説明

円盤状装置上での血漿分離

試料が含む高密度および/または固形粒子から流体を少なくとも部分的に細分または分離するための装置であって、該装置が、少なくとも1つの流路(3)を有するたとえば回転自在の平板状または円盤状本体(1)などの可動または駆動可能本体を備える。流路の一方の内壁面にて、本体の移動または駆動時に、流体試料の流速がたとえば対向する内壁面での速度と比較して速い。少なくとも1つの流路(3)が、一方の内壁面(4)にて、流体試料の流れを前記壁面に沿って少なくとも遅滞させる手段(5)を備える。装置は、たとえば血液分離、たとえば少なくとも赤血球から、好ましくは赤血球および白血球から血漿を分離して、分析目的のために高純度の血漿を得るために好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料に含まれる高密度の粒子および/または固形粒子から少なくとも部分的に流体を分離するための請求項1の序文による装置および工程に関する。
【背景技術】
【0002】
現在提案されているように、血液から血清または血漿を分離するためには、基本的に、血液が充填された遠心試験管をたとえば3000gの遠心速度にて20分間回転する。こうすることにより、血液のすべての固形部分を沈降物に見出すことができ、上澄み液は血漿または血清を含まない。この伝統的な血漿分離に加えて、たとえばろ過法などの他の工程が知られている。この既知のろ過法は、血液からの血漿分離のための微小流体システムにおいて、実際には適していない。
【0003】
本発明の総合的な目的は、特に微小流体システムでの使用において、血液から血漿分離して、たとえば分離された試料を継続的にまたはさらに処理することを可能にする、より高度で確実な方法を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、とりわけ既知のろ過法が使用できない分析装置に分離工程を統合することである。
【0005】
この点に関して、カン(Kang)ら(1)は、CD状の遠心システムにおける渦型粒子分離装置を提案している。粒子は遠心力によって分離され、流体は遠心加速度によって汲み上げられる。排出口において、粒子は分離されて廃棄室に流れ込む。装置の最初の充填時でのプライミング効果により、装置を通って汲み上げられた流体の最初の部分は、きわめて低い分離効率となる。
【0006】
さらに、米国特許第5186844号明細書(アバクシス)では、回転円盤内での血漿分離のための微小流体構造が提案されている。この設計は、分離室での血液からの粒子または細胞の分離に特徴付けられる。血漿は収集室内に収集され、該収集室は流体排出口を経由して分離室に接続されている。血液の処理可能量は、沈降室の寸法と流体排出口の位置とにより画定されるため、処理量はきわめて限定されている。
【0007】
また、ブレナー(Brenner)ら(2)は、上述の米国特許第5186844号明細書で提案された配置設計にきわめて類似した流体構造を提案している。血液内の粒子部分の分離は、微小流体管部(排液路)およびデカント室内で行われる。この場合も、処理量の範囲はきわめて限定される。
【0008】
ブラッタ(Blattert)ら(3)は、弓形の非回転式管内において遠心力を使用して血漿分離するための方法および装置を提案している。実現された分離効率は、遠心力をまったく使用しない、いわゆる「血漿分離」処理と比較することができる。この方法の使用により達成される血漿純度は、きわめて限定される。
【0009】
シー ボー フー(C. Bor Fuh)(4)は、遠心力の影響下における粒子または細胞の異なる物理特性の利用による粒子および細胞の分離のための分離技術を提案している。
【0010】
米国特許出願第2002/0068675A1号明細書では、流体分離システムで使用される遠心分離装置が開示されている。分離される混合流体は流体受領領域に送られ、ここから流体は、混合物を成分に分離する環状流体分離管を移動し、その後各々の成分は別々の流体排出管に移動する。その後、個々の流体成分は個々の収集袋に移動される。
【0011】
米国特許第6635163号明細書では分離装置が開示されており、異なる大きさの分子を含む多成分物質の分離は、流路径の縮小または拡大により達成され、該流路を通って分子混合物が移動する。分離は、エントロピートラップ効果に依存する分子の大きさにより達成される。
【0012】
提案されたすべての回転式の微小流体システムまたは分離方法は、それぞれ、すべてのあるいは任意の血液量で操作することができない。このことは、それぞれ装置または構造の寸法によるものか、あるいは装置の最初の充填時のプライミング効果の問題のいずれかによる。換言すれば、血液量がきわめて限定される。
【0013】
さらに、記載された方法および構造は、連続流において実現不可能であるか、最低血液量が必要であるかのいずれかであり、あるいは血液細胞と血漿との不完全分離または不充分な分離の結果となる。
【発明の開示】
【0014】
したがって、本発明の詳細な目的は、血液から血漿または血清を分離するため、あるいはより一般的に液体試料が含む高密度および/または固形粒子から流体を分離するための、より確実で容易に処理可能な装置を提案することである。
【0015】
したがって、本発明によると、請求項1の文言にしたがった装置が提案される。
【0016】
たとえば分析目的で、無赤血球流体部分を得るためにたとえば少なくとも赤血球から分離される血漿など、試料が含む高密度および/または固形粒子から少なくとも流体の一部を分離するための装置または構成が提案される。この目的のため、装置または構成が提案され、これらは、装置内または装置上の流路内を流れる流体が、たとえば遠心力、重力などの圧力により流れるように駆動または運転され、前記流路は、少なくとも1つの力成分が流体の流路の方向に平行でないように構成される。装置は、少なくとも1つの流路がその内部または上に統合または配置される、たとえば回転自在の平板状または円盤状本体を備え、前記流路では、試料流体の流速が、一方の内壁面にて、たとえば対向する内壁面での流速より速く、これによって流体試料から液体密度に比べて高密度の固形粒子または粒子の分離または沈降が可能になる。好ましくは、流路と回転自在の平板状または円盤状本体の回転軸とのあいだの距離は、少なくとも部分的に増加するか一定である。流路は、たとえば弓環状、らせん状または渦状の分離または沈降流路あるいは溝で本体内または本体上に配置され、該流路あるいは溝は、非平行力成分が向けられる少なくとも一方の壁面部分に沿って制限要素が備えられ、これは少なくとも試料流体混合物の流れを前記一方の壁面部分に沿って遅滞させるためである。換言すれば、流体試料の流速に作用するおよび/または液体に比べて高密度の固形部分および/または粒子など流体試料の一部を捕捉することができる手段が、たとえば外壁面などの前記壁面に配置または統合される。
【0017】
実際には分離または沈降流路あるいは溝である、前記流路または溝の一方の壁面は、該壁面に沿って流速が遅滞し、残存流体からの高密度および/または固形粒子の分離または沈降が壁面に沿って生じるように設計される。
【0018】
一設計によると、壁は、少なくとも外壁面部分に沿って、たとえば赤血球および血液のさらなる固形部分などの高密度および/または固形粒子の収集のための連続して配置された空洞部を備える。
【0019】
前記壁面の別の設計としては、たとえば外壁面での波形の定義、ジグザグ状面の形成、捕捉用空洞、ポケット容積などの配置などが可能である。
【0020】
一つの態様によると、流路または溝は、渦状またはらせん状で円盤状本体内に配置可能であり、これによって装置の回転軸に向かって流体混合物の流入領域が配置され、流入流域からの流路または溝が、円盤状本体の外側周辺境界に向かうらせん状流路を画定する。装置の円盤状本体の周辺方向において、たとえば血漿などの流体、あるいはたとえば赤血球および白血球粒子などの高密度および/または固形粒子のいずれかをそれぞれ排出するために、複数の排出管を流路または溝の内壁および/または外壁付近に配置することができる。
【0021】
一実施の形態によると、らせん状の流路または溝は、外壁面に沿って制限要素として連続して配置された空洞部を備え、該空洞部または要素の全容量は、少なくとも必須部分または好ましくはほぼすべての高密度および/または固形粒子が収集可能であって、これにより、血漿などの流体の容量の少なくともほぼすべてが、さらなる分析目的のために使用できる。
【0022】
外側流路または管路壁に沿った制限要素は、高密度および/または固形粒子が制限要素内に収集され、収集された高密度および/または固形粒子の越流が回避されるようになっている。空洞部または制限要素の詳細で好ましい態様については、添付の図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0023】
さらなる実施の形態によると、らせん状の流路または溝は、血漿の除去、あるいはたとえば赤血球または白血球などの高密度の固形粒子の除去のため、それぞれ溝、導管、側路などを備えることができる。
【0024】
また、さらなる実施の形態によると、分離された高粘度の固形粒子体積が一側面にあることを考慮すると、流路または溝の径を流路の長さに沿って減少させ、さらに通路にしたがい流路の断面を減少することができる。結果として流動抵抗が増加し、そのために同等の加速度において、液体試料つまり血液の流量がそれぞれ減少し、高密度の固形粒子の沈降または分離効率が増加する。
【0025】
既述の通り、本発明の主要な目的は、回転中の装置の外周に向かう径方向および/またはらせん状の流れにおいて流体混合物の分離を生ぜしめて、分析のために、たとえば無細胞血漿など、ほぼ無固形の流体を得ることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付の図面に示される実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0027】
図1は、中心回転軸ωの周りに回転自在な新規な円盤状装置1の斜視図である。該円盤状装置は、従来のコンパクトディスクあるいはこれより小さいまたは大きい寸法を有し得る。円盤内には分離流路または溝3が配置され、装置の中央領域から円盤状装置の周辺境界に向かってらせん状に延びている。このらせん状配置は、半径、すなわち供給領域付近の流路の距離R1と、第2の大きさの半径、すなわち装置の境界方向の距離R2とにより示される。本発明をより詳細に説明するために、部分Aが後続の図5a〜5fにおいて拡大されより詳細に示されている。
【0028】
図2は、外接配置された回転軸ωの周りに回転自在な円盤部分を備えた新規な装置1のさらなる実施態様を示す。この場合にも、円盤部分上にらせん状に設計された分離または沈降溝3が配置され、該溝の設計は後続の図4および図5a〜5fを参照してより詳細に説明される。
【0029】
図3には平板状分析装置1が概略的に示されており、平板状装置1の側縁に沿って配置された回転軸ωの周りに回転自在である。当然ながら、回転軸は平板状装置1上の他の位置に配置されてよい。図1および図2に等しく、平板1上において、分離または沈降流路3が配置されて、平板状装置1の回転方向から見て外壁面4および内壁面6を備えている。
【0030】
図4では、本発明の基本的概念を説明するために、沈降または分離流路3の一部が拡大表示されている。図1〜3による装置から既知であるように、沈降または分離流路3は、外面4および内面6を有しており、これに沿って分離される流体試料が速度v1で流れている。該流体は、装置の回転により速度v1で流れ方向に進む。回転は、試料を流れさせるためのもので、重力など他の力が試料を流路3に貫流させるために使用され得る。遠心力fzのために、液体試料は、対向する内壁面6に比べて壁面4に沿ってより速い流速を有する。流れと回転のために得られた力はいわゆるコリオリの力fsであって、これは遠心力とともに、固形粒子または液体より高密度の粒子を外壁面4の方向に液体から沈降させる。外壁面4に沿ってこれらの高密度粒子または固形粒子を捕捉するために、本発明では、高密度または固形の粒子を捕捉する手段または要素5を配置することを提案している。高密度または固形粒子の捕捉あるいは収集を最適化するために、たとえば三角形の制限構造体などのこれらの要素5は、要素5内のたとえば細胞などの粒子の保持が、それぞれ最適つまり最大になるようにされる。他方で、要素の総量は、遠心分離された粒子の溢れまたは越流が回避可能なようになっている。
【0031】
制限要素または構造体5の最適化のために重要に関与することは、容積Vsならびに制限要素5の保持壁15の角度である。1つの要素の容積Vsは、上述の角度□および抵抗要素の2つの脚部13,15の長さまたは高さにより特徴付けられる。さらに、当然ながら重要なことは流路の形状であって、これは溝の幅および深さならびに溝の径位置、また溝軸と円盤状装置の回転軸までの距離である半径とのあいだの角度を意味する。
【0032】
図5a〜5fは、図1の円盤状装置1内に配置された分離溝3の部分Aの実施態様である。図5aによる分離流路または溝3は、少なくともほぼ平坦なおよび/または湾曲する内壁面6を示す一方、外面4には凹凸があり、抵抗要素5を含む。抵抗要素または構造体5は、分離溝3の外壁4に配置され、遠心力の方向に配置された壁上にある。該構造体は、抵抗要素の機能を有し、このことは、血液の場合には細胞成分である高密度または固形部分が、抵抗要素内に抑制されることを保証する。この結果、血液の場合においては血液細胞からの血漿の分離である、高粘度または固形粒子からの流体の分離が生じる。
【0033】
図5bにおいて、抵抗要素5のさらなる実施態様が示されており、これは、試料混合物からの固形粒子の抑制に適当または好適であり得る。図5bに示される、たとえば側路9などの側路または分岐路を配置することにより、たとえば血漿などの流体を試料混合物から分離することができる。
【0034】
図5c、5d、5eおよび5fは、抵抗要素5のさらなる実施態様である。
【0035】
図6は、ほぼ平坦な内側溝壁6と抵抗要素5を含む外面4とを備えた分離溝3のさらなる実施態様を示す。図6による設計は、流路に沿って溝断面が減少するようになっており、このため溝の連続方向から見ると、半径d1が半径d2より大きい。個々の構造体容量の体積により画定される全容量Vsは、理想的には、遠心分離されて保持された固形粒子の全量に一致し、これは血液の場合には沈降細胞の全量である。流動方向においての管路断面の減少は、流動抵抗の増加となる。この結果、血液である試料混合物の流れは、回転数の減少がない等しい遠心加速度において減少するため、沈降および分離効率が増加する。この効果の根拠は流動の減速に由来し、このため沈降および遠心分離により長い時間が利用可能となる。
【0036】
抵抗要素の全量Vsが充分な場合は、側路または分岐流路の必要なしに、たとえば血液の場合には、溝端部にて実質的に血漿内に細胞を含まない血漿が得られる。実際には、どのような少量の血液であっても、無細胞の血漿を得るために溝内に導入することができる。より多くの血液量の場合は、抵抗要素を含む管路部分を伸張すべきであり、試料混合物から血漿を除去するために、最終的に側路または分岐流路を使用すべきである。
【0037】
図7〜10では分離流溝のさらなる設計が示され、血漿の分離のための側路または分離流路が使用されているため、たとえば減少した血液および細胞含有血液を収集することができる。簡素化のため、最外部に配置された分離溝の抵抗要素のみを示している。
【0038】
図7は側路または分岐流路9の連続的配置を示し、図8は分離流路3の端部にある分岐流路10の平行配置を示す。収集領域12において、分離された試料または液体は、それぞれ収集または除去可能である。
【0039】
さらに図9は、上昇した純度の血漿を得るための側路または分岐流路14,16の縦続配置を示す。
【0040】
最後に、図10は分岐流路19を示し、該流路は、分離流路3が配置された円盤状装置1内の面から孔部17を通って配置されている。
【0041】
図1〜8に示された設計の利点の1つは、特に血液のような液体など、あらゆる量または容積の試料が処理可能であり、どのような少量の血液などの試料からでも任意の割合で分離を行うことができる。さらに、たとえば上述の米国特許第5186844号明細書など既存の分離室で生じ得る、たとえば血小板または血液細胞が存在するために液体と固形粒子部分とのあいだの接触層で生じる問題は、比較的小さい寸法の抵抗要素のため回避できる。また、さらなる利点として、細胞/粒子の分離を連続して行うことが可能で、特別な収集または分離室を使用する必要はない。
【0042】
最後に、図11において、この新規な装置が、液体試料からの分離または沈降部分のためのより大きな構成内の一要素として使用可能であることが概略的に示されている。概略的に、液体試料の導入など先行する装置とのインターフェイスは、装置1の回転軸ω付近にて点線22により示され、また部分24の点線によって、分離または精製された液体・液体試料が、それぞれ、さらなる後続の装置に導入可能であることが示されている。先行する装置には、たとえば質量光度装置、電気泳動分析装置、光度測定装置、蛍光測定装置、バイオ/化学ルミネセンス装置、電気化学検出装置などがある。しかしながら、液体試料の一部の沈降または分離のために、沈降流路3の壁面に沿って収集または抵抗要素5が配置され、これに沿って、試料の速度が流路の対向する壁面に沿ってさらに増加する。
【0043】
図1〜11に示された態様は一実施例を示すのみであり、任意の異なる形態に変更および修正することができる。重要な点は、図1〜8に示される円盤または平板状装置のような回転自在装置などの可撤性または駆動可能装置・本体において、分離溝または流路が配置され、該分離溝または流路が外壁面に捕捉または抵抗要素を備えて、試料混合物の固形または高密度粒子の分離または沈降を増加させるように、外壁面に沿って流速を減少させる。血液の場合、赤血球および白血球などの細胞粒子からの血漿の分離が達成可能であり、たとえばさらなる分析工程のために血漿を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】抵抗構造体を備えた外壁面を有するらせん状に配置された分離流路からなる新規な円盤状装置の斜視図である。
【図2】図1の円盤の円盤部分に相当する新規な装置の斜視図である。
【図3】弓状の分離流路を備えた平板状装置のさらなる設計の斜視図である。
【図4】分離溝の外壁面にある抵抗要素の一具体的設計の断面図である。
【図5】a〜fは、図1の部分Aを示し、異なる設計の抵抗要素を備えた外壁を有する分離溝の断面図である。
【図6】図1の分離溝のさらなる実施態様である。
【図7】複数の収集流路を有する分離流路を備えた分析分離装置のさらなる実施態様を示す斜視図である。
【図8】複数の収集溝を有する分離溝を備えた平板状装置のさらなる実施態様を示す斜視図である。
【図9】網状の分離または沈降流路を備えた平板状装置のさらなる実施態様を示す斜視図である。
【図10】複数の収集流路を有する分離または沈降流路を備えた回転自在装置のさらなる実施態様を示す斜視図である。
【図11】さらなる要素または装置を有する構成に統合可能な装置形状を備えた、さらなる装置の一例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が含む高密度および/または固形粒子から流体を少なくとも部分的に細分または分離するための装置であって、該装置が、少なくとも1つの流路(3)を有するたとえば回転自在の平板状または円盤状本体(1)などの可動または駆動可能本体を備え、前記流路の一方の内壁面にて、本体の移動または駆動時に、流体試料の流速がたとえば対向する内壁面での速度と比較して速く、少なくとも1つの流路(3)が、前記一方の内壁面(4)にて、流体試料の流れを前記壁面に沿って少なくとも遅滞させる手段(5)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記流路が、弓形環状、渦状またはらせん状に配置された分離流路(3)、および/または装置の回転軸に対して少なくとも部分的に増加するまたは一定の距離を有する流路であり、これに少なくとも部分的に沿って、たとえば抵抗要素(5)などの手段が、流体試料混合物の流れを一方の内壁面に沿って少なくとも遅滞させるように配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記遅滞手段を備えた前記一方の内壁面が、本体の移動または駆動時に、これに対して少なくとも1つの流れの力成分が向けられ、および/またはたとえば平板または円盤状本体の回転時に流路の外面となる壁面であることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、少なくとも1つの弓形環状、渦状またはらせん状に配置された分離または沈降流路(3)を有する回転自在の平板状または円盤状本体(1)を備え、1つの流路(3)が、たとえば抵抗要素(5)などの流動遅滞手段を有する外壁を備えて、試料流体混合物の流れを外壁面に沿って少なくとも遅滞させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
たとえば前記外壁面などの前記壁面が、連続して配置された空洞部(5)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記遅滞手段(5)が、四角形状、三角形状または円形などの凹所であって、前記外壁面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記連続した空洞部が、波形状に配置されていることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記流路(3)がらせん状に配置されており、これによって装置の回転軸に向かって流体混合物導入領域が配置され、円盤状装置などの本体の周辺方向において、流路の端部に向かう流路に沿って、排出管が流路の外壁および/または内壁付近に配置されて、流体または試料が含む高密度および/または固形粒子のいずれかを排出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの側路または分岐流路(9)が前記流路に沿って配置され、好ましくは、該側路または分岐流路は、流路から流体を排出または収集するための流路の前記対向する壁面または内壁面に沿って配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
複数の側路または分離流路(9)が、少なくとも1つの流路(3)の前記対向する壁面または内壁面に沿って配置されて、異なる濃度の高密度および/または固形粒子である、異なる純度の流体を収集または排出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの流路(3)に沿って、孔部(17)が、平板状または円盤状装置の面から側路または分岐流路(19)に導かれるように配置されて、試料の一部を捕捉するか、あるいは異なる純度の流体または異なる濃度の高密度および/または固形粒子を含む流体を排出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
可動または駆動可能な装置において、試料が含む高密度および/または固形粒子から流体を少なくとも部分的に細分または分離するための方法であって、前記液体試料が、本体を移動または駆動することによって、装置の可動または駆動可能な本体内に配置された少なくとも1つの流路を通って流れるようにされ、少なくとも一部の高密度粒子および/または固形粒子が、流路の一方の内壁面の少なくとも一部に沿って収集され、前記流路の一方の内壁面に沿って、流速が収集または捕捉手段内の流路の対向する壁面に沿う速度と比較して速く、前記収集または捕捉手段が前記一方の内壁面に沿って配置されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記流体が、本体を回転することによって平板状または円盤状の回転自在な本体に配置された、弓状、らせん状または渦状の流路、および/または回転軸に対して少なくとも部分的に増加するまたは一定の距離を有する流路を通るようにされ、前記高密度粒子および/または固形粒子が、少なくとも1つの流路の外壁面の少なくとも一部に沿って少なくとも部分的に収集され、これに沿って収集、捕捉または流速遅滞手段が配置されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記収集、沈降または捕捉された高密度粒子および/または固形粒子の少なくとも一部および/または少なくとも部分的に精製された液体の少なくとも一部が、側路または分岐流路内に収集され、該側路または分岐流路が、前記収集、沈降または遅滞要素あるいは対向する壁面のいずれかに接続されていることを特徴とする請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記流路に沿って、血液が、たとえば分析目的のために、少なくともほぼ無血血漿と血液、または必要であれば少なくともほぼ無血液細胞粒子である血漿に分離されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
血液分離、つまり少なくとも赤血球から、好ましくは赤血球および白血球から血漿を分離して、分析目的のために高純度の血漿を得るための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−518632(P2009−518632A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543627(P2008−543627)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000612
【国際公開番号】WO2007/065278
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】