説明

内蔵USBハブを備えたデスクトップカードプリンタおよびその使用方法

外部通信リンク(14)と、リンク(12)と通信するマルチプラットフォーム標準化PDLコントローラ(14)と、コントローラ(14)と通信する少なくとも一つのデータ書込み装置(16)とを有するデスクトップカードプリンタ(10)。コントローラはデータ書込み装置(16)のデータ出力を制御する。コントローラ(14)はPCL(登録商標)コントローラとすることができる。データ書込み装置(16)は、可視印刷用の一つまたはそれ以上のプリントヘッドと、磁気媒体への書込み用の磁気書込みヘッドと、埋込みスマートカードチップへの書込み用のスマートカード接点とを含むことができる。プリンタ(10)は、情報をデータ書込み装置(16)で利用可能な形式に変換するために、一つまたはそれ以上のデータ書込み装置(16)と通信する一つまたはそれ以上のカプラ(17)を含むことができる。データリンクはUSBまたはTelnetリンクとすることができる。プリンタ(10)は内部USBハブ(22)を含むことができる。画像処理および意思決定は、主としてまたは完全にプリンタ(10)内で、特にプロセッサ内で実行することができる。プリンタ(10)はパーソナルコンピュータのような専用ホスト(30)から命令することができ、あるいはネットワークに接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国を除く全ての国を指定する出願人である米国法人DataCard Corporation、ならびに米国だけを指定する出願人である全員米国国民のJeffrey. A. Davie、Craig. A. LebakkenおよびMichael. A. Morrisonの名義で2004年11月9日にPCT国際特許出願として出願され、2003年11月18日に出願された米国特許出願第10/716,712号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、デスクトップカードプリンタおよびそれによるカード印刷方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、埋め込まれたPCL(登録商標)(プリンタ制御言語)、Telnetプロトコル、および内部ユニバーサルシリアルバス(USB)ハブを含むデスクトップカードプリンタに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、身分証明証、通行証カード、クレジットカード等のような様々なカードが幅広く使用されている。多くのそのようなカードは、テクスチャもしくはグラフィック印刷、またはカード上の磁気テープに格納された情報のような、何らかの形のデータをその上または中に組み込んでいる。ここ最近になって、コンピュータチップをカードに埋め込む、いわゆる「スマートカード」が作成され、データおよび/または機能命令またはプログラムをチップに記録することが知られるようになった。
【0004】
往々にして、何らかの方法でカードに格納されたデータをカスタマイズすることが望ましい。例えば、身分証明証はカード所有者の氏名および写真を含むかもしれない。代替的に、所有者、アクセスコード等に関する情報は、磁気テープまたはコンピュータチップに格納することができる。所定のカードは、そこに格納された何種類かの型のデータを含むことがある。
【0005】
比較的最近まで、カードに情報を追加するための主な手段は、大型の産業用機械類を使用することであった。このような機械類は、非常に多数のカードを短期間に処理するのに適している。しかし、カードが普及するにつれて、より小型のカードプリンタが望まれるようになった。それらは時々「デスクトップカードプリンタ」と呼ばれ、一般的に産業用カードプリンタより小さく、可動性が高く、かつ安価である。デスクトップカードプリンタの使用は、少量単位の、または単一でも、カードの高速かつ簡便な生産を促進することができる。
【0006】
しかし、従来のデスクトップカードプリンタは幾つかの限界を有する。
【0007】
例えば、従来のデスクトップカードプリンタは、プリンタを制御しかつカードに書き込まれるデータを使用者が入力するための簡便なビークルを提供するために、しばしばデスクトップコンピュータと共に使用される。そのような役割に使用されるコンピュータは時々「ホストマシン」と呼ばれる。ホストおよびデスクトップカードプリンタが通信するために、それらは何らかの共通の言語を持たなければならない。
【0008】
従来、デスクトップカードプリンタで使用される言語は、プラットフォーム特異的である。つまり、それらは単一のオペレーティングシステムでのみ働くように設計される。代替オペレーティングシステムを有するパーソナルコンピュータで従来のデスクトップカードプリンタを制御するためには、追加のソフトウェアが必要である。例えば、コードを書き換えかつ変更することによって、代替オペレーティングシステムに適切なプリンタドライバを「ポート」することができる。
【0009】
プラットフォーム特異的言語を異なるプラットフォームで使用するために必要な変更は、オペレーティングシステムを妨害し、クラッシュまたは他の問題を引き起こすおそれがある。たとえこれを克服することができても、新しいソフトウェアを生成し、かつデバッグするために時間と手間がかかる。
【0010】
加えて、従来のデスクトップカードプリンタは、大量の画像処理作業をホストコンピュータによって実行する必要がある。例えば、従来のデスクトッププリンタに写真が提供されると、ホストは、画像自体がカラーか白黒か、プリンタがマルチモード等で印刷する能力を持つ場合、どのプリントリボンを使用すべきか、等をプリンタに指示しなければならない。一回の印刷に多くのこのような決定が必要になるかもしれない。
【0011】
ホストコンピュータが意思決定および画像処理機能を取り扱う必要性は、印刷の速度を低下させ、かつ/または印刷しながら他のタスク(新しいデータの入力のような)を効果的に実行することができなくなる程度までホストを占有することがあり得る。
【0012】
加えて、ホストコンピュータが意思決定および処理を取り扱う場合、ホストは、そうするためにプリンタおよびその状態に関する特殊化された情報を入手しなければならないかもしれない。例えば、特定の材料から作られたカードには特定のインクが有用であるかもしれない。プリンタが異なる種類のカード用に幾つかのインクカートリッジを持つ場合、ホストは、印刷されるカードの種類に対してどれが適切なインクカートリッジであるかを「知る」必要がある。この情報を得るためにホストはカードプリンタ自体と通信し、おそらく印刷およびホストの動作の速度をさらに低下させ、あるいはホストのオペレータに問い合わせる必要がある。後者の場合、デスクトップカードプリンタを操作するために必要な技術のレベルが高くなる。
【0013】
共通の言語に加えて、ホストおよびデスクトップカードプリンタは通信プロトコルを共有しなければならない。従来のデスクトップカードプリンタは一般的にユニバーサルシリアルバスつまりUSB接続を使用する。しかし、USB接続は通常、直接リンクとしてのみ可能である。つまり、USBケーブルにより、ホストをデスクトップカードプリンタに直接接続しなければならない。これは、USBポートだけを備えた従来のデスクトップカードプリンタを、ネットワークを介して、または他の方法で標準USBケーブルが届く範囲を超える距離から使用することを困難または不可能にする。
【0014】
カードプリンタは何種類かの型のデータを記録することができる。例えば、上述の通り、デスクトップカードプリンタは単一のカード上に可視画像を、磁気テープにデータを、かつスマートカードチップにデータを記録することができる。しかし、複数のデータ書込み装置を持つ(つまりプリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点)デスクトップカードプリンタは、これらのデータ書込み装置の各々を制御することができなければならない。従来のデスクトップカードプリンタでは、全体としてのプリンタ用の主接続に加えて、データ書込み装置の一部または全部が独立した通信接続を使用する。その結果、単一の従来のカードプリンタは、五つ以上もの別個の接続(つまりUSBケーブル)を含むことができる。したがって、より多数のデータ書込み装置が追加されるにつれて、カードプリンタの設置および使用は複雑になる。接続を整備するために第三者ハブを使用することができるが、その場合、ハブ自体も接続しなければならないので、これは十分な解決策ではないかもしれない。
【発明の開示】
【0015】
特許請求の範囲に記載された発明の目的は、これらの困難を克服し、それによって改善されたデスクトップカードプリンタ、およびその使用方法を提供することである。
【0016】
前提事項として、以下の用語を定義する。
【0017】
本発明を説明するために本書で使用する用語「デスクトップカードプリンタ」は、カード上にデータを配置するためにデスクトップで使用するのに適した装置を意味すると考えるべきである。産業用カードプリンタは一般的にデスクトップカードプリンタよりずっと大きい。また、産業用カードプリンタは、構造、動作、および用途がデスクトップカードプリンタとは非常に異なり、それゆえに産業用カードプリンタそれ自体は本発明の一部とはみなされない。
【0018】
用語「プリンタ」は時々、特にテキストまたはグラフィックを、つまり可視画像を印刷するための装置を指すために使用される。しかし、本発明に関連して、用語「プリンタ」はより幅広く、データをカード上に配置するための装置を指す。データの型は特に限定されない。プリンタはテキストまたはグラフィックを印刷することができるが、印刷は、テキストおよびグラフィックスに加えて、またはそれらに代替物として、ピクトリアルでもテキストでもないバーコードのような可視情報を含むことができる。
【0019】
さらに、ヒトの目には必ずしも見えない情報を記録することも、本願の場合、印刷とみなすことができる。例えばデスクトップカードプリンタは、デジタルまたはアナログいずれかの磁気データを記録するための磁気書込みヘッドを含むことができる。そのようなデータをカードに書き込むことは、ここでは印刷とみなされる。同様に、スマートカードに埋め込まれたコンピュータチップにデータを記録することも印刷とみなされる。
【0020】
加えて、用語「プリンタ」は時々ペーパープリンタを記述するのに使用されるが、デスクトップカードプリンタは必ずしも構造または機能がペーパープリンタとは似ていない。ペーパープリンタおよびカードプリンタの特定の専門用語は類似しているが、装置自体は類似していない。したがって、本書で特記しない限り、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタのペーパープリンタとの類似性または等価性を想定すべきでない。
【0021】
一例として、ペーパープリンタは一般的に紙または紙状媒体に印刷するが、カードプリンタは非常に多種多様な媒体に印刷する。多くのプラスチックのようにこれらの材料のうちの特定のものは、ペーパープリンタで使用されるものとは非常に異なる印刷方法および/またはインクを使用する必要がある。例えば、CYMK(シアン‐イエロー‐マゼンタ‐黒)色を使用するカラーペーパープリンタの場合、シアン、イエロー、およびマゼンタの組合せとして、または黒として、どちらで黒を印刷しても等価であるかもしれない。しかし、これはカードプリンタには必ずしも当てはまらない。そこでは、シアン、イエロー、およびマゼンタの組合せは必ずしも黒と同等ではない。したがって、カードプリンタは黒を含むデータを印刷するために使用することができるが、これが行われる方法およびそれを行うために使用される構造は必ずしも同等ではなく、特に類似してもいない。
【0022】
同様に、個々のカードプリンタは、プリントヘッドに加えて、磁気書込みヘッド、スマートカードチップ用の接点等のような何種類かのデータ書込み装置を含むことがある一方、ペーパープリンタは一般的にプリントヘッドのみを含むことが注目される。
【0023】
ペーパープリンタとカードプリンタとの間のそのような差異に関するさらなる情報は、詳細な説明で提示する。
【0024】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタの例示的実施形態は、プリンタと、ホストコンピュータを含むがそれに限らない外部エージェンシとの間の通信のための外部通信リンクを含む。プリンタはまた、通信リンクと通信するマルチプラットフォーム標準化PDL(ページ記述言語)コントローラ、およびコントローラと通信する少なくとも一つのデータ書込み装置をも含む。コントローラはデータ書込み装置のデータ出力を制御する。
【0025】
さらに詳しくは、PDLコントローラはPCL(プリンタ制御言語)コントローラとすることができる。
【0026】
データ書込み装置は、プリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点を含むことができる。プリンタは二つ以上のデータ書込み装置を含むことができ、コントローラは各々のデータ出力を制御する。
【0027】
デスクトップカードプリンタがデータ書込み装置としてスマートカード接点を含む場合、プリンタはカプラを含むことができる。コントローラがカプラを介して接点のデータ出力を制御するために、カプラはスマートカード接点のみならず、コントローラとも通信することができる。
【0028】
デスクトップカードプリンタは二つ以上のカプラを含むことができ、それらの各々がコントローラと通信し、コントローラは幾つかの代替物の中から選択されたカプラを介してスマートカード接点のデータ出力を制御する。
【0029】
プリンタのデータ書込み装置は第一モードで印刷する第一モードプリントヘッドおよび第二モードで印刷する第二モードプリントヘッドを含むことができ、第一および第二プリントモードは異なる。第一モードプリントヘッドは昇華型プリンタとすることができ、第二モードプリントヘッドは樹脂インク表面プリンタとすることができる。
【0030】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタの別の例示的実施形態は、プリンタと外部エージェンシとの間の通信のための外部通信リンクと、通信リンクと通信するマルチプラットフォーム標準化PDLコントローラと、コントローラと通信する少なくとも一つのデータ書込み装置とを含む。コントローラはデータ書込み装置のデータ出力を制御する。通信リンクはイーサネットリンクとすることができ、コントローラはTelnetコントローラとすることができる。
【0031】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタのさらに別の例示的実施形態は、プリンタ内部にユニバーサルシリアルバス(USB)ハブを含む。プリンタはまた、スマートカード接点および二つ以上のカプラをも含む。カプラはUSBハブおよびスマートカード接点と通信する。USBハブを介して、カプラの中から一つのカプラを選択することができ、次いでそのカプラを使用して、スマートカード接点のデータ出力を制御することができる。
【0032】
USBハブは、デスクトップカードプリンタ内に電子的に組み込むことができる。
【0033】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタでカードを印刷する方法の例示的実施形態は以下を含む。ホストがコントローラを制御するように、プリンタのコントローラはホストから命令され、コマンドはマルチプラットフォーム標準化PDLを使用してコントローラに発行される。ホストからのコマンドはコントローラにより解釈され、コントローラは少なくとも一つのデータ書込み装置に命令してデータ書込み装置を制御する。次いでデータは、データ書込み装置を使用して、カードプリンタ内のカードに書き込まれる。
【0034】
コントローラは、PCLを使用して命令することができる。
【0035】
データ書込み装置は、プリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点を含むことができる。
【0036】
デスクトップカードプリンタは二つ以上のデータ書込み装置を含むことができる。そのような場合、方法は、コントローラによりデータ書込み装置を選択し、選択されたデータ書込み装置を制御するためにコントローラにより選択されたデータ書込み装置に命令し、選択されたデータ書込み装置を使用してカードにデータを書き込むことを含む。
【0037】
代替的に、デスクトップカードプリンタが二つ以上のデータ書込み装置を含む場合、方法は、コントローラにより第一および第二データ書込み装置を選択し、それらを選択的に制御するためにコントローラにより選択されたデータ書込み装置に選択的に命令し、選択されたデータ書込み装置によりカードにデータを選択的に書き込むことを含む。
【0038】
方法は、カプラを制御するために、ホストよりプリンタのカプラに命令することを含む。カプラはホストからのコマンドを解釈し、スマートカード接点を制御するためにスマートカード接点に命令する。次いでスマートカード接点はデータをプリンタ内のカードに書き込む。
【0039】
方法は、コントローラを制御するために、デスクトップカードプリンタ内部のUSBハブを介して、ホストによりプリンタ内のコントローラに命令し、かつホストからカプラを制御するためにUSBハブを介してプリンタのカプラに命令することを含むことができる。カプラはホストからのコマンドを解釈し、スマートカード接点を制御するためにスマートカード接点に命令する。次いでスマートカード接点はプリンタ内のカードにデータを書き込む。
【0040】
ネットワークを介してコントローラに命令することができる。コントローラはTelnetコントローラとすることができ、Telnetプロトコルを使用してコントローラに命令することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図中の同様の参照番号は一般的に対応する要素を示す。
【0042】
図1は、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10の例示的実施形態を示す。そこから分かるように、デスクトップカードプリンタ10は一般的に内蔵型ユニットである。それゆえに、それは、デスクトップコンピュータまたは「デスクトップ」環境における同様の装置の周辺機器として、スキャナ等のような他の周辺機器と同様に使用することができる。しかし、デスクトップカードプリンタ10はデスクトップ環境に特に適しているが、その構造または用途に関してそれ以外では特に限定されない。
【0043】
図2は、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10の例示的実施形態の略図を示す。
【0044】
そこに示す通り、デスクトップカードプリンタ10は外部通信リンク12、コントローラ14、および少なくとも一つのデータ書込み装置16を含む。
【0045】
外部通信リンク12は、プリンタ10外部の装置との通信を可能にする。例えば、図示するように、プリンタ10は外部通信リンク12によってホストコンピュータ30に接続される。そのような構成では、ホストコンピュータ30はプリンタ10との簡便なインタフェースとして働くことができる。
【0046】
例えば、ホスト30は、数字、色、および画像または他のデータの配置のような、実行される印刷に関するデータを簡便に入力するために使用することができる。次いで、そのようなデータは、外部通信リンク12を介してプリンタ10に中継される。同様に、エラーメッセージ、特定の印刷ジョブが完了したという通知等のようなプリンタ10からのデータを、外部通信リンク12を介してホスト30に中継することができる。
【0047】
しかし、プリンタ10および外部通信リンク12はどちらも、ホストコンピュータ30との接続のみに限定されない。
【0048】
多種多様な接続が、外部通信リンク12として使用するのに適している。リンクの物理的構造に関しては、イーサネットおよびUSBポートが外部通信リンク12として有用であることが知られている。しかし、これは単なる例示であり、他のリンクも同等に適切であるかもしれない。
【0049】
特に、外部通信リンク12はホスト30とのワイヤリンクにより図示されているが、ワイヤレス通信を利用する外部通信リンク12も同等に適切であるかもしれない。本書で外部通信リンク12に関して使用する場合、用語「外部」とは、外部通信つまりデスクトップカードプリンタ10内外への通信を指すことが注目される。外部通信リンク12は、それらがプリンタ10の外部にあるという意味で外部であるが、これは必ずしも必要ではない。例えば、一部の形式のワイヤレス通信では、外部通信リンク12はプリンタ10の外部にではなく、プリンタ10内に完全に収容することができる。
【0050】
適切な外部通信リンク自体は公知であり、本書ではこれ以上記載しない。
【0051】
コントローラ14は外部通信リンク12と通信する。したがって、コントローラ14はリンク12を介して、ホスト30または外部エンティティとの間でデータを送受信することができる。
【0052】
好ましくは、コントローラ14はマルチプラットフォーム標準化PDL(ページ記述言語)コントローラである。つまり、コントローラ14は、二種類以上のコンピュータシステムで使用可能な標準化PDLを使用して、コマンドを送信および/または受信できることが好ましい。
【0053】
デスクトップカードプリンタ10の一部の実施形態では、コントローラ14は、その物理的構造のため、マルチプラットフォーム標準化PDLコントローラとすることができる。つまり、コントローラ14は特に、マルチプラットフォーム標準化PDL,を利用するように構成することができ、および/またはPDLはコントローラ14内に永久かつ不変に埋め込むことができる。
【0054】
しかし、これは必須ではない。デスクトップカードプリンタ10を制御するために、ファームウェアとして埋め込まれた適切なPDLを有し、またはそのようなPDLをソフトウェアとしてロードするコントローラ14は同等に適切である。本発明の目的として、たとえ構造的にそのように識別されない場合でも、そのようなコントローラ14が依然としてマルチプラットフォーム標準化PDLコントローラとみなされることが重要である。コントローラがマルチプラットフォーム標準化形式で情報を送信および/または受信すれば十分である。
【0055】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10の一部の実施形態は、コントローラ14として半導体チップを使用することができる。しかし、これは単なる例示であり、他のコントローラも同等に適切であるかもしれない。
【0056】
好適な実施形態では、コントローラ14は、ファームウェアとしてROM(読出し専用メモリ)に埋め込まれたマルチプラットフォーム標準化PDLプロトコルを有する。そのような構成は、PDL用だけのジョブ特定的コントローラを設計および構成する必要が無い。加えて、ファームウェアとして埋め込まれた場合、PDLは比較的安定である。例えばROMは不揮発性であり、したがってPDLを含むデータは、その中に格納されたときに偶発的損失または改変に対する抵抗性が高い。
【0057】
コントローラ14がそのROMにファームウェアとして埋め込まれたPDLを有する場合、PDLを含むファームウェア命令を必要に応じて更新、変更、または拡張することができるように、ROMはPROM(プログラマブル読出し専用メモリ)であることも好ましい。
【0058】
より好適な実施形態では、コントローラはPCL(プリンタ制御言語)コントローラである。PCLはHewlett-Packard社の登録商標である。PCLはマルチプラットフォーム標準化PDLの一例である。
【0059】
さらに好適な実施形態では、PCLの拡張版が使用される。つまり拡張は、基本版のPCLで利用できない機能を可能にするために、PCLの基本版と共に使用される。PCLはペーパープリンタを制御するために使用されることが注目され、本願の出願日現在において、それは本発明の少なくとも一部の機能には備えていない。例えば、本願の出願日現在において、PCLは、データ書込み装置としての磁気書込みヘッドまたはスマートカード接点の使用に備えていない。したがって、この機能は、基本版のPCLを使用して得ることができない。これおよび他の機能を使用可能にする拡張は、デスクトップカードプリンタ10に必要または望ましい追加機能を達成するために、コントローラ14によって利用することができる。
【0060】
PDLおよびPCL自体は公知であり、本書ではこれ以上記載しない。
【0061】
コントローラ14がTelnet装置であることも好ましい。つまり、コントローラ14は、Telnetプロトコルを使用して(例えば外部通信リンク12を介して)、コントローラ14との間で情報を伝送することができるように、そこに埋め込まれたTelnetを有する。
【0062】
PDLを使用する場合と同様に、コントローラ14が利用可能なTelnetを持つ方法は特に限定されない。Telnetプロトコルはコントローラ14の構造に、その中のファームウェアに、またはその中のソフトウェアとして組み込むことができる。そのようなコントローラ14は本願の場合、それがTelnet機能を達成する限り、Telnetコントローラとみなすことができる。
【0063】
Telnetは、デスクトップカードプリンタ10とネットワークの簡便な接続を可能にする。したがって、幾つかのホスト30が単一のデスクトップカードプリンタ10にアクセスすることができ、同様に、幾つかのデスクトップカードプリンタ10に単一のホスト30がアクセスすることができる。加えて、Telnetは、そのようなネットワーク上にあるデスクトップカードプリンタ10に、ネットワーク自体がアクセスできる事実上どんな場所からでも遠隔アクセスすることを可能にする。
【0064】
図5は一つのそのようなネットワークを示す。そこで、六台のホスト30Aないし30Fが、二つのデスクトップカードプリンタ10Aおよび10Bと共にネットワークにリンクされている。そのような構成では、六台のホスト30Aないし30Fのどれでも、デスクトップカードプリンタ10Aおよび10Bのいずれかにアクセスして印刷することができる。しかし、この構成は単なる例示である。ネットワークおよびそれらの中のデスクトップカードプリンタ10の構成は幅広く変化することができる。
【0065】
図2に戻ると、コントローラ14は少なくとも一つのデータ書込み装置16と通信する。図2に示す通り、コントローラは四台のデータ書込み装置16A、16B、16C、および16Dと通信するが、これは単なる例示である。
【0066】
コントローラ14とデータ書込み装置16との間の通信は、直接的である必要は無いことが注目される。例えば、図示するように、コントローラ14は、カプラ18A、18B、および18Cを介してデータ書込み装置16Dと通信する。カプラ18については以下でさらに詳述する。
【0067】
コントローラ14はデータ書込み装置16のデータ出力を制御し、したがってプリンタ10を通過するカード上に最終的にどのデータを配置するかを制御する。上述の通り、コントローラ14は外部通信リンク12と通信しているので、データを次にコントローラ14に提供することができる。
【0068】
前述の通り、本発明の原理に係るカードプリンタ10は、グラフィックまたはテキストの可視印刷に限定されない。むしろ、事実上どんな形のデータでもカード上または内に配置することができる。同様に、本発明の場合、データ書込み装置16は、データをカードの表面またはカード内の何らかのデータ格納システムに書き込む、事実上どんな装置でもよい。データ書込み装置16は、構造、動作の方法、または書き込まれるデータの型に関して特に限定されない。
【0069】
適切なデータ書込み装置16はプリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点を含むが、それらに限定されない。
【0070】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10におけるデータ書込み装置16の型は、書き込むことのできるデータの種類を決定する。例えばプリントヘッドは一般的に、テキスト、グラフィック、またはバーコードのような他のデータを、露出したカード表面上に印刷する。磁気書込みヘッドは一般的に、カードの表面に塗布されるかあるいはカード内に包封された磁性材料のテープ上にデータを記録する。スマートカード接点は一般的に、カードに取り付けるかあるいはカード内に埋め込まれたコンピュータチップ上にデータを記録する。
【0071】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10は、上述した種類のデータ書込み装置16および/または本書に特に記述しないデータ書込み装置16のいずれかまたは全部を含むことができる。
【0072】
加えて、デスクトップカードプリンタ10の特定の実施形態は、特定の型の複数のデータ書込み装置16を含むことができる。そのような場合、これらのデータ書込み装置16は同一とすることができ、あるいはそれらは相互に異なることができる。
【0073】
例えば、特定のプリンタ10はデータ書込み装置16として、CYM(シアン‐イエロー‐マゼンタ)フォーマットで印刷するようなカラープリントヘッド、および黒だけで印刷するモノクロプリントヘッドの両方を含むことができる。
【0074】
多くのカード材(様々なプラスチック材など)に印刷するために使用されるインクは知覚できない仕方で相互作用するので、この特定の構成はカード印刷に関して特に重要であるかもしれない。例えば、紙のような媒体の場合、CYM印刷は、シアン、イエロー、およびマゼンタインクを組み合わせることによって黒を生成することができる。しかし、カード印刷では、これは必ずしも当てはまらない。たとえ結果的に生じる組合せを検査の結果黒とみなすことができる場合でも、生成される印刷品質は、黒インクにより印刷することによって生成されるものとは著しく異なるかもしれない。
【0075】
別の実施例として、プリンタ10は、データ書込み装置16として、様々なモードで印刷するプリントヘッドを含むことができる。プリンタは、昇華型プリントヘッドとすることのできる第一モードプリントヘッドを含むことができる。そのようなプリントヘッドはカードの表面に着色料を配置し、着色料は一般的に熱を加えることにより(必ずしもそうとは限らないが)カード材料内に浸透する。プリンタ10は、昇華型プリントヘッドに加えて、第二モードプリントヘッドとして樹脂プリントヘッドをも含むことができる。樹脂プリントヘッドは着色樹脂をカードの表面に配置し、樹脂は一般的に熱を加えることにより表面に融着するが、カード材料内に浸透しない。
【0076】
たとえ二つのプリントヘッドによって生成される印刷が視覚的に同一である場合でも、結果的に得られる画像が異なる非可視的特性を有する場合、プリンタ10は、異なるモードで印刷するために異なるプリントヘッドを含むことができる。例えば、バーコード読取り装置によって読み取ることのできない着色料は、可視画像を生成するために使用することができ、使用できる樹脂は、バーコードを生成するために使用することができる。そのような組合せにより、樹脂印刷されたバーコードは、たとえ可視着色料画像も存在し、バーコード自体の上に重なっている場合でもバーコード読取り装置によって容易に読み取ることができる。
【0077】
同様に、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10は、データ書込み装置16としてアナログ磁気書込みヘッドおよびデジタル磁気書込みヘッドの両方を含むことができる。そのような構成により、一部のカード上の磁気テープにアナログデータを書き込むことができる一方、他のカードにデジタルデータを書き込むことができる。代替的に、アナログおよびデジタルデータを単一カードに書き込むことができる。
【0078】
同様に、デスクトップカードプリンタ10は、データ書込み装置16として二種類以上のスマートカード接点を含むことができる。例えば一部のスマートカード内のスマートカードチップは、カード表面の直接電気接触を通してデータを受信するように設計され、そのようなカードにデータを書き込むのに適した接点は、プリンタ10にデータ書込み装置16として含めることができる。しかし、他のスマートカード内のチップは、ワイヤレスで、つまり電波を介してデータを受信するように設計される。したがって、そのようなカード内のチップにデータを書き込むために、電波アンテナもまたデータ書込み装置16として含めることができる。
【0079】
図2に戻ると、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10は、コントローラ14がカプラ18を介してデータ書込み装置16のデータ出力を制御するように、コントローラ14およびデータ書込み装置16と通信する一つまたはそれ以上のデータカプラ18を含むことができる。図示するように、図2のプリンタ10は、各々がコントローラ14と通信し、かつ各々がデータ書込み装置16Dの一つとも通信する、三つのカプラ18A、18B、および18Cを含む。
【0080】
カプラ18は、コントローラ14によって使用される形式のような使用される一つの形式から、データ書込み装置16によって使用される別の形式に、命令を変換する。
【0081】
図示する通り、所定のプリンタ10内の一部のデータ書込み装置16はカプラ18を利用するが、他の装置はそれを利用しない。本書で参照したデータ書込み装置16うち、スマートカード接点はカプラ18を利用する可能性が最も高い。スマートカードチップの種類、個数、および通信方法はチップ毎に、かつしたがってカード毎にかなり異なる。これは少なくとも部分的に、スマートカードおよびそれらのチップの多様性のためである。スマートカードを使用することのできる目的は多種多様であるので、チップ自体をプログラムするために使用されるシステムも多種多様である。加えて、スマートカードチップは第三者によって提供されることがあり、これらのチップにデータを書き込むために、第三者の装置、すなわちカプラ16が必要になることがある。
【0082】
したがって、使用の柔軟性を提供するために、プリンタ10に複数のカプラ18を含めることが望ましいかもしれない。これらのカプラ18は一般的に、コントローラ14とスマートカード接点との間の通信に利用される。しかし、コントローラ14とスマートカード接点との間の通信は、必ずしもカプラ18を必要としない。同様に、カプラ18は、コントローラ14と他の型のデータ書込み装置16との間の通信にも使用することができる。
【0083】
図3に示す通り、カプラ18を利用するデータ書込み装置16との通信は、必ずしもコントローラ14を必要としない。図3に示す構成では、カプラ18A、18B、および18Cは各々、データ書込み装置16Dと通信するが、コントローラ14とは通信しない。代わりに、カプラ18A、18B、および18Cはカプラ通信リンク20A、20B、および20Cとそれぞれ通信する。次に、カプラ通信リンク20A、20B、および20Cはホスト30と通信する。
【0084】
前述の通り、カプラ18は一般的にスマートカード接点と共に使用される。図3に示した事例では、データ書込み装置16Dのためのデータはコントローラ14を迂回する。これは、例えばカードに書き込まれるデータが、コントローラ14によって処理することを必要とせずにスマートカードチップに「ダンプ」される、単なるデジタル情報である場合に、有利であるかもしれない。しかし、そのような構成は単なる例示である。
【0085】
カプラ通信リンク20は、それらがプリンタ10外部の装置との通信を可能にするという点で、外部通信リンク12に多少類似している。外部通信リンク12の場合と同様に、カプラ通信リンク20はホストコンピュータ30との接続のみに限定されない。
【0086】
多種多様な接続がカプラ通信リンク20として使用するのに適している。USBポートは、カプラ通信リンク20として有用であることが知られている。しかし、これは単なる例示であって、他のリンクも同等に適しているかもしれない。
【0087】
図3に示す通り、図中のデスクトップカードプリンタ10の実施形態は、全部で四つの通信リンク、つまり外部通信リンク12および三つのカプラ通信リンク20を有する。上述の通り、複数のカプラ18を持ち、および/またはコントローラ14を迂回するカプラ通信リンク20を持つことに利点があるかもしれないが、通信リンクの個数が増加するにつれて、プリンタ10の複雑さも増大し、ホスト30または他の外部エージェントと適切に接続しかつ接続を維持することの潜在的困難さも増大する。
【0088】
加えて、イーサネット接続に関して前述した通り、ホスト30と外部通信リンク12およびカプラ通信リンク20との間の図3に示すような直接接続は、ある意味で、少なくともネットワークからのアクセスに関して限定される。USB接続のような直接接続をイーサネット接続のようなネットワーク可能接続に個別に変換すると、複雑さはさらにいっそう増加し得る。
【0089】
したがって、図4に示す通り、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10の特定の実施形態は、内部USBハブ22を含むことができる。そこに示された実施形態では、プリンタ10は外部通信リンク12を介してホスト30に接続される。
【0090】
外部通信リンク12はコントローラ14と通信する。したがってコントローラ14は、図2および3に示す通り外部通信リンク12と接続するが、内部USBハブ22を介する。
【0091】
内部USBハブ22はまた、三つのカプラ18A、18B、および18Cとも通信する。図3の通り、カプラ18との通信はコントローラ14を迂回する。しかし、プリンタ10は内部USBポート22を含むので、カプラ18はホスト30との別個の接続を必要とせず、プリンタ10とホスト30との間の接続はそれによって簡素化される。
【0092】
USBハブ22はプリンタ10に内在する。それは別個の装置ではなく、したがってそれとプリンタ10との間に追加の外部接続を行なう必要がない。しかし、USBハブ22は本質的に、プリンタ10内に配置された内蔵装置である。代替的に、USBハブ22は、回路基板、接地、電源等を共有することができるように、プリンタ10内に完全に組み込むことができる。
【0093】
USBハブはそれ自体公知であり、本書ではこれ以上記載しない。
【0094】
本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10の好適な実施形態では、意思決定およびデータ処理は主としてまたは完全にプリンタ10に内在する。つまり、印刷に直接関係する画像処理および意思決定は、プリンタ10自体の内部で、一般的にプロセッサ14内で実行される。したがって、プロセッサ14が例えばホスト30から印刷コマンドを受け取ると、さらなる入力は必要無い。
【0095】
例えば、ホスト30からプリンタ10へ印刷のためのカラー画像が送られると、どのデータ書込み装置16を使用して適切なカラー画像をカードに生成すべきか、および画像を印刷するためにどのパラメータ(例えば画像縮尺)を使用すべきかを、コントローラ14自体が決定する。ホスト30は、印刷が行われるために適切なデータ書込み装置16があるかどうかを「知る」、あるいは決定する必要が無い。同様に、ホスト30は、データを書き込むために使用されるデータ書込み装置16に適した形式にするように画像データを処理する必要が無い。ホスト30が印刷を開始すると、プリンタ10自体が必要な処理を行い、画像を印刷する。
【0096】
そのような内部処理は上記の実施例に限らない。デスクトップカードプリンタ10の特定の実施形態の詳細によっては、プロセッサ14は印刷の前または間に、他の種類の画像処理を実行することができる。本書に特に記載しない他の処理も実行することができる。
【0097】
画像処理自体は公知であり、本書ではこれ以上記載しない。
【0098】
処理動作を実行することに加えて、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10における印刷は意思決定を含むことができる。
【0099】
例えば、カードへの書込みのためのデータがホスト30からプリンタ10へ送られると、どのデータ書込み装置16がデータを書き込むのに最も適しているかを、コントローラ14自体が決定する。
【0100】
場合によっては、これは、関係するデータの媒体に基づくデータ書込み装置16の選択の問題である。例えば、磁気テープにデータを書き込む場合に使用するための磁気書込みヘッドを選択する。
【0101】
しかし、そのような決定はやや微妙であるかもしれない。例えば、前述の通り、カードのCYMカラー印刷におけるシアン、イエロー、およびマゼンタインクの組合せは、黒インクを使用して形成されたものと同等の画像を生成しないかもしれない。そのような場合、プロセッサ14は、生成される効果によって、CYMカラープリントヘッドを使用して印刷するか、それともモノクロプリントヘッドで印刷するかを選択することができる。
【0102】
同様に、CYMKプリントヘッドを使用する場合、プロセッサ14は、画像のどの部分をシアン、イエロー、およびマゼンタの組合せを使用して印刷するか、およびどの部分を黒で印刷するかを選択して、プリントヘッド自体を詳細に制御することができる。
【0103】
同様に、プロセッサ14は、幾つかのプリントヘッドのうちのどれを特定の型の画像のために使用するかを選択することができる。例えば、前述の通り、バーコードは、昇華型プリントヘッドよりむしろ樹脂プリントヘッドを使用して印刷することが好ましい。
【0104】
したがって、意思決定は、印刷ジョブ全体を実行するために、幾つかある中から単一のデータ書込み装置16を選択することを含むことができる。そのような場合、プリンタ10はコントローラ14によりデータ書込み装置16を選択し、かつ選択されたデータ書込み装置16を使用してカードにデータを書き込むように、コントローラ14により選択されたデータ書込み装置16に命令することができる。
【0105】
しかし、選択は、各々が印刷ジョブの一部分を実行するように、二つ以上のデータ書込み装置16を選択することを含むこともできる。そのような場合、プリンタ10はコントローラ14により第一および第二データ書込み装置16を選択し、かつ選択されたデータ書込み装置16を使用してカードにデータを選択的に書き込むように、コントローラ14により選択されたデータ書込み装置16に命令することができ、データの一部は第一データ書込み装置によって書き込まれ、データの一部は第二データ書込み装置によって書き込まれる。
【0106】
そのような意思決定は二つのデータ書込み装置16のみに限定されず、同種または異種のいずれでも本質的に任意の個数のデータ書込み装置16を包含することができることは理解されるであろう。
【0107】
加えて、プリンタ10における意思決定はデータ書込み装置16の選択のみに限定されない。特定のデータ書込み装置16と共に使用するために二つ以上のカプラ18が利用可能である場合、コントローラ14は、どのカプラ18がデータを適切なデータ書込み装置16に通信するのにもっとも適切であるかを決定することができる。
【0108】
画像処理の場合と同様に、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10における意思決定は、本書に提示した実施例に限定されない。
【0109】
処理および意思決定はプリンタ10内で実行されるので、ホスト30に求められることは比較的少ない。
【0110】
そのような構成は、処理および意思決定に影響するホスト30からの入力を妨げるものではないが、そのような入力は必要ではない。
【0111】
前述の通り、本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタ10では、コントローラ14は、PCLの拡張版を使用するPCLコントローラである。拡張は、上述した処理および意思決定機能の一部または全部を使用可能にするために使用することができる。
【0112】
ペーパープリンタを制御するために使用される基本版のPCLは、ペーパープリンタによって使用されない機能を使用可能にはしない。例えば、磁気テープもスマートカードチップも紙印刷では従来利用されず、複数のプリントヘッドの使用は、最善の状態でも制限される。本願を出願する時点で、基本版のPCLは、磁気データを磁気テープに書込みあるいはスマートカードチップにスマートカードデータを書き込むことを可能にする機能を含まず、かつデータを印刷するために複数のプリントヘッドを使用することをほとんどまたは全くサポートしない。さらに、本願を出願する時点で、基本版のPCLは磁気データまたはスマートカードデータを書き込むために意思決定する機構も含まず、複数のプリントヘッドの中から選択するための機構もほとんどまたは全く持たない。
【0113】
したがって、少なくとも上述した画像処理および意思決定動作を実行するために拡張を使用することを特記する。しかし、本発明は、本書で特定した拡張のみに、あるいは画像処理および意思決定のための拡張に限定されない。
【0114】
上記の仕様、実施例、およびデータは、本発明の構成要素の製造および使用の完全なる説明を提供するものである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明多くの実施形態を構成することができるので、本発明は添付する特許請求の範囲に存する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタの例示的実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタの例示的実施形態の略図を示す。
【図3】本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタの別の例示的実施形態の略図である。
【図4】本発明の原理に係るデスクトップカードプリンタのさらに別の例示的実施形態の略図である。
【図5】デスクトップカードプリンタがネットワークで幾つかのホストとリンクする別の例示的実施形態の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信リンクと、
前記リンクと通信するマルチプラットフォーム標準化PDLコントローラと、
前記コントローラと通信する少なくとも一つのデータ書込み装置と、を備え、
前記コントローラが前記データ書込み装置のデータ出力を制御するようにした、デスクトップカードプリンタ。
【請求項2】
前記コントローラがPCLコントローラである、請求項1に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項3】
前記少なくとも一つのデータ書込み装置が、プリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点から成る群のうちのひとつを含む、請求項1に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項4】
前記コントローラと通信する複数のデータ書込み装置をさらに含み、前記コントローラが前記データ書込み装置の各々の出力を制御するようにした、請求項1に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのデータ書込み装置がスマートカード接点を含み、かつ
前記デスクトップカードプリンタが、前記コントローラおよび前記接点と通信するスマートカードカプラを含み、前記コントローラが前記カプラを介して前記接点の前記データ出力を制御するようにした、請求項1に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項6】
前記コントローラおよび前記接点と通信する複数のスマートカードカプラをさらに含み、前記コントローラが前記カプラの選択された一つを介して前記接点の前記データ出力を制御するようにした、請求項5に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項7】
前記少なくとも一つのデータ書込み装置が第一モードプリントヘッドおよび第二モードプリントヘッドを含み、前記第一モードプリントヘッドの第一プリントモードが第二モードプリントヘッドの第二プリントモードとは異なる、請求項6に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項8】
前記第一モードプリントヘッドが昇華型プリンタであり、かつ前記第二モードプリントヘッドが表面プリンタである、請求項7に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項9】
外部通信リンクと、
前記リンクと通信するPDLコントローラと、
前記コントローラと通信する少なくとも一つのデータ書込み装置と、を含むデスクトップカードプリンタであって、
前記コントローラが前記少なくとも一つのデータ書込み装置のデータ出力を制御し、
前記リンクがイーサネットリンクであり、かつ
前記コントローラがTelnetコントローラである、デスクトップカードプリンタ。
【請求項10】
デスクトップカードプリンタの内部にあるUSBハブと、
スマートカード接点と、
前記USBハブおよび前記接点と通信する複数のスマートカードカプラと、を含むデスクトップカードプリンタであって、
前記カプラのうちの選択された一つが前記接点を制御し、かつ、
前記カプラのうちの前記一つが前記USBハブを介して選択可能である、デスクトップカードプリンタ。
【請求項11】
前記USBハブがその中に電子的に統合された、請求項10に記載のデスクトップカードプリンタ。
【請求項12】
デスクトップカードプリンタにおけるカード印刷方法であって、
ホストから、マルチプラットフォーム標準化PDLを使用して、前記プリンタのコントローラを制御するように前記コントローラに命令するステップと、
前記コントローラにより、前記ホストからのコマンドを解釈し、かつ前記プリンタの少なくとも一つのデータ書込み装置を制御するように前記少なくとも一つのデータ書込み装置に命令するステップと、
前記少なくとも一つのデータ書込み装置により、前記カードプリンタ内のカードにデータを書き込むステップと、を含むカード印刷方法。
【請求項13】
PCLを使用して前記コントローラに命令するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つのデータ書込み装置が、プリントヘッド、磁気書込みヘッド、およびスマートカード接点から成る群のうちの一つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プリンタが複数のデータ書込み装置を含み、
前記コントローラにより、前記複数のデータ書込み装置から一つを選択するステップと、
前記コントローラにより、前記選択されたデータ書込み装置を制御するように前記選択されたデータ書込み装置に命令するステップと、
前記選択されたデータ書込み装置により前記カードにデータを書き込むステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記プリンタが複数のデータ書込み装置を含み、
前記コントローラにより、前記複数のデータ書込み装置から第一および第二データ書込み装置を選択するステップと、
前記コントローラにより、前記選択されたデータ書込み装置を選択的に制御するように、前記選択されたデータ書込み装置に選択的に命令するステップと、
前記第一および第二の選択されたデータ書込み装置により前記カードにデータを選択的に書き込むステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ホストから、前記プリンタのカプラを制御するように前記カプラに命令するステップと、
前記カプラにより、前記ホストからのコマンドを解釈し、かつスマートカード接点を制御するように前記スマートカード接点に命令するステップと、
前記スマートカード接点により前記カードプリンタ内のカードにデータを書き込むステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ホストから、内部USBハブを介して前記コントローラに命令するステップと、
前記ホストから、前記プリンタ内のカプラを制御するように前記USBハブを介して前記カプラに命令するステップと、
前記カプラにより、前記ホストからのコマンドを解釈し、かつスマートカード接点を制御するように前記スマートカード接点に命令するステップと、
前記スマートカード接点により前記カードプリンタ内のカードにデータを書き込むステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
ネットワークを介して前記コントローラに命令するステップ、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラがTelnetコントローラであり、
Telnetプロトコルを使用して前記コントローラに命令するステップ、をさらに含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−516864(P2007−516864A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541247(P2006−541247)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037411
【国際公開番号】WO2005/050535
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(504012756)データカード・コーポレイシヨン (15)
【Fターム(参考)】