説明

内部切削加工用切削工具の送り装置

切削加工する工作物内部に位置するポジションに静的切削工具を送ることが可能な装置。同切削工具は、工作物内部に少なくとも1つの面を切削加工するために使用される。同切削工具は、少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを有する電子制御工作機械を併用して操作可能とされる。切削工具本体は、少なくとも1つのカッタおよび電子制御工作機械の軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを受容するのに適した開口を有する。可動のキャリッジが、工具本体が電子制御された工作機械の軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルとの同軸整合から離隔されるホームポジションと、工具本体の開口が電子制御された工作機械の軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して同軸に調芯されるレディーポジションとの間で、工具本体を解放可能に支持しかつ移動させるために使用することが可能とされる。同キャリッジは、電子制御された工作機械の移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して切削工具本体の支持をキャリッジがレディーポジションにあるときに移動させるために使用することが可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工する工作物内部に軸方向および半径方向に位置するポジションに静的切削工具を送るための切削工具の送り装置に関する。切削工具は、工作物の少なくとも1つの内面を切削加工する工具とされ、例えばプログラマブルコントローラ(PC)もしくはコンピュータニューメリカルコントローラ(CNC)等、およびこれらに限らず、電子制御された工作機械と併用して作動可能とされる。工作機械は、切削工具を工作物内部の所定位置に送った後に切削工具に形成された駆動開口に係合可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを有する。
【背景技術】
【0002】
例えばディファレンシャルケース等、およびそれに限らず、部品の内面を切削加工するための知られている切削工具は、工作物の面の切削加工が望まれる部位まで切削工具を担持するための支持ブラケットもしくはハンガーを備える。所望の部位に位置付けされたときに、ドライブ/サポートスピンドルが切削工具に係合して切削加工作業を行い、一方切削工具は依然支持ブラケットもしくはハンガーによって支持される。切削工具を所望の部位に支持ブラケットもしくはハンガーによって送るには、工作物の所望の面の切削加工が必要な部位に到達する大きな開口もしくはアパーチャが工作物に必要とされ、かつ/または回旋形状部および/または回旋状の送り経路が必要とされる。大開口もしくはアパーチャは、部品の特別の工学設計を要する工作物に関して構造上の問題を生起させ、そのために部品コストを増大させる可能性があり、あるいは支持ブラケットもしくはハンガーの特別の工学設計を要し、そのために切削工具送り機械のコストを増大させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明においては、工作物に大開口またはアパーチャ、および/または回旋形状の支持ブラケットもしくはハンガーおよび/または回旋状工具送り経路を形成する必要なく、切削加工する工作物内部に静的切削工具を軸方向および半径方向に位置するポジションに送るための切削工具送り装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、切削工具送り装置は、切削加工する工作物内部に半径方向および軸方向に位置する所定のポジションに切削工具を送ることが可能とされ、かつ切削加工操作中、切削工具をドライブ/サポートスピンドルによって支持するように移動させることが可能とされる。工作物および/またはドライブ/サポートスピンドルの相対的位置は、プログラマブルコントローラ(PC)もしくはコンピュータニューメリカルコントローラ(CNC)制御された機械(本明細書では総括的に電子制御機械または工作機械と称す)によって制御され、切削加工する工作物の所望の面に切削工具を係合させることが可能とされる。本発明は、工作物の少なくとも1つの内面を切削加工するための工具を開示する。本発明による工具は、工作物内部の所定位置に切削工具を送った後に、切削工具に形成された駆動開口に係合可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを有するPCまたはCNC制御機械と併用して操作することが可能とされる。本発明による工具キャリヤは、切削工具に解放可能に結合されて、ドライブ/サポートスピンドルとの軸方向調芯から離隔した後退もしくはホームポジションと、ドライブ/サポートスピンドルと軸方向および半径方向調芯した延長もしくはレディーポジションとの間で移動可能とされる。レディーポジションのときは、切削工具の支持は、ドライブ/サポートスピンドルに移動またはドライブ/サポートスピンドルから移動可能とされる。ドライブ/サポートスピンドルに移動のときは、ドライブ/サポートスピンドルは切削工具本体に形成された駆動開口を介して係合するように操作される。ドライブ/サポートスピンドルから移動のときは、ドライブ/サポートスピンドルは切削工具本体に形成された駆動開口から離脱するように操作される。工具キャリヤは、切削工具本体を支持する少なくとも1つの解放可能なスピア部材を含むことが可能とされる。
【0005】
本発明は、例えばPCもしくはCNC制御ステーション等、およびこれに限らず電子制御された工作機械に結合する統合自動化モジュールとすることが可能とされ、かつ少なくとも1つのオプショナルセンサ/スイッチ/信号を、例えばCNCコントローラ、もしくはコンピュータ化されたコントローラ、もしくは中央処理コントローラ、もしくはネットワーク化されたコントローラ、もしくはプログラマブルコントローラ(PC)等、およびこれらに限らず、電子制御された工作機械に返すことが可能とされる。CNCステーションは、一般的にサブスピンドルを備える2軸CNC旋盤を有することが可能とされる。本発明による工作機械は、手動式、トランスファー、ロータリダイアル、フライス加工、ターンミル、テールストック、あるいはCNCまたはPC制御された多軸もしくは単軸を含むいかなる組合せの形態とすることも可能とされる。本発明は、部品切削加工に要求されるどんな偏心角をも受け入れて半径方向指向の工具挿入を果たす柔軟性を以て付属具に付設することを可能とする。本発明は、多くの様々な部品を受け入れる早替え式として設計される。同系列の部品であれ、無関係の非系列部品であれ、すべて付属具早替えのポストおよび/またはキャップアレンジメントの柔軟性によって切削加工することが可能とされる。他の早替え付設方法は、独特のCNCステーション要求事項に適合することが条件とされる。本発明は、例えばギヤアンドラックコンビネーションを初めとして、これに限らず無数の様々な方法によって作動可能とされ、かつ手動オペレータ介在、エア、クーラント、電動機および/または液圧系による動力駆動が可能とされる。本発明は、例えば球面シートカッタ、サイドギヤカッタ、および/または他の各種工具類、およびこれらに限らず、切削工具本体の切削加工する部品内への挿入を自動化することが可能とされる。切削加工される部品は、例えばディファレンシャルワークピースもしくはボディとすることが可能とされ、かつこれに限らない。
【0006】
操作においては、本発明は、切削工具を部品内部に位置付けする方法工程を含むことが可能とされる。位置付け工程は、工程の進行シーケンスにより開始することが可能とされる。このサイクルは切削加工する部品内部の所定位置に静的切削工具を軸方向および半径方向に位置付けすることが可能とされる。工具が位置付けされた後、静的駆動半径方向指向主軸もしくはスピンドルが切削工具本体内に進入され、例えば複数の雄雌スプラインまたはドライブ等、およびこれらに限らず、相互に係合可能な少なくとも一対の相補的表面を介して係合が生成される。切削工具本体を主軸に係合後、支持ブラケットおよび/または少なくとも1つの支持スピアを対応する切削工具開口から後退させ、切削工具本体の支持を工具キャリヤから主軸に移動させ、かつ切削加工プロセス中は主軸に取付けの切削工具本体を切削加工する部品内部に留めることが可能とされる。スピンドルの回転が開始され、工具の回転が始められ、切削加工プロセスが遂行される。切削加工プロセスの完了後、後退シーケンス工程の開始が可能とされる。このサイクルは進行シーケンスの逆順に遂行して、切削工具本体を主軸から少なくとも1つの支持ブラケットおよび/または工具キャリヤの少なくとも1つのスピアに移動させ、切削加工された部品から取り外すことが可能とされる。
【0007】
本発明は、切削工具本体が工具キャリヤの少なくとも1つの支持ブラケットおよび/または少なくとも1つのスピアに結合されているかどうか判断するための少なくとも1つのセンサおよび/またはスイッチを含むことが可能とされる。切削工具本体は主軸に対して所望の角位置に指向され、同じ指向で送られて工具キャリヤの支持ブラケットもしくはスピアに係合される。本発明は、切削工具本体が切削加工する部品の内部の所定位置に適切に置かれているかどうか判断するための少なくとも1つのシステムレディセンサおよび/またはスイッチを含むことが可能とされる。本発明は、駆動主軸に置かれたクロスピン開口カッタを含むことが可能とされる。本発明は、工作物付属具に置かれた駆動主軸のブシュを含むことが可能とされる。本発明は、切削工具本体および/または少なくとも1つの支持スピア、および/または少なくとも1つのセンサ/スイッチのツールフリー切換を含むことが可能とされる。本発明は、ホームおよびレディーポジションに加えて工具交換または点検ポジションを含むことが可能とされる。本発明は、例えばイヤアンドポストコンフィグレーション等、およびこれに限らず、早替え接続を含むことが可能とされる。本発明は、例えば、少なくとも1つのガイドバーを介するシステムクーラントを、かつこれに限らず含むことが可能とされる。本発明は、切削加工する部品に対して切削工具本体の送り角の手動および/または自動化された角度調節をするための調整可能なアンギュラマウントを含むことが可能とされる。本発明は、往復動工具キャリヤの行程の少なくとも一方の端付近で作動可能な少なくとも1つの緩衝装置、もしくは往復動工具キャリヤの行程のそれぞれの端付近で作動可能な少なくとも1つの緩衝装置を含むことが可能とされる。
【0008】
本発明の他の用途は、本発明の実施を意図した最良の形態に関する以下の説明を添付の図面と共に読解したときに当業者には明らかになろう。
添付の図面においては、幾つかの図を通して同様の参照符号は同様の部品を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図5を参照すると、本発明による装置10は、例えばディファレンシャルケースパーツ、球面シート、サイドギヤ、および/またはピンホールシャフトボア等かつこれに限らず、部品内面の切削加工用に好適とされる。切削加工作業は、個別の用途の所望により逐次あるいは同時に行うことが可能とされる。本発明による切削工具送り装置10は、切削加工される工作物14内部の軸方向および半径方向に位置するレディーポジションに静的切削工具12を送ることが可能とされる。切削工具12は、図5で最もよく分かるように、工作物14の少なくとも1つの内面16を切削するために使用可能とされる。切削工具12は、同工具12に形成された駆動開口20に係合可能な少なくとも1つの軸方向可動ドライブ/サポートスピンドルもしくは主軸18を有するPCもしくはCNC制御(CNC)機械と併用して作動可能とされる。図5乃至図7で最もよく分かるように、主軸18は、切削工具12が工作物14内部のレディーポジションに送られた後に駆動開口20内に係合可能とされる。
【0010】
一般に、CNC機械は、加工される工作物の特定の形態用に特別に構成されたワークピースネスト22を含む。例示のため、ディファレンシャルケース工作物14用のワークピースネスト22について以下に説明する。ワークピースネスト22は、工作物14に関係するフランジ26を受けるための上面24を含むことが可能とされ、かつ側壁アパーチャ28を有する工作物14をワークピースネスト22の壁面32に形成されたアパーチャ30に揃えて指向するように設計することが可能とされる。ワークピースネスト22は、同ネスト22の対向側面に相互に正対して外向きに延出するスリーブ34、36を含む。同軸孔38は、外向きに延出するスリーブ34、36のそれぞれを通して延在し、CNC機械の駆動主軸もしくはスピンドル40、42の内向き挿入を可能とする。
【0011】
切削工具送り装置10は、外向きに延出するスリーブ34、36の外周に取り付けられるフレーム44を含むことができる。フレーム44は、同軸孔38の長手軸に対して所望角度の位置に手動あるいは自動調整可能とされる。外向きに延出するスリーブ34、36には、フレーム44に関係する平坦面50、52と係合可能な少なくとも一対の共面平坦部46を設け、それによってフレーム44のワークピースネスト22に対する適切な整合および指向を簡素化することが可能とされる。フレーム44を孔38の長手軸および外向きに延出するスリーブ34、36あるいはスリーブ34、36に対して様々な角度位置に指向し、ネスト22の壁面32に対して回動可能とするには、更に別の共面平坦部の対を、ワークピースネスト32を通る同軸孔38の長手軸に対して様々な角度指向で設けることが可能とされる。フレーム44は、図1乃至図3で最もよく分かるように、少なくとも1つのガイドレール54を支持する。図示の構成においては、2つのガイドレール54がフレーム44に結合して設けられ、それによってキャリッジ56の往復動を図4に示すレディーポジションとワークピースネスト22を通る同軸孔38の長手軸から半径方向に離隔されたホームポジションとの間で案内する。キャリッジ56は、駆動装置58の作動に応じてガイドレール54沿いに摺動して機能するように案内され、それによってキャリッジ56はホームポジションとレディーポジションとの間で移動することが可能とされる。駆動装置58は、例えばラック60およびピニオン62構成等、これに限らず含むことが可能とされ、それによってキャリッジ56をホームポジションとレディーポジションとの間で駆動する。あるいは更に、駆動装置58は、例えば流体作動シリンダ、ハイドロリックシリンダ、ニューマチックシリンダ、電動機、ソレノイド、ハイドロリックモータ、ニューマチックモータ等々、およびこれらに限らず適切な構成によって作動することが可能とされる。
【0012】
図2で最もよく分かるように、キャリッジ56は、回動可能なスウィングアームアセンブリ(Swing Arm Assembly)66の外側端部に位置する切削工具マウントもしくはスピア64を含む。スウィングアームアセンブリ66は、軸線中心に回動することにより、ブラケットを図3に示すように、切削工具マウント64に取り付けられた切削工具12を取外しおよび/または交換するためのサービスポジションに位置付けし、かつキャリッジ56のホームポジションとレディーポジションとの間の進行方向に合わせたワークポジションに位置付けすることによって切削工具(近接)12を、ワークピースネスト22の壁面32に形成された開口30を介しかつ工作物14の側壁開口28を介して同軸孔38の長手軸に調芯させることが可能とされる。スウィングアームアセンブリ66をサービスポジションとワークポジションとの間で回動させるため、第2駆動装置68を設けることが可能とされる。第2駆動装置68は、例えば電動機、ハイドロリックモータ、ニューマチックモータ、ソレノイド、ハイドロリックシリンダ、ニューマチックシリンダ等々、およびこれらに限らず、当業者に知られた適切な駆動装置とすることが可能とされる。センサ/スイッチ70をスウィングアームアセンブリ66の外側端部の切削工具マウントもしくはスピア64付近に設け、それによって切削工具マウントもしくはスピア64に係合して作動する切削工具12の存在を検知することが可能とされる。センサ/スイッチ70は、例えばマグネチックリードスイッチ、電子式感圧センサ/スイッチ、あるいは背圧モニタに関係するニューマチックパセッジ等々とすることが可能とされるが、これらに限らない。キャリッジ56は、フレーム44に支持される各ガイドレール54と摺動係合するための案内孔72を含むことが可能とされる。スウィングアームアセンブリ66は、シャフト74に取り付けられ、第2駆動装置68の作動に応じてシャフト74の長手軸中心に回動可能とされる。スウィングアームアセンブリ66は、図3に示すワークポジション、工具交換ポジションおよびサービスポジションの間を円弧角分移動することが可能とされる。
【0013】
次いで図6及び図7を参照すると、切削工具マウントもしくはスピア66は、コレット76を含むことが可能とされ、同コレットは、これに沿って位置付けされた切削工具保持ノブ78付きとしてもノブ無しとしてもよい。任意選択的に、切削工具を解放可能に受けるための少なくとも1つの取付スピアもしくはコレットは、例えば、保持ノブ78等の切削工具固定機構、あるいは締り嵌めもしくは摩擦嵌合、あるいは弾撥もしくはばね材料嵌合、あるいは伸縮式の爪、機械的フィンガ、楔、グリッパ、挟着材、あるいはばね付勢ボール、あるいは磁石、あるいは真空、およびそれらを併用したもの等々を組み込むことが可能とされるが、これらに限らない。切削工具保持ノブ78は、図6に示すように、コレット76の外側端部付近に置くことも、あるいは例えば図7に示すようにコレット76の長手方向長さ沿いに概ね中程とする等、およびこれに限らず他に所望の位置に置くことが可能とされる。切削工具保持ノブ78は、切削工具12の取付孔80に係合して機能しかつ同孔80を介して相互作用する。切削工具12はまた、ノブ78と相互作用する付勢された保持装置を含むことが可能とされ、それによってコレット76を切削工具12の取付孔80に挿入可能とし、かつスウィングアームアセンブリ66と連動する切削工具12をレディーポジション、ホームポジション、サービスポジション、工具交換ポジションおよびワークポジション間で運動中、機能可能に解放されるまで保持する。例えば、ばね付勢保持機構は、かつこれに限らず、保持可能なスウィングアームアセンブリ66の外側端部に位置するコレット76に切削工具12を保持するために設けることが可能とされる。ばね付勢保持装置は、アングルドカムもしくは湾曲カムまたはローラ面を介してノブ78と相互作用することにより、コレット76を取付孔80に対し挿入または引抜きする所定の長手方向に指向された力に応じてコレット76を取付孔80に挿入かつ取付孔80から取り外すことが可能とされる。
【0014】
次いで図8を参照すると、本発明による装置10は、静的切削工具12を切削加工する工作物14内部に軸方向および半径方向に位置付けされたレディーポジションに送るように作動することが可能とされる。作動の方法は、図8のステップ100に示すように、切削加工する部品もしくは工作物14を、ワークピースネスト22内に手動あるいは自動装置により位置付けすることを含む。同方法はステップ102へと続き、キャリッジ56が前に進められて、静的切削工具12をワークピースネスト22内に置かれた部品14内のレディーポジションに移動させることが可能とされる。静的切削工具12が工作物14内部のレディーポジションにあるときに、ステップ104に示すように、少なくとも1つの半径方向に調芯された主軸もしくはスピンドル40、42を進行させて、切削工具12に形成された、同軸に調芯された駆動開口20内に係合させることが可能とされる。ステップ106においては、駆動主軸40、42が切削工具12の駆動開口20内に係合されて機能する状態で、キャリッジ56をホームポジションに後退させ、静的切削工具12が他と無関係に主軸40、42によって支持された状態とすることが可能とされる。方法は次いでステップ108へと続き、切削工具12は駆動主軸40、42と共に回動して、ワークピースネスト22内に置かれた部品14の少なくとも1つの内面16を切削加工する。駆動主軸40、42は、切削工具12を長手方向に移動させ、切削加工する工作物14の内面16に係合可能とされることを認識されたい。切削工具12の運動は、当業界で多くハンガー、支持ブラケットもしくはホールディングシャフトと称されていた従来知られた支持形態のように、支持スウィングアームアセンブリ66との係合が続くことによって妨げを受けることはない。スウィングアームアセンブリ66もしくはハンガーとの継続接触を廃したことにより、切削加工する工作物14に拡大した孔を特別に設計する必要なく切削工具12を操作してどの所望位置にも入れることが可能とされ、かつ工作物の本発明による加工が簡素化される。方法は、ステップ110へと続き、切削工具12の回動は部品14の切削加工が完了した後に停止される。切削工具12の回動停止時に、切削工具12は工作物14内に軸方向および半径方向に位置付けされたレディーポジションに戻され、キャリッジ56がスウィングアームアセンブリ66に関係する少なくとも1つの切削工具マウントもしくはスピア64のコレット76と同軸調芯して取付孔80と係合する適切な角度指向に位置付けされる。キャリッジ56は、ステップ112で、前に進められて主軸40、42にレディーポジションで支持された切削工具12に係合し、それによってコレット76が切削工具12の取付孔80を介し係合して機能し、切削工具保持ノブ78によって保持される。本発明による方法により、次にステップ114で、主軸40、42が切削工具12に形成された駆動開口20との係合から離脱して後退し、静的切削工具12が他と無関係にキャリッジ56によって支持された状態とされる。ステップ116では、キャリッジ56が後退して静的切削工具12が工作物14の側壁開口28およびワークピースネスト22の壁32の孔30を介して部品14の外側に移動し、キャリッジはホームポジションに到達するに至る。ホームポジションでは、切削工具12は駆動主軸40、42の長手軸から半径方向に離隔される。切削加工された工作物14が次いで、ステップ118においてワークピースネスト22から取り外される。このサイクルは、複合部品に対し、加工用工作物の自動もしくは手動装入および取出しを使用して反復することが可能とされる。
【0015】
工作物構成の自動切換が所望の場合には、フレーム44を駆動主軸40、42もしくは同軸孔38の長手軸中心に回動させることによって、加工される工作物14に形成された側壁開口28の様々な構成を介して切削工具12の送りを調芯もしくは指向するためのフレームオリエンテーションドライブ82を設けることが可能とされる。PCもしくはCNCもしくは電子制御された切削工具は、静的切削工具12が様々な工作物構成に合わせて適切に調芯されかつ送られるようにフレームを操作可能に指向するようにプログラムすることが可能とされる。様々な工作物構成を切削加工する間の切換は、PCもしくはCNCもしくは電子制御された切削工具を様々な構成に合わせて予めプログラムしかつフレームおよび静的切削工具12を様々な構成の工作物14に合わせ生産を中断することなく自動調整することを可能とすることによって最小限に留めることが可能とされる。
【0016】
回動可能なスウィングアームアセンブリ66は、ワークポジションから円弧角駆動可能とされ、切削工具12はホームポジションとレディーポジションの間から図3に示すサービスもしくは工具交換ポジションに移動可能とされる。スウィングアームアセンブリ66を回動させる第2駆動装置68の作動は、キャリッジ56がホームポジションにあるときに生起する。回動可能なスウィングアームアセンブリ66は、ホームポジションとレディーポジションの間の移動経路から外れるように回転させ、それによって切削工具12をフレーム44に対して外向きに出る位置に置くことが可能とされ、それによって切削工具12を保守もしくは工具交換するためのアクセスが容易になる。このポジションにあるときに、切削工具12は、切削工具12全体を取り外すこと、あるいは切削工具12に置かれた個々の交換可能なカッタを取り外しかつ/または交換することによって保守することが可能とされる。様々なサイズおよび構成の切削工具12を様々な構成の工作物14について行われる特別の切削加工作業の要求によりコレット76に取り付けることが可能とされる。保守作業中、あるいは切削工具12を個別サポート間にスウィングアームアセンブリ66もしくは主軸40、42により移動させる作業中に、切削工具12が適切に着座せずコレット76のカッタ保持ノブ78によって保持されない場合には、少なくとも1つのセンサ/スイッチ70が適切な信号をPCもしくはCNCもしくは電子制御された切削工具に与えることによって機械の動作を阻止することが可能とされる。
【0017】
次いで図4を参照すると、本発明による装置10は、工具キャリッジとフレームの間で係合して機能可能なように位置付けされた1つまたは複数の緩衝装置84を含むことが可能とされる。少なくとも1つの緩衝装置84は、フレーム44に対して往復動工具キャリヤもしくはキャリッジ56の移動行程の少なくとも一方端付近に位置して機能することが可能とされる。フレーム44に対して、往復動工具キャリッジ56の移動行程のそれぞれの端部付近に少なくとも1つの緩衝装置84が置かれて、キャリッジ56が行程の末端限界に接近する間キャリッジを減速させることが好ましい。適切な緩衝装置は、例えば、米国イリノイ州エルムハーストに所在のMcMaster Carr社から、Compensating Shock Absorberとして市販されているが、これに限らない。それらの緩衝装置は、エネルギーを散逸させる作動油を内蔵し、急速運動する荷重を減速させることによってスピードをゼロに落とし、衝撃荷重およびスピードを自動的に調整することが可能とされる。他の緩衝装置および方法も使用可能とされるが、その場合も本発明の理念と範囲内に属することを当業者は認識されたい。
【0018】
以上に本発明を現在最も実用的かつ好適と考えられる実施形態に関して記載したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、付属の請求項の理念および範囲内に含まれる様々な変更および均等な構成物に適用されるものであり、その範囲は最も広く解釈されて法律で認められる限りあらゆるそのような変更および均等の構造を包含するものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】切削加工する工作物内部に位置するポジションに静的工具を送り、少なくとも1つの主軸もしくはドライブ/サポートスピンドルを有する電子制御された工作機械を併用して工作物の内部に少なくとも1つの面を切削する、本発明による装置の分解斜視図である。
【図2】切削工具本体を解放可能に支持し、ホームポジション、レディーポジション、および/またはサービスポジション間で移動させる可動キャリッジの詳細な分解斜視図である。
【図3】キャリッジが工具交換、点検またはサービスポジションにある状態の本発明による装置の側面図である。
【図4】キャリッジがレディーポジションにあり、電子制御機械のスピンドルもしくはアーバが切削工具本体のアパーチャを介して係合中の本発明による装置の簡略化した平面図である。
【図5】電算機制御された工作機械のドライブ/サポートスピンドルに支持された、例えばディファレンシャルケース等、およびそれに限らず、一部断面を示す工作物の少なくとも1つの内面を切削加工するための切削工具本体の簡略化した斜視図である。
【図6】解放可能に切削工具を取り付けるための少なくとも1つの取付スピア、もしくはコレットと外側端部付近のリテーナノブとの組合せの1つの形態の詳細な平面図である。
【図7】切削工具を解放可能に受けるための少なくとも1つの取付スピアもしくはコレットであって、例えば同取付スピアもしくはコレットの外側端部から中間位置にリテーナノブが移動した状態を示した図6の平面図に図示し、かつこれに限らず図示した少なくとも1つの取付スピアもしくはコレットの詳細な側面図である。
【図8】本発明による方法の簡略化した模式的流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削加工する工作物内部に位置するポジションに静的工具を送るための装置であって、前記工具は前記工作物の内部に少なくとも1つの面を切削加工する工具とされ、該工具は少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを有する電子制御された工作機械と併用して作動可能とされる、装置において、
少なくとも1つのカッタおよび前記電子制御された工作機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを受容するのに適した開口を有する工具本体と、
ホームポジションとレディーポジションとの間で前記工具本体を移動させるために解放可能に前記工具本体を支持するキャリッジであって、前記ホームポジションは、前記工具本体が前記電子制御された工作機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルとの同軸整合から離隔される位置であるとともに、前記レディーポジションは、前記工具本体の前記開口が前記電子制御された工作機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して同軸に調芯される位置である、キャリッジと、
前記キャリッジを前記ホームポジションと前記レディーポジションの間で移動させる駆動装置とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記キャリッジに支持された前記工具本体をロックポジションにあるときは保持し、かつ前記工具本体を解放ポジションにあるときは前記キャリッジから解放する解除可能なロックを更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記工具本体が前記ロックポジションで前記キャリッジに支持されているかどうか検知するためのセンサ/スイッチを更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
加工する前記工作物を支持する付属具に解放可能に取り付けられるのに適したフレームを更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記キャリッジを前記ホームポジションからサービスポジションに移動させるための駆動装置を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記キャリッジを前記ホームポジションと前記レディーポジションの間の移動経路との整合から円弧角分外して移動させることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記キャリッジから分離されかつ少なくとも1つのドライブ/サポートスピンドルによって支持されて前記レディーポジションから切削ポジションに移動して、前記加工する工作物の少なくとも1つの内面を切削加工する前記工具本体を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
切削加工する工作物内部に位置するポジションに静的切削工具を送るための装置であって、前記切削工具は前記工作物の内部に少なくとも1つの面を切削加工する工具とされ、該切削工具は少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを有する電子制御された工作機械と併用して作動可能とされる、装置において、
少なくとも1つのカッタおよび前記電子制御された工作機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを受容するのに適した開口を有する切削工具本体と、
ホームポジションとレディーポジションとの間で前記工具本体を解放可能に支持しかつ前記工具本体を移動させるための可動キャリッジ手段であって、前記ホームポジションは、前記工具本体が前記電子制御された機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルとの同軸整合から離隔される位置であるとともに、前記レディーポジションは、前記工具本体の前記開口が前記電子制御された工作機械の前記軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して同軸に調芯される位置であり、前記キャリッジ手段は、前記電子制御された工作機械の前記移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して前記切削工具本体の支持を前記キャリッジ手段が前記レディーポジションにあるときに移動させる可動キャリッジ手段とを備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記キャリッジ手段を前記ホームポジションと前記レディーポジションの間で移動させる駆動手段を更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記キャリッジ手段に支持された前記工具本体をロックポジションにあるときは保持し、かつ前記工具本体を解放ポジションにあるときは前記キャリッジ手段から解放する解除可能なロック手段を更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記工具本体が前記ロックポジションで前記キャリッジ手段に支持されかつ半径方向および軸方向に正しく指向されているかどうか検知するためのセンサ/スイッチ手段を更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項12】
加工する前記工作物を支持する付属具手段と、
前記可動キャリッジ手段を前記付属具手段から解放可能に支持するフレーム手段とを更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの付属具であって、該少なくとも1つの付属具のそれぞれは、加工する工作物の様々な形状を切削加工する電子制御された工作機械に対し交換可能である、少なくとも1つの付属具と、
前記少なくとも1つの付属具のそれぞれに対し解放可能かつ調整可能に支持されるフレームであって、該フレームは前記ホームポジションと前記レディーポジションとの間を移動する前記可動キャリッジを支持するフレームとを更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項14】
前記キャリッジを前記ホームポジションからサービスポジションに移動させる駆動手段であって、該駆動手段は前記キャリッジを前記ホームポジションと前記レディーポジションの間の移動経路との整合から円弧角分外して移動させる駆動手段を更に備えることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項15】
工作物の内部に少なくとも1つの面を切削加工するための方法であって、
担持された、分離可能な、静的切削工具本体を、切削加工する工作物内部のポジションに位置する可動キャリッジから移動させる工程であって、前記工具本体は、少なくとも1つのカッタを有しかつ電子制御された工作機械の少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルを受容して前記工具本体を前記可動キャリッジに関わりなく移動後に支持するのに適した開口を画定する、前記移動させる工程と、
前記工具本体が前記電子制御された工作機械の少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルによって支持され、かつ該ドライブ/サポートスピンドルを併用して駆動され、同時に前記工具本体は前記少なくとも1つのドライブ/サポートスピンドルによって前記可動キャリッジに関わりなくかつ該キャリッジから分離されて支持される状態で、前記工作物の内部に少なくとも1つの面を切削加工する工程とを包含することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記移動させる工程が、
前記工具本体を前記可動キャリッジにより解放可能に支持する工程と、
前記工具本体が前記電子制御された工作機械の前記少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルとの同軸整合から離隔されるホームポジションと、前記工具本体の前記開口が前記電子制御された工作機械の前記少なくとも1つの軸方向に移動可能なドライブ/サポートスピンドルに対して同軸に調芯されるレディーポジションとの間で前記工具本体を前記可動キャリッジにより移動させる工程と、
前記工具本体の支持を前記キャリッジが前記レディーポジションにあるときに前記キャリッジと前記電子制御された工作機械の前記少なくとも1つの移動可能なドライブ/サポートスピンドルとの間で移動させる工程とを更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記キャリッジ手段を前記ホームポジションと前記レディーポジションの間で駆動手段により移動させる工程を更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記キャリッジ手段に支持された前記工具本体をロック状態のときは解除可能なロック手段により保持する工程と、
前記解除可能なロック手段が解除ポジションにあるときに前記工具本体を前記キャリッジ手段から解放する工程とを更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記工具本体がロックポジションで前記キャリッジ手段に支持されているかどうかをセンサ/スイッチ手段により検知する工程を更に包含することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
加工する前記工作物を付属具手段により支持する工程と、
前記可動キャリッジ手段を前記付属具手段からフレーム手段により解放可能に支持する工程とを更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項21】
加工される、それぞれ異なる形状の工作物を少なくとも1つの付属具で支持する工程であって、前記少なくとも1つの付属具のそれぞれは前記電子制御された工作機械に対して交換可能とされる、前記工程と、
前記可動キャリッジを、前記ホームポジションと前記レディーポジションの間で、フレームを前記少なくとも1つの付属具のそれぞれに対して解放可能かつ調整可能に支持した状態で、移動するように支持する工程とを更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項22】
前記キャリッジを前記ホームポジションからサービスポジションに駆動手段により移動させる工程であって、前記駆動手段は前記キャリッジを前記ホームポジションと前記レディーポジションの間の移動経路との整合から円弧角分外して移動させる工程を更に包含することを特徴とする請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−516596(P2009−516596A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541271(P2008−541271)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/044132
【国際公開番号】WO2007/061682
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508149836)ジョイント プロダクション テクノロジィ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】JOINT PRODUCTION TECHNOLOGY,INC.
【Fターム(参考)】