説明

内装壁材の施工方法、内装薄付け仕上げ塗り材、及びその製造方法

【課題】例えば袋等の容器に規定量の水を加えて手などで簡単に混練することができ、簡単に下地の上に塗り付けることができ、さまざまなデザインを表面に施すことができ、ひび割れ抵抗性、付着強さ、保水性、耐摩耗性、耐変退色性、吸放湿性、マイナスイオン発生効果を併せ持つ内装壁材の施工方法、内装薄付け仕上げ塗り材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の内装壁材の施工方法は、無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維4〜7wt%、水溶性樹脂1〜10%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させて容器中に封入しておき、容器中の粉末混合物に対して所定量の水を加えて混練する工程と、下地上に塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程と、からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば袋等の容器に規定量の水を加えて手などで簡単に混練することができ、簡単に下地の上に塗り付けることができ、さまざまなデザインを表面に施すことができ、ひび割れ抵抗性、付着強さ、保水性、耐摩耗性、耐変退色性、吸放湿性、マイナスイオン発生効果、消臭性などの多機能を併せ持つ内装壁材の施工方法、内装薄付け仕上げ塗り材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調湿性を有する仕上塗材として漆喰や土壁が知られており、漆喰は消石灰に、スサ、のり、藁、水等を加えて練り合わせたものであって、土壁は粘土に、砂、藁、麻等を加えて練り合わせたものである。また、例えば特許文献1等に提案されている左官仕上げ用壁材(原料)のように、珪藻土・シラスを添加したものも知られている。
これらは、調湿性ばかりでなく、耐火性、蓄熱性、消臭性をも併せ持つものであって、近年の揮発性有機化合物過敏症やシックハウス症候群に対する対策として見なおされてきている。
【0003】
前記珪藻土の他に調湿機能などの付加機能を仕上げ塗り材に付与する素材として乾燥シラスに注目した。乾燥シラスは吸水が激しくセメント又は石膏を用いて水和反応により強制硬化させる以外に硬化させることは困難であり、特に、塗り壁面を平滑にするテクスチャーにはコテ滑りが悪く水引が早く硬化速度が遅い事から、消石灰又は再乳化型粉末樹脂で硬化させる方法には、乾燥シラスは不向きな原料であるという一般的な評価があった。
そのため、本願出願人は、上記問題点を解消する塗壁材として、特許文献2を提案し、シラス又はシラスバルーンと硬化剤として消石灰又は再乳化型粉末樹脂を特定の組成範囲にて含有させることにより、通常の左官工法により容易に施工でき、多機能を有する塗壁材を提供できることを見出した。
【0004】
一方、施工するのはそれらに従事したいわゆる左官又は職人と言われる人たちによるのがほとんどである。古くはその家の人が土蔵づくりなど職人と一緒になって行っていた時代もあるが、現在ではそのような姿はほとんどみられなくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3283799号公報
【特許文献2】特許第4304201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1,2などの内装薄付け仕上げ塗り材は、電動の撹拌機などを使用し、内装薄付け仕上げ塗り材に加水し、撹拌し、しっかり練り合わせることで、壁に塗るための材料にすることができる。
しかしながら、近年では各種の電動撹拌機等を入手し易くなったとはいえ、特殊技能を要する左官作業に慣れない素人には、粉体原料が粉塵として舞い上がったり、騒音や練り材の飛び散り等、決して容易な作業ではなく、更には練り材には固まり(ダマ)が生じたりしていた。
【0007】
そのため、現在では予め組成物中に既に水が加えられて練られた状態の内装薄付け仕上げ塗り材も販売されている。これらは水など加水することなく、使用する前に材料を練り返してすぐに使用することができる。
しかしながら、予め組成物中に水が加えられて練られているということは、購入時より、加えられた水の容量(嵩)や重量を併せて取り扱う必要性があり、貯蔵・輸送・販売において場所を取ったり取り扱いが困難であり、更には貯蔵安定性・販売性を考えると一度に多くを製造することができなかった。
【0008】
一方、住宅の中で多くの時間を過ごすことになる室内において、住まい手の健康や環境を考え内装の仕上げに塗り材を使用する人、リフォームを機に塗り材にする人、住宅の耐久性を考えて内装の仕上げを塗り材にする人、自分たちの家を自分たちで作りたい(新築・リフォーム含め)、思い出に、記念に、という人などが増え、塗り壁に興味を持つ人自体が増えている。
しかしながら、自分たちが塗り壁を扱いたくても、前述のように市販されているものは簡単に混ぜることも、施工することも難しいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解消でき、例えば袋等の容器に規定量の水を加えて例えば手などで簡単に混練することができ、簡単に下地の上に塗り付けることができ、さまざまなデザインを表面に施すことができ、ひび割れ抵抗性、付着強さ、保水性、耐摩耗性、耐変退色性、吸放湿性、マイナスイオン発生効果、消臭性等の多くの機能を併せ持つ健康に良い塗壁材を提供し、簡単に施工することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、予め吸湿状態で凝集又は凝塊化し易い(=固まりができやすい)無機質粉体及び有機質繊維と、水に接触した際に溶解したり粘性体となる消石灰又は水溶性樹脂(増粘剤)や再乳化型粉末樹脂と、水に接触しても影響のない骨材とを、それぞれ特定の組成範囲にて含有させ、且つ粉末混合して容器中に封入し、所定量の水を加えることにより、前記目的を達成し得ることを見出した。
【0011】
即ち本発明は、無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維1〜7wt%、水溶性樹脂(増粘剤)1〜10%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させて容器中に封入しておき、容器中の粉末混合物に対して所定量の水を加えて混練する工程と、下地上に塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程と、からなることを特徴とする内装壁材の施工方法に関するものである。
なお、内装壁材に調湿性を付与する場合には、前記混合物に珪藻土、シラス又はシラスバルーン5〜40wt%を配合することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、無機質粉体5〜30wt%、有機質繊維0〜2wt%、消石灰10〜65wt%、骨材25〜60wt%、水溶性樹脂(増粘剤)1〜10wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させて容器中に封入しておき、容器中の粉末混合物に対して所定量の水を加えて混練する工程と、下地上に塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程と、からなることを特徴とする内装壁材の施工方法をも提案する。
なお、内装壁材に調湿性を付与する場合には、前記混合物に珪藻土、シラス又はシラスバルーン5〜30wt%を配合することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維1〜7wt%、水溶性樹脂(増粘剤)1〜10%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%を含有し、且つ予め粉末混合させて容器中に封入してなることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材に関するものである。
【0014】
また、本発明は、無機質粉体5〜30wt%、有機質繊維0〜2wt%、消石灰10〜65wt%、骨材25〜60wt%、水溶性樹脂(増粘剤)1〜10wt%を含有し、且つ予め粉末混合させて容器中に封入してなることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材をも提案する。
【0015】
さらに、本発明は、前記組成割合の混合物を強制撹拌して粉末混合させることを特徴とする調湿性を有する内装薄付け仕上げ塗り材の製造方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内装壁材の施工方法は、吸湿状態で凝集又は凝塊化し易い無機質粉体及び有機質繊維を乾燥状態にて含有し、前記乾燥状態の無機質粉体及び有機質繊維を粒子ごとに包囲して隔離する乾燥粉末を予め混合して容器中に封入しておき、例えば袋等の容器に所定量の水を加えて例えば手などで簡単に混練する工程を手などで簡単に混練することができ、その際に材料が粉塵として舞い上がったり飛び散ったり或いは練り材に固まり(ダマ)ができることがない。また、容易に絞り出して使用(施工)することができるので、下地上へ塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程も容易に実施できる。
したがって、本発明の施工方法は、通常の左官作業に適用できることは当然であるが、熟練した技能を必要とすることもなく、特殊な撹拌治具を用いる必要もないので、住まい手の健康や環境を考えて内装の仕上げに塗り材を使用する人や、リフォームを機に塗り材にする人、更には住宅の耐久性を考えて内装の仕上げを塗り材にする人などの日曜大工の材料としても好適に使用できるものである。
乾燥状態の無機質粉体及び有機質繊維の粒子を骨材等の乾燥粉末にて包囲して隔離することにより、無機質粉体及び有機質繊維の粒子を分散状に点在させることが重要である。例えば無機質粉体や有機質繊維が多過ぎる組成の場合には、それらが水分を含んで凝集・凝塊化しやすいため、固まり(ダマ)ができてしまっていたが、適量の軽量骨材等を使用して粉末混合するようにしたので、無機質粉体及び有機質繊維の粒子を分散状に点在させて取り囲れるマトリックスを形成でき、水を加えた際に凝集・凝塊化が阻止され、固まり(ダマ)の生成が妨げられる。
なお、配合組成物中に珪藻土、シラス又はシラスバルーンを適量配合することにより、調湿性を付与することも可能であり、施工された壁材は、ひび割れ抵抗性、付着強さ、保水性、耐摩耗性、耐変退色性、吸放湿性、マイナスイオン発生効果、消臭性等の多くの機能を持ち、JIS A 6909に規定する70g以上の調湿性、並びに建築用仕上塗材の性能を満たすものである。なお、それぞれの測定値は後記表1に示す。
【0017】
また、本発明の内装薄付け仕上げ塗り材は、各粉末材料の混合物を予め強制撹拌などで粉末混合して袋等の容器に封入したものであって、前述のように日曜大工の材料としても極めて有用であるが、作業に適した量を選択して余剰分を残すことが無く、更には水さえにも触れることなく簡単に混ぜることができ、しかも容易に袋等から絞り出して施工することができるなど多くの利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)本発明に用いる容器としてのキャップ付き袋を示す平面図、(b)異形袋を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の内装壁材の施工方法は、吸湿状態で凝集又は凝塊化し易い無機質粉体及び有機質繊維と、水に接触した際に溶解したり粘性体となる消石灰又は水溶性樹脂(増粘剤)や再乳化型粉末樹脂と、水に接触しても影響のない骨材とを、それぞれ特定の組成範囲にて含有させ、且つ予め粉末混合することにより、水を加えた際の凝集又は凝塊化を阻止しようとするものであり、無機質粉体及び有機質繊維の粒子と少なくともほぼ同程度か、それより小さい粒子を用いて混合(強制撹拌による混合)することにより、前記乾燥状態の無機質粉体及び有機質繊維が粒子ごとに隔離されるマトリックスを形成する。
また、前記粉末混合物(内装薄付け仕上げ塗り材)には、各種の要求特性に応じて前記配合組成に調湿成分として珪藻土、シラス又はシラスバルーンを適量添加してもよい。
なお、無機質粉体及び有機質繊維の粒径、並びにそれ以外の乾燥粉末の粒径については特定しないが、前述のように少なくとも乾燥粉末の一部は、無機質粉体及び有機質繊維の粒径とほぼ同程度か、それより小さい粒径のものが選ばれる。
本発明に用いる各材料について以下に説明する。
【0020】
〔珪藻土〕
珪藻土は植物プランクトンが海中や湖沼で化石化した土であるが、漆喰よりも湿度調整機能、吸水性が高く、結露を防止することができる材料であって、本発明の内装薄付け仕上げ塗り材は、この珪藻土を併用しているので、下地に対する接着性が高く、漆喰の収縮を低減し、湿度調整機能も向上する。
【0021】
〔シラス〕
シラス(白砂)とは、南九州の方言で白い砂を意味するが、地質学的には鹿児島県を始めとする南九州一帯に厚く堆積している、白色の火山噴出物(細粒の軽石や火山灰など)が集積した地層をいう。シラスの大部分が約2.5万年前に発生した姶良(あいら)カルデラの大噴火時に発生した入戸火砕流により形成されたと推定されている。この火砕流の噴出量は現在の赤城山の容積(約100km3)の約2倍に達し(200km3)、それに加えて火山灰約150km3が日本全国に降り注いだ(広域テフラ姶良Tn)。姶良カルデラは桜島より北側の鹿児島湾奥部に相当する窪地(直径約20km)である。なおこのとき噴出したマグマは二酸化ケイ素分が多く、白っぽく見える為、シラス(白砂)と呼ばれる。また、南九州にはシラスと呼ばれる火山噴出物が広く分布し、台地あるいは丘陵地を形成している。そのシラスは第3紀末から第4紀にかけて現在の鹿児島湾奥及び、湾口の姶良・阿多火山から噴出したものと言われ、軽石流(発砲部)降下軽石及びこれらの二次堆積層(狭義のシラス)などからなっている。それらは一般に白い砂質堆積物であるため、古くから白砂または白洲と呼ばれ現在はシラスと言われている。総じて噴火による噴出物(ガラス質火山灰)を現在、九州地区では「シラス」と呼んでいる。シラスは1000℃を越す温度で自然焼成された完全無機質粉状の物質で、南九州だけの埋蔵量だけでも90km3と考えられている。成分は、珪酸70%、アルミナ14%、カルシウム3%、ナトリウム3%、磁鉄2%、カリウム2%、その他マグネシウム、チタン、マンガンなどを含む。
【0022】
〔シラスバルーン〕
シラスを高温で焼成し、発泡させたもので、シラス中の火山ガラスを選別、乾燥し高温で熱処理すると、火山ガラスの粒子が発砲して微細な中空状の発泡粒になる。
【0023】
これらの珪藻土、シラス又はシラスバルーンは、何れも調湿性を付与する役割を果たすものであり、何れか一種、又は二種以上を組み合わせて配合してもよいが、調湿性を求めない場合には配合しなくてもよい。何れか一種を用いるよりも二種以上を組み合わせて用いる方がこれらの調湿成分の合計使用量を低減できる見込みがある。例えば珪藻土のみを用いる(シラス又はシラスバルーンを用いない)場合には、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤とする際に12wt%以上(12〜40wt%)、消石灰を硬化剤として用いる際には18wt%以上(18〜30wt%)を添加する必要があり、シラス又はシラスバルーンのみを用いる(珪藻土を用いない)場合には、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤とする際に8wt%以上(8〜40wt%)、消石灰を硬化剤として用いる際には21wt%以上(21〜30wt%)を添加する必要がある。これに対し、珪藻土とシリカ又はシラスバルーンとを併用する場合には、少なくとも珪藻土の割合を2割以上とし、少なくともシラス又はシラスバルーンを3割以上とし、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を用いる際にも消石灰を用いる際にもこれらの調湿成分の合計量が5wt%以上添加すればよい場合もある。
したがって、これらの調湿成分の二種以上の合成使用量は、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、5〜40wt%の範囲で配合してもよく、5wt%以下ではマイナスイオンの発生及び、調湿機能が低く、40wt%以上になると仕上げ表面強度が弱くなる。
また、これらの調湿成分の二種以上の合計使用量は、消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、5〜30wt%の範囲で配合してもよく、5wt%以下では調湿性、マイナスイオンの発生等の機能が低下し、30wt%以上になると表面強度が弱くなる。
【0024】
なお、参考としてシリカヒュームについて説明すると、高純度SiO2の非晶質球状微粒子であって、吸水性を有していないため、消石灰又は水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として壁材としてどのような組成割合であっても、何等問題は生じない。そのため、このシリカヒュームは、既に多くの製品、並びに提案に用いられている。
【0025】
〔再乳化型粉末樹脂〕
酢酸ビニル=ベオバ、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂等の再乳化型粉末樹脂は、水に可溶で、粉末状であるため、予め乾燥状態で混合しておくことができる。
また、この水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、再乳化型粉末樹脂は0〜10wt%配合する。再乳化型粉末樹脂を配合しなくても水溶性樹脂を使用すれば硬化することができるが、付着性能や耐久性を考えると2〜10wt%配合するのが望ましい。2wt%以下では付着性能や耐久性の向上を顕著にみられず、また、硬化はするものの時間を要する。10wt%以上になると付着性能は上がるが、透湿性が低下する。
【0026】
〔消石灰〕
石灰岩は有孔虫,サンゴ、二枚貝、巻き貝、石灰藻など、CaCO3の殻や骨格をもつ生物の遺骸が堆積して作られたもので、石灰岩を炉で熱すると、二酸化炭素CO2を出して、酸化カルシウム(生石灰)CaOになる。生石灰に水を加えると、発熱して水酸化カルシウム(消石灰)Ca(OH)2が得られる。
また、この消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、消石灰は10〜65wt%配合する。10wt%以下では表面強度が弱く、65wt%以上になると湿度調節機能が低下する。
【0027】
なお、本発明の水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤とする内層薄付け仕上げ塗り材については、前記の水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂の割合を基準として、後述する他の成分の割合を検討し、特定した。
また、本発明の消石灰を硬化剤とする内層薄付け仕上げ塗り材についても、前記の消石灰の割合を基準として、後述する他の成分の割合を検討し、特定した。
【0028】
〔無機質粉体〕
無機質粉体は、粒径約100μm以下の公知の仕上げ塗材に用いられる各種の無機質粉体を用いることができ、例えばドロマイトプラスター、炭酸カルシウム粉末、クレー等を使用すればよい。吸湿しやすい粉体は凝集又は凝塊化し易いので、選定の際はその点も考慮して使用材料の選定ならびに配合量を決定すればよい。
水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、この無機質粉体は15〜65wt%の範囲で使用することができ、作業性、表面強度、調湿性を考慮し、決定すればよい。
消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、この無機質粉体は5〜30wt%の範囲で使用することができ、作業性、表面強度、調湿性を考慮し、決定すればよい。
【0029】
〔骨材〕
骨材としては、有機質骨材でも無機質骨材でもそれらを併用してもよい。また、他の材料との比重が近似する軽量骨材を用いることが分散性の観点から好ましいが、重量骨材と併用してもよい。なお、ここで使用している軽量骨材の嵩比重は1.1以下のものを使用している。重量骨材は珪砂、砂、寒水石などのことをさし、それらの嵩比重は1.3前後以上のものが多い。
軽量骨材としては、粒径約1.2mm以下の公知の仕上げ塗材に用いられる各種の骨材を用いることができ、例えばゼオライト、パーライト等を使用すればよい。
重量骨材としては、粒径約1mm以下の公知の仕上げ塗材に用いられる各種の骨材を用いることができ、例えば砂、寒水石、色砂等を使用すればよい。
これらの骨材は、軽量骨材と重量骨材のそれぞれの割合について限定するものではないが、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材においてこれらの骨材(合計量)は20〜60wt%配合する。20wt%以下では前記無機質粉体及び後述する有機質繊維の凝集・凝塊化を阻止する作用が低くなり、60t%以上になると施工性が悪くなる。
消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、これらの骨材(合計量)は25〜60wt%配合する。25wt%以下では前記無機質粉体及び後述する有機質繊維の凝集・凝塊化を阻止する作用が低くなり、60t%以上になると施工性が悪くなる。
【0030】
〔水溶性樹脂(増粘剤)〕
水溶性樹脂(増粘剤)は公知の仕上げ塗材に用いられる各種の水溶性樹脂(増粘剤)を用いることができ、例えばメチルセルロース(MC)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)やヒドロキシエチルセルロース等のような水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコールやカルボキシポリビニルアルコール等のような変性ポリビニルアルコール、でんぷん及びその誘導体、ニカワ、ゼラチンなど、あるいは海藻類等の天然高分子物質の粉末状または水溶液のものをいい、ここでは粉末状のものを指す。水に可溶で、粉末状であるため、予め乾燥状態で混合しておくことができる。
これらの中から1種類以上の水溶性樹脂(増粘剤)を使用することができる。水溶性樹脂は硬化剤として使用することができるだけでなく、増粘剤としても使用することができ、こて塗り作業性を向上する効果をもたらし、接着性を向上するものも多い。また、合成有機材料よりも植物等から得られた天然有機物を用いるようにしてもよい。
CMCについては、例えば粒度840μm以上が0%以下かつ500μm〜840μmが1〜2%以下かつ180μm以下が15%以下というような顆粒状のものを使用すれば、粉末混合時の撹拌性がより一層優れ、かつ加水時には練りダマができにくいのでなおよい。
また、CMCの粘度について、pH5〜10の範囲で大差はないが、pH7〜9でもっとも安定している。そのため、水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として使用する内装薄付け仕上げ塗り材には好適に配合することができるが、強アルカリ性を示す消石灰を硬化剤として使用する内装薄付け仕上げ塗り材についてはCMCの使用は控えることが好ましい。
なお、この増粘剤に限らず消石灰の凝結に影響を与えるものは避けるべきであるが、施工時の作業性、仕上がり状態を考慮し、つのまたやMCなどから選ばれる1種又は2種以上を適宜に選定して使用することにより、流動性および粘性を任意に制御することができる。
水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において水溶性樹脂(増粘剤)は1〜10wt%配合する。1wt%以下では十分な硬化強度、粘性ならびに接着性が得られず、多種のデザインによる表面仕上げ施工性が悪く、また、保水性能も劣る。10wt%以上になると粘性があがり過ぎ、混練り性、作業性、仕上げ精度、さらには施工後に乾燥も悪くなる。消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、これらは増粘剤として使用され、1〜10wt%配合する。1wt%以下では十分な粘性が得られず、多種のデザインによる表面仕上げ施工性が悪く、また、保水性能も劣る。10wt%以上になると粘性があがり過ぎ、混練り性、作業性、仕上げ精度、さらには施工後に乾燥も悪くなる。
【0031】
〔有機質繊維〕
有機質繊維は、粘性の改良のために添加されるものであって、公知の仕上げ塗材に用いられる各種の有機質繊維を用いることができる。
水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、この有機質繊維は1〜7wt%配合する。1wt%以下では、保水性能が劣り、7wt%以上になると混練り性、表面状態が悪く、多種のデザインによる表面仕上げ施工性が悪い。より好ましくは4〜7wt%配合すればよい。
消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材において、この有機質繊維は0〜2wt%配合する。2wt%以上になると混練り性、表面状態が悪く、多種のデザインによる表面仕上げ施工性が悪い。
【0032】
〔顔料〕
顔料は、公知の仕上げ塗材に用いられる各種の顔料を用いることができる。
水溶性樹脂や再乳化型粉末樹脂を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材においても、消石灰を硬化剤として用いる本発明の内装薄付け仕上げ塗り材においても、この顔料は適宜10wt%以下で配合されることが望ましく、10wt%以上入ると作業性が悪くなる。また、各種色味をつけることによって意匠性も向上する。
【0033】
〔その他〕
作業性を良くするために作業性改良材や、防カビ性能を付与するために天然のホウ酸カルシウム(コレマナイト)を併用して用いても良い。また、VOCを吸着固定するためにVOC吸着剤を混合、併用しても良い。
また、硬化剤として用いる再乳化型以外の水溶性樹脂を、保水剤として、或いは接着補助剤として用いてもよい。この再乳化型以外の水溶性樹脂は、消石灰を硬化剤として用いる内装薄付け仕上げ塗り材において、0.1〜5wt%配合されることが望ましい。0.1wt%に満たないと保水性能を保つことが難しく、5wt%を越えると透湿性能が低下する。
これらの保水剤又は接着補助剤として用いる水溶性樹脂としては、メチルセルロース(MC)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等の合成高分子物質あるいは澱粉類、海藻類等の天然高分子物質を用いる。
【0034】
施工した壁材は、ひび割れ抵抗性、付着強さ、保水性、耐摩耗性、耐変退色性、吸放湿性、マイナスイオン発生効果、消臭性等の多くの機能を持ち、JIS A 6909に規定する70g以上の調湿性、並びに建築用仕上塗材の性能を満たすが、それぞれの測定値を表1に示した。
【表1】

【0035】
本発明に用いた内装薄付け仕上げ塗り材は、前記各材料を特定範囲で含有し、その混合物を予め強制撹拌などで粉末混合してなる。
粉末混合の手法としては、公知の手法を適宜に採用すればよく、市場には粉末混合機として各種の装置が提供されているため、これを用いてもよく、乾燥状態における各材料粉末を撹拌、振動、回転等を適宜に組み合わせて強制撹拌すればよい。
各材料粉末の比重や粒径が完全に一致していれば、粉末混合した組成物の均一性は継続的に保たれるが、各材料粉末の比重や粒径は決して一致しないので、搬送中や保管中において一部の成分の沈降による不均一化が生ずる。そのため、予め塗り付け容量に応じた梱包姿・大きさ(重量・容量)に調製する(=第1の方法)か、或いは使用に際して再度粉末混合して均一化を図り(=第2の方法)、規定量の水を加えて混練する必要がある。
【0036】
より詳しくは、強制撹拌などで粉末混合しても、搬送中や保管中に例えば振動等を与えることにより、一部の成分の沈降が起こり、不均一化が生じてしまう。
前記第1の方法では、塗り付け容量を小分けしておく方法である。例えば工場等にて前記特定割合の内装薄付け仕上げ塗り材を強制撹拌等で粉末混合して調製し、袋等の小容器に収容(内容)量を500g、1kg、2kg等に設定して保管しておき、塗り付け面積等に適した収容(内容)量を選び、それに応じた水(量)を加えて混練すればよい。この方法では、搬送中や保管中に粉末成分の不均一化が生じ難いので、使用に際して規定量の水を加えて所定割合の塗り材組成物を得る。その際、袋等を用いた場合には、簡単に揉む等の操作を行って固まり(ダマ)の生じない均一な塗り材組成物を得ることができる。また、後述する第2の方法に比べ、強制撹拌等の操作が一度でよいという利点もある。比較的容量が大きい場合には、無理に袋に入れて手で揉むよりも、適当な容器中で撹拌して混練する方がよい。
前記第2の方法では、不均一化が生じた組成物を再度強制撹拌して粉末混合する方法である。例えば前記第1の方法と同様に工場等にて予め粉末混合した材料は、混合直後であれば必要量を取り出してそのまま使用でき、或いは調製した全ての容量を使い切るのであればそのまま使用できるが、その保管期間が長くなるほど、不均一化が生じ易いので、使用に際して全体を再度粉末混合して必要量を取り出し、それに応じた水を加えて所定割合の塗り材組成物を得ることができる。
なお、これに対し、従来の内装薄付け仕上げ塗り材は、袋を開け、別のきれいな容器に水を用意し、そこに秤量した内装薄付け仕上げ塗り材を入れて混合し、高速回転する電動の撹拌機などで混ぜ合わせる必要があった。
【0037】
参考までに、使用した袋等の容器の例を図1に示した。
図1(a)に示すキャップ付き袋(I)は、通常は液体を入れる袋であり、キャップを外して内部の塗り材組成物を絞り出すことができる。図1(b)に示す異型袋(II)は、矢印部分から内部の塗り材組成物を絞り出すことができる。
なお、手で揉む等の混練り時に容器(袋)が破損したり、水が漏れたりしなければ、袋等の容器の形状構成についてはこれらのI・IIにこだわる必要はなく、どのような容器(袋)であってもよい。
【実施例】
【0038】
前記第1の方法のように、規定量の水を加えて袋であれば簡単に手で揉むだけで特殊な撹拌治具を使用することなく材料が固まり(ダマ)を生ずることが無く容易に混練りできることを目的に、より望ましくは極めて容易に取り扱えることができ、混練り後の塗り材組成物は、容易に塗り付けができるような組成・梱包姿・大きさ(重量・容量)にした。
具体的には、表2、表3に示す配合組成の合計量が180kgとなるように各材料をそれぞれ秤量してステンレス製容器内に投入し、上方から羽根撹拌機を用いて5分程度強制撹拌して混合した。得られた混合物(=内層薄付け仕上げ塗り材)をポリプロピレン製袋内に封入して保存した。なお、実施例A,Bについては、後記内層壁材の施工実施例のために1kg、2kg、3kg用を用意した。
【0039】
【表2】

【表3】

【0040】
表2及び表3に示す組成割合にて、実施例A、B及び比較例1〜4の内装薄付け仕上げ塗り材を作成し、混練り性、作業性、表面強度、水もちについて以下のように試験、評価した。なお、両表中の粉体、水の欄は、粉末合計量に対して加えるべき水量を重量比で示している。
【0041】
〔混練り性〕
混練り性確認方法は、袋内の各内装薄付け仕上げ塗り材に規定量の水(表2,3中に示した)を加え、袋の外側から手で揉んで均一に混練されるか否かを確認する。
【0042】
〔作業性〕
作業性確認方法は、各内装薄付け仕上げ塗り材に規定量の水(表2,3中に示した)を加えて混練し、下地の上に塗付け、各種デザインによる表面仕上加工が可能であるか否か,また、作業時の粘性の強さ,こての切れ具合の確認をする。材料の水もちも影響する。
【0043】
〔表面強度〕
表面強度の確認方法としては、JIS A 6909の耐衝撃性試験および耐摩耗性試験を行い、判定するものとする。
【0044】
〔水もち〕
水もちの確認方法としては本発明の調湿性を有する内装薄付仕上塗材に水を加えて混練し、下地の上に塗付け、各種デザインによる表面仕上加工が可能な時間、水分を保持することができるか。広い面積の壁面を施工する際、水の引きが早すぎて作業に追われることはないか等の確認をする。
【0045】
〔試験結果及び考察〕
混練性に関し、実施例A・Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材に規定量の水を加えて袋の外側から手で揉んだところ、固まり(ダマ)ができることはなく、袋を外側から数分程度揉むだけの簡単な操作にて容易に混ぜ合わせることができた。なお、水溶性樹脂(増粘剤)として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた実施例Aの方が、粉つのまたを増粘剤として用いた実施例Bよりも粉末混合時の撹拌性がより一層優れ、かつ加水時には練りダマができにくかった。
作業性に関し、実施例A,Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材は、各種デザインによる表面仕上加工が可能であり、こて切れが良く、粘性が高すぎず、低すぎなかった。また、作業がスムーズに行えた。表面強度、水もちについても特に問題がなかった。
これに対し、比較例1、3及び5ならびに比較例6、8及び10の組成では規定量の水を加えて混練り時、固まり(ダマ)ができ、きれいに混ぜ合わせることができなかった。
また、比較例2及び4ならびに比較例7及び9の組成では比較例1、3及び5ならびに比較例6、8及び10ほど固まり(ダマ)ができることはなかったが、簡単にきれいに混ぜあわせることはできなかった。
なお、比較例1〜10の組成では、前述のように混練りが均一にできないので、他の試験が実質的にできなかった。
次に珪藻土、シラス、シラスバルーンをどれでも1つ使用した場合ならびに2つ以上使用した場合、いずれも使用しなかった場合の検証例を、実施例Aについては検証1〜5、実施例Bについては検証6〜10で確認した。
検証1〜10の組成の内装薄付け仕上げ塗り材に規定量の水を加えて袋の外側から手で揉んだところ、固まり(ダマ)ができることはなく、袋を外側から数分程度揉むだけの簡単な操作にて容易に混ぜ合わせることができた。
検証1〜5については規定の80%の水を加え、すぐもみ合わせても問題なくもみ合わせることができたが、5分ほど時間を置いてもみ合わせると、水溶性樹脂(増粘剤)の特性上、加えた水が増粘剤に浸透し、あらかじめバランスよく粉末混合されているのでダマになることなく粘度を発揮し、より良くもみ合わせることができた。
検証6〜10については使用している増粘剤の特性上、水を加えもみ合わせた後も安定性があるため、この混練済みの塗り材を密封し、空気にふれない状態であれば半年〜一年間、使用できる状態を保つことができた。
また検証10については検証6〜9と比べ、同じ重量での練り上がり量は少なく異なるが、問題なくもみ合わせることができた。尤も、保管時に振動等を与えた場合などに、重量骨材の沈降が生じ易いため、注意が必要であった。
作業性に関し、検証1〜10の組成の内装薄付け仕上げ塗り材は、各種デザインによる表面仕上加工が可能であり、こて切れが良く、粘性が高すぎず、低すぎなかった。また、作業がスムーズに行えた。表面強度、水もちについても特に問題がなかった。
【0046】
内装壁材の施工実施例のために実施例A、Bの混合物をそれぞれ1kg、2kg、3kg用を用意した。
実施例A、Bについて1kg用では簡単に混練りすることができたが、練り上がり容量(約3.2L)が少なかった。2kg用でも簡単に混練りすることができたが、練り上がり容量(約6.5L)が少し多かった。3kg用でも固まり(ダマ)になることなく混練りすることはできたが、1kgや2kg用の時とは違い手軽に(簡単に)混練りすることができなかった。しかも、練り上がり容量(約9.5L)が多く、簡単に手で扱うには難しかった。
以上の結果より、容量が約9.5L(3kg用)より少なければ手軽に混練りすることができ、目的・使用量にあわせて混合物の重量は設定すればよい。水量の計量のしやすさ、使い手を考え、混合物の重量を設定してもよい。
施工実施例では実施例A、Bとも水量の計量のしやすさと練り上がり量を考え、それぞれの混合物を実施例Aは1袋1.8kg、実施例Bは1袋2.2kgに設定した。
【0047】
[内装壁材の施工実施例1]
2010年5月、横浜市中区、RC造5階建て、集合住宅、洋室20m2において、表2に示した実施例Aの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋(1.8kg用)に水約3Lを加えて袋の外側から手で5分程度揉んで混練し、5〜10分程度置いて材料をなじませてから、もう一度軽く混練りし、厚さ1〜2mmで内装壁材を施工した。実施例Aの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋は6袋使用した。
内装薄付け仕上げ塗り材に水を加えて混練した塗り組成物は作業性も良く、施工後6ヶ月経過したが、湿度も安定し(調湿機能がある)、匂いも部屋に残りづらく、以前より住み良い住環境であると評価された。また、割れ、剥離等も発生していない。
【0048】
[内装壁材の施工実施例2]
2010年6月、大阪府茨城市、木造1戸建て、1階部分リビング75m2において、表2に示した実施例Aの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋(1.8kg用)に水約3Lを加えて袋の外側から5分程度手で揉んで混練し、5〜10分程度置いて材料をなじませてから、もう一度軽く混練りし、厚さ1〜2mmで内装壁材を施工した。実施例Aの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋は20袋使用した。
内装薄付け仕上げ塗り材に水を加えて混練した塗り組成物は作業性も良く、施工後5ヶ月経過したが、湿度も安定し(調湿機能がある)、匂いも部屋に残りづらく、以前より住み良い住環境であると評価された。また、割れ、剥離等も発生していない。
【0049】
[内装壁材の施工実施例3]
2010年5月、東京都世田谷区、木造1戸建て、和室25m2において、表3に示した実施例Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋(2.2kg用)に水約3Lを加えて袋の外側から手で5分程度揉んで混練し、5〜10分程度置いて材料をなじませてから、もう一度軽く混練りし、厚さ1〜3mmで内装壁材を施工した。実施例Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋は8袋使用した。
内装薄付け仕上げ塗り材に水を加えて混練した塗り組成物は作業性も良く、施工後6ヶ月経過したが、湿度も安定し、快適な環境であると評価された。また、割れ、剥離等も発生していない。
【0050】
[内装壁材の施工実施例4]
2010年6月、大阪府茨城市、木造1戸建て、寝室45m2において、表3に示した実施例Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋(2.2kg用)に水約3Lを加えて袋の外側から手で5分程度揉んで混練し、5〜10分程度置いて材料をなじませてから、もう一度軽く混練りし、厚さ1〜3mmで内装壁材を施工した。実施例Bの組成の内装薄付け仕上げ塗り材が入った袋は14袋使用した。
内装薄付け仕上げ塗り材に水を加えて混練した塗り組成物は作業性も良く、施工後5ヶ月経過したが、湿度も安定し、快適な環境であると評価された。また、割れ、剥離等も発生していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維1〜7wt%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させて容器中に封入しておき、
容器中の粉末混合物に対して所定量の水を加えて混練する工程と、
下地上に塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程と、
からなることを特徴とする内装壁材の施工方法。
【請求項2】
無機質粉体5〜30wt%、有機質繊維0〜2wt%、消石灰10〜65wt%、骨材25〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させて容器中に封入しておき、
容器中の粉末混合物に対して所定量の水を加えて混練する工程と、
下地上に塗布し、各種デザインによる表面仕上げ加工を施工現場で施して乾燥させる工程と、
からなることを特徴とする内装壁材の施工方法。
【請求項3】
無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維1〜7wt%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材の製造方法。
【請求項4】
無機質粉体5〜30wt%、有機質繊維0〜2wt%、消石灰10〜65wt%、骨材25〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有する混合物を予め強制撹拌して粉末混合させることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材の製造方法。
【請求項5】
無機質粉体15〜65wt%、有機質繊維1〜7wt%、再乳化型粉末樹脂0〜10wt%、骨材20〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有し、且つ予め粉末混合させて容器中に封入してなることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材。
【請求項6】
無機質粉体5〜30wt%、有機質繊維0〜2wt%、消石灰10〜65wt%、骨材25〜60wt%、水溶性樹脂1〜10wt%を含有し、且つ予め粉末混合させて容器中に封入してなることを特徴とする内装薄付け仕上げ塗り材。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184607(P2012−184607A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49114(P2011−49114)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(390025612)富士川建材工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】