説明

内部スクリーンを有するガスケット及びその製造方法

【課題】油圧油を濾過するためのワイヤメッシュスクリーンを分離する必要性をなくす。また、油圧ユニットのための改良されたガスケットの製造方法を提供する。
【解決手段】油圧ハウジングのためのガスケット16及びその製造方法であって、ガスケット16は、第1と第2の面を有する金属体の第1と第2の面に、ラバーをコートし、次に、ラバーコーティングの一領域を、レーザ26によって焼き取り、次に、その領域に、レーザ26を使用して、ガスケット16を通過して流れる油圧油を瀘過しうる複数の孔を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニットに関する。より具体的には、本発明は、油圧ポンプのためのガスケット、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ユニットにおいては、流体によって運ばれて来た汚染粒子が、油圧ユニットの制御部へ流入するのを阻止するために、しばしばスクリーンが使用される。スチールからなる環状体内に、ワイヤメッシュの一部を挿入し、このワイヤメッシュを保止保持するスチールキャリアを、圧着或いはスエージ加工したスクリーンは、当該技術分野において公知である(図3)。
【0003】
次に、スチール体の環状体は、コントロールハウジング内へ圧入される。前記スクリーンは、制御部とポンプアセンブリの製造者において、追加の部品と追加の時間を必要とするため、コストは増すことになる。更に、時として、スクリーンのワイヤメッシュから小さなワイヤが外れて、油圧油を汚染することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の主目的は、油圧油を瀘過するためのワイヤメッシュスクリーンを分離する必要性をなくすことである。
【0005】
本発明の他の目的は、油圧ユニットのための改良されたガスケットの製造方法を提供することである。
【0006】
これら及び他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明白になると思う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
油圧ハウジングのための、第1と第2の面を有する金属板を備えるガスケットである。これらの第1と第2の側に配されるラバーコートがある。次に、レーザは、金属体上の一区域からラバーを焼き取るために使用され、レーザにより、複数の開口が、この区域の金属体内に生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、複数の流体通路14を有する油圧ハウジング12を備える油圧ユニット10を示している。ガスケット16が、油圧ユニット10のハウジング12に取付けられ、流体がそれを通過しうるようになっている。
【0009】
図2に最も良く示されているように、ガスケット16は、金属体である金属板18の表裏面20、22上に、ラバーコーティング23を施したものである。ラバーコーティング23の一部24は、レーザ26で焼き取られ、この部分に、レーザによる複数の孔28が設けられている。
【0010】
ガスケット16を有する油圧ユニット10を形成する際に、ガスケット16を製造するには、まず、表面20と裏面22を有する金属板18を用意する。次に、表面20と裏面22に、ラバーコーティング23を施す。この際に、ラバーコーティング23の一部を、金属板18の表面から焼き取り、金属体18の両面の一部24を露出面とする。次に、レーザ26により、この露出面24に多数の孔28をあける。ついで、ガスケット16を、ハウジング12に固定すると、圧力油は、ガスケット16を通過して流れ、汚染粒子はガスケット16で捕捉されて、油圧ユニット10内の油圧油は効果的に瀘過される。
【0011】
レーザ26を使用して、ガスケット16に多数の孔28をあけるため、瀘過のためにスチールワイヤメッシュのスクリーンを使用する必要はない。そのため、このスクリーンの製造を安価に行うことができ、かつスクリーンの一部が分離されて、油圧油を汚染する可能性は小となる。従って、上述の目的の少なくとも全てが満たされることとなる。
【0012】
他の種々の変更を、本発明の精神と範囲から逸脱することなくなしうることは、当業者にとっては理解しうると思う。このような変更及び変化の全ては、特許請求の範囲内に含まれ、かつそれによってカバーされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ガスケットを有する油圧ハウジングの前方斜視図である。
【図2】ガスケットとレーザの前方斜視図である。
【図2A】図2の2A−2A線で囲んだ部分のガスケットの斜視図である。
【図2B】図2の2B−2B線に沿って切断したガスケットの拡大断面図である。
【図3】従来のガスケットの前方斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
10 油圧ユニット
12 ハウジング
14 流体通路
16 ガスケット
18 金属板
20 表面
22 裏面
23 ラバーコーティング
24 コーティングの一部(露出面)
26 レーザ
28 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ハウジングのためのガスケットであって、
第1の面と第2の面を有する金属体、
前記第1の面と第2の面に設けられているラバーコーティング、及び
前記金属体にレーザ加工により設けた複数の孔を備える油圧ハウジングのためのガスケット。
【請求項2】
前記金属体は、スチール板である、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記ラバーコーティングを、前記金属体上の一部領域から除去し、前記複数の孔を、前記ラバーコーティングを除去した領域に配置してなる、請求項1に記載のガスケット。
【請求項4】
前記領域は、前記金属体上に配置されている、請求項3に記載のガスケット。
【請求項5】
前記油圧ハウジングに固定しうるようになっている、請求項1に記載のガスケット。
【請求項6】
油圧ハウジングのためのガスケットの製造方法であって、
第1と第2の面を有する金属体を提供するステップ、
前記金属体の第1の側と第2の側を、ラバーでコートするステップ、及び
前記金属体にレーザによって複数の孔を設けるステップとを備える方法。
【請求項7】
前記金属体は、スチール板である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の孔を設ける前に、前記金属体上の一領域から、前記ラバーの一部分を除去するステップを更に備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の孔を、前記ラバーを除去する場所に設ける、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記領域は、前記金属体上に位置している、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−304058(P2008−304058A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−127852(P2008−127852)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(501004464)サウアー ダンフォス インコーポレイテッド (31)
【Fターム(参考)】