説明

内視鏡システム

【課題】画像処理パラメータの更新が容易な内視鏡システム。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子からの画像信号に前段画像処理を施す第1処理部と、不揮発性の第1メモリとを有するスコープを備える。前段画像処理が施された画像信号について後段画像処理を施す第2処理部と、不揮発性の第2メモリと、揮発性の更新用メモリとを有するプロセッサを備える。第1メモリ、及び第2メモリは、前段画像処理と後段画像処理に使用されるパラメータを含む画像処理関連データを記録する。更新用メモリは、第2メモリに記録された画像処理関連データが、第1メモリに記録された画像処理関連データに比べて古い場合、第1メモリに記録された画像処理関連データを記録するために使用される。更新用メモリに画像処理関連データが記録された場合は、第2メモリの画像処理関連データが、更新用メモリに記録された画像処理関連データに書き換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に不具合の解析を容易にする内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子が搭載されたスコープを備えた内視鏡システムが提案されている。内視鏡システムにおいて、スコープに内蔵される画像処理装置における画像処理パラメータやファームウェアなどは、予め接続が想定されるプロセッサの特性を考慮した状態で、スコープに設定されている。同様に、プロセッサに内蔵される画像処理装置における画像処理パラメータやファームウェアなどは、予め接続が想定されるスコープの特性を考慮した状態で、プロセッサに設定されている。但し、後に開発される総ての機種の特性を考慮した画像処理パラメータなどを設定するのは困難であり、出荷後に画像処理パラメータなどを更新出来るシステムが望まれていた。
【0003】
特許文献1は、ノートパソコン等の外部機器から送信されたファームウェアプログラムデータを受信してファームウェアのバージョンアップが可能な内視鏡システムを開示する。
【特許文献1】特開2000−245681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置では、ノートパソコン等の外部機器を内視鏡システムに接続する必要があり、かかる接続やデータ転送に関する知識を有する者を必要になる問題があった。
【0005】
したがって本発明の目的は、外部機器に接続することなく、画像処理パラメータやファームウェアの更新が容易に行える内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内視鏡システムは、撮像素子と、撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリと、揮発性のスコープ更新準備用メモリとを有するスコープと、前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリと、揮発性のプロセッサ更新準備用メモリとを有するプロセッサとを備え、スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前段の画像処理と後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、スコープ更新準備用メモリは、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データに比べて古い場合、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、プロセッサ更新準備用メモリは、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データに比べて古い場合、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、スコープ更新準備用メモリに画像処理関連データが一時記録された場合は、スコープ画像処理用メモリの画像処理関連データが、スコープ更新準備用メモリに一時記録された画像処理関連データに書き換えられ、プロセッサ更新準備用メモリに画像処理関連データが一時記録された場合は、プロセッサ画像処理用メモリの画像処理関連データが、プロセッサ更新準備用メモリに一時記録された画像処理関連データに書き換えられる。
【0007】
好ましくは、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古いか否かの判断は、スコープとプロセッサとが接続された時であって、前段の画像処理や後段の画像処理が開始される前に行われる。
【0008】
本発明に係る内視鏡システムは、撮像素子と、撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリとを有するスコープと、前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリと、揮発性のプロセッサ更新準備用メモリとを有するプロセッサとを備え、スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前段の画像処理と後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、プロセッサ更新準備用メモリは、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データに比べて古い場合、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、プロセッサ更新準備用メモリに画像処理関連データが一時記録された場合は、プロセッサ画像処理用メモリの画像処理関連データが、プロセッサ更新準備用メモリに一時記録された画像処理関連データに書き換えられる。
【0009】
本発明に係る内視鏡システムは、撮像素子と、撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリと、揮発性のスコープ更新準備用メモリとを有するスコープと、前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリとを有するプロセッサとを備え、スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前段の画像処理と後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、スコープ更新準備用メモリは、スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データに比べて古い場合、プロセッサ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、スコープ更新準備用メモリに画像処理関連データが一時記録された場合は、スコープ画像処理用メモリの画像処理関連データが、スコープ更新準備用メモリに一時記録された画像処理関連データに書き換えられる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、外部機器に接続することなく、画像処理パラメータやファームウェアの更新が容易に行える内視鏡システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本実施形態における内視鏡システムの構成について、図1を用いて説明する。本実施形態に係る内視鏡システム1は、スコープ10、プロセッサ30、モニタ50、及び入力装置60を備える。
【0012】
スコープ10は、CCDなどの撮像部11、DSPなどのスコープ画像処理回路15、スコープ制御部20、不揮発性のスコープ画像処理用メモリ21、及び揮発性のスコープ更新準備用メモリ22を有する。
【0013】
プロセッサ30は、絶縁回路31、DSPなどのプロセッサ画像処理回路35、プロセッサ制御部40、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリ41、及び揮発性のプロセッサ更新準備用メモリ42を有する。プロセッサ30ではスコープ10により取得されスコープ画像処理回路15でYC分離など前段の画像処理が施された画像信号に対し、モニタ50で表示可能な画像(ビデオ信号)を生成する後段の画像処理が施される。
【0014】
プロセッサ30には、モニタ50が接続される。モニタ50は、プロセッサ30で画像処理された、所定のビデオ信号の規格に準拠した画像を表示する表示手段である。また、プロセッサ30には、キーボードなどの入力装置60が接続される。プロセッサ30には、モニタ50や入力装置60の他に、プロセッサ30で画像処理された画像データ等を記録する外部記憶装置や、画像を出力(プリントアウト)するプリンタなどが接続されてもよい。
【0015】
次に、各部の詳細について説明する。被観察体からの反射光は対物光学系(不図示)を介して撮像部11の撮像素子に入射され、撮像素子の入射面に被観察体の光学像が結像される。撮像素子では入射した被観察体の光学像が光電変換され、該光学像に基づいた画像信号が出力される。
【0016】
撮像部11から出力された画像信号は、スコープ画像処理回路15においてYC分離など前段の画像処理が施され、絶縁回路31を介してプロセッサ画像処理回路35に出力される。プロセッサ30では、プロセッサ画像処理回路35において、後段の画像処理が施されて、モニタ50で出力可能なビデオ信号にされる。
【0017】
スコープ画像処理用メモリ21は、γ特性、エンハンスメント、輝度信号のリミット値など、スコープ画像処理回路15における前段の画像処理、及びプロセッサ画像処理回路35における後段の画像処理に使用されるパラメータ(ステートメントデータ)を、スコープ10に接続されうるプロセッサ30の機種ごとに、且つプロセッサ30に接続されうるスコープ10の機種ごとに、グループ化した画像処理関連データとして記録する。画像処理関連データのうち、使用するスコープ10に対応するパラメータは、スコープ画像処理回路15における前段の画像処理に使用される。また、画像処理関連データは、プロセッサ画像処理用メモリ41にも記録されており、スコープ制御部20とプロセッサ制御部40との通信により、一方の画像処理関連データが他方の画像処理関連データに比べて古い場合には、他方の画像処理関連データが一方の画像処理関連データに上書きされて更新される。
【0018】
スコープ画像処理回路15は、スコープ10とプロセッサ30とが接続され、且つ電源がオン状態にされた時に、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データから使用するパラメータを読み出しする。読み出しされたパラメータは、スコープ10とプロセッサ30とが接続されて電源がオン状態にされている間、スコープ画像処理回路15で一時記録され、この間の前段の画像処理に使用される。
【0019】
スコープ更新準備用メモリ22は、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データに比べて古い場合に、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データを新しくする更新の準備のために、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データを記録するのに使用される。
【0020】
プロセッサ画像処理用メモリ41は、スコープ画像処理用メモリ21と同様に、画像処理関連データを記録する。プロセッサ更新準備用メモリ42は、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データが、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データに比べて古い場合に、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データを新しくする更新の準備のために、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データを記録するのに使用される。
【0021】
プロセッサ画像処理回路35は、スコープ10とプロセッサ30とが接続され、且つ電源がオン状態にされた時に、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データから使用するパラメータを読み出しする。読み出しされたパラメータは、スコープ10とプロセッサ30とが接続されて電源がオン状態にされている間、プロセッサ画像処理回路35で一時記録され、この間の後段の画像処理に使用される。
【0022】
スコープ制御部20とプロセッサ制御部40とは、スコープ10とプロセッサ30とが接続された時であって、映像信号処理15における前段の画像処理やプロセッサ画像処理回路35における後段の画像処理が開始される前、すなわち内視鏡システム1における通常動作が行われる前に、双方向に通信を行い、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データと、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データのバージョンを比較する。また、比較した結果、バージョンが異なる場合には、古い方の画像処理関連データを、新しい方の画像処理関連データに書き換える(更新する)。更新後は、新しくされた画像処理関連データの中の対応するパラメータを使って画像処理が行われる。
【0023】
画像処理関連データの書き換えは、新しい方の画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを、一旦古い方の更新準備用メモリに記録した後、古い方の画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを、古い方の更新準備用メモリに記録された画像処関連データに書き換えることにより行われる。
【0024】
具体的には、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データよりも古い場合には、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データが、一旦スコープ更新準備用メモリ22に記録され、その後、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データが、スコープ更新準備用メモリ22に記録された画像処理関連データに書き換えられる。同様に、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データが、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データよりも古い場合には、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データが、一旦プロセッサ更新準備用メモリ42に記録され、その後、プロセッサ画像処理メモリ41に記録された画像処理関連データが、プロセッサ更新準備用メモリ42に記録された画像処理関連データに書き換えられる。
【0025】
次に、画像処理関連データを書き換えする手順について、図2のフローチャートを用いて説明する。スコープ10とプロセッサ30が接続され、内視鏡システム1の電源がオン状態にされると、ステップS11で、スコープ制御部20とプロセッサ制御部40との間で通信が行われる。ステップS12で、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データのバージョンと、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データのバージョンとの比較が行われ、互いのバージョンが異なるか否かが判断される。画像処理関連データのヘッダなどには、更新時期などのバージョン情報が記載されており、バージョンの比較に使用される。バージョンが等しい場合には、画像処理関連データを新しく書き換えることが出来ないため、画像処理関連データの書き換え動作が終了し、内視鏡システム1が通常動作が可能な状態にされる。バージョンが異なる場合には、ステップS13に進められる。
【0026】
ステップS13で、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データのバージョンが、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データのバージョンよりも新しいか否かが判断される。プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データのバージョンが、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データよりも新しい場合は、ステップS14に進められ、新しくない場合は、ステップS15に進められる。
【0027】
なお、ステップS13の手順に進められる前に、画像処理関連データを書き換えるか否かを使用者に問う表示を表示部50で行い、使用者が入力装置60を使って画像処理関連データを書き換える旨の指示に対応する所定の操作を行ったか否かを判断してもよい。この場合、表示部50には、スコープ画像処理用メモリ21とプロセッサ画像処理用メモリ41の一方に記録された画像処理関連データが古く、他方に記録された画像処理関連データに書き換えるか否かを問う表示が行われる。古い方の画像処理関連データを書き換える旨の指示に対応する所定の操作が、使用者により行われた場合には、ステップS13に進められる。所定の操作が行われなかった場合には、画像処理関連データの書き換え動作が終了し、内視鏡システム1が通常動作が可能な状態にされる。
【0028】
ステップS14で、プロセッサ30が、新しい画像処理関連データを送信するマスタに設定され、スコープ10が、マスタから送信された新しい画像処理関連データを受信するスレーブに設定される。ステップS15で、スコープ10が、新しい画像処理関連データを送信するマスタに設定され、プロセッサ30が、マスタから送信された新しい画像処理関連データを受信するスレーブに設定される。
【0029】
ステップS16で、マスタに設定された方の画像処理用メモリから、画像処理関連データが、スレーブに設定された方に送信される。具体的には、プロセッサ30がマスタに設定された場合には、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データがスコープ10に送信され、スコープ10がマスタに設定された場合には、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データがプロセッサ30に送信される。
【0030】
ステップS17で、スレーブに設定された方が、画像処理関連データを受信し、スコープ更新準備用メモリ22またはプロセッサ更新準備用メモリ42に一時記録する。具体的には、スコープ10がスレーブに設定された場合には、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データを、スコープ10が受信して、スコープ更新準備用メモリ22に一時記録する。プロセッサ30がスレーブに設定された場合には、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データを、プロセッサ30が受信して、プロセッサ更新準備用メモリ42に一時記録する。
【0031】
スコープ画像処理用メモリ21やプロセッサ画像処理用メモリ41に直接画像処理関連データを書き込みしないのは、画像処理関連データの送信中に、電源がオフ状態にされるなど送信処理の中断、及びデータ書き込み中のエラーによるメモリの破損などが、起こり得るため、これらが内視鏡システム1における通常動作に影響を及ぼすことを防ぐためである。
【0032】
ステップS18で、マスタに設定された方の制御部は、画像処理関連データの送信が完了したか否かを判断する。具体的には、プロセッサ30がマスタに設定された場合には、プロセッサ制御部40が、スコープ10への画像処理関連データの送信が完了したか否かを判断する。スコープ10がマスタに設定された場合には、スコープ制御部20が、プロセッサ30への画像処理関連データの送信が完了したか否かを判断する。完了していない場合は、ステップS16、S17が繰り返し行われる。完了している場合は、ステップS19に進められる。
【0033】
ステップS19で、マスタに設定された方の制御部は、画像処理関連データの送信が完了したこと示す信号を、スレーブに設定された方の制御部に対して送信する。具体的には、プロセッサ30がマスタに設定された場合には、プロセッサ制御部40が、スコープ制御部20に、画像処理関連データの送信が完了したことを示す信号を送信する。スコープ10がマスタに設定された場合には、スコープ制御部20が、プロセッサ制御部40に、画像処理関連データの送信が完了したことを示す信号を送信する。
【0034】
ステップS20で、スレーブに設定された方の制御部は、更新準備用メモリに一時記録された画像処理関連データを、画像処理用メモリにコピーして、画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを更新する。具体的には、スコープ10がスレーブに設定された場合には、スコープ制御部20が、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データを消去し、スコープ更新準備用メモリ22に一時記録された画像処理関連データを、スコープ画像処理用メモリ21にコピーする。プロセッサ30がスレーブに設定された場合には、プロセッサ制御部40が、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データを消去し、プロセッサ更新準備用メモリ42に一時記録された画像処理関連データを、プロセッサ画像処理用メモリ41にコピーする。これにより、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データのバージョンと、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データのバージョンとが、同じ新しいバージョンに合わされる。
【0035】
ステップS21で、スレーブに設定された方の画像処理用メモリに記録された画像処理関連データが新しいバージョンに書き換えられたことが、表示部50に示され、画像処理関連データの書き換え動作が終了し、内視鏡システム1が通常動作が可能な状態にされる。具体的には、スコープ10がスレーブに設定された場合には、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データが、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データと同じ新しいバージョンに書き換えられたことが、表示部50に示される。プロセッサ30がスレーブに設定された場合には、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データが、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データと同じバージョンに書き換えられたことが、表示部50に示される。
【0036】
内視鏡システム1が通常動作が可能な状態にされると、スコープ画像処理回路15は、スコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データの中の、スコープ画像処理回路15に対応するパラメータを使って前段の画像処理を行う。また、プロセッサ画像処理回路35は、プロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データの中の、プロセッサ画像処理回路35に対応するパラメータを使って後段の画像処理を行う。
【0037】
これにより、スコープ制御部20のスコープ画像処理回路15が前段の画像処理で使用するパラメータ、及びプロセッサ画像処理回路35が後段の画像処理で使用するパラメータを含む画像処理関連データであって、スコープ画像処理用メモリ21とプロセッサ画像処理用メモリ41の一方(古い画像処理関連データを記録した方)に記録されるものを、該画像処理関連データであってスコープ画像処理用メモリ21とプロセッサ画像処理用メモリ41の他方(新しい画像処理関連データを記録した方)に記録されるものを使って、容易に新しい状態(バージョン)に更新することが可能になる。
【0038】
また、スコープ10とプロセッサ30とを接続するだけで、古い方の画像処理関連データを新しくすることが出来るため、外部機器を使ってデータの書き換えを行う形態に比べて、使用者の負担を少なくすることが可能になる。
【0039】
例えば、最新の画像処理関連データをスコープ画像処理用メモリ21に記録したスコープ10を用意することで、スコープ10に接続されたプロセッサ30のプロセッサ画像処理用メモリ41に記録された画像処理関連データは総て最新のものに書き換えすることが可能になる。次に、最新のものに書き換えられた画像処理関連データをプロセッサ画像処理用メモリ41に記録したプロセッサ30に、他のスコープ10が接続されると、他のスコープ10のスコープ画像処理用メモリ21に記録された画像処理関連データについても最新のものに書き換えすることが可能になる。
【0040】
なお、本実施形態では、画像処理関連データが、スコープ画像処理回路15やプロセッサ画像処理回路35で行う画像処理に使用するパラメータであるとして説明したが、他のデータ、例えばファームウエアプログラムであってもよい。この場合は、ステップS20における上書き更新後に、更新されたプログラムをインストールするステップが付け加えられる。
【0041】
また、スコープ10、及びプロセッサ30がともに更新準備用メモリを有する形態を説明した。この場合は、新しいバージョンの画像処理関連データをスコープ10からプロセッサ30に供給することも、プロセッサ30からスコープ10に供給することも可能であるが、スコープ10とプロセッサ30のいずれか一方だけが更新準備用メモリを有し、新しいバージョンの画像処理関連データの供給がスコープ10からプロセッサ30へ、またはプロセッサ30からスコープ10へのいずれか一方だけが可能である形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態における内視鏡システムの構成図である。
【図2】画像処理関連データを書き換えする手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 内視鏡システム
10 スコープ
11 撮像部
15 スコープ画像処理回路
20 スコープ制御部
21 スコープ画像処理用メモリ
22 スコープ更新準備用メモリ
30 プロセッサ
31 絶縁回路
33 プロセッサ画像処理回路
40 制御部
41 プロセッサ画像処理用メモリ
42 プロセッサ更新準備用メモリ
50 モニタ
60 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、前記撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリと、揮発性のスコープ更新準備用メモリとを有するスコープと、
前記前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリと、揮発性のプロセッサ更新準備用メモリとを有するプロセッサとを備え、
前記スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前記前段の画像処理と前記後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、
前記スコープ更新準備用メモリは、前記スコープ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データが、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古い場合、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データを一時記録するために使用され、
前記プロセッサ更新準備用メモリは、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データが、前記スコープ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古い場合、前記スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、
前記スコープ更新準備用メモリに前記画像処理関連データが一時記録された場合は、前記スコープ画像処理用メモリの前記画像処理関連データが、前記スコープ更新準備用メモリに一時記録された前記画像処理関連データに書き換えられ、
前記プロセッサ更新準備用メモリに前記画像処理関連データが一時記録された場合は、前記プロセッサ画像処理用メモリの前記画像処理関連データが、前記プロセッサ更新準備用メモリに一時記録された前記画像処理関連データに書き換えられることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記スコープ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データが、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古いか否かの判断は、前記スコープと前記プロセッサとが接続された時であって、前記前段の画像処理や前記後段の画像処理が開始される前に行われることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
撮像素子と、前記撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリとを有するスコープと、
前記前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリと、揮発性のプロセッサ更新準備用メモリとを有するプロセッサとを備え、
前記スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前記前段の画像処理と前記後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、
前記プロセッサ更新準備用メモリは、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データが、前記スコープ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古い場合、前記スコープ画像処理用メモリに記録された画像処理関連データを一時記録するために使用され、
前記プロセッサ更新準備用メモリに前記画像処理関連データが一時記録された場合は、前記プロセッサ画像処理用メモリの前記画像処理関連データが、前記プロセッサ更新準備用メモリに一時記録された前記画像処理関連データに書き換えられることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項4】
撮像素子と、前記撮像素子からの画像信号に前段の画像処理を施すスコープ画像処理回路と、不揮発性のスコープ画像処理用メモリと、揮発性のスコープ更新準備用メモリとを有するスコープと、
前記前段の画像処理が施された画像信号について後段の画像処理を施すプロセッサ画像処理回路と、不揮発性のプロセッサ画像処理用メモリとを有するプロセッサとを備え、
前記スコープ画像処理用メモリ、及びプロセッサ画像処理用メモリは、前記前段の画像処理と前記後段の画像処理に使用されるパラメータまたはプログラムを含む画像処理関連データを記録し、
前記スコープ更新準備用メモリは、前記スコープ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データが、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データに比べて古い場合、前記プロセッサ画像処理用メモリに記録された前記画像処理関連データを一時記録するために使用され、
前記スコープ更新準備用メモリに前記画像処理関連データが一時記録された場合は、前記スコープ画像処理用メモリの前記画像処理関連データが、前記スコープ更新準備用メモリに一時記録された前記画像処理関連データに書き換えられることを特徴とする内視鏡システム。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−279060(P2009−279060A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131926(P2008−131926)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】