説明

内燃機関の過給圧調整方法

【課題】プレッシャウェーブスーパーチャージャの排ガス状態等を内燃機関に対して最適化し、大量生産に応用可能な制御方法を提供すること。
【解決手段】プレッシャウェーブスーパーチャージャBによって過給圧が増圧され、該プレッシャウェーブスーパーチャージャBには、外気を導入する第1配管1と、圧縮空気を案内する第2配管2と、排ガス供給のための第3配管3と、排ガス排出のための第4配管4が接続されており、プレッシャウェーブスーパーチャージャBが、第1配管1及び第2配管2に接続された低温空気ケーシングと、第3配管3近傍に配置された排ガスバイパスバルブFとを備えており、低温空気ケーシング内に、配管開口部の断面積を調節するための調整要素Dが設けられている内燃機関Aの過給圧調整方法において、調整要素Dの位置を、排ガスバイパスバルブFの開度の実測値と目標値の差に応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分における特徴に基づく内燃機関の過給圧調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同様の筒内体積でより大きな出力を得るため、又は筒内体積を小さくしつつも同様の出力を得るために内燃機関に過給することが従来から知られている。ここで、導入された外気は、圧縮機によって圧縮された後、燃焼過程へ供給される。なお、圧縮機の種類としては、ターボチャージャ、コンプレッサ類、プレッシャウェーブスーパーチャージャなどが従来から知られている。
【0003】
近年、プレッシャウェーブスーパーチャージャの使用に際して、該プレッシャウェーブスーパーチャージャを動作パラメータのアクティブ(aktiv)なあらかじめ設定された基準値によって内燃機関の各動作点に対応させることが可能となっている。これにより、過給された内燃機関の各動作点における最適化やこれに伴う高い効率及び/又は良好かつ迅速なレスポンス特性が得られるようになっている。
【0004】
全体として外気と排ガスが直接接触することは大きな欠点であるが、プレッシャウェーブスーパーチャージャにおいてはこれを最小限に抑えることが可能である。そのため、このプレッシャウェーブスーパーチャージャは、特に近年のエンジンのサイズダウン要求に関してターボチャージャ又はコンプレッサに代わるものとして注目されている。また、従来公知の制御モデルは、センサによる計測値や、計算モデルあるいはメモリされた特性曲線に基づき制御装置によってアクチュエータへ転送される各動作パラメータの静的な変化に基づいている。
【0005】
特許文献1には内燃機関の動作方法が開示されており、これにおいては、外気がプレッシャウェーブスーパーチャージャによって圧縮され、プレッシャウェーブスーパーチャージャにおける少なくとも1つの動作パラメータが内燃機関における少なくとも1つの実測値に応じて制御されるようになっている。この点においては、この特許文献1に開示された方法は、従来のような融通が利かなく制御されていないプレッシャウェーブスーパーチャージャの制御コンセプトとは異なっている。
【0006】
プレッシャウェーブスーパーチャージャの各動作状態を内燃機関の動作状態に適応させることで、内燃機関のポンプ損失を最小化されることになる。また、このようにすることで、プレッシャウェーブスーパーチャージャ及び内燃機関のレスポンス特性が向上するとともに、排ガス後処理の条件が最適化される。
【0007】
特許文献2にはプレッシャウェーブスーパーチャージャが開示されており、排ガス供給配管から排ガスバイパスへ分流がなされるようになっているとともに、このような分流は、過給圧に応じて、排ガスバイパスバルブにより制御されるようになっている。この排ガスバイパスバルブ自体は、制御ラインを介して制御されている。また、排ガスバイパスへの流入は、停止状態及び内燃機関の非常動作時における排ガスバイパスへの流入口を弾性部材により開放することで高圧配管から外気(周囲)へのガスの吹出しを防止するものとなっている。
【0008】
特許文献3にもプレッシャウェーブスーパーチャージャが開示されており、当該プレッシャウェーブスーパーチャージャ及び内燃機関の動作状態を改善するために、回転可能な低温ケーシングが設けられている。この回転可能な低温ケーシングは、プレッシャウェーブスーパーチャージャの動作を内燃機関と共通の特性曲線領域によって改善するために、プレッシャウェーブスーパーチャージャの動作時に制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006020522号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4034341号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第69823039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術によるプレッシャウェーブスーパーチャージャの制御方法は、多数のセンサ及び制御装置を必要とし、まさに小型車両における大量生産には不向きである。また、多重に使用されるセンサにより、故障が起きやすくなってしまう。さらに、重複するセンサシステムの使用により、大きな生産コスト及びメンテナンスコストを招来することとなってしまう。
【0011】
また、吸気ダクトと排気ダクトの間の圧力差により、プレッシャウェーブスーパーチャージャのロータセル内に流体力学的(gasdynamisch)な過程が生じ、この過程は、ほぼ無数の熱力学的な状態量を生み出すことになる。このような無数の状態量は、非常に長く複雑な数値方程式によってのみ計算可能であることが多いため、制御装置で実行可能なプレッシャウェーブスーパーチャージャの詳細なモデリングは、今日のCAEでは不可能である。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、プレッシャウェーブスーパーチャージャの排ガス状態、レスポンス特性、耐久性及び効率を内燃機関に対して最適化するとともに、できる限り外的因子による影響を受けずに大量生産に応用可能な、プレッシャウェーブスーパーチャージャの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、請求項1に記載された特徴を有する方法によって達成される。また、本発明による方法の他の実施形態は、各従属請求項の一部である。
【0014】
セルロータ及びセルロータケーシングを備えたプレッシャウェーブスーパーチャージャによって過給圧が増圧され、該プレッシャウェーブスーパーチャージャには、外気を導入するための第1配管1と、圧縮された空気を案内するための第2配管2と、排ガスを供給するための第3配管3と、排ガスを排出するための第4配管4とが接続されており、前記プレッシャウェーブスーパーチャージャが、前記第1配管1及び前記第2配管2に接続された低温空気ケーシングと、前記第3配管3近傍に配置された排ガスバイパスバルブとを備えており、前記低温空気ケーシング内に、配管開口部の断面積を調節するための調整要素が設けられている本発明による内燃機関の過給圧調整方法は、前記調整要素の位置を、前記排ガスバイパスバルブの開度の実測値と目標値の差に応じて制御することを特徴としている。
【0015】
本発明において、調整要素とは、回転可能なケーシング、調整要素、エッジスライダ(Kantenschieber)又は制御ローラである。なお、この制御ローラは、第3配管3及び第4配管4と第1配管1及び第2配管2の間の幾何学的なずれによって吸気ポートあるいは排気ポートを可変とするものである。また、調整要素は、本発明において、プレッシャウェーブスーパーチャージャの低温側に配置されるのが好ましいが、高温側に配置されてもかまわない。
【0016】
また、本発明において、第3配管3近傍に配置された排ガスバイパスバルブは、配管3’における気体流量を制御するブローバイバルブである。配管3’は、配管3と接しているとともに、セルロータのロータセル内へ延設されている。そして、排ガスバイパスバルブによって、配管3’を0〜100%の範囲で可変に開放することが可能である。本発明において、排ガスバイパスバルブが第3配管3と第4配管4の間の直接的なバイパスを形成するようにしてもよい。さらに、第3配管3から第4配管4へのバイパスの開度を排ガスバイパスバルブによって可変に制御することも考えられる。
【0017】
そのため、本発明による方法は、第3配管3内で生じるエネルギー変化に基づいてエンジン動作状態の最適かつ動的な調整のための解決手段を提供するものとなっている。動的な制御過程においては、過給圧目標値についての要求が明らかに(vordergruendig)変化する。そして、この過給圧目標値の制御は、排ガスバイパスバルブの開度(位置)によりなされるようになっている。また、排ガスバイパスバルブの開度の変更により、プレッシャウェーブスーパーチャージャにおける第3配管3にエネルギーインパルスが生じる。そして、このエネルギー変化は、セルロータのセルに作用し、更に圧縮すべき空気あるいは圧縮された空気に作用する。また、第3配管3から第2配管2への排ガス漏れを防ぐために、調整要素が排ガスバイパスバルブの開度変更に応じた補正値によって調整されるようになっている。特に、排ガスバイパスバルブ開度の差の相対値が制御量として解析されるとともに、補正値が制御信号としての相対値として生成される。
【0018】
調整要素の位置変更についての動的な(dynamisch)制御方法においては、内燃機関の回転数が重要な入力値となっている。ここで、調整要素の実際位置の把握がまず重要である。この実際位置は、特に本発明において、過給圧実測値と内燃機関の回転数の特性曲線による最大値と最小値から決定される。これら最大値と最小値の間において、排ガスバイパスバルブの開度と内燃機関の回転数の差に基づいて調整要素の最適位置又はこの調整要素の補正位置が算出される。
【0019】
調整要素の位置についての最大値と最小値を制限することで、排ガス漏れや調整要素が誤った位置へ至るのが防止される。また、このように防止することは、内燃機関全体の排ガス状態及びレスポンス特性に最適に作用するものとなっている。
【0020】
本発明による動的な過給圧制御は、開ループ又は閉ループで行うことができる。これにより、制御のためのハードウェア及びソフトウェアのコストを抑えつつ非常に迅速な制御特性及びレスポンス特性を得ることが可能である。
【0021】
排ガスバイパスバルブの相対調整は、調整の差を時間で計測したものか、又は排ガスバイパスバルブ開度の実測値と特性曲線から求まる目標値の間の相対調整である。排ガスバイパスバルブの最適開度(位置)は、内燃機関とプレッシャウェーブスーパーチャージャの相互動作における最大の効率を発揮する開度(位置)である。排ガスバイパスバルブの差あるいは相対調整は算出又は得られた最適開度(位置)に対する1つの値であり、この値は、プレッシャウェーブスーパーチャージャがどの程度最適に動作するかを示すものである。そのため、相対値は、プレッシャウェーブプロセスの最適化に対する制御量として把握される。最適な動作開度(位置)が得られると、排ガスバイパスバルブの相対調整に対する制御量はほぼゼロになるとともに、他の調整要素に対する補正値もほぼゼロとなる。なお、この制御プロセスに対する制御時間は、5〜10msの範囲にある。
【0022】
本発明において、相対エンジン出力とは、以下のように定義されたものをいう。すなわち、目標エンジン出力を最大エンジン出力で除し、100%を乗じたものである。これにより、最大エンジン出力の何%かという割合で示す相対エンジン出力が得られる。特に、相対エンジン出力を常にエンジン回転数について見るのが好ましい。回転数に対する出力を示す特性曲線については、相対エンジン出力を常に回転数領域に対して縦軸にとるべきである。また、制御過程が動的に実行されるので、まず、縦軸についての具体的な回転数が検出されるが、回転数の上昇又は下降が制御の時間間隔により考慮されるため、時間的に高精度な制御に基づきプロセスが動的とみなされる。
【0023】
本発明においては、制御を相対負荷によって行うことも可能である。ここで、この相対負荷とは、例えばアクセルペダル踏込位置によって決定される目標負荷を最大負荷で除し、100%を乗じたものである。
【0024】
本発明において、内燃エンジントルク特性は、エンジン管理制御の基礎となるストラテジである。内燃エンジンの全体制御は、Nm(ニュートン・メートル)を単位とするトルクに関して行われる。このような場合には、制御における目標値及び実測値はNmの単位で表現される。したがって、内燃エンジントルク特性曲線は、Nmの単位で機能するが、相対負荷を基礎として機能してもよい。各内燃エンジントルク特性曲線は、内燃エンジンに対して使用される制御装置に応じて、各メーカ特有のものとなっている。
【0025】
また、本発明の一実施形態は、セルロータの回転数を、排ガスバイパスバルブの開度に応じて調整及び/又は制御することを特徴としている。ここで、このセルロータの回転数とは、すなわちプレッシャウェーブスーパーチャージャの回転数を意味している。特に、このプレッシャウェーブスーパーチャージャを固有のモータにより駆動し、その回転数を適宜変更して調整するのが望ましい。さらに、排ガスバイパスバルブ開度の差によって、すなわち排ガスバイパスバルブの相対調整によって、プレッシャウェーブスーパーチャージャの回転数を絶対値及び/又は相対的な補正値によって制御するのが特に好ましい。特に、セルロータの回転数の制御は、調整要素の位置の調整と組み合わせてなされる。
【0026】
また、セルロータの回転数による過給圧の動的調整方法においては、回転数が制限される。このような制限は、過給圧実測値及び内燃機関の回転数に応じて決定される。さらに、制限のためのプレッシャウェーブスーパーチャージャの回転数の最大値及び最小値を追加的に決定することが可能である。
【0027】
特に、上述のようなパラメータによって過給圧実測値及び内燃機関の回転数が決定され、特性曲線により上限値及び下限値が決定されてこれらの間の補正値が算出される。プレッシャウェーブスーパーチャージャの目標回転数に対してこのように算出された値は、補正値としてプレッシャウェーブスーパーチャージャの回転数制御装置へ入力される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プレッシャウェーブスーパーチャージャの排ガス状態、レスポンス特性、耐久性及び効率を内燃機関に対して最適化するとともに、できる限り外的因子による影響を受けずに大量生産に応用可能な、プレッシャウェーブスーパーチャージャの制御方法を提供することが可能である。なお、本発明の他の利点、特徴等については、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】内燃機関を経て排ガス配管へ至るまでの吸気の循環路の概要を示す図である。
【図2】調整要素の位置の動的制御のフローチャートである。
【図3】特性曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1には、本実施の形態においてはガソリンエンジンとして形成された内燃機関Aの一部が示されている。また、プレッシャウェーブスーパーチャージャBは、当該プレッシャウェーブスーパーチャージャBに結合された4つの配管1〜4(第1配管〜第4配管)を備えている。ここで、配管1は吸気(外気)領域に位置し、配管2は、圧縮された吸気をインタクーラJ更にはこれに接続されたスロットルバルブKへ供給される圧縮された吸気の領域に配置されている。なお、圧縮された吸気は、スロットルバルブKを通過した後に燃焼室10へ供給されるようになっている。
【0032】
さらに、排ガスをプレッシャウェーブスーパーチャージャBへ供給するために、該プレッシャウェーブスーパーチャージャBの手前(上流)における排気バルブ6とキャタライザの間には管路3が配置されている。また、この配管3には、アクチュエータを備えた排ガスバイパスバルブ(Gastaschenventil)Fが配置されている。そして、排ガス配管Sの領域には、プレッシャウェーブスーパーチャージャBでの圧縮過程後に排ガスを排出するための管路4がプレッシャウェーブスーパーチャージャBに設けられている。なお、この管路4には、酸化触媒コンバータMが設けられている。
【0033】
図1には更にシリンダの断面が示されており、そこには、吸気バルブ5、排気バルブ6、ピストン7、点火プラグ8、燃料噴射ノズル9及び燃焼室10が示されている。また、内燃機関Aには、プレッシャウェーブスーパーチャージャBが結合されている。
【0034】
しかして、プレッシャウェーブスーパーチャージャBには更に低温ケーシング側(低温空気ケーシング)11と高温ケーシング側12が配置されており、低温ケーシング側11には調整要素Dが配置されている。この調整要素Dはモータ(Steuerscheibenstellmotor)によって制御されるようになっており、プレッシャウェーブスーパーチャージャBに配置されたロータCはモータ(elektrischer Rotormotor)Eによって制御されるようになっている。
【0035】
そして、吸気は、配管1を通り、該配管1に続くロータセル13へ導入され、プレッシャウェーブスーパーチャージャBにおいて圧縮される。その後、この圧縮空気は、配管2を介して、該配管2の出口付近において吸気バルブ5へ導入される。ここで、バイパス配管を通してインタクーラJ及び燃焼室10がう回されるよう、アクチュエータを備えたバイパスバルブが配管2に介装されている。また、インタクーラJにおいては、圧縮されて高温となった空気が冷却され、その体積が縮小される。これにより、燃焼室10におけるシリンダの充填効率が向上することになる。
【0036】
また、圧縮タイミング(サイクル)に従う吸気タイミングは、4サイクルエンジンの例において、燃焼タイミング及び排気タイミングに適合されている。なお、本発明において、他のサイクルのエンジンを適用することも可能である。
【0037】
排気過程において燃焼室10で形成される排ガスは、配管3を通って再度高温側へ導入される。ここで、一次排ガス後処理を行うキャタライザLが配管3に介装されている。また、配管3’には、アクチュエータによって駆動されつつロータセル13への残留ガスの流入の増加を配管3’の吸気ポートを介して可能にするか、及び/又は排ガスをロータを通過して直接配管4へ案内する排ガスバイパスバルブFが配置されている。なお、本発明においては、排ガスバイパスバルブFを介して配管3’から配管4へ直接排ガスを案内することも可能である。
【0038】
しかして、プレッシャウェーブにより配管1を通して導入された外気が圧縮されるとともに、このプレッシャウェーブは、圧縮された空気を配管2へ流通させ、さらに、この空気をロータセル13の排気ポートを通して排ガス配管Sへ至らしめるものとなっている。そして、排ガスは、場合によっては、例えば酸化触媒コンバータMなどの他の排ガス後処理手段を通過することになる。
【0039】
ところで、図1には更に複数の測定点が示されており、これら測定点は、必要な動作パラメータ(Betriebsgroesse)の測定を行う箇所を示している。Pos.1は外気の導入口領域の測定点であり、Pos.2−USはインタクーラJの手前における圧縮された空気領域の測定点である。また、Pos.2−DSはスロットルバルブKの後(下流)かつ内燃機関Aの吸気バルブ5の手前における測定点であり、Pos.3−USは配管3における任意箇所における測定点である。さらに、Pos.3−DSは、プレッシャウェーブスーパーチャージャBへの導入口の手前における測定点である。ここで、測定点Pos.3−US及びPos.3−DSは、それぞれバイパスバルブH及び排ガスバイパスバルブFの後又は手前における総流量を測定するためのものとなっており、その測定データは、バイパスバルブH及び排ガスバイパスバルブFの開度制御に使用されるものとなっている。
【0040】
また、Pos.4は、プレッシャウェーブスーパーチャージャBの後の配管4における任意の測定点である。上記の各測定点は好ましい一例であり、応用形態に応じてこれら測定点を更に追加してもよいし、より少なくしてもよい。また、測定点の位置の選択も、自由に選択することが可能である。
【0041】
以下に、図2における制御フローチャートの説明に関する表を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
図3には内燃機関の特性曲線の一例が概略的に示されており、この特性曲線には、相対エンジン出力がどのように得られるかも概略的に示されている。まず、この特性曲線を示すグラフにおいて、Y軸(縦軸)はkW(キロワット)の単位で示すエンジン出力であり、X軸(横軸)は1分当たりのエンジン回転数(rpm)を示している。
仮に毎分4000回転の動作点にあると、アクセルペダル踏込位置により、目標エンジン出力が要求され、図3において点「W」で示す目標動作点が得られる。これに対して、予負荷(プレロード)曲線Vにおいては、毎分4000回転の動作点における得られる最大エンジン出力が点「M」で示されている。ここで、目標エンジン出力を最大エンジン出力で除し、100を乗じれば、相対エンジン出力が%表示で得られる。数式では、以下のようになる。
【0044】
【数1】

【符号の説明】
【0045】
1〜4 配管
5 吸気バルブ
6 排気バルブ
7 ピストン
8 点火プラグ
9 燃料噴射ノズル
10 燃焼室
11 低温ケーシング側
12 高温ケーシング側
13 ロータセル
A 内燃機関
B プレッシャウェーブスーパーチャージャ
C ロータ
D 調整要素
E モータ
F 排ガスバイパスバルブ
H バイパスバルブ
J インタクーラ
K スロットルバルブ
L キャタライザ
M 酸化触媒コンバータ
S 排ガス配管
V 予負荷曲線
Pos.1 測定点
Pos.2−US 測定点
Pos.2−DS 測定点
Pos.3−US 測定点
Pos.3−DS 測定点
Pos.4 測定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(A)の過給圧調整方法であって、セルロータ(C)及びセルロータケーシングを備えたプレッシャウェーブスーパーチャージャ(B)によって過給圧が増圧され、該プレッシャウェーブスーパーチャージャ(B)には、外気を導入するための第1配管(1)と、圧縮された外気を案内するための第2配管(2)と、排ガスを供給するための第3配管(3)と、排ガスを排出するための第4配管(4)とが接続されており、前記プレッシャウェーブスーパーチャージャ(B)が、前記第1配管(1)及び前記第2配管(2)に接続された低温空気ケーシングと、前記第3配管(3)近傍に配置された排ガスバイパスバルブ(F)とを備えており、前記低温空気ケーシング内に、配管開口部の断面積を調節するための調整要素(D)が設けられている前記内燃機関(A)の前記過給圧調整方法において、
前記調整要素(D)の位置を、前記排ガスバイパスバルブの開度の実測値と目標値の差に応じて制御することを特徴とする過給圧調整方法。
【請求項2】
前記調整要素(D)の実際位置を制限するとともに、該実際位置を、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて決定することを特徴とする請求項1記載の過給圧調整方法。
【請求項3】
前記調整要素(D)の実際位置を算出するために、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて特性曲線(Kennfeldstruktur)を解析することを特徴とする請求項1又は2記載の過給圧調整方法。
【請求項4】
前記調整要素の位置を制御するために、該位置に対する最大値及び/又は最小値を、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過給圧調整方法。
【請求項5】
前記セルロータ(C)の回転数を、前記排ガスバイパスバルブの開度に応じて調整及び/又は制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過給圧調整方法。
【請求項6】
前記回転数を制限するとともに、該回転数を、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて決定することを特徴とする請求項5記載の過給圧調整方法。
【請求項7】
前記回転数を算出するために、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて特性曲線(Kennfeldstruktur)を解析することを特徴とする請求項5又は6記載の過給圧調整方法。
【請求項8】
前記回転数を制御するために、前記位置に対する最大値及び/又は最小値を、過給圧の実測値、相対エンジン出力、内燃エンジン−トルク特性(Verbrennungsmotor-Drehmomenten-Struktur)及び前記内燃機関(A)の回転数のうち少なくともいずれかに応じて算出することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の過給圧調整方法。
【請求項9】
前記調整要素(D)の位置及び/又は前記回転数を、前記内燃機関(A)の回転数に応じて制御することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の過給圧調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−15136(P2013−15136A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142850(P2012−142850)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(504258871)ベンテラー アウトモビールテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (60)
【氏名又は名称原語表記】Benteler Automobiltechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Elsener Strasse 95, D−33102 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】