説明

内燃機関用の点火コイル

【課題】イグナイタがケース内で保持されていないと製造時にイグナイタを仮固定する治具等の製造装置が必要となる。また、鉄芯カバーとイグナイタの間の距離が無い又は狭いため絶縁樹脂が鉄芯カバーとイグナイタの間に入りにくく、絶縁樹脂の充填が十分に行えない。さらに、鉄芯カバーとイグナイタの間の距離が無い又は狭いので鉄芯カバーとイグナイタの間の樹脂層が薄くなりクラックが生じやすくなる。
【解決手段】ケース内の鉄芯カバーとイグナイタの間に固定壁を形成し、鉄芯カバーは鉄芯カバーの固定壁と対向する面に少なくとも2種類の厚みを有する。また、固定壁はイグナイタの垂直方向高さの1/2以下の高さとし、鉄芯カバーの固定壁と対向する面の最厚部はイグナイタの垂直方向の高さよりも高い位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の点火コイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンルームを狭めて車内空間を広げるため、エンジンルームに配置される部品を小型化することが求められており、ケース内に1次コイルと2次コイルと鉄芯を備え、ケース内にモールド樹脂を充填したコイル収容部をプラグホール外に配置する内燃機関用の点火コイルにおいても小型化が進められている。1次コイル及び2次コイル、鉄芯を小型化して点火コイル全体を小型化する以外にも、外周鉄芯とイグナイタの距離を狭めることでケースの小型化をすることを目的としていくつかの構成が提案されている。この代表的な例として、例えば特開2010−027669号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
【0003】
上記特許文献1の点火コイルの断面図を図16に示す。図16において、絶縁ケース101内に、一次ボビン102に巻装された一次コイル103が設けられている。一次ボビン102の外側には、二次ボビン104が設けられている。この二次ボビン104には二次コイル105が巻装されている。筒状の一次ボビン102には、一次コイル103及び二次コイル105と磁気的に結合されたI
型のセンター鉄心106が貫通している。このセンター鉄心106は、一次コイル103及び二次コイル105を囲った、C 型のサイド鉄心107と閉磁路を形成している。ここで、一次ボビン102、一次コイル103、二次ボビン104、二次コイル105、センター鉄心106及びサイド鉄心107により点火コイル120を構成している。サイド鉄心107は、センター鉄心106の端面と離間した内壁側面100Aの領域を除いた全面を緩衝材料で構成された緩衝カバー108で覆われている。この緩衝カバー108は、例えば熱可塑性エラストマーで構成され、緩衝カバー108で覆われたサイド鉄心107は、インサート成形で形成される。
【0004】
絶縁ケース101内で、絶縁ケース101の内壁側面と表面が緩衝カバー108で覆われたサイド鉄心107との間に挟まれてイグナイタ109が配置されている。絶縁ケース101の開口部の片側には、切り欠き部が形成されており、この切り欠き部には、低圧側ターミナル113を有する低圧側コネクタ112が嵌着されている。また、絶縁ケース101には、高圧側ターミナル111が嵌着され、点火プラグと電気的に接続される高圧側コネクタ110が設けられている。イグナイタ109は、三本のイグナイタ端子116を有している。一本は、一次コイル103の導線と電気的に接続されている。後の2
本は、電子制御ユニット( 図示せず) に接続された低圧側ターミナル113、及びアースされた低圧側ターミナル113にそれぞれ電気的に接続されている。3 本ある低圧側ターミナル113のうち、イグナイタ109と電気的に接続されない、残りの1
本はバッテリ( 図示せず) に電気的に接続されている。二次コイル105の導線と接続された高圧側ターミナル111は、点火プラグと電気的に接続される。絶縁ケース101内には、熱硬化性のエポキシ樹脂である絶縁樹脂115が充填され、その後固化されている内燃機関用点火コイルが提案されている。
【0005】
また、別の例として特開2009−188364号公報(以下「特許文献2」)が知られている。
【0006】
上記特許文献2の点火コイルの断面図を図17に示す。図17において、内外周に重ねて配置した一次コイル221及び二次コイル222と、一次コイル221及び二次コイル222の内周側に配置した軟磁性の中心コア241と、一次コイル221及び二次コイル222の軸方向端面側及び外周側に配置した軟磁性の外周コア242とを有している。外周コア242
は、中心コア241の軸方向端面側に配置した中継部242Aと、一次コイル221及び二次コイル222の外周側に配置した外周部とを連結してなる。また、点火コイル201は、電子部品を樹脂によってモールドしてなるイグナイタ205を内蔵しており、イグナイタ205は、一次コイル221への通電及び通電の遮断を行うスイッチング制御回路を備えている。
【0007】
また、点火コイル201は、熱可塑性樹脂からなるケース部品203内に、一次コイル221、二次コイル222、中心コア241、外周コア242及びイグナイタ205を配置し、ケース部品203内に熱硬化性樹脂からなる絶縁固定用樹脂215を充填して、各構成部品を絶縁状態で固定してなる。また、点火コイル201においては、イグナイタ205が高温になることを効果的に抑制するために、イグナイタ205は、外周コア242における中継部242Aの外面に対面して配置してあり、イグナイタ205と中継部242Aとの間の隙間250には、絶縁固定用樹脂215が充填されている点火コイルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−027669号公報
【特許文献2】特開2009−188364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記従来の点火コイルでは次のような問題が生じている。即ち、特許文献1の点火コイルでは、絶縁ケース内の低圧側コネクタ側で、絶縁ケースの内壁側面と表面が緩衝カバーで覆われたサイド鉄心との間に挟まれるようにして、イグナイタを配置したので、イグナイタ周囲の絶縁樹脂の量が少なく、絶縁樹脂の熱応力が小さくなり、絶縁樹脂のクラックの発生が抑制され、またイグナイタに対する応力も低減されるが、イグナイタがケース内で保持されていないため、製造時にイグナイタを仮固定する治具等の製造装置が必要となる。
【0010】
また、緩衝カバーとイグナイタの間の距離が無い又は狭いため絶縁樹脂が緩衝カバーとイグナイタの間に入りにくく、絶縁樹脂の充填不良が生じる恐れがある。さらに、緩衝カバーとイグナイタの間の距離が無い又は狭いので緩衝カバーとイグナイタの間の樹脂層が薄くなりクラックが生じやすくなる。
【0011】
また、特許文献2の点火コイルでは、イグナイタを外周コアにおける中継部の外面に対面させていることにより、イグナイタ自身が発する熱を、外周コアによって吸収させることができ、イグナイタの温度上昇を効果的に抑制することができるが、絶縁固定用樹脂のクラックについての課題は残されている。さらに、イグナイタの設置についての具体的な記載がないため、製造時にイグナイタを仮固定する治具等の製造装置が必要となる。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、製造時にイグナイタを仮固定する治具等の製造装置を必要とせず製造工程の簡略化が行え、鉄芯カバーとイグナイタ間のモールド樹脂の充填性を向上させ、鉄芯カバーとイグナイタ間のモールド樹脂の量を厚くさせることができる内燃機関用の点火コイルを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、ケースと、当該ケース内に中心鉄芯と外周鉄芯とからなる鉄芯の少なくとも一部を収容し、前記ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと、2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルを収容し、前記ケース内に1次コイルに点火信号を供給するイグナイタを備え、前記ケース内のコイル収容部にモールド樹脂を充填した内燃機関用の点火コイルにおいて、前記外周鉄芯の周囲の少なくとも一部に樹脂製の鉄芯カバーを備え、前記ケース内の当該鉄芯カバーと前記イグナイタの間に固定壁を形成し、前記鉄芯カバーは前記鉄芯カバーの当該固定壁と対向する面に少なくとも2種類の厚みを有していることを特徴とする内燃機関用の点火コイルとする。
【0014】
上記構成においては、前記固定壁は前記イグナイタの垂直方向高さの1/2以下の高さとしてもよいし、前記鉄芯カバーの前記固定壁と対向する面の最厚部は前記イグナイタの垂直方向の高さよりも高い位置に配置してもよい。また、前記外周鉄芯は前記鉄芯の磁路が前記ケースの開口面と垂直方向の向きに配置され、前記外周鉄芯のコイル対向部は前記モールド樹脂の樹脂面より高い位置に備えてもよい。さらに、前記外周鉄芯のコイル対向部に備えられる前記鉄芯カバーの厚みは前記鉄芯カバーの当該固定壁と対向する面の最薄部の厚みより幅広にしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記の通り、外周鉄芯の周囲の少なくとも一部に樹脂製の鉄芯カバーを備え、ケース内の鉄芯カバーとイグナイタの間に固定壁を形成されることで、固定壁によってイグナイタが固定され、製造時の工程の簡略化が行える。また、鉄芯カバーは鉄芯カバーの固定壁と対向する面に少なくとも2種類の厚みを有していることで、鉄芯カバーとイグナイタ間のモールド樹脂の充填性を向上させることができる内燃機関用の点火コイルの実現ができる。
【0016】
また、固定壁はイグナイタの垂直方向高さの1/2以下の高さとし、鉄芯カバーの固定壁と対向する面の最厚部はイグナイタの垂直方向の高さよりも高い位置に配置することで、鉄芯カバーとイグナイタ間の間口が広がるため、鉄芯カバーとイグナイタ間のモールド樹脂の充填性をさらに向上させ、鉄芯カバーとイグナイタ間のモールド樹脂の量を厚くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図である。
【図2】図1の矢印(A)方向から見たB-B断面図である。
【図3】図2のC部拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施例とする点火コイルのケースの上面図である。
【図5】本発明の第1の実施例とする点火コイルの回路図である。
【図6】本発明の第2の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図である。
【図7】図6の矢印(D)方向から見たE-E断面図である。
【図8】図7のF部拡大図である。
【図9】本発明の第2の実施例とする点火コイルのケースの上面図である。
【図10】本発明の第2の実施例とする点火コイルの回路図である。
【図11】本発明の第3の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図である。
【図12】図11の矢印(G)方向から見たH−H断面図である。
【図13】図12のI部拡大図である。
【図14】本発明の第3の実施例とする点火コイルのケースの上面図である。
【図15】本発明の第3の実施例とする点火コイルの回路図である。
【図16】特許文献1の点火コイルの断面図である。
【図17】特許文献2の点火コイルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図15に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図を図1に、図1の矢印(A)方向から見たB-B断面図を図2に、図2のC部拡大図を図3に、本発明の第1の実施例とする点火コイルのケースの上面図を図4に、本発明の第1の実施例とする点火コイルの回路図を図5にそれぞれ示す。
【0020】
図1乃至図5において、点火コイル90の外形を形成するケース40は、鉛直方向上面に開口面を有した箱型の一体成形で形成されている。また、当該ケース40には当該点火コイル90を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するためのケース固定部42を形成している。さらに、当該点火コイル90の外側底面には2次電圧を点火プラグ96に供給するための高圧端子60を備える高圧タワー44がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0021】
また、前記点火コイル90は複数の薄板を積層して形成されたI字型の中心鉄芯30とロの字型の外周鉄芯32とからなる鉄芯36と、当該中心鉄芯30の外周に樹脂で成形された1次ボビン10の外周に1次巻線12を100ターン程度巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で成形された2次ボビン20の外周に2次巻線22を8000〜15000ターン程度巻き回した2次コイル24のコイル部から構成されている。さらに、当該外周鉄芯32は当該鉄芯36の磁路が前記ケース40の前記開口面と平行になるように配置される。
【0022】
また、前記中心鉄芯30と前記外周鉄芯32の接続面の一端には前記1次コイル14により発生された磁束と反対方向の磁束を磁路中に発生させるためのマグネット38を備えている。さらに、前記2次ボビン20の一端には前記高圧端子60に2次電圧を供給するための2次高圧端子26が備えられ、他端には前記1次コイル14からの1次電圧を供給するための2次低圧端子(図示しない)が備えられている。
【0023】
また、前記ケース40内には前記1次コイル14へ点火信号を供給するイグナイタ70が備えられ、当該イグナイタ70はスイッチング素子とリードフレームから構成され、当該リードフレームは当該スイッチング素子のベース及びコレクタ、エミッタのそれぞれが外部と接続するためのイグナイタ端子72として配置されている。さらに、前記ケース40の側面にはバッテリ92からの1次電圧及びECU94からの点火信号を供給するコネクタ端子62を有するコネクタ46が形成されている。
【0024】
また、前記コネクタ端子62は前記バッテリ92から前記1次コイル14及び前記2次コイル24の低圧側とを結ぶ端子と、前記ECU94から前記イグナイタ70のベース側に配置された前記イグナイタ端子72を結ぶ端子と、前記イグナイタ70のエミッタ側に配置された前記イグナイタ端子72及び前記外周鉄芯32からグランドを結ぶ端子の合計3本の端子から構成されている。さらに、前記イグナイタ70のコレクタ側に配置された前記イグナイタ端子72は前記1次コイル14の高圧側と接続されている。
【0025】
また、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は略平板状の金属端子を有し、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72のうち2個を同方向に導出させると共にそれぞれの間で電気的導通を実現する如く溶接を用いて接続されている。さらに、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は前記ケース40開口面と垂直方向に導出され、前記コネクタ端子62は前記ケース40に形成された前記コネクタ46と同一面の前記ケース40内壁に這って配置されている。
【0026】
また、前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲はポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」とする)で成形された鉄芯カバー34で覆われている。さらに、前記ケース40内側底面の当該鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための固定壁48を形成し、当該固定壁48は前記ケース40内側底面から前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/4の高さ且つ当該イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70を結ぶ直線上に形成されている。
【0027】
また、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は最薄部35a及び中間部35b、最厚部35cの3種類の厚さに形成されている。さらに、当該中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成されて、当該最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成されている。
【0028】
また、前記ケース40内には前記点火コイル90の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現するモールド樹脂80が充填されている。さらに、当該モールド樹脂80が前記ケース40の前記開口面付近まで充填され、前記鉄芯36及び前記1次コイル14、前記2次コイル24は前記ケース40の前記開口面付近に形成される樹脂面82より低い位置に備えられている。
【0029】
上記構成により、前記ケース40内側底面の前記鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための前記固定壁48を形成することで、製造時に前記固定壁48が前記イグナイタ70を固定することで前記イグナイタ70を治具で固定する必要がなくなる。また、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの3種類の厚さを有し、前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L1が長くなり、前記最薄部35aと前記イグナイタ70間の間口が広がるため、前記最薄部35aと前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。さらに、前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L2が長くなり、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72間の間口が広がるため、前記中間部35bと前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。
【0030】
上記実施例1の変形例として、前記鉄芯カバー34はポリエチレンテレフタレート又はエラストマ、ナイロン等で成形してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35の厚みは少なくとも2種類有していれば適宜変更可能なものである。また、前記固定壁48は前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/2以下の高さで形成されるのであれば適宜変更可能なものである。さらに、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置であれば任意の高さに変更してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向高さよりも高い位置であれば任意の高さに変更してもよい。
【0031】
また、前記鉄芯カバー34の厚さの寸法と前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの厚さの寸法は設計事情によって任意の寸法に変更してもよい。さらに、前記鉄芯カバー34は前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲に備えたが、例えば前記イグナイタ対向面35の固定壁48の高さより低い位置の前記鉄芯カバー34を備えず、前記外周鉄芯32を剥き出し状態として、前記外周鉄芯32と前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させる等、適宜変更可能なものである。
【0032】
また、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L1及び前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L2は前記固定壁48の前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35から前記イグナイタ70方向の寸法を変更させる等によって前記鉄芯カバー34と前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性がより向上できる距離に変更してもよい。さらに、前記固定壁48は前記イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70を結ぶ直線上の範囲に形成する構成であれば、形状及び形成位置は設計事情によって任意に変更してもよい。
【0033】
また、前記ケース40は鉛直方向上面に開口面を有した形状としたが、前記モールド樹脂80充填方向を開口面として、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は開口面から最厚部35c、中間部35b、最薄部35aの順に構成されれば、設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記外周鉄芯32はロの字型以外にも、例えばコの字型の外周鉄芯に変更してもよい。
【実施例2】
【0034】
本発明の第2の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図を図6に、図6の矢印(D)方向から見たE-E断面図を図7に、図7のF部拡大図を図8に、本発明の第2の実施例とする点火コイルのケースの上面図を図9に、本発明の第2の実施例とする点火コイルの回路図を図10にそれぞれ示す。
【0035】
図6乃至図10において、点火コイル90の外形を形成するケース40は、鉛直方向上面に開口面を有した箱型の一体成形で形成されている。また、当該ケース40には当該点火コイル90を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するためのケース固定部42を形成している。さらに、当該点火コイル90の外側底面には2次電圧を点火プラグ96に供給するための高圧端子60を備える高圧タワー44がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0036】
また、前記点火コイル90は複数の薄板を積層して形成されたI字型の中心鉄芯30とロの字型の外周鉄芯32とからなる鉄芯36と、当該中心鉄芯30の外周に樹脂で成形された1次ボビン10の外周に1次巻線12を100ターン程度巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で成形された2次ボビン20の外周に2次巻線22を8000〜15000ターン程度巻き回した2次コイル24のコイル部から構成されている。さらに、当該外周鉄芯32は当該鉄芯36の磁路が前記ケース40の前記開口面と平行になるように配置される。
【0037】
また、前記中心鉄芯30と前記外周鉄芯32の接続面の一端には前記1次コイル14により発生された磁束と反対方向の磁束を磁路中に発生させるためのマグネット38を備えている。さらに、前記2次ボビン20の一端には前記高圧端子60に2次電圧を供給するための2次高圧端子26が備えられ、他端には前記1次コイル14からの1次電圧を供給するための2次低圧端子(図示しない)が備えられている。
【0038】
また、前記ケース40内には前記1次コイル14へ点火信号を供給するイグナイタ70が備えられ、当該イグナイタ70はスイッチング素子とリードフレームから構成され、当該リードフレームは当該スイッチング素子のベース及びコレクタ、エミッタのそれぞれが外部と接続するためのイグナイタ端子72として配置されている。さらに、前記ケース40の側面にはバッテリ92からの1次電圧及びECU94からの点火信号を供給するコネクタ端子62を有するコネクタ46が形成されている。
【0039】
また、前記コネクタ端子62は前記バッテリ92から前記1次コイル14及び前記2次コイル24の低圧側とを結ぶ端子と、前記ECU94から前記イグナイタ70のベース側に配置された前記イグナイタ端子72を結ぶ端子と、前記イグナイタ70のエミッタ側に配置された前記イグナイタ端子72及び前記外周鉄芯32からグランドを結ぶ端子の合計3本の端子から構成されている。さらに、前記イグナイタ70のコレクタ側に配置された前記イグナイタ端子72は前記1次コイル14の高圧側と接続されている。
【0040】
また、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は略平板状の金属端子を有し、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72のうち2個を同方向に導出させると共にそれぞれの間で電気的導通を実現する如く溶接を用いて接続されている。さらに、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は前記ケース40開口面と垂直方向に導出され、前記コネクタ端子62は前記ケース40に形成された前記コネクタ46と同一面の前記ケース40内壁に這って配置されている。
【0041】
また、前記ケース40内側底面の表面に前記外周鉄芯32からグランドを結ぶ前記コネクタ端子62を挿入するグランド端子配線溝50を形成している。
【0042】
また、前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲はポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」とする)で成形された鉄芯カバー34で覆われている。さらに、前記ケース40内側底面の当該鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための固定壁48を形成し、当該固定壁48は前記ケース40内側底面から前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/4の高さで形成されている。
【0043】
また、前記固定壁48は前記グランド端子配線溝50を避けて前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に形成されている。
【0044】
また、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は最薄部35a及び中間部35b、最厚部35cの3種類の厚さに形成されている。さらに、当該中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成されて、当該最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成されている。
【0045】
また、前記ケース40内には前記点火コイル90の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現するモールド樹脂80が充填されている。さらに、当該モールド樹脂80が前記ケース40の前記開口面付近まで充填され、前記鉄芯36及び前記1次コイル14、前記2次コイル24は前記ケース40の前記開口面付近に形成される樹脂面82より低い位置に備えられている。
【0046】
上記構成により、前記ケース40内側底面の前記鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための前記固定壁48を形成することで、製造時に前記固定壁48が前記イグナイタ70を固定することで前記イグナイタ70を治具で固定する必要がなくなる。また、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの3種類の厚さを有し、前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L3が長くなり、前記最薄部35aと前記イグナイタ70間の間口が広がるため、前記最薄部35aと前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。さらに、前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L4が長くなり、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72間の間口が広がるため、前記中間部35bと前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。
【0047】
上記実施例2の変形例として、前記鉄芯カバー34はポリエチレンテレフタレート又はエラストマ、ナイロン等で成形してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35の厚みは少なくとも2種類有していれば適宜変更可能なものである。また、前記固定壁48は前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/2以下の高さで形成されるのであれば適宜変更可能なものである。さらに、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置であれば任意の高さに変更してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向高さよりも高い位置であれば任意の高さに変更してもよい。
【0048】
また、前記鉄芯カバー34の厚さの寸法と前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの厚さの寸法は設計事情によって任意の寸法に変更してもよい。さらに、前記鉄芯カバー34は前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲に備えたが、例えば前記イグナイタ対向面35の固定壁48の高さより低い位置の前記鉄芯カバー34を備えず、前記外周鉄芯32を剥き出し状態として、前記外周鉄芯32と前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させる等、適宜変更可能なものである。
【0049】
また、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L3及び前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L4は前記固定壁48の前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35から前記イグナイタ70方向の寸法を変更させる等によって前記鉄芯カバー34と前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性がより向上できる距離に変更してもよい。さらに、前記固定壁48は前記イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70間の少なくとも一部に形成する構成であれば、形状及び形成位置は設計事情によって任意に変更してもよい。
【0050】
また、前記ケース40は鉛直方向上面に開口面を有した形状としたが、前記モールド樹脂80充填方向を開口面として、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は開口面から最厚部35c、中間部35b、最薄部35aの順に構成されれば、設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記外周鉄芯32はロの字型以外にも、例えばコの字型の外周鉄芯に変更してもよい。
【実施例3】
【0051】
次に、本発明の第3の実施例とする内燃機関用の点火コイルの斜視図を図11に、図11の矢印(G)方向から見たH−H断面図を図12に、図12のI部拡大図を図13に、本発明の第3の実施例とする点火コイルのケースの上面図を図14に、本発明の第3の実施例とする点火コイルの回路図を図15にそれぞれ示す。
【0052】
図11乃至図15において、点火コイル90の外形を形成するケース40は、鉛直方向上面に開口面を有した箱型の一体成形で形成されている。また、当該ケース40には当該点火コイル90を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するためのケース固定部42を形成している。さらに、当該点火コイル90の外側底面には2次電圧を点火プラグ96に供給するための高圧端子60を備える高圧タワー44がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0053】
また、前記点火コイル90は複数の薄板を積層して形成されたI字型の中心鉄芯30とコの字型の外周鉄芯32とからなる鉄芯36と、当該中心鉄芯30の外周に樹脂で成形された1次ボビン10の外周に1次巻線12を100ターン程度巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で成形された2次ボビン20の外周に2次巻線22を8000〜15000ターン程度巻き回した2次コイル24のコイル部から構成されている。さらに、当該外周鉄芯32は当該鉄芯36の磁路が前記ケース40の前記開口面と垂直方向になるように配置される。
【0054】
また、前記中心鉄芯30と前記外周鉄芯32の接続面の一端には前記1次コイル14により発生された磁束と反対方向の磁束を磁路中に発生させるためのマグネット38を備えている。さらに、前記2次ボビン20の一端には前記高圧端子60に2次電圧を供給するための2次高圧端子26が備えられ、他端には前記1次コイル14からの1次電圧を供給するための2次低圧端子(図示しない)が備えられている。
【0055】
また、前記ケース40内には前記1次コイル14へ点火信号を供給するイグナイタ70が備えられ、当該イグナイタ70はスイッチング素子とリードフレームから構成され、当該リードフレームは当該スイッチング素子のベース及びコレクタ、エミッタのそれぞれが外部と接続するためのイグナイタ端子72として配置されている。さらに、前記ケース40の側面にはバッテリ92からの1次電圧及びECU94からの点火信号を供給するコネクタ端子62を有するコネクタ46が形成されている。
【0056】
また、前記コネクタ端子62は前記バッテリ92から前記1次コイル14及び前記2次コイル24の低圧側とを結ぶ端子と、前記ECU94から前記イグナイタ70のベース側に配置された前記イグナイタ端子72を結ぶ端子と、前記イグナイタ70のエミッタ側に配置された前記イグナイタ端子72及び前記外周鉄芯32からグランドを結ぶ端子の合計3本の端子から構成されている。さらに、前記イグナイタ70のコレクタ側に配置された前記イグナイタ端子72は前記1次コイル14の高圧側と接続されている。
【0057】
また、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は略平板状の金属端子を有し、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72のうち2個を同方向に導出させると共にそれぞれの間で電気的導通を実現する如く溶接を用いて接続されている。さらに、前記コネクタ端子62及び前記イグナイタ端子72は前記ケース40開口面と垂直方向に導出され、前記コネクタ端子62は前記ケース40に形成された前記コネクタ46と同一面の前記ケース40内壁に這って配置されている。
【0058】
また、前記ケース40内側底面の表面に前記外周鉄芯32からグランドを結ぶ前記コネクタ端子62を挿入するグランド端子配線溝50を形成している。
【0059】
また、前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲はポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」とする)で成形された前記外周鉄芯32の錆防止用の鉄芯カバー34で覆われている。さらに、前記ケース40内側底面の当該鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための固定壁48を形成し、当該固定壁48は前記ケース40内側底面から前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/4の高さで形成されている。
【0060】
また、前記固定壁48は前記グランド端子配線溝50を避けて前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に形成されている。
【0061】
また、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は最薄部35a及び中間部35b、最厚部35cの3種類の厚さに形成され、前記鉄芯カバー34の前記コイル部の軸方向と水平に位置するコイル対向部34aは前記鉄芯カバー34の厚みを当該最厚部35cと同様の厚みで成形されている。さらに、当該中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成されて、当該最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成されている。
【0062】
また、前記ケース40内には前記点火コイル90の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現するモールド樹脂80が充填されている。さらに、当該モールド樹脂80が前記ケース40の前記開口面付近まで充填され、前記中心鉄芯30及び前記1次コイル14、前記2次コイル24は前記ケース40の前記開口面付近に形成される樹脂面82より低い位置に備えられ、前記鉄芯カバー34の前記コイル対向部34aは当該樹脂面82よりL5長さ分高い位置に備えられている。
【0063】
上記構成により、前記外周鉄芯32は前記鉄芯36の磁路が前記ケース40の前記開口面と垂直方向になるように配置し、前記鉄芯カバー34の前記コイル対向部34aは前記樹脂面82よりL5長さ分高い位置に備えられているため、前記ケース40の横方向のL8寸法を押さえ、前記ケース40が小型化でき、前記ケース40内に充填される前記モールド樹脂80の量を低減することもできる。また、前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲を前記鉄芯カバー34で覆うことで、前記樹脂面82より高い位置に備えられる前記外周鉄芯32の錆を防止することができる。さらに、前記鉄芯カバー34のコイル対向部34aは前記鉄芯カバー34の厚みは前記最厚部35cと同様の厚みで成形されているため、水や埃等による不良の発生を防止することができる。
【0064】
また、前記ケース40内側底面の前記鉄芯カバー34のイグナイタ対向面35と前記イグナイタ70の間に前記イグナイタ70を固定するための前記固定壁48を形成することで、製造時に前記固定壁48が前記イグナイタ70を固定することで前記イグナイタ70を治具で固定する必要がなくなる。さらに、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの3種類の厚さを有し、前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L6が長くなり、前記最薄部35aと前記イグナイタ70間の間口が広がるため、前記最薄部35aと前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。
【0065】
また、前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向の高さより高い位置に形成することで、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L7が長くなり、前記中間部35bと前記イグナイタ端子72間の間口が広がるため、前記中間部35bと前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させることができる。
【0066】
上記実施例3の変形例として、前記鉄芯カバー34はポリエチレンテレフタレート又はエラストマ、ナイロン等で成形してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35の厚みは少なくとも2種類有していれば適宜変更可能なものである。また、前記固定壁48は前記イグナイタ70の垂直方向高さの1/2以下の高さで形成されるのであれば適宜変更可能なものである。さらに、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記中間部35bは前記固定壁48の垂直方向の高さより高い位置であれば任意の高さに変更してもよいし、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最厚部35cは前記イグナイタ70の垂直方向高さよりも高い位置であれば任意の高さに変更してもよい。
【0067】
また、前記鉄芯カバー34のコイル対向部34aの厚さ寸法と前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35に形成される前記最薄部35a及び前記中間部35b、前記最厚部35cの厚さの寸法は設計事情によって任意の寸法に変更してもよい。さらに、前記鉄芯カバー34は前記外周鉄芯32の前記中心鉄芯30及び前記マグネット38との接続面を除いた周囲に備えたが、例えば前記イグナイタ対向面35の固定壁48の高さより低い位置の前記鉄芯カバー34を備えず、前記外周鉄芯32を剥き出し状態として、前記外周鉄芯32と前記固定壁48間の前記モールド樹脂80の充填性を向上させる等、適宜変更可能なものである。
【0068】
また、前記最薄部35aと前記イグナイタ70の間の距離L6及び前記中間部35bと前記イグナイタ端子72の間の距離L7は前記固定壁48の前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35から前記イグナイタ70方向の寸法を変更させる等によって前記鉄芯カバー34と前記イグナイタ70間の前記モールド樹脂80の充填性がより向上できる距離に変更してもよい。さらに、前記固定壁48は前記イグナイタ対向面35と前記イグナイタ70間の少なくとも一部に形成する構成であれば、形状及び形成位置は設計事情によって任意に変更してもよい。
【0069】
また、前記鉄芯カバー34の前記コイル対向部34aは少なくとも一部を前記樹脂面82より高い位置に備えれば長さL5の寸法は設計事情によって任意の長さに変更してもよい。さらに、前記ケース40は鉛直方向上面に開口面を有した形状としたが、前記モールド樹脂80充填方向を開口面として、前記鉄芯カバー34の前記イグナイタ対向面35は開口面から最厚部35c、中間部35b、最薄部35aの順に構成されれば、設計事情によって任意に変更してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10:1次ボビン
12:1次巻線
14:1次コイル
20:2次ボビン
22:2次巻線
24:2次コイル
26:2次高圧端子
30:中心鉄芯
32:外周鉄芯
34:鉄芯カバー
34a:コイル対向部
35:イグナイタ対向面
35a:最薄部
35b:中間部
35c:最厚部
36:鉄芯
38:マグネット
40:ケース
42:ケース固定部
44:高圧タワー
46:コネクタ
48:固定壁
50:グランド端子配線溝
60:高圧端子
62:コネクタ端子
70:イグナイタ
72:イグナイタ端子
80:モールド樹脂
82:樹脂面
90:点火コイル
92:バッテリ
94:ECU
96:点火プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケース内に中心鉄芯と外周鉄芯とからなる鉄芯の少なくとも一部を収容し、
前記ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと、2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルを収容し、
前記ケース内に1次コイルに点火信号を供給するイグナイタを備え、
前記ケース内のコイル収容部にモールド樹脂を充填した内燃機関用の点火コイルにおいて、
前記外周鉄芯の周囲の少なくとも一部に樹脂製の鉄芯カバーを備え、
前記ケース内の当該鉄芯カバーと前記イグナイタの間に固定壁を形成し、
前記鉄芯カバーは前記鉄芯カバーの当該固定壁と対向する面に少なくとも2種類の厚みを有していることを特徴とする内燃機関用の点火コイル。
【請求項2】
前記固定壁は前記イグナイタの垂直方向高さの1/2以下の高さであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項3】
前記鉄芯カバーの前記固定壁と対向する面の最厚部は前記イグナイタの垂直方向の高さよりも高い位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項4】
前記外周鉄芯は前記鉄芯の磁路が前記ケースの開口面と垂直方向の向きに配置され、
前記外周鉄芯のコイル対向部は前記モールド樹脂の樹脂面より高い位置に備えられていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の内燃機関用の点火コイル。
【請求項5】
前記外周鉄芯のコイル対向部に備えられる前記鉄芯カバーの厚みは前記鉄芯カバーの当該固定壁と対向する面の最薄部の厚みより幅広であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関用の点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−26560(P2013−26560A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162117(P2011−162117)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)