説明

内部変状検出支援装置及び内部変状検出支援プログラム

【課題】表面の凹凸に基づく温度分布を識別して、内部変状箇所を検出することを支援できる内部変状検出支援装置及び内部変状検出支援プログラムを提供する。
【解決手段】計測結果取得部36が、レーザスキャナ及び赤外線熱計測装置の計測結果を取得すると、変換部38は、計測結果取得部36が取得した赤外線熱計測装置の計測結果を画像データに変換し、熱画像を生成する。また、対応付け部40は、変換部38が生成した熱画像を、座標計測装置が計測した赤外線熱計測装置及びレーザスキャナの計測位置の座標値に基づいて、レーザスキャナの計測結果の凹凸データを対応付ける。表示制御部46は、上記熱画像と、これに対応する凹凸データとを表示装置に表示させ、利用者による対象物の内部変状検出業務を支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部変状検出支援装置及び内部変状検出支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線カメラにより道路等の構造物の表面の温度分布を計測し、この温度分布に基づいて道路等の内部の亀裂、剥離等の異常点(変状)を検出する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1)。これは、内部の変状箇所の表面温度が、健全部の表面温度よりも高くなる、あるいは低くなることを利用して内部変状をとらえるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−337493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に道路等の構造物の表面に凹凸がある場合にも、表面に温度分布が発生する。従って、上記従来の技術においては、計測した温度分布が内部変状に基づくものであるか、表面の凹凸に基づくものであるかを識別することができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、表面の凹凸に基づく温度分布を識別して、内部変状箇所を検出することを支援できる内部変状検出支援装置及び内部変状検出支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の実施形態は、内部変状検出支援装置であって、対象物表面の凹凸を計測するための凹凸計測手段と、対象物表面の温度を計測するための赤外線熱計測手段と、前記赤外線熱計測手段の計測結果を画像データに変換する変換手段と、前記画像データと前記凹凸計測手段が計測した凹凸のデータとを、前記赤外線熱計測手段と凹凸計測手段との計測位置に基づいて対応付ける対応付け手段と、前記画像データと、前記対応付け手段により対応付けされた凹凸のデータとを表示する画像表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2の実施形態は、上記内部変状検出支援装置が、さらに入力された前記赤外線熱計測結果の画像における変状箇所を受け付ける変状箇所受付手段と、前記変状箇所受付手段が受け付けた変状箇所の凹凸の大きさを判定する凹凸判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第3の実施形態は、上記内部変状検出支援装置において、前記変換手段が、対象物表面の温度の高低を、画像の濃度、色、図形、模様の変更または有無により表現することを特徴とする。
【0009】
また、第4の実施形態は、上記内部変状検出支援装置において、前記凹凸のデータが、凹部と凸部の差の数値、または凹凸の平均値と凸部との差の数値であることを特徴とする。
【0010】
また、第5の実施形態は、内部変状検出支援プログラムであって、コンピュータを、対象物表面の凹凸の計測結果を取得する凹凸計測結果取得手段、対象物表面の温度の計測結果を取得する温度計測結果取得手段、前記温度計測結果を画像データに変換する変換手段、前記画像データと前記凹凸計測結果のデータとを、温度計測位置と凹凸計測位置とに基づいて対応付ける対応付け手段、前記画像データと、前記対応付け手段により対応付けされた凹凸計測結果のデータとを表示する画像表示手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面の凹凸に基づく温度分布を識別して、利用者が内部変状箇所を正確に検出することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態にかかる内部変状検出支援装置を搭載した車両の例を示す図である。
【図2】図1に示された制御装置を構成するコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】実施形態にかかる制御装置の機能ブロック図である。
【図4】赤外線熱計測装置による路面温度の計測結果の熱画像の例を示す図である。
【図5】レーザスキャナの計測結果を表す凹凸画像及び赤外線熱計測装置による路面温度の計測結果の熱画像の例を示す図である。
【図6】実施形態にかかる内部変状検出支援装置の動作例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0014】
図1には、実施形態にかかる内部変状検出支援装置を搭載した車両の例が示される。図1において、車両100に搭載された内部変状検出支援装置は、赤外線熱計測装置10、レーザスキャナ12、座標計測装置14、距離発生手段15及び制御装置16を含んで構成されている。
【0015】
赤外線熱計測装置10は、赤外線カメラを含んで構成され、道路の路面、建造物の壁面等の対象物の表面の温度を計測する。一般に、対象物の内部に亀裂、空隙、剥離等の、対象物が当初の状態から変化した状態となる変状が発生すると、アスファルト等の対象物の構成要素と亀裂等の内部の空気とで熱容量が異なるため、太陽光で加熱され、あるいは夜間の冷気で冷却された場合に、上記内部の変状が存在している部分と変状が存在していない部分とで、対象物の表面の温度が異なり、温度分布が発生する。通常空気は対象物の構成要素より熱容量が小さいため、昼間は変状が存在していない部分より変状が存在している部分の表面温度が高温になり、夜間は低温になる。ただし、上記亀裂等の変状部分に雨水等が浸入し、内部滞水となっている場合には、水の熱容量が大きいので、空気の場合とは逆に、昼間は変状が存在していない部分より変状が存在している部分の表面温度が低温になり、夜間は高温になる。いずれの場合にも、内部に変状が存在している部分と存在していない部分とで対象物の表面に温度分布が発生するので、赤外線熱計測装置10により、対象物の表面温度を測定することにより、内部の変状の発生を検出することができる。なお、上記赤外線カメラは、波長が3〜8μmの中間赤外線を使用するのが好適である。上記波長範囲の赤外線を使用することにより、感度を向上でき、また、電子シャッター方式によりシャッター速度を高速化して解像度を向上できるからである。また、赤外線カメラは、太陽光の対象物表面からの反射によるノイズをさけるため、対象物表面に対して所定角度傾けて撮影を行うのが好適である。
【0016】
レーザスキャナ12は、路面等の対象物表面上の各点と自分との距離を測定する装置であり、対象物表面にレーザ光を発射し、対象物表面からの反射波を受け取って対象物表面との距離を検出する構成となっている。レーザスキャナ12が対象物表面上の各点と自分との距離を測定する際には、レーザスキャナ12が車両の進行方向に直交する方向にレーザ光によるスキャンを行い、これを繰り返しながら車両を進行させ、これによって得られた反射波のデータから対象物表面上の地点ごとに自分との距離を演算する。このようにして得た対象物表面上の各点とレーザスキャナ12との距離の変化により、対象物表面の凹凸を知ることができる。気象条件(太陽光照射角度、気温等)や対象物条件(表面積、厚み等)に影響されるが、一般に、対象物表面の凹凸が大きいと、太陽光の照射により昼間に平坦部に比べて凸部の温度が上昇しやすく、夜間には放熱が大きくなって平坦部に比べて凹凸部の温度が下降しやすい傾向にある等の理由により、凹凸に起因して対象物表面に温度分布が発生する。本実施形態では、レーザスキャナ12により対象物表面の凹凸を計測し、赤外線熱計測装置10により計測した対象物表面の温度分布に含まれる、上記凹凸に起因した温度分布を識別することにより、内部変状を正確に検出することができる。
【0017】
座標計測装置14は、GPS(全地球測位システム)受信機を含んで構成され、赤外線熱計測装置10、レーザスキャナ12の計測位置の座標値(例えば、経度、緯度、標高)を計測する。なお、座標計測装置14は、GPSデータを補完するためのジャイロ等を備えているのが好適である。
【0018】
距離発生手段15は、車両の所定の走行距離ごとにパルス信号を発生する。赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12は、距離発生手段15が発生するパルス信号に同期して、それぞれの計測を行う構成となっている。また、座標計測装置14も上記パルス信号に同期して座標値を計測する。このような構成により、本実施形態にかかる車両100の車速が変動しても、常に一定の距離間隔で赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12が計測を行うことができる。なお、上記距離発生手段15としては、例えば空間フィルタの原理を用いた非接触型速度・距離計を使用することができる。
【0019】
制御装置16は、適宜なコンピュータにより構成され、赤外線熱計測装置10の計測結果の画像化等を行う。なお、制御装置16は、車両100に搭載せず、赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12の計測データを適宜な通信手段または記憶媒体を介して取得する構成でもよい。また、赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12を異なる車両に搭載し、制御装置16が後で計測データを統合してもよい。
【0020】
図2には、図1に示された制御装置16を構成するコンピュータのハードウェア構成の例が示される。図2において、制御装置16は、中央処理装置(例えばマイクロプロセッサ等のCPUを使用することができる)18、ランダムアクセスメモリ(RAM)20、読み出し専用メモリ(ROM)22、入力装置24、表示装置26、通信装置28及び記憶装置30を含んで構成されており、これらの構成要素は、バス32により互いに接続されている。また、入力装置24、表示装置26、通信装置28及び記憶装置30は、それぞれ入出力インターフェース34を介してバス32に接続されている。
【0021】
CPU18は、RAM20またはROM22に格納されている制御プログラムに基づいて、後述する各部の動作を制御する。RAM20は主としてCPU18の作業領域として機能し、ROM22にはBIOS等の制御プログラムその他のCPU18が使用するデータが格納されている。
【0022】
また、入力装置24は、キーボード、ポインティングデバイス等により構成され、使用者が動作指示等を入力するために使用する。
【0023】
また、表示装置26は、液晶ディスプレイ等により構成され、赤外線熱計測装置10の計測結果の画像等を表示する。なお、表示装置26は、他のコンピュータ等に設けてもよい。
【0024】
また、通信装置28は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポートその他の適宜なインターフェースにより構成され、CPU18がネットワーク等の通信手段を介して外部の装置とデータをやり取りするために使用する。また、赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12の計測結果を、通信装置28を介して外部の装置に送信してもよい。
【0025】
また、記憶装置30は、ハードディスク等の記憶装置であり、後述する処理に必要となる種々のデータを記憶する。なお、記憶装置30としては、ハードディスクの代わりに、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。
【0026】
図3には、実施形態にかかる制御装置16の機能ブロック図が示される。図3において、制御装置16は、計測結果取得部36、変換部38、対応付け部40、変状箇所受付部42、凹凸判定部44、表示制御部46及び通信部48を含んで構成されており、これらの機能は、例えばCPU18とCPU18の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
【0027】
計測結果取得部36は、赤外線熱計測装置10、レーザスキャナ12及び座標計測装置14の計測結果を取得する。取得した計測結果は、変換部38、対応付け部40及び凹凸判定部44に出力する。
【0028】
変換部38は、赤外線熱計測装置10の計測結果を画像データ(熱画像)に変換する。この場合、赤外線熱計測装置10の計測結果である対象物表面の温度の高低を、画像の濃度、色、図形、模様の変更または有無等により表現する。また、変換部38は、レーザスキャナ12の計測結果から、凹凸の高さデータを四角柱、円柱等の突起物の画像に変換してもよい。この場合、凹凸の高さデータの値と突起物の高さを対応させ、例えば凹部と凸部の差の数値、または凹凸の平均値と凸部との差の数値が大きいほど突起物も高く表示する。
【0029】
対応付け部40は、変換部38の変換処理の結果である熱画像とレーザスキャナ12の計測結果である対象物表面の凹凸データとを、座標計測装置14が計測した赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12の計測位置の座標値に基づいて対応付ける。この場合、座標計測装置14を構成するGPS受信機と赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12との相対位置並びに赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12の計測方向(赤外線カメラの撮影方向及びレーザスキャナ12のレーザ照射方向)に基づいて、上記赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12により計測される対象物表面の座標値を決定することができる。対応付け部40は、決定した対象物表面の座標値により、上記熱画像の画素ごとにまたは複数画素からなる所定範囲ごとに凹凸データの対応付け処理を行う。あるいは、赤外線熱計測装置10の赤外線カメラの一回の撮影範囲の熱画ごとに、上記凹凸データを変換部38が変換した突起物の画像に対応付けてもよい。
【0030】
変状箇所受付部42は、利用者が赤外線熱計測装置10の計測結果の画像を利用者が表示装置26で確認し、入力装置24により変状箇所を指定したときに、当該指定箇所を、変換部38が変換した赤外線熱計測結果の熱画像における変状箇所として受け付ける。
【0031】
凹凸判定部44は、変状箇所受付部42が受け付けた変状箇所の凹凸の大きさを、レーザスキャナ12の計測結果に基づいて判定する。この判定では、例えば凹部と凸部の差の数値、または凹凸の平均値と凸部との差の数値と予め設定した閾値とに基づき、変換部38が赤外線熱計測装置10の計測結果を変換して得た熱画像の画素ごとまたは複数画素ごとに、凹凸の大きさを大、中、小のように決定する。この場合、レーザスキャナ12の計測結果と熱画像の画素との対応は、対応付け部40の対応付けにより決定できる。これにより、利用者は、変状箇所として指定された箇所の凹凸が「小」の場合には内部変状であると判定し、「大」の場合には内部変状ではないと判定し、「中」の場合には、さらに精密な調査を行う等の判断を容易に行うことができる。
【0032】
表示制御部46は、変換部38の変換結果の熱画像を表示装置26に表示させる。また、変状箇所受付部42が受け付けた変状箇所を囲む円形等の線画、及び凹凸判定部44が判定した凹凸の大きさに関する情報(大中小の表示等または突起物の画像)も表示装置26に表示させるのが好適である。
【0033】
通信部48は、通信装置28を介して赤外線熱計測装置10、レーザスキャナ12及び座標計測装置14の計測結果、並びに制御装置16の処理結果等を外部の装置とやり取りする。
【0034】
図4(a),(b),(c)には、赤外線熱計測装置10による路面温度の計測結果の熱画像の例が示される。本例は、道路の3つの箇所の昼間の測定結果を示しており、図4(a)が、路面の凹凸が大きい箇所であって、凹凸に基づく温度分布が発生している例であり、図4(b),(c)は、路面の凹凸は小さいが、図4(b)が道路の内部の空隙に基づく温度分布が発生している例であり、図4(c)が、道路の内部の滞水に基づく温度分布が発生している例である。なお、図4(a),(b),(c)では、変換部38の処理により温度が高い部分ほど白く表示されている。
【0035】
図4(a)に示された例と図4(b),(c)に示された例では、高温部が白く、低温部が黒く表示されるだけであるので、熱画像だけでは路面の凹凸による路面の温度分布と内部変状に基づく温度分布とを区別することはできない。そこで、本実施形態では、レーザスキャナ12の計測結果に基づいて、路面の凹凸に関する情報を熱画像とともに表示する。
【0036】
例えば、図4(a)の矢印Iで指示された箇所は凸部であって温度も高い。そこで、上記矢印Iで指示された凸部の箇所または「I」の文字が記載されている箇所等に、凹凸の数値を表示する。この場合、表示制御部46が、対応付け部40が対応付けた熱画像の画素と路面の凹凸データに基づき、凹部と凸部の差の数値、または凹凸の平均値と凸部との差の数値等を表示することができる。あるいは、画素ごとに凹凸の高さデータを突起物として表示し、視覚的に路面の凹凸を表示してもよい。
【0037】
図5(a),(b)には、レーザスキャナ12の計測結果を表す凹凸画像(a)及びその一部分に相当する箇所を撮影した赤外線熱計測装置10による路面温度の計測結果の熱画像(b)の例が示されている。これらの画像は、対応付け部40により対応付けられている。図5(a),(b)において、矢印Aで指示された箇所が互いに対応しており、凸部となっている。図5(a)に例示した路面の凹凸画像は、図5(b)の熱画像とは別の画像として表示される。なお、凹凸画像と共に、凹部と凸部の差等の数値や凹凸の高さデータに相当する突起物を表示してもよい。
【0038】
さらに、利用者が入力装置24により指定した変状箇所を変状箇所受付部42が受け付け、凹凸判定部44が判定した凹凸の大きさを、例えば「大」、「中」、「小」等の文字として、上記矢印Iで指示された箇所または「I」の文字が記載されている箇所等に表示してもよい。
【0039】
本実施例では、上述したように熱画像上または熱画像とは別の画像に凹凸の程度を表示できるので、レーザスキャナ12の計測結果に基づいて対象物内部の変状を識別することができる。すなわち、利用者は、熱画像のうち、図4(a)のような凹凸の大きい箇所を除外し、凹凸が小さい図4(b),(c)の箇所のみを内部変状箇所として検出することができる。なお、上述したように、図4(b)は、道路の内部の空隙に基づく温度分布であり、矢印IIで指示された空隙箇所に対応する路面の温度が高くなっている(白く表示されている)。また、図4(c)が、道路の内部の滞水に基づく温度分布であり、矢印IIIで指示された滞水箇所に対応する路面の温度が低くなっている(黒く表示されている)。
【0040】
図6には、実施形態にかかる内部変状検出支援装置の動作例のフローが示される。図6において、計測結果取得部36が、レーザスキャナ12の計測結果を取得する(S1)。また、計測結果取得部36は、赤外線熱計測装置10の計測結果も取得する(S2)。
【0041】
変換部38は、計測結果取得部36が取得した赤外線熱計測装置10の計測結果を画像データに変換し、熱画像を生成する(S3)。対応付け部40は、変換部38が生成した熱画像を、座標計測装置14が計測した赤外線熱計測装置10及びレーザスキャナ12の計測位置の座標値に基づいて、レーザスキャナ12の計測結果である凹凸データに対応付ける(S4)。この場合、熱画像の各画素または複数画素からなる所定範囲ごとに凹凸データを対応付けてもよいし、赤外線熱計測装置10の赤外線カメラの一回の撮影で取得した熱画像ごとに、上記凹凸データを変換部38が変換した突起物の画像に対応付けてもよい。
【0042】
表示制御部46は、上記熱画像と、これに対応する凹凸データとを表示装置26に表示させ、利用者による対象物の内部変状検出業務を支援する(S5)。
【0043】
上述した、図6の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明としてとらえてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 赤外線熱計測装置、12 レーザスキャナ、14 座標計測装置、15 距離発生手段、16 制御装置、18 CPU、20 RAM、22 ROM、24 入力装置、26 表示装置、28 通信装置、30 記憶装置、32 バス、34 入出力インターフェース、36 計測結果取得部、38 変換部、40 対応付け部、42 変状箇所受付部、44 凹凸判定部、46 表示制御部、48 通信部、100 車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物表面の凹凸を計測するための凹凸計測手段と、
対象物表面の温度を計測するための赤外線熱計測手段と、
前記赤外線熱計測手段の計測結果を画像データに変換する変換手段と、
前記画像データと前記凹凸計測手段が計測した凹凸のデータとを、前記赤外線熱計測手段と凹凸計測手段との計測位置に基づいて対応付ける対応付け手段と、
前記画像データと、前記対応付け手段により対応付けされた凹凸のデータとを表示する画像表示手段と、
を備えることを特徴とする内部変状検出支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内部変状検出支援装置が、さらに入力された前記赤外線熱計測結果の画像における変状箇所を受け付ける変状箇所受付手段と、前記変状箇所受付手段が受け付けた変状箇所の凹凸の大きさを判定する凹凸判定手段と、を備えることを特徴とする内部変状検出支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内部変状検出支援装置において、前記変換手段は、対象物表面の温度の高低を、画像の濃度、色、図形、模様の変更または有無により表現することを特徴とする内部変状検出支援装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の内部変状検出支援装置において、前記凹凸のデータは、凹部と凸部の差の数値、または凹凸の平均値と凸部との差の数値であることを特徴とする内部変状検出支援装置。
【請求項5】
コンピュータを、
対象物表面の凹凸の計測結果を取得する凹凸計測結果取得手段、
対象物表面の温度の計測結果を取得する温度計測結果取得手段、
前記温度計測結果を画像データに変換する変換手段、
前記画像データと前記凹凸計測結果のデータとを、温度計測位置と凹凸計測位置とに基づいて対応付ける対応付け手段、
前記画像データと、前記対応付け手段により対応付けされた凹凸計測結果のデータとを表示する画像表示手段、
として機能させることを特徴とする内部変状検出支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−133322(P2011−133322A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292549(P2009−292549)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】