説明

内燃機関用の排気ガス浄化装置を有する2ステージ過給システムおよびそれを制御する方法

【課題】EGR循環路の排気ガスを浄化するのを可能にしつつ過給システムの同じ機能を実現するシステムによって従来技術の欠点を解消すること。
【解決手段】本発明は、吸気分配装置16および排気マニフォルド18を含む少なくとも1本の気筒12と、機関の吸気口に排気ガスを再循環させる再循環配管78とを有する内燃機関用の2ステージ過給システムであって、圧縮機30に連結された膨張タービン26を含むターボチャージャを有する高圧過給ステージ、および圧縮機32に連結された膨張タービン28を含むターボチャージャを有する低圧過給ステージ24と、排気口40と高圧ターボチャージャのタービン26との間に配置された排気ガス浄化手段とを有する過給システムに関する。本発明によれば、このシステムは、機関排気口40から始まり低圧ターボチャージャ24のタービン28で終わる排気ガスバイパス分岐管70を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の2ステージ過給システムおよびそれを制御する方法に関する。本発明は特に、この種の機関からの排気ガスの汚染除去処理に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に認められているように、内燃機関によって発生する出力は、この機関の燃焼室に送り込まれる空気の量によって決まる。この空気は、燃料と混合され、得られた混合物の燃焼が実現される。
【0003】
この空気量自体がこの空気の密度に比例するため、高出力が必要な場合、この空気量の増大は圧縮によって実現される。この圧縮は一般に、空気がこの燃焼室に導入される前に行われる。
【0004】
この工程は、過給と呼ばれ、一般的にはターボチャージャと呼ばれる、機関の排気ガスによって掃気されるタービンによって駆動される圧縮機によって行なわれる。
【0005】
特許文献1には、この機関の効率を向上させ、かつその燃料消費量を削減しつつ、燃焼室に送り込まれる空気の圧縮をさらに強めるのを可能にする2つの過給ステージを含む内燃機関が記載されている。
【0006】
より正確に言えば、これらの2つのステージは、互いに対して直列に配置され、かつ2つのターボチャージャ、すなわち、高圧(HP)ターボチャージャおよび低圧(LP)ターボチャージャで構成される。HPターボチャージャは特に、低流量に適しており、一方、LPターボチャージャはより高い流量に適している。
【0007】
これらのターボチャージャはそれぞれ、駆動軸によって圧縮機に連結された膨張タービンで構成される。これらの2つのターボチャージャは、機関の排気管から得られた排気ガスを供給されたHPターボチャージャのタービンが、排気ガスをLPターボチャージャのタービンに供給し、一方、LPターボチャージャの圧縮機が排気ガスをHPターボチャージャの圧縮機に供給するように構成される。
【0008】
特許文献1に詳しく記載されているように、EGR循環路と呼ばれる燃焼ガス再循環路が設けられる。この循環路は基本的に、EGR配管と呼ばれ、排気ガスを(一般に排気マニフォルド出口の所にある)、この機関の排気管の分岐連結部からこの機関の吸気口の所の連結点(より正確には吸気分配装置)に導入するのを可能にする配管を有する。
【0009】
したがって、このEGR循環路は、排気ガスを燃料混合物に添加するのを可能にし、特に、この混合物の燃焼温度を低下させることによって窒素酸化物(NOx)の生成量を少なくする。
【0010】
さらに、EGR配管の上流側でかつ排気口の下流側に追加的なガス浄化手段が収納される。この浄化手段は、以下では前置触媒と呼ばれ、すべての機関が通常触媒の形で備える主排気ガス浄化装置に付加される。
【0011】
排気ガスに含まれる汚染物質を効率的に処理することができるように、この主触媒は、最初は周囲温度であり、主触媒が点火するのに十分な温度レベルに達するまで主触媒を通って流れる排気ガスによって加熱する必要がある。
【0012】
大気への汚染物質の排出量を最小限に抑えるために、前置触媒は、それが排気口のより近くに配置されることを考慮して主触媒より急速にその点火温度に達するようになっている。したがって、この前置触媒は、排気ガスに含まれる汚染物質の一部をより高速に処理するのを可能にする。
【0013】
特に、この前置触媒は有利なことに、排気ガスに含まれるHC(未燃炭化水素)およびCO(一酸化炭素)を処理するのを可能にする酸化前置触媒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】PCT特許出願公開明細書2008/155268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、この前置触媒は、高流量の排気ガスによって横断されると、圧力が著しく低下し、機関の気筒からの排気ガスの排出を阻害する背圧を生じさせるという主な欠点を有する。
【0016】
これを解消するには、特許文献1に詳しく記載されているように、HPタービンに備えられ、このタービンを高流量のガスから迂回させるのを可能にするバイパス配管の下流側に前置触媒を配置する必要がある。
【0017】
したがって、LPターボチャージャが単独で使用されるときにはこの前置触媒によって圧力降下が生じることはない。
【0018】
他の欠点は、循環される排気ガスを吸気口に送り返す前にも浄化するように前置触媒が構成されていないことである。このガスに含まれるHCおよびCOを除去すれば、一方では、負荷制御が容易になり、他方では、再循環される排気ガスによって掃気される機関の様々な部分の汚染が低減するため、このことはさらに不利である。
【0019】
本発明の目的は、EGR循環路の排気ガスを浄化するのを可能にしつつ過給システムと同じ機能を実現するシステムによって上記の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、吸気分配装置および排気マニフォルドを含む少なくとも1本の気筒と、内燃機関の吸気口に排気ガスを再循環させる再循環配管とを有する内燃機関用の2ステージ過給システムであり、圧縮機に連結された膨張タービンを含むターボチャージャを有する高圧過給ステージ、および圧縮機に連結された膨張タービンを含むターボチャージャを有する低圧過給ステージと、排気口と高圧ターボチャージャのタービンとの間に配置された排気ガス浄化手段とを有するシステムにおいて、機関の排気口から始まり低圧ターボチャージャのタービンの所で終わる排気ガスバイパス分岐管を有することを特徴とする、過給システムに関する。
【0021】
有利なことに、バイパス分岐管はスロットル手段を有していてもよい。
【0022】
スロットル手段はマルチピストン弁を有していることが好ましい。
【0023】
バイパス分岐管は、高圧ターボチャージャタービンの出口を低圧ターボチャージャタービンの吸気口に連結する配管の合流点で終わっていてもよい。
【0024】
排気ガス浄化手段は、排気ガス排気口と排気ガス再循環配管との間に配置することができる。
【0025】
本発明は、吸気分配装置および排気マニフォルドを含む少なくとも1本の気筒と、内燃機関の吸気口に排気ガスを再循環させる再循環配管とを有する内燃機関用の2ステージ過給システムであり、圧縮機に連結された膨張タービンを含むターボチャージャを有する高圧過給ステージ、および圧縮機に連結された膨張タービンを含むターボチャージャを有する低圧過給ステージと、排気口と高圧ターボチャージャのタービンとの間に配置された排気ガス浄化手段とを有するシステムを制御する方法において、機関運転モードの場合に、排気ガスの一部を排気口から、低圧ターボチャージャのタービンの所で終わるバイパス分岐管に送り、この排気ガスの他の部分を排気口から、ガス再循環配管に連結された配管に送ることを含むことを特徴とする、過給システムを制御する方法にも関する。
【0026】
この方法は、他の機関運転モードの場合に、排気ガスが排気口からバイパス分岐管の方へ循環するのを防止することと、排気ガスを、ガス再循環配管および高圧ターボチャージャタービンの吸気口に排気ガスを運ぶ配管に送ることとを含んでよい。
【0027】
この方法は、配管内を循環するガスを排気ガス浄化手段を通して送ることを含んでよい。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、非制限的な例として与えられる以下の説明を、添付の図面を参照しながら読むことによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による内燃機関用の追加的な排気ガス浄化装置を有する2ステージ過給システムを示す図である。
【図2】第1の運転構成による図1の機関を示す図である。
【図3】第2の運転構成による図1の機関を示す図である。
【図4】第3の運転構成による図1の機関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1では、内燃機関10、特に直接噴射機関、とりわけディーゼル式の直接噴射機関は、燃料混合物の燃焼が生じる燃焼室14を含む少なくとも1本の気筒を有する。この機関は、燃焼室14内で燃料混合物を得るのに必要な流体を供給するのに使用される吸気分配装置16も有している。ここで流体と呼ばれるものは、過給空気と再循環された排気ガスの混合物である。燃焼室14に入っている燃料混合物の燃焼によって生じた排気ガスは、排気マニフォルド18に排出される。
【0031】
過給システム20は、HPターボチャージャ22で構成される第1ステージと、LPターボチャージャ24で構成される第2ステージとを含む2つのターボ圧縮ステージを有している。
【0032】
各ターボチャージャは、軸34、36によって圧縮機30、32を回転駆動するタービン26、28を有している。
【0033】
2つのターボチャージャは、HPターボチャージャ22の膨張タービン26(またはHPタービン)がLPターボチャージャ24の膨張タービン28(またはLPタービン)に流体を供給することができ、かつHPターボチャージャの圧縮機30(またはHP圧縮機)がLPターボチャージャの圧縮機32(またはLP圧縮機)から流体を供給されることができるように互いに対して配置されている。
【0034】
図1を見るとよく分かるように、排気ガス循環配管38は、排気マニフォルド18の出口管40を、出口44が排気ガス循環配管48によってLPタービン28の吸気口46に連結されたHPタービンの吸気口42に連結している。LPタービンの出口50は、あらゆる機関に通常備えられる排気配管52に連結されている。一般に、この配管は、触媒、特に三元触媒などの主排気ガス浄化手段(不図示)を備えている。
【0035】
LP圧縮機32の吸気口54は、空気などの外部流体を供給配管56を通して供給される。LP圧縮機の出口58は、空気循環配管60によってHP空気圧縮機30の吸気口62に連結され、かつこの圧縮機の出口64は、空気循環配管66によって吸気分配装置16の入口68に連結されている。
【0036】
以下の説明で使用される語「上流側」および「下流側」は、排気マニフォルド18と排気配管52との間を排気ガスが循環する方向を指すか、または供給配管56と吸気分配装置16との間を流体が循環する方向を指すのに使用される。
【0037】
排気ガスバイパス分岐管70は、配管38とマニフォルドの出口管40との交差点の所にあるHPタービン26の上流側の分岐連結部72から始まる。この分岐管70は、配管48の、HPタービンの出口44とLPタービンの吸気口46との合流点74で終わる。
【0038】
この分岐管70は、排気ガスの循環を制御するのを可能にするスロットル手段76を、分岐連結部72と合流点74との間に有している。有利なことに、このスロットル手段76は、この分岐管70の完全開位置と完全閉位置との間の多位置弁である。
【0039】
もちろん、この弁は、この機関の機関計算機の制御の下で、当業者に一般的に知られている任意の手段によって制御される。
【0040】
EGR(排気ガス再循環)配管と呼ばれる配管78は、機関の排気ガスを機関の吸気口に送り返すのを可能にする。より正確には、この配管は、HPタービン26の上流側でかつ分岐連結部72の下流側の、配管38の連結点80を、配管66の他の連結点82に連結している。
【0041】
機関吸気口へのこの排気ガス再循環は従来、燃料混合物の燃焼時に排出される窒素酸化物(NOx)のようないくつかの汚染物質の排出量を削減するのに使用されている。
【0042】
もちろん、広く知られているように、このEGR配管78は、内部を流れる排気ガスを冷却するのを可能にする熱交換器と、一般にEGR弁と呼ばれ、このEGR配管内の排気ガスの循環を制御するのを可能にする弁とを保持することができる。
【0043】
HP圧縮ステージは、HP圧縮機30の短絡配管84を有している。この配管84は、HP圧縮機30とLP圧縮機との間の配管60の上流側点86から始まり、HP圧縮機の出口64とEGR配管の連結点82との間の下流側点88で終わる。この配管84は、空気の循環を制御するのを可能にするスロットル手段90を上流側点と下流側点との間に保持している。
【0044】
追加的な排気ガス浄化手段92は、以下の説明では前置触媒と呼ばれ、配管38の、EGR配管の連結点80と分岐管70を含む分岐連結部72との間に配置されている。
【0045】
この前置触媒は通常、排気ガスによって横切られる多孔体であり、排気ガス汚染物質の一部を触媒相自体に反応させる触媒相を有している。
【0046】
この前置触媒92は、このガスに含まれる熱から最大限の利益が得られるように排気ガスの排気口40のできるだけ近くに配置されることが好ましい。したがって、この前置触媒92は、より急速に温まり、より急速に点火温度に達する。
【0047】
有利なことに、この前置触媒92は、特に排気ガスに含まれるHCおよびCOを処理するようになっている。
【0048】
機関アイドル相つまり低負荷相のように、排気ガス流量がHPターボチャージャ22の使用に適合している運転モードでは、図2に示されているように、弁76が分岐管70の完全閉位置に調節され、したがって、分岐管70内の排気ガスの循環が防止される。同様に、スロットル手段90の弁は、閉位置に調節され、短絡配管84内の空気の循環が防止される。
【0049】
マニフォルド18の出口管40からの排気ガスは、配管38内を循環し(矢印F1)、前置触媒92を通って流れる。この前置触媒92は、このガスの大部分を除去することによって、ガスに含まれるHCおよびCO汚染物質を処理する。
【0050】
処理済みのガスは次に、連結点80に達し、そこで2つの流れ、すなわち、HPタービン26に送られる第1の流れF2とEGR配管78に送られて排気ガスを機関吸気口に再循環させる第2の流れF3とに分割される。
【0051】
排気ガス流F2は、HPタービン26に備えられているロータをガスが回転駆動するような圧力およびエネルギーでHPタービン26の吸気口42に到達する。このガスは次に、出口44を通ってタービンから排出され、配管48内を循環し、配管48を通ってLPタービン28の吸気口46に運ばれる。ガスは次に、LPタービンの出口50を通って排気配管52内に排出される。
【0052】
説明を簡略化するために、図2の例では、LPタービン28を通って流れる排気ガスのエネルギーがこのタービンを回転させることはないものとする。したがって、LP圧縮機32は駆動軸36によって回転駆動しない。
【0053】
供給配管56を通ってLP圧縮機32の吸気口54に流入した外気は、この圧縮機32を通って流れ、吸気口の所の圧力(一般に大気圧)に近い圧力で圧縮機32の出口に到達する。この空気は次に、HPタービン26に連結された駆動軸34によってロータが回転駆動されるHP圧縮機30の吸気口62に導入される。この回転によって、空気は、圧縮され、圧縮形態で出口64を通して排出され、そこから連結点82に到達する。この点82から、この圧縮空気は、EGR配管78内を循環する排気ガス流F3と混合する。圧縮空気と排気ガスの混合物は次に、配管66を通って吸気分配装置16の吸気口68に送られ、最終的に、燃焼室14で燃焼することのできる燃料混合物が得られる。
【0054】
前置触媒は、その構成および排気口に非常に近いその配置位置のために非常に早い時期に活性化されるので、圧縮空気と混合されかつ吸気口に再循環される排気ガスからなる流れF3から大部分の汚染物質が除去される。同様に、排気ガス流F2は、汚染除去され、浄化されたLPタービンの出口50に到達する。したがって、排気配管52に配置された主汚染除去手段が動作可能でないにもかかわらず、大気中に排出される排気ガスは、その汚染物質の大部分が除去される。
【0055】
もちろん、当業者なら、アイドル条件つまり低負荷条件の下で動作する機関からの排気ガスのエネルギーの量に対して完全に有効になるようにHPターボチャージャ22を構成するのに必要なすべての処置を施すことができる。
【0056】
機関媒体負荷条件の下で運転する場合(図3参照)、構成は、分岐管70のスロットル手段76の弁および短絡配管84のスロットル手段90の弁が閉位置に維持された図2の構成と同一である。
【0057】
そのような運転条件の下では、排気ガスの圧力およびエネルギーは図2のモードの圧力およびエネルギーに対して増大する。排気ガス流F2は、HPタービン26を通って流れ、このタービンを回転駆動する。このガスは次に、HPタービン26から排出され、LPタービン28のロータを回転駆動するのに十分なガス圧力およびエネルギーでLPタービン28に到達する。
【0058】
したがって、排気ガス流F2が2つのタービン26および28を回転させ、タービン26および28が駆動軸34および36によって2つの圧縮機30および32を回転駆動する。
【0059】
配管56を通って流入した外気は、第1のレベル(大気圧より数百ミリバール程度高い圧力)に圧縮されつつLP圧縮機32を通って流れる。この圧縮空気は次に、HP圧縮機30に導入され、LP圧縮機32の出口の所より高い圧力の圧縮状態でHP圧縮機30から出る。
【0060】
HP圧縮機30から出た圧縮空気は、連結点82に到達し、そこでEGR配管78内を循環する排気ガス流F3と混合する。圧縮空気と排気ガスの混合物は次に、配管66を通って吸気分配装置16の入口68に送られ、最終的に燃焼室14で燃焼することのできる燃料混合物が得られる。
【0061】
同様に、上述のように、圧縮空気と混合されかつ吸気口に再循環される排気ガスと、排気配管52を通って大気中に排出される排気ガスは、それに含まれる汚染物質の大部分が除去される。
【0062】
図4に示されているようなより高い負荷での運転では、スロットル手段76の弁はバイパス分岐管70の完全開位置であり、スロットル手段90の弁は、LP圧縮機32の短絡配管84内で空気を循環させる位置である。
【0063】
マニフォルド18から排出された排気ガスは、浸透性の高い循環路を通って流れることが好ましい。より正確に言えば、このガスはバイパス分岐管70に流入し、したがって、HPタービン26を迂回する。したがって、LPタービン28のみが排気ガスによって回転駆動され、それによって、HPターボチャージャ22は動作不能になる。同様に、一般にそうであるように、吸気口と排気口との圧力差は、排気口から吸気口へのガス流の広がりを推進し、排気ガスは、配管38を通って流れ、機関吸気口に再循環される。
【0064】
したがって、この構成では、排気ガスは、出口40から容量の異なる2つの流れ、すなわち、前置触媒92に送られる低容量流F1とバイパス分岐管70に送られる高容量流F4に分割される。
【0065】
流れF4は、LPタービン28の吸気口46に到達し、LPタービン28のロータを回転駆動する。このガスは次に、LPタービン28の出口50を通って排気配管52内に排出される。排気配管52に配置された主浄化装置がその点火温度に達したため、排気ガスは、大気中に排出される前に処理される。
【0066】
流れF1は、前置触媒92を通って流れ、連結点80に到達し、EGR配管78内を他方の連結点82まで循環する。
【0067】
したがって、外気は、供給配管56を通って流入し、かつ外気は、LP圧縮機32を通って流れ、そこで圧縮され、高圧で圧縮機32から出て、その後配管84の上流側点86に到達する。この圧縮空気は、配管84内を循環し、配管66の下流側点88に到達する。圧縮空気は次に、連結点82に到達し、そこでEGR配管78内を循環する排気ガス流と混合する。
【0068】
上述のように、圧縮空気と排気ガスの混合物は次に、配管66を通して吸気分配装置16の入口68に送られ、燃焼室14内で燃焼する燃料混合物が得られる。
【0069】
この構成のために、圧縮空気と混合されかつ吸気口に再循環される排気ガスの流れは、機関運転モードにかかわらず、前置触媒92によってその汚染物質の大部分が除去される。
【0070】
本発明は、上記の例に制限されず、本発明の対象となるあらゆる変形の実施形態または同等の実施形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気分配装置(16)および排気マニフォルド(18)を含む少なくとも1本の気筒(12)と、内燃機関(10)の吸気口に排気ガスを再循環させる再循環配管(78)とを有する内燃機関(10)用の2ステージ過給システムであって、
圧縮機(30)に連結された膨張タービン(26)を含むターボチャージャを有する高圧過給ステージ(22)、および圧縮機(32)に連結された膨張タービン(28)を含むターボチャージャを有する低圧過給ステージ(24)と、排気口(40)と高圧ターボチャージャのタービン(26)との間に配置された排気ガス浄化手段とを有する過給システムにおいて、
内燃機関の前記排気口(40)から始まり低圧ターボチャージャ(24)のタービン(28)で終わる排気ガスバイパス分岐管(70)を有することを特徴とする、過給システム。
【請求項2】
前記バイパス分岐管(70)はスロットル手段(76)を有する、請求項1に記載の過給システム。
【請求項3】
前記スロットル手段(76)はマルチピストン弁(76)を有する、請求項2に記載の過給システム。
【請求項4】
前記バイパス分岐管(70)は、高圧ターボチャージャ(22)のタービンの出口(44)を低圧ターボチャージャ(24)のタービン(28)の吸気口(46)に連結する配管(48)の合流点(74)で終わる、請求項1または2に記載の過給手段システム。
【請求項5】
排気ガス浄化手段(92)は、前記排気口(40)と排気ガス再循環配管(78)との間に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の過給システム。
【請求項6】
吸気分配装置(16)および排気マニフォルド(18)を含む少なくとも1本の気筒(12)と、内燃機関(10)の吸気口に排気ガスを再循環させる再循環配管(78)とを有する前記内燃機関(10)用の2ステージ過給システムであって、圧縮機(30)に連結された膨張タービン(26)を含むターボチャージャを有する高圧過給ステージ(22)、および圧縮機(32)に連結された膨張タービン(28)を含むターボチャージャを有する低圧過給ステージ(24)と、排気口(40)と高圧ターボチャージャのタービンとの間に配置された排気ガス浄化手段とを有する過給システムを制御する方法であり、
機関運転モードの場合に、排気ガスの一部(F4)を前記排気口(40)から、低圧ターボチャージャ(24)のタービン(28)の所で終わるバイパス分岐管(70)に送り、この排気ガスの他の部分(F1)を前記排気口(40)から、前記ガス再循環配管(78)に連結された配管(38)に送ることを含むことを特徴とする、過給システムを制御する方法。
【請求項7】
他の機関運転モードの場合に、前記排気ガスが排気口(40)から前記バイパス分岐管(70)の方へ循環するのを防止することと、前記排気ガスを、前記ガス再循環配管(78)および高圧ターボチャージャ(22)のタービン(26)の吸気口に排気ガスを運ぶ配管(38)に送ることとを含む、請求項6に記載の過給システムを制御する方法。
【請求項8】
配管(38)内を循環する前記ガスを、排気ガス浄化手段(92)を通って送ることを含む、請求項6または7に記載の過給システムを制御する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−249140(P2010−249140A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93804(P2010−93804)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】