説明

内部圧力を放散する手段を備える浸透ポンプ

【課題】
【解決手段】本発明は、ポンプの1つ又はより多くの構成要素が物理的に分離したようなとき、ポンプが構造的に損なわれる程度までポンプの内部圧力が蓄積する機会が生ずる前に、ポンプ内に含まれた浸透性組成物を排気する手段を有する浸透ポンプを備えている。本発明に従って、浸透ポンプ内に含まれた浸透性材料を排気する手段は、浸透ポンプ内に形成された圧力を放散し且つ、被験者の不快感又は刺激を減少させる可能性をもたらす率にてポンプの浸透性組成物内に含まれた材料を作動環境内に放散するのを許容する通気口を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「内部圧力を放散する手段を備える浸透ポンプ(Osmotic Pump With Means For Dissipating Internal Pressure)」について、2003年3月31日に出願された、米国仮特許出願第60/459,296号の出願日の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、薬剤の長期間の送り出しを可能にする植込み型浸透ポンプに関する。特に、本発明は、浸透ポンプ内に収容された薬剤フォーミュレーションが送り出された後、浸透性材料を次第に排気することを許容する通気口を有する植込み型浸透ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
植込み型の解放率制御の浸透ポンプ(以下、「浸透ポンプ」と称する)は、当該技術にて周知である。例えば、カリフォルニア州、マウンテンビューのALZAコーポレーションに譲渡された、米国特許明細書3,797,492号、米国特許明細書3,987,790号、米国特許明細書4,008,719号、米国特許明細書4,865,845号、米国特許明細書5,057,318号、米国特許明細書5,059,423号、米国特許明細書5,112,614号、米国特許明細書5,137,727号、米国特許明細書5,151,093号、米国特許明細書5,234,692号、米国特許明細書5,234,693号、米国特許明細書5,279,608号、米国特許明細書5,336,057号、米国特許明細書5,728,396号、米国特許明細書5,985,305号、米国特許明細書5,997,527号、米国特許明細書5,997,902号、米国特許明細書6,113,938号、米国特許明細書6,132,420号、米国特許明細書6,217,906号、米国特許明細書6,261,584号、米国特許明細書6,270,787号、米国特許明細書6,375,978号には、色々な浸透ポンプが記載されている。これらの文献に記載された浸透ポンプは、選んだ被験者に植え込み得る設計とすることができ、また、所定の期間に亙って色々な率にてある範囲の薬剤を送り出し得る形態とすることができる。
【0004】
浸透ポンプは、典型的に、ある量の薬剤フォーミュレーションを収容するリザーバと、浸透性組成物と、半透過性膜と、送り出しオリフィスと、薬剤フォーミュレーションを浸透性組成物から分離するピストンとを備えている。ある作動環境に投与したならば、水は、浸透ポンプの半透過性膜を通じて浸透性組成物内に吸引され、浸透性組成物を膨潤させる。浸透性組成物が膨潤すると、浸透ポンプ内に含まれたピストンは、その行程を通じて駆動され、薬剤フォーミュレーションは、送り出しオリフィスを通じて制御された率にて押し出される結果となる。浸透ポンプからの薬剤の解放率は、浸透ポンプ内に含まれた組成物又は薬剤フォーミュレーションの量、或いは、浸透性組成物を変化させることにより調節することができる。これと代替的に、浸透ポンプにより提供される薬剤フォーミュレーションの解放率は、組成物を変化させ又は半透過性膜の露出した表面積を変化させることにより、調節することができる。これらは、数週間、数ヶ月又は数年の期間に亙り活性な薬剤の制御された送り出しを許容するが、浸透ポンプは、医療機関を頻繁に訪れたり、又は反復的な自己投与を行うことを必要とせずに、所望の薬剤の長期間の投与を可能にする点にて望ましい。このため、浸透ポンプは、患者の順応性の増加、投与箇所における炎症の減少、医療従事者に対する職業的危険性の減少、廃棄物の危険性の減少、及び投与制御の向上を通じての治療効果の増大を提供する作用を果たすことができる。
【0005】
薬剤フォーミュレーションが浸透ポンプから送り出されると、ポンプ内の浸透性組成物により発生された内部圧力は、全体として、相対的に低圧のままである。しかし、浸透圧ポンプ内に含まれたピストンがリザーバ内でその行程の終端に達した後(例えば、実質的に全ての薬剤フォーミュレーションが送り出された後)、浸透装置が作動環境内に残されるならば、浸透性組成物は、その作動環境からの水の吸引を続けるであろう。相応する量の薬剤フォーミュレーションを押し出さずに、水が浸透ポンプ内に吸引されると、装置内の圧力は、浸透ポンプの構成要素が損なわれる又は物理的に分離される程度まで上昇するであろう。浸透ポンプ内に含まれた半透過性膜が例えば、米国特許明細書5,985,305号、米国特許明細書5,728,396号、米国特許明細書6,156,331号に記載されたように、摩擦嵌めによって所要位置に保持される場合、浸透装置内の内部圧力が通常の作動圧力を十分に超えて上昇するならば、半透過性膜は、浸透ポンプから最も分離する可能性のある構成要素の1つである。
【0006】
このため、半透過性膜を摩擦嵌め機構を通じて配置することを許容するが、半透過性膜のような、ポンプ構成要素が分離する結果となる、ポンプ内の圧力の蓄積を防止する作用を果たす浸透ポンプを提供することは、当該技術にて1つの改良となるであろう。植え込んだ浸透ポンプの1つ又はより多くの構成要素が物理的に分離することは、被験者に対して有害となる可能性はないが、被験者からの装置の除去を複雑にする可能性がある。更に、浸透ポンプの半透過性膜が物理的に分離することは、浸透性組成物を形成する材料を相対的に急激に解放することを許容し、その結果、局部的な不快感又は炎症が生ずる可能性がある。このため、内部圧力が1つ又はより多くの部品を分離させるであろうレベルに達する前に、その内部圧力を放散させる植込み型浸透ポンプの設計とされている場合、浸透ポンプの設計は、不快感又は炎症を生ずる、浸透圧材料の解放を惹起せずに、理想的に、圧力を放散することになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポンプの1つ又はより多くの構成要素が物理的に分離したときのように、ポンプが構造的に損なわれる程度までポンプの内部圧力が蓄積する機会が生ずる前に、その内部に収容された浸透性組成物を排気する手段を有する浸透ポンプに関するものである。本発明に従って浸透ポンプ内に含まれた浸透性材料を排気する手段は、ポンプの浸透性組成物中に含まれた材料を作動環境内に放散することを許容し、その結果、内部圧力を降下させる通気口を有している。
【0008】
本発明の浸透ポンプに含まれた通気口は、浸透ポンプのリザーバを通じて形成され且つ、通気口が通常の作動状態下にて浸透性組成物から密封されるように配置されている。しかし、通気口は、また、リザーバ内にて次のように配置されている、すなわち、浸透ポンプ内の圧力が1つ又はより多くの構成要素を変位させる結果となる程度に達したならば、通気口は、浸透性組成物を形成する材料に対して開き又は露呈され、そのことは、浸透性組成物を形成する材料を作動環境中に解放することを許容し且つ、浸透ポンプの1つ又はより多くの構成要素が故障し又は装置から分離される前に、内部圧力が放散されるように配置される。更に、本発明に従った浸透ポンプは圧縮要素無しの設計とすることができるから、通気口からの材料の最大押し出し率は、典型的に、浸透ポンプの目標の解放率と適合する。このため、本発明に従った浸透ポンプは、浸透性材料を排気する結果、被験者に対し不快感又は刺激を生じさせるであろう可能性を減少し又は最小にしつつ、浸透性組成物の排気を許容するよう容易に設計することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの好ましい実施の形態において、浸透ポンプは、通常の作動状態の間、浸透ポンプの半透過性膜によって密封される通気口を有している。かかる実施の形態の半透過性膜は、リザーバ内に摩擦嵌めされ且つ、浸透ポンプ内にて閾値圧力に達したならば、半透過性膜が次第に変位するのを許容する設計とされている。本発明のこの実施の形態に含まれる、通気口は、次のように配置される、すなわち、内部圧力が閾値圧力に達し、また、半透過性膜がリザーバに対して変位し始めるならば、通気口は、半透過性膜が装置から分離するかなり前に、露出されるように配置される。通気口が露出したならば、浸透性組成物中に含まれた浸透性材料は、浸透ポンプから押し出され、その結果、ポンプ内の圧力が降下し且つ、半透過性膜が分離するのを阻止することができる。
【0010】
本発明は、同様の要素を同様の参照番号で表示する、添付図面に関して以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に従った浸透ポンプ10は、図1に示されている。これらの図面を参照することにより理解されるように、本発明に従った浸透ポンプ10は、リザーバ12と、薬剤フォーミュレーション14と、浸透性組成物16と、ピストン18と、半透過性膜22と、送り出しオリフィス24と、リザーバ12の壁20に形成された通気口26とを有している。しかし、図1に示した浸透ポンプ10の形態は、本発明に従った浸透ポンプの一例にしか過ぎず、本発明を限定するものとみなすべきではない。本発明は、全体として、浸透ポンプに適用可能であり、本発明に従った浸透ポンプは、広範囲に亙る所望の寸法又は形状に順応する設計とすることができる。更に、本発明に従った浸透ポンプは、色々な環境にて適用し又は経口投与、胃内投与又は植込みによるような、色々な経路によって投与し得る設計とすることができる。
【0012】
本発明の浸透ポンプ10のリザーバ12は、所望の用途に適し又は浸透ポンプ10を所望の作動環境内にて配置するのを容易にするように所望通りの寸法及び形状とすることができる。リザーバ12を形成するのに適した材料は、投与中、及び浸透ポンプ10が作動している間、リザーバ12が受ける圧力の下、リザーバ12が漏れ、破断し又は顕著に変形しないことを保証するのに十分強力でなければならない。特に、リザーバ12は、リザーバ12の寸法又は形状が実質的に変化することなく、浸透性組成物16の膨張に耐えるのに十分硬い材料にて形成される。リザーバ12を形成するために使用される材料は、また、作動環境からの流体に、及び薬剤フォーミュレーション14及び浸透性組成物16中に含まれる材料の成分に対しほぼ不透過性であるように選ばれる。本明細書にて使用するように、「ほぼ不透過性」という語は、リザーバ12を形成する材料を通じて材料が移動し、浸透ポンプに入ったり、出たりするのが極めて遅く、このため、かかる材料の移動は、装置の機能に実質的に何ら悪影響を与えないことを意味する。
【0013】
本発明に従った浸透ポンプ10のリザーバ12を形成するのに使用される材料は、生物浸食性材料ではなく、また、薬剤フォーミュレーション14が送り出された後でさえ、完全な状態のままに止まることが好ましい。かかる設計は、その内部に含まれた薬剤フォーミュレーション14が被験者に送り出された後、浸透ポンプ10が戻り又は通るのを容易にする。本発明に従った浸透ポンプ10のリザーバ12の構造に適した典型的な材料は、非反応性ポリマー、生体適合性金属及び合金を含むが、これらにのみ限定されるものではない。適宜なポリマーの例は、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル−アクリルコポリマー、ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー及び同様のもののようなアクリロニトリルポリマー、ポリテトラフルオロエチレンのようなハロゲン化ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン、及びヘキサフルオロプロピレンを含むが、これらにのみ限定されるものではない。リザーバ12を形成するとき使用可能な金属材料は、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金及びそれらの合金、並びに金めっきした鉄系合金、白金めっきした鉄系合金、コバルト−クロム合金、及び窒化チタン被覆したステンレス鋼を含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0014】
本発明の浸透ポンプ10内に含まれた半透過性膜22は、水及び生物学的流体のような外部液体の通過に対し透過性であるが、浸透ポンプ10内に含まれるであろう薬剤、浸透ポリマー、浸透剤及び同様のものの通過に対して実質的に不透過性であるように調合され且つ作製される。本発明の浸透ポンプ10内に含まれる半透過性膜22を形成するのに適した材料及び方法は、当該技術にて周知であり且つ、例えば、米国特許明細書3,797,492号、米国特許明細書3,987,790号、米国特許明細書4,008,719号、米国特許明細書4,865,845号、米国特許明細書4,874,388号、米国特許明細書5,057,318号、米国特許明細書5,059,423号、米国特許明細書5,112,614号、米国特許明細書5,137,727号、米国特許明細書5,151,093号、米国特許明細書5,234,692号、米国特許明細書5,234,693号、米国特許明細書5,279,608号、米国特許明細書5,336,057号、米国特許明細書5,728,396号、米国特許明細書5,985,305号、米国特許明細書5,997,527号、米国特許明細書5,997,902号、米国特許明細書6,113,938号、米国特許明細書6,132,420号、米国特許明細書6,217,906号、米国特許明細書6,261,584号、米国特許明細書6,270,787号、米国特許明細書6,375,978号に詳細に記載されている。半透過性膜22の原料とすることのできる半透過性材料は、例えば、ハイトレル(Hytrel)ポリエステルエラストマー(デュポン(DuPont))、セルロースエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、水流動性向上エチレン−酢酸ビニルコポリマー、硬いポリマーを水溶性の低分子量コンパウンドと混合することにより形成された半透過性膜、及び当該技術にて周知のその他の半透過性材料を含むが、これらにのみ限定されるものではない。上記のセルロース系ポリマーは、無水グルコース単位にて0ないし3の範囲の置換度D.S.を有する。「置換度」すなわち「D.S.」は、置換基により置換されたセルロース系ポリマーを備える、当初に存在するヒドロキシル基無水をグルコース単位で表わした平均数を意味する。代表的な材料は、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、モノセルロースアルカニレート(alkanylates)、ジセルロースアルカニレート、トリセルロースアルカニレート、モノセルロースアロイレート(aroylates)、ジセルロースアロイレート、トリセルロースアロイレート及び同様のものから成る群から選ばれたものを含むが、これらにのみ限定されるものではない。一例としてのセルロース系ポリマーは、1以下のD.S.及び21%以下のアセチル含有量を有する酢酸セルロース;1ないし2のD.S.及び21%ないし35%のアセチル含有量を有する酢酸セルロース;2ないし3のD.S.及び35%ないし44.8%のアセチル含有量を有する酢酸セルロース及び同様のものを含む。より特定的なセルロース系ポリマーは、1.8のD.S.及び39.2%ないし45%のプロピニオル含有量、及び2.8%ないし5.4%のヒドロキシル含有量を有するセルロースプロピオン酸塩;1.8のD.S.及び13%ないし15%のアセチル含有量、及び34%ないし39%のブチリル含有量を有する酢酸酪酸セルロース;2%ないし29%のアセチル含有量、17%ないし53%のブチリル含有量、0.5%ないし4.7%のヒドロキシル含有量を有する酢酸酪酸セルロース;1.8のD.S.、平均重量比にて4%のアセチル含有量、及び51%のブチリル含有量を有する酢酸酪酸セルロース;セルローストリ吉草酸エステル、セルローストリラウリン酸塩、セルローストリパルミチン酸塩、セルローストリ琥珀酸塩、セルローストリオクタノン酸塩のような2.9ないし3のD.S.を有するセルローストリアシレート;セルロースジ琥珀酸塩、セルロースジパルチミン酸塩、セルロースジオクタノン酸塩、セルロースジペンテート(dipentate)のような2.2ないし2.6のD.S.を有するセルロースジアシレート;酢酸酪酸セルロース及びセルロースのようなセルロースのコエステル、酢酸セルロースプロピオネート及び同様のものを含む。本発明のポンプ10にて使用可能な半透過性膜22を作製するため使用可能なその他の材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(エルフ アトケムインキ(ELF ATOCHEM,Inc)から商業的に入手可能なPEBAX)、エチレンビニルアルコール(EVA)のようなある程度の親水性を有する射出成形可能な熱可塑性ポリマーを含む。
【0015】
本発明の浸透ポンプ10内に含まれた浸透性組成物16は、半透過性膜22を通じて水を浸透性組成物16内に吸引するのに十分な浸透圧を発生させる任意の材料にて形成し、浸透性組成物16により薬剤フォーミュレーション14が予め選んだ期間に亙って所望の率にて送り出されるようにすることができる。好ましくは、浸透性組成物16は、当初に固体又は非流動性組成物にて形成された1つ又はより多くの浸透性錠剤として形成されるようにする。しかし、本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれた浸透性組成物16は、錠剤に形成され且つ当初に固体又は非流動性である組成物に限定されるものではない。本発明に従った浸透ポンプ10のリザーバ12内に装填された浸透性組成物16は、任意の適宜な形状、表面模様、密度及び稠度にて形成することができる。例えば、固体の錠剤状組成物に代えて、浸透性組成物16を粉末材料としてリザーバ12内に装填することが可能である。
【0016】
浸透性組成物16は浸透性剤を含む。浸透性組成物内に含まれる浸透性剤は、水を半透性膜22を通じて浸透ポンプ10内に吸引し且つ、薬剤フォーミュレーション14の流れを浸透ポンプ10から追い出す働きをする水吸着剤である。浸透性組成物16内に含まれる浸透性剤は、浸透剤、浸透性ポリマー又はその両者の混合体とすることができる。本発明に従った浸透ポンプにて使用するのに適した浸透性組成物を提供する方法及びフォーミュレーションは周知である。例えば、本明細書に引用した特許文献には、本発明に従った浸透ポンプ10にて使用可能である浸透性組成物を形成するのに適した方法及び材料が詳細に記載されている。
【0017】
浸透剤の範疇に属する材料は、不揮発性、水溶性であり且つ、流入水を浸透ポンプ10内に駆動するのに適した浸透勾配を形成する材料を含む。本発明の浸透ポンプ10の浸透性組成物16内にて使用可能な浸透剤の例は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、d−マンニトール、ソルビトール、イノシトール、尿素、マグネシウム琥珀酸塩、酒石酸、ラフィノース、及び色々な単糖類、オリゴ糖類、ショ糖、ブトウ糖、乳糖、果糖及びデキストランのような多糖類、及びこれら色々な種の任意のものの混合体を含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0018】
浸透性ポリマーの範疇に属する材料は、水と接触したときに膨潤する親水性ポリマーである。浸透性ポリマーは、天然(例えば、植物又は動物由来)又は合成のものとし、浸透性ポリマーの例は当該技術にて周知である。本発明の浸透ポンプ10の浸透性組成物16にて使用可能な特定の浸透性ポリマーは、分子量30,000ないし5,000,000のポリ(ヒドロキシ−アルキルメタアクリレート)、分子量10,000ないし360,000のポリ(ビニルピロリドン)、アニオン系及びカチオン系ヒドロゲル、ポリ電解質錯体、グリオキサール、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドと選択的に架橋結合された低酢酸塩残留量を有し且つ、200ないし30,000の重合度を有するポリ(ビニルアルコール)、メチルセルロース、架橋結合した寒天及びカルボキシメチルセルロースの混合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びナトリウムカルボメチルセルロースの混合体、N−ビニルラクタムのポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル、ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル、カロブガム、ポリアクリルゲル、ポリエステルゲル、ポリウレアゲル、ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル、ポリペプチドゲル、ポリアミノ酸ゲル、ポリセルロースゲル、分子量80,000ないし200,000のカルボポル(Carbopol)(商標登録名)酸性カルボキシポリマー、分子量10,000ないし5,000,000のポリオクスポリエチレン(Polyox Polyetylene)酸化物ポリマー、スターチグラフトコポリマー、及びアクア−キープス(Aqua−Keeps)(登録商標名)アクリレートポリマーポリサッカリドを含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0019】
浸透性組成物16に加えて、本発明に従った浸透ポンプ10はまた、浸透性組成物16の周りに分配された添加剤又はフィラー28を含むこともできる。このフィラー28は、米国特許明細書6,132,420号に記載されたように、実質的に非圧縮性であり、所期の作動環境にて使用するのに適し、また、浸透ポンプのその他の構成要素と適合可能であり、空気又は気体を浸透性組成物16の周りから変位させる作用を果たし、また、浸透性組成物16を膨潤及び固着させない液体又はゲル組成物のような任意の流動可能な組成物とすることができる。本発明に従った浸透ポンプにて使用するのに適したフィラー28を提供するのに適した材料及び方法もまた、米国特許明細書6,132,420号に記載されている。
【0020】
浸透性組成物16が錠剤状組成物として形成される場合、フィラー28を使用することは特に役立つ。機械加工及び錠剤化の許容公差は、浸透性組成物16と取り巻くリザーバ壁20との間に空隙が存在することを必要とする。錠剤化した材料の形状又は輪郭外形に僅かな凹凸があっても浸透性組成物16と本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれたピストン18との間に空隙を形成する可能性がある。典型的に、約0.0254mmないし2.54mm(0.001ないし0.1インチ)の範囲にあるかかる空隙は、空気又はその他の気体状材料にて充填されまた、かかる空隙の最小のものでさえ、数日ないし数週間の始動遅れを生じさせる可能性がある。更に、空気が充填された空隙は、浸透ポンプが植え込まれた患者がスキューバダイビングし又は高度の地まで旅行したような、浸透ポンプに異なる外部圧力が加わるとき、薬剤フォーミュレーションの送り出し量に悪影響を与える。フィラー28を含むことは、浸透性組成物16の周りの全ての空隙が空気又は別の気体状材料にて充填される程度を減少し又は解消し、これによりかかる空隙が発生させる可能性のある遅れ及び薬剤の送り出しの不均一さを軽減し又は解消する作用を果たす。
【0021】
本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれた可動ピストン18は、水が浸透性組成物16内に吸引され、浸透性組成物16が拡張するとき、ピストン18をリザーバ12内にて変位させることを許容する密封した要領にてリザーバ12内に嵌まる形態とされている。1つの好ましい実施の形態において、ピストン18は実質的に非圧縮性材料に形成されている。更に、本発明の浸透ポンプ10内にて使用するのに適したピストン18は、浸透性組成物16及び薬剤フォーミュレーション14に対し不透過性である材料にて形成されることが好ましく、また、ピストン18とリザーバ12の壁20との間にシールを形成する作用を果たす1つ又はより多くの突出物を含むことができる。本発明の浸透ポンプ10内に含まれたピストン18にて使用するのに適した材料は、金属合金のような金属材料、上述した非反応性ポリマーのようなエラストマー的材料、ポリウレタン、ポリアミド、塩化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムのような、一般的なエラストマーを含む。
【0022】
図1を参照することにより理解し得るように、本発明の浸透ポンプ10に含まれた送り出しオリフィス24はまた、リザーバ12の壁20の一端に形成されたオリフィスを含むことができる。かかる送り出しオリフィス24は、例えば、既知の成形方法又は既知の機械的穿孔法又はレーザ突孔法を使用して提供することができる。所望であるならば、本発明の浸透ポンプ10のリザーバ12は、1つ以上の送り出しオリフィス24を含むことができる。1つの代替的な実施の形態において、本発明の浸透ポンプ10の送り出しオリフィス24は、少なくとも部分的にリザーバ12内に配置された出口プラグ(図示せず)により形成することができる。かかる出口プラグは、例えば、薬剤フォーミュレーション14の流れを最適にし又は環境中の流体が浸透ポンプ10内に逆流して拡散するのを調節する送り出しオリフィス24を提供するような形態とすることもできる。しかし、本発明の浸透ポンプ10の送り出しオリフィス24が出口プラグにより形成される場合、該出口プラグは、実質的に非圧縮性材料にて作製される。本発明に従った浸透ポンプにて適用するのに適した出口プラグは、当該技術にて既知であり且つ、例えば、米国特許明細書5,985,305号、米国特許明細書6,127,906号及び米国特許明細書5,997,527号に記載されている。直径及び長さの双方にて表した送り出しオリフィス24の寸法は、その他の因子の内、送り出された薬剤の型式、薬剤フォーミュレーション14が浸透ポンプ10から押し出されるときの率、薬剤が送り出される環境に依存して相違することになろう。
【0023】
本発明に従った浸透ポンプは、人間又は動物の生理学的環境に合うよう設計され且つ、これらの環境に投与されることが好ましいが、本発明に従った浸透ポンプは、全体として、有益な剤を作動環境に送り出すために適用可能であり、生理学的環境にて利用されることにのみ限定されるものではない。例えば、本発明に従った浸透ポンプは、有益な剤を動物又は人間に送り出す静脈内システム(例えば、IVポンプ、IVバッグ又はIVボトルに取り付けられるもの)、血液酸素付与用システム、腎臓透析又は電気泳動法、例えば、栄養物又は成長調節コンパウンドを細胞組織に送り出すシステム、プール、タンク、リザーバ及び同様のものにて使用することができる。このため、本発明の浸透ポンプ10は、一般的に有益な剤を投与するのに適用可能であり、本明細書にて使用する「薬剤」という語は、作動環境に送り出し可能である任意の有益な剤を意味し、医薬、ビタミン、栄養物、殺生物剤、滅菌剤、食品サプリメント、不妊剤、避妊剤、及び妊娠促進剤を含むが、これらにのみ限定されるものではない。本発明の浸透ポンプにより送り出し可能な特定の薬剤は、例えば、米国特許明細書6,132,420号に詳細に記載されている。本発明に従った浸透ポンプ10により送り出し可能な薬剤の更なる例は、本明細書に引用したその他の特許文献に見ることができる。
【0024】
本発明の浸透ポンプ10内に含まれた薬剤フォーミュレーション14内に含まれる薬剤は、多岐に亙る化学的及び物理的形態にて存在するものとすることができる。分子レベルにて、薬剤は、非電荷分子、分子錯体、又はヒドロクロリド、水素酸塩、硫酸、ラウリル酸塩(laurylate)、オレイン酸塩、サリチル酸塩のような薬理学的に許容可能な酸添加物又は塩基添加塩として存在するものとすることができる。金属、アミン又は有機質カチオンの塩を酸性の薬剤コンパウンドに対して使用することができる。エステル、エーテル、アミドのような薬剤の誘導体も使用することができる。更に、本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれた薬剤フォーミュレーション14は、1つ以上の薬剤を含み、その結果、その有効寿命の間、多数の薬剤を送り出すことができる浸透ポンプ10となる。
【0025】
本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれた薬剤フォーミュレーション14は、薬剤を本発明に従った浸透ポンプ10から送り出すのに適した任意のフォーミュレーションを含むことができる。薬剤フォーミュレーション14は、所望の薬剤を選んだ作動環境まで送り出すことのできる、スラリー、懸濁液又は溶液のような任意の流動可能な組成物として調合すること可能である。所望に応じて、本発明に従った浸透ポンプ10内に含まれた薬剤フォーミュレーション14は、薬剤を所望の作動環境に送り出すのを許容する作用を果たす1つ又はより多くの各種の成分を含むことができる。特に、本発明に従った浸透ポンプ内に含まれた薬剤フォーミュレーション14は、1つ又はより多くの抗酸化剤又はその他の安定化剤、浸透促進剤又は用途に適した担体材料のような保存剤を選択的に含むことができる。例えば、浸透ポンプが人間又は動物の被験者に植え込む設計とされる前に使用される任意の担体、保存剤又は透過促進剤が薬理学的に許容可能な材料であろう。
【0026】
図1を参照することで理解し得るように、本発明に従った浸透ポンプ10に含まれた通気口26は、リザーバ12の壁20に形成される。該通気口26は、機械的穿孔法、レーザ穿孔法のような任意の適宜な方法にて、又は、所望の寸法及び形状の通気口26をリザーバ12を形成する材料に提供するため使用可能である成形又は任意のその方法にて形成することができる。通気口26は、本発明に従った浸透ポンプのリザーバ12内に配置され、このため、通常の作動の間、該通気口は、通常の作動状態下にて浸透性組成物16から密封されている。しかし、通気口26は、また、リザーバ12内にて次のように配置される、すなわち、浸透ポンプ10内の圧力が1つ又はより多くの構成要素を変位させる程度に達したならば、通気口26は開き又は露出されて、1つ又はより多くの構成要素が浸透ポンプ10から分離する前に、浸透ポンプ10の内部圧力を放散するのを許容するように配置される。
【0027】
本発明に従った浸透ポンプ10は、最初、半透過性膜22により密封されている通気口26を有することが好ましい。かかる実施の形態において、半透過性膜22は、リザーバ12内に摩擦嵌めされ、リザーバ12及び半透過性膜22の双方は、浸透ポンプ10内にて閾値圧力に達したとき、半透過性膜22がリザーバ12内から次第に変位するような形態とされている。本明細書で使用するように、「閾値圧力」という語は、浸透ポンプ10内に含まれた半透過性膜22がリザーバ12内にて変位し始めるが、半透過性膜22が浸透ポンプ10から直ちに分離すことにはならない、内部圧力又は圧力範囲を意味する。半透過性膜22及びリザーバ12の双方の材料及び形態は、異なる閾値圧力にて次第に変位される半透過性膜を実現し得るよう所望に応じて変更することができる。例えば、半透過性膜22は、半透過性膜の閾値圧力を上昇させ且つ、その閾値圧力に達したならば、次第に押し出すのを容易にする作用を果たす多数の保持リング(図示せず)を有するプラグの形態としてもよい。
【0028】
リザーバ12の通気口26の位置は、浸透ポンプ10の通常の作動中、半透過性膜22により効果的に密封される通気口26を提供するよう選ばれる。しかし、通気口26は、また、浸透ポンプ10の内部圧力が半透過性膜22に対する閾値圧力に達し又はその閾値圧力を上廻るならば、通気口26が開くのを保証するようにも配置されている。通気口が開くと、浸透性組成物16内に含まれた浸透性材料は、作動環境中に解放され、その結果、内部圧力は、半透過性膜22を変位させるのに必要な閾値以下まで放散される。通気口26の位置は、半透過性膜22が選んだ環境に典型的である、機械的、化学的、又は熱的応力を受けたとき、浸透ポンプから分離するような程度まで半透過性膜22が変位する前に、浸透性組成物16が排気し且つ、内部圧力を放散することを確実にし得るように選ばれる。
【0029】
本発明に従った浸透ポンプ10内に水が吸引される率は、少なくとも一部分、作動環境に露出される半透過性膜22の表面積に依存するため、本発明の浸透ポンプ10内に含まれた通気口26は、解放率の性能に影響を及ぼす可能性がある。通気口26が通常の作動中、作動環境からの水系溶液が半透過性膜22と接触するのを許容するような本発明に従った浸透ポンプ10の形態とされた場合、通気口26により提供された露出した表面積が増大する結果、水が半透過性膜22を透過し且つ、流動する率は増すことになろう。その結果、本発明に従った浸透ポンプ10は、通気口26を有しない浸透ポンプ又は作動環境から保護された通気口を有する浸透ポンプと比較したとき、相対的に短い始動時間を示し、また、相対的に速い解放率を示す。しかしながら、本発明に従った浸透ポンプ10の液体の透過率及び解放率の性能は、例えば、半透過性膜を形成するために使用される材料、半透過性膜の幾何学的形態、半透過性膜の露出部分の表面積及び位置を選び且つ変更することを通じて、予め選び且つ制御することが可能である。
【0030】
更に、本発明の浸透ポンプ10の半透過性膜22により提供される透過率又は解放率に対し通気口26が与えるであろう潜在的な影響力を緩和し又は完全に回避することができる。例えば、本発明に従った浸透ポンプ10に含まれる通気口26の寸法が減少するのに伴い、通気口26が半透過性膜22の透過率又は浸透ポンプ10の解放率に与える影響も減少する。このため、1つの好ましい実施の形態において、本発明に従った浸透ポンプ10に含まれた通気口26は、通気口26が通気口26を含まない同一の装置に比して、1%以下だけ半透過性膜22の露出した表面積を増大させるような寸法とされている。1つの代替的な形態において、本発明の浸透ポンプ10内に含まれた通気口26は、0.254mm(0.01インチ)以下の直径を有する全体として環状のオリフィスとして形成される。本発明の浸透ポンプ10に含まれた通気口26に起因するであろう透過率又は解放率の全ての変化を完全に回避するため、通気口26は、通気口26が開き、透過性材料が解放されたとき、容易に押し出されるワックス又は油のような、水不透過性材料により作動環境から密封することができる。
【0031】
図2ないし図4には、本発明に従った浸透ポンプ10の全体的な機能が示されている。本発明の浸透ポンプ10が作動環境内に配置されたならば、水系流体は所定の率にて半透過性膜22を通じて浸透性組成物16内に吸引される。図2にて理解し得るように、浸透性組成物16が水を吸引すると、浸透性組成物16は拡張し且つ、ピストン18に対して作用し、ピストン18をその行程を通じてリザーバ12内にて駆動する。ピストン18がその行程を通じて駆動されると、薬剤フォーミュレーション14は、送り出しオリフィス24を通じて制御された率にて浸透ポンプ10から押し出される。典型的に、薬剤フォーミュレーション14は、水がシステム内に吸引されるときの率と等しい率にて浸透ポンプ10から解放され、その結果、浸透ポンプ10内の圧力は、浸透ポンプ10が薬剤フォーミュレーション14を時間に亙って制御された率にて送り出すとき、相対的に低いままである。
【0032】
ピストン18がリザーバ12内にてその行程の終端に達し、薬剤フォーミュレーションが浸透ポンプ10(図3に図示)から送り出された後、水は、半透過性膜22を通して続けて吸い上げられる。水が浸透性組成物16内に続けて吸引されると、浸透ポンプ10の内部圧力は、半透過性膜22に対する閾値圧力に達する迄、蓄積し続ける。図4に示すように、閾値圧力に達したならば、半透過性膜22は変位され、また、通気口26は開き又は露出され、このため、浸透性組成物16内に含まれた浸透性材料が通気口26を通り且つ作動環境内に解放される。浸透性材料が通気口26から解放されると、浸透ポンプ10の内部圧力は、閾値圧力以下に降下し、半透過性膜の変位は停止する。
【0033】
本発明の浸透ポンプ10の設計は、浸透組成物を排気し且つ、内部圧力を放散するのを許容する作用を果たすのみならず、本発明の浸透ポンプの設計10は、被験者に対する不快感又は刺激を生じる結果となるであろう浸透性材料の解放を招来することなく、かかる性能を実現することを許容する。特に、浸透ポンプ10の構成要素は、実質的に非圧縮性であるように設計されている。その結果、浸透ポンプ10内の圧力が通気口26が開く程度まで蓄積すると、局部的な刺激又は不快感を招来する量の浸透性材料が直ちに解放される結果となるであろう、圧縮解放は全く生じない。その代わり、浸透ポンプ10に含まれた通気口26が開く場合、浸透性組成物14は、典型的に、浸透ポンプ10により提供される最大の解放率に等しい最大率にて浸透ポンプ10から送り出されよう。更に、浸透性組成物14が通気口26から解放されると、浸透性組成物26は、より稀釈状態となり、半透過性膜22を亙ってより小さい浸透勾配が形成され、その結果、時間に亙って浸透性材料の解放量は指数関数的に減少する。このため、その実施の形態の各々にて、本発明の浸透ポンプ10は、望ましくない程、高圧となる前に、内部圧力を放散する作用を果たすのみならず、浸透ポンプ10の設計は、被験者に対する不快感の虞れを軽減するような仕方にてかかる放散が生じるのを許容することになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に従った浸透ポンプの1つの実施の形態を示す概略図である。
【図2】ポンプが薬剤フォーミュレーションを作動環境に送り出すときの図1に示した浸透ポンプの概略図である。
【図3】薬剤フォーミュレーションの送り出しが完了し、浸透ポンプに含まれたピストンがリザーバ内のその行程の終端に達したときの、図1及び図2に示した浸透ポンプの概略図である。
【図4】浸透ポンプの内部圧力により半透過性膜が変位し、通気口が露出され、浸透性組成物が作動環境内に排気された後における図1ないし図3に示した浸透ポンプの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益な剤を長期間に亙って送り出すことを可能にする浸透ポンプにおいて、
有益な剤と浸透性剤とを保持するリザーバと、
リザーバの境界を画成する少なくとも1つの壁と、
該少なくとも1つの壁に形成された少なくとも1つの通気口と、
該少なくとも1つの通気口を密封し得るように配置された半透過性膜であって、浸透ポンプ内にて閾値圧力に達したとき、リザーバに対して変位可能である前記半透過性膜とを備え、半透過性膜がリザーバに対して変位されたとき、通気口は、浸透性剤に露呈され、浸透性剤の少なくとも一部分は、リザーバから解放されるようにした、浸透ポンプ。
【請求項2】
請求項1の浸透ポンプにおいて、通気口は、半透過性膜の露出した表面積を1%以下だけ増大させる寸法とされる、浸透ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2の浸透ポンプにおいて、通気口は、0.254mm(0.01インチ)の直径を有する環状オリフィスを備える、浸透ポンプ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかの浸透ポンプにおいて、通気口は、該通気口が浸透性材料に対して露呈されたとき、容易に押し出される水不透過性材料により作動環境から密封される、浸透ポンプ。
【請求項5】
請求項4の浸透ポンプにおいて、水不透過性材料はワックス又は油を備える、浸透ポンプ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、半透過性膜がリザーバ内に摩擦嵌めされる、浸透ポンプ。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、半透過性膜は、浸透ポンプ内にて閾値圧力に達したとき、リザーバに対して次第に変位し得る形態とされる、浸透ポンプ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、半透過性膜は、多数の保持リングを有するプラグの形態とされる、浸透ポンプ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、浸透性剤は浸透性錠剤を備える、浸透ポンプ。
【請求項10】
請求項1ないし8の浸透ポンプにおいて、浸透性剤は、浸透剤、浸透性ポリマー又はそれらの混合体を備える、浸透ポンプ。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、リザーバ内にて且つ、浸透性剤の周りに分配されたフィラーを更に備える、浸透ポンプ。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、リザーバ内に配置され且つ、有益な剤と、浸透性剤との間に配置された可動ピストンを更に備える、浸透ポンプ。
【請求項13】
請求項12の浸透ポンプにおいて、可動ピストンは、非圧縮性材料にて形成される、浸透ポンプ。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、有益な剤は、医薬、ビタミン、栄養物、殺生物剤、滅菌剤、食品サプリメント、不妊剤、避妊剤、妊娠促進剤、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、浸透ポンプ。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れかに記載の浸透ポンプにおいて、有益な剤は、スラリー、懸濁液又は溶液として調合される、浸透ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−521897(P2006−521897A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509603(P2006−509603)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/010106
【国際公開番号】WO2004/089457
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(598158657)アルザ・コーポレーション (23)
【Fターム(参考)】