は、車速Vが予め設定した値(設定値)Vth未満であるか否かを判定し、車速Vが設定値Vth未満である場合、車両が停止したと判定する。そして、処理判定部22は、車両が停止したと判定すると(V<Vth)、ステップS9に進む。また、処理判定部22は、車両が停止していない判定すると(V≧Vth)、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0036】
ステップS9では、入力処理部23は、スタータスイッチ17からの出力信号(操作信号)を基に、スタータスイッチ17が押されたか否かを判定する。これによって、入力処理部23は、エンジン停止要求があったか否かを判定している。入力処理部23は、スタータスイッチ17が押されたと判定すると、ステップS10に進む。ここで、スタータスイッチ17は、乗員によってエンジンを停止させる操作がなされるとエンジン停止指令信号Ps=1を出力しており、入力処理部23は、エンジン停止指令信号Ps=1を検出した場合、ステップS10に進む。また、入力処理部23は、スタータスイッチ17が押されていないと判定すると、前記ステップS1から再び処理を開始する。
【0037】
ステップS10では、処理判定部22は、第1DPF再生制御が実行中であるか否かを判定する。具体的には、処理判定部22は、第1DPF再生制御フラグDsが1に設定されているか否かを判定し、第1DPF再生制御フラグDsが1に設定されている場合、第1DPF再生制御が実行中であると判定する。そして、処理判定部22は、第1DPF再生制御が実行中であると判定すると、ステップS11に進む。また、処理判定部22は、第1DPF再生制御が実行中でないと判定すると、ステップS22に進む。
【0038】
ステップS11では、前記ステップS5と同様に、処理判定部22は、前記ステップS1でフィルタ温度センサ15によって取得したDPF温度Tdが予め設定した値(設定値)Tdth以上であるか否かを判定する。処理判定部22は、DPF温度Tdが設定値Tdth以上であると判定すると(Td≧Tdth)、ステップS12に進む。また、処理判定部22は、DPF温度Tdが設定値Tdth未満であると判定すると(Td<Tdth)、ステップS22に進む。
【0039】
ステップS12では、エンジン停止禁止制御部28は、エンジン停止処理を禁止する。具体的には、エンジン停止禁止制御部28は、スタータスイッチ17からのエンジン停止指令信号Psをキャンセルする(Ps=0)。
次に、ステップS13では、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御を停止する。さらに、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御フラグDsを0に設定する(Ds=0)。
【0040】
次に、ステップS14では、第2DPF再生制御部31は、第2DPF再生制御を実行する。さらに、第2DPF再生制御部31は、第2DPF再生制御フラグDtを1に設定する(Dt=1)。
ここで、第2DPF再生制御部31は、第2DPF再生制御として、燃料噴射装置4において燃料噴射量を増加させる燃料噴射量補正制御、又は燃料噴射時期を遅らせる燃料噴射時期遅延制御を行う。ここで、第2DPF再生制御は、第1DPF再生制御と異なり、車両停止中の制御であり、エンジン3の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によってエンジン3を駆動制御する。すなわち、第2DPF再生制御部31は、予め設定した一定の燃料噴射量又は燃料噴射時期でエンジン3を駆動制御する。
【0041】
次に、ステップS15では、警告出力制御部29は、警告音出力部51を制御して警告音を出力させる。例えば、警告出力制御部29は、警告音出力部51からブザーやビープ音を数回出力する。
次に、ステップS16では、待ち受けカウント部26は、前記ステップS1で取得した待ち受けカウント値Ctのカウントダウンを開始する。
【0042】
次に、ステップS17では、入力判定部23は、DPF再生スイッチ16からの出力信号(操作信号)を基に、DPF再生スイッチ16が押されたか否かを判定する。具体的には、入力判定部23は、DPF再生スイッチ16からのDPF再生指令信号Ptが1であるか否かを判定し、DPF再生指令信号Ptが1である場合、DPF再生スイッチ16が押されたと判定する。そして、入力判定部23は、DPF再生スイッチ16が押されたと判定すると(Pt=1)、図5のステップS31に進む。また、入力判定部23は、DPF再生スイッチ16が押されていないと判定すると(Pt=0)、ステップS18に進む。
【0043】
ステップS18では、入力判定部23は、スタータスイッチ17からの出力信号を基に、スタータスイッチ17が押されたか否かを判定する。具体的には、入力判定部23は、スタータスイッチ17から1のエンジン停止指令信号Psが再度出力されたか否かを判定する。そして、入力判定部23は、スタータスイッチ17が押されたと判定すると(Ps=1)、ステップS21に進む。また、入力判定部23は、スタータスイッチ17が押されていないと判定すると(Ps=0)、ステップS19に進む。
【0044】
ステップS19では、入力判定部23は、車両の発進要求があったか否かを判定する。具体的には、処理判定部22は、前記ステップS1で取得した車速センサ11からの検出値を基に、車速Vが予め設定した値(設定値)Vth以上であるか否かを判定し、車速Vが設定値Vth以上である場合、車両の発進要求があったと判定する。そして、入力判定部23は、車両の発進要求があったと判定すると(V≧Vth)、図6のステップS51に進む。また、入力判定部23は、車両の発進要求がないと判定すると(V<Vth)、ステップS20に進む。
【0045】
なお、入力判定部23は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作を検出した場合、車両の発進要求があったと判定することもできる。
ステップS20では、入力判定部23は、待ち受けカウント値Ctのカウントダウンを終了したか否かを判定する。具体的には、入力判定部23は、待ち受けカウント値Ctが0になっている場合、待ち受けカウント値Ctのカウントダウンを終了したと判定する。そして、入力判定部23は、待ち受けカウント値Ctのカウントダウンを終了したと判定すると、ステップS21に進む。また、入力判定部23は、待ち受けカウント値のカウントダウンを終了していないと判定すると、前記ステップS17から再び処理を開始する。
【0046】
ステップS21では、警告出力制御部29は、警告を終了する。すなわち、警告出力制御部29は、前記ステップS15において警告音が出力され、その出力が継続していれば、その出力を終了させる。そして、警告出力制御部29は、ステップS22に進む。
ステップS22では、エンジン停止制御部27は、エンジン停止制御を実行してエンジン3を停止させる。そして、ECU20は、該図4に示す処理を終了する。
【0047】
図5では、先ず、ステップS31において、警告出力制御部29は、警告表示部52を制御して警告灯を点灯させる。
次に、ステップS32では、堆積量推定部24は、前記ステップS2と同様な処理によって、DPF7への微粒子の堆積量を推定する。
【0048】
次に、ステップS33では、入力判定部23は、車両の発進要求があったか否かを判定する。具体的には、処理判定部22は、車速Vが予め設定した値(設定値)Vth以上であるか否かを判定し、車速Vが設定値Vth以上である場合、車両の発進要求があったと判定する。そして、入力判定部23は、車両の発進要求があったと判定すると(V≧Vth)、図6のステップS51に進む。また、入力判定部23は、車両の発進要求がないと判定すると(V<Vth)、ステップS34に進む。
【0049】
ステップS34では、処理判定部22は、DPF7の再生が完了したか否かを判定する。具体的には、処理判定部22は、計時タイマカウント値Tが0であるか否か、又は前記ステップS32で取得した堆積推定値Aが設定値Ath2未満であるか否かを判定する。ここで、処理判定部22は、計時タイマカウント値Tが0である場合(T=0)、又は、堆積推定値Aが設定値Ath2未満である場合(A<Ath2)、DPF7の再生が完了したと判定する。なお、Ath2は、ステップS3におけるAth1と同一の値を設定しても良いが、好ましくはAth1より低い値を設定しても良い。そして、処理判定部22は、DPF7の再生が完了したと判定すると、図4のステップS21に進む。また、処理判定部22は、DPF7の再生が完了していないと判定すると、前記ステップS33から再び処理を行う。
【0050】
このとき、ステップS21では、警告出力制御部29は、警告灯を消灯するとともに警告音の出力を停止させて警告を終了させる。
図6では、先ず、ステップS51において、第2DPF再生制御部31は、第2DPF再生制御を停止する。さらに、第2DPF再生制御部31は、第2DPF再生制御フラグDtを0に設定する(Dt=0)。
【0051】
次に、ステップS52では、処理判定部22は、計時タイマカウント値Tが0であるか否かを判定する。処理判定部22は、計時タイマカウント値Tが0であると判定すると(T=0)、ステップS54に進む。また、処理判定部22は、計時タイマカウント値Tが0でないと判定すると、ステップS53に進む。
【0052】
ステップS53では、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御を実行する。さらに、第1DPF再生制御部30は、第1DPF再生制御フラグDsを1に設定する(Ds=1)。そして、第1DPF再生制御部30は、ステップS54に進む。
ステップS54では、警告出力制御部29は、警告灯を消灯するとともに警告音の出力を停止させて警告を終了させる。
【0053】
(動作、作用等)
次に、DPF再生装置の動作、作用等を説明する。
DPF再生装置は、先ず、車速センサ11等からの情報を取得する(ステップS1)。さらに、DPF再生装置は、DPF7の微粒子堆積量を推定し、車両走行中に堆積量推定値Aが設定値Ath1以上であるとき、第1DPF再生制御を実行しかつ第1DPF再生制御フラグDsを1に設定し、DPF温度Tdが設定値Tdth以上であれば、計時タイマカウント値Tをカウントダウンする(ステップS1〜ステップS6、ステップS8)。また、DPF再生装置は、車両が停止した場合でも、スタータスイッチ17がエンジン停止操作されるまで、同様に、第1DPF再生制御を実行しかつ第1DPF再生制御フラグDsを1に設定しつつ、計時タイマカウント値Tをカウントダウンする(ステップS1〜ステップS6、ステップS8、ステップS9)。また、DPF再生装置は、DPF温度Tdが設定値Tdthよりも小さいときには、その期間中、計時タイマカウント値Tのカウントダウンを停止する(ステップS5、ステップS6)。
【0054】
そして、DPF再生装置は、車両停止後にスタータスイッチ17がエンジン停止操作されると、第1DPF再生制御を実行中でありかつDPF温度Tdが設定値Tdth以上であれば、スタータスイッチ17の操作に基づくエンジン停止処理を禁止してアイドリング状態を維持する。さらに、DPF再生装置は、DPF再生制御を第1DPF再生制御から第2DPF再生制御に切り換え、第2DPF再生制御フラグDtを1に設定し警告音を出力する(ステップS8〜ステップS15)。また、DPF再生装置は、車両停止後、スタータスイッチ17がエンジン停止操作されたときに第1DPF再生制御を実行していなかったり(例えば第1DPF再生制御によってDPF7の再生が既に完了していたり)、第1DPF再生制御を実行しているがDPF温度Tdが設定値Tdth未満であったりすると、スタータスイッチ17のエンジン停止操作に基づくエンジン停止処理を実行する(ステップS8〜ステップS11、ステップS22)。
【0055】
このように、DPF再生装置は、車両停止中のDPF再生制御を第2DPF再生制御に切り換えることで、車両停止中のエンジン3の運転状態に合致した再生能力を有するDPF再生制御によってDPF7を再生処理できる。
また、DPF再生装置は、このようにDPF再生制御を第1DPF再生制御から第2DPF再生制御に切り換えた後、待ち受けカウント値Ctのカウントダウンを開始し、待ち受けカウント値Ctのカウントダウンが終了(Ct=0になる)するまでの期間中、すなわち、待ち受けカウント値Ct相当の待ち受け期間中、所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS16〜ステップS20)。具体的には、DPF再生装置は、待ち受け期間中、DPF再生スイッチ16の操作、スタータスイッチ17の操作、又は車両の発進要求の有無を監視する。
【0056】
そして、DPF再生装置は、待ち受け期間中にDPF再生スイッチ16及びスタータスイッチ17のいずれの操作もなく、車両の発進要求もなければ、警告音の出力を終了させエンジン停止処理を実行する(ステップS16〜ステップS22)。
また、DPF再生装置は、待ち受け期間中にスタータスイッチ17が操作された(スタータスイッチ17がいわゆる2度押しされた)場合にも、警告音の出力を終了させエンジン停止処理を実行する(ステップS18、ステップS21、ステップS22)。
【0057】
その一方で、DPF再生装置は、待ち受け期間中にDPF再生スイッチ16が操作されると、警告灯を点灯する(ステップS31)。その後、DPF再生装置は、DPF7の微粒子堆積量を推定する(ステップS32)。すなわち、DPF再生装置は、第1DPF再生制御から第2DPF再生制御に切り換わった時点の微粒子堆積量を推定する。そして、DPF再生装置は、車両の発進要求がないままDPF7の再生が完了すると、警告音の出力を終了させかつ警告灯を消灯させ、エンジン停止処理を実行する(ステップS33、ステップS34、ステップS21、ステップS22)。
【0058】
ここで、DPF再生装置は、第1DPF再生制御の実行開始からカウントダウンを開始している計時カウントタイマ値Tが0になった場合、又は、第2DPF再生制御への切り換え時に推定した堆積量推定値Aが設定値Ath2未満になった場合、DPF7の再生が完了したと判定している。
また、ここで、第2DPF再生制御への切り換え時に推定した堆積量推定値Aを用いて再生完了の判定を行っているが、これは次のような理由からである。
【0059】
前述のように、第1DPF再生制御の実行中は、エンジン3の運転状態に応じて(例えば運転者の加速操作を優先させて)燃料噴射量等が絶えず変化し排気圧もそれに応じて変化する。そのため、第1DPF再生制御の実行中に排気圧値を用いて微粒子堆積量を推定すると、その堆積量推定値に誤差が生じる恐れがある。これに対して、第2DPF再生制御の実行中は、その第2DPF再生制御によって、エンジン3の運転状態によらない予め設定された燃料噴射量等になっており排気圧が安定した状態になっている。よって、第2DPF再生制御への切り換え時点でそのような排気圧値を基に微粒子堆積量を推定することで、高い精度で微粒子堆積量を推定でき高い精度でDPF7の再生完了を判定できるからである。この結果、DPF再生装置は、無駄な再生処理時間が生じることを防止できるからである。
【0060】
また、DPF再生装置は、以上のようにDPF7の再生が完了したと判定する前に車両の発進要求があたったり(ステップS33)、又は、第2DPF再生制御の実行中の待ち受け期間中に車両の発進要求があったりすると(ステップS19)、第2DPF再生制御を停止しかつ第2DPF再生制御フラグDtを0に設定し、さらに警告を終了した後、DPF再生制御の最初のステップ(ステップS1)から処理を再び開始する(図6)。このとき、DPF再生装置は、計時タイマカウント値Tが0になっていない場合には第1DPF再生制御を開始してから最初のステップ(ステップS1)から処理を再び開始する(ステップS52〜ステップS54)。また、DPF再生装置は、計時タイマカウント値Tが0になっている場合には第1及び第2DPF再生制御のいずれの再生制御を開始することなく最初のステップ(ステップS1)から処理を再び開始する(ステップS52、ステップS54)。
【0061】
以上のように動作等するDPF再生装置によって、例えば、乗員は、第1DPF再生制御の実行中に車両を停車させてスタータスイッチ17をエンジン停止操作した後、予め設定された待ち受け期間内であれば、スタータスイッチ17を再度操作することによってエンジン3を停止させたり、DPF再生スイッチ16を操作することによって再生が完了するまでDPF7の再生処理(第2第1DPF再生制御による再生処理)を継続させたりすることができる。
【0062】
また、DPF再生装置は、待ち受け期間中に車両の発進要求があったときには、第1DPF再生制御に自動的に復帰させたり、待ち受け期間中にスイッチ操作も車両の発進要求もないときには、待ち受け期間経過後に自動的にエンジン3を停止させDPF再生制御(第2DPF再生制御)を終了させたりすることができる。
なお、前述の実施形態の説明では、DPF7は、例えば、フィルタ部材を構成する。また、処理判定部22は、例えば、再生判定部を構成する。また、第1DPF再生制御部30、及び第2DPF再生制御部31は、例えば、再生制御部を構成する。また、スタータスイッチ17は、例えば、停止指示部を構成する。また、エンジン停止制御部27は、例えば、駆動停止部を構成する。また、エンジン停止禁止制御部28は、例えば、駆動停止禁止部を構成する。また、計時カウント部25は、例えば、計時部を構成する。また、フィルタ温度センサ15は、例えば、温度検出部を構成する。
【0063】
(本実施形態の変形例)
本実施形態では、DPF再生制御を第1DPF再生制御と第2DPF再生制御とに分けているが、これに限定されない。すなわち例えば、DPF再生制御の制御内容を第1DPF再生制御又は第2DPF再生制御の何れか一方の制御内容相当だけとすることもできる。この場合、例えば、DPF再生制御の制御内容を第1DPF再生制御の制御内容相当だけとすると、DPF再生装置は、車両停止中の第1DPF再生制御の実行中にスタータスイッチ17がエンジン停止操作されても第1DPF再生制御の実行を維持する。
【0064】
また、本実施形態では、DPF再生装置は、堆積量推定部24によって取得した堆積量推定値を基に計時タイマカウント値Tを設定することもできる。この場合、計時タイマカウント値Tは、堆積量推定値が大きいほど大きくなる。例えば、DPF再生装置は、記憶部40に記憶した予め用意したテーブル等を参照して、堆積量推定値に対応する計時タイマカウント値Tを設定する。よって、前述のように、計時タイマカウント値Tを第2DPF再生制御によってDPF7の再生処理を完了するまでの所要時間相当に設定する場合には、その計時タイマカウント値Tは、堆積量推定値相当の堆積量が堆積していると推定されるDPF7を第2DPF再生制御によって再生するのに要する時間相当になる。
【0065】
また、本実施形態では、このような構成にした場合には、スタータスイッチ17が操作された後に微粒子堆積量を推定し、推定した微粒子堆積量を基に計時タイマカウント値Tを設定することも考えられる。しかし、このようにした場合、スタータスイッチ17が押されてから計時タイマカウント値Tが設定されるまでに処理の待機時間が生じてしまい、結果として、DPF7の再生処理が長引いてしまい、燃料が無駄に消費されてしまう恐れがある。これに対して、本実施形態では、スタータスイッチ17が押される以前に微粒子堆積量を推定し、推定した微粒子堆積量を基に計時タイマカウント値Tを設定することで、計時タイマカウント値Tの設定を待機時間なくできるため、DPF7の再生処理が長引いてしまい、燃料が無駄に消費されてしまうといったことを防止できる。
【0066】
また、本実施形態では、第2DPF再生制御への切り換え時にステップS32で微粒子堆積量を推定し、推定した堆積量推定値を基にステップS34でDPF7の再生が完了を判定しているが、これに限定されない。例えば、本実施形態では、ステップS2で取得した堆積量推定値を基にステップS34でDPF7の再生が完了を判定することもできる。そして、このような構成した場合、本実施形態では、ステップS2の後はその堆積量の推定に使用した排気圧センサ14を動作させておく必要がなくなるため、排気圧センサ14への電力供給をオフにすることもできる。
【0067】
また、本実施形態では、DPF再生スイッチ16やスタータスイッチ17の構成を具体的に説明しているが、これに限定されないことは言うまでもない。
また、実施形態では、前記ステップS5で計時タイマカウント値Tをカウントダウンし、これに対応した処理として前記ステップS34や前記ステップS52で計時タイマカウント値Tが0になったか否かを判定している。しかし、本実施形態は、このような構成例に限定されない。例えば、本実施形態では、前記ステップS5でカウントアップを行い、これに対応した処理として前記ステップS34や前記ステップS52でそのカウントアップした値が予め設定した値(例えば計時タイマカウント値T)に達したか否かを判定することもできる。
【0068】
また、実施形態では、前記ステップS16で待ち受けカウント値Ctのカウントダウン(実時間に応じたカウントダウン)を開始し、これに対応した処理として前記ステップS20で待ち受けカウント値Ctが0になったか否かを判定している。しかし、本実施形態は、このような構成例に限定されない。例えば、本実施形態では、前記ステップS16でカウントアップ(実時間に応じたカウントアップ)を開始し、これに対応した処理として前記ステップS1でそのカウントアップした値(経過時間)が予め設定した値(例えば待ち受けカウント値Ct)に達したか否かを判定することもできる。
【0069】
また、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0070】
3 エンジン、7 DPF、15 フィルタ温度センサ、16 DPF再生スイッチ、17 スタータスイッチ、20 ECU、22 処理判定部、23 入力判定部、24 堆積量推定部、30 第1DPF再生制御部、31 第2DPF再生制御部、25 計時カウント部、27 エンジン停止制御部、28 エンジン停止禁止制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気装置に配置され排気を浄化するフィルタ部材を再生処理する内燃機関の排気浄化装置において、
前記フィルタ部材の微粒子の堆積量を推定する堆積量推定部と、
前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値を基に前記フィルタ部材を再生するか否かを判定する再生判定部と、
前記再生判定部が前記フィルタ部材を再生する判定を行うと前記内燃機関を駆動制御して前記フィルタ部材を再生処理する再生処理部と、
操作されて前記内燃機関の停止を指示する停止指示部と、
前記停止指示部からの停止指示によって前記内燃機関の駆動を停止する駆動停止部と、
前記停止指示部が操作されかつ前記再生処理部がフィルタ部材の再生処理を実行中のとき前記フィルタ部材の再生処理が完了するまで前記内燃機関の駆動停止を禁止する駆動停止禁止部と、
を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値を基に再生処理時間を設定する再生処理時間設定部と、前記再生処理部による再生処理の開始時に計時を開始する計時部と、を備え、
前記駆動停止禁止部は、前記計時部の計時時間が前記再生処理時間設定部が設定した再生処理時間に達したとき前記フィルタ部材の再生処理が完了したと判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記フィルタ部材の温度を検出する温度検出部を備え、
前記温度検出部が検出した温度が予め設定した温度以下のとき前記計時部による計時を停止することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記再生処理時間設定部は、前記停止指示部が操作される以前に再生処理時間を設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記再生処理部は、前記停止指示部の操作前には前記内燃機関の運転状態に応じて該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第1再生制御を行い、前記停止指示部の操作後には前記内燃機関の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によって該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第2再生制御を行い、
前記再生処理時間設定部は、前記堆積量推定部が推定した堆積量が堆積していると推定される前記フィルタ部材を前記第2再生制御によって再生処理を完了するまでに要する時間を前記再生処理時間として設定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】
前記駆動停止禁止部は、前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値が予め設定した値よりも小さいとき前記フィルタ部材の再生処理が完了したとの判定を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項7】
前記再生処理部は、前記停止指示部の操作前には前記内燃機関の運転状態に応じて該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第1再生制御を行い、前記停止指示部の操作後には前記内燃機関の運転状態によらない予め設定した駆動制御内容によって該内燃機関を駆動制御してフィルタ部材を再生処理する第2再生制御を行い、
前記駆動停止禁止部は、前記第2再生制御によるフィルタ部材の再生処理の実行中に前記堆積量推定部が推定した堆積量推定値が予め設定した値よりも小さいとき前記第2再生制御によるフィルタ部材の再生処理が完了したとの判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項8】
前記内燃機関の排気装置において前記フィルタ部材の前後それぞれに排気圧センサを備え、
前記堆積量推定部は、前記各排気圧センサの検出圧力の差圧を基に前記堆積量を推定し、
前記停止指示部が操作されたとき前記各排気圧センサへの電力供給を停止することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−108473(P2013−108473A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255975(P2011−255975)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】