説明

内視鏡システム

【課題】内視鏡プロセッサの電源管理をリモートコントロールする。
【解決手段】コントローラと複数のプロセッサをLANケーブルによって接続し、各プロセッサに、プロセッサを起動させる電源を供給する第1電源回路32と、スリープモード状態においてシステムコントロール回路21へ電源を供給する第2電源回路34とを備える。コントローラからプロセッサを起動させるコマンドデータが送信されると、システムコントロール回路21が第1電源回路32をONに切り替える。一方、コントローラからプロセッサ動作を停止させるコマンドデータが送信されると、システムコントロール回路21が第1電源回路32をOFFに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロセッサを備えた内視鏡システムに関し、特に、プロセッサの電源制御に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場などにおいては、検査や手術、処置などの作業室に内視鏡装置を配置し、遠隔地にある管理室のコントローラとの間でデータ通信可能な内視鏡システムが構築されており、観察画像データ、あるいは患者情報などのデータが作業室と管理室との間で送信される(例えば、特許文献1参照)。一方、複数の作業室にそれぞれ内視鏡装置を設置し、LANなどのネットワークによって、データ通信をプロセッサ間で行うことが可能である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−318823号公報
【特許文献2】特開2001−449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の作業室にそれぞれ内視鏡装置を配置するシステムでは、内視鏡装置を起動させる場合、各部屋へ赴いて電源スイッチを操作する必要がある。また、手術終了後に内視鏡装置の電源をOFFに切り替える場合にも、電源スイッチの操作を各内視鏡装置に対して行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の内視鏡システムは、それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサと、前記複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続されるプロセッサ制御装置とを備える。例えば、複数の作業室にそれぞれ内視鏡装置が設置され、遠隔地にプロセッサ制御装置が設置される。ただし、作業室は、処置室、検査室、手術室などを含む医療行為に関連する部屋を意味する。あるいは、同じ場所に複数の内視鏡装置を設置してもよい。プロセッサ制御装置には、モニタ、キーボードが接続され、例えばオペレータのキーボード操作に応じてプロセッサの電源制御が実行される。プロセッサは、撮像素子を有するビデオスコープに接続される信号処理装置であるが、ファイバスコープの光源装置にプロセッサを組み込んだ内視鏡装置を構成してもよい。プロセッサとプロセッサ制御装置との間でデータ通信を行う構成としては、例えば、インターネット、あるいはLANなどのローカルエリアネットワークを構築すればよい。
【0005】
本発明のプロセッサ制御装置は、複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力可能なプロセッサ動作制御手段を有する。ここで、プロセッサの起動は、処置等の内視鏡作業を可能にすべくプロセッサ内部の回路へ電源供給することを示す。一方、プロセッサ動作の停止は、内視鏡作業を行うためのプロセッサ内の回路への電源供給を停止することを示し、いわゆるスリープモードの設定に対応したものと考えてよい。
【0006】
一方、プロセッサは、プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部と、補助電源によって動作し、起動信号に基づいた第1の電源供給部のONへの切替および停止信号に基づいた第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行可能な電源制御手段と、予備電源を電源制御手段へ供給する第2の電源供給部とを有する。例えば商用電源によって第2の電源供給部へ予備電源を供給する。電源制御手段は、プロセッサ制御装置からの信号に基づいて第1の電源供給部のON/OFFを制御し、リモートコントロールによって各プロセッサの電源状態が管理される。プロセッサの起動と停止両方を制御するようにしてもよく、あるいは、プロセッサの起動、停止の一方を制御するように構成してもよい。
【0007】
すべてのプロセッサに対して同じ電源制御を行ってもよいが、必要な時に特定のプロセッサを電源制御するため、プロセッサ動作制御手段は、複数のプロセッサのうち所定のプロセッサに対して起動信号もしくは停止信号を選択的に出力するのが好ましい。例えば、LAN等のネットワークによってプロセッサとプロセッサ制御装置が接続されている場合、TCP/IPのドライバ組み込み、IPアドレスによって各プロセッサを特定し、電源制御を行えばよい。
【0008】
プロセッサが起動中であるかあるいはスリープモード状態であるかを事前にプロセッサ制御装置において確認するため、プロセッサ動作制御手段は、プロセッサ動作制御手段が、第1の電源供給部がON状態であるか否かを検出する電源検出信号を電源制御手段へ送信し、電源制御手段が、ON状態であることを示す電源状態信号をプロセッサ動作制御手段へ送信するのが望ましい。あるいは、プロセッサ動作制御手段が、第1の電源供給部がOFF状態であるか否かを検出する電源検出信号を電源制御手段へ送信し、電源制御手段が、OFF状態であることを示す電源状態信号をプロセッサ動作制御手段へ送信するのがよい。
【0009】
各作業室で検査等を受ける被験者があらかじめ決められている場合、被験者関連データをプロセッサに送るのが望ましい。そのため、プロセッサ動作制御手段は、起動させるプロセッサに対し、そのプロセッサに関係する被験者関連データを動作信号に合わせて送信するのがよい。被験者関連データは、例えば患者名、年齢、性別などのデータや、執刀医などである。
【0010】
内視鏡装置を使用する場合、患者に使用したプロセッサ、スコープの種類、番号、型番、手術などの作業時間などを、作業データとして残すことがある。そのため、プロセッサは、動作停止時に、内視鏡作業に関連するデータを被験者関連データに対応づけてプロセッサ動作制御手段へ送信するデータ送信手段をさらに設けるのが望ましい。例えば、プロセッサ起動時に、プロセッサ関連データを被験者関連データと対応付け、ビデオスコープ接続時に、ビデオスコープ関連データと被験者関連データとを対応づけて一時的にメモリへ記憶させればよい。あるいは、光源点灯時間を内視鏡作業時間と見なし、光源点灯時間を計測して被験者関連データと対応づけて記憶してもよい。
【0011】
本発明の内視鏡システム用電源制御方法は、それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続されるプロセッサ制御装置から、複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力し、起動信号に基づき、プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部のONへの切替および停止信号に基づいた第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行し、予備電源を電源制御手段へ供給することを特徴とする。
【0012】
本発明の内視鏡プロセッサは、プロセッサ制御装置とデータ送信可能な状態で接続され、プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部と、予備電源によって動作し、プロセッサを起動させる起動信号に基づいた第1の電源供給部のONへの切替およびプロセッサ動作を停止させる停止信号に基づいた第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行可能な電源制御手段と、予備電源を電源制御手段へ供給する第2の電源供給部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の内視鏡プロセッサ制御装置は、それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続され、複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力可能なプロセッサ動作制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プロセッサの電源管理をリモートコントロールすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態である内視鏡システムのブロック図である。
【0017】
図1に示すように、検査室A、B、Cにそれぞれ電子内視鏡装置100、200、300が設置されており、コントローラ500が検査室から離れた遠隔地にある管理室に配置されている。電子内視鏡装置100、200、300には、それぞれLANケーブルが接続されており、コントローラ500は、ハブ400を介して電子内視鏡装置100、200、300とネットワーク通信可能である。各検査室では、それぞれ内視鏡による診断、処置、あるいは手術が行われる。管理室のコントローラ500は、電子内視鏡装置100、200、300との間で画像データ等のデータを相互通信可能であり、また、各電子内視鏡装置の電源を制御する。
【0018】
図2は、検査室Aに設置された電子内視鏡装置100のブロック図である。なお、他の電子内視鏡装置200、300も同様な構成になっている。
【0019】
電子内視鏡装置は、ビデオスコープ10とプロセッサ20とを備え、プロセッサ20には、モニタ30が接続される。ビデオスコープ10は、プロセッサ20に着脱自在に接続され、また、検査室内のオペレータによって操作されるキーボード(図示せず)がプロセッサ20に接続される。メイン電源ボタン25に対する操作によって、電源部28からプロセッサ20の各回路へ電源が供給される。
【0020】
プロセッサ20のランプボタン31が操作されると、ランプ制御回路33からランプ24へ電源が供給され、ランプ24が点灯する。ランプ24から放射された光は、絞り26、集光レンズ(図示せず)を介してライトガイド12の入射端12Aに入射する。光ファイバー束によって構成されるライトガイド12は、ランプ24の光をスコープ先端部へ伝達し、ライトガイド12を通った光は、配光レンズ(図示せず)を介してスコープ先端部から射出する。これにより、観察部位が照明される。
【0021】
観察部位において反射した光は、対物レンズ(図示せず)を通り、CCD14の受光面に到達する。その結果、被写体像がCCD14に形成され、被写体像に応じた画像信号が生成される。画像信号はCCD14から一定の時間間隔で読み出され、プロセッサ20の信号処理回路22へ送られる。CCD14からの画像信号読み出しは、信号処理回路22内部に設けられたCCDドライバによって制御され、ここでは、ビデオ規格としてNTSC方式に従い、1フィールド分の画像信号が1/60秒間隔で順次読み出される。
【0022】
信号処理回路22では、ホワイトバランス調整、ガンマ補正など画像信号に対して様々な処理が施され、所定のビデオ規格に従った映像信号が生成される。生成された映像信号はインターフェイス回路(I/F)27を介してモニタ30へ出力され、これにより、観察画像がモニタ30に表示される。また、信号処理回路22では、画像信号に基づいて輝度信号が生成される。
【0023】
CPU、ROM、RAMを含むシステムコントロール回路21は、プロセッサ20の動作を制御し、信号処理回路22など各回路へ制御信号を出力する。ROMには動作制御に関するプログラムが格納されている。ビデオスコープ10にはEEPROM13が設けられており、ビデオスコープ10の型番号、シリアルナンバーなどビデオスコープ10に関するデータが格納されている。ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されると、ビデオスコープ10に関するデータはEEPROM13からシステムコントロール回路21のRAMへ送信される。
【0024】
絞り26は、ランプ24からの照明光の光量を調整するため開閉し、モータなどの駆動部(図示せず)によって駆動される。調光回路23は、信号処理回路22から送られてくる輝度データに基づき、モニタ30に表示される被写体像が適正な明るさで維持されるように、絞り26の開閉動作を制御する。
【0025】
システムコントロール回路22はインターフェイス回路27を介して外部のコントローラ500との通信を実行し、TCP/IPの通信プロトコルに従ってデータを相互通信する。システムコントロール回路22に接続される通信用メモリ29には、管理室のコントローラ500との間で送信、受信されるデータが格納される。
【0026】
図3は、コントローラ500のブロック図である。
【0027】
コントローラ500には、キーボード540、モニタ560が接続されており、オペレータは、キーボード540を操作しながら検査室に配置された電子内視鏡装置100〜3300との間でデータの送受信を行う。コントローラ500は、患者メモリ530、制御部550を備え、制御部550はコントローラ500の動作を制御する。患者メモリ530には、患者に関連するIDデータが格納されている。
【0028】
図4は、電子内視鏡装置100の電源部28のブロック図である。なお、他の電子内視鏡装置の電源回路も同様の構成になっており、以下では、いずれのプロセッサの構成要素についても、図2で示した電子内視鏡装置100で使用されている符号を用いることにする。
【0029】
電源部28は、第1電源回路32、第2電源回路34とを備える。商用電源から入力される交流電源は、第1電源回路32、第2電源回路34に入力されるとAC/DC変換される。第1電源回路32は、プロセッサ10を起動および動作させるため、プロセッサ10内の回路全体へ電源供給を行う。第1電源回路32は、システムコントロール回路21からの制御信号によってONからOFF、およびOFFからONに切り替えられ、ON状態の時のみ回路全体へ電源供給可能である。
【0030】
第2電源回路34は、商用電源の入力によってシステムコントロール回路21へ常時電源供給を行っている。また、システムコントロール回路21を介してインターフェイス回路27内のLAN出力ポート36へ電源を供給する。第2電源回路34は、プロセッサ20内部において起動するために最低限必要な回路だけに電源を供給する、いわゆるスリープモード設定のために設けられており、第2電源回路34からの出力電流は、第1電源回路32からの出力電流に比べて非常に小さい。
【0031】
図5は、コントローラ500の制御部550で実行される電源ON制御処理のフローチャートである。
【0032】
ステップS101では、データ送信可能なプロセッサを検出するための信号が、プロセッサ100〜300に送信される。各プロセッサにはTCP/IPドライバが組み込まれており、それぞれアドレスが割り当てられている。コントローラ500には、プロセッサ100〜300のアドレスがあらかじめ記憶されており、リモート通信可能であるか確認するための検出信号がアドレスに基づいて各プロセッサへ送信される。
【0033】
プロセッサがLANケーブルによってコントローラ500とネットワーク接続されている場合、受信信号がLAN出力ポート36からコントローラ500へ送信される。一方、LANケーブルがプロセッサに接続されていない場合、受信信号がコントローラ500へ送信されない。ステップS102では、プロセッサから送られてくる受信信号に基づいて、データ通信可能な(ネットワーク接続されている)プロセッサが確認され、モニタ560へ通信可能なプロセッサが表示される。
【0034】
ステップS103では、特定のプロセッサのメイン電源をONにする、すなわちプロセッサを起動させるため、キーボード540がオペレータによって操作されたか否かが判断される。キーボード540が操作されていないと判断されると、繰り返しステップS103が実行される。一方、キーボード540が操作されたと判断された場合、ステップS104へ進み、オペレータによって選択されたプロセッサの電源状態を検出するための信号が送信される。そして、ステップS105では、選択されたプロセッサから送られてきた電源状態を示す信号に基づき、その起動させるプロセッサがスリープモードであるか否かが判断される。すなわち、第1電源回路32がOFF状態であるか否かが判断される。
【0035】
起動させるプロセッサがスリープモードであると判断された場合、ステップS106へ進み、第1電源回路32をON状態に切り替えるためのコマンドデータがプロセッサへ送信される。そして、ステップS107では、選択されたプロセッサに対応する患者のIDデータが、選択されたプロセッサへ送信される。患者名、患者の年齢などを含むIDデータは、あらかじめコントローラ500の患者メモリ530に記憶されており、検査、処置、手術等の検査を行う患者(被験者)のデータが、検査室、すなわち検査室に配置されたプロセッサに対応づけて記憶されている。したがってステップS105では、選択されたプロセッサのおかれた検査室で処置等される被験者のIDデータが送信される。検査室、プロセッサは、診察、検査予定、スケジュールなどに従って特定される。一方、ステップS105においてプロセッサがスリープモードではないと判断された場合、ステップS108へ進み、プロセッサが稼働中(動作中)であることをモニタ560に表示する。なお、ステップS102〜S108の処理は、電源制御を行うプロセッサに対してそれぞれ実行される。
【0036】
図6は、起動されるプロセッサのシステムコントロール回路21で実行される起動処理を示したフローチャートである。
【0037】
ステップS201では、コントローラ500から電源状態を確認するための信号が送信されてきたか否かが判断される。送信されてきていないと判断されると、ステップS201が繰り返し実行される。一方、信号が送信されてきたと判断されると、ステップS202へ進む。
【0038】
ステップS202では、プロセッサの電源状態を示す信号、すなわちスリープモード状態もしくはメイン電源ON状態を示す信号がコントローラ500へ送信される。ステップS203では、メイン電源をONに切り替えるコマンドデータがコントローラ500から送信されてきたか否かが判断される。コマンドデータが送信されてきていないと判断されると、ステップS203が繰り返し実行される。一方、コマンドデータが送信されてきたと判断されると、ステップS204へ進む。
【0039】
ステップS204では、第1電源回路32をONに切り替える制御信号がシステムコントロール回路21から第1電源回路32へ出力される。そして、ステップS205では、コントローラ500から送られてくる患者のIDデータが受信され、通信用メモリ29の所定のアドレスに格納される。ステップS206では、あらかじめROMに格納されていたプロセッサの型番、シリアルナンバーのデータが読み出され、通信用メモリ29に格納されたIDデータと対応づけるように、所定のアドレスに格納される。
【0040】
図7は、プロセッサのシステムコントロール回路21で実行されるビデオスコープ接続時の処理を示したフローチャートである。
【0041】
ステップS301では、ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されているか否かが判断される。ビデオスコープ10に接続されていると判断されると、ステップS302へ進み、ビデオスコープ10のEEPROM13からビデオスコープ10の型番、シリアルナンバーを含むビデオスコープ関連データが読み出され、プロセッサ20のRAMに記憶される。そして、ステップS303では、ビデオスコープ10の型番、シリアルナンバーが、患者とIDデータと対応づけるように、通信用メモリ29の所定のアドレスに記憶される。
【0042】
図8は、プロセッサのシステムコントロール回路21によって実行される内視鏡検査時間を検出する処理を示したフローチャートである。
【0043】
ステップS401では、ランプボタン31がオペレータの操作によってON状態になったか否かが判断される。ランプボタン31がON状態にされていないと判断された場合、ステップS401が繰り返し実行される。一方、ランプボタン31がON状態にされたと判断されると、ステップS402へ進む。
【0044】
ステップS402では、プロセッサに設けられたタイマー(図示せず)によってランプ点灯時間の計測が開始される。ステップS403では、ランプボタン31がオペレータの操作によってOFF状態になったか否かが判断される。ランプボタン31がOFF状態になったと判断されると、ステップS404へ進み、ランプボタン31のOFFからステップ402の点灯時間計測開始までの時間が検出される。
【0045】
ステップS405では、計測されたランプ点灯時間がIDデータと対応付けられて通信用メモリ29の所定のアドレスに格納される。通常、手術等の内視鏡検査を開始するときにランプボタンをONにし、検査終了時にOFFに切り替えることから、ランプ点灯時間は、内視鏡検査時間(手術時間、検査時間など)に相当する。したがって、ランプ点灯時間を検査時間とみなす。
【0046】
図9は、コントローラ500の制御部550によって実行される電源OFF制御処理を示したフローチャートである。
【0047】
ステップS501では、オペレータによって、所定のプロセッサを電源OFFにするためキーボード540が操作されたか否かが判断される。図5のステップS102においてリモート通信可能なプロセッサがすでに確認されており、管理室のオペレータは、所定の検査室における検査等がすべて終了したと判断すると、その検査室に設置されたプロセッサのメイン電源をOFFにする、すなわちスリープモードに設定する操作を管理室で行う。
【0048】
ステップS502では、メイン電源をOFFに設定するプロセッサの電源状態を検出するための検出信号が選択されたプロセッサへ送信される。そしてステップS503では、プロセッサから送られてくる電源状態を示す信号に基づき、メイン電源をOFFするプロセッサが稼働中であるか、すなわち第1電源回路32がON状態であるか否かが判断される。
【0049】
ステップS503において、選択されたプロセッサが稼働中ではない、すなわちプロセッサがすでにスリープモードに設定されていると判断されると、ステップS506へ進み、プロセッサがスリープモード状態であることをモニタ560に表示する。一方、ステップS503において、プロセッサが稼働中であってメイン電源がON状態であると判断された場合、ステップS504へ進み、電源OFFのコマンドデータがプロセッサへ送信される。
【0050】
ステップS505では、電源OFFされるプロセッサから送信されてくる患者のIDデータと、IDデータと対応付けられたビデオスコープの型番、シリアルナンバー、プロセッサの型番、シリアルナンバー、内視鏡検査時間(ランプ点灯時間)を含むデータ(以下では、内視鏡検査関連データという)のデータが患者メモリ530へ格納される。なお、ステップS501〜S505の処理は、電源制御を行うプロセッサに対してそれぞれ実行される。
【0051】
図10は、メイン電源がOFF操作されるプロセッサのシステムコントロール回路21によって実行される動作停止処理を示したフローチャートである。
【0052】
ステップS601では、電源状態を確認するための信号を受信したか否かが判断される。信号が受信されたと判断されると、ステップS602へ進み、メイン電源ON状態である、もしくはスリープモード状態であることを示す信号がコントローラ500へ送信される。ステップS603では、メイン電源OFFのコマンドデータを受信したか否かが判断される。
【0053】
ステップS603において、メイン電源OFFのコマンドデータを受信したと判断されると、ステップS604へ進み、通信用メモリ29に格納された患者のIDデータと、IDデータに対応付けられた内視鏡検査関連データがコントローラ500へ送信される。そしてステップS605では、システムコントロール回路21からの制御信号により、第1電源回路32がOFFに切り替えられる。
【0054】
以上のように本実施形態によれば、コントローラ500と複数のプロセッサ100、200、300がLANケーブルによって接続され、各プロセッサは、プロセッサを起動させる電源を供給する第1電源回路32と、スリープモード状態においてシステムコントロール回路21へ電源を供給する第2電源回路34とを備える。コントローラ500からプロセッサを起動させるコマンドデータが送信されると、システムコントロール回路21によって第1電源回路32はONに切り替えられる。これにより、プロセッサ内の各回路へ電源が供給される。一方、コントローラ500からプロセッサ動作を停止させるコマンドデータが送信されると、システムコントロール回路21によって第1電源回路32がOFFに切り替えられ、プロセッサがスリープモードに設定される。
【0055】
また、起動させるプロセッサによって検査等の内視鏡検査が行われる被験者関連のIDデータが、電源ONのコマンドデータとともにプロセッサに送信される。そして、プロセッサの型番、シリアルナンバー、そのプロセッサに接続されるビデオスコープの型番、シリアルナンバー、内視鏡検査時間に応じたランプ点灯時間といった内視鏡検査関連データが、被験者のIDデータと対応づけられて記憶される。そして、コントローラ500から電源OFFのコマンドデータが送信されると、内視鏡検査関連データと被験者のIDデータとがコントローラ500へ送信される。
【0056】
電源制御に関しては、管理室のオペレータが、電源状態を確認してからメイン電源をON/OFFにするキーボード操作を行うように、二段階の操作ステップを踏む構成にしてもよい。あるいは、電源状態を確認せずにメイン電源のON/OFF指令を行うように構成してもよい。また、管理室のオペレータが電源OFF制御する場合、ランプの点灯の有無などのプロセッサが稼働中であるか否かを検出することによって確認してもよい。プロセッサが稼働中であることを考慮して図10のステップS601、602の処理を省略してもよい。
【0057】
LANケーブル以外によってネットワークを構成してもよく、TCP/IP以外のアドレス特定以外の方法によってコントローラがプロセッサを特定するように構成してもよい。
【0058】
プロセッサ起動、停止時のデータ通信処理に関しては、患者のIDデータをプロセッサ起動時に送信するだけ、あるいは、内視鏡検査関連データをプロセッサ停止時に送信だけするように構成してもよい。患者のIDデータ、内視鏡検査関連データは、上記以外の内容を含む情報を備えていてもよい。
【0059】
スリープモード状態では、商用電源以外の電源(電池など)によって予備電源を供給するように構成してもよい。コントローラによるプロセッサの電源制御に関しては、メイン電源ONのみ制御、あるいはメイン電源OFFのみ制御するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】検査室Aに設置された電子内視鏡装置のブロック図である。
【図3】コントローラのブロック図である。
【図4】電子内視鏡装置の電源部のブロック図である。
【図5】コントローラの制御部で実行される電源ON制御処理のフローチャートである。
【図6】起動されるプロセッサのシステムコントロール回路で実行される起動処理を示したフローチャートである。
【図7】プロセッサのシステムコントロール回路で実行されるビデオスコープ接続時の処理を示したフローチャートである。
【図8】プロセッサのシステムコントロール回路によって実行される内視鏡検査時間を検出する処理を示したフローチャートである。
【図9】コントローラの制御部によって実行される電源OFF制御処理を示したフローチャートである。
【図10】メイン電源がOFF操作されるプロセッサのシステムコントロール回路によって実行される動作停止処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 ビデオスコープ
20 プロセッサ
21 システムコントロール回路(電源制御手段、データ送信手段)
28 電源部
29 通信用メモリ
32 第1電源回路
34 第2電源回路
100 電子内視鏡装置
500 コントローラ
530 患者メモリ
550 制御部(プロセッサ動作制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサと、
前記複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続されるプロセッサ制御装置とを備え、
前記プロセッサ制御装置が、
前記複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力可能なプロセッサ動作制御手段を有し、
前記複数のプロセッサ各々が、
プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部と、
予備電源によって動作し、起動信号に基づいた前記第1の電源供給部のONへの切替および停止信号に基づいた前記第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行可能な電源制御手段と、
予備電源を前記電源制御手段へ供給する第2の電源供給部とを有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記プロセッサ動作制御手段が、複数のプロセッサのうち所定のプロセッサに対して起動信号もしくは停止信号を選択的に出力することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記プロセッサ動作制御手段が、前記第1の電源供給部がON状態であるか否かを検出する電源検出信号を前記電源制御手段へ送信し、
前記電源制御手段が、ON状態であることを示す電源状態信号を前記プロセッサ動作制御手段へ送信することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記プロセッサ動作制御手段が、前記第1の電源供給部がOFF状態であるか否かを検出する電源検出信号を前記電源制御手段へ送信し、
前記電源制御手段が、OFF状態であることを示す電源状態信号を前記プロセッサ動作制御手段へ送信することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記プロセッサ動作制御手段が、起動させるプロセッサに対し、そのプロセッサに関係する被験者関連データを動作信号に合わせて送信することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記プロセッサが、動作停止時に、内視鏡作業に関連するデータを被験者関連データに対応づけて前記プロセッサ動作制御手段へ送信するデータ送信手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続されるプロセッサ制御装置から、前記複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力し、
起動信号に基づき、プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部のONへの切替および停止信号に基づいた前記第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行し、
予備電源を前記電源制御手段へ供給することを特徴とする内視鏡システム用電源制御方法。
【請求項8】
プロセッサ制御装置とデータ送信可能な状態で接続され、
プロセッサを起動させるための電源供給を行う第1の電源供給部と、
予備電源によって動作し、プロセッサを起動させる起動信号に基づいた前記第1の電源供給部のONへの切替およびプロセッサ動作を停止させる停止信号に基づいた前記第1の電源供給部のOFFへの切替のうち少なくともいずれかを実行可能な電源制御手段と、
予備電源を前記電源制御手段へ供給する第2の電源供給部と
を備えたことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項9】
動作停止時に、内視鏡作業に関連するデータを被験者関連データに対応づけて前記プロセッサ動作制御手段へ送信するデータ送信手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項10】
それぞれスコープと接続可能な複数のプロセッサとデータ送信可能な状態で接続され、
前記複数のプロセッサそれぞれに対し、プロセッサを起動させる起動信号およびプロセッサ動作を停止させる停止信号の少なくともいずれかを出力可能なプロセッサ動作制御手段を備えたことを特徴とする内視鏡プロセッサ制御装置。
【請求項11】
前記プロセッサ動作制御手段が、起動させるプロセッサに対し、そのプロセッサに関係する被験者関連データを動作信号に合わせて送信することを特徴とする請求項10に記載の内視鏡プロセッサ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−109986(P2008−109986A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293639(P2006−293639)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】