説明

内視鏡の電気コネクタ装置

【課題】シールド部材を着脱する際に内部の配線や光ファイバ等を破損するおそれが少なくて、内部の部品に容易にアクセスすることができる内視鏡の電気コネクタ装置を提供すること。
【解決手段】電気配線基板11が支持される金属製のフレーム20が電気配線基板11の外縁部の周囲を囲む状態に設けられると共に、電気配線基板11以外の内部部品を支持するためにハウジング12内に配置された二枚の金属製の支持板21,24が、シールド部材として電気配線基板11の表裏両面に個別に面して個別に着脱自在に設けられている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡と外部装置とを電気的に接続するために内視鏡側に設けられた内視鏡の電気コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の電気コネクタ装置においては一般に、電気配線基板が配置された空間が筒状のハウジングにより外装され、電気的ノイズを遮蔽するための金属製のシールド部材が、電気配線基板を囲む筒状に形成されてハウジングの内側に配置されている。
【0003】
そのようなシールド部材は、シールド部材の存在により内視鏡の電気コネクタ装置が大型化してしまわないように、ハウジングの内壁面にピッタリ沿う状態で電気配線や光ファイバ等との間に余分な空間が極力生じないように配置されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−198733
【特許文献2】特開2005−87661
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筒状に形成された従来のシールド部材は、組み立て時や修理、調整の際の分解組立時等にはスライドさせて着脱される。そのため、その内側に詰め込まれた状態になっている配線や光ファイバ等をスライド部の隙間に挟み込んで破損させてしまうことがあった。
【0006】
また、修理や調整等の際に手を加えたいのは配線基板の表裏両面のうちの一方である場合が少なくないが、筒状に形成されたシールド部材は配線基板の表裏両面に同時に着脱されることになるので、手を加える必要のない側において配線や光ファイバ等の破損をまねいてしまう場合もあった。
【0007】
本発明は、従来のそのような欠点を解消して、シールド部材を着脱する際に内部の配線や光ファイバ等を破損するおそれが少なくて、内部の部品に容易にアクセスすることができる内視鏡の電気コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の電気コネクタ装置は、電気配線基板が配置された空間が筒状のハウジングにより外装され、電気配線基板を囲む金属製のシールド部材がハウジングの内側に設けられた内視鏡の電気コネクタ装置において、電気配線基板が支持される金属製のフレームが電気配線基板の外縁部の周囲を囲む状態に設けられると共に、電気配線基板以外の内部部品を支持するためにハウジング内に配置された二枚の金属製の支持板が、シールド部材として電気配線基板の表裏両面に個別に面して個別に着脱自在に設けられているものである。
【0009】
なお、二枚の支持板のうちの一枚が、フェライトコアを支持するためのものであってもよく、二枚の支持板のうちの一枚が、光ファイバをループ状に丸めて通過させることができるファイバ収納ケースの床板であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気配線基板が支持される金属製のフレームが電気配線基板の外縁部の周囲を囲む状態に設けられると共に、電気配線基板以外の内部部品を支持するためにハウジング内に配置された二枚の金属製の支持板が、シールド部材として電気配線基板の表裏両面に個別に面して個別に着脱自在に設けられていることにより、シールド部材を着脱する際に内部の配線や光ファイバ等を破損するおそれが少なくて、内部の部品に容易にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る内視鏡の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置の側面断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置の斜視断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置からハウジングが取り外された状態の斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置からハウジングが取り外された状態の斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置の分解斜視図である。
【図8】本発明の実施例に係る内視鏡の電気コネクタ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、内視鏡の全体構成を示しており、可撓性の挿入部1の基端が操作部2の下端に連結されている。
【0013】
操作部2の上端部近くから延出する連結可撓管3の先端には、図示されていないビデオプロセッサに着脱自在に接続されるメインコネクタ部4が取り付けられている。メインコネクタ部4には、ライトガイドコネクタ5や撮像信号用コネクタ6等が配置されている。
【0014】
連結可撓管3の基部付近から分岐する状態に設けられた分岐可撓管7の先端には、図示されていない外部装置(例えば、顕微鏡的拡大観察を行うための共焦点制御プロセッサ等)に着脱自在に接続される第2コネクタ部10が取り付けられている。
【0015】
この実施例においては、その第2コネクタ部10に本発明が適用されている。ただし、本発明をメインコネクタ部4或いはそれ以外の目的で設けられた内視鏡の電気コネクタ装置に適用しても差し支えない。
【0016】
図2は第2コネクタ部10の外観斜視図、図3と図4はその側面断面図と斜視断面図である。この第2コネクタ部10においては、電気配線基板11が配置された空間が筒状のハウジング12により外装されている。
【0017】
ハウジング12の先端開口部12aには、図示されていない外部装置と着脱自在に接続されるコネクタ筒体13の基部を支持するコネクタ筒体支持盤14の外縁部が、全周にわたって水密に係合する状態に取り付けられている。図2に示される15は、外部装置側の案内溝と係合する係合ピンである。
【0018】
図3等に示されるように、電気配線基板11には、その表裏両面に各種の電子部品や配線が取り付けられている。なお、本明細書においては、図3における上方を表側、下方を裏側というものとする。
【0019】
ハウジング12内には、ノイズ除去用のフェライトコア16等が電気配線基板11の表側の空間に配置され、レーザビームを伝送するためのシングルモードの光ファイバ17の途中の部分を収納するファイバ収納ケース18等が裏側の空間に配置されている。
【0020】
図5と図6は、ハウジング12が取り外された状態の第2コネクタ部10の斜視図であり、図5は表側の状態、図6は裏側の状態を示している。20は、導電性を有する例えばステンレス板材等のような金属板によって矩形の枠状に形成されたフレームである。電気配線基板11をはじめ、第2コネクタ部10を構成する主要な部材がフレーム20に直接又は間接的に固定されている。
【0021】
フレーム20は、電気配線基板11の外縁部の周囲を囲む状態に設けられており、図3〜図6等から明らかなように、電気配線基板11は、フレーム20の周壁部の内側にすっぽり囲まれた状態に配置されている。その結果、電気配線基板11の面に沿う方向のノイズの出入りがフレーム20により遮蔽される。
【0022】
フェライトコア16は、導電性を有する例えばステンレス板材等からなる第1の支持板21に固定された状態に支持されている。フェライトコア16は、第1の支持板21のハウジング12の内壁に面する側の面(即ち、電気配線基板11に面する側と反対側の面)に取り付けられていて、コネクタ筒体13に設けられた接点ピン13aと電気配線基板11上の配線とを接続するための配線22が、円筒状に形成されたフェライトコア16内を通過している。
【0023】
第1の支持板21は、電気配線基板11の表面に配置された電子部品等との間に隙間をあけた状態で、電気配線基板11の表面に面して配置されていて、4本の固定ビス23によりフレーム20に着脱自在に固定されている。
【0024】
導電性を有する第1の支持板21は、電気配線基板11よりは小さいが電気配線基板11と大差のないサイズ(少なくとも、電気配線基板11の表面側に電子部品が配置されている範囲より小さくないサイズ)に形成されている。ただし、電気配線基板11より大きくても差し支えない。その結果、第1の支持板21は、電気配線基板11の表面側にノイズが出入りするのを遮蔽するシールド部材として機能する。
【0025】
図7は、第1の支持板21がフレーム20から取り外された状態を示しており、4本の固定ビス23を緩めることで、第1の支持板21を電気配線基板11の面に対して垂直方向に取り外すことができる。また、4本の固定ビス23を締め込むことで、第1の支持板21をフレーム20に固定することができる。21aは、フェライトコア16を位置決め固定するために第1の支持板21に形成された固定孔である。
【0026】
図3、図4及び図6に戻って、電気配線基板11の裏側の空間に配置されたファイバ収納ケース18は、コネクタ筒体13に設けられたフェルール13bから分岐可撓管7内に引き通されている光ファイバ17の途中の部分をループ状に丸めて収納するためのものであり、光ファイバ17が通過する両端部に各々ファイバ通過孔18aが形成されている。
【0027】
ファイバ収納ケース18は、導電性を有する例えばステンレス板材等からなる第2の支持板24と、その第2の支持板24に固定ビス26で固定された覆い25とからなり、ファイバ収納ケース18の床板である第2の支持板24と立体的な覆い25との間に形成された空間内に、光ファイバ17の途中の部分がループ状に丸めて収納される。
【0028】
第2の支持板24は、電気配線基板11の裏面に配置された電子部品等との間に隙間をあけた状態で電気配線基板11の裏面に面して配置されていて、4本の固定ビス27によりフレーム20に着脱自在に固定されている。
【0029】
導電性を有する第2の支持板24は、電気配線基板11よりは小さいが電気配線基板11と大差のないサイズ(少なくとも、電気配線基板11の裏面側に電子部品が配置されている範囲より小さくないサイズ)に形成されている。ただし、電気配線基板11より大きくても差し支えない。その結果、第2の支持板24は、電気配線基板11の裏面側にノイズが出入りするのを遮蔽するシールド部材として機能する。
【0030】
図8は、ファイバ収納ケース18がフレーム20から取り外された状態を示しており、4本の固定ビス27を緩めることで、第2の支持板24と覆い25を電気配線基板11の面に対して垂直方向に取り外すことができる。また、4本の固定ビス27を締め込むことで、第2の支持板24をフレーム20に固定することができる。
【0031】
このように構成された内視鏡の電気コネクタ装置においては、フレーム20と第1の支持板21と第2の支持板24がいずれもアースされていて、それらにより囲まれた電気配線基板11が外部のノイズから遮蔽され、また電気配線基板11から発生するノイズが外部に漏出しない。
【0032】
そして、各々が板状に形成された第1の支持板21と第2の支持板24は、電気配線基板11の面に対して垂直方向に個別に着脱自在であり、一方を取り外すことで、電気配線基板11の表裏両面のうち修理や調整に必要な片方だけにアクセスすることができる。
【0033】
したがって、修理や調整のためにシールド部材(第1、第2の支持板21,24)を着脱する際に、配線22や光ファイバ17等を破損する恐れが少なくて、電気配線基板11上の部品にアクセスする作業も容易に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば第1の支持板21と第2の支持板24の一方又は両方が複数に分割して形成されていても差し支えない。
【符号の説明】
【0035】
10 第2コネクタ部
11 電気配線基板
12 ハウジング
16 フェライトコア
17 光ファイバ
18 ファイバ収納ケース
20 フレーム
21 第1の支持板
22 配線
23 固定ビス
24 第2の支持板
27 固定ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気配線基板が配置された空間が筒状のハウジングにより外装され、上記電気配線基板を囲む金属製のシールド部材が上記ハウジングの内側に設けられた内視鏡の電気コネクタ装置において、
上記電気配線基板が支持される金属製のフレームが上記電気配線基板の外縁部の周囲を囲む状態に設けられると共に、
上記電気配線基板以外の内部部品を支持するために上記ハウジング内に配置された二枚の金属製の支持板が、シールド部材として上記電気配線基板の表裏両面に個別に面して個別に着脱自在に設けらていることを特徴とする内視鏡の電気コネクタ装置。
【請求項2】
上記二枚の支持板のうちの一枚が、フェライトコアを支持するためのものである請求項1記載の内視鏡の電気コネクタ装置。
【請求項3】
上記二枚の支持板のうちの一枚が、光ファイバをループ状に丸めて通過させることができるファイバ収納ケースの床板である請求項1又は2記載の内視鏡の電気コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102835(P2013−102835A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247029(P2011−247029)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】