説明

内装材料

【目的】本発明の目的は製造が簡単かつ高剛性の内装材を提供することにある。
【構成】成形性を有する基材12に該基材12の成形温度の低い融点を有する熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーを含んでいる繊維層16を重合し、成形時に該繊維層16を溶融せしめて表皮材15を接着する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車の天井材、ドアトリム、リアパーセル等に使用される内装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に示すように例えば従来の合成樹脂含浸ポリウレタン発泡体を基材(2) とした自動車の天井材(1) にあっては、該基材(2) の補強のために両面にガラス繊維層(3) が積層され、更に該ガラス繊維層(3) の上からポリエステル綿層(4) が積層され、表面には表皮材(5) が積層されている(特公昭63−7577号)。上記ガラス繊維層(3) とポリエステル綿層(4) とには夫々メラミン樹脂が含浸されており、基材(2) とガラス繊維層(3) との接着、およびガラス繊維層(3) とポリエステル綿層(4) との接着には上記含浸メラミン樹脂が接着剤として利用され、上記ポリエステル綿層(4) と表皮材(5) との接着にはホットメルト接着剤層(6) が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来構成では基材(2) の成形温度(約160℃)よりもポリエステル綿層(4) の軟化点(約240℃)の方が高いので、該ポリエステル綿層(4) が成形時に軟化せず、したがって表皮材(5) の貼り合わせにはホットメルト接着剤層(6) を必要とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、成形性を有する基材(12)と、該基材(12)の両面または片面に積層される繊維層(16)と、該繊維層(16)上に貼着される表皮材(15)とからなり、該繊維層(16)は該基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーを含んでいる内装材料(11)を提供するものである。
【0005】本発明において用いられる成形性を有する基材(12)とは、レジンフェルト、ダンボール、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体等であり、該基材にはウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂、あるいは上記合成樹脂のモノマー、プレポリマー、オリゴマー等が含浸されてもよい。
【0006】上記基材(12)の両面または片面には繊維層(16)が積層されるが、該繊維層(16)には上記基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維および/またはバインダーである熱可塑性樹脂を含んでいる。例えばフェノール樹脂をバインダーとして使用したレジンフェルトは成形温度約180℃であり、ジイソシアナートを含浸したポリウレタン発泡体は成形温度は約150℃であるから、上記繊維層(16)に含まれる熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂はそれよりも低い融点を有するものとする。
【0007】上記繊維層(16)は編織物、合成樹脂をバインダーとした不織布、ニードルパンチ不織布、ウェブ等として提供されるが、上記繊維層(16)は上記基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する繊維のみで構成しても、あるいは上記繊維層(16)に上記基材(12)の成形温度よりも高い融点を有する繊維やガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維等の無機繊維を混合してもよく、また上記基材(12)の成形温度よりも高い融点を有する繊維や上記無機繊維を上記基材の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂をバインダーとして結着してもよい。更に上記基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する繊維を上記基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂をバインダーとして結着してもよい。上記バインダーを用いる場合には、上記繊維にあらかじめバインダーを被覆しておいてもよい。また上記繊維層(16)にはメラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂含浸されていてもよい。上記繊維層(16)は上記基材(12)に融着または接着剤によって接着せられる。
【0008】本発明に用いられる表皮材(15)とはポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維等の繊維の不織布、編織物、ポリ塩化ビニルレザー、ウレタン合成皮革、あるいは上記表皮材(15)に更にポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等を裏打ちしたものである。
【0009】
【作用】本発明においては、基材(12)の表面に該基材(12)の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーを含んでいる繊維層(16)を積層するから、成形時に該繊維層(16)の熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーが溶融して基材(12)と表皮材(15)とを接着する。また該熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーが溶融することによって繊維層(16)の結着力が増強され剛性が向上する。
【0010】
【実施例】本発明を図1〜図3に示す一実施例によって説明すれば、天井材(11)はジイソシアナートを含浸したポリウレタン発泡体からなる基材(12)と、該基材(12)の両面に積層されるガラス繊維層(13,13) と該ガラス繊維層(13,13) の裏面に重合されるポリエステル繊維層(14)と、表面に重合される繊維層(16)と、該繊維層(16)を介して貼着される表皮材(15)とからなり、図2に示すような自動車天井形状に成形されている。
【0011】上記ガラス繊維層(13,13) ,ポリエステル繊維層(14)および繊維層(16)にはメラミン樹脂が含浸されており、該繊維層(16)はポリプロピレン繊維に該基材(12)の成形温度(150℃)よりも低い融点を有するポリエチレン(融点130℃)をバインダーとして被覆した被覆繊維の不織布からなる。
【0012】上記天井材(11)は図3に示すように基材(12)にガラス繊維層(13,13) ,ポリエステル繊維層(14)および繊維層(16)を積層した積層物と表皮材(15)とを重ねて約150℃に加熱してプレス成形機(17)によって成形する。上記成形において基材(12)に含浸されているジイソシアナートは高分子化しかつ硬化し、ガラス繊維層(13,13) ,ポリエステル繊維層(14)および繊維層(16)に含浸されているメラミン樹脂は硬化し、また繊維層(16)は溶融して表皮材(15)を接着する。
【0013】
【発明の効果】したがって本発明においては、表皮材を基材側に接着する際に特にホットメルトシートや接着剤が不要であり工程が短縮され、かつ内装材料の剛性も向上する。
【図面の簡単な説明】
図1〜図3は本発明の一実施例に関するものである。
【図1】断面図
【図2】斜視図
【図3】プレス工程図
【図4】従来の断面図
【符号の説明】
11 天井材
12 基材
15 表皮材
16 繊維層

【特許請求の範囲】
【請求項1】成形性を有する基材と、該基材の両面または片面に積層される繊維層と、該繊維層上に貼着される表皮材とからなり、該繊維層は該基材の成形温度よりも低い融点を有する熱可塑性繊維および/または熱可塑性樹脂バインダーを含んでいることを特徴とする内装材料
【請求項2】上記繊維層には熱硬化性樹脂が含まれている請求項1に記載の内装材料

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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