説明

内部接続要素を有するブリスター布

二重層ジャージ編物から形成されたブリスターまたは複合布であって、針で縫われて、隣接層の糸の中および/または間に伸びる糸由来のフィラメントおよび/または繊維の内部接続部を生じる、布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布構造を安定化するのを助ける内部接続要素を有する布に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの方法が、編布または織布の構造を安定化するために使用されてきた。コーティングは、糸が動くことを防ぐために付与されてきた。しかしながら、コーティングだけでは、布にさらなる所望の特性を与えることはできない。最近、水流絡合として知られる加工が用いられ、織布を安定化している。水流絡合は、流体ジェットを使用して、糸の主体から伸びる繊維を別の糸の主体から伸びる繊維と強制的に絡ませる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、水流絡合加工は、時々、流体ジェットによる絡合を作るために必要な多数の自由繊維に起因して、布の審美性に影響を及ぼし得る。したがって、他の方法によって安定化された布、および布を安定化するための特定の方法に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(詳細な説明)
ここで図面(特に図1〜2)を参照して、本発明の一実施態様を例示するブリスター布10を示す。ブリスター布10は、ブリスター帯100とベース帯200の交互の帯を有する。ブリスター帯100は、第二材料の上方ブリスター層120から独立した第一材料の下方ブリスター層110を有する。ベース帯200は、材料の統合層である。
【0005】
例示されるように、ブリスター布10は、ベース糸11とブリスター糸12から形成される。一実施態様において、ブリスター布10は、約600デニールまでの大きさを有する糸から形成される。別の実施態様において、ブリスター布10は、少なくとも約15デニールの大きさを有する糸から形成される。好適な一実施態様において、ベース糸11とブリスター糸12を形成する繊維は、共に、フィラメント糸を含んでなり得る。ここで使用されるように、フィラメント糸にはマルチフィラメント糸が含まれる。別の実施態様において、ベース糸11とブリスター糸12は、共に、スパン糸を含んでなり得る。さらなる別の実施態様において、ベース糸11は、フィラメント糸を含んでなり得、そしてブリスター糸12は、スパン糸を含んでなり得る。さらなる別の実施態様において、ベース糸11は、スパン糸を含んでなり得、そしてブリスター糸12は、フィラメント糸を含んでなり得る。また、本発明は、フィラメント繊維とステープル繊維とを組み合わせた糸で実施することも意図される。フィラメント繊維とステープル繊維を組み合わせた糸は、上記組合せにおけるフィラメント糸および/またはスパン糸のいずれかの代用物として、ベース糸11および/またはブリスター糸12において使用され得る。本発明におけるフィラメント糸および/またはスパン糸の繊維は、天然または人造材料から形成され得る。例えば、天然材料としては、繊維として使用される動物、植物、または鉱物起源の材料を挙げることができる。人造材料としては、化合物から合成されたポリマー、変性されたまたは変質された天然ポリマーおよび鉱物を挙げることができる。
【0006】
図1〜2をなお参照して、例示されるように、ブリスター布10の下方ブリスター層110は、ベース糸11のジャージ編物であり、そしてブリスター布10の上方ブリスター層120は、ブリスター糸12のジャージ編物である。また例示されるように、ベース糸11は、ベース帯200中の統合二重層ジャージ編物を形成し、そしてブリスター糸12は、ベース帯200中のベース糸11の統合二重層ジャージ編物の間に挟まれる。ブリスター布10は、全ての編布として例示されるけれども、ブリスター布は、織布、または編布および織布の組合せであり得ることが意図される。さらに、統合ベース帯200は、一緒に編まれた部分として例示されるけれども、統合ベース帯は、加工(例えば、ウィービング、ステッチング、ボンディングなど)によって形成され得ることが意図される。
【0007】
ここで図2を参照して、ブリスター布10の拡大断面領域を示す。例示されるように、ブリスター帯接続部130は、ブリスター帯100の一つの層中の糸から、ブリスター帯110の他の層の糸の中および/または間を通る、ブリスター帯100の一つの層中の糸由来の繊維の部分によって、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に形成される。下方ブリスター層接続部131は、下方ブリスター層110中の糸から、上方ブリスター層120の糸の中および/または間を通る、下方ブリスター層110中の糸由来の繊維の部分によって、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に形成される。上方ブリスター層接続部132は、上方ブリスター層120中の糸から、糸または下方ブリスター層100の糸の中および/または間を通る、上方ブリスター層120中の糸由来の繊維の部分によって、上方ブリスター層120と下方ブリスター層110との間に形成される。下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132は、下方ブリスター層110と上方ブリスター層120との間に固定体(securing tie)を与える。
【0008】
図2をなお参照して、下方ブリスター層接続部131の一つを形成する繊維は、下方ブリスター層110中の糸に由来し、次いで、上方ブリスター層120中に突出する。下方ブリスター層接続部131を形成する下方ブリスター層110由来の繊維は、上方ブリスター層120中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。下方ブリスター層接続部131を形成する繊維の部分は、上方ブリスター層120中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。下方ブリスター層接続部131を形成する繊維の別の部分は、上方ブリスター層120の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。上方ブリスター層接続部132の一つを形成する繊維は、上方ブリスター層120中の糸に由来し、次いで、下方ブリスター層110中に突出する。上方層接続部132を形成する上方ブリスター層120由来の繊維は、下方ブリスター層110中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。上方ブリスター層接続部132を形成する繊維の部分は、下方ブリスター層110中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。上方ブリスター層接続部132を形成する繊維の別の部分は、下方ブリスター層110の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。これらのタイプの接続部は、布を処理する多くの水流絡合方法で経験されたような、一つの糸から大体外側に、そして少なくとも部分的に放射状に伸びる繊維と、別の糸から大体外側の方向に、そして少なくとも部分的に放射状の方向に伸びる繊維との絡合によって、糸と層との間に形成された接続部と対照をなす。
【0009】
多くの下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132は、対応する受取層中に挿入する、各々の起源層由来の繊維のループである。繊維のループは、二つの接続部を作り、各接続部は、同一糸中に由来するループの半分であり、次いで、同一受取層中に突出する。幾つかの例において、上方ブリスター層接続部131および/または下方ブリスター層接続部132は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合する、繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、上方ブリスター層接続部131または下方ブリスター層接続部132を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する層の繊維でさらに固定され得る。
【0010】
一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、下方ブリスター層を上方ブリスター層に固定する、1平方インチ当たり合計少なくとも約275個の総接続部(特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約520,000個の総接続部を有する。編布の一好適実施態様において、ブリスター帯は、合計1平方インチ当たり約350個の総接続部ないし1平方インチ当たり約1,050個の総接続部、より好適には1平方インチ当たり約750個の総接続部を有する。
【0011】
接続部の起源は糸内に由来するため、そして接続部は糸も固定するため、糸の距離当たりの総接続部の数(特定糸に由来する接続部およびその特定糸に受け取られた接続部の両方の合計)を理解することは有益である。一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯における上方ブリスター層または上方ブリスター層を形成する糸は、糸を固定する、最小で糸1インチ当たり少なくとも約1.1個の総接続部、最大で糸1インチ当たり約1,650個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、本発明に組み込まれる布のブリスター帯の下方ブリスター層または上方ブリスター層を形成する糸は、糸1インチ当たり約1.4個の総接続部ないし糸1インチ当たり約4.2個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約2.8個の総接続部を有する。
【0012】
糸の繊維は接続部の起源であるため、異なる糸は、接続部用の繊維の異なる利用性、そして糸の繊維含量に基づく接続部の量についての異なる要求を有する。フィラメント距離の測定値は、糸束中のフィラメントの数を乗じたフィラメントを有する糸の長さである。したがって、本発明に組み込まれる布の部分についての糸のフィラメント距離当たりの総接続部の数(特定糸に由来する接続部およびその特定糸に受け取られた接続部の両方の合計)を理解することが有益である。一実施態様において、ブリスター帯における下方ブリスター層または下方ブリスター層を形成する糸は、少なくともフィラメント1インチ当たり約0.02個の総接続部を有し、そして最大でフィラメント1インチ当たり約6.4個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、ブリスター帯の上方ブリスター層または下方ブリスター層を形成する糸は、フィラメント1インチ当たり約0.022個の総接続部ないしフィラメント1インチ当たり約0.07個の総接続部、より好適にはフィラメント1インチ当たり約0.04個の総接続部を有する。
【0013】
また、図2を参照して、ベース帯200が、下方ベース層部分210と、上方ベース層部分220と、上方ベース層部分210と上方ベース層部分220との間を通る捕捉糸230を有する単一構造である編布を示す。例示される実施態様において、下方ベース層部分210および上方ベース層部分220は、ベース糸11によって形成され、そしてブリスター糸12は、二つの層の間の捕捉糸230を形成する。例示されるように、ベース層接続部240は、下方ベース層部分210と上方ベース層部分220との間に形成される。また、捕捉糸接続部250は、下方ベース層210と捕捉糸230との間、および上方ベース層部分220と捕捉糸部分230との間に形成される。
【0014】
図2をなお参照して、ブリスター帯接続部230と同様に、ベース層接続部240は、ベース帯200の一つの層中の糸からベース帯200の他の層中を通る、ベース帯200の一つの層中の糸由来の繊維の部分によって、下方ベース層210と上方ベース層220との間に形成される。下方ベース層接続部241は、下方ベース層210中の糸に由来する繊維によって形成され、次いで、上方ベース層220の糸の中および/または間に突出する。下方ベース層接続部241を形成する下方ベース層210由来の繊維は、上方ベース層220中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。下方ベース層接続部241を形成する繊維の部分は、上方ベース層220中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。下方ベース層接続部241を形成する繊維の別の部分は、上方ベース層220の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。上方ベース層接続部242は、上方ベース層220中の糸に由来する繊維によって形成され、次いで、下方ベース層210中に突出する。上方ベース層接続部242を形成する上方ベース層220由来の繊維は、下方ベース層210中の糸の主体中の繊維またはフィラメントによって固定される。上方ベース層接続部242を形成する繊維の部分は、下方ベース層210中の糸の主体内の繊維の間に固定される。主体は、糸自身とほぼ同一方向に配向された繊維群である。上方ベース層接続部242を形成する繊維の別の部分は、下方ベース層210の糸の間に、それらの糸の主体中の繊維によって固定される。下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242は、下方ベース層210と上方ベース層220との間に、固定体を与える。
【0015】
下方ブリスター層接続部131および上方ブリスター層接続部132と同様に、多くの下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242は、対応する受取層に挿入する各々の起源糸中の繊維のループである。幾つかの例において、下方ベース層接続部241および/または上方ブリスター層接続部242は、各々の起源糸に一つの末端のみにて結合した繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、下方ベース層接続部241または上方ベース層接続部242を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する受取層の繊維でさらに固定され得る。ベース層接続部240は、下方ベース層210と上方ベース層220との間に固定体を与え、これによりベース帯200をより安定化された摩耗抵抗布にする。
【0016】
一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、下方ベース層を上方ベース層に固定する、1平方インチ当たり合計少なくとも約57個の総接続部(特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約109,110個の総接続部、より好適には1平方インチ当たり約150個の総接続部を有する。一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯の上方ベース領域の下方ベース層を形成する糸は、糸を固定する、最小で糸1インチ当たり少なくとも約0.6個の総接続部、最大で1インチ当たり約11.61個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約1.6個の総接続部を有する。一実施態様において、接続部を形成する糸は、フィラメント1インチ当たり約28.8個の接続部ないしフィラメント1インチ当たり約557個の接続部を有する。
【0017】
図2をなお参照して、捕捉糸接続部250は、下方ベース層210または上方ベース層220中の糸の主体の中および/または間を通る、捕捉糸230由来の繊維の部分によって、および/または、捕捉糸230中を通る、下方ベース層210または上方ベース層200中の糸由来の繊維によって、捕捉糸230と下方ベース層210との間および捕捉糸230と上方ベース層220との間に形成される。下方ベース捕捉糸接続部251は、下方ベース層210中の糸から捕捉糸230の主体中を通る、下方ベース層210中の糸由来の繊維の部分によって、および、捕捉糸230から下方ベース層210の糸の主体中および/または間を通る、捕捉糸由来の繊維によって、捕捉糸230と下方ベース層210との間に形成される。上方ベース捕捉糸接続部252は、上方ベース層220中の糸から捕捉糸230の主体中を通る、上方ベース層220中の糸由来の繊維の部分によって、および、捕捉糸230から上方ベース層220の糸の主体中および/または間を通る、捕捉糸230由来の繊維によって、捕捉糸230と上方ベース層220との間に形成される。
【0018】
下方ベース層接続部241および上方ベース層接続部242と同様に、多くの下方ベース捕捉糸接続部251および上方ベース捕捉糸接続部252は、対応する受取糸または層中に挿入する各々の起源糸中の繊維のループである。幾つかの例において、下方ベース捕捉糸接続部251および/または上方ベース捕捉糸接続部252は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合した繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみに結合した、下方ベース捕捉糸接続部251または上方ベース捕捉糸接続部252を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する受取糸または層の繊維でさらに固定され得る。
【0019】
捕捉糸接続部250は、捕捉糸230と下方ベース層210との間、および捕捉糸230と上方ベース層220との間に固定体を与え、これによりベース帯200をより安定化された摩耗抵抗布にする。一実施態様において、本発明に組み込まれる布のベース帯の捕捉糸を形成する糸は、糸を固定する、最小で少なくとも糸1インチ当たり約0.6個の総接続部、最大で糸1インチ当たり約11.61個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約1.6個の総接続部を有する。一実施態様において、捕捉糸は、フィラメント1インチ当たり約28.8個の接続部ないしフィラメント1インチ当たり約557個の接続部を有する。
【0020】
また、一実施態様において、ニードルドブリスター布10は、下方ブリスター層110および下方ベース層210の裏面に配置された裏面コーティングを含む。裏面コーティングはニードルドブリスター布10の反対側の摩耗抵抗をさらに改善することが見出された。裏面コーティングは、任意のポリマー材料(例えば、ラテックス、ポリ酢酸ビニルなど)であり得る。裏面コーティングは、約0.25oz/yd〜約5oz/yd程度で付与され得る。
【0021】
ここで図3を参照して、本発明の別の実施態様を示す布複合体20の拡大断面を示す。布複合体20は、多層クロス(例えば、ダブルクロス、トリプルクロスなど)である。布は、少なくとも第一層21と第二層22を含んでなる。第一層21および第二層の少なくとも一つは、編布である。図3に例示される実施態様において、第一層21は、第一層糸23から形成され、そして第二層22は、第二層糸24から形成される。一実施態様において、第一層糸23および/または第二層糸24は、約600デニールまでの大きさの糸を有する。別の実施態様において、第一層糸23および/または第二層糸24は、少なくとも約15デニールの糸の大きさを有する。好適な一実施態様において、第一層糸23および第二層糸24の両方は、フィラメントを含んでなる。別の実施態様において、第一層糸23は、フィラメント糸であり、そして第二層糸24は、スパン糸である。さらなる別の実施態様において、第一層糸23および第二層糸24の両方がスパン糸である。さらに、第一層糸23および/または第二層糸24がフィラメント繊維とステープル繊維との組合せから形成された糸を含み得ることが意図される。
【0022】
接続部25は、二つの層中の糸のフィラメントによって、第一層21と第二層22との間に形成される。第一層接続部26は、第二層22中に突出する第一層21中の繊維の部分によって形成される。第一層接続部25は、第二層糸24の主体の繊維によって固定される。第二層接続部27は、第一層21中に突出する第二層22中の繊維の部分によって形成される。第二層接続部27は、第一層糸23の主体の繊維によって固定される。本発明の接続部25は、複合布20全体または不連続帯中を横切って形成され得ることが意図される。
【0023】
多くの第一層接続部26および第二層接続部27は、対応する受取層中に挿入する各々の起源層由来の繊維のループである。繊維のループは、二つの接続部を作り、各接続部は、同一糸に由来し、次いで同一受取層中に突出するループの半分である。幾つかの例において、第一層接続部26および/または第二層接続部27は、一つの末端のみにて各々の起源糸に結合する繊維の部分によって形成され得る。幾つかのさらなる例において、一つの末端のみにて結合した、第一層接続部26または第二層接続部27を形成する繊維は、自由末端にて、フックにされ、曲げられ、またはループにされ、接続部が絡む対応する層の繊維でさらに固定され得る。
【0024】
一実施態様において、複合布または本発明に組み込まれる複合布の帯は、必要とされる安定性および布の構造に依存して、第一層を第二層に固定する、合計少なくとも1平方インチ当たり約275個の総接続部(特定層に由来する接続部およびその特定層に受け取られた接続部の両方の合計)、最大で1平方インチ当たり約520,000個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、合計1平方インチ当たり約350個の総接続部ないし1平方インチ当たり約1,050個の総接続部、より好適には1平方インチ当たり約750個の総接続部が存在する。
【0025】
一実施態様において、本発明に組み込まれる複合布の第一層または第二層を形成する糸は、糸を固定する、最小で少なくとも糸1インチ当たり約1.1個の総接続部、最大で糸1インチ当たり約1,650個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、これらの糸は、糸1インチ当たり約1.4個の総接続部ないし糸1インチ当たり約4.2個の総接続部、より好適には糸1インチ当たり約2.8個の総接続部を有する。
【0026】
一実施態様において、本発明に組み込まれる複合布の第一層または第二層を形成する糸は、少なくともフィラメント1インチ当たり約0.02個の総接続部、最大でフィラメント1インチ当たり約6.4個の総接続部を有する。好適な一実施態様において、これらの糸は、フィラメント1インチ当たり約0.022個の総接続部ないしフィラメント1インチ当たり約0.07個の総接続部、より好適にはフィラメント1インチ当たり約0.04個の総接続部を有する。
【0027】
本発明の一製造方法において、さらに加工される布は、形成され、次いでニードリング加工を受ける。一実施態様において、布は、フィラメント糸の標準ニッティングまたはウィービング技術によって形成されたブリスター布であり得る。ブリスター布は、編材料の二つの分離した層を有する領域と、二重層ジャージ編物の層の間に挟まれた二つの分離した層の一つ由来の糸を有する二重層ジャージ編物の領域を含む。別の実施態様において、加工される布は、後の加工において結合されるべき二つの層である。加工される多層布中の少なくとも一つの層は、編布であり、両方の層は、編布であり得る。好適な実施態様において、加工される布を形成する糸は、フィラメント糸である。しかしながら、糸は、短繊維を含み得るか、または、フィラメントを有するか、もしくは有しないスパン繊維糸であり得ることが意図される。
【0028】
加工される形成された布は、針床を布中に挿入することによって布を針で縫うニードリング機械に送られる。典型的に、ニードリング機械は、布の表面に大体垂直な方向にて、針を布に挿入し、そして針を引き出す。受板は、針床の反対側にて布に支持を与え、そして針が布を完全に通ることを可能にする開口部を有する。針は、布のいずれかの側か、または布の両側にて、挿入され、引き出され得る。一つの側のみから針を挿入することによって、接続部は、加工される布の針が挿入される側にのみ生じる。針床の一回の挿入によって与えられ得るよりも、平方領域当たり多くの針挿入が要求される場合、針床は布の特定領域中に一回よりも多く挿入され得るか、または、複数の針床が使用され、同一領域中に挿入され得る。
【0029】
一実施態様において、ニードリング機械は、布が機械中に、機械を通って移動し、そして機械から出てくる際、直線方向(機械方向)の針床と布との間の相対運動をほとんど生じないか、または生じないように、針を布中に挿入する。針床と布との間の相対直線運動の欠如は、針が布に挿入され、そして布から除かれる際、針床を布の運ばれる方向に動かすことによって達成され得る。布が針で縫われた後、裏面コーティングは、種々の既知の方法(例えば、ナイフコーティング、発泡コーティング、ラミネーション、スプレーコーティング、または他の同様の方法)によって布に付与され得る。
【0030】
ここで図4を参照して、本発明に使用される針400の一つの一実施態様の部分拡大図を示す。針400は、鋭末端410と、針400の長さに沿ってノッチ420を有する。針400の鋭末端410は、糸および布層を通る針400の通過を可能にする。針400のノッチ420は、針400が糸および布層を通過する際、糸の繊維を拾い上げまたは「フック」する。針400が隣接糸および/または布層を通過し続ける際、針400のノッチ420によって予めフックされた繊維は、隣接糸の主体および/または布層中に移動される。針400による繊維の運動は、起源となる糸から繊維を引き伸ばすか、または引っ張る。針400付近の自由末端を有する繊維について、繊維は、繊維の自由末端がノッチ420を通過するか、または針400がその運動の末端に到達するまで、そして繊維が隣接糸および/または布層中に配置されるまで、針400のノッチ420について行く。他の繊維について、繊維は、針400がその運動の末端に到達するか、または繊維中の緊張がノッチ420から繊維を自由にするか、あるいは繊維がちぎれるまで、隣接糸および/または層中を通る。針について行き、そして針から自由になるか、またはちぎれる繊維の部分は、繊維のその部分を隣接糸および/または層中に置く。
【0031】
結果は、隣接糸の主体および/または布層中への糸の繊維および/またはフィラメントの部分の直接的な正の動きである。ここで、それらの繊維および/またはフィラメントは、隣接糸の主体および/または布層内に直接的にアンカーを形成する。隣接糸中に残った繊維および/またはフィラメントは、布層または布層の糸の間に接続部を形成する。対照的に、水流絡合のような方法は、繊維を糸の主体の外部にせしめて、別の糸の外部の繊維と絡ませ、二つの成分の間により少ない直接接続部を与える。さらに、水流絡合は、フィラメント糸布に安定性を与えるための制限された能力を有する。なぜなら、糸の主体および/または布層から自由にされ、他の糸および/または層由来のフィラメントの自由末端と絡み得る、フィラメントの自由末端が存在しないか、ほとんど存在しないためである。
【実施例】
【0032】
〔実施例1〕
本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解され得る。布は、ベース糸について異なる色の二つの1/200/48糸と、ブリスター糸について2/150/50糸から形成されたブリスター布である。ブリスター布は、図5Aおよび5B中に示されるようなニッティングパターンを有する二床回転式ニッティング機械で形成される。布の裏面において、二つのベース糸が使用されて交互のコースに編まれた二つの異なる色が作製される。各糸は、それぞれ1インチ当たり18コース(組み合わされて1インチ当たり約36コースとなる)および1インチ当たり約13ウェール(組み合わされて1インチ当たり約26ウェールとなる)を有する。ブリスター糸は、布の裏面に編まれない。ブリスター帯中の布の表面上で、ブリスター糸は、1インチ当たり約32コースおよび1インチ当たり約28ウェールを有する、ジャージ編物を形成する。また、表面上で、しかし、ベース領域において、二つのベース糸は、交互のコースに編まれる。各糸は、それぞれ1インチ当たり約18.25コース(組み合わされて1インチ当たり約36.5コースとなる)および1インチ当たり約14ウェール(組み合わされて1インチ当たり約28ウェールとなる)を有する。
【0033】
次いで、ブリスター布をニードリング加工して布中に接続部を形成した。Dilo Hyperpunch Double Needle Loom(Dilo Manufacturing Co.)を使用して、布と針床との間の機械方向の相対運動をほとんど有しないか、有しないニードリング運動によって布を針で縫った。針床は、6個のノッチ(針のコーナーエッジ当たり2個)を有する三角形針であるGroz-Beckert F222針を含有した。布の1平方センチメートル当たり約900回の針の挿入がなされるのに十分な時間、針床を布に挿入した。このニードリング加工は、ブリスター帯における布の1平方インチ当たり約350個の接続部をもたらすことが判明した。これは、糸1インチ当たり約1.4個の接続部およびフィラメント1インチ当たり約0.022個の接続部であった。次いで、ニードルド布を、約3oz/ydのラテックスで裏面コートした。
【0034】
針で縫わなかったサンプル、および針で縫ったサンプルについて、布の表面を、1000グラム重量を有するH−18ウィールを使用して、200サイクルの間、SAE J948によるテーバーほつれ試験を行った。針で縫わなかった布について、布の表面は3.0の評点を受けた。針で縫った布について、布の表面は3.5の評点を得た。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の一実施態様を例示するブリスター布の上面図である。
【図2】図2は、切断線2−2で切断した図1のブリスター布の拡大断面図である。
【図3】図3は、布の二つの分離した層の複合体を使用する本発明の別の実施態様の拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明に使用した針の部分拡大図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施例に使用したステッチを例示する図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施例に使用したステッチを例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編布であり、かつ第一糸繊維を有する第一糸を有する第一布層と、
第二糸繊維を有するブリスター糸を有する第二層と
を含んでなる複合布であって;
第一層および第二層は独立層であり;および
第一層由来の第一糸繊維の部分によって形成された第一層と第二層との間の第一層接続部と、
第二層由来の第二糸繊維の部分による、第二層と第一層との間の第二層接続部と
をさらに含む、複合布。
【請求項2】
編布であり、第一糸繊維を有する第一糸を有する第一布層と、
第二糸繊維を有するブリスター糸を有する第二層と
を含んでなる複合布であって;
第一層および第二層は独立層であり;および
第一層由来の第一糸繊維の部分によって形成された第一層と第二層との間の第一層接続部をさらに含む、複合布。
【請求項3】
編布であり、かつ第一糸繊維を有する第一糸を有する第一布層と、
第二糸繊維を有するブリスター糸を有する第二層と
を含んでなる複合布であって;
第一層および第二層は独立層であり;および
第二層由来の第二糸繊維の部分による第二層と第一層との間の第二層接続部をさらに含む、複合布。
【請求項4】
単一構造の複数のベース帯と、
ベース帯と交互になり、
ベース糸繊維を有するベース糸を有するベース層と、
ブリスター糸繊維を有するブリスター糸を有するブリスター層と
を有する、複数のブリスター帯と
を含んでなるブリスター布であって;
ベース層およびブリスター層は独立層であり;
少なくとも一つの該ブリスター帯は、
ベース層由来のベース糸繊維の部分による、ベース層とブリスター層との間のベース層接続部と、
ブリスター層由来のブリスター糸繊維の部分による、ブリスター層とベース層との間のブリスター層接続部と
をさらに含む、ブリスター布。
【請求項5】
単一構造の複数のベース帯と、
ベース帯と交互になり、
ベース糸繊維を有するベース糸を有するベース層と、
ブリスター糸繊維を有するブリスター糸を有するブリスター層と
を有する、複数のブリスター帯と
を含んでなるブリスター布であって;
ベース層およびブリスター層は独立層であり;
少なくとも一つの該ブリスター帯は、ブリスター層由来のブリスター糸繊維の部分による、ブリスター層とベース層との間のブリスター層接続部をさらに含む、ブリスター布。
【請求項6】
単一構造の複数のベース帯と、
ベース帯と交互になり、
ベース糸繊維を有するベース糸を有するベース層と、
ブリスター糸繊維を有するブリスター糸を有するブリスター層と
を有する、複数のブリスター帯と
を含んでなるブリスター布であって;
ベース層およびブリスター層は独立層であり;
少なくとも一つの該ブリスター帯は、ベース層由来のベース糸繊維の部分による、ベース層とブリスター層との間のベース層接続部をさらに含む、ブリスター布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2006−506550(P2006−506550A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553425(P2004−553425)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/028955
【国際公開番号】WO2004/046435
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(500524682)ミリケン・アンド・カンパニー (23)
【Fターム(参考)】