説明

内窓収納ユニット

【課題】簡単な施工で長期間安定して窓額縁に内窓枠を固定させることができると共に、室内のインテリアデザインを損なうことがなく、内窓周辺の空間を有効活用することができる内窓と収納とが一体化した内窓収納ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の内窓収納ユニット10は、建物開口部Oにおける外窓w1の窓額縁Xの内面に固定される内窓枠16を有する内窓12と、前記内窓枠16下の壁面Wに設置され、その上部が前記内窓枠16の下面に連結してこれを下から支持すると共に、その下部が床面Gに当接して自立し、その内部にて物を収納する収納本体14とで構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部において外窓の内側に設けられる内窓と収納とが一体化した内窓収納ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部において既存の窓(外窓)の内側に設けられる内窓は、建物開口部を断熱性や気密性に優れた二重構造にすることができ、夏の暑さや冬の寒さを緩和し、且つ結露の発生を防止するのに加え、外部の騒音等も緩和させることができる。このため、近年、リフォームなどの際にこの内窓が広く採用されるようになってきている。
【0003】
ここで、この内窓は、既存の窓の窓額縁(化粧枠)に、レールなどが一体化された内窓ユニットを固定するだけで簡単に短時間で施工することができるが、設置場所として窓額縁に奥行き70mm程度の余裕が必要である。そして、窓額縁にこのような余裕がない場合には、窓額縁に「ふかし枠」を追加で固定し、これに内窓ユニットを施工する必要がある(例えば、特許文献1又は2参照。)。
【0004】
ところで、建物開口部に内窓を設けて断熱性や防音性を高めるためには、内窓と外窓との間に形成される空間、すなわち「中間空気層」を大きくする必要がある。係る中間空気層の拡大を図るためには、上述した「ふかし枠」や造作材などからなる「内窓枠」を用いて内窓を室内側に大きく張り出させる必要が有るが、このように内窓を室内側に大きく張り出させると、張り出した部分が邪魔になって内窓周辺の空間を有効に活用することが難しくなると同時に、室内のインテリアデザインが損なわれるようになると云った問題が生じ得る。なお、張り出した内窓周辺に収納を設置すれば、内窓周辺の空間を有効に活用することもできるが、内窓とは別に収納を設けた場合、室内のインテリアデザインを損なわないように収納を選ぶのは、非常に手間のかかる作業となる。
【0005】
また、このような内窓を設置する上で、特に大きな問題となるのは、内窓が室内側に大きく張り出すように施工した場合、内窓枠に対して窓額縁から離脱・落下する方向に応力(荷重)が掛かるようになる。そうすると、係る状態で内窓を施工して長期間経つと、窓額縁に対する内窓枠の固定が甘い場合には、内窓枠が窓額縁から離脱して落下するようになる虞がある。したがって、内窓が室内側に大きく張り出すように施工する場合には、窓額縁に対して内窓枠を非常に強固に固定する必要があるため、内窓の施工に多大な手間とコストが掛かるようになると云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−31669号公報
【特許文献2】特開2010−242467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに本発明の主たる課題は、簡単な施工で長期間安定して窓額縁に内窓枠を固定させることができると共に、内窓枠が室内側に大きく張り出すような場合であっても室内のインテリアデザインを損なうことがなく、内窓周辺の空間を有効活用することができる内窓と収納とが一体化した内窓収納ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の発明は、
(a)建物開口部Oにおける外窓w1の窓額縁Xの内面に固定される内窓枠16を有する内窓12と、
(b)前記内窓枠16下の壁面Wに沿って設置され、その上部が前記内窓枠16の下面に当接して前記内窓枠16を下から支持すると共に、その下部が床面Gに当接して自立し、その内部にて物を収納する収納本体14とで構成されている
(c)ことを特徴とする内窓収納ユニット10、である。
【0009】
この発明では、建物開口部Oの窓額縁Xに固定される内窓枠16を収納本体14が下から支持しているので、仮に窓額縁Xと内窓枠16との固定が強固でなく簡単に施工されたものであったとしても、内窓枠16が窓額縁Xから離脱・落下するのを長期間に亘って完全に防止することができる。また同時に、収納本体14においては、その上部にて支持した内窓枠16から当該収納本体14を床面に押さえ付ける方向の応力が与えられるようになるので、収納本体14は転倒することなく長期間安定して自立することができる。
【0010】
また、このように内窓12と収納本体14とを当接させて一つのユニットとすることにより、室内のインテリアデザインが損なわれるのを防止することができる。特に、内窓枠16と収納本体14とを同じ質感(つまり同じ色柄など)の材料で構成することによって、当該効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0011】
本発明における第2の発明は、上記第1の発明の内窓収納ユニット10において、「前記収納本体14の下部に、前記収納本体14と床面Gとの間に生じる不陸を解消する高さ調節機構24が設けられている」ことを特徴とするもので、このような高さ調節機構24を設けることによって、上述したような窓額縁Xに対する内窓枠16の定着性と収納本体14の自立性とをより一層向上させることができるようになる。
【0012】
本発明における第3の発明は、上記第1又は第2の発明の内窓収納ユニット10において、「前記収納本体14が、壁面Wに当接するように設置されて上端部が内窓枠16に連結される背面板14aと、前記背面板14aの巾方向両端部に連結される左右一対の側板14bと、前記背面板14aの表面から前方に向けて水平に延設された棚板14cと、前記背面板14aの上部前方の位置にて左右の側面板14bの前方端間に架設された前面板14dと、前記前面板14dの裏面側に取り付けられ、建物開口部Oから採光した光Rを前記背面板14aの下部側へと導光する反射部材22とで構成されている」ことを特徴とするもので、これにより、建物開口部Oから採光した光Rを棚板14cの下側となる背面板14aの下部側まで導光することができ、いわゆる「窓前ガーデニング収納」として植物を植えた植木鉢Pやプランターなどを棚板14cの上下に沢山収納することができるようになる。
【0013】
本発明における第4の発明は、上記第1又は第2の発明の内窓収納ユニット10において、「前記収納本体14が、収納部30と折り畳みベンチ32とで構成されており、これらが巾方向左右に並設されると共に、前記収納部30には、前記折り畳みベンチ32に対面し奥行き方向に沿う面に物品の出し入れを行なう開口30aが設けられており、前記折り畳みベンチ32は、起倒可能に設けられ、起立時に前記収納部30の開口30aを閉塞し、倒伏時に前記収納部30の開口30aを開放する」ことを特徴とするもので、これにより、内窓12周辺の空間を収納として有効活用できるのに加え、当該内窓12周辺に寛ぎの空間を設けることができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の内窓収納ユニットによれば、内窓枠の下に、これを支持する収納本体を取り付けると云った簡単な施工で長期間安定して窓額縁に内窓枠を固定させることができると共に、内窓枠が室内側に大きく張り出すような場合であっても室内のインテリアデザインを損なうことがなく、内窓周辺の空間を有効活用することができる内窓と収納とが一体化した内窓収納ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の内窓収納ユニットの一例(第一実施例)を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】高さ調節機構の概略を示す参考図である。
【図4】本発明の内窓収納ユニットの一例(第二実施例;折り畳みベンチ起立状態)を示す斜視図である。
【図5】本発明の内窓収納ユニットの一例(第二実施例;折り畳みベンチ倒伏状態)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は、本発明の内窓収納ユニット10の一例(第一実施例)を示す説明図であり、図2は、図1におけるA−A線断面図である。これらの図が示すように、本発明の内窓収納ユニット10は、内窓12と、収納本体14とで大略構成されている。なお、図1及び図2で示す第一実施例の内窓収納ユニット10は、収納部分が謂わば窓前ガーデニング収納となっている態様のものである。
【0017】
内窓12は、図2で示すように、建物開口部Oに設けられた外窓w1の周囲を取り囲む窓額縁Xの室内側に配置され、当該外窓w1との間に、断熱効果や防音効果を発揮させるための中間空気層Mを形成するための窓である。
【0018】
この内窓12は、窓額縁Xに固定され、内窓本体12aを支持する内窓枠16を有する。内窓枠16は、窓額縁Xに固定され、内窓本体12aを支持できる機械的強度を有する枠体であれば如何なるものであってもよく、例えば、窓額縁Xにネジ止めされるアルミニウム合金製のベース部材と、このベース部材の表面を覆う合成樹脂製のカバー部材とで構成された枠体などを使用することができる。なお、本実施例の内窓収納ユニット10では、この内窓枠16における左右の縦枠部分のそれぞれに、植木鉢Pを吊持するためのハンギング植栽棚18が上下に2つ取り付けられている。
【0019】
収納本体14は、内窓枠16下の壁面Wに設置され、その上部が内窓枠16の下面に当接してこれを下から支持すると共に、その下部が床面Gに当接して自立し、その内部にて物を収納するためのもので、背面板14a、左右一対の側面板14b、棚板14c及び前面板14dを有する。
【0020】
この収納本体14の外郭となる背面板14a、左右一対の側面板14b及び前面板14dを構成する各板材は、挽材、合板、木質繊維板(インシュレーションボード[IB],中質繊維板[MDF],硬質繊維板[HB]等)、木削片板(パーティクルボード、ストランドボード、配向性ストランドボード[OSB]等)、集成材及び単板積層材などを単独或いはこれらを任意複合した材料などで形成されており、その表面は、必要に応じて、化粧紙,化粧樹脂含浸紙,化粧合成樹脂シート及び化粧単板等からなる化粧材を貼着することによって、或いは着色塗装,柄模様印刷及び透明塗装などを施すことによって装飾・保護されている。
【0021】
背面板14aは、壁面Wに当接するように設置されるもので、その上端部が内窓枠16に連結されている。また、この背面板14aにおける高さ方向の所定位置には、棚板14cを取り付けるための棚板受け金具20がネジなどの固定具で固定されている。そして、この背面板14aの巾方向左右両端部には、それぞれ側面板14bが取り付けられている。なお、側面板14bは、床面Gに載置した植木鉢Pやプランターなどを取り出し易くするために、下部前面側の肉が切欠されている。
【0022】
棚板14cは、植木鉢Pやプランター(図示せず)などを所定の高さに載置するための板材である。本実施例の内窓収納ユニット10では、この棚板14cを上述した背面板14aなどと同じ板材で構成する場合には、その先端が前面板14dの背面から所定の隙間だけ離間するように配置させる必要が有るが、この棚板14をガラス板や透明アクリル板などの透明材料で構成する場合には、上述のような隙間を設ける必要はない(この理由については後述する。)。
【0023】
前面板14dは、背面板14aの上部と対面する位置(前面)にて左右の側面板14bの前方端間に架設される板材で、その裏面側には、建物開口部Oから採光した光Rを背面板14aの下部側へと導光する鏡などの反射部材22が取り付けられている。
【0024】
以上のように構成された本実施例の内窓収納ユニット10では、建物開口部Oの窓額縁Xに固定される内窓枠16を収納本体14が下から支持しているので、仮に窓額縁Xと内窓枠16との固定が強固でなく簡単に施工されたものであったとしても、内窓枠16が窓額縁Xから離脱・落下するのを長期間に亘って完全に防止することができる。また、これと同時に、収納本体14においては、その上部にて支持した内窓枠16から当該収納本体14を床面に押さえ付ける方向の応力が与えられるようになるので、収納本体14は転倒することなく安定的に自立することができる。
【0025】
また、このように内窓12と収納本体14とを連結して一つのユニットとすることにより、室内のインテリアデザインが損なわれるのを防止することができ、特に、内窓枠16と収納本体14とを同じ質感(つまり同じ色柄など)の材料で構成することによって、当該効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0026】
さらに、棚板14cの先端が前面板14dの背面から所定の隙間だけ離間するように配置されるか、或いはこの棚板14cが透明材料で形成されていることから、前面板14dの裏面側に取り付けた反射部材22が、建物開口部Oから採光した光Rを棚板14cの下側となる背面板の下部側まで導光するようになっている。このため、いわゆる「窓前ガーデニング収納」として植物を植えた植木鉢Pやプランターなどを棚板14cの上下に沢山収納することができるようになる。
【0027】
なお、上述の実施例では、収容本体14を直接床面Gに載置する場合を示したが、図3に示すように、収容本体14の下部に、収納本体14と床面Gとの間に生じる不陸を解消する高さ調節機構24を設けるようにしてもよい。
【0028】
ここで、図3(a)で示す高さ調節機構24は、高さ調整ボルト24aと、該高さ調整ボルト24aが螺入可能な高さ調整ナット24bとで構成されたものであり、図3(b)で示す高さ調節機構24は、側面板14bに設けられた調整口24cから側面板14bの内部に埋め込んだ調整機構(図示せず)を操作して、調整ボルト24dの先端に取り付けた昇降部材24eを上下移動させるものであるが、高さ調節機構24は、これらの例に限定されるものではない。
【0029】
そして、このような高さ調節機構24を設けることによって、上述したような窓額縁Xに対する内窓枠16の定着性と収納本体14の自立性とをより一層向上させることができるようになる。
【0030】
次に、図4及び図5に示す第二実施例の内窓収納ユニット10について説明する。上述した第一実施例と異なる部分は、収納本体14がいわゆる「窓前ガーデニング収納」ではなく、収納部30と折り畳みベンチ32とで構成された、いわゆる「窓前ベンチ収納」となっている点である。なお、これら以外の部分は前記第一実施例と同じであるので、前記第一実施例の説明を援用して本実施例の説明に代える。
【0031】
収納本体14は、背面板14aの下端部から前方に向けて突出し、側面板14b及び略L字状に形成された前面板14dの水平片14d2で囲まれた矩形のベース部材14zの上に、収納部30と折り畳みベンチ32とを巾方向左右に並設して構成されている。
【0032】
収納部30は、背面板14a、一方の側面板14b、略L字状に形成された前面板14dの垂直片14d1及び天板14eで囲まれて構成されており、折り畳みベンチ32に対面し奥行き方向に沿う面に物品の出し入れを行なう開口30aが設けられている(図5参照)。
【0033】
折り畳みベンチ32は、ベース部材14z上に図示しないヒンジを介して起倒可能に設けられており、起立時に収納部30の開口30aを閉塞し、倒伏時に収納部30の開口30aを開放するように構成されている。また、図4に示すように、折り畳みベンチ32を起立させた際には、この折り畳みベンチ32の背面32a、前側面32b及び横側面32cが、それぞれ前面板14d、天板14e及び側面板14bと面一になって、当該折り畳みベンチ32を出っ張りなく収納することができるようになっている。
【0034】
以上のように構成された本実施例の内窓収納ユニット10によれば、内窓12周辺の空間を収納として有効活用できるのに加え、当該内窓12周辺に寛ぎの空間を設けることができるようになる。
【0035】
なお、上述の各実施例では、収納本体14が「窓前ガーデニング収納」及び「窓前ベンチ収納」の場合を示したが、この収納本体14は、内窓枠16下の壁面Wに沿って設置され、その上部が前記内窓枠16の下面に当接してこれを下から支持すると共に、その下部が床面Gに当接して自立する収納であれば、上記のものに限定されるものではなく、その他にも、例えば、(図示しないが)窓際の日当たりを利用して、内窓枠にソーラーパネルを固定した収納棚やペットの遊具等を設けたもの等であってもよい。つまり、本発明の内窓収納ユニット10では、収納本体14として様々な用途のものを利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…内窓収納ユニット
12…内窓
12a…内窓本体
14…収納本体
14a…背面板
14b…側面板
14c…棚板
14d…前面版
14e…天板
14z…ベース部材
16…内窓枠
18…ハンギング植栽棚
20…棚板受け金具
22…反射部材
24…高さ調節機構
30…収納部
30a…開口
O…建物開口部
w1…外窓
X…窓額縁
W…壁面
G…床面
P…植木鉢
R…光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部における外窓の窓額縁の内面に固定される内窓枠を有する内窓と、
前記内窓枠下の壁面に設置され、その上部が前記内窓枠の下面に当接して前記内窓枠を下から支持すると共に、その下部が床面に当接して自立し、その内部にて物を収納する収納本体とで構成されていることを特徴とする内窓収納ユニット。
【請求項2】
前記収納本体の下部に、前記収納本体と床面との間に生じる不陸を解消する高さ調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内窓収納ユニット。
【請求項3】
前記収納本体が、壁面に当接するように設置されて上端部が内窓枠に連結される背面板と、前記背面板の巾方向両端部に連結される左右一対の側板と、前記背面板の表面から前方に向けて水平に延設された棚板と、前記背面板の上部前方の位置にて左右の側面板の前方端間に架設された前面板と、前記前面板の裏面側に取り付けられ、建物開口部から採光した光を前記背面板の下部側へと導光する反射部材とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内窓収納ユニット。
【請求項4】
前記収納本体が、収納部と折り畳みベンチとで構成されており、これらが巾方向左右に並設されると共に、前記収納部には、前記折り畳みベンチに対面し奥行き方向に沿う面に物品の出し入れを行なう開口が設けられており、前記折り畳みベンチは、起倒可能に設けられ、起立時に前記収納部の開口を閉塞し、倒伏時に前記収納部の開口を開放することを特徴とする請求項1又は2に記載の内窓収納ユニット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−19160(P2013−19160A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152919(P2011−152919)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】