説明

内視鏡装置

【課題】使い勝手のよさと接地の確実性とが両立された内視鏡装置を提供する。
【解決手段】本発明の内視鏡装置1は、先端部に撮像機構を有し、湾曲可能な長尺の挿入部10と、撮像機構で取得された画像を表示する表示部40と、挿入部の湾曲操作を行う操作部20と、表示部および操作部が収容され、かつ挿入部が接続された筐体61と、筐体に取り付けられたバッテリー62と、筐体に電気的に接続されたアース部70とを備え、アース部は、筐体に接続されるリード部71と、リード部に接続される接地部72とを有し、自身の長手方向中心よりも接地部側の領域の重量が、残りの領域の重量よりも重いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置、より詳しくは、爆発の可能性のある環境下でも安全に使用できる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺な挿入部の先端部に撮像機構を備えた内視鏡装置は、細長いアクセス経路の先にある被検物の観察や、被検物の内部観察等に広く用いられている。
近年、内視鏡装置は、エンジンのタービンや燃料タンク内の観察等にも用いられるようになっており、防爆処理が適切に施された内視鏡装置が求められている。
【0003】
爆発は、爆発性雰囲気とスパーク等の着火源とが同時に存在する環境下で発生する。したがって、使用者の動作により発生する静電気等に起因する火花等の発生を防ぎ、着火源の発生を好適に抑制することは、防爆処理の観点から重要である。
特許文献1には、操作部ハウジングを構成する複数の構成部品の外表面に、グランドと電気的に接続されるニッケルメッキを配することにより、操作部と作業者との間に電荷をためないようにし、帯電による感電や放電を抑えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−143821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内視鏡装置は、操作部と接続された装置本体を備えている。装置本体は、通常常に接地されているので、当該内視鏡装置に関しては接地の確保が比較的容易である。
しかしながら、近年の内視鏡装置の開発の方向性として、表示部と操作部とを同一の筐体に設けて一体化し、これを使用者が持ち運び可能にすることによりより使い勝手のよい内視鏡装置を構成するという方向性がある。この場合、装置本体がないために、表示部と操作部とを設けた筐体が、電気的にフローティングの状態になりやすいため、より確実に接地を行う必要がある。
したがって、単に筐体にアース線を接続するだけでは充分とは言いがたく、より接地を確実に行うことができる構造の内視鏡装置が求められている。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、使い勝手のよさと接地の確実性とが両立された内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡装置は、先端部に撮像機構を有し、湾曲可能な長尺の挿入部と、前記撮像機構で取得された画像を表示する表示部と、前記挿入部の湾曲操作を行う操作部と、前記表示部および前記操作部が収容され、かつ前記挿入部が接続された筐体と、前記筐体に取り付けられたバッテリーと、前記筐体に電気的に接続されたアース部とを備え、前記アース部は、前記筐体に接続されるリード部と、前記リード部に接続される接地部とを有し、自身の長手方向中心よりも前記接地部側の領域の重量が、残りの領域の重量よりも重いことを特徴とする。
【0008】
前記接地部は、前記リード部の径方向の断面積よりも大きい接触面を有してもよい。
前記接触面には、複数の突起が形成されてもよい。また、前記突起は、前記接触面に対して回転可能であってもよい。
【0009】
前記接地部は、導電性を有する弾性部材で形成されてもよい。
前記接地部は、内腔を有する本体と、前記本体から突出可能に前記内腔に配置された突出部とを有してもよい。
【0010】
前記リード部は、前記バッテリーのマイナス端子に接続されてもよい。
また、前記バッテリーにバリア回路が接続され、前記リード部が前記バリア回路に接続されてもよい。
本発明の内視鏡装置は、前記筐体の帯電量を計測する帯電センサをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内視鏡装置によれば、使い勝手のよさと接地の確実性とが両立された内視鏡装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態の内視鏡装置を示す図である。
【図2】使用者が同内視鏡装置を把持した状態を示す図である。
【図3】同内視鏡装置のアース部の使用時における一形態を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態の内視鏡装置におけるアース部の接地端部を示す図である。
【図5】本発明の第三実施形態の内視鏡装置におけるアース部の接地端部を示す図である。
【図6】同接地端部の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第四実施形態の内視鏡装置におけるアース部の接地端部を示す図である。
【図8】同接地端部の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第五実施形態の内視鏡装置におけるアース部の接地端部を示す図である。
【図10】本発明の変形例の内視鏡装置を示す機能ブロック図である。
【図11】本発明の変形例の内視鏡装置におけるバッテリー周辺の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態の内視鏡装置について、図1から図3を参照して説明する。本実施形態の内視鏡装置1は、細長いアクセス経路の先にある被検物の観察や、被検物の内部観察等に用いられる。
内視鏡装置1は、図1に示すように、長尺の挿入部10と、挿入部10の湾曲操作を行うための操作部20と、挿入部10で取得された映像を表示する表示部40と、操作部20および表示部40を収容する筐体61を含む筐体部60とを備えている。
【0014】
挿入部10は、先端部に観察光学系11およびLED等の照明機構12、並びに図示しないCCD等の撮像機構を備えた公知の構成を有しており、先端部前方の被検物等の静止画像や動画等の映像を取得することができる。また、図示しない複数の節輪または湾曲コマ(以下、「節輪等」と総称する。))が軸線方向に並べて連結された公知の湾曲部13を有しており、自身の中心軸線と交差する二軸において中心軸線から離間する四方向に湾曲可能である。複数の節輪等のうち、最も先端側の節輪等には、上記四方向に対応した四本のワイヤ等の操作部材が接続されている。各操作部材は、各節輪等を通って筐体61の内部まで延び、操作部20に接続されている。
【0015】
操作部20は、湾曲部13を操作するための第一ジョイスティック21と、表示部40に表示されるカーソル等を操作するための第二ジョイスティック22と、第一ジョイスティック21を介して操作される図示しない湾曲機構とを有する。
第一ジョイスティック21および湾曲機構は公知の構成を有し、第一ジョイスティック21を所望の方向に倒すことで、湾曲機構に接続された操作部材を軸線方向に進退させ、湾曲部13を湾曲させることができる。第二ジョイスティック22は、一方の端部が図示しないスイッチ用基板に取り付けられた電気的操作機構であり、倒した方向がスイッチ用基板に入力されることにより、カーソル等の操作対象が当該方向に移動される。
【0016】
表示部40は、LCD等のディスプレイ41と、ディスプレイ41の表示を制御する表示制御基板(不図示)とを備えた公知の構成を有する。ディスプレイ41は、表示制御基板を介して挿入部10の撮像機構と接続されており、撮像機構で取得された映像が信号に変換された映像信号を受信し、映像として表示する。
【0017】
筐体部60は、筐体61と、筐体61に取り付けられたバッテリー62およびシェード63とを備えている。バッテリー62は、内視鏡装置1の電源であり、シェード63は、ディスプレイ41に日光等が入射して見にくくなることを防ぐもので、いずれも公知のものを適宜選択して用いることができる。
筐体61は、下部に設けられ、接地面を有するベース部65と、ベース部65と所定の角度をなしてベース部65から立ち上がる正面部66および背面部67とを備えており、背面部67に挿入部10が接続されている。
【0018】
筐体61は、抵抗値が1ギガオーム(GΩ)以下の材料で形成されている。筐体61の材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、バイトン(登録商標)などの樹脂材料に、例えば、カーボンフィラーなどの導電性のフィラーが混入された材料や、金属などを採用することができる。なお、本明細書において、材料の抵抗値とは、特に明記しない限り、IEC規格に規定された試験方法によって測定される電気抵抗値を指す。
【0019】
正面部66は、略直方体状に形成されており、上方に向いた上面66Aの上方に表示部40が取り付けられ、表示部40の下方に操作部20の各ジョイスティック21、22が取り付けられている。正面部66において、第一ジョイスティック21よりも下方の領域は、図1に示すように、第一ジョイスティック21より上方の領域よりも幅方向の寸法が小さく設定されており、使用者が把持するグリップ部68とされている。
【0020】
グリップ部68には、筐体61の接地を確保するためのアース部70が取り付けられている。アース部70は、グリップ部68に電気的に接続されるリード部71と、リード部71と電気的に接続されて接地される接地部72とを有している。
リード部71としては、公知の被覆導線等を用いることができ、ネジ止め等の手段により、グリップ部68に固定される。リード部71の固定手段は、リード部を筐体61と電気的に接続しつつグリップ部68に固定できるものであれば特に制限はない。
【0021】
接地部72は、導電性ゴム(弾性部材)等の柔軟な導体で形成されており、リード部71と電気的に接続されている。リード部71と接地部72とをあわせたアース部70の長さ寸法は、標準的な身長の使用者がグリップ部68を把持して内視鏡装置1を使用する状態で充分な余裕を持って接地する程度の値に設定されている。また、アース部70は、長さ寸法の中点から接地部72側の端部までの領域の重量が、当該中点からリード部71側の端部までの残部の重量よりも大きくなるように、リード部71および接地部72の寸法や材質等が設定されている。
【0022】
以上のように構成された内視鏡装置1の使用時の動作について説明する。
使用者Usが、グリップ部68を把持して内視鏡装置1を使用すると、図2に示すように、グリップ部68に接続されたアース部70は鉛直下方に垂れ下がる。このとき、アース部70において、長さ寸法の中点Cから接地部72側の端部までの領域の重量が、残りの領域より重く設定されているため、接地部72が好適に下方に位置し、地面や床面等(以下、「地面Gr」と称する。)と接触する。また、接地部72が柔軟な材料で形成されているため、図3に示すように接地部72が地面Grの形状に合わせて変形することも可能であり、この場合は接地部72と地面Grとの接触面積が好適に増加される。
【0023】
操作部20の操作に伴う使用者Usの体動等により発生した静電気は、抵抗値が1GΩ以下の材料で形成された筐体61を通ってリード部71に逃げる。その後、リード部71から接地部72を経て大地に逃がされ、好適に除電が行われる。
【0024】
本実施形態の内視鏡装置1によれば、筐体61のグリップ部68に取り付けられたアース部70において、長さ寸法の中点Cから接地部72側の端部までの領域の重量が、中点Cからリード部71側の端部までの重量よりも大きく設定されているため、接地部72が確実に下方に垂れ下がり、地面Grと確実に接触する。
【0025】
したがって、筐体61の接地を確実に確保することができる。その結果、筐体61を把持した使用者がゴム底の靴を履いている等により筐体61がフローティングの状態にあっても、アース部70により好適に除電が行われ、爆発等の発生を好適に防止することができる。
このように、内視鏡装置1においては、持ち運びが容易な使い勝手のよさと、確実な接地とが両立された構成となっている。
【0026】
次に、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明する。本実施形態の内視鏡装置と上述の内視鏡装置1との異なるところは、接地部の態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
図4は、本実施形態の内視鏡装置におけるアース部70Aの接地部側端部(以下、「接地端部」と称する。)を示す図である。接地部81は、金属等の硬質の導体で矩形の板状に形成されており、厚さ方向の一方の面の中央部がリード部71と電気的に接続されている。接地部81の下面81aは、地面Grに接触する接触面であり、その面積はリード部71の径方向の断面積よりも著しく大きい。
【0028】
本実施形態の内視鏡装置においても、アース部70Aにより、第一実施形態と同様に筐体61の接地を確実に確保することができる。また、接地部81が板状に形成されているため、接触面の面積を著しく増加させ、より好適に接地を行うことができる。さらに、接地部81の厚さ方向の一方の面の中央部がリード部71と電気的に接続されているため、アース部の長さ寸法の中点から接地端部までの領域のうち、接地端部に近い領域がより重くなっている。その結果、接地部81がより確実に鉛直下方に移動し、より確実な接地を行うことができる。
【0029】
本実施形態において、接地部は、第一実施形態と同様に柔軟な導電性材料で形成されてもよい。この場合、地面Grが平坦でなくても、接地部が地面Grの形状に合わせて好適に変形し、より大きい接触面積を確保することができる。
【0030】
次に、本発明の第三実施形態について、図5および6を参照して説明する。本実施形態の内視鏡装置と上述の内視鏡装置1との異なるところは、接地部の態様である。
図5は、本実施形態の内視鏡装置におけるアース部70Bの接地端部を示す図である。接地部91の基本形状は、第二実施形態と同様の板状であるが、接触面である下面91aには、複数の突起92が突出している。
【0031】
本実施形態の内視鏡装置においても、アース部70Bにより、上述の各実施形態と同様に筐体61の接地を確実に確保することができる。また、接地部91の下面91aに複数の突起92が形成されているため、地面Grが起伏に富んでいるような形状の場合にも、いずれかの突起92が必ず地面Grと接触する。したがって、地面Grが起伏に富んでいるような使用環境下でも、筐体の接地を確実に確保して安全に使用することができる。
【0032】
本実施形態において、突起の形状、個数、各突起の間隔等の各種パラメータは、使用環境における地面や床面等の形状等に鑑みて適宜決定されてよい。形状については、図5に示した突起92のように、先端の尖った形状でもよいし、図6に示す突起93のように、先端が丸められた曲面状とされてもよい。また、先端を尖らせる場合は、円錐状や多角錐状でもよいし、個々の突起が異なる形状とされてもよい。
【0033】
次に、本発明の第四実施形態について、図7および8を参照して説明する。本実施形態の内視鏡装置と上述の内視鏡装置1との異なるところも、接地部の態様である。
図7は、本実施形態の内視鏡装置におけるアース部70Cの接地端部を示す図である。接地部101の基本形状は、第二実施形態と同様の板状であるが、地面Grに接触する下面101aには、複数のボールベアリング102が取り付けられている。各ボールベアリング102は、接地部101に取り付けられた受け部102aと、受け部102aに回転可能に取り付けられ、地面Grと接触する球体102bとを有している。各球体102bは、リード部71と電気的に接続されている。
【0034】
本実施形態の内視鏡装置においても、アース部70Cにより、上述の各実施形態と同様に筐体61の接地を確実に確保することができる。また、接地部101の下面101aに複数のボールベアリング102が設けられているため、第三実施形態同様、地面Grが起伏に富んでいるような使用環境下でも、筐体の接地を確実に確保して安全に使用することができる。
【0035】
さらに、使用者の移動等に伴い、各ボールベアリング102の球体102bが回転する。すなわち、接触面である下面101aに設けられた突起が下面101aに対して回転可能であるため、接地部101が地面Grに対して移動する際の抵抗を減少させる。その結果、筐体の接地を確実に確保しつつ、移動や操作をスムーズに行うことができる内視鏡装置とすることができる。
【0036】
本実施形態において、ボールベアリングの寸法、配置態様、配置数等は適宜設定することができる。したがって、例えば図8に示す変形例のように、比較的大きな球体103bを有するボールベアリング103を一つだけ配置した構成としてもよい。このような場合、接地部の板状の部分の機能はもっぱら受け部103aを支持することになるため、図7のような大きな面積のものは必ずしも必要でなく、より小さい面積のものが用いられてもよい。
【0037】
次に、本発明の第五実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態の内視鏡装置と上述の内視鏡装置1との異なるところも、接地部の態様である。
図9は、本実施形態の内視鏡装置におけるアース部70Dの接地端部を示す図である。接地部111は、リード部71に接続された本体112と、本体112から突出する突出部113とを有している。
【0038】
本体112は、内腔を有する筒状に形成されており、内腔に棒状の突出部113が収容されている。導体で形成された突出部113には金属バネ114が接続されており、突出部113は、金属バネ114により、本体112から突出するように付勢されている。突出部113は、金属バネ114を介してリード部71と電気的に接続されている。金属バネ114の付勢力は、突出部113の先端が地面Grに接触したときに容易に金属バネ114が圧縮される程度の、比較的小さい値に設定されるのが好ましい。
【0039】
本実施形態の内視鏡装置では、金属バネ114の付勢力により、接地部111の本体112の端部と地面Grとの距離を埋めるために必要な長さだけ突出部113が本体112から突出し、突出部113の突出端が地面Grと接触することで内視鏡装置の接地が確保される。
【0040】
本実施形態の内視鏡装置においても、アース部70Dにより、上述の各実施形態と同様に筐体61の接地を確実に確保することができる。
また、突出部113が常に地面Grとの接触に必要な長さだけ本体112から突出するため、使用者が筐体61を保持する高さが変化したり、地面Grに凹凸があったりした場合でも、接地を確実に確保することができる。さらに、地面Grとの接触部位が過度に大きくならないため、接地部を引きずるような状態になりにくく、移動や操作をスムーズに行うことができる内視鏡装置とすることができる。
【0041】
本実施形態においては、突出部が金属バネを介して本体内に取り付けられている例を説明したが、これに代えて、金属バネを用いずに突出部を取り付け、使用者が逐次突出部の突出長を所望の値に調節する構成としてもよい。
【0042】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態における構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0043】
例えば、本発明の内視鏡装置においては、アース部を筐体に接続するとともに、筐体内の機構と電気的に接続してもよい。以下に、そのような変形例の一例を示す。
図10は、変形例の内視鏡装置1Aの機能ブロック図である。内視鏡装置1Aにおいて、照明機構としてのLED12は、アダプタ15に取り付けられており、挿入部10の先端に着脱可能に取り付けられる。筐体部60の筐体61内には、CPU等からなる制御部121が配置されている。制御部121には操作部20、表示部40、LED12、および挿入部10の先端部に配置された撮像機構16が接続されており、これら各部の動作が制御部121により制御される。また、内視鏡装置1Aに電力を供給するバッテリー122も筐体61内に配置され、電源回路123を介して制御部121に接続されている。
【0044】
内視鏡装置1Aにおいて、アース部70は、筐体61に電気的に接続されるとともに、バッテリー122のマイナス端子122aにも接続されている。このようにすると、確実に接地を確保することに加えて、バッテリー122によるノイズを好適に抑制することができ、内視鏡装置としての性能を向上させることができる。
【0045】
図11に示す他の変形例のように、バッテリー122にバリア回路Bcが接続されている場合は、バッテリー122のマイナス端子122aに代えてバリア回路Bcにアース部70を接続してもよい。このようにすると、バリア回路Bcの動作を安定させることができる。さらに、アース部70がバリア回路Bcの放熱経路としても機能するため、故障時におけるバリア回路Brの温度上昇を防ぎ、バリア回路が機能しなくなる等の事態を好適に防止することができる。
なお、図11の変形例では、バッテリー122のマイナス端子122aと筐体61とを電気的に接続しているが、これは必須ではない。したがって、マイナス端子122aを筐体61と接続しなくてもよいし、筐体61に代えてアース部70と接続してもよい。
【0046】
また、筐体において、例えば操作部のボタン等の一部の部位に表面抵抗が1GΩよりも大きい絶縁部材が用いられてもよい。この場合でも、容量結合による電荷リークがおこり、アース部によって大地と同電位となる結果、絶縁部材に蓄積する帯電による感電や、放電を抑えて安全な作業を行うことが出来る。また、絶縁部材の面積を、IEC60079−11に記載の値以下とすることで、可燃性雰囲気における静電気着火も防止することができ、防爆性能を向上させることができる。
【0047】
また、アース部に数kΩの抵抗体が挿入されてもよい。この場合、帯電した電荷の放電エネルギーを抵抗体で吸収することができるため、放電の瞬間に発生するエネルギーを抑えて、作業者に違和感なく除電を行うことができる。
【0048】
また、アース部の断線に備えて、アース部を複数設けて、さらに接地を確実にしてもよい。
また、接地部と接続されるリード部の端部を公知のグリップワニ口等にして、リード部と接地部とを着脱自在に構成してもよい。このようにすると、例えばリード部の端部を被検物である金属パイプ等に取り付けることにより接地を取ることもできるため、使用条件等に応じて、接地部を介して接地を取るか、リード部の端部で接地を取るかを使い分けることができる。
【0049】
さらに、作業者及び内視鏡装置の帯電状況をモニタリングする帯電センサを設けて制御部に接続し、帯電量に応じて表示部等に警告表示を出することにより、使用者に、接地を確保する、使用を中止する、爆発性雰囲気のある場所から離れる等の適切な処置をとるよう促してもよい。
さらに、警告表示後所定時間経過しても帯電量が安全な値まで下がらない場合は、制御部が電源をオフ制御し、内視鏡装置の機能をすべて停止するようにしてもよい。この場合、さらに内視鏡装置の安全性を高めることができる。あるいは、除電ブラシやイオナイザー等の除電機構を設け、警告表示後に除電を行い、除電後に警告表示を解除するように構成してもよい。この場合、安全性を高めるとともに、帯電を原因とするオフ制御による作業の中断も抑制することができる。なお、イオナイザーを設ける場合は、除電を行うときだけ駆動することで、電力消費を抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、1A 内視鏡装置
10 挿入部
16 撮像機構
20 操作部
40 表示部
61 筐体
62、122 バッテリー
70、70A、70B、70C、70D アース部
71 リード部
72、81、91、101、111 接地部
91a、101a 下面(接触面)
92、93 突起
102、103 ボールベアリング
112 本体
113 突出部
122a マイナス端子
Bc バリア回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に撮像機構を有し、湾曲可能な長尺の挿入部と、
前記撮像機構で取得された画像を表示する表示部と、
前記挿入部の湾曲操作を行う操作部と、
前記表示部および前記操作部が収容され、かつ前記挿入部が接続された筐体と、
前記筐体に取り付けられたバッテリーと、
前記筐体に電気的に接続されたアース部と、
を備え、
前記アース部は、
前記筐体に接続されるリード部と、
前記リード部に接続される接地部とを有し、
自身の長手方向中心よりも前記接地部側の領域の重量が、残りの領域の重量よりも重い
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記接地部は、前記リード部の径方向の断面積よりも大きい接触面を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記接触面には、複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記突起は、前記接触面に対して回転可能であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記接地部は、導電性を有する弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記接地部は、内腔を有する本体と、前記本体から突出可能に前記内腔に配置された突出部とを有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記リード部は、前記バッテリーのマイナス端子に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記バッテリーにはバリア回路が接続され、
前記リード部は、前記バリア回路に接続されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記筐体の帯電量を計測する帯電センサをさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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