説明

内部に埋め込まれた電極を有する接続ハイドロゲルビードを組み込む外科用創傷被覆

本開示のある実施形態によると、創傷被覆システムが提示される。創傷被覆システムは、流体透過性支持層を含み、支持層は、創傷内に設置するために構成され、創傷の形状に実質的に一致し、それを通して滲出液を創傷から通過させるように適合される。創傷被覆システムはさらに、支持層によって支持される複数のビードであって、絶縁され、相互接続された細長部材を画定ビードと、細長部材の少なくとも一部内に埋め込まれ、それを通して延在する電極とを含む。また、電極を通して電気的に流動する電流が、外部エネルギー源によって発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/231,370号(名称「Surgical Wound Dressing」、2009年8月5日出願)の利益および優先権を主張し、この出願の全開示は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(1.技術分野)
本開示は、概して、開放創傷を治療する装置に関し、より具体的には、複数のビードを組み込む創傷被覆システムであって、ビードは、それによって埋め込まれた電極を有する、絶縁され、接続された細長部材を画定する、システムに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の検討)
創傷閉鎖は、創傷が閉鎖するまで、創傷に隣接した皮上および皮下組織の創傷の中心に向かう移動を伴う。残念ながら、大きい創傷または感染した創傷については、閉鎖が困難である。そのような創傷では、鬱血帯(すなわち、組織の局部的な膨張が、組織への血液の流れを制限する領域)を創傷の表面近傍に形成する。十分な血流が無ければ、創傷を包囲する上皮および皮下組織は、受け取る酸素および栄養が減少するだけでなく、正常に微生物感染と戦うことがより困難になり、したがって、創傷を閉鎖することがより困難になる。そのような創傷は、長年にわたって医療関係者に問題を提示してきた。
【0004】
創傷被覆が、開放創傷を保護および/またはその治癒を促進するために、医療業界において使用されている。技法の1つは、また、吸引または真空療法としても知られる陰圧療法を使用している。種々の陰圧デバイスは、過剰な創傷流体、すなわち、滲出液を除去させる一方、同時に創傷を保護するために、創傷を隔離し、その結果、回復時間に影響を及ぼすように開発されている。種々の創傷被覆は、開放創傷の治癒を助長するように改良されている。
【0005】
陰圧療法において創傷被覆を使用する際に、継続的に解決される必要がある問題として、使いやすさ、創傷を治癒する効率性、および創傷滲出液の十分な排出が挙げられる。所望されるものの1つは、効果的な電気刺激、すなわち、E−STIM療法を提供することであって、それは、創傷被覆システムの創傷床に十分な電流を提供し、損傷組織全体に電流を伝送または流れさせて、創傷治癒プロセスを向上または助長することによる。
【0006】
したがって、より調和した、均一な電流分布を創傷被覆システムの創傷床に提供しつつ、湿潤な創傷環境を維持するシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、概して開放創傷を治療する装置に関する。
【0008】
本開示の一側面によると、創傷被覆システムが、提供され、創傷にわたって位置するように構成される流体透過性カバー層であって、創傷からの滲出液がそれを通って通過することを可能にするように構成されるカバー層と、創傷内に設置可能であって、カバー層によって創傷の中に保持される複数のビードであって、絶縁され、相互接続された細長部材を画定するビードと、細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通して延在する電極とを含む。使用時、外部エネルギー源によって生成された電流が、電極を通して電気的流動する。
【0009】
創傷被覆システムは、創傷に減圧を供給する導管をさらに含んでもよい。
【0010】
複数のビードは、ヒドロゲル材料から作成されてもよい。埋め込まれた電極は、細長部材の全長を通って延在してもよい。
【0011】
複数のビードのうちの各ビードは、第1の長さを有してもよく、複数のビードのうちの隣接するビードは、第2の長さだけ相互から分離されていてもよい。第1の長さは、第2の長さを上回っていてもよい。
【0012】
複数のビードのうちの少なくとも1つのビードの一部は、伝導性塗膜を含んでもよい。伝導性塗膜は、Ag、Ag/Cl、Cu、Au、炭素ゴム、炭素フィルム、およびアルミニウムフィルムのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0013】
創傷被覆システムは、周辺電極と、周辺電極と動作可能に連絡している回転子とをさらに含んでもよい。
【0014】
創傷被覆システムは、周辺電極に固着され、周辺電極を適所に固着するように構成される支持層をさらになお含んでもよい。支持層は、少なくとも部分的に周辺電極の上にあってもよく、創傷の周辺に沿って設置されてもよい。
【0015】
創傷被覆システムは、流体透過性支持層内に埋め込まれた電圧源をさらに含み得る。電圧源は、細長部材の一端に設置されてもよい。電圧源は、細長部材を少なくとも2つの部分に分割するように設置されてもよい。
【0016】
複数のビードのうちの各ビードは、隣接するビード間に画定される空間を通る、滲出液の通過を促進するほど十分に剛性であってもよい。
【0017】
本開示の別の側面によると、創傷被覆構成を製造する方法が提供される。この方法は、流体透過性カバー層を提供するステップであって、カバー層は、創傷にわたって位置するように構成され、創傷からの滲出液がそれを通過することを可能にするように構成される、ステップと、創傷内に設置可能な複数のビードを提供するステップであって、ビードは、絶縁され、相互接続された細長部材を画定する、ステップと、細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通って延在する電極を提供するステップとを備え、外部エネルギー源によって生成される電流が、電極を電気的に流れる。
【0018】
方法は、創傷に減圧を供給するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
複数のビードは、ヒドロゲル材料から作成されてもよい。埋め込まれた電極は、細長部材の全長を通って延在してもよい。
【0020】
複数のビードのうちの各ビードは、第1の長さを有してもよく、複数のビードのうちの隣接するビードは、第2の長さだけ相互から分離されていてもよく、第1の長さは、第2の長さを上回っていてもよい。
【0021】
複数のビードのうちの少なくとも1つのビードの一部は、伝導性塗膜を含んでもよい。伝導性塗膜は、Ag、Ag/Cl、Cu、Au、炭素ゴム、炭素フィルム、およびアルミニウムフィルムのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0022】
方法は、周辺電極と、周辺電極と動作可能に連絡している回転子とを提供することをさらに含んでもよい。方法は、創傷にわたって位置し、創傷の中にビードを実質的に封入するように適合されるカバー層を提供するステップをさらになお含んでもよい。方法は、少なくとも部分的に外側部材の周辺に沿って周辺電極を設置するステップをさらに含んでもよい。
【0023】
方法は、流体透過性支持層の中に電圧源を埋め込むステップをさらに含んでもよい。方法は、細長部材の一端に電圧源を設置するステップを含んでもよい。電圧源は、細長部材を少なくとも2つの部分に分割するように設置されてもよい。
【0024】
複数のビードは、隣接するビード間に画定される空間を通る、滲出液の通過を促進するために十分に剛性であってもよい。
【0025】
本開示のさらに別の側面によると、創傷被覆構成を使用する方法が提供される。方法は、複数のヒドロゲルビードを創傷内に留置するステップであって、ビードは、(i)絶縁され、相互接続された細長部材を画定し、(ii)細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通って延在する電極を有する、ステップと、周辺創傷電極をヒトに留置するステップと、カバー層が創傷と外部環境との間に障壁を形成するように、カバー層を創傷上に取着するステップと、エネルギーを埋め込まれた電極および周辺電極に伝達するステップと、埋め込まれた電極および周辺電極に伝達されたエネルギーを監視するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、前述の本開示の一般的説明と、後述の実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1は、本開示による、電極を含むビード設計を有する創傷被覆システムの一実施形態の図である。
【図2】図2は、図1の創傷被覆システムの指示された詳細領域の拡大図であって、本開示による、伝導性塗膜を含むヒドロゲルビードを例示する。
【図3】図3は、本開示による、図1の創傷被覆システムの緊張解放手段アセンブリのある実施形態の図である。
【図4A】図4Aは、本開示による、図1−3の創傷被覆システムの上部平面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの4B−4Bを通して切り取られた図4Aの創傷被覆システムの断面図である。
【図5A】図5Aは、本開示による、第1の場所に配置された電圧源を含む、創傷被覆システムの側部断面図である。
【図5B】図5Bは、本開示による、第2の場所に配置された電圧源を含む、創傷被覆システムの側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施形態は、種々の修正および代替構造への余地があるが、その例示される実施形態は、図面に示され、詳細に後述されるであろう。しかしながら、本開示の実施形態を開示される具体的形態に限定する意図はなく、対照的に、実施形態は、請求項に定義される本開示の精神および範囲内にあるすべての修正、代替構造、および均等物を網羅することが意図されることを理解されたい。
【0028】
本発明の種々の実施形態が、本明細書に説明されるが、本発明は、それらに限定されず、以下の請求項の範囲内の実践に多種多様に具現化され得ることを明確に理解されたい。本発明は、本開示の一部を形成する添付の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に理解されるであろう。本発明は、本明細書に説明および/または図示される、具体的なデバイス、方法、条件、またはパラメータに限定されず、本明細書において使用される用語は、一例として、特定の実施形態を説明する目的にすぎず、請求される発明の限定として意図されるものではないことを理解されたい。
【0029】
本開示のさらなる詳細な説明に先立って、最初に、以下の議論全体を通して使用される種々の用語を定義することは、有用となるであろう。例えば、以下である。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「ヒドロゲル」は、多種多様なポリマー系組成を指し得る。これらの材料は、例えば、モノマーから、または水中でポリマーと混合されたモノマーから合成され得る。これらは、既存のポリマーの化学修飾によって、または既存の乾燥ポリマーに水を添加することによって得られてもよい。任意の生体適合性ヒドロゲルが、本開示に従って利用されてもよい。概して、本開示によるヒドロゲルは、液化を伴わずに、水を吸収可能な凝集性3次元水性ポリマー系を含んでもよい。実施形態では、水不溶性が、ヒドロゲルポリマーを架橋結合することによって提供されてもよい。実施形態では、本開示のヒドロゲルまたは含水ゲル水は、水および種々の化学物質を含んでもよい。
【0031】
本開示の実施形態はさらに、陰圧療法と併用され得る、創傷の治癒を助長する創傷被覆システムを提供する。システムの一例示的な創傷被覆は、支持層によって支持される複数のビードを含む。ビードは、創傷の形状に一致する一方、被覆を通して空気および滲出液を流動させ、それによって湿潤環境を助長し、創傷の治癒を促進する。
【0032】
本開示の種々の実施形態は、創傷流体を回収するチャンバを有する回収キャニスタを含む、陰圧創傷治療(NPWT)システム(または、装置)を提供する。本開示のNPWTシステムの実施形態は、概して、種々の治療法に従って、創傷の回復を促進するために、陰圧を創傷に印加する際の使用に好適である。本開示のNPWTシステムの実施形態は、完全に携帯型であり、およびユーザが治療期間中に完全に移動し得るように、ユーザによって着用または携帯されてもよい。本開示のNPWT装置の実施形態およびその構成要素は、完全に再使用可能であってもよく、または所定の使用期間後に完全に使い捨てであってもよく、もしくは個別に使い捨てであってもよく、それによって、構成要素のうちのいくつかが、以降の治療適用のために再利用される。
【0033】
以下、本開示のNPWTシステムの実施形態、およびNPWTシステムで使用するための本開示のビードの実施形態を、添付図面を参照して説明する。同一参照符号は、図面の説明全体を通して類似または同一の要素を指し得る。本明細書で使用されるように、「創傷浸出液」または単純に「浸出液」は、概して、例えば、血液、血清、および/または膿等の創傷から排出される任意の流体を指す。本明細書で使用されるように、「流体」は、概して、液体、気体、または両方を指す。
【0034】
実施形態は、添付の図を参照して、以下に説明される。添付の図は、単なる実施例であって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0035】
次に、図面を参照すると(いくつかの図を通して、同類の構成要素は、同一参照番号によって指定される)、図1に見られるように、本開示のある実施形態による創傷被覆システムは、概して、100として指定される。
【0036】
創傷被覆システム100は、複数のヒドロゲル110ビード(または、ヒドロゲル材料110)と、創傷電極120と、絶縁部材130と、伝導性ワイヤ140とを含むビード状設計の形態であってもよい。
【0037】
ビード110は、埋め込まれた創傷電極120を支持または包囲する相互接続された細長部材112を画定する。創傷電極120は、細長部材112の全長に延在する。創傷電極120の一端は、伝導性ワイヤ140に接続するように構成される。伝導性ワイヤ140は、外部エネルギー源(図示せず)から電流を受電する。外部エネルギー源は、バッテリ、燃料電池、発電機、および/またはハイブリッド電源等を含むが、それらに限定されない、当業者によって想定される任意の種類のエネルギー源であってもよい。加えて、伝導性ワイヤ140は、絶縁部材130によって包囲される。
【0038】
ビード110は、長さまたは直径Lを有してもよく、隣接するビード110は、長さLだけ相互に分離していてもよい。さらに、長さLは、長さLを上回ることが想定される。しかしながら、任意の望ましい距離/長さ関係が、隣接するビード110の長さLとLとの間に確立されてもよい。
【0039】
ビード110は、創傷の治癒の間、少なくとも所定の時間期間の間、その形状を維持するために、実質的に剛性であるように形成されてもよい。これに関して、ビード110は、創傷床「w」(図4Bに示される)内に配設されると、その間に間質腔、ポケット、または通路492(図4Bに示される)を画定し、通路492を通して創傷滲出液を通過または移動させる。ビード110のサイズまたは直径Lは変動可能であるが、ビード配設を通して適切な細孔サイズを達成し、細胞増殖を促進し、流体および空気を創傷から排出させるように寸法設定されるべきである。10−1000μmの範囲内のポロシチーが、細胞増殖を刺激し、流体および空気を創傷から排出させることに有益であることが見出されている。陰圧が創傷床「w」に印加されるのと、ビード110は、そのそれぞれの位置を移動し、再調節することにより、現在の発泡体設計によって生じ得る疼痛を伴う内部成長を防止し得る。
【0040】
ビード110は、望ましくは、その間の通路492の所望の間隔を維持するために、治癒の間、少なくとも所定の時間期間の間、実質的に剛性のままであり得る。ビード110は、非吸収性、部分的に吸収性、または完全に吸収性であってもよい。ビード110が、吸収性材料から形成される場合、ビード110の吸収速度は、所定の治癒の期間の間、ビード110の所望の剛性を維持するように選択されてもよい。当業者は、これらの目標に到達するために、ビード110の加工材料を選択してもよい。
【0041】
ビード110の溶解速度は、材料選択、ビードサイズ(流体と接触するビードの表面積)、創傷床「w」内の流体の量、温度、および機械的応力(すなわち、圧縮力)への曝露に依存し得る。ビード110の一部または全部は、被覆が患者の適所に残留する全時間の間、または約1日から約1週間以上、剛性のままであるように設計され得る。このことは、創傷床「w」からの空気および流体流動を維持する。ビード110の一部は、この時間期間にわたって、溶解し、その中に組み込まれた任意の活性成分および剤を放出するように設計され得る。ビード110の付加的溶解は、計画された被覆交換と同期するように時間調整されて、ビード110内への組織成長および被覆の除去の際に外傷を生じさせる可能性を制限し得る。
【0042】
ビード110は、ヒドロゲル材料等から作製されてもよい。ヒドロゲルは、例えば、Promeon RG−63Bヒドロゲル(Tyco Healthcare Group LP d/b/a Covidienから入手可能)から作製されてもよいが、それに限定されない。
【0043】
ビード110は、好適な生体適合性材料から製造されてもよい。ビード110は、抗菌性ビード、成長因子、薬剤、抗生物質、鎮痛剤、およびビタミン、栄養補助剤等の治癒因子を有するビードであってもよい。これらのビード110は、好ましくは、非接着性であって、所定の時間期間にわたって生体吸収可能であり得る。アクリル(PMMA)は、その透明性から使用可能であって、また、臨床医に、被覆を除去せずに、創傷を視認する能力を提供するであろう。使用され得る他の材料は、ポリカーボネート、ポリスチレン、PVC、ABS、SAN、ガラス、またはシリコーンである。生体吸収性ポリマーもまた、使用され得、例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、キトサン、ポリエチレンオキシド(PEO)、またはポリエチレングリコールPEG)である。
【0044】
ヒドロゲルは、創傷電極120と創傷床「w」との間に伝導性媒体を形成し、したがって、その間での電流の流れを促進する一方で、湿潤創傷環境を維持するので、望ましくは、ビード110のために使用される。一般に、ヒドロゲルは、高濃度の水を保持する親水性網状構造から構成される。さらに、本願においては、ビード110のヒドロゲルは、創傷から出る滲出液を保持および輸送することを支援し、電流のための伝導路を提供するので、創傷充填剤材料としても同様に作用する。
【0045】
本願で使用可能な組成物の別の実施例は、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)であり、その理由は、それが生体適合性であって、創傷内に留置されても分解しないような良好な機械的性質を提供するように調整製造が可能であるからである。ヒドロゲルはまた、伝導性媒体として機能し得るので、ゲル電解質が最も望ましいであろう。いくつかの材料による実験では、高イオン伝導性を有するポリ(エチレングリコール)(PEG):PVA:NH4SCN合成物ゲル電解質が、有利であろうことが実証されている。類似ゲル電解質のいくつかの他の実施例として、ポリ(VC−AN)、ポリ(MMA−VC)、ポリ(スチレン−AN)、およびポリ(スチレン−ブタジエン)が挙げられる。
【0046】
ビード110の設計は、多くの利点を提示する。例えば、ビード110は、創傷床「w」と創傷電極120との直接接触を防止し得る。各ビード110は、実質的に円形/楕円形の断面外形を有してもよい。創傷被覆システム100のビード110の配設は、創傷床「w」との接触面積を増加させ、したがって、創傷床「w」のより大きい面積への電流を可能にする。これは、効果的なE−STIM療法を提供する際の課題の1つである、創傷床「w」へのより均一な電流の分布を提供する。
【0047】
ビード110のサイズは、多数のビード110が創傷床「w」に接触してこの目的を達成するように十分に小さくてもよい。加えて、創傷被覆システム100のビード110の配設は、間質腔(図4Bに示される)を生成することを助長して、創傷電極120を通して、またはその周囲に通気性をもたらし得る。これは、長さLが長さLを上回ることを確実にすることによって、容易に達成可能である。ビード110間の比較的に薄いかまたは短い区画あるいは長さは、例えば、創傷を塞ぐ臨床医によって創傷電極120が巻かれるか、折り畳まれるか、捻られるか、および留置されるように、より可撓性をもたらす。
【0048】
一実施形態では、いくつかの創傷電極120は、ビード110の細長部材112の長さ全体を通して、種々の事前に選択された場所に設置されるか、または配置されてもよい。加えて、ビード110の長さまたは直径Lは、任意のサイズであってもよい(数ミリメートルから数インチ)。また、ビード110の長さは、ビード110の直径に等しくある必要はない。
【0049】
創傷電極120は、所望の用途に応じて、任意の形状またはサイズあるいは幅もしくは長さであってもよい。例えば、創傷電極120は、ビード110の内部を覆うメッシュ設計であってもよい。言い換えると、創傷電極120は、細長部材112のビード110内の中心に配置される必要がない。創傷電極120はまた、細長部材112を通して延在するときに、均一な厚さまたは非均一な厚さであってもよい。異なる位置に、より多いまたは少ない電極を有する複数の電極留置方式を使用することが可能であることが企図される。異なる電極留置方式が所望される場合、創傷電極120および創傷周囲電極340(図3、4A、および4B参照)が、所望に応じて、異なるように設置されることが可能である。
【0050】
一実施形態では、本開示は、既知のシステムと比較して、向上された能力を提供し、患者によって装着される患者監視デバイスとローカルハブとの間に無線通信リンクを提供する患者監視システムに関連してもよい。患者監視システムは、種々の患者の生理学的特性を監視するように適合されてもよい。患者監視デバイスからのデータは、次に、例えば、公衆またはプライベート通信ネットワークを介して、遠隔サーバまたは(例えば、臨床医の)コンピュータに自動的にデータを転送するように構成されるローカルハブに無線伝送されてもよい。
【0051】
一実施形態では、創傷電極120が、ビード110に対して別個に加工され(別個のユニットとして)、次に、単一のユニットを形成するように組み合わされてもよい。代替実施形態では、創傷電極120は、1つのユニットまたは構成要素として、ビード110とともに加工されてもよい。いくつかの別個または一体型加工技法は、当業者によって想定されるであろう。
【0052】
次に、図2を参照すると、本開示による、伝導性の塗膜または外側表面を含むヒドロゲルビードの実施形態の概略図が例示されている。
【0053】
前述のように、ビード110は、ヒドロゲル材料から作製され、およびその中に埋め込まれ、それを通して延在する創傷電極120を含む。各ビード110は、その外側表面上に配置される伝導性材料114を含んでもよい。各ビード110は、任意の均一または非均一な形状またはサイズであってもよく、所望の用途に応じて創傷電極120の任意の部分に設置されてもよい。
【0054】
一実施形態では、各ビード110は、その外側表面の少なくとも一部上に塗膜され、創傷床「w」の略中心等、創傷床「w」(図4Bに示される)の具体的部分への電流の向上を可能にする伝導性材料(例えば、Ag、Ag/AgCl、Cu、Au)を含んでもよい。
【0055】
一実施形態では、創傷被覆システム100のビードの総数のうちの選択数だけのビード110が、伝導性塗膜114を組み込んでもよい。代替として、複数のビードの全ビード110が、伝導性塗膜114を組み込んでもよい。付加的な代替実施形態では、ビード110の表面の一部は、ある種類の伝導性塗膜114(例えば、Ag)を含んでもよく、ビード110の表面の別の部分は、異なる種類の伝導性塗膜(例えば、Ag/AgCl)を含んでもよい。したがって、伝導性塗膜114の異なる組み合わせが、同一細長部材112上に使用され、複数の異なるビード状区画を画定してもよい。
【0056】
別の実施形態では、伝導性塗膜114は、少なくとも部分的に、ビード110の外側表面を封入/包含/巻き込んでもよい。図2に例示されるように、伝導性塗膜114は、帯形状を有する。しかしながら、任意の均一あるいは非均一な形状および/またはサイズもしくは設計/パターンが想定されてもよい。代替実施形態では、ビード110の第1の部分は、1つ以上の伝導性塗膜114によって完全に覆われてもよい一方、ビード110の第2の部分は、1つ以上の伝導性塗膜114によって部分的に覆われてもよい。
【0057】
次に、図3を参照すると、本開示による緊張解放手段または回転子システムが例示され、概して300として指定される。
【0058】
回転子システム300は、回転子320と、回転子320から延在する、絶縁され、接続されたワイヤ330(ピグテール状絶縁伝導性ワイヤ140、342)と、回転子320から延在する周辺創傷電極340と、周辺創傷電極340を包囲する支持層350とを含む。
【0059】
周辺創傷電極340(また、本明細書では「創傷周囲電極」とも称される)は、絶縁シース343を有し、その長さに沿って延在する絶縁支持層350を有する電極部分または伝導性ワイヤ342を含む。創傷周囲電極340は、創傷周囲電極340と皮膚との間にヒドロゲル層を伴って、または伴わずに、利用可能であってもよい。ヒドロゲル層は、無傷皮膚との接触を向上させ、故に、より良好な電流を可能にする。
【0060】
支持層350は、その底面表面上に接着層344(図4B参照)を含み、創傷周囲領域(図4Aに示される)上または創傷床「w」の周囲への容易な固定をもたらす。支持層350は、電流が組織を通ることを確実にするように支援するために、絶縁材料から加工される。支持層350は、布、スパンレース、ビニル、トリコット、またはPolySkin II(Tyco Healthcare Group LP d/b/a Covidien)等の一般的な創傷被覆の層を被覆するために使用される他の材料等、一般的材料から構成されてもよい。
【0061】
創傷周囲電極340のために使用される材料は、創傷電極120のために使用されるものと同一であってもよい。ある実施形態では、支持層350と創傷周囲電極340とは、優れた電流分散を提供する銀焼付布の形態に組み合わされてもよい。
【0062】
創傷電極120および創傷周囲電極340は両方とも、この目的のために一般的に使用される材料から作製されてもよく、例えば、Ag、AgCl、Au、Cu、炭素ゴム、炭素フィルム、アルミニウムフィルムである。電極120、340は、伝導性の材料または塩の中に封入され、ビード110のヒドロゲルと創傷周囲電極340との間の良好な接着または改良された伝導性を確実にしてもよい(例えば、銀電極をAgCl(塩化銀)で塗膜すること、または銀塗膜された炭素電極を提供することによる等)。
【0063】
創傷電極120および創傷周囲電極340は両方とも、プラスチックの緊張解放手段320(本明細書では、「回転子」とも称される)の内側に結合されて、使用時における被覆の容易な管理を可能にし得る。回転子320は、回転移動を許可し、したがって、緊張解放を提供し、電極120、340の両方に作用するための容易な手段を提供する。伝導性ワイヤ140および342(1つずつが各電極120、340につながるが、図示せず)はそれぞれ、絶縁内に収納されてもよく、接続ワイヤ330を形成するようにピグテール状であってもよい。接続ワイヤ330は、回転子320内またはその近傍に位置するコネクタ460(図4Aに示される)まで延在し、容易な接続および切断を可能にし得る。医療電極(例えば、Tyco Healthcare Group LP d/b/a Covidien製TENS電極)に一般的なスナップ特徴が、使用されてもよい。したがって、創傷電極120に通じる伝導性ワイヤ140および創傷周囲電極340に通じる伝導性ワイヤ342は、相互から電気的に絶縁される。しかしながら、ある実施形態では、創傷電極120の細長部材112は、回転子320を通って延在可能であって、カバー層150上に支持され、創傷周囲電極340によって包囲される。
【0064】
次に、図4Aおよび4Bを参照すると、本開示による、創傷電極120および創傷周囲電極340の設置を例示する、貼付創傷被覆システム100を使用する方法が図示されている。
【0065】
図4Aおよび4Bに見られるように、創傷被覆システム100は、創傷床「w」内の適所に示されている。創傷床「w」は、創傷床「w」を包囲する患者の組織と接触する創傷周囲電極340によって、円周方向に包囲されている。支持層350は、創傷周囲電極340の上に位置してもよい。加えて、創傷床「w」は、少なくとも部分的に、1本の創傷電極120によって充填されてもよい。
【0066】
図4Aおよび4Bに見られるように、創傷被覆システム100は、創傷床「w」を被覆/隔離するカバー層150を含む。システム100の創傷電極120は、創傷床「w」内に設置され、システム100の創傷周囲電極340は、外側周縁上または創傷床「w」の外側周辺に沿って設置される。カバー層150は、創傷床「w」および創傷周囲電極340の上に位置するように寸法設定される。回転子320は、カバー層150によって支持され、創傷床「w」内への創傷電極120の通過を可能にする。創傷床「w」は、創傷電極120が、創傷床「w」の表面上に着座し、ビード110が、創傷床「w」内に配設され、それとの間に空間または通路492を画定し、通路492を通して創傷滲出液を通過させるように、創傷電極120によって充填される。
【0067】
カバー層150は、図4Bに示されるように、実質的に創傷床「w」の上に位置し、封入または蓋するように適合される。ある実施形態では、カバー層150が、カバー層150を通して創傷床「w」からの滲出液を通過させるために、実質的に多孔性であり得ることが想定される。「多孔性」とは、本明細書で使用されるように、任意の種類の創傷流体を材料を通過させる多数の小穿孔または細孔を含有する材料を指す。カバー層150はまた、非接着性であってもよい。「非接着性」とは、本明細書で使用されるように、創傷床「w」内およびその周囲の組織に接着しない材料を指す。この構成は、カバー層150の創傷床「w」への最小の「粘着」によって、カバー層150の表面全体を通る流体および滲出液の非拘束流動を可能にし、それによって、カバー層150の表面全体に真空が送達されることを可能にする。
【0068】
カバー層150を通る創傷滲出液の通過は、創傷滲出液が創傷床「w」内に逆流しないように一方向性であることが好ましい。この一方向性の流動特性は、材料層内に付与された指向性開口、カバー層150に対する異なる吸収性の材料の積層、または指向性流動を促す具体的材料選択の形態であり得る。しかしながら、創傷床「w」への薬剤または抗感染薬の供給の目的のために、双方向性層もまた、想定される。
【0069】
創傷床「w」の周囲にカバー層150を密閉または接着するための密閉機構は、創傷床「w」を包囲する組織に塗布される任意の接着剤であってもよい。接着剤は、創傷床「w」、例えば、創傷周囲領域を包囲する組織に許容可能な接着性を提供し、接触を劣化させることなく、皮膚上で使用するために許容可能であるべきである(例えば、接着剤は、好ましくは、非炎症性および非感作性であるべきである)。接着剤は、接触皮膚が呼吸し、湿気を透過するように透過性であってもよい。加えて、接着剤は、熱または所与の流体溶液あるいは化学反応等の外部刺激によって、活性化もしくは不活性化され得る。接着剤として、例えば、Tyco HealthCare Group LP d/b/a CovidienのCURAFOAM ISLANDTM被覆と併用される接着剤等の医療グレードのアクリル、あるいは皮膚にやさしく、かつ非炎症性である、任意のシリコーンまたはゴム系医療用接着剤が挙げられる。
【0070】
カバー層150は、典型的には可撓性材料であって、例えば、創傷床「w」の上部を密閉する弾性またはエラストマー系であってもよい。例示的可撓性材料として、Tyco Healthcare Group LP d/b/a Covidienによって、PolySkin IIの商標名で製造されている透明被覆が挙げられる。好ましくは、カバー層150は、透明であって、細菌に対する障壁および流体含有を提供する。カバー層150は、高水蒸気透過率(MVTR)を提供し、フィルムを通して、滲出液の通過をもたらす、透過性プラスチックフィルムから製造されてもよい。そのようなフィルムは、ポリウレタン、通気性ポリオレフィン、またはコポリエステルから製造され得る。カバー層150の透過性は、創傷「w」の治癒の状態の視覚確認を可能にする。代替として、カバー層150は、水蒸気に対して非透過性であってもよい。
【0071】
使用時に、創傷床「w」内に配置される創傷電極120のビード110は、創傷床「w」の形状に一致するように、自然に配設される。特に、ビード110は、図4Bに示されるように、創傷の遠隔領域内へと移動する、すなわち、創傷「w」内へと「掘進」する。カバー層150は、患者の周辺皮膚に接触して留置され、接着剤等によって、そこに固着されてもよい。図4Aおよび4Bに見られるように、次いで、真空コネクタ170が、カバー層150に固着され得、次いで、導管172が、真空コネクタ170に接続され得る。次いで、陰圧源「VS」が起動され、したがって、創傷床「w」内に減圧状態を生成し得る。ポンプ作用が進行するとき、ビード110は、その形状を維持し、それによって、創傷滲出液が創傷床「w」から外に流動する通路492を生成および/または維持する。
【0072】
さらなる使用時に、創傷電極120のビード110が、可撓性の電極構成のため、容易な適用を可能にするように構成されてもよい。例えば、臨床医は、最初に、創傷床「w」を充填するために、それを捻回、捻転、または折重することによって、創傷床「w」内に創傷電極120のビード110を留置することが想定される。生理食塩水に浸漬されたガーゼ(例えば、Tyco Healthcare Group LP d/b/a Covidien製Kerlix AMD)がまた、ビード110の層間の創傷床「w」内に留置され、滲出液を処理し、輸送することを支援可能である。
【0073】
創傷電極120による創傷床「w」の充填後、臨床医は、創傷周囲電極340を創傷床「w」の周囲に留置可能である。創傷周囲電極340は、被覆層を剥離して、接着層344(支持層350の底面側にある)を曝露し、それを使用して創傷周囲電極340を患者の無傷の皮膚に固定することによって、留置される。創傷周囲電極340は、好ましくは、可撓性であるので、ユーザは、創傷床「w」の周辺輪郭を辿るように、創傷周囲電極340を適用可能である。
【0074】
創傷電極120および創傷周囲電極340は、電極120、340が両方とも創傷の輪郭および創傷周囲領域に嵌着するように容易に作製可能であるので、種々の形状に事前に切断される必要がない。臨床医による管理が要求される創傷電極120の唯一の寸法は、電極長さである。創傷/創傷周囲電極120、340のいずれかが長過ぎる場合、要求されないいかなる長さも、遠位端をハサミで裁断可能である。ハサミによる裁断は、容易かつ直観的であって、特定の創傷のための創傷被覆構成要素の寸法設定を支援するために、臨床医によって非常に一般的に使用される。
【0075】
加えて、カバー層150は、創傷床「w」と外部環境との間に障壁を形成するために、接着層344を使用して創傷床「w」上に取着される。カバー層150はまた、創傷周囲電極340を固定するために使用される支持層350上に延在可能であって、したがって、支持層350が剥離する可能性を低減させる。カバー層150が創傷床「w」上に留置されると、臨床医は、創傷電極120の伝導性ワイヤ140が、電圧源との連絡を可能にするために、回転子システム300を通って創傷床「w」から出ることを確実にする(図5Aおよび5Bを参照して説明される)。
【0076】
前述のように、適所にある創傷被覆システム100によって、臨床医は、電圧源530および真空源を所定の治療設定に起動する。電圧源530が起動されると、電流が、電圧源530から創傷電極120、創傷床「w」を画定する組織内、創傷周囲電極340、そして電圧源530へと戻るように、および/または設定に応じて逆に、送達される。このように、電気回路は、創傷床「w」を画定する組織を介して電流を循環させるように形成され(図4Bの矢印「F」によって示されるように)、それによって、その治療/治癒を補助する。
【0077】
次に、図5Aを参照すると、本開示による、電圧源530の設置を例示する、創傷電極120および創傷被覆システム100の使用および適用の方法が図示されている。創傷被覆システム500は、創傷被覆システム100に実質的に類似し、したがって、その構造および/または使用を説明する必要の程度においてのみ本明細書に詳細に論じられる。
【0078】
創傷被覆システム500は、床「w」を被覆するカバー層150を含み、電圧源530は、創傷床「w」内に設置される。図5Aに見られるように、電圧源530は、創傷電極120の上方の創傷床「w」内に留置され、カバー層150によって、またはその下に捕捉される。
【0079】
それぞれ、接続ワイヤ330を形成し、回転子320から出る創傷電極120および創傷周囲電極340の接続または伝導性ワイヤ140、342は、好適なコネクタ460によって電圧源530に接続される。電圧源530は、特定の患者に対して適切なDC、パルスDC、AC、または任意の他の好適な電流を伝導性ワイヤ140、342に提供する。電圧源530は、臨床医によって所望の電流プロファイルを提供するように、内蔵されたソフトウェアによって制御される電子機械的デバイスであってもよい。この外的に印加される電流は、損傷身体組織によって自然に発生する電流の流れを模倣し、および向上させ、したがって、創傷治癒プロセスを加速させる。
【0080】
次に、図5Bを参照すると、本開示による電圧源530の設置を例示する、創傷電極120および創傷被覆システム100の使用および適用の方法が図示されている。創傷被覆システム500は、創傷被覆システム100に実質的に類似し、したがって、その構造および/または使用を説明する必要の程度においてのみ、本明細書に詳細に論じられる。
【0081】
図5Bの実施形態では、電圧源530は、その上方および周囲にカバー層のいくつかの区画を留置することによって、創傷周囲電極340に接近した、創傷周囲領域内に添着される。
【0082】
創傷電極120は、正のエネルギー極として作用し、創傷周囲電極340は、負のエネルギー極として作用するか、またはその逆であってもよく、それによって、その間に電流路を生成し、創傷床「w」の表面に治療効果をもたらし、その治癒プロセスを向上させることが想定される。電流は、継続的に印加されるパルスとして印加されるか、具体的な時間期間の間、印加されるか、またはそれらの組み合わせであってもよいことが想定される。
【0083】
本開示のある側面によると、複数のヒドロゲルビードは、非伝導性ワイヤ、フィラメント、糸、紐等によって、撚線として接続されてもよいことが想定される。撚線として接続される複数のヒドロゲルビードを有することによって、エンドユーザ(例えば、外科医、看護士等)に、複数のヒドロゲルビードにより優れた創傷の装填を可能にし、また、複数のヒドロゲルビードの残留をもたらし、その有用寿命またはある所定の時間期間後、複数のヒドロゲルビードが撚線として接続されるので、創傷からより容易に除去可能となる。
【0084】
本明細書に説明される先行する実施形態のいずれかでは、本開示は、既知のシステムと比較して、向上された機能的能力を提供し、患者によって装着される患者監視デバイスとローカルハブとの間に無線通信リンクを提供する患者監視システムに関連してもよい。患者監視システムは、種々の患者の生理学的特色を監視するように適合されてもよい。患者監視デバイスからのデータは、次に、例えば、公衆またはプライベート通信ネットワークを介して、遠隔サーバまたは(例えば、臨床医の)コンピュータに自動的にデータを転送するように構成される、ローカルハブに無線伝送されてもよい。
【0085】
例示される実施形態は、例示の目的のためであって、複数のビードを有する、創傷被覆システムの多数の他の構成が存在することを理解されたい。故に、例示され、説明される実施形態はそれらの実施形態のみに、本発明の主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0086】
本開示の例示的実施形態が、添付の図面を参照して、本明細書に説明されたが、本開示は、それらの正確な実施形態に限定されず、種々の他の変更および修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によって、達成されてもよいことを理解されたい。
【0087】
本明細書に記載され、前述のような本発明の教示の恩恵を享受する、当業者は、それに修正を及ぼしてもよい。そのような修正は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあると解釈されたい。
【0088】
創傷被覆システムの具体的特徴が、図面の一部に示され、その他には示されないが、これは、便宜上のためだけであって、各特徴は、本開示の側面による、他の特徴の一部または全部と組み合わせられてもよい。他の実施形態も、当業者に想起され、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆システムであって、
創傷にわたって位置するように構成される流体透過性カバー層であって、該創傷からの滲出液が該カバー層を通過することを可能にするように構成されるカバー層と、
該創傷内に設置可能であり、該カバー層によって該創傷の中に保持される複数のビードであって、絶縁され、相互接続された細長部材を画定するビードと、
該細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通って延在する電極と
を備え、外部エネルギー源によって生成された電流が、該電極を電気的に流れる、システム。
【請求項2】
前記創傷に減圧を供給する導管をさらに備える、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項3】
前記複数のビードは、ヒドロゲル材料から作成される、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項4】
前記埋め込まれた電極は、前記細長部材の全長を通って延在する、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項5】
前記複数のビードのうちの各ビードは、第1の長さを有し、
該複数のビードのうちの隣接するビードは、第2の長さだけ相互から分離され、
該第1の長さは、該第2の長さを上回っている、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項6】
前記複数のビードのうちの少なくとも1つのビードの一部は、伝導性塗膜を含む、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項7】
前記伝導性塗膜は、Ag、Ag/Cl、Cu、Au、炭素ゴム、炭素フィルム、およびアルミニウムフィルムのうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の創傷被覆システム。
【請求項8】
周辺電極と、該周辺電極と動作可能に連絡している回転子とをさらに備える、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項9】
前記周辺電極に固着され、該周辺電極を適所に固着するように構成される支持層をさらに備える、請求項8に記載の創傷被覆システム。
【請求項10】
前記支持層は、少なくとも部分的に、前記周辺電極の上に位置し、前記創傷の周辺に沿って設置される、請求項9に記載の創傷被覆システム。
【請求項11】
前記流体透過性支持層の中に埋め込まれた電圧源をさらに備える、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項12】
前記電圧源は、前記細長部材の一端に設置される、請求項11に記載の創傷被覆システム。
【請求項13】
前記電圧源は、前記細長部材を少なくとも2つの部分に分割するように設置される、請求項11に記載の創傷被覆システム。
【請求項14】
前記複数のビードのうちの各ビードは、隣接するビード間に画定される空間を通る、前記滲出液の通過を促進するほど十分に剛性である、請求項1に記載の創傷被覆システム。
【請求項15】
創傷被覆構成を製造する方法であって、該方法は、
流体透過性カバー層を提供するステップであって、該カバー層は、創傷にわたって位置するように構成され、該創傷からの滲出液が該カバー層を通過することを可能にするように構成される、ステップと、
該創傷内に設置可能な複数のビードを提供するステップであって、該ビードは、絶縁され、相互接続された細長部材を画定する、ステップと、
該細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通って延在する電極を提供するステップと
を含み、外部エネルギー源によって生成された電流が該電極を電気的に流れる、方法。
【請求項16】
前記創傷に減圧を供給するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のビードは、ヒドロゲル材料から作成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記埋め込まれた電極は、前記細長部材の全長を通って延在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のビードのうちの各ビードは、第1の長さを有し、
該複数のビードのうちの隣接するビードは、第2の長さだけ相互から分離され、
該第1の長さは、該第2の長さを上回っている、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のビードのうちの少なくとも1つのビードの一部は、伝導性塗膜を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記伝導性塗膜は、Ag、Ag/Cl、Cu、Au、炭素ゴム、炭素フィルム、およびアルミニウムフィルムのうちの少なくとも1つである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
周辺電極と、該周辺電極と動作可能に連絡している回転子とを提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記創傷にわたって位置して、該創傷の中に前記ビードを実質的に封入するように適合されるカバー層を提供するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも部分的に前記外側部材の周辺に沿って前記周辺電極を設置するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記流体透過性支持層の中に電圧源を埋め込むステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記細長部材の一端に前記電圧源を設置するステップをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記電圧源は、前記細長部材を少なくとも2つの部分に分割するように設置される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のビードのうちの各ビードは、隣接するビード間に画定される空間を通る、前記滲出液の通過を促進するほど十分に剛性である、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
創傷被覆構成を使用する方法であって、該方法は、
複数のヒドロゲルビードを創傷内に留置することであって、該ビードは、(i)絶縁され、相互接続された細長部材を画定し、(ii)該細長部材の少なくとも一部の中に埋め込まれ、それを通って延在する電極を有する、ステップと、
周辺創傷電極をヒトに留置するステップと、
カバー層が該創傷と外部環境との間に障壁を形成するように、該カバー層を該創傷上に取着するステップと、
エネルギーを該埋め込まれた電極および該周辺電極に伝達するステップと、
該埋め込まれた電極および該周辺電極に伝達される該エネルギーを監視するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2013−500839(P2013−500839A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523939(P2012−523939)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044497
【国際公開番号】WO2011/017489
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】