説明

内燃機関用の点火コイル

【課題】ケース内にインサートするGND端子が成形時の誤差によって大きくなった場合のブッシュ及び絶縁ケース内からの応力による絶縁ケースの破損と、ケース内にインサートするGND端子が成形時の誤差によって小さくなった場合の接続不良を防止する。
【解決手段】ケース40に形成した略円筒形状の導電性ブッシュ54を有したフランジ46と、ケース内にインサートした導電性を有したGND端子50と、からなる内燃機関用の点火コイルにおいて、GND端子は、ブッシュと接続するブッシュ側部と、鉄芯20と電気的に接続する鉄芯側部と、弾性部と、を有し、弾性部は、ブッシュ側部から鉄芯側部までの寸法の補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の点火コイルに関し、特にGND接続端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関用の点火コイルにおいて、鉄芯及び1次コイルからのノイズを除去するために点火コイルのコネクタ内にグランド用端子を備える構造とするものがある。しかし、コネクタ内にグランド用の端子を備えると、コネクタ内に備えられた点火信号の端子がノイズの影響を受けてしまう問題が生じた。
【0003】
このような問題を解決するために、点火コイルを取り付け固定するフランジに備えられたグランド端子を介して取り付け用ボルトからグランド電位が確保されている。また、このような点火コイルにはグランド端子をケースの取り付けフランジ内にインサートし、グランド端子の変形及び破損を防ぐことを目標としていくつかの構成が提案されている。この代表的な例として、例えば特開2007−198193号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
【0004】
上記特許文献1においては、内燃機関用点火コイルは、一次コイル及び二次コイルと、その二つのコイルを磁気的に結合させる鉄心と、これらを収納する絶縁ケースとを備え、絶縁ケースのフランジ部を取り付けボルトでエンジンに固定することにより当該ボルト或いはブッシュを介してエンジンと接地する接地端子をフランジ部に有するものであって、接地端子をフランジ部に内蔵するととともに、フランジ部に形成したボルト孔近傍に設置したブッシュを介してエンジンと導通させる。
【0005】
また、接地端子はフランジ部の厚さ方向のほぼ中央に設置されており、ボルト孔の位置で上下から挿入された導電性を有するブッシュによって狭持されている。ブッシュは、ボルト孔の内周に挿通されており、取り付けボルトを締め付けることにより、接地端子と電気的導通が生じる。さらに、2個のブッシュと接地端子との厚さの総計は、フランジ部の厚さよりやや厚く構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−198193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来の点火コイルでは次のような問題が生じている。即ち、特許文献1の点火コイルでは、前記接地端子を前記フランジ部に内蔵するとともに、フランジ部に形成したボルト孔近傍に設置したブッシュを介して接地端子とエンジンとを導通させる。これにより接地端子と取り付けボルトが直接接触することがなく、変形や破断されることを防いでいる。
【0008】
しかし、接地端子が成形時の誤差によって大きくなった場合、ブッシュ及び絶縁ケース内からの応力によって絶縁ケースの破損が生じる。また、接地端子が成形時の誤差によって小さくなった場合、ブッシュ又は絶縁ケース内への長さが不足し、接続不良が生じる。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、GND端子が成形時の誤差によって個体差が生じても、ケースの破損や接続不良の発生を抑制することができる内燃機関用の点火コイルを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、中心鉄芯と外周鉄芯とからなる鉄芯及び1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイル及び2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルを収容するケースと、当該ケースに形成した略円筒形状の導電性ブッシュを有したフランジと、前記ケース内にインサートした導電性を有したGND端子と、からなる内燃機関用の点火コイルにおいて、当該GND端子は、前記ブッシュと接続するブッシュ側部と、前記鉄芯と電気的に接続する鉄芯側部と、弾性部と、を有し、当該弾性部は、前記ブッシュ側部から前記鉄芯側部までの寸法の補正を行うことを特徴とする内燃機関用の点火コイルとする。
【0011】
上記構成においては、前記GND端子は、線状又は平板状の金属から成形してもよい。また、前記弾性部は、前記ブッシュ側部と前記鉄芯側部との間に形成されたバネ部としてもよいし、前記弾性部は、前記ブッシュ側部と前記鉄芯側部との間に形成された少なくとも1つ以上の曲部としてもよい。さらに、前記GND端子は、前記ブッシュ側部に折り返し部を形成し、前記鉄芯側部が前記鉄芯と電気的に2点接触してもよいし、前記GND端子は、前記鉄芯側部に折り返し部を形成し、前記ブッシュ側部が前記ブッシュと2点接触してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り、ケースに形成した略円筒形状の導電性ブッシュを有したフランジと、ケース内にインサートした導電性を有したGND端子と、からなる内燃機関用の点火コイルにおいて、GND端子は、ブッシュと接続するブッシュ側部と、鉄芯と電気的に接続する鉄芯側部と、弾性部と、を有し、弾性部は、ブッシュ側部から鉄芯側部までの寸法の補正を行うことで、GND端子が成形時の誤差によって個体差が生じても、ケースの破損や接続不良の発生を抑制することができる内燃機関用の点火コイルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図である。
【図2】図1の矢印(A)方向から見たB-B断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例とするGND端子の斜視図である。
【図4】図3の矢印(C)方向から見た側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例とする内燃機関用の点火コイルの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例とするGND端子の斜視図である。
【図7】図6の矢印(D)方向から見た側面図である。
【図8】本発明の第3の実施例とする内燃機関用の点火コイルの断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例とするGND端子の斜視図である。
【図10】図9の矢印(E)方向から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図10に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図を図1に、図1の矢印(A)方向から見たB-B断面図を図2に、GND端子の斜視図を図3に、図3の矢印(C)方向から見た側面図を図4にそれぞれ示す。
【0016】
図1乃至図4において、点火コイル80の外形を形成するケース40は、絶縁性の樹脂からなる鉛直方向上面に開口面を有した箱型の一体成形で形成されている。また、当該ケース40には当該点火コイル80を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するための略三角柱状のフランジ46を形成している。さらに、当該フランジ46の先端部46a付近には当該エンジンヘッドに固定するためのボルトを通すための略円筒状の導電性を有したブッシュ54がインサート成形によって固定されている。
【0017】
また、前記ケース40の側面にはバッテリからの1次電圧及びECUからの点火信号を受け取るためのコネクタ端子60を有したコネクタ44が形成されている。さらに、前記点火コイル80の外側側面には2次電圧を点火プラグに供給するための高圧端子58を備える高圧タワー42がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0018】
また、前記ケース40の外側底面は前記高圧タワー42方向へ向かってすり鉢状に形成されている。さらに、前記高圧タワー42には前記高圧端子58と前記点火プラグを電気的に接続するためのスプリングを有したプロテクタを備えている。
【0019】
また、前記点火コイル80は、珪素鋼板から構成された薄板を複数枚積層して形成したI字型の中心鉄芯20とコの字型の外周鉄芯22とからなる鉄芯と、当該中心鉄芯20の外周に樹脂で成形された1次ボビン10の外周に1次巻線12を100ターン程度巻き回した1次コイルと、当該1次コイルの外周に樹脂で成形された2次ボビン14の外周に2次巻線16を8000〜15000ターン程度巻き回した2次コイルのコイル部から構成されている。
【0020】
また、前記外周鉄芯22は前記鉄芯の磁路が前記ケース40の開口面と垂直方向になるように配置されている。さらに、前記中心鉄芯20と前記外周鉄芯22の接続面の一方には前記1次コイルにより発生した磁束と反対方向の磁束を磁路中に発生させるためのマグネット26を備えている。
【0021】
また、前記2次ボビン14の一端には前記高圧端子58に2次電圧を供給するための2次高圧端子62が備えられている。さらに、前記2次ボビン14の他端には前記1次コイルからの1次電圧を受け取るための2次低圧端子(図示しない)が備えられている。
【0022】
また、前記ケース40内には前記1次コイルへ点火信号を供給するスイッチング素子及びリードフレームを絶縁樹脂モールドしたものからなるイグナイタ30が備えられている。さらに、当該リードフレームは当該スイッチング素子のベース及びコレクタ、エミッタのそれぞれが外部と接続するためのイグナイタ端子32としての機能を有している。
【0023】
また、前記コネクタ端子60は前記バッテリから前記1次コイル及び前記2次コイルの低圧側とを結ぶ端子と、前記ECUから前記イグナイタ30のベース側に配置された前記イグナイタ端子32を結ぶ端子と、前記イグナイタ端子32のエミッタ側に配置された前記イグナイタ端子32からグランドを結ぶ端子の合計3本の端子から構成されている。
【0024】
また、前記イグナイタ端子32及び前記コネクタ端子60は略平板状の金属端子を有し、前記イグナイタ端子32及び前記コネクタ端子60は前記ケース40開口面と垂直方向に導出され、前記コネクタ端子60は前記ケース40に形成された前記コネクタ44と同一面の前記ケース40の内壁に這って配置されている。さらに、前記イグナイタ端子32及び前記コネクタ端子58のうち2個を同方向に導出させると共に、それぞれの間で電気的に導通を実現する如く溶接を用いて接続されている。
【0025】
また、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記ブッシュ54から前記ケース40のコイル収容部を結ぶ線状のステンレスで成形したGND端子50をインサート成形で備える。さらに、前記ケース40内には当該GND端子50と前記中心鉄芯20及び前記外周鉄芯22の電気的接続を行う接続端子56を備えている。
【0026】
また、前記GND端子50のブッシュ側部51aは前記ブッシュ54の径方向外周面を保持するためにバネ状の保持部50aが形成されている。さらに、前記GND端子50の鉄芯側部51bは前記ケース40の前記フランジ46と同一面に配置される。
【0027】
また、前記GND端子50の前記ブッシュ側部51aは折り返し部50bを有し、前記鉄芯側部51bは前記ブッシュ側部51aから2本引き出した接続部50cが形成され、前記鉄芯側部51bは前記接続端子56と2点接触している。さらに、当該2本の接続部50cはそれぞれの前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの間に、バネ部53aからなる弾性部52を形成している。
【0028】
また、前記バネ部53aは前記ブッシュ側部51aと前記鉄芯側部51bを結ぶ方向に弾性力を有した向きに配置されている。さらに、前記バネ部53aは軸方向を前記ブッシュ54の軸方向と垂直となる向きに配置している。
【0029】
また、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを治具で固定して前記ケース40にインサート成形している。さらに、前記接続端子56の前記中心鉄芯20及び前記GND端子50との接続面には突部を形成し、前記接続端子56は前記中心鉄芯20及び前記GND端子50と線接触している。
【0030】
また、前記外周鉄芯22は前記中心鉄芯20及び前記マグネット26、前記接続端子56との接続面を除いた周囲をポリブチレンテレフタレートで成形された鉄芯カバー24で覆われている。さらに、前記接続端子56は前記鉄芯カバー24にインサート成形され、前記外周鉄芯22と電気的接続及び保持がされている。
【0031】
また、前記ケース40内には前記点火コイル80の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現するモールド樹脂70が充填されている。さらに、当該モールド樹脂70が前記ケース40の前記開口面付近まで充填され、前記鉄芯及び前記1次コイル、前記2次コイルは前記ケース40の前記開口面付近に形成される樹脂面72より低い位置に備えられている。
【0032】
上記構成により、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記GND端子50をインサート成形で備え、前記2本の接続部50cのそれぞれに前記バネ部53aからなる前記弾性部52を形成している。また、前記ケース40成形時に、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを前記治具で固定される。このことから図2及び図4に示すように、前記ケース40成形時に前記弾性部52が前記ブッシュ側部51aからの応力及び前記鉄芯側部51bからの応力を吸収することで前記治具によって前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L1が前記GND端子50の個体差に関係なく均一となる。
【0033】
また、前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L1が均一となると、前記ケース40内に前記コイル部を収容した際に前記GND端子50が前記ブッシュ54及び前記接続端子56と確実に接続できると共に、前記GND端子50及び前記ブッシュ54が変形することや前記フランジ46が壊れることを防ぐことができる。
【0034】
上記実施例1の変形例として、前記ケース40に形成される前記フランジ46の形状はエンジン側の設計事情に合わせて任意の形状に変更してもよい。また、前記ブッシュ54の形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよいし、前記ブッシュ54の径方向外周面に前記GND端子50の前記保持部50aを収容する溝部を形成してもよい。さらに、前記ブッシュ54の径方向外周面に突部を形成し、前記ブッシュ54が前記フランジ46から脱落するのを防ぐような形状としてもよい。
【0035】
また、前記GND端子50はステンレス以外の導電性を有した材質から成形してもよいし、前記GND端子50の前記ブッシュ側部51aに形成する前記保持部50aの形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよい。さらに、前記GND端子50の前記鉄芯側部51bは前記ブッシュ側部51aから2本引き出し、前記接続端子56と2点接触する構成としたが、これに限らず前記鉄芯側部51bの形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよい。
【0036】
また、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する構成であれば、前記フランジ46の形状に合わせて形状を変更してもよい。さらに、前記GND端子50に形成された前記バネ部53aの形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよいし、前記バネ部53aは前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する向きに配置されていれば、径方向を前記ブッシュ54の軸方向と垂直となる向きに配置してもよい。
【0037】
また、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L1を最適な長さにできる構成であれば前記治具で固定する箇所は設計事情によって適宜変更してもよい。さらに、前記GND端子50の前記鉄芯側部51bと前記鉄芯の接続は前記接続端子56を用いずに直接接続する構造としてもよい。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の第2の実施例とする内燃機関用の点火コイルの断面図を図5に、GND端子の斜視図を図6に、図6の矢印(D)方向から見た側面図を図7にそれぞれ示す。
【0039】
当該第2の実施例においては、前記第1の実施例で説明した前記GND端子50の前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51b、前記弾性部52の形状が異なる点を除いた他の構造は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0040】
図5乃至図7において、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記ブッシュ54から前記ケース40のコイル収容部を結ぶ平板状のステンレスで成形したGND端子50をインサート成形で備える。また、前記GND端子50のブッシュ側部51aは前記ブッシュ54の径方向外周面を保持するための保持部50aが形成されている。さらに、当該保持部50aは前記ブッシュ52の中心を軸として前記ケース40の前記コイル収容部から前記フランジ46の前記先端部46a方向へ120度開口して前記ブッシュ54の外周を挟み込んでいる。
【0041】
また、前記GND端子50の鉄芯側部51bは前記ケース40の前記フランジ46と同一面に配置され、当該鉄芯側部51bは前記接続端子56と接触している。さらに、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの間に、1つの曲部53aからなる弾性部52を形成している。
【0042】
また、前記曲部53bは前記ブッシュ側部51aと前記鉄芯側部51bを結ぶ方向に弾性力を有した向きに配置されている。さらに、前記曲部53bは前記ブッシュ54の軸方向に垂直の向きとなる方向に配置した平板面に形成している。
【0043】
また、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを治具で固定して前記ケース40にインサート成形している。
【0044】
上記構成により、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記GND端子50をインサート成形で備え、前記接続部50cに前記1つの曲部53aからなる前記弾性部52を形成している。また、前記ケース40成形時に、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを前記治具で固定される。このことから図5及び図7に示すように、前記ケース40成形時に前記弾性部52が前記ブッシュ側部51aからの応力及び前記鉄芯側部51bからの応力を吸収することで前記治具によって前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L2が前記GND端子50の個体差に関係なく均一となる。
【0045】
また、前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L2が均一となると、前記ケース40内に前記コイル部を収容した際に前記GND端子50が前記ブッシュ54及び前記接続端子56と確実に接続できると共に、前記GND端子50及び前記ブッシュ54が変形することや前記フランジ46が壊れることを防ぐことができる。
【0046】
上記実施例2の変形例として、前記ケース40に形成される前記フランジ46の形状はエンジン側の設計事情に合わせて任意の形状に変更してもよい。また、前記ブッシュ54の形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよいし、前記ブッシュ54の径方向外周面に前記GND端子50の前記保持部50aを嵌合する溝部を形成してもよい。さらに、前記ブッシュ54の径方向外周面に突部を形成し、前記ブッシュ54が前記フランジ46から脱落するのを防ぐような形状としてもよい。
【0047】
また、前記GND端子50はステンレス以外の導電性を有した材質から成形してもよいし、前記GND端子50の前記ブッシュ側部51aに形成する前記保持部50aの形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよい。さらに、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する構成であれば、前記フランジ46の形状に合わせて形状を変更してもよい。
【0048】
また、前記GND端子50に形成された前記曲部53bの個数は設計事情によって任意の個数に変更してもよいし、前記曲部53bは前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する向きに配置されていれば、径方向を前記ブッシュ54の軸方向と平行となる向きに配置した平板面に形成してもよい。さらに、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L2を最適な長さにできる構成であれば前記治具で固定する箇所は設計事情によって適宜変更してもよい。
【実施例3】
【0049】
本発明の第3の実施例とする内燃機関用の点火コイルの断面図を図8に、GND端子の斜視図を図9に、図9の矢印(E)方向から見た上面図を図10にそれぞれ示す。
【0050】
当該第3の実施例においては、前記第1の実施例で説明した前記GND端子50の前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51b、前記弾性部52の形状が異なる点を除いた他の構造は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0051】
図8乃至図10において、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記ブッシュ54から前記ケース40のコイル収容部を結ぶ平板状のステンレスで成形したGND端子50をインサート成形で備える。また、当該GND端子50の鉄芯側部51bは折り返し部50bを有し、当該GND端子50は当該鉄芯側部51bから2本引き出した接続部50cが形成され、当該ブッシュ側部51aは前記ブッシュ54の径方向外周面を保持するための保持部50aが形成されている。さらに、当該保持部50aは前記ブッシュ52の中心を軸として前記ケース40の前記コイル収容部から前記フランジ46の前記先端部46a方向へ120度開口して前記ブッシュ54の外周を挟み込んでいる。
【0052】
また、前記GND端子50の前記鉄芯側部51bは前記ケース40の前記フランジ46と同一面に配置され、前記鉄芯側部51bは前記接続端子56と接触している。さらに、前記GND端子50は前記鉄芯側部51bから引き出された2本の前記接続部50cはそれぞれに前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの間に、1つの曲部53aからなる弾性部52を形成している。
【0053】
また、前記曲部53bは前記ブッシュ側部51aと前記鉄芯側部51bを結ぶ方向に弾性力を有した向きに配置されている。さらに、前記曲部53bは前記ブッシュ54の軸方向に平行の向きとなる方向に配置した平板面に形成している。
【0054】
また、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを治具で固定して前記ケース40にインサート成形している。
【0055】
上記構成により、前記ケース40の前記フランジ46内に、前記GND端子50をインサート成形で備え、前記2本の接続部50cのそれぞれに前記曲部53aからなる前記弾性部52を形成している。また、前記ケース40成形時に、前記弾性部52が前記ブッシュ側部51a及び前記鉄芯側部51bを前記治具で固定される。このことから図8及び図10に示すように、前記ケース40成形時に前記弾性部52が前記ブッシュ側部51aからの応力及び前記鉄芯側部51bからの応力を吸収することで前記治具によって前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L3が前記GND端子50の個体差に関係なく均一となる。
【0056】
また、前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L3が均一となると、前記ケース40内に前記コイル部を収容した際に前記GND端子50が前記ブッシュ54及び前記接続端子56と確実に接続できると共に、前記GND端子50及び前記ブッシュ54が変形することや前記フランジ46が壊れることを防ぐことができる。
【0057】
上記実施例3の変形例として、前記ケース40に形成される前記フランジ46の形状はエンジン側の設計事情に合わせて任意の形状に変更してもよい。また、前記ブッシュ54の形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよいし、前記ブッシュ54の径方向外周面に前記GND端子50の前記保持部50aを嵌合する溝部を形成してもよい。さらに、前記ブッシュ54の径方向外周面に突部を形成し、前記ブッシュ54が前記フランジ46から脱落するのを防ぐような形状としてもよい。
【0058】
また、前記GND端子50はステンレス以外の導電性を有した材質から成形してもよいし、前記GND端子50の前記ブッシュ側部51aに形成する前記保持部50aの形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよい。さらに、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する構成であれば、前記フランジ46の形状に合わせて形状を変更してもよい。
【0059】
また、前記GND端子50に形成された前記曲部53bの個数は設計事情によって任意の個数に変更してもよいし、前記曲部53bは前記ブッシュ側部51a又は/及び前記鉄芯側部51bからの応力に対する弾性を有する向きに配置されていれば、径方向を前記ブッシュ54の軸方向と垂直となる向きに配置した平板面に形成してもよい。さらに、前記GND端子50は前記ブッシュ側部51aから前記鉄芯側部51bまでの寸法L3を最適な長さにできる構成であれば前記治具で固定する箇所は設計事情によって適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10:1次ボビン
12:1次巻線
14:2次ボビン
16:2次巻線
20:中心鉄芯
22:外周鉄芯
24:鉄芯カバー
26:マグネット
30:イグナイタ
32:イグナイタ端子
40:ケース
42:高圧タワー
44:コネクタ
46:フランジ
46a:先端部
50:GND端子
50a:保持部
50b:折り返し部
51a:ブッシュ側部
51b:鉄芯側部
52:弾性部
53a:バネ部
53b:曲部
54:ブッシュ
56:接続端子
58:高圧端子
60:コネクタ端子
62:2次高圧端子
70:モールド樹脂
72:樹脂面
80:点火コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心鉄芯と外周鉄芯とからなる鉄芯及び1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイル及び2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルを収容するケースと、当該ケースに形成した略円筒形状の導電性ブッシュを有したフランジと、前記ケース内にインサートした導電性を有したGND端子と、からなる内燃機関用の点火コイルにおいて、
当該GND端子は、前記ブッシュと接続するブッシュ側部と、前記鉄芯と電気的に接続する鉄芯側部と、弾性部と、を有し、
当該弾性部は、前記ブッシュ側部から前記鉄芯側部までの寸法の補正を行うことを特徴とする内燃機関用の点火コイル。
【請求項2】
前記GND端子は、線状又は平板状の金属から成形することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項3】
前記弾性部は、前記ブッシュ側部と前記鉄芯側部との間に形成されたバネ部とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項4】
前記弾性部は、前記ブッシュ側部と前記鉄芯側部との間に形成された少なくとも1つ以上の曲部とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項5】
前記GND端子は、前記ブッシュ側部に折り返し部を形成し、前記鉄芯側部が前記鉄芯と電気的に2点接触することを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項6】
前記GND端子は、前記鉄芯側部に折り返し部を形成し、前記ブッシュ側部が前記ブッシュと2点接触することを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関用の点火コイル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−115075(P2013−115075A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256986(P2011−256986)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】