説明

内視鏡装置

【課題】極細径の胆・膵管等の体腔内に挿入する際、所望の位置に照準を合わせて確実に挿入することが簡単に、しかもスムーズに行える内視鏡装置を提供する。
【解決手段】湾曲操作可能な湾曲部19を有する内視鏡挿入部13の先端面35に、処置具が挿通される鉗子口37と、被検体を観察する観察窓39と、照明光を出射する照明窓とが配置された内視鏡装置であって、内視鏡挿入部13の先端面の一部81を、内視鏡挿入部13の軸方向先端に突出して形成し、突出した先端面の一部81を、観察窓39からの観察視野の内に収まる位置に配置した。この湾曲部断面において、操作ワイヤの存在する第1の領域を内視鏡挿入部先端の先端面35に投影した第1の先端投影領域に観察窓39が配置され、操作ワイヤの存在しない第2の領域を内視鏡挿入部先端の先端面35に投影した第2の先端投影領域が、内視鏡挿入部13の長手軸方向外側に突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胆管や膵管の狭窄、隆起性病変の良悪性鑑別等の診断に、胆管、膵管内に挿入して観察する胆・膵管内視鏡が利用されている。胆・膵管内視鏡(子内視鏡)は、3mm程度の細径な挿入部を有しており、この挿入部を通常の内視鏡(親内視鏡)の鉗子口に挿入して使用される。子内視鏡は、親内視鏡の内視鏡先端を十二指腸まで挿入してから、親内視鏡の挿入部先端から子内視鏡を繰り出し操作し、子内視鏡の挿入部を十二指腸乳頭から胆管、膵管に挿入する。このように、親内視鏡と子内視鏡との2台の内視鏡をそれぞれ操作することで胆管、膵管内の観察が可能となる(特許文献1)。
ところが、2台の内視鏡を同時に操作するためには、各内視鏡の術者がそれぞれ必要となり、また双方の内視鏡を連携して操作するため、手技内容も複雑になり熟練を要していた。そのため、1台の内視鏡だけで簡便に胆管、膵管まで導入し、観察したい要求があるが、十二指腸乳頭に内視鏡挿入部を挿入するには、相応の細さが必要となる反面、細径の胆・膵管内視鏡は、それ自体では口腔から十二指腸まで到達させることができない。
また、特許文献2には、内視鏡先端部をヘラ状に突出させることで、狭窄された体腔管内への挿入性を向上した内視鏡が記載されている。この内視鏡では、先細りにされた内視鏡先端部を生体組織に押し当てながら挿入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−63772号公報
【特許文献2】特開2004−351138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の内視鏡であっても、胆管や膵管内のように特に狭い体腔管内に内視鏡先端部を挿入する場合、観察窓が先細りの先端に配置されるため、挿入先に狙いを定めて押し進めることは実際には難しい。つまり、観察しながら内視鏡先端部を押し進めても、予期しない方向に進んでしまうこともあり、微妙な操作が必要となって挿入作業に熟練を要していた。
【0005】
本発明は、内視鏡挿入部の先端を、極細径の胆・膵管等の体腔内に挿入する際、所望の位置に照準を合わせて確実に挿入することが簡単に、しかもスムーズに行える内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記構成からなる。
湾曲操作可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部の先端面に、処置具が挿通される鉗子口と、被検体を観察する観察窓と、照明光を出射する照明窓とが配置された内視鏡装置であって、
上記内視鏡挿入部の先端面の一部が、上記内視鏡挿入部の軸方向先端に突出して形成され、
その突出した先端面の一部が、上記観察窓からの観察視野の内に収まる位置に配置されており、
上記内視鏡挿入部の基端側に設けられた操作部と、上記内視鏡挿入部に沿って配置され上記操作部への操作を張力によって上記湾曲部に伝達する操作ワイヤとを備え、
上記湾曲部が、上記内視鏡挿入部の長手軸と直交する平面で規定される湾曲部断面において、その湾曲部断面の中心を通る直線により上記湾曲部断面を2つの領域に区分けする際に、上記操作ワイヤの存在する第1の領域と、上記操作ワイヤの存在しない第2の領域とに区分けでき、
上記操作ワイヤの存在する第1の領域を上記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第1の先端投影領域に上記観察窓が配置され、上記第2の領域を上記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第2の先端投影領域が、上記内視鏡挿入部の長手軸方向外側に突出している内視鏡装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の内視鏡装置によれば、極細径の胆・膵管等の体腔内に挿入する際、所望の位置に照準を合わせて確実に挿入することが簡単に、しかもスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図で、内視鏡装置の外観図である。
【図2】図1に示した内視鏡先端部の斜視図である。
【図3】図1に示した内視鏡装置の湾曲した湾曲部の拡大断面図である。
【図4】図2に示した内視鏡先端部を正面視した先端面の正面図である。
【図5】十二指腸近傍の正面図及びその一部分を切り欠いた要部拡大図である。
【図6】(A)は体腔切開時に十二指腸乳頭に対峙した内視鏡先端部の側面図、(B)は胆管に挿入された内視鏡先端部の側面図である。
【図7】観察窓からの撮像によって得られる観察視野の画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、内視鏡装置の外観図である。
内視鏡装置100は、内視鏡操作部11と、内視鏡操作部11に連設され体腔内に挿入される内視鏡挿入部13とを備える。内視鏡操作部11には、各種管路と信号ケーブルが内包されたユニバーサルコード15が接続され、このユニバーサルコード15の先端には不図示の制御装置に着脱自在に連結されるコネクタが取り付けられている。内視鏡操作部11には、送気・送水ボタン、吸引ボタン、シャッターボタン、機能切替ボタン等の各種ボタン17が並設されるとともに、内視鏡挿入部13の先端側に設けられた湾曲部19を湾曲操作させるアングルノブ21が設けられている。
【0010】
内視鏡挿入部13は、内視鏡操作部11側から順に軟性部23、湾曲部19、内視鏡先端部25で構成される。軟性部23は可撓性を有して内視鏡操作部11から湾曲部19の基端側まで連設されている。また、湾曲部19は、内視鏡操作部11のアングルノブ21を回動操作することで内視鏡挿入部13内に挿設された操作ワイヤ27が牽引されて湾曲動作するようになっている。これにより、内視鏡先端部25を所望の方向に向けることができる。
【0011】
内視鏡操作部11と内視鏡挿入部13との間の連設部29には、処置具や送水手段等の管が挿入される鉗子チャンネル31の処置具挿入部33が設けられる。鉗子チャンネル31は、内視鏡先端部25から内視鏡操作部11にかけて、高周波メス等の各種処置具が挿通可能に形成されている。
【0012】
図2は図1に示した内視鏡先端部25の斜視図である。
内視鏡装置100は、内視鏡先端部25の先端面35に、処置具が挿通される鉗子口37と、被検体を観察する観察窓39とが配置されている。また、内視鏡先端部25には、観察窓39を挟んで一対の照明窓41が配置されている。照明窓41からそれぞれ出射される照明光は、被検体を照明し、照明された被検体の観察画像が、観察窓39を通じて取得される。照明窓41から出射される照明光は、図示しない光源部から図1に示すユニバーサルコード15を通じて内視鏡装置100に供給され、導光部材であるライトガイドを通じて照明窓41から出射される。
【0013】
図3は図1に示した内視鏡装置100の湾曲した湾曲部19の拡大断面図である。
内視鏡先端部25は、セラミックやステンレス等の硬質材料からなる円柱形状の先端硬性部43を有する。先端硬性部43の一部には、収容部44が穿設され、この収容部44内に撮像光学系45が固定されている。
【0014】
撮像光学系45は、照明光学系で照明された観察部位を撮像する撮像素子49と、この撮像素子49が実装される基板51と、集光レンズ55と、プリズム59とを有し、撮像素子49から得られる観察像の撮像信号を、基板51に接続した信号線53を通じて不図示の制御装置に出力する。なお、制御装置は、入力された撮像信号を画像処理した画像情報を不図示のモニタに表示する。上記撮像光学系45の撮像素子49としては、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。
【0015】
プリズム59は、撮像素子49の受光面57に対向配置され、集光レンズ55から取り込まれる光を、光路を直角に変更して、基板51に実装された撮像素子49に結像する。撮像素子49に取り込まれた画像情報に基づく画像信号は、基板51に接続された信号線53を通じて出力される。このプリズム59は、撮像素子49を内視鏡先端部25の中心軸に平行に配置して、撮像素子49や集光レンズ55をスペース効率よくコンパクトに内視鏡先端部25に収容させる。
【0016】
図4は図2に示した内視鏡先端部25を正面視した先端面35の正面図である。
内視鏡先端部25を正面視した場合に、一対の照明窓41、41は、観察窓39と鉗子口37の中心を通る第1の直線61に対して線対称となる位置にそれぞれ配置されている。
【0017】
内視鏡装置100は、図3に示す湾曲部19が、内視鏡挿入部13の長手軸と直交する平面で規定される湾曲部断面67において、湾曲部断面67の中心を通る直線69により湾曲部断面67を2つの領域に区分けできる。即ち、操作ワイヤ27の存在する第1の領域71と、操作ワイヤ27の存在しない第2の領域73とに区分けできる。
【0018】
操作ワイヤ27の存在する第1の領域71を内視鏡挿入部先端の先端面35に投影した第1の先端投影領域77には、観察窓39が配置される。第2の領域73を内視鏡挿入部先端の先端面35に投影した第2の先端投影領域79には、鉗子口37が配置され、内視鏡挿入部13の長手軸方向外側に突出している。したがって、操作ワイヤ27の牽引操作により、湾曲部19を湾曲操作した際、図3に示すように湾曲部19の湾曲の内側には観察窓39が位置し、外側には突出した先端面の一部81と鉗子口37が位置することになる。
【0019】
また、湾曲部19は、操作ワイヤ27の牽引により湾曲操作させた後、この湾曲を解除する際、アングルノブ21の操作により操作ワイヤ27を緩めると、鉗子口37の鉗子チャンネル31を形成する樹脂製の鉗子チューブ65(図3参照)の弾性復元力が作用して、直状へ戻る。
【0020】
上記構成の内視鏡先端部25を更に詳細に説明する。
図2に示すように、軸方向先端に突出して形成された先端面の一部81には、扁平状に形成された舌片85が設けられている。この舌片85は、観察窓39からの観察視野範囲φの中に収まる位置に配置されている。舌片85は、内視鏡先端部25の先端外周の一部に、先端が滑らかな曲面で形成され、観察窓39側に向けて徐々に幅広となるテーパ状の表面を有している。また、この舌片85の表面は、内視鏡先端部25の外周面89と、段部を形成することなく滑らかに接続されている。
【0021】
このように、操作ワイヤ27による湾曲操作により湾曲の内側になる第7の先端投影領域77には観察窓39が配置され、湾曲の外側になる第2の先端投影領域79には軸方向に突出した舌片85が配置される。これにより、被検体表面に舌片85を押し当てた様子を舌片85を含めて観察窓39から観察することができる。
【0022】
この構成によれば、内視鏡先端部25を押し進める際、被検体表面に押し当てた舌片85をガイドにして、内視鏡先端部25を所望の位置に移動させることができる。即ち、狭い体腔管内に内視鏡先端部25を挿入する場合に、その狭小な管内に舌片85を視認しつつ確実に挿入でき、また、舌片85によって狭小な管内を押し広げ、内視鏡先端部25の全体をスムーズに挿入することができる。
【0023】
突出した舌片85は、透光性部材からなることが好ましい。被検体表面の舌片85により押し当てられている領域が、舌片85を透かして観察可能となり、位置の確認を行いやすくなる。また、狭小な管内を押し広げている舌片85が、その管内の視野を遮ることがなくなる。これにより、狭小な管内の観察が確実に行え、より正確な手技が可能となる。
【0024】
上記のように、内視鏡先端部25の形状は、内視鏡挿入部13の外周面89から先細りのテーパ状となり、かつそのテーパが斜めにカットされて先端傾斜面91となる。したがって、先端傾斜面91は、内視鏡先端側が幅の狭まった長円(内視鏡挿入部13の軸線方向に沿う方向を長軸とする楕円状)となるが、この長円の短軸幅は、更に狭められていることが好ましい。また、先端傾斜面91は、角部のないように面取りされていることが好ましく、更に先端傾斜面91は、丸みを帯びて膨出していることが挿入性を良好にする上で好適となる。
【0025】
照明窓41、41は、傾斜した先端面35における、観察窓39から鉗子口37までの中腹位置に配置されている。これにより、観察窓39と鉗子口37とが接近する境界部両脇に形成される余剰スペースを利用して一対の照明窓41、41の配置が可能となり、限られた内視鏡先端部25の先端面35に無駄なスペースを生じさせない効率的な配置が可能となる。
【0026】
観察窓39と照明窓41は、先端面35に沿って傾斜した外表面93(図2参照)を有する。観察窓39と照明窓41にはカバーレンズが配設されており、このカバーレンズの外表面93が先端傾斜面91と同一面上に配置される。外表面93は、先端傾斜面91が膨出面であれば、その先端傾斜面91に沿って形成される。このような構成とすることで、観察窓39と照明窓41も先端傾斜面91の一部となり、滑らかな挿入が可能となる。
【0027】
次に、上記の構成を有する内視鏡装置100の作用を、胆管87の内視鏡検査を例に説明する。
図5は十二指腸近傍の正面図及びその一部分を切り欠いた要部拡大図である。
内視鏡装置100は、術者によって内視鏡先端部25が十二指腸95の位置まで挿入される。十二指腸95には胆管87と膵管97が繋がった共通管99が接続され、その接続部位には十二指腸乳頭101が開口している。
【0028】
図6は(A)は体腔切開時に十二指腸乳頭に対峙した内視鏡先端部25の側面図、(B)は胆管87に挿入された内視鏡先端部25の側面図である。
術者は、アングルノブ21を操作して湾曲部19を屈曲させ、図6(A)に示すように、内視鏡先端部25を十二指腸乳頭に対面配置させる。
【0029】
術者が、鉗子口37(図2参照)から高周波メス88を突出させて、観察窓39を通して得られる撮像画像を見ながら、高周波メス88により十二指腸乳頭101を切開する。
【0030】
そのとき、本構成によれば、湾曲の内側に位置することとなる十二指腸乳頭を切開するので、切開部と未切開部の境が処置具に隠れることなく観察視野が確保され、処置具による手技を容易に観察することができる。
【0031】
十二指腸乳頭101の切開を終了すると、術者は、図6(B)に示すように、切開された十二指腸乳頭101に内視鏡先端部25を挿入して、共通管99から胆管87へと挿入して、胆管87内の内視鏡観察を行う。この際に、舌片85を用いて胆管87の入口を押し広げ、内視鏡先端部25の挿入を確実に案内できる。
【0032】
図7は観察窓39からの撮像によって得られる観察視野の画像を示す説明図である。観察窓39からの観察視野には、舌片85が映出しており、この舌片85によって挿入先となる十二指腸乳頭101と、内視鏡先端の位置とが合わされて、目的の挿入先に内視鏡先端部を進めることが容易に行える。
【0033】
また、共通管99、胆管87に挿入された内視鏡先端部25による観察では、黄色味のある胆汁による視野の低下を改善するため生理食塩水などの透明流体を供給・排出させることが好ましい。この際、鉗子口37が舌片85に続いて配置されていることで、鉗子口37から透明流体を供給・排出をいち早く行い、観察窓39からの観察視野を確保することができる。なお、膵管97に内視鏡を挿入する場合も同様である。
【0034】
このように、内視鏡装置100では、内視鏡挿入部13の先端面の一部を突出させることで、特に狭い体腔管内への内視鏡挿入をスムーズに案内でき、確実な内視鏡挿入の手技が行える。また、先端面の一部81が観察視野範囲φの中に収まる位置に配置されるので、挿入先に狙いを定め、突出した先端面の一部81をガイドとして内視鏡先端部25を押し進めることができる。よって、挿入作業の力加減や力印加方向を決め易く、狭小の例えば胆管87への挿入作業が容易となる。
【0035】
したがって、上記構成の内視鏡装置100によれば、狭小の胆・膵管等の体腔管内に内視鏡先端部を挿入する際、所望の位置に照準を合わせて確実に挿入することが簡単に、しかもスムーズに行える。これにより、内視鏡装置の利用範囲を拡張することができる。
【0036】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。例えば、上述した舌片85は、扁平状に形成する以外にも、円錐体や棒状に形成したものであってもよい。
【0037】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 湾曲操作可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部の先端面に、処置具が挿通される鉗子口と、被検体を観察する観察窓と、照明光を出射する照明窓とが配置された内視鏡装置であって、
上記内視鏡挿入部の先端面の一部が、上記内視鏡挿入部の軸方向先端に突出して形成され、
その突出した先端面の一部が、上記観察窓からの観察視野の内に収まる位置に配置されており、
上記内視鏡挿入部の基端側に設けられた操作部と、上記内視鏡挿入部に沿って配置され上記操作部への操作を張力によって上記湾曲部に伝達する操作ワイヤとを備え、
上記湾曲部が、上記内視鏡挿入部の長手軸と直交する平面で規定される湾曲部断面において、その湾曲部断面の中心を通る直線により上記湾曲部断面を2つの領域に区分けする際に、上記操作ワイヤの存在する第1の領域と、上記操作ワイヤの存在しない第2の領域とに区分けでき、
上記操作ワイヤの存在する第1の領域を上記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第1の先端投影領域に上記観察窓が配置され、上記第2の領域を上記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第2の先端投影領域が、上記内視鏡挿入部の長手軸方向外側に突出している内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、内視鏡挿入部の先端面の一部が軸方向先端に突出し、その先端面の一部が観察視野の内に収まる位置に配置されるので、挿入先に狙いを定め、突出した先端面の一部をガイドとして押し進めることが可能となる。これにより、被検体表面への押し当て状態を見ながら挿入ができ、力加減や力印加方向を決め易く、狭小の体腔管内への内視鏡先端部の挿入作業が容易となる。
また、この内視鏡装置によれば、操作ワイヤの存在する第1の先端投影領域に観察窓が配置され、第2の先端投影領域に突出した先端面の一部が配置される。したがって、操作ワイヤの操作により湾曲した際、湾曲の内側に観察窓が位置し、外側に突出した先端面の一部が位置することになる。
【0038】
(2) (1)の内視鏡装置であって、上記突出した先端面の一部が、扁平状に形成された舌片からなる内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、突出した先端面の一部が舌片となることで、狭小の体腔管内を押し広げて内視鏡先端部を挿入し易くなる。
【0039】
(3) (1)又は(2)の内視鏡装置であって、上記突出した先端面の一部が透光性部材からなる内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、先端面の一部が被検体表面を押し当てている部分を、先端面の一部を透かして観察でき、また、狭小な体腔管内を押し広げている先端面の一部が、体腔管内の観察視野を遮ることがない。これにより、常に良好な観察視野が確保できる。
【0040】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つの内視鏡装置であって、上記観察窓と上記照明窓が、上記先端面に沿う傾斜した外表面を有する内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、観察窓と照明窓も傾斜面の一部となり、滑らかな挿入が可能となる。
【0041】
(5) (1)〜(4)のいずれか1つの内視鏡装置であって、上記第2の先端投影領域に上記鉗子口が配置された内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、操作ワイヤの操作によって湾曲部が湾曲した際、湾曲の内側には観察窓が位置し、外側には突出した先端面の一部が位置し、その間に鉗子口が位置する。このため、鉗子口から突出させた処置具を湾曲の内側から視認でき、例えば湾曲の内側に位置することとなる十二指腸乳頭を切開する場合、切開部と未切開部の境が処置具に隠れることなく視野が確保され、処置具による手技を容易に観察できる。
【0042】
(6) (1)〜(5)のいずれか1つの内視鏡装置であって、上記観察窓の内側に撮像光学系が配置され、上記撮像光学系が、集光レンズと、撮像素子と、その撮像素子の受光面に対向配置され上記集光レンズからの撮像光を、光軸を直角に曲げて上記受光面に導光するプリズムと、を備えた内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、観察窓の内側に配置される撮像素子や集光レンズを、スペース効率よくコンパクトに収容できる。
【0043】
(7) (1)〜(6)のいずれか1つの内視鏡装置であって、上記照明窓が、傾斜した上記先端面における、上記観察窓から上記鉗子口までの中腹位置に配置された内視鏡装置。
この内視鏡装置によれば、観察窓と鉗子口とが接近する境界部両脇に形成される余剰スペースを利用して一対の照明窓を配置することが可能となり、限られた内視鏡先端部の先端面に無駄なスペースを生じさせない効率的な配置が可能となる。
【符号の説明】
【0044】
11 内視鏡操作部
13 内視鏡挿入部
19 湾曲部
27 操作ワイヤ
35 先端面
37 鉗子口
39 観察窓
41 照明窓
45 撮像光学系
49 撮像素子
55 集光レンズ
57 受光面
59 プリズム
67 湾曲部断面
69 中心を通る直線
71 第1の領域
73 第2の領域
77 第1の先端投影領域
79 第2の先端投影領域
81 突出した先端面の一部
85 舌片
89 外周面
91 先端傾斜面
93 外表面
100 内視鏡装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲操作可能な湾曲部を有する内視鏡挿入部の先端面に、処置具が挿通される鉗子口と、被検体を観察する観察窓と、照明光を出射する照明窓とが配置された内視鏡装置であって、
前記内視鏡挿入部の先端面の一部が、前記内視鏡挿入部の軸方向先端に突出して形成され、
該突出した先端面の一部が、前記観察窓からの観察視野の内に収まる位置に配置されており、
前記内視鏡挿入部の基端側に設けられた操作部と、前記内視鏡挿入部に沿って配置され前記操作部への操作を張力によって前記湾曲部に伝達する操作ワイヤとを備え、
前記湾曲部が、前記内視鏡挿入部の長手軸と直交する平面で規定される湾曲部断面において、該湾曲部断面の中心を通る直線により前記湾曲部断面を2つの領域に区分けする際に、前記操作ワイヤの存在する第1の領域と、前記操作ワイヤの存在しない第2の領域とに区分けでき、
前記操作ワイヤの存在する第1の領域を前記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第1の先端投影領域に前記観察窓が配置され、前記第2の領域を前記内視鏡挿入部先端の先端面に投影した第2の先端投影領域が、前記内視鏡挿入部の長手軸方向外側に突出している内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡装置であって、
前記突出した先端面の一部が、扁平状に形成された舌片からなる内視鏡装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の内視鏡装置であって、
前記突出した先端面の一部が透光性部材からなる内視鏡装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記観察窓と前記照明窓が、前記先端面に沿う傾斜した外表面を有する内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記第2の先端投影領域に前記鉗子口が配置された内視鏡装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記観察窓の内側に撮像光学系が配置され、
前記撮像光学系が、集光レンズと、撮像素子と、該撮像素子の受光面に対向配置され前記集光レンズからの撮像光を、光軸を直角に曲げて前記受光面に導光するプリズムと、を備えた内視鏡装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記照明窓が、傾斜した前記先端面における、前記観察窓から前記鉗子口までの中腹位置に配置された内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63326(P2013−63326A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284720(P2012−284720)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−240187(P2010−240187)の分割
【原出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】