説明

内燃機関用燃料噴射器

特にニードル引込み式またはニードル飛出し式の内燃機関用燃料噴射器(44、66、70、74)において、特に噴射孔で終端するノズル(16)を形成する燃料噴射器本体(12)と、燃料噴射器本体の噴射孔を閉塞する手段であって、噴射孔の閉塞ヘッド(26)で終端する振動ロッド(24)を備える閉塞手段と、閉塞手段を噴射孔の閉塞位置へと復帰させる手段(30)と、噴射孔を交互に開放および閉鎖するようにロッド(24)および/またはノズル(16)を周期的に長手方向に発振させる手段(36、72)とを備える。燃料噴射器(44、66、70、74)が、本体(12)に対してロッド(24)を固定する選択的に作動可能な手段(46、48)を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、特に自動車車両での使用を目的とした、内燃機関用、特にディーゼルエンジン用の燃料噴射器に関する。
【0002】
従来型の内燃機関はシリンダを少なくとも1本備え、その内部でピストンが両端位置の間を摺動する。ピストンは、シリンダおよびシリンダヘッドとともに燃焼室を画定する。こうした内燃機関において、燃料噴射器の役割は、細かく霧化された燃料を内燃機関の燃焼室に供給することである。
【0003】
例えば出願人の名義による特許FR2801346により、図6に示されるような燃料噴射器10を備えた内燃機関用噴射装置が知られている。
【0004】
この燃料噴射器10は、超音波周波数で縦モードの振動を発生させることができるトランスデューサ14を備える本体12を具備する。トランスデューサ14はその下部がノズル16で終端し、そのノズル16内でトランスデューサ14からの振動が増幅される。
【0005】
トランスデューサ14全体が、第1の内部キャビティ18を有する。第1の内部キャビティ18は加圧された燃料で満たされるためのものである。このために、第1のキャビティ18は、加圧燃料供給回路(図示せず)と連通することができる燃料供給口20に接続されている。第1のキャビティ18は、燃料噴射器のノーズとも呼ばれるノズル16の下端22で噴射孔に開口する。
【0006】
燃料噴射器10は、さらに、基本的に軸y−y’に沿って延びるロッド24またはニードルを備える。ロッド24は、ノズル16内において軸方向に移動可能に収容されている。ニードル24の下端は、ノズル16の外に延びる閉塞ヘッド26を有する。この閉塞ヘッド26は、ノズル16の噴射孔を画定するノズル16の内面と接触して、燃料噴射孔を塞ぐことができるように構成されている。
【0007】
ロッド24の他端は、バネ30を介して燃料噴射器10の本体12に弾性的に連結された質量体28を備えている。質量体28とバネ30とから成る系32は、燃料噴射器10の本体12の後部に形成された第2のキャビティ34内に収容される。
【0008】
ロッド24とバネ30とから成る弾性アセンブリは、所望の弾性復元力を作用させ、これにより、ノズル16の噴射孔を取り囲む区域にロッド24の閉塞ヘッド26を当接させることを可能にする。加えられる応力は、燃料噴射器10に所与の圧力で燃料が供給された際にノズル16端部に設けられた噴射孔を密封することを可能にするとともに、ロッド24の閉塞ヘッド26がノズル16と接触する区域に摩耗が生じた場合にそれを補償することを可能にする。
【0009】
質量体28は、ロッド24と質量体28との境界で機械的インピーダンスの断絶が実現されるように、例えばねじ込みによってロッド24に固定される。
【0010】
質量体28の質量およびバネ30の剛性は、トランスデューサ14の励起持続時間に比べて極めて大きな応答時間をもつ系が形成されるように選定される。
【0011】
トランスデューサ14は、電場または磁場がそれぞれ加えられることによって厚さに関して変形する圧電式または磁歪式の能動部品の積層36からなる区域を備える。この積層36は、弾性材料からなる他の2つの要素37a、37b間に挟持される。能動部品間の結合は、ナット38のような応力付与手段によって行われる。複数の能動部品を積層することにより、それぞれの能動部品において生じる厚さ変形を合計することができるが、能動部品の積層全体の移動によって生じる変形は応力付与手段の弾性変形限界の範囲内にとどまる。
【0012】
圧電式能動要素に電圧がかけられると、圧電式能動要素は変形し、弾性変形を生じて、それがノズル16の下端まで伝えられる。
【0013】
好ましくは、トランスデューサ14とノズル16とから成るアセンブリ40は、能動部品の励起周波数で共振して、長手方向の移動がノズル16の下端22のレベルまで増幅されるように寸法設定される。ロッド24は、最初はその閉塞ヘッド26で噴射孔を塞いでいるが、ノズル16が振動し始めると供給されるパルスの作用で変形する。この変形が、ロッド24の長さ全体にわたって弾性的に分配され、ロッド24と質量体28との間の境界42で反射する。
【0014】
ロッド24およびノズル16のそれぞれの固有応答は、位相および振幅の相違を伴ってロッド24端部および開口部を振動させることができる。この相違は、ロッド24とノズル16の端部22との間に環状の隙間が開く結果となって現れ、その隙間の幅は、ノズル16端部22の振動とロッド24の閉塞ヘッド26の振動との位相差および相対振幅差に依存する。
【0015】
燃料噴射器10の最小開放時間はトランスデューサ14に加えられる励起の時間と同程度であり、その励起は数十キロヘルツ、典型的には50kHzで行うことができるので、約20μsの最小開放時間が可能になる。これによって、短時間にマイクロリットル単位の燃料を供給することが可能となる。
【0016】
燃料噴射器10の本体12は、図示しない手段によって内燃機関のシリンダヘッド上端に固定されるようになっている。
【0017】
燃料噴射器10はロッド24を長手方向に発振させるための間接的手段を有するが、ロッドを周期的に発振させるための直接的手段を備える燃料噴射器も知られている。とりわけ、ロッド本体に直接取り付けられ、ロッドの弾性変形を生じるようにロッドを励起する圧電セラミックスの積層または磁歪バーを備える燃料噴射器が知られている。
【0018】
直接的手段または間接的手段のどちらで燃料噴射器のロッドを励起する場合であれ、ロッドは一方の端部が質量体にはめ込まれる。この質量体の役割は、ロッド内を伝播する変形波がロッドと質量体との境界で反射するように、機械的インピーダンスの断絶を実現することである。
【0019】
また、燃料噴射器10はニードル飛出し式であるが、ニードル引込み式の燃料噴射器も知られている。ニードル引込み式の燃料噴射器の場合、ロッドは、休止時は、バネの作用によってノズル下端の内面に押し付けられる。バネは、第2のキャビティ内に取り付けられる。これにより、噴射孔の閉塞が確保される。燃料噴射器の本体が励起されると、ロッドは長手方向に発振される。すると、ロッドの端部が噴射孔の閉塞位置と噴射孔の開放位置との間で振動する。
【0020】
燃料噴射器の形式に応じて、バネはロッドに対して引張力(ニードル飛出し式噴射器の場合)または圧縮力(ニードル引込み式噴射器の場合)を及ぼすことに留意されたい。
【0021】
しかし、燃料噴射器の寸法は、内燃機関において、および内燃機関の直接的な環境内において、利用可能な場所によって強制的に決まる。そのため、燃料噴射器の体積が強制的に決まると、十分な機械的インピーダンスの断絶と噴射孔のレベルにおける十分な密封応力とを確保するための質量体とバネとから成る系の大きさは、質量体とバネとから成る系の共振周波数が内燃機関の振動によって強制的に決まる励起範囲にあるような剛性のバネに対応するものとなり得る。質量体とバネとから成るアセンブリをその共振周波数で励起すると、無秩序な燃料噴射器の開放が引き起こされる。
【0022】
この問題に対する公知の解決策の1つは、質量体とバネとから成る系に緩衝手段を追加するものである。しかし、このような措置では、共振周波数で励起される質量体とバネとから成る系の振動の振幅を小さくすることしかできず、この解決策は質量体とバネとから成る系の共振の問題を不完全にしか解決できない。
【0023】
燃料噴射器の本体に質量体を固定し、その中にニードルをはめ込むという方法も知られている。しかし、このような解決策には、燃料噴射器が熱を帯びて燃料噴射器の本体およびニードルが膨張することによって、制御されない軸方向の力がニードル内に生じるという不都合がある。この軸方向の力は、ニードルの周期的な変形を妨害し、燃料噴射器による噴射を妨害する。
【0024】
本発明の目的は、上述した欠点をもたず、とりわけ、燃料噴射器の設置環境による制約を克服して、よりよく制御された細かな霧状の燃料噴射を行うことができる燃料噴射器を提供することである。
【0025】
本発明の目的は、特にニードル引込み式またはニードル飛出し式の内燃機関用燃料噴射器であって、
− 特に噴射孔で終端するノズルを形成する燃料噴射器本体と、
− 前記燃料噴射器本体の前記噴射孔を閉塞する手段であって、前記噴射孔の閉塞ヘッドで終端する振動ロッドを備える閉塞手段と、
− 前記閉塞手段を前記噴射孔の閉塞位置へと復帰させる手段と、
− 噴射孔を交互に開放および閉鎖するように前記ロッドおよび/または前記ノズルを周期的に長手方向に発振させる手段と
を備える燃料噴射器によって達成される。
【0026】
本発明によれば、前記燃料噴射器は、前記本体に対して前記ロッドを固定する選択的に作動可能な手段を備える。
【0027】
そのため、後でさらに詳しく見るように、燃料噴射器の本体に対してロッドを固定する手段が作動すると、ロッドは振動せず、したがって、内燃機関の共振周波数でロッドが振動する一切のリスクが排除され、これにより噴射の制御が保証される。ロッドと燃料噴射器の本体との膨張差に関連する問題を回避するために、ロッドの固定手段は作動解除することができる。その場合、閉塞手段の復帰手段が、本体に対するロッドの膨張差による応力がロッドから取り除かれる位置に閉塞手段を配置し直すことを可能にする。
【0028】
好ましくは、前記ロッドの選択的に作動可能な前記固定手段は、機械的インピーダンスの断絶を実現するように、前記ロッドおよび/または前記ロッドが固定されている質量体と協働することができる。
【0029】
好ましくは、前記固定手段は、前記ロッドとほぼ直角の方向に摺動することができるピストンを備える。
【0030】
好ましくは、本発明による燃料噴射器は、前記ピストンを動作させる制御用油圧チャンバを備える。
【0031】
好ましくは、前記制御用油圧チャンバは、前記燃料噴射器の燃料供給口と流体連通する少なくとも1つの燃料入口を備える。
【0032】
好ましくは、前記制御用油圧チャンバは、少なくとも1つの燃料出口をさらに備え、前記少なくとも1つの燃料入口の合計断面積は前記少なくとも1つの燃料出口の合計断面積よりも小さい。
【0033】
好ましくは、本発明による燃料噴射器は、前記制御用油圧チャンバの充填または排出のための磁歪式、電磁式、電歪式または圧電式の制御手段を備える。
【0034】
好ましくは、前記ロッドおよび/または前記ノズルを周期的に発振させる前記手段は、圧電式、磁歪式および/または電磁式である。
【0035】
好ましくは、前記ロッドおよび/または前記ノズルを周期的に発振させる前記手段は、超音波周波数で前記ロッドおよび/または前記ノズルの弾性変形を引き起こすことができるものである。
【0036】
好ましくは、前記ロッドおよび/または前記ノズルを周期的に発振させる前記手段は、前記本体および/または前記ロッドと一体に取り付けられる。
【0037】
本発明のその他の利点および特徴は、もっぱら非限定的な例として添付の図面を参照する以下に紹介される好ましい実施形態についての説明を読むことで明らかになるであろう。
【0038】
これらの図で、同一の要素または同じ機能をもつ要素は、同じ参照番号で示されている。
【0039】
本発明による燃料噴射器44の第1の実施形態を、図1の長手方向断面図により示す。
【0040】
本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44の要素のなかで、図6を参照して説明した従来技術の燃料噴射器の要素と同一であるものについては、以下では改めて説明しない。
【0041】
本発明によれば、燃料噴射器44は、選択的に作動可能であって、本体12に対して質量体28を固定する手段を備える。
【0042】
これらの固定手段は、ロッド24の軸y−y’とほぼ直角をなす軸x−x’に沿って燃料噴射器44の本体12に対して移動自在に取り付けられたピストン46を備える。固定手段は、さらに、ピストン46と協働して、軸y−y’に沿って質量体28が移動するのを阻止することができる支持部片48も備える。
【0043】
好ましくは、ピストン46および/または支持部片48は、質量体28と相補形に形成され、質量体28に支持される面を有する。したがって、質量体28はこの場合円筒形なので、ピストン46および支持部片48は、質量体28と協働することができる、ほぼ円筒形のくぼんだ形状の支持面を有する。これにより、好適には、固定手段によって加えられる係止力が所与の圧力について最適化される。
【0044】
好ましくは、支持部片48は硬鋼から作製される。
【0045】
さらに、好ましくは、ピストンおよび支持部片と質量体との間の接触面ができるだけ大きくなるように、ピストン46および支持部片48は質量体28とほぼ同じ高さにある。これにより、好適には、固定手段によって加えられる係止力が所与の圧力について最適化される。
【0046】
ピストン46の移動を制御するために、本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44は、制御用油圧チャンバ50を有する。この制御用油圧チャンバ50は、燃料噴射器44の本体12とピストン46とによって画定される。制御用油圧チャンバ50は、燃料入口52を有する。燃料分岐流路53が、この燃料入口52に開口している。分岐流路53は、燃料噴射器44の供給路54に、好ましくは供給口20と第1のキャビティ18との間において開口している。
【0047】
制御用油圧チャンバ50は、また、好ましくは入口52の断面積よりも大きい断面積の作動油出口56を有する。この出口56は、第2のキャビティ34に接続される。第2のキャビティ34は、栓58によって塞がれる。この栓58は、低圧燃料排出流路60を有する。
【0048】
一方、制御用油圧チャンバ50の充填または排出を制御するために、本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44は、電気制御式、好ましくは磁歪式、電磁式または電歪式の弁62を備える。この弁62は、制御用油圧チャンバ50と第2のキャビティ34との間の流体連通を遮断することができる。
【0049】
本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44の動作および利点は、上記の説明から直ちに導き出される。
【0050】
加圧された燃料が供給口20から燃料噴射器44の本体12内に入ると、燃料は第1のキャビティ18内および制御用油圧チャンバ50内に広がる。
【0051】
弁62が給電されていない際には、弁62は閉じ、第2のキャビティ34と制御用油圧チャンバ50との間の流体連通は遮断される。したがって、燃料は第2のキャビティ34に向けて排出されない。そのため、制御用油圧チャンバ50内の燃料の圧力は高いままであり、すなわち第2のキャビティ34内の燃料の圧力よりも高い。そのため、燃料はピストン46を軸x−x’に沿って質量体28の方向に押圧する。これにより、ピストン46は、質量体28を支持部片48に押し付けることで質量体28をその初期位置に保持する。質量体28の初期位置およびロッド24内における初期引張力は、構造に基づいて、特に第2のキャビティ34内に配設されたバネ30に基づいて定まる。
【0052】
弁62が給電されると、弁62は開く。これにより、燃料は第2のキャビティ34に向けて排出される。そして、制御用油圧チャンバ50内の圧力が下がり、ピストン46はその締付けを緩める。質量体28は解放され、ロッド24内における引張力はバネ30によって強制的に決まる値に戻る。
【0053】
弁62のこの開放操作は、周期的に(例えば毎分)、数百ミリ秒程度のごく短時間で行われ、それによって、ロッド24内における引張力がバネ30によって強制的に決まる値に戻ることが可能になるとともに、燃料噴射器44の本体12とロッド24との膨張差によってロッド24に生じ得る過剰な引張力がなくなる。弁62の開放は、例えば、連続する2回の噴射の間に行うことができる。
【0054】
ポンプによって加圧供給され続ける燃料は、ピストン46に圧力を加え続けることに留意されたい。そのため、弁62が開いても、燃料は、制御用油圧チャンバ50内において第2のキャビティ34内の圧力よりも高い圧力を保つ傾向をもち得る。この問題は、制御用油圧チャンバ50への燃料の到達が細い分岐流路53を通して行われ、制御用油圧チャンバ50外への燃料の排出が、分岐流路53の直径よりも大きな直径の排出口56および排出流路60によって行われることで解決される。そのため、制御用油圧チャンバ50外への燃料の排出時の損失水頭は、その制御用油圧チャンバ50への注入時の損失水頭よりも小さい。したがって、制御用油圧チャンバ50外への燃料の排出を促し、これにより制御用油圧チャンバ50内の燃料の圧力を極めて急速に下げるようにすることができる。
【0055】
弁62は、制御用油圧チャンバ50内の圧力が急速に下がるように、好ましくは損失水頭が小さい。分岐流路53は、制御用油圧チャンバ50内の圧力の再上昇に対して十分に抵抗する。したがって、制御用油圧チャンバ50内の燃料の圧力の再上昇により質量体28の解放を妨げるまでの十分な時間はない。
【0056】
弁62が給電されなくなると、弁62は閉じて、制御用油圧チャンバ50と第2のキャビティ34との間の流体連通を遮断する。これにより、制御用油圧チャンバ50内の圧力が上昇する。そして、ピストン46は、図2に示すように、質量体28を支持部片48に対して押し付けることで質量体28を固定する。ロッド24は膨張差によって生じていた余分な応力から解放されるので、固定直後においてロッド24に作用する力はバネ30によって強制的に決まる値である。
【0057】
図3は、本発明による燃料噴射器の第2の実施形態を示したものである。図3に示される燃料噴射器66は、ニードル引込み式の燃料噴射器である点で、本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44とは異なる。したがって、噴射孔68を塞ぐために、ロッド24は、休止時に、第2のキャビティ34内に取り付けられたバネ30の作用によってノズル16の下端22の内面に押し付けられる。
【0058】
図4は、本発明による燃料噴射器の第3の実施形態を示したものである。図4に示される燃料噴射器70は、燃料噴射器の本体に取り付けられた例えば圧電式または磁歪式の能動部品の積層36を有さない点で、本発明の第1の実施形態による燃料噴射器44と異なる。実際、電場または磁場の作用で変形することができる能動部品、好ましくは圧電式または磁歪式の部品の積層72は、能動部品の積層72の変形が直接にロッド24の長手方向の発振を引き起こすように、ロッド24に一体に取り付けられている。
【0059】
図5は、本発明による燃料噴射器の第4の実施形態を示したものである。図5に示される燃料噴射器74は、燃料噴射器の本体に取り付けられた例えば圧電式または磁歪式の能動部品の積層36を有さない点で、本発明の第2の実施形態による燃料噴射器66と異なる。実際、第3の実施形態による燃料噴射器70について説明したように、電流の作用で変形することができる能動部品、例えば圧電式または磁歪式の部品の積層72は、能動部品の積層72の変形が直接にロッド24の長手方向の発振を引き起こすように、ロッド24に一体に取り付けられている。
【0060】
当然のことながら、本発明は、説明のための非限定的な例として紹介した上記の実施形態だけにとどまるものでなく、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、数々の変更が可能である。
【0061】
すなわち、固定用ピストンおよび支持部片はロッドと直接協働することができ、その場合、質量体は場合によっては省くことができる。
【0062】
また、ピストン46と支持部片48とから成る装置は、選択的に作動可能な固定手段の有利な実施形態をなすものであるが、質量体および/またはロッドの固定を有効に果たすことができる選択的に作動可能なあらゆる装置で置き換えることが可能である。とりわけ、例として、電動式もしくは油圧式のジャッキまたは電磁石による固定を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態による燃料噴射器の長手方向断面図である。
【図2】図1の燃料噴射器のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による燃料噴射器の長手方向断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による燃料噴射器の長手方向断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態による燃料噴射器の長手方向断面図である。
【図6】従来技術による燃料噴射器の長手方向断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に噴射孔で終端するノズル(16)を形成する燃料噴射器本体(12)と、
前記燃料噴射器本体の前記噴射孔を閉塞する手段であって、前記噴射孔の閉塞ヘッド(26)で終端する振動ロッド(24)を備える閉塞手段と、
前記閉塞手段を前記噴射孔の閉塞位置へと復帰させる手段(30)と、
噴射孔を交互に開放および閉鎖するように前記ロッド(24)および/または前記ノズル(16)を周期的に長手方向に発振させる手段(36、72)と
を備える、特にニードル引込み式またはニードル飛出し式の内燃機関用燃料噴射器(44、66、70、74)において、
前記本体(12)に対して前記ロッド(24)を固定する選択的に作動可能な手段(46、48)を備えることを特徴とする燃料噴射器。
【請求項2】
前記ロッドを固定する選択的に作動可能な前記手段が、機械的インピーダンスの断絶を実現するように、前記ロッド(24)および/または前記ロッド(24)が固定されている質量体(28)と協働することができることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項3】
前記固定手段(46、48)が、前記ロッド(24)とほぼ直角の方向に摺動することができるピストン(46)を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料噴射器。
【請求項4】
前記ピストン(46)を動作させる制御用油圧チャンバ(50)を備えることを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射器。
【請求項5】
前記制御用油圧チャンバ(50)が、前記燃料噴射器(44、66、70、74)の燃料供給口(20)と流体連通する少なくとも1つの燃料入口(52)を備えることを特徴とする請求項4に記載の燃料噴射器。
【請求項6】
前記制御用油圧チャンバ(50)が、少なくとも1つの燃料出口(56)をさらに備え、前記少なくとも1つの燃料入口(52)の合計断面積が前記少なくとも1つの燃料出口(56)の合計断面積よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射器。
【請求項7】
前記制御用油圧チャンバ(50)の充填または排出のための磁歪式、電磁式、電歪式または圧電式の制御手段(62)を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の燃料噴射器。
【請求項8】
前記ロッド(24)および/または前記ノズル(16)を周期的に発振させる前記手段が、圧電式、磁歪式および/または電磁式であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の燃料噴射器。
【請求項9】
前記ロッド(24)および/または前記ノズル(16)を周期的に発振させる前記手段が、超音波周波数で前記ロッド(24)および/または前記ノズル(16)の弾性変形を引き起こすことができるものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の燃料噴射器。
【請求項10】
前記ロッド(24)および/または前記ノズル(16)を周期的に発振させる前記手段が、前記本体(12)および/または前記ロッド(24)と一体に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の燃料噴射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−520153(P2009−520153A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546536(P2008−546536)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051247
【国際公開番号】WO2007/071863
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】