説明

内視鏡装置及びこれを用いた撮影方法

内視鏡装置の先端部(10)には、方向の異なる光軸Lを有する3つの対物レンズ(11)が設置されている。この対物レンズ(11)は、光軸Lを中心とする所定の視野角θを有している。各対物レンズ(11)は、それぞれの視野の周辺部が隣接する他の対物レンズ(11)の視野の周辺部と重複するように配置される。そのため、3つの対物レンズ(11)によって、先端部(10)は、全体として、対物レンズ(11)の視野角θよりも広範囲にわたるとぎれのない視野角φを有する。この視野角φにてとらえられた被検部位の各光学像が撮像素子にて撮像される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用または産業用に用いられる内視鏡装置およびこれを用いた撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、細長な挿入部を体腔内(管腔部)に挿入し、体腔内を撮影する医療用の内視鏡が広く利用されている。
【0003】
この内視鏡は、例えば、図7に示すように、挿入部100の先端に対物レンズ110が配置されている。対物レンズ110は、長軸方向に光軸Lが定められ、この光軸Lを中心とする所定の視野角θ(例えば、140度程度)にて、前方の被検部位(観察部位)をとらえる。そして、対物レンズがとらえた被検部位の光学像は、図示しない内部に配置されたレンズ機構(リレー光学系等)を介してCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子上に結像される。
【0004】
すなわち、図7に示すような挿入部100が体腔内に挿入されると、内視鏡は、挿入部100の前方の被検部位を撮影することができる。
挿入部100には、湾曲駒が連結されてなる湾曲自在な湾曲部と、この湾曲部に隣接した可撓性を有する柔軟な可撓管部とが設けられている。これらにより、挿入部100は、所定の屈曲半径にて屈曲自在に形成されている。
【0005】
特許文献1に開示されるように、観察者による操作(例えば、図示しない手元操作部の操作)によって、挿入部100を任意の向きに屈曲し、その視野方向を適宜変化させることができる。
【0006】
このような内視鏡は、医療用だけでなく、工業用にも使用される。例えば、内視鏡は、プラント設備の配管内や機械内部等を撮影することができるため、非破壊検査等に利用されている。
【0007】
上述したように、この内視鏡は、屈曲自在に形成されている。そのため、屈曲半径より大きい内径を有する管腔部(例えば、食道や胃)に挿入された場合には、挿入部100を屈曲させることにより、対物レンズの視野角の範囲内で、管腔部を撮影することができる。
【0008】
しかしながら、挿入部100が、その屈曲半径より小さい内径を有する管腔部に挿入された場合には、挿入部100を屈曲させることが困難である。そのため、図8に示すように、内視鏡は、視野角θにて対物レンズの前方の部位しか撮影できない。すなわち、管腔部の内壁がひだ形状等を有する場合に、視野角が狭いため、撮影されない部位(例えば、ひだの奥や裏側等)が生じるという問題があった。
【0009】
挿入部100が屈曲可能な場合であっても、挿入部100の周囲を視野角θよりも広い範囲(例えば、全周360度)に渡って撮影するためには、観察者が挿入部100を適宜屈曲させる必要があった。観察者は、手元操作部(操作ノブ等)を適切に操作しなければならない。
【0010】
しかしながら、この操作は、煩雑であるだけでなく、ある程度の熟練を必要とする。
また、熟練した観察者であっても、広範囲に渡り撮影することはできるが、所定の距離以上離れた部位を同時に撮影することはできない。すなわち、相互になす角度が対物レンズ110の視野角より大きい2つの部位を撮影するためには、撮影タイミングをずらせることが必要である。
【0011】
そのため、従来の内視鏡では、所定の角度以上に離れた2つの部位を同時に撮影して、その独立した動きの様子や、一方の動きが他方の動きに影響する様子を描写することができないという問題があった。つまり、従来の内視鏡では、観察者の要求を満たす撮影を行うことができなかった。
【特許文献1】特開平5−15484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、広範囲に渡る撮影を適切に行うことのできる内視鏡装置および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る内視鏡装置は、
細長な挿入部を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部には、
所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された複数の対物光学手段と、
前記対物光学手段のそれぞれに入射した光束を伝達する伝達光学手段と、
前記伝達光学手段により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像手段と、が配置されてなる、
ことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、複数の対物光学手段は、それぞれ、所定の視野角θ(例えば、140度程度)を有し、異なる視野方向に向けて設置される。伝達光学手段は、例えば、プリズムやリレーレンズ等からなり、対物光学手段のそれぞれに入射した光束を伝達する。撮像手段は、例えば、CCD等からなり、伝達光学手段により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する。
この結果、広範囲に渡る撮影を行うことができる。
【0015】
前記各対物光学手段は、それぞれの視野の周縁部が他の視野の周縁部と重複するように配置され、
前記撮像手段は、各対物光学手段の視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角φ(例えば、240度程度)にて捕捉された光束の光学像を撮像してもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る内視鏡装置は、
細長な挿入部を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部には、
所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された3つ以上の対物レンズと、
前記対物レンズのそれぞれに入射した光束を伝達する伝達光学系と、
前記伝達光学系により伝達された光束が3つ以上の領域にて結像された各光学像を撮像する撮像素子と、が配置されてなる、
ことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、3つ以上の対物レンズは、それぞれ所定の視野角θ(例えば、140度程度)を有し、異なる視野方向に向けて設置される。伝達光学系は、例えば、プリスムやリレーレンズ等からなり、各対物レンズのそれぞれに入射した光束を伝達する。撮像素子は、例えば、CCDからなり、伝達光学系により伝達された光束が3つ以上の領域にて結像された各光学像を撮像する。
この結果、広範囲に渡る撮影を適切に行うことができる。
【0018】
前記各対物レンズは、それぞれの視野の周縁部が隣接する他の視野の周縁部と重複するように配置され、
前記撮像素子は、各対物レンズの視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角φ(例えば、240度程度)にて捕捉された光束の光学像を、3つの領域にて撮像してもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る撮影方法は、
細長な挿入部を備えた内視鏡装置による撮影方法であって、
挿入部には、所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された複数の対物光学系と、各対物光学系に入射した光束を伝達する伝達光学系と、伝達光学系により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像素子と、が配置されており、
各対物光学系にて、隣接する他の対物光学系の視野とその一部が重複するそれぞれの視野にて被検部位をとらえ、
撮像素子にて、各対物光学系の視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角にて捕捉された被検部位の光学像を同時に撮像する、
ことを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、各対物光学系にて、隣接する他の対物光学系の視野とその一部が重複するそれぞれの視野にて被検部位をとらえ、撮像素子にて、各対物光学系の視野角θよりも広範囲にわたるとぎれのない視野角φの範囲内の光束が結像された各光学像を同時に撮像する。
この結果、広範囲に渡る撮影を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、広範囲に渡る撮影を適切に行うことのできる内視鏡装置および撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る内視鏡装置の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の内視鏡装置の先端部の正面図である。 (b)は、図1の内視鏡装置の先端部の側面図である。 (c)は、図1の内視鏡装置の先端部の斜視図である。
【図3】(a)は、対物レンズの視野角θを説明するための模式図である。 (b)は、先端部全体の視野角φを説明するための模式図である。
【図4】先端部の内部構造を説明するための一部断面図である。
【図5】内視鏡装置による管腔部の撮影を説明するための模式図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る先端部の内部構造を説明するための一部断面図である。
【図7】従来の内視鏡の先端部を説明するための模式図である。
【図8】従来の内視鏡による撮影の様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0023】
1 挿入部
2 操作部
10 先端部
11 対物レンズ
12 プリズム
13 プリスム
14 リレーレンズ
15 撮像素子
20 湾曲部
30 可撓管部
40 操作ノブ
50 ケーブル
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態にかかる内視鏡装置について、以下図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、この発明の実施の形態に適用される内視鏡装置の外観を示す斜視図である。図示するように、この内視鏡装置は、細長で可撓性を有する挿入部1と、操作部2とを含んで構成される。
【0026】
挿入部1は、複数の光学系が配置された先端部10と、湾曲駒が連結されてなる湾曲自在な湾曲部20と、この湾曲部20に隣接した可撓性を有する柔軟な可撓管部30とから構成されている。
【0027】
操作部2は、操作ノブ40と、ケーブル50とから構成される。
【0028】
操作ノブ40は、周知の駆動機構により湾曲部20と接続されており、操作ノブ40の回転(回動)に応じて、湾曲部20を任意の方向に湾曲させることが可能になっている。
【0029】
ケーブル50は、図示しない画像処理装置や光源装置等と着脱自在に接続されている。ケーブル50は、先端部10(後述する撮像素子が配置されている)にて撮影された全周囲に渡る光学像による映像情報を、画像処理装置に供給する。
【0030】
次に、先端部10について、図2等を参照して説明する。図2Aは、先端部10の正面図であり、図2Bは、先端部10の側面図であり、そして、図2Cは、先端部10の斜視図である。
【0031】
図2A乃至図2Cに示すように、先端部10は、先端10aが略円錐台に形成され、その斜面に3つの対物レンズ11が等間隔で配置されている。各対物レンズは、先端10aの斜面に埋設され、それぞれが異なる方向の光軸L1〜L3を有するように、配置されている。
【0032】
対物レンズ11は、図3Aに示すように、光軸L(L1〜L3)を中心とする所定の視野角θ(例えば、略140度)を有する。
ここで、各対物レンズ11の視野は、図3Bに示すように、それぞれの周辺部が他の視野の周辺部と重複するように定められる。3つの対物レンズの視野を合成することにより、先端部10は、全体としてとぎれのない広範囲に渡る視野角φ(180度を超える角度、例えば、略240度)を有する。
【0033】
先端部10の内部構造について、図4を参照して説明する。図4は、先端部10の一部断面図である。図4には、1つの対物レンズ11及びこれに対して配置される光学系の断面が示されているが、残りの2つの対物レンズ及びこれに対して配置される光学系も、同様の断面構成を有する。
図示するように、先端部10内には、対物レンズ11と、プリズム12,13と、リレーレンズ14と、撮像素子15とが設置されている。
【0034】
対物レンズ11は、上述したように、光軸Lを中心とする所定の視野角(例えば、略140度)にて、図示しない照明用プローブにより照明光が照射された前方の被検部位(観察部位)をとらえる。そして、各対物レンズ11は、入射した被検部位の反射光の光束をプリズム12,13に供給する。
【0035】
プリズム12,13は、対物レンズ11に入射した光束を、後段のリレーレンズ14を介して撮像素子15上に結像させるために、それぞれ所定の角度で屈折させる。
【0036】
リレーレンズ14は、複数のレンズ群からなり、プリズム12,13により屈折された光束を入射し、撮像素子15の撮像面上に被検部位の光学像を結像させる。
【0037】
撮像素子15は、格子状のカラーフィルタが前面に配置されたCCD(Charge Coupled Device)等からなり、リレーレンズ14を介して供給され、撮像面に結像された光学像を電気信号に光電変換する。
撮像素子15は、撮像面が3つの領域に分けられており、それぞれの領域に、異なる対物レンズ11(対物光学系)に入射した光束が結像される。
【0038】
撮像素子15は、電気信号に光電変換した各光学像の映像信号を、図示しない信号線を介して、操作部2のケーブル50に接続された画像処理装置に供給する。
【0039】
以下、この発明の実施の形態にかかる内視鏡装置の動作について説明する。
ここでは、図5に示すように、内視鏡装置の挿入部1(先端部10)が、比較的狭い管腔部に挿入された場合について説明する。
【0040】
管腔部に挿入された先端部10は、操作ノブ40の操作に応じて適宜回動される。その結果、先端部10は、3つの対物レンズ11により、視野角φ(例えば、240度程度)にて、対物レンズの視野角θよりも広範囲に渡る被検部位(観察部位)をとらえる。
【0041】
上述したように、図4を参照して、各対物レンズ11に入射した光束は、プリズム12,13により屈折され、リレーレンズ14を介して撮像素子15の撮像面の3つの領域に結像される。
すなわち、異なる対物レンズ11に入射した被検部位の光学像を表す光束が、撮像素子15における撮像面の3つの領域に、それぞれ結像される。
【0042】
撮像素子15は、結像された各光学像を電気信号に変換し、変換された各光学像の映像信号を、図示しない信号線とケーブル50とを介して、画像処理装置に供給する。
【0043】
そして、画像処理装置は、映像信号を取得すると、これに所定の画像処理を施し、各対物レンズ11にてとらえた被検部位を、それぞれの部位に対応する複数の映像にて同時に表示する。つまり、画像処理装置は、3つの対物レンズ11がそれぞれとらえた被検部位の映像をリアルタイムに、しかも同時に表示する。
【0044】
このように、1つの対物レンズ11の視野角θより離れた2つの被検部位であっても、同時に撮影することができる。
したがって、先端部10を屈曲させることなく、図5に示すように、管腔部の内壁がひだ形状であっても、ひだの奥や裏側も捕捉することができる。
また、視野角θより離れた2つの部位のそれぞれの動きの様子や、一方の動きが他方の動きに影響を及ぼす様子を、同時に撮影することが可能となり、観察者の要求を満たす撮影を行うことができる。
【0045】
上記の実施の形態では、3つの光学系に入射した光束を1つの撮像素子の領域を区分された撮像面上に結像させる場合について説明したが、撮像素子15の数は、1つには限定されない。
【0046】
例えば、対物レンズと同数の撮像素子15が配置されてもよい。この場合、各対物レンズの向き(配置された方位)に合わせて各撮像素子15を配置することにより、プリズム12,13を省略することが可能となる。
すなわち、図6に示すように、対物レンズ11の向きに合わせて撮像装置15を配置する。つまり、撮像装置15の撮像面は対物レンズ11の光軸Lと直交するように配置される。図6には、1つの対物レンズ11及びこれに対して配置されるリレーレンズ14及び撮像素子15の断面のみが示されている。他の対物レンズに対しても、これに対応するリレーレンズ及び撮像素子が同軸に配置される。
【0047】
このような配置の場合には、対物レンズ11に入射した光束は、直進してリレーレンズ14を介して撮像素子15上に結像される。つまり、光束を屈折させる必要がないため、プリズム12,13を省略することができる。
【0048】
上記の実施の形態では、内視鏡装置にて撮像された3つの被検部位の画像を、画像処理装置にて、それぞれ同時に表示する場合について説明した。しかし、撮像素子15と画像処理装置との間に画像選択手段を配置することにより、撮像素子15にて撮像される複数の被検部位の光学像の中から選択された光学像の映像信号を、画像処理装置に出力するようにしてもよい。
【0049】
さらに、画像処理装置は、撮像素子15から取得した各光学像の映像信号に基づいて画像処理して、3次元パノラマ画像を生成するようにしてもよい。
【0050】
つまり、図3Bに示すように、各対物レンズ11の視野の周辺部が、隣接する他の周辺部と重複しているため、先端部10は、とぎれのない広範囲に渡る視野角φ(例えば、略240度)を有する。そのため、画像処理装置は、取得した各光学像に基づいて、広範囲にわたる被検部位の画像が展開された3次元パノラマ画像を生成することが可能となる。この3次元パノラマ画像は、データ量が相対的に小さいので、電子カルテ等に容易に適用可能である。さらに、保存された3次元パノラマ画像を再生することにより、例えば各光学像を立体的に結像させて生成される立体視画像と同様に臨場感のある詳細な内視鏡映像が再現される。
なお、3次元パノラマ画像の生成は、画像処理装置ではなく、撮像素子15が備える回路基板により実現するようにしてもよい。
【0051】
上記の実施の形態では、先端部10に、3つの光学系(3つの対物レンズ11と、各対物レンズ11に対応するプリズム12,13及びリレーレンズ14)が配置される場合について説明した。しかし、これらの光学系の数は2つ以上であればよく、3つには限定されない。
【0052】
視野角が広い対物レンズを使用する場合には、例えば光学系の数が2つであっても、それぞれの対物レンズの視野は、その一部が重複して、とぎれがない広角の視野を確保することができる。
他方、視野角が狭い対物レンズを使用する場合には、互いに隣接する視野の重複部分を確保するために、例えば光学系の数を4つ以上に増加させて、先端部に配置すればよい。
【0053】
上記の実施の形態では、先端部10内に、撮像素子15が配置される場合について説明したが、操作部2内に撮像素子が配置されてもよい。対物レンズ11に入射した光束は、例えば光ファイバーケーブルを通じて光信号に変換されて伝達され、図示しない復調部により復調される。復調された光信号が操作部2内の撮像素子に供給されて、撮像素子の撮像面上に被検部位の光学像として結像される。
この場合、先端部10の小型化を図ることができる。
【0054】
上記実施の形態では、理解を容易にするために、先端部10内に、撮影に必要な最低限の構成部品が配置される場合について説明したが、例えば照明光を照射する構成部品等が先端部10内に配置されてもよい。この場合、先端10aまたはその近傍に被検部位に照明光を照射するための照明レンズが配置される。照明光は、ケーブル50に接続された図示しない光源装置から供給された照明光を光ファイバー等を介して、照明レンズに伝達される。なお、複数の照明レンズが、対物レンズ11に対応するように、配置されてもよい。
この場合、撮影時に、照明用のプローブ等が不要となる。
【0055】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者により上記の実施の形態に種々の改良等が加えられるであろう。上記の実施の形態は、図解目的であり、本発明の範囲を限定するものではない。従って、本発明の範囲は、上記記載を参照するのではなく、下記のクレームが権利を与えられる均等の全範囲に沿って決定されるべきである。
【0056】
本出願は、日本国特許出願特願2003−385205、2003年11月14日受理を基礎とするものであり、その明細書、請求の範囲、図面及び要約書の内容を含む。この出願の全ての内容は、ここで、援用される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、広範囲に渡る撮影を適切に行うことができる内視鏡装置等を提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長な挿入部(10)を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部(10)には、
所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された複数の対物光学手段(11)と、
前記各対物光学手段(11)のそれぞれに入射した光束を伝達する伝達光学手段(12,13,14)と、
前記伝達光学手段(12,13,14)により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像手段(15)と、が配置されてなる、
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記各対物光学手段(11)は、それぞれの視野の周縁部が隣接する他の対物光学手段(11)の視野の周縁部と重複するように配置され、
前記撮像手段(15)は、各対物光学手段(11)の視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角にて捕捉された光束の光学像を撮像する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
細長な挿入部(10)を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部(10)には、
所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された3つ以上の対物レンズ(11)と、
前記各対物レンズ(11)のそれぞれに入射した光束を伝達する伝達光学系(12,13,14)と、
前記伝達光学系(12,13,14)により伝達された光束が3つ以上の領域にて結像された各光学像を撮像する撮像素子(15)と、が配置されてなる、
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
前記各対物レンズ(11)は、それぞれの視野の周縁部が隣接する他の対物レンズ(11)の視野の周縁部と重複するように配置され、
前記撮像素子(15)は、少なくとも3つの領域にて、各対物レンズ(11)の視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角にて捕捉された光束の光学像を撮像する、
ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
細長な挿入部(10)と該挿入部(10)に接続された操作部(2)とを備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部(10)に配置される、
所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された複数の対物光学手段(11)と、
前記各対物光学手段(11)のそれぞれに入射した光束を伝達する伝達光学手段(12,13,14)と、
前記挿入部(10)と前記操作部(2)との間で前記伝達光学手段(12,13,14)により伝達された光束を撮像手段に伝搬する光伝搬手段と、
前記操作部(2)に配置され、前記伝達光学手段(12,13,14)により伝達され、前記光伝搬手段により伝搬された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像手段(15)と、を備えてなる、
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
細長な挿入部(10)を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部(10)には、
所定の視野角を有し、視野方向が異なるように設置された複数の対物光学手段(11)と、
異なる光軸を有し、該光軸に沿って、前記各対物光学手段(11)に入射した各光束をそれぞれ伝達する伝達光学手段(12,13,14)と、
前記伝達光学手段(12,13,14)により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像手段(15)と、が配置されてなる、
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
前記撮像手段(15)にて撮像された光学像の一部を選択するための画像選択手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記撮像手段(15)にて結像された各光学像を合成して、3次元パノラマ画像を生成する3次元画像生成手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
細長な挿入部(10)を備えた内視鏡装置であって、
前記挿入部(10)には、
被検部位に所定の光源装置から供給される光線を照射する照明手段と、
異なる視野方向に向けて設置され、所定の視野角にて、前記照明手段により照射された光線の反射光を受光する複数の対物光学手段(11)と、
前記各対物光学手段(11)に入射した光束を伝達する伝達光学手段(12,13,14)と、
前記伝達光学手段(12,13,14)により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像手段(15)と、が配置されてなる、
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
細長な挿入部(10)を備えた内視鏡装置による撮影方法であって、
挿入部(10)には、所定の視野角を有し、異なる視野方向に向けて設置された複数の対物光学系(11)と、各対物光学系(11)に入射した光束を伝達する伝達光学系(12,13,14)と、伝達光学系(12,13,14)により伝達された光束が結像されてなる各光学像を撮像する撮像素子(15)と、が配置されており、
各対物光学系(11)にて、隣接する他の対物光学系(11)の視野とその一部が重複するそれぞれの視野にて被検部位をとらえ、
撮像素子(15)にて、各対物光学系の視野角よりも広範囲にわたるとぎれのない視野角にて捕捉された被検部位の光学像を同時に撮像する、
ことを特徴とする撮影方法。
【請求項11】
内視鏡装置と該内視鏡装置に光学的に接続された撮像装置とによる撮影方法であって、
異なる視野方向に向けて設置され、所定の視野角にて照明光線が照射された被検部位の反射光を受光する複数の対物光学系(11)と、各対物光学系(11)に入射した光束を伝達する伝達光学系(12,13,14)と、が配置された内視鏡装置を用意し、
各対物光学系(11)にて、隣接する他の対物光学系(11)の視野とその一部が重複するそれぞれの視野にて被検部位をとらえ、
撮像装置(15)にて、内視鏡装置から伝搬される伝達光学系(12,13,14)により伝達された光束が結像されてなる被検部位の光学像の光信号を受信し、該光信号を復調して被検部位の光学像を撮像する、
ことを特徴とする撮影方法。
【請求項12】
細長な挿入部(10)と該挿入部に接続部を介して接続された操作部(2)とを備えた内視鏡装置による撮影方法であって、
挿入部(10)には、所定の視野角を有し異なる視野方向に向けて設置された対物光学系(11)と、各対物光学系(11)に入射した光束を伝達する伝達光学系(12,13,14)と、が配置されており、
接続部には、伝達光学系(12,13,14)により伝達された光束を光信号に変換して伝搬する光伝搬手段が配置されており、
操作部(2)には、光伝搬手段により伝搬された光信号を復調する復調手段と、復調手段により復調された光信号を受信し、該光信号に基づく光学像を撮像素子(15)が配置されており、
各対物光学系(11)にて、隣接する他の対物光学系(11)の視野とその一部が重複するそれぞれの視野にて被検部位をとらえ、
撮像素子(15)にて、伝達光学系(12,13,14)により伝達された光束の復調された光信号に基づいて、被検部位の光学像を撮像する、
ことを特徴とする撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/046462
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515433(P2005−515433)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016665
【国際出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(502131730)株式会社アプリコット (3)
【Fターム(参考)】