説明

内視鏡蛍光観察装置

【課題】 安価な装置構成で、十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察を行うことを可能とする内視鏡蛍光観察装置を提供する。
【解決手段】 十分な光量の蛍光を発する種類の蛋白質を発現させる遺伝子を含むベクタを処置具7により観察対象組織へ注入し、励起光透過フィルタ33を透過した励起光を観察対象組織へ照射し、観察像の蛍光成分を観察光透過フィルタ41を介して観察する。これにより、高感度の撮像装置等を導入することなく安価な構成で、十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察が行える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光を発する蛋白質を発現させる遺伝子を観察対象組織へ導入して蛍光観察を行う内視鏡蛍光観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば腫瘍や癌細胞等の病変部を観察するには、腫瘍や癌細胞等の病変部に集まり易く且つ励起光を照射することで蛍光を発する性質の薬剤を生体へ注入して蛍光観察を行う手法が用いられている。このような蛍光観察を行う蛍光観察装置として、例えば特願平9−109668号では、励起光を透過するフィルタを介して得られる励起光を内視鏡へ供給し、蛍光を発する薬剤が注入された生体の対象部位へ向けて内視鏡により励起光を照射して薬剤の蛍光による光学像を取得し、この蛍光を透過するフィルタを介して被写体像を観察することで、観察対象部位における病変部を特定する診断を行うための手段が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の技術で述べた蛍光を発する薬剤は、腫瘍や癌細胞等の種類や生体の固体差により蛍光の強さにバラツキがあり、蛍光が弱く腫瘍や癌細胞等の特定を確実に行えないことがあった。従来、この問題を改善するために、励起光を強くしても、確実な観察を行うための効果は得られなかった。また、微弱な蛍光を観察するために高感度の撮像装置を導入すると、装置が高価になるという問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安価な装置構成で、十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察を行うことを可能とする内視鏡蛍光観察装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、蛍光を発する蛋白質を発現させる遺伝子を観察対象組織へ導入する導入手段と、光源から発せられる照明光を前記観察対象組織へ照射し前記観察対象組織の観察像を得る内視鏡と、前記照明光の光路上に設けられ前記蛋白質を励起する波長を透過する第1の透過波長制限手段と、前記観察像の光路上に設けられ前記蛋白質から発せられる蛍光の波長を透過する第2の透過波長制限手段とを備えたことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡蛍光観察装置の構成を示す説明図、図2はpEGFPベクタの構成及び作用を示す説明図、図3はGFP及びEGFPのそれぞれの蛍光機能に関わるアミノ酸配列を示す説明図、図4はGFP及びEGFPのそれぞれの励起光及び蛍光の波長帯域の特性を示す説明図、図5は励起光透過フィルタ及び観察光透過フィルタのそれぞれの透過波長帯域の特性を示す説明図である。
【0006】図1に示すように、本実施の形態の内視鏡蛍光観察装置1は、体腔内等に挿入して観察対象組織の観察像を得る内視鏡2と、この内視鏡2に照明光を供給する光源装置3と、前記内視鏡2で得られる観察像を撮像して撮像信号を得る撮像装置4と、この撮像装置4で得られる撮像信号をモニタ表示可能な映像信号に変換するビデオプロセッサ5と、このビデオプロセッサ5で得られる映像信号を映し出すモニタ装置6と、蛍光を発する蛋白質を発現させる遺伝子を含む微生物であるpEGFPベクタを含む水溶液を観察対象部位へ注入する処置具7を有して構成されている。
【0007】前記内視鏡2は、体腔内等に挿入する細長の挿入部11と、この挿入部11の基端側に連設され、内視鏡2を把持し操作するための操作部12と、この操作部12の基端側に連設され、内視鏡2で得られる観察対象像を射出する接眼部13と、前記操作部12の例えば側部から延出し、前記光源装置3から照明光の供給を受けるためのライトガイドケーブル14と、このライトガイドケーブル14の端部に設けられ、前記光源装置3と着脱自在に接続するためのライトガイドコネクタ15と、前記ライトガイドケーブル14及び前記操作部12及び前記挿入部11内を挿通し、前記ライトガイドコネクタ15を介して光源装置3から得られる照明光を前記挿入部11の先端部11aまで導光するライトガイド16と、前記先端部11aに設けられ、前記ライトガイド16で導光された照明光を観察対象部位へ向けて配光する配光光学系17と、前記先端部11aに設けられ、観察対象部位の光学像を内視鏡2内へ導く対物光学系18と、前記挿入部11及び操作部12内を挿通し、前記対物光学系18で導かれた光学像を前記接眼部13まで導くイメージガイド19と、前記接眼部13に設けられ、前記イメージガイド19で導かれた光学像を射出する接眼光学系20と、前記操作部12に設けられ、前記処置具7を導入する処置具導入口21と、前記先端部11aに設けられ、前記処置具導入口21から導入される処置具7を導出する処置具導出口22と、前記操作部12及び前記挿入部11内を挿通し、前記処置具導入口21から導入される処置具7を前記処置具導出口22まで導く処置具挿通管路23を有して構成されている。
【0008】前記光源装置3は、照明光を発する光源ランプ31と、この光源ランプ31へ電力を供給する電源回路32と、照明光路上に設けられ、pEGFPベクタにより観察対象部位に発現する蛋白質を励起する波長を透過する励起光透過フィルタ33と、照明光を前記ライトガイド16の光入射端面へ集光する集光光学系34と、前記励起光透過フィルタ33を照明光路上に挿脱自在に挿入すべく前記励起光透過フィルタ33を移動させるモータ35と、光源装置3に対する操作指示を入力するための操作パネル36と、この操作パネル36の操作に応じて、少なくとも前記モータ35を駆動制御する制御回路37を有して構成されている。
【0009】前記撮像装置4は、前記内視鏡2の接眼部13から射出される観察光の前記蛋白質による蛍光の波長成分を透過する観察光透過フィルタ41と、観察光を結像する結像光学系42と、この結像光学系42で結像された観察像を撮像して撮像信号を得る撮像手段としてのCCD43を有して構成されている。
【0010】前記処置具7は、この処置具7の先端部に設けられた注射針51と、この処置具7の基端側に取り付けられ前記注射針51を介してpEGFPベクタを観察対象組織へ注入するためのシリンジ52を有して構成されている。
【0011】図2に示すように、pEGFPベクタは、蛍光を発するEGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein)と呼ばれる蛋白質を観察対象組織のホスト細胞に発現させるEGFP遺伝子と呼ばれる遺伝子を含んでいる。このpEGFPベクタは、安定して遺伝子をホスト細胞へ導入することが可能であり、米国クローンテック社より製品として供給されている。
【0012】前記EGFPは、野生に存在するオワンクラゲに含まれる蛍光を発するGFP(Green Fluorescent Protein)と呼ばれる238アミノ酸で構成される蛋白質の蛍光を発する強度を増加させるべく遺伝子操作により生成したものである。図3R>3(A)及び図3(B)は、それぞれ前記GFP及び前記EGFPの蛍光機能に関わるアミノ酸配列の抜粋であり、EGFPは、(Green Fluorescent Protein)とGFPに含まれるSer(セリン)をThr(スレオニン)に組み替えることで、蛍光の強度が増加されている。
【0013】図4に示すように、前記EGFPは、天然のGFPに比して、強い蛍光を発する特性を有している。このEGFPは、ピークの波長が488nmの励起光に励起され、ピークの波長が510nmの蛍光を発する特性を有している。
【0014】図5に示すように、前記励起光透過フィルタ33は、450〜500nm付近の波長の光を透過させるように構成されており、前記EGFPの励起感度がピークとなる488nm付近の波長帯域を透過するようになっている。なお、この励起光透過フィルタ33により前記EGFPの励起光の波長帯域以外の波長が減衰することで、生体細胞が別の波長により励起されることが防止される。観察光透過フィルタ41は、励起光の波長帯域及びそれ以下の波長の光を減衰するように構成されている。これにより、観察対象組織からの反射光や散乱光が観察光から取り除かれ、蛍光のみを抽出できるようになっている。
【0015】次に、本実施の形態の作用を説明する。先ず、経内視鏡的に遺伝子導入を行う組織を特定し、処置具7を処置具挿通管路23へ挿入し、シリンジ52により、pEGFPベクタを含む水溶液を観察対象組織へ注入する。すると、観察対象組織のホスト細胞にEGFP遺伝子が導入され、このホスト細胞は、組み込まれたEGFP遺伝子の塩基配列に従って、EGFPの生成を開始する。
【0016】そして、EGFPが発現する時期になったら、操作パネル36によりモータ35を操作して、励起光透過フィルタ33を照明光路に挿入する。すると、内視鏡2から観察対象組織へ向けて励起光が照射され、励起光が照射されたEGFPが酸化されて発色団が形成され、このEGFPの発色団が励起され、EGFPから蛍光が発せられる。このとき、EGFPは、細胞内の局在性を示さないので、細胞全体からEGFPによる蛍光が発せられる。この蛍光による観察像は、対物光学系18と、イメージガイド19と、接眼光学系20を介して、内視鏡2から射出する。この内視鏡2から射出された観察像は、観察光透過フィルタ41により、蛍光成分が抽出され、結像光学系42により、CCD43の撮像面に結像する。これにより、蛍光による被写体像が、モニタ装置6に表示される。
【0017】このとき、蛍光を発している部位は、内視鏡2による観察部位全体内の小さい領域である場合が多く、蛍光を発している部位が観察部位全体の何処に位置するのか分からないことがある。このような場合には、励起光透過フィルタ33を照明光路中から退避させ、観察光透過フィルタ41の透過波長を含む可視光を観察対象組織へ向けて照射することにより、観察部位全体を観察することができる。
【0018】なお、観察対象組織は、ヒトや動物の組織や細胞に限らず、他の生物の組織や細胞であってもよい。
【0019】以上説明したように、本実施の形態によれば、内視鏡的操作により観察対象組織にEGFP遺伝子を導入し、EGFPを発現させることで、EGFPから発せられる十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察を行うことができる。また、高感度の撮像装置等を導入することなく、安価な構成の内視鏡蛍光観察装置1により、確実な蛍光観察を行うことができる。従って、本実施の形態によれば、安価な装置構成で、十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察が行えるという効果を得ることができる。
(第1の実施の形態の変形例)次に、前記第1の実施の形態の変形例を説明する。なお、本変形例では、前記第1の実施の形態と異なる点を説明する。本変形例では、前記第1の実施の形態で用いたpEGFPベクタの代わりに、以下に説明するベクタを用いる。本変形例で用いるベクタは、変性低密度リポ蛋白質受容体を発現させるベクタに、前記第1の実施の形態で述べたEGFP遺伝子を組み入れて構成したものである。この変性低密度リポ蛋白質受容体を発現させるベクタは、哺乳類や、微生物や、酵母や、バクテリオファージ或いはウイルス遺伝子由来の調節要素に使用可能な状態に連結された哺乳類の変性低密度リポ蛋白質受容体或いは生物学的にこれと等価な類似物をコードする合成DNA(デオキシリボ核酸)或いはcDNA(二本鎖DNA)を介して生成されたDNA断片で構成される。
【0020】次に、本変形例の作用を説明する。なお、本変形例では、前記第1の実施の形態と異なる点を説明する。本変形例のベクタは、適当な細胞系列への形質転換、形質導入或いは感染によって、変性低密度リポ蛋白質受容体及びEGFPの発現を誘導する。すると、例えば哺乳類の変性低密度リポ蛋白質受容体及びEGFPが、適当なプロモーターの調節の下、哺乳類細胞や、酵母や、細菌或いはその他の細胞中で発現する。これにより、変性低密度リポ蛋白質受容体が生産される組織を蛍光観察することができる。
【0021】なお、特開平9−98787号によれば、細菌や、真菌や、酵母及び哺乳類細胞宿主に用いるための適当なクローニング及び発現ベクタは、ポウエル(Pouwl)ら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,エルスビュー社、ニューヨーク州、(1985))によって述べられている。
【0022】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と異なる点を説明する◎本実施の形態では、前記第1の実施の形態のpEGFPベクタを用いる代わりに、後述する抗腫瘍抗体にEGFP遺伝子を導入した融合抗体を用いる。文献1「抗体の生物分子学」(愛知医科大学 吉川和宏他、脳神経外科1998年9月号)によれば、アイソトープや、細胞毒素や、或いは治療用遺伝子の運搬手段として使用可能で、直接腫瘍内で発現させることで増殖因子受容体分子の発現を抑止する抗腫瘍抗体について記述されている。この抗腫瘍抗体は、腫瘍のミサイル療法への臨床応用の可能性が検討されており、腫瘍単鎖抗体の組替え抗体により一層現実的となってきつつある。この抗腫瘍抗体は、腫瘍に集積性がある抗体であることが確認されている。
【0023】また、文献1によれば、遺伝子操作技術により、異なる機能を持つ蛋白質を1つの分子として作り出すことが可能であり、抗体に様々な機能を持たせることができる。そこで、本実施の形態では、EGFPを細胞或いは生体組織に発現させるべく、遺伝子組替え技術により抗腫瘍抗体にEGFP遺伝子を導入した融合抗体を生成し、この融合抗体を使用する。
【0024】次に、本実施の形態の作用を説明する。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と異なる点を説明する。例えば、切除した腫瘍を経内視鏡的に経過観察する際、腫瘍切除後にその近傍組織に、EGFP遺伝子が導入された抗腫瘍抗体を注入或いは散布する。抗腫瘍抗体が注入或いは散布された組織に腫瘍があると、抗腫瘍抗体はその腫瘍に対して抗体として作用し、腫瘍のある部位に蓄積される。そして、抗腫瘍抗体の蓄積された部位において、EGFP遺伝子が細胞に組み込まれ、細胞分裂により新しい細胞が生成されると、その部位にEGFPが発現する。これにより、腫瘍細胞から蛍光が発せられるので、腫瘍細胞を蛍光観察することができ、内視鏡下で腫瘍細胞の経過観察を行うことができる。なお、観察対象部位は、内視鏡下で観察可能な生体の胃や、腸や、膀胱等の体腔であれば、いずれの部位であってもよい。また、使用する抗腫瘍抗体は、モノクロナール抗体を含む。また、使用する抗腫瘍抗体は、モノクロナール抗体に限らず、EGFP遺伝子を腫瘍細胞へ導入してEGFPを発現できるベクタとなるものであれば何でもよい。
【0025】以上説明した本実施の形態によれば、第1の実施の形態で述べた効果以外に次の効果を得ることができる。本実施の形態によれば、腫瘍に集積性のあるモノクロナール抗体等の抗腫瘍抗体にEGFP遺伝子を導入した融合抗体を観察対象組織に注入或いは散布して使用することで、蛍光観察により腫瘍や癌細胞を発見したり、経過観察し易くなる。
【0026】なお、本発明は、上述の実施の形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0027】[付記]
(付記項1)蛍光を発する蛋白質を発現させる遺伝子を観察対象組織へ導入する導入手段と、光源から発せられる照明光を前記観察対象組織へ照射し前記観察対象組織の観察像を得る内視鏡と、前記照明光の光路上に設けられ前記蛋白質を励起する波長を透過する第1の透過波長制限手段と、前記観察像の光路上に設けられ前記蛋白質から発せられる蛍光の波長を透過する第2の透過波長制限手段とを備えたことを特徴とする内視鏡蛍光観察装置。
【0028】(付記項2)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記蛋白質は、オワンクラゲに含まれる蛍光を発する蛋白質のアミノ酸配列を蛍光を強めるべく組み替えた蛋白質を含む。
【0029】(付記項3)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記遺伝子は、オワンクラゲに含まれる遺伝子を遺伝子操作により組み替えた遺伝子を含む。
【0030】(付記項4)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記蛋白質は、励起光によって酸化されることで蛍光する。
【0031】(付記項5)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記導入手段は、前記遺伝子が組み込まれた微生物を含む。
【0032】(付記項6)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記導入手段は、前記遺伝子を前記観察対象組織の細胞に導入させることで前記細胞に前記蛋白質を発現させるベクタである。
【0033】(付記項7)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記遺伝子は、遺伝子組み替えにより生成される。
【0034】(付記項8)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記導入手段は、抗腫瘍抗体と前記遺伝子を結合させた融合抗体を含む。
【0035】(付記項9)付記項8に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記抗腫瘍抗体は、モノクロナール抗体を含む。
【0036】(付記項10)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記励起する波長は、略488nmを含む。
【0037】(付記項11)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記蛍光の波長は、略510nmを含む。
【0038】(付記項12)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第1の透過波長制限手段は、波長が略488nmの光を少なくとも透過する。
【0039】(付記項13)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第2の透過波長制限手段は、波長が略510nmの光を少なくとも透過する。
【0040】(付記項14)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第2の透過波長制限手段は、前記第1の透過波長制限手段が透過する波長の光を少なくとも減衰する。
【0041】(付記項15)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第2の透過波長制限手段は、略500nm以下の波長の光を減衰する。
【0042】(付記項16)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第2の透過波長制限手段は、前記蛍光の波長より短い波長の光を減衰する。
【0043】(付記項17)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記導入手段は、前記遺伝子を前記観察対象組織へ導く処置具を含む。
【0044】(付記項18)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記導入手段を前記観察対象組織へ導く処置具を備えた。
【0045】(付記項19)付記項1に記載の内視鏡蛍光観察装置であって、前記第1の透過波長制限手段を前記照明光の光路上に自在に挿入する手段を備えた。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、安価な装置構成で、十分な光量の蛍光による確実な蛍光観察が行えるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡蛍光観察装置の構成を示す説明図
【図2】pEGFPベクタの構成及び作用を示す説明図
【図3】GFP及びEGFPのそれぞれの蛍光機能に関わるアミノ酸配列を示す説明図
【図4】GFP及びEGFPのそれぞれの励起光及び蛍光の波長帯域の特性を示す説明図
【図5】励起光透過フィルタ及び観察光透過フィルタのそれぞれの透過波長帯域の特性を示す説明図
【符号の説明】
1…内視鏡蛍光観察装置
2…内視鏡
3…光源装置
4…撮像装置
7…処置具
33…励起光透過フィルタ
41…観察光透過フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】蛍光を発する蛋白質を発現させる遺伝子を観察対象組織へ導入する導入手段と、光源から発せられる照明光を前記観察対象組織へ照射し前記観察対象組織の観察像を得る内視鏡と、前記照明光の光路上に設けられ前記蛋白質を励起する波長を透過する第1の透過波長制限手段と、前記観察像の光路上に設けられ前記蛋白質から発せられる蛍光の波長を透過する第2の透過波長制限手段とを備えたことを特徴とする内視鏡蛍光観察装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−300509(P2000−300509A)
【公開日】平成12年10月31日(2000.10.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−111235
【出願日】平成11年4月19日(1999.4.19)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】