説明

円柱状容器

【構成】 上部に流出口用の頸部を有するボトル状の容器本体1と、容器本体1と同じ外径を有する蓋部21と該蓋部内に形成された流出口用頸部12に螺着される円筒状シール部22とからなる容器本体上部に装着される計量カップを兼ねたキャップ2とからなり、流出口用頸部12外周と円筒状シール部22内周に設けられたねじ山、ねじ溝によって容器本体の上部にキャップ2が装着される、円柱状の外形を有することを特徴とする容器。
【効果】 容器本体を耐薬品性、耐衝撃性等のプラスチック製とし、計量カップを兼ねたキャップを装着することによって容器の強度が補強され、容器が円柱状となることから、従来のように容器の細口部分を緩衝材などで保護する必要もなく、ラップラウンドケース等で機械包装が容易にできる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本考案は、ある程度の粘性を有するフロワブル(ゾル)剤などの液体状の農薬等を入れるのに適し、かつ輸送などの際に取扱容易な計量カップ付円筒状容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体を入れる容器は、容器が倒れたとき、内容物である液体が容易に流出しないように、また容器の口をシールするのが容易なように口の部分が細くなったボトル型の細口びんが多く使用されている。しかしながら、このような細口の容器では粘性を有する液体は容易に流出させることができず、また、このような容器を数本まとめて結わえたり、段ボール箱等のケースに詰めたりして運ぶとき、流出口である容器上部の頸部のまわりが空間となっているため、衝撃を受けたとき容器の頸部が破損する恐れがある。そのため、これをを避けるために、容器の頸部の周囲に緩衝材を配したり、容器と容器の間に容器の細口部分(頸部)までの高さの仕切板のある特殊なケースを使用しなければならないなどの問題を有している。
【0003】
このほか、容器がガラス製であると容器自体が重いことからプラスチック製容器が使用されるが、耐化学薬品性で安価なプラスチックでは所期の耐衝撃性や強度が得られない場合があり、希望する大きさの広口の容器にできないため粘度の高い液体用の容器が作成できないなどの問題も生じている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記の問題を解決するためのもので、適度に広口な流出口を有し、計量カップを備えることによって内容物の希釈が容易のほか、該計量カップを兼ねたキャップを被せることによって容器の形状が円柱形となり取扱並びに容器の強度が向上するという容器を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案の容器は、上部に流出口用の頸部を有するボトル状の容器本体と、容器本体と同じ外径を有する蓋部と該蓋部内に形成された流出口用頸部に螺着される円筒状シール部とからなる計量カップを兼ねたキャップとからなり、円柱状であることを特徴とするものである。
【0006】
本考案において、流出口用頸部は容器本体の外径よりも小径とするが、広口びん様になるべく大きい口径とすると内容物が粘性のある液体の場合流出させるのに有利である。
本考案の容器は、プラスチック製とするのが製造上および経済上好ましく、特に容器本体をポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の非極性のプラスチック製とすると内容物が容器内壁に付着することがなく、また付着しても容易に剥離できるので有利である。また更に、これらのプラスチックは、軽量で、耐薬品性、耐衝撃性があり、かつ、適度の弾力性を有することから、農薬や接着剤などの容器に使用できる。このほか、プラスチックによっては透明または半透明で、内容物の残量を容器外から目視できるなどの利点を有する。
【0007】
本考案における計量カップを兼ねたキャップは、容器本体と同じ外径を有する有蓋円筒状の蓋部と該蓋部内に一体的に形成された円筒状シール部とからなり、この円筒状シール部を容器本体の流出口用頸部に被せてねじ止めすることによって、容器本体の口がシールされると共にキャップが容器本体上部に装着され、円柱状の容器となる。
キャップは、装着後の容器の強度を向上させる点でポリスチレン、ポリプロピレン等のある程度硬い樹脂製とすると良く、蓋部の外周には滑り止めのための多数の凸条(ローレット)などを設けると良い。キャップの大きさは、容器本体に装着して容器の強度を向上させる役割をも有することから、容器全体の高さの1/5〜1/3程度とするとよい。
【0008】
キャップの円筒状シール部の内側頂部の容器開口部と接する部分には、キャップの材質とは別に弗素樹脂、ポリエチレン等の耐化学薬品性樹脂で作られたパッキングを兼ねた中栓を内装させる。
【0009】
キャップを装着することによって容器は円柱状となり強度も付与されることとなるため、梱包するとき特別に流出口用頸部を保護する手段を必要とせず、ラップラウンドケースなどによって容易に梱包することができる。
【0010】
【実施例】
以下本考案の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1は、本考案の容器の一例を示す蓋を分離した状態での一部破断正面図で、1は容器本体、2はキャップ、3は中栓を示す。
容器本体1は、図1に示すように、上部に該本体1の外径よりもキャップ2の蓋部21の肉厚程度分だけ縮小した径の段部11を設け、この段部11の上面に流出口用頸部12が設けられている丸びん形の容器で、流出口用頸部12にはねじ山13が形成されている。容器本体1の胴部は、必要に応じて、内容物を表示するラベルを貼るためにラベルの厚さ分だけ若干凹ませた形としてもよい。
【0011】
キャップ2は、内壁に目盛りを付けるとともに流出口用頸部12を含めて容器本体1の上面を覆う大きさで上部が閉塞した有蓋円筒状の蓋部21と、この蓋部21の内部の中央に一体的に形成された円筒状のシール部22とからなり、この円筒状シール部22内周面に設けられたねじ溝23と流出口用頸部12の外周面に形成されたねじ山13とによってねじ止めするようになっている。蓋部21と円筒状シール部22の間には、必要に応じて両者をつなぐリブ24を設けると、蓋部21の回転力を円筒状シール部22に確実に伝えることができる。図2にキャップ2の底面図を示す。
円筒状のシール部22を容器本体1の流出口用頸部12にねじ止めすることによって容器の口はシールされ、それと共にキャップ2は容器本体1上に装着される。
その状態を図3に示す。
【0012】
図4は、キャップ2の円筒状シール部22の内側頂部の容器本体1の開口面に当接する位置に装着されるパッキングを兼ねた中栓3の一例を示す。
中栓3は、容器本体1の開口面に当接する円盤部31とその下面に連設された筒状部32とからなっており、円盤部31の周端に形成されたカット部33を利用して円筒状シール部22内に圧入され、円筒状シール部22の内側上端の周面に形成された溝24に円盤部31の周端を嵌挿することによって装着する。中栓3の円盤部31の容器本体1の開口面に当接する面には1ないし数本の凸条34をリング状に形成するとよりシールを完全なものとすることができる。中栓3の筒状部32は容器本体1の開口部内に挿入されることから、挿入しやすいように下端に向かって縮径するようにテーパー(傾斜)を付した形状とするとよい。
【0013】
図5は、容器本体1の開口部14を示す断面図で、上記中栓3の筒状部32の形状に対応させてカット部15を形成するとよい。図5(A)および(B)は、カット形状の例を示す。このように、中栓3の筒状部32が容器本体1の開口部内に挿入されるように形成することによって、シール面積が大となってシールが完全となると共に、内容物が接着剤や粘度のあるフロワブル(ゾル)剤などの場合開口部に付着しているものを容器内に押し戻せるなどの効果が得られる。容器本体1の開口部14はフランジ状に形成し、他の部分よりも厚肉とすることによって蓋閉め時の圧に耐えられシールを完全なものとすることができる。
【0014】
【考案の効果】
本考案は、容器本体を耐薬品性、耐衝撃性等のプラスチック製とし、強度のあるキャップを装着することによって容器の強度が補強され、容器が円柱状となることから、従来のように容器の細口部分を緩衝材などで保護する必要もなく、ラップラウンドケース等で機械包装が容易にできる等の利点を有する。また、キャップは計量カップを兼ねているため、フロワブル(ゾル)剤などの粘性のある農薬濃厚溶液等使用時に希釈して使用するようなものの容器として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一例を示す一部破断正面図である。
【図2】キャップの底面図である。
【図3】本考案の一例を示す斜視図である。
【図4】中栓の一部破断正面図である。
【図5】容器本体の開口部の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 キャップ
3 中栓
11 容器本体の段部
12 容器本体の流出口用頸部
21 キャップの蓋部
22 キャップの円筒状シール部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上部に流出口用の頸部を有するボトル状の容器本体と、容器本体と同じ外径を有する蓋部と該蓋部内に形成された流出口用頸部に螺着される円筒状シール部とからなる計量カップを兼ねたキャップとからなることを特徴とする円柱状容器。
【請求項2】 上部に流出口用の頸部を有するボトル状の容器本体と、容器本体と同じ外径を有する蓋部と該蓋部内に形成された流出口用頸部に螺着される円筒状シール部とからなる計量カップを兼ねたキャップとからなり、流出口用頸部外周と円筒状シール部内周に設けられたねじ山、ねじ溝によって流出口用頸部に円筒状シール部をねじ止めすることによって容器本体の上部にキャップが装着される、円柱状の外形を有することを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】 容器本体がポリエチレン、ポリプロピレン等の耐薬品性を有するプラスチック製で、キャップが容器本体よりも硬質で強度のあるプラスチック製であることを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項4】 容器本体上部にキャップの蓋部の肉厚分だけ縮径した段部を設け、該段部の周面にキャップの蓋部の内周面が当接するように構成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の容器。
【請求項5】 キャップの円筒状シール部の内側頂部の容器本体の流出口に当接する部分に、弗素樹脂やポリエチレン等の耐化学薬品性のプラスチック製で流出口面に当接する円盤部と流出口内に挿入される円筒状部とからなる中栓を装着したことを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項6】 容器本体の流出口部内周に円筒状シール部内の中栓の円筒状部が挿入されるためのカット部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の容器。
【請求項7】 容器本体が透明または半透明のプラスチック製であることを特徴とする請求項1または2記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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