説明

内燃機関のEGRガスクーラ用のクーラエレメント

【課題】蛇腹状の熱交換チューブを用いたEGRガスクーラにおいて、耐久性の向上をはかるとともに、熱交換性能の向上をはかる。
【解決手段】蛇腹状の熱交換チューブ11内に、熱交換チューブ11内壁との間に間隙9を形成してガス入口17a側に向けて内方に開く傾斜ガイドA18aとガス出口17b側に向けて内方に開く傾斜ガイドB18bとを形成してなるインナーパイプ16を配設して二重管構造にするとともに熱交換チューブ11の谷部の一部を深谷部14となし、インナーパイプ16と接触するようにして、熱交換チューブ11の振動を防止するとともに、熱交換チューブ11内のインナーパイプ16の内外を排気ガスが流通できるようにして、熱交換チューブ11の外壁における熱交換を促進させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の排気ガス還流装置において、還流ガスを冷却水またはロングライフクーラント(LLC)によって冷却するEGRガスクーラのクーラエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される窒素酸化物を抑制するために、内燃機関から排出される排気ガスの一部を機関の吸気系に還流するようにした排気還流装置が広く用いられている。この排気還流装置においては、機関への充填効率を高めるために、経路中に還流ガスの温度を低下させる熱交換器を配設するようにしている。この熱交換器として、多管式の熱交換器が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−241891号公報
【特許文献1】特開2001−263970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造のEGRガスクーラにおいては、熱交換効率の向上のため熱交換チューブとして蛇腹状でしかもその肉厚を薄いものにしているので、機関の振動で互いに隣り合う熱交換チューブ同士がそれぞれの中央部において互いに接触して磨耗・破損をもたらすなど、耐久上の問題を有している。そのために熱交換チューブの中間部分をバッフルまたはステイで保持するようにしている。しかしこのようにした場合においては、製造時の組み付け性も悪く、冷却水の流れの阻害,機関の振動による熱交換チューブのバッフルまたはスティとの接触部分の磨耗・破損をもたらす。
【0005】

さらに、熱交換チューブ内においては、排気ガスが抵抗の少ない中心部分に多くの量が流れ、排気ガスと冷却水との間で熱交換がなされる熱交換チューブの壁面近傍でのガスの流れは少ない状態となり、所定の熱交換性能が得られないなどの問題を有している。そこで、熱交換チューブ内にらせん状の乱流促進板を壁に接触させあるいは接触させないで配置するようにしているが、この場合においても機関の振動で熱交換チューブの内面と乱流促進板の外面との間で接触して、接触部分の磨耗・破損をもたらす。
この発明は、このような課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解消するために、請求項1に係る発明は、側壁に冷却水入口および冷却水出口を有する筒状のボディと、このボディの両端をそれぞれ閉塞し、複数の取付け孔を有するエンドプレートと、両端部に円筒状の嵌合部を有し、両嵌合部間が、山部と谷部とが交互に蛇腹状に形成され、しかも所定箇所を除く多数の谷部内径が嵌合部の内径より大きく設定されるとともに、所定箇所の谷部内径が嵌合部の内径に等しく設定された深谷部を形成してなる熱交換チューブが両エンドプレートの取付け孔間に両嵌合部を介して配設され、さらに熱交換チューブの内側に、パイプ状でその一方側がガス入口、他方側がガス出口となし、外径が熱交換チューブの嵌合部の内径に等しく、側面にガス入口側に向けて内方に開く傾斜ガイドAと該ガイドAの形成によって作られる流入孔、さらに、ガス出口側に向けて内方に開く傾斜ガイドBと該ガイドBの形成によって作られる流出孔とを有するインナーパイプが配設され、インナーパイプの外面が熱交換チューブの両嵌合部および深谷部に内接し、他の部分は谷部との間に間隙を形成するように構成され、各接触部がろう付けされているEGRガスクーラ用のクーラエレメントである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は、熱交換チューブ内に、熱交換チューブ内壁との間に間隙を形成してガス入口側に向けて内方に開く傾斜ガイドAと該ガイドAの形成によって作られる流入孔、さらに、ガス出口側に向けて内方に開く傾斜ガイドBと該ガイドBの形成によって作られる流出孔を有するインナーパイプを配設して二重管構造にするとともに、熱交換チューブの蛇腹部の谷部の一部を深谷部となし、インナーパイプと接触するようにしたので、熱交換チューブが振動することによる破損を防止し、耐久性に優れたものである。さらに、インナーパイプに内向きのガイドおよび流入孔・流出孔を多数形成して、熱交換チューブの内部においてインナーパイプの内外を排気ガスが流通できるように構成したので、ガスが熱交換チューブの中心部にばかり流れるのを防止して、熱交換チューブの外壁における熱交換を促進することができ、熱交換効率が従来のものに比べて優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に示す実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
図1は、この発明に係るクーラエレメントの実施の形態を示すもので、クーラエレメント10は、側壁の一方側(図1で左下側)にパイプ状の冷却水入口5さらに他方側(図1で右上側)にパイプ状の冷却水出口6を有し、両端部に外向き環状のフランジ2,2を有する角筒状のボディ1と、ボディ1の両端をそれぞれ閉塞し、外形がボディ1のフランジ2の外形と同じに形成され、複数(本実施例では4つ)の熱交換チューブ11の取付け孔4を有する皿状のエンドプレート3,3が配設される。さらに、両エンドプレート3,3の取付け孔4,4には、図2に示すように、両端部に円筒状の嵌合部15,15を有し、両嵌合部15,15間が山部12と谷部13とが交互に形成され、中央に位置する谷部を除いて各谷部13の内径が嵌合部15の内径より大きく設定されるとともに、中央位置の谷部の内径が嵌合部15の内径に等しく設定されてなる深谷部14を有する熱交換チューブ11が、両嵌合部15,15を介して配設される。深谷部14は環状に形成されている。
【0009】
熱交換チューブ11の内側には、パイプ状でその一方側がガス入口17a、他方側がガス出口17bを構成し、外径が熱交換チューブ11の嵌合部15の内径に等しいインナーパイプ16が、その外面が熱交換チューブ11の嵌合部15,15および深谷部14に内接し、他の部分は各谷部13との間に間隙9を有するように配設される。従って、間隙9は深谷部14で分断され2つの部分に区画される。インナーパイプ16はガス入口17a側に向けてインナーパイプ16内方に開く傾斜ガイドA18aと傾斜ガイドA18aの形成によって作られる流入孔19a、さらに、熱交換チューブ11のガス出口17b側に向けてインナーパイプ16内方に開く傾斜ガイドB18bと傾斜ガイドB18bの形成によって作られる流出孔19bとがジグザグ状に形成される。傾斜ガイドA18a,傾斜ガイドB18bは、円周方向の一辺と軸方向の二辺に切込みを入れて、インナーパイプ16内方に所定角度折り曲げて形成され、そのようにしてできる孔が流入孔A19a,流出孔B19bを構成する。
【0010】
クーラエレメント10の両端部には、EGRガスの入口7aを有し、該入口の反対側がラッパ状に拡大する入口キャップ7(図1で右側)とEGRガスの出口8aを有し、該出口8aの反対側がラッパ状に拡大する出口キャップ8(図1で左側)とが配設されて、EGRクーラ20が構成される。入口キャップ7,出口キャップ8は、それぞれの拡大側端部によりエンドプレート3,3を間に挟んでボディ1のフランジ2,2を加締め止めされて固定される。
上記各部材はステンレス鋼で形成され、各接触部には、ニッケルまたは銅ろう材が塗布または配置されて、炉中でろう付けされる。
【0011】
機関から排出された排気ガスの一部は、EGRガスとしてEGRクーラ20の入口キャップ7の入口7aから流入し、熱交換チューブ11の内側に配設されたインナーパイプ16内に入り、その内部を流れ、出口キャップ8から出て、その後エアクリーナからの吸入空気とともに機関に吸入される。インナーパイプ16内に入ったガスは、その内部を流れるとともにその一部は途中に設けられた傾斜ガイドA18aの形成により作られた流入孔19aから入り、熱交換チューブ11とインナーパイプ16との間すなわち間隙9内に導かれる。導かれたガスの一部はそのまま進み、他の一部は、その後傾斜ガイドB18bの形成により作られた流出孔19bより再びインナーパイプ16の内部に戻る。熱交換チューブ11とインナーパイプ16との間の間隙9に導かれたガスは、インナーパイプ16の外側の冷却水またはLLCにより冷却される。ガスは傾斜ガイドA18a,傾斜ガイドB18bと流入孔19a,流出孔19bによりインナーパイプ16内外を入ったり出たりする。ガスは徐々に冷却され、ガス出口17bさらに出口キャップ8の出口8aより排出される。ガスは冷却され体積が小さくなって機関内に吸入される。熱交換チューブ11は蛇腹状になっており冷却水との熱交換が効率的に行われる。
【0012】
機関からの振動は嵌合部15,15を介して熱交換チューブ11に伝わるが、熱交換チューブ11は剛性を持ったインナーパイプ16に深谷部14を介して保持されているため、大きく振れることはなく、ボディ1,他の熱交換チューブ11と干渉することはない。機関の振動があっても肉厚の薄い熱交換チューブ11内のインナーパイプ16により保持されているので、強度上の問題が生じない。
【0013】
図3は、この発明に係る第2の実施の形態を示すもので、熱交換チューブ11は、上記実施の形態同様の構成すなわち両端部に円筒形の嵌合部15,15を有し、両嵌合部15,15間に山部12と谷部13とが交互に形成され、さらに、山部12と谷部13とで形成される蛇腹状部分の軸方向の中央に位置するところに深谷部14が形成される。各部の寸法関係は上記実施の形態の場合と同じであり、深谷部14は、上記実施の形態同様、環状に形成されている。
【0014】
インナーパイプ36は、パイプ状でその一方側がガス入口17a、他方側がガス出口17bを構成し、外径が熱交換チューブ11の嵌合部15の内径および深谷部14内径に等しい。そして、インナーパイプ36のガス入口17a側に向けてインナーパイプ36内方に開く傾斜ガイドA18aが対向する位置に一対形成され、傾斜ガイドA18a,18aの形成によって流入孔19a,19aが作られる。さらに、傾斜ガイド18a,18aの下流側に、インナーパイプ36のガス出口17b側に向けてインナーパイプ36内方に開く傾斜ガイドB18bが対向する位置に形成され、傾斜ガイドB18b,18bの形成によって流出孔19b,19bが作られる。一対の傾斜ガイドA18a,18aと一対の傾斜ガイドB18b,18bとは交互に形成される。傾斜ガイドA18a、傾斜ガイドB18bは、第1の実施の形態と同じように、すなわち、円周方向の一辺と軸方向の二辺に切込みを入れて、インナーパイプ36内方に所定角度折り曲げて形成される。
【0015】
この実施の形態では、傾斜ガイドA,Bを対向する位置にそれぞれ一対づつ形成しているので、第1の実施の形態のものに比べて流出孔19a,流入孔19bを出入りするガスの量が多いので熱交換効率が高い。さらに流出孔19b,19bにおいては、2つの傾斜ガイドB18b,18bで流路が狭くなっているので、ガスの流れを流れの絞り効果(エジェクタ効果)が得られ、チューブ内部とチューブと熱交換チューブの間とで、排気ガスの流出を促進させ冷却能力がさらに向上する。
【0016】
傾斜ガイドA,Bはインナーパイプの組付けの関係上内向きでなければならないが、その形成位置は任意でよく、また、周方向または軸方向に設ける個数はいくつでもよい。さらに、深谷部は熱交換チューブの軸方向中央に1個設けた場合を例示したが、適宜増やすことができ、さらにまた周方向で断続するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この発明は、内燃機関に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明を実施するための第1の形態を示す図。
【図2】この発明を実施するための第1の形態の熱交換チューブの断面図。
【図3】この発明を実施するための第2の形態の熱交換チューブの断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 ボディ
3 エンドプレート
4 取付け孔
5 冷却水入口
6 冷却水出口
9 間隙
11 熱交換チューブ
12 山部
13 谷部
14 深谷部
15 嵌合部
16,36 インナーパイプ
17a ガス入口
17b ガス出口
18a 傾斜ガイドA
18b 傾斜ガイドB
19a 流入孔
19b 流出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に冷却水入口および冷却水出口を有する筒状のボディと、このボディの両端をそれぞれ閉塞し、複数の取付け孔を有するエンドプレートと、両端部に円筒状の嵌合部を有し、両嵌合部間が、山部と谷部とが交互に蛇腹状に形成され、しかも所定箇所を除く多数の谷部内径が嵌合部の内径より大きく設定されるとともに、所定箇所の谷部内径が嵌合部の内径に等しく設定された深谷部を形成してなる熱交換チューブが両エンドプレートの取付け孔間に両嵌合部を介して配設され、さらに熱交換チューブの内側に、パイプ状でその一方側がガス入口、他方側がガス出口となし、外径が熱交換チューブの嵌合部の内径に等しく、側面にガス入口側に向けて内方に開く傾斜ガイドAと該ガイドAの形成によって作られる流入孔、さらに、ガス出口側に向けて内方に開く傾斜ガイドBと該ガイドBの形成によって作られる流出孔とを有するインナーパイプが配設されて、インナーパイプの外面が熱交換チューブの両嵌合部および深谷部に内接し、他の部分は谷部との間に間隙を形成するように構成され、各接触部がろう付けされているEGRガスクーラ用のクーラエレメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−329123(P2006−329123A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155948(P2005−155948)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【Fターム(参考)】