説明

内燃機関の燃焼状態判定装置

【課題】イオン電流を参照した燃焼状態の判定の精度を一層高める。
【解決手段】キャパシタ141に蓄えた電荷Qによるバイアス電圧Vを点火プラグ13の電極に印加して当該電極を流れるイオン電流Iを検出する回路を利用し、内燃機関の気筒における燃焼状態を判定するにあたり、イオン電流Iを反復的に計測し、その計測値の時系列からキャパシタ141から流出した電荷量Q’またはキャパシタ電圧Vを演算し、その電荷量Q’またはキャパシタ電圧Vを基に、点火プラグ13の電極間の抵抗値Rを求めることとした。燃焼抵抗Rは、気筒における燃焼状態を示唆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の気筒における燃焼状態を判定する判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気筒での燃料の燃焼状態を推測する手法の一として、燃焼の際に点火プラグの電極を流れるイオン電流を検出するものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。オーバーリーン等の不良燃焼時には、正常燃焼時に比べて燃焼が過度に緩慢となり、イオン電流のピークが低くなり、またイオン電流の流れている時間が長くなる。イオン電流の推移を計測し、その最大値が判定閾値を上回るか否か、またはイオン電流が判定閾値(この閾値は、前記閾値とは異なる)を超えている時間が短いか長いかを判断することで、燃焼が正常であるか否かの判定を下すことが可能である。イオン電流を検出できない場合には、当該気筒にて失火が起こっていることは言うまでもない。
【0003】
イオン電流を検出するにあたっては、キャパシタに蓄えた電荷による高いバイアス電圧を点火プラグの中心電極に印加することが通例である(例えば、下記特許文献2を参照)。
【0004】
しかし、キャパシタに蓄えている電荷はイオン電流が流れる際に放出されることから、点火プラグの電極に印加するバイアス電圧は膨張行程において逓減してゆく。故に、燃焼過程の中盤以降に検出されるイオン電流のレベルは必然的に低下するが、従前の手法ではバイアス電圧の低下を考慮することなく専らイオン電流の実測値に依拠して判定を実施していた。このため、時として燃焼状態についての誤判定を招くことがあり得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−034490号公報
【特許文献2】特開2006−200432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題に初めて着目してなされた本発明は、イオン電流を参照した燃焼状態の判定の精度を一層高めることを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、キャパシタに蓄えた電荷によるバイアス電圧を点火プラグの電極に印加して当該電極を流れるイオン電流を検出する回路を利用し、内燃機関の気筒における燃焼状態を判定するものであって、イオン電流を反復的に計測し、その計測値の時系列からキャパシタから流出した電荷量またはキャパシタ電圧を演算し、その電荷量またはキャパシタ電圧を基に、点火プラグの電極間の抵抗値を求めるかまたはイオン電流の計測値に補正を加えることを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置を構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、イオン電流を参照した燃焼状態の判定の精度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成を示す図。
【図2】同実施形態における火花点火装置の回路図。
【図3】内燃機関の各気筒における燃焼圧及びイオン電流のそれぞれの推移を示す図。
【図4】内燃機関の各気筒におけるイオン電流の圧縮行程以降の推移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における火花点火式内燃機関の概要を示す。この内燃機関は、筒内直接噴射式のものであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)と、各気筒1内に燃料を噴射するインジェクタ10と、各気筒1に吸気を供給するための吸気通路3と、各気筒1から排気を排出するための排気通路4と、吸気通路3を流通する吸気を過給する排気ターボ過給機5と、排気通路4から吸気通路3に向けてEGRガスを還流させる外部EGR装置2とを具備している。
【0011】
気筒1の燃焼室の天井部には、点火プラグ13を取り付けてある。図2に、火花点火用の電気回路を示している。点火プラグ13は、点火コイル12にて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイル12は、半導体スイッチング素子であるイグナイタ11とともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
【0012】
内燃機関の燃焼状態判定装置たるECU(Electronic Control Unit)0からの点火信号oをイグナイタ11が受けると、まずイグナイタ11が点弧して点火コイル12の一次側に電流が流れ、その直後の点火タイミングでイグナイタ11が消弧してこの電流が遮断される。すると、自己誘導作用が起こり、一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と二次側とは磁気回路及び磁束を共有するので、二次側にさらに高い誘導電圧が発生する。この高い誘導電圧が点火プラグ13の中心電極に印加され、中心電極と接地電極との間で火花放電する。
【0013】
ECU0は、燃料の爆発燃焼の際に気筒1の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、このイオン電流を参照して、燃焼状態の判定を行う。
【0014】
図2に示しているように、火花点火用の電気回路には、イオン電流を効果的に検出するためのバイアス電源部14と、イオン電流の多寡に応じた検出電圧を増幅して出力する増幅部15とを付設してある。バイアス電源部14は、バイアス電圧を蓄えるキャパシタ141と、キャパシタ141の電圧を所定電圧まで高めるためのツェナーダイオード142と、電流阻止用のダイオード143、144と、イオン電流に応じた電圧を出力する負荷抵抗145とを含む。増幅部15は、オペアンプに代表される電圧増幅器151を含む。
【0015】
点火プラグ13の中心電極と接地電極との間のアーク放電時にはキャパシタ141が充電され、その後キャパシタ141に充電されたバイアス電圧により負荷抵抗145にイオン電流が流れる。イオン電流が流れることに起因して生じる抵抗145の両端間の電圧は、増幅部15により増幅されてイオン電流信号hとしてECU0に受信される。
【0016】
図3に、燃焼圧(図中破線で示す)及びイオン電流(図中実線で示す)のそれぞれの推移を例示している。正常燃焼の場合のイオン電流は、点火の瞬間にサージ状に急激に流れ(誘導放電)、圧縮上死点の手前で減少した後、再び増加する(容量放電)。そして、燃焼圧がピークを迎えるのと略同時にイオン電流も極大となる。
【0017】
吸気通路3は、外部から空気を取り入れて気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、過給機5のコンプレッサ51、インタクーラ32、電子スロットルバルブ33、サージタンク34、吸気マニホルド35を、上流からこの順序に配置している。
【0018】
排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42、過給機5の駆動タービン52及び三元触媒41を配置している。加えて、タービン52を迂回する排気バイパス通路43、及びこのバイパス通路43の入口を開閉するバイパスバルブであるウェイストゲートバルブ44を設けてある。ウェイストゲートバルブ44は、アクチュエータに制御信号lを入力することで開閉操作することが可能な電動ウェイストゲートバルブであり、そのアクチュエータとしてDCサーボモータを用いている。
【0019】
排気ターボ過給機5は、駆動タービン52とコンプレッサ51とを同軸で連結し連動するように構成したものである。そして、駆動タービン52を排気のエネルギを利用して回転駆動し、その回転力を以てコンプレッサ51にポンプ作用を営ませることにより、吸入空気を加圧圧縮(過給)して気筒1に送り込む。
【0020】
外部EGR装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものである。外部EGR通路の入口は、排気通路4におけるタービン52の上流の所定箇所に接続している。外部EGR通路の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ33の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク34に接続している。外部EGR通路上にも、EGRクーラ21及びEGRバルブ22を設けてある。
【0021】
ECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
【0022】
入力インタフェースには、車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるエンジン回転信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ33の開度をアクセル開度として検出するアクセル開度センサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク34)内の吸気温及び吸気圧(または、過給圧)を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、シフトポジション(ギアポジション)スイッチから出力されるシフトポジション信号e、内燃機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム信号g、燃焼室内でのプラズマの生成及び混合気の燃焼に伴って生じるイオン電流を検出する回路から出力されるイオン電流信号h、エアコンディショナが作動しているか否かに関する作動信号i、車載バッテリの充電状態を示唆する指標を検出するセンサから出力されるバッテリ状態信号j等が入力される。エンジン回転センサは、10°CA(クランク角度)毎にパルス信号bを発する。カム角センサは、720°CAを気筒数で割った角度、三気筒エンジンであれば240°CA毎にパルス信号gを発する。エアコンディショナの作動信号iは、運転者がエアコンディショナをONにするべく手動操作したスイッチから発される信号であったり、オートエアコンシステムを司るオートエアコンECUから発される信号であったりする。バッテリ状態信号jは、例えばバッテリ電流、バッテリ電圧及びバッテリ温度を表示する。
【0023】
出力インタフェースからは、スロットルバルブ33に対して開度操作信号k、ウェイストゲートバルブ44に対して開度操作信号l、EGRバルブ22に対して開度操作信号m、インジェクタ10に対して燃料噴射信号n、イグナイタ11に対して点火信号o、クランクシャフトから駆動力の伝達を受けて発電するオルタネータの出力電圧を制御する電圧レギュレータに対して電圧指示信号p等を出力する。
【0024】
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、i、jを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、EGR量(または、EGR率)及びEGRバルブ22の開度、オルタネータによる発電電力といった各種運転パラメータを決定する。運転パラメータの決定手法自体は、既知のものを採用することが可能であるので説明を割愛する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号k、l、m、n、o、pを出力インタフェースを介して印加する。
【0025】
本実施形態のECU0は、イオン電流を反復的に計測し、その計測値の時系列からキャパシタ141から流出した電荷量及び/またはキャパシタ141の電圧を演算する。そして、その電荷量またはキャパシタ電圧を基に、点火プラグ13の中心電極と接地電極との間の抵抗値を求める。
【0026】
キャパシタ141が蓄えている電荷をQ、キャパシタ141の電圧をV、キャパシタ141の容量をCとおくと、
Q=CV
なる関係が成立する。他方、点火プラグ13の中心電極と接地電極との間の抵抗値をR、点火後に容量放電により点火プラグ13の電極を流れる電流をIとおくと、
V=(R+r)I
なる関係が成立する。rは負荷抵抗145の抵抗値である。尤も、このrは無視しても構わない。
【0027】
容量放電が開始されてから経過した時間をtとおく。t=Tの時点で、キャパシタ141から流れ出た電荷の量Q’は、
Q’(T)=∫0TI(t)dt
である。現実には、ECU0はイオン電流信号hを所定の周期で反復的にサンプリングしており、ECU0はそのサンプリング値I(t)にサンプリング周期を乗じたものを積算することで電荷量Q’(T)を演算する。
【0028】
t=Tの時点でキャパシタ141に残存している電荷量Q及びキャパシタ電圧Vは、
Q(T)=Q(0)−Q’(T)
V(T)=Q’(T)/C
となる。Q(0)は、容量Cのキャパシタ141を所定電圧まで充電したときの電荷量である。
【0029】
そして、t=T時点におけるイオン電流のサンプリング値I(T)とキャパシタ電圧V(T)とから、点火プラグ13の電極間の抵抗値R(T)を得ることができる。即ち、
R(T)={V(T)/I(T)}−r={Q(0)−∫0TI(t)dt}/{CI(T)}−r
となる。
【0030】
基本的に、抵抗値Rは、燃料の燃焼により燃焼室内に発生したイオンの量に依存する燃焼抵抗を示している。十分な燃焼が行われたとき、このRは低下するが、燃焼が不十分であったときにはRは大きいままとなる。とりわけ、着火せず、または火炎が途中で消失する失火に陥ってしまった暁には、Rは点火プラグ13の中心電極と接地電極との間の絶縁抵抗そのものとなる。要するに、R(t)を反復的に算出し、その推移または最小値を参照することで、気筒1における燃焼状態を推測、判定することが可能である。
【0031】
例えば、膨張行程にて燃焼抵抗R(t)の最小値が判定閾値を下回れば正常燃焼と判断し、R(t)が判定閾値を下回ることがなければ不良燃焼または失火と判断する。または、膨張行程にて燃焼抵抗R(t)が判定閾値(この閾値は、前記閾値とは異なり、前記閾値よりも高い)を下回る期間がある長さ未満であれば正常燃焼と判断し、ある長さ以上であれば不良燃焼と判断する。後者によれば、オーバーリーン等による燃焼の過度の緩慢化を感知することができる。
【0032】
但し、点火プラグ13には、経年変化としてカーボン等が徐々に付着し、堆積してゆく。このカーボン等は、点火プラグ13の電極間の絶縁抵抗を低下させ、漏洩電流を増加させる。経年変化が著しいと、抵抗値Rのうちの絶縁抵抗低下分が占める割合が増大し、Rが燃焼に伴うイオン発生によるものかカーボン等の付着によるものかの区別がつきにくくなる。極端な場合、不良燃焼であるにもかかわらずRが正常燃焼時の抵抗値に近い値をとってしまう可能性もある。
【0033】
そこで、点火プラグ13の絶縁抵抗を知得し、点火プラグ13のダイアグノーシスに活用することが好ましい。気筒1における膨張行程、排気行程、そして同気筒1における次回のサイクルの吸気行程へと遷移するにつれて、キャパシタ141が蓄えている電荷量Qは逓減するが、キャパシタ141からの電荷の放出量Q’(t)が元々蓄えていた電荷量Q(0)に等しくなった場合には、点火プラグ13の電極間の絶縁抵抗が低下し当該電極間での漏洩電流によりキャパシタ141が全ての電荷を放電してしまったと見なすことができる。従って、ECU0は、
Q’(t)≒Q(0)
の条件が成立したことを以て、点火プラグ13に故障が生じたものと判定し、その旨を示す情報をメモリに書き込むとともに、運転者の視覚または聴覚に訴えかける態様(例えば、コックピット内にてランプを点灯させる、ディスプレイに情報を表示させる、アラーム音を鳴らす等)で報知する。
【0034】
上式の条件が成立しない場合、点火プラグ13の電極間の絶縁抵抗を推算することが可能である。即ち、図4に示すように、燃料の燃焼が既に終了している時期、特に吸気行程以降の時点t=Tdにおいてプラグ13の電極を流れる電流I(Td)は漏洩電流であり、当該時点t=Tdについて演算した抵抗値R(Td)が、絶縁抵抗ということになる。
【0035】
その上で、燃焼状態の判定に際して、演算した抵抗値R(t)から絶縁抵抗R(Td)を減算したものを真の燃焼抵抗とし、この真の燃焼抵抗{R(t)−R(Td)}を判定閾値と比較するようにしてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、キャパシタ141に蓄えた電荷Qによるバイアス電圧Vを点火プラグ13の電極に印加して当該電極を流れるイオン電流Iを検出する回路を利用し、内燃機関の気筒1における燃焼状態を判定するものであって、イオン電流Iを反復的に計測し、その計測値の時系列からキャパシタ141から流出した電荷量Q’またはキャパシタ電圧Vを演算し、その電荷量Q’またはキャパシタ電圧Vを基に、点火プラグ13の電極間の抵抗値Rを求めることを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置0を構成したため、キャパシタ141の電荷の放電に伴うバイアス電圧Vの低下をも加味してより精確な燃焼状態の推測を行うことが可能となる。
【0037】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、燃焼抵抗Rを求め、燃焼抵抗Rを判定閾値と比較する燃焼状態判定を考えていた。しかし、燃焼抵抗Rは巨大な値であり、燃焼状態判定装置たるECU0での取り扱いが必ずしも容易でない。即ち、プロセッサにおける丸め誤差の発生を回避する手立てをとる必要があるかもしれない。
【0038】
上記の事情に鑑み、従前の判定手法に倣い、イオン電流I自体を判定閾値を比較することが考えられる。この場合、キャパシタ141から流出した電荷量Q’またはキャパシタ電圧Vを基に、判定閾値と比較するべきイオン電流Iの値を底上げする補正を行う。
【0039】
例えば、点火プラグ13の中心電極に印加されるバイアス電圧が衰えず一定であるという状況を仮定し、その仮定の下で流れるイオン電流量を算出することを考える。一定のバイアス電圧V(0)の下では、
V(0)={R(t)+r}{I(t)+I’(t)}
なる関係が成立する。V(0)は、所定電圧である。I(t)は、イオン電流の実測値である。そして、I’(t)は、イオン電流の実測値に加味する補正量である。
【0040】
しかして、燃焼抵抗R(t)について、
R(t)+r=V(t)/I(t)
が成立することから、
I(t)+I’(t)=V(0)I(t)/V(t)=CV(0)I(t)/Q’(t)
として、補正量を加味した、判定閾値と比較するべきイオン電流量{I(t)+I’(t)}を求めることができる。
【0041】
燃焼状態判定装置たるECU0は、膨張行程にてイオン電流量{I(t)+I’(t)}の最大値が判定閾値を上回れば正常燃焼と判断し、イオン電流量{I(t)+I’(t)}が判定閾値を上回ることがなければ不良燃焼または失火と判断する。または、膨張行程にてイオン電流量{I(t)+I’(t)}が判定閾値(この閾値は、前記閾値とは異なり、前記閾値よりも低い)を上回る期間がある長さ未満であれば正常燃焼と判断し、ある長さ以上であれば不良燃焼と判断する。
【0042】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
0…燃焼状態判定装置(ECU)
1…気筒
13…点火プラグ
14…バイアス電源部
141…キャパシタ
15…増幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタに蓄えた電荷によるバイアス電圧を点火プラグの電極に印加して当該電極を流れるイオン電流を検出する回路を利用し、内燃機関の気筒における燃焼状態を判定するものであって、
イオン電流を反復的に計測し、その計測値の時系列からキャパシタから流出した電荷量またはキャパシタ電圧を演算し、その電荷量またはキャパシタ電圧を基に、点火プラグの電極間の抵抗値を求めるかまたはイオン電流の計測値に補正を加える
ことを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113117(P2013−113117A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257140(P2011−257140)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】