説明

円筒軸、搬送ローラー、搬送装置及び印刷装置

【課題】形状の安定した円筒軸、当該円筒軸を用いた搬送ローラー、当該搬送ローラーを用いた搬送装置、印刷装置を提供すること。
【解決手段】プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸であって、前記繋ぎ目は、前記円筒軸の中心軸方向に延在する第一繋ぎ部分と、前記中心軸を挟んで前記第一繋ぎ部分とは反対側に設けられ、前記第一繋ぎ部分の端部に連結され、前記中心軸方向に延在する第二繋ぎ部分と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒軸、搬送ローラー、搬送装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の記録媒体上に情報を印刷する印刷装置が用いられており、この印刷装置には記録媒体を搬送する搬送装置が設けられている。この搬送装置は、回転することで記録媒体を搬送する搬送ローラーと、当該搬送ローラーに付勢されて当接された従動ローラーとを有しており、搬送ローラーと従動ローラーとで記録媒体を挟持して搬送するようになっている。搬送ローラーには中実の棒状部材が一般的に使用されている。その一方で、中実の材料は重量およびコストが嵩むという課題がある。ここで、特許文献1には、金属板を曲げ加工して円筒状に成形する技術が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の円筒軸では、金属板を曲げ加工して円筒状に形成する際に、金属板の端面同士を突き合わせるようにする。このため、円筒軸の全長に亘って金属板の一対の端面間に繋ぎ目が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−289496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成においては、時間の経過と共に円筒軸の繋ぎ目の形状が変化し、これに伴って円筒軸の形状が変化する可能性があることを本発明者らは見出した。この形状変化は、例えば円筒軸を曲げ加工する際に応力が残留し、当該残留応力が時間の経過と共に緩和することによる影響であると考えられる。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、形状の安定した円筒軸、当該円筒軸を用いた搬送ローラー、当該搬送ローラーを用いた搬送装置、印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る円筒軸は、プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸であって、前記繋ぎ目は、前記円筒軸の中心軸方向に延在する第一繋ぎ部分と、前記中心軸を挟んで前記第一繋ぎ部分とは反対側に設けられ、前記第一繋ぎ部分の端部に連結され、前記中心軸方向に延在する第二繋ぎ部分と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、繋ぎ目を構成する第一繋ぎ部分と第二繋ぎ部分とが円筒軸の中心軸を挟んで反対側に設けられているため、残留応力の緩和の影響が第一繋ぎ部分と第二繋ぎ部分との間で相殺されることになる。これにより、円筒軸の形状変化を抑制することができ、安定した形状の円筒軸を提供することができる。
【0009】
また、前記第二繋ぎ部分は、前記中心軸方向に前記第一繋ぎ部分を挟む位置に分割されて設けられることが好ましい。
本発明によれば、第二繋ぎ部分が中心軸方向に第一繋ぎ部分を挟む位置に分割されて設けられるため、残留応力の緩和の影響を円筒軸の中心軸方向に分散させつつ相殺することができる。
【0010】
また、前記第一繋ぎ部分は、前記円筒軸の前記中心軸方向の中央部に設けられることが好ましい。
本発明によれば、第一繋ぎ部分が円筒軸の中心軸方向に中央部に設けられるため、残留応力の緩和の影響を、円筒軸の中心軸方向に、より均等に分散させることができる。
【0011】
また、前記第二繋ぎ部分は、前記円筒軸の周方向にずれた位置に設けられることが好ましい。
本発明によれば、第二繋ぎ部分が円筒軸の周方向にずれた位置に設けられることとしたので、残留応力の緩和の影響を円筒軸の周方向にも分散させることができる。
【0012】
また、前記第一繋ぎ部分と前記第二繋ぎ部分とは、前記中心軸方向にほぼ等しい寸法に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、第一繋ぎ部分と第二繋ぎ部分とが中心軸方向にほぼ等しい寸法に形成されているため、残留応力の緩和の影響がほぼ等しく打ち消されることになる。これにより、円筒軸の変形を一層確実に防ぐことができる。
【0013】
また、前記第二繋ぎ部分を形成する前記一対の端部は、当該一対の端部の一方の端部と他方の端部とを嵌合させる凹凸部を有することが好ましい。
本発明によれば、第二繋ぎ部分を形成する一対の端部の一方の端部と他方の端部とを凹凸部において嵌合させることができるため、円筒軸の形状をより安定させることができる。
【0014】
本発明に係る搬送ローラーは、回転可能に設けられた円筒軸と、前記円筒軸の表面に設けられ、被搬送媒体を搬送する搬送部と、を備え、前記円筒軸として、上記の円筒軸が用いられることを特徴とする。
本発明によれば、形状の安定した円筒軸を用いて被搬送媒体を搬送することができるため、所期の搬送精度を維持することができる。
【0015】
また、前記搬送部は、無機粒子が含有された高摩擦層を有することが好ましい。
本発明によれば、搬送部が無機粒子の含有された高摩擦層を有することとしたので、搬送精度を高めることができ、しかも当該搬送精度を維持することができる。
【0016】
また、前記円筒軸の前記第一繋ぎ部分は、前記搬送部に設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、円筒軸の第一繋ぎ部分が搬送部に設けられているため、搬送部の搬送状態がバラつくのを回避することができる。
【0018】
また、前記円筒軸の前記第二繋ぎ部分は、前記搬送部から外れた部分に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、円筒軸の第二繋ぎ部分が搬送部から外れた部分に設けられているため、搬送部の搬送状態がバラつくのを回避することができる。
【0019】
本発明に係る搬送装置は、回転可能に設けられ、被搬送媒体を搬送する搬送部を有する搬送ローラーと、前記搬送ローラーを駆動する駆動装置と、前記搬送ローラーとの間で前記被搬送媒体を保持して回転する従動ローラーと、を備え、前記搬送ローラーとして、上記搬送ローラーが用いられることを特徴とする。
本発明によれば、所期の搬送精度を維持することができる搬送ローラーを駆動させて被搬送媒体を搬送するため、搬送精度の高い搬送装置を提供することができる。
【0020】
本発明に係る印刷装置は、被搬送媒体を搬送する搬送部と、前記搬送装置によって搬送される前記被記録媒体に対して印刷処理を行う印刷部と、を備え、前記搬送部として、上記の搬送装置が用いられることを特徴とする。
本発明によれば、搬送精度の高い搬送装置を用いて被記録媒体を搬送しつつ印刷することができるため、高精度の印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンターの側断面図である。
【図2】(A)は搬送ユニット部分の平面図、(B)は駆動系の側面図である。
【図3】搬送ローラー機構の概略構成図である。
【図4】(a)、(b)はローラー本体の基材としての金属板を示す平面図である。
【図5】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図6】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図7】第1実施形態に係るローラー本体の斜視図である。
【図8】第1実施形態に係るローラー本体の繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【図9】繋ぎ目の拡大した側断面図である
【図10】(a)〜(c)はローラー本体への高摩擦層の形成工程を示す図である。
【図11】高摩擦層を形成するための塗装ブースの概略構成図である。
【図12】ローラー本体の繋ぎ目とその近傍の要部拡大図である。
【図13】(a)、(b)はローラー本体の基材としての金属板を示す平面図である。
【図14】(a)はローラー本体の斜視図、(b)はローラー本体の繋ぎ目の形状の説明図、(b)は繋ぎ目の側断面図である。
【図15】(a)、(b)はローラー本体の基材としての金属板を示す平面図である。
【図16】(a)はローラー本体の斜視図、(b)は繋ぎ目の側断面図である。
【図17】(a)はローラー本体の繋ぎ目の形状の説明図、(b)は繋ぎ目の側断面図である。
【図18】(a)はローラー本体の要部斜視図、(b)は要部側断面図である。
【図19】(a)はローラー本体の要部斜視図、(b)は側面図である。
【図20】(a)はローラー本体の要部斜視図、(b)は側面図である。
【図21】(a)はローラー本体の要部斜視図、(b)は側面図である。
【図22】(a)〜(c)は展開係合部を示す金属板の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。まず、図1、図2を参照して、本発明に係る搬送ローラーを備えた印刷装置について説明する。
【0023】
図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた印刷装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(A)は同印刷装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(B)は同印刷装置の駆動系の側面図である。
【0024】
図1は、本発明の印刷装置の一実施形態となるインクジェットプリンター1を示している。このインクジェットプリンター1は、プリンター本体3と、該プリンター本体3の後側上部に設けられた給紙部5と、プリンター本体3の前側に形成された排紙部7と、を備えて構成されたものである。
【0025】
給紙部5には給紙トレイ11が設けられており、給紙トレイ11には複数枚の用紙(記録媒体)Pが積載されるようになっている。ここで、用紙Pとしては、例えば普通紙、コート紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用シート、光沢紙、光沢フィルム等が用いられる。給紙トレイ11の下流側には給紙ローラー13が設けられている。給紙ローラー13は、対向する分離パッド(図示せず)との間で給紙トレイ11の最上部に位置する用紙Pを挟圧し、前方へ送り出すように構成されている。
【0026】
送り出された用紙Pは、下側に配置された搬送ローラー15と、上側に配置された従動ローラー17と、からなる搬送ローラー機構19に至る。搬送ローラー15は、後述するように本発明の搬送ローラーの一実施形態となるものである。また、この搬送ローラー15と従動ローラー17と、さらに搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置とにより、搬送ユニット10が構成される。そして、搬送ローラー機構19に至った用紙Pは、搬送ローラー15の回転駆動によって印刷処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作を受けつつ、搬送ローラー機構19の下流側に位置する印字ヘッド(印刷部)21へ搬送されるようになっている。
【0027】
印字ヘッド21は、キャリッジ23に保持されており、キャリッジ23は、給紙方向(用紙Pの搬送方向)と直交する方向に往復移動するよう構成されている。印字ヘッド21と対向する位置には、プラテン24が配設されており、プラテン24は、キャリッジ23の移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数のダイヤモンドリブ25によって構成されている。ダイヤモンドリブ25は、印字ヘッド21によって用紙Pに印刷を行う際に、用紙Pを下側から支持するものであり、詳しくは、ダイヤモンドリブ25の頂面が支持面として機能するようになっている。なお、印字ヘッド21による印字処理(印刷処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。
【0028】
印字ヘッド21とダイヤモンドリブ25との距離は、用紙Pの厚さに応じて調節可能になっており、これによって用紙Pは、ダイヤモンドリブ25の頂面上を滑らかに通過しつつ、高品質に印刷されるようになっている。印字ヘッド21で印刷された用紙Pは、排紙部7に設けられる排紙ローラー29によって順次排出されるようになっている。排紙ローラー機構27は、下側に配置された排紙ローラー29と上側に配置された排紙ギザローラー31とを備えて構成されたもので、排紙ローラー29の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
【0029】
ここで、搬送ローラー機構19及び排紙ローラー機構27における、搬送ローラー15、排紙ローラー29の駆動系、及び両ローラー15、29の駆動速度の関係について説明する。プリンター本体3には、図2(A)、(B)に示すように、前述の制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター(駆動装置)32が設けられている。
【0030】
この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には前述の搬送ローラー15が内挿されて連結されている。このような構成のもとに搬送モーター32は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置となっている。
【0031】
また、搬送ローラー15には、搬送駆動ギア35と同軸にインナーギア39が設けられており、このインナーギア39には中間ギア41が歯合しており、中間ギア41には排紙駆動ギア43が歯合している。
【0032】
排紙駆動ギア43の回転軸は、図2(A)に示すように排紙ローラー29の軸体45となっている。このような構成のもとに、搬送ローラー機構19の搬送ローラー15と排紙ローラー機構27の排紙ローラー29とは、同一の駆動源である搬送モーター32からの回転駆動力を受け、駆動されるようになっている。
【0033】
なお、排紙ローラー29の回転速度は、前述の各ギアのギア比を調整することにより、搬送ローラー15の回転速度より速くなるように設定されている。したがって、排紙ローラー機構27の排紙速度は、搬送ローラー機構19の搬送速度より増速率sだけ速くなっている。
【0034】
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構27による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構27の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
【0035】
次に、本発明に係る搬送ローラー15を備えてなる、搬送ローラー機構19について説明する。図3は、搬送ローラー15及び従動ローラー17からなる搬送ローラー機構19の概略構成を示す図である。
【0036】
搬送ローラー15は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体16と、このローラー本体16の表面に設けられた高摩擦層50とを備えてなるものである。ここで、ローラー本体16は、本発明における円筒軸の一実施形態となるものである。
【0037】
また、この搬送ローラー15は、その両先端側が軸受70に回転可能に保持されている。そして、特に前述のインナーギア39や搬送駆動ギア35に連結された側の端部には、これらインナーギア39や搬送駆動ギア35に回転不能に係合し連結するための係合部(図示せず)が形成されている。なお、搬送ローラー15には、種々の連結部品に連結するため、後述するように種々の形態の係合部が形成可能になっている。また、高摩擦層50は、この例ではローラー本体16の両端部を除く中央部に選択的に形成されている。
【0038】
従動ローラー17は、複数(例えば6個)のローラー17aが同軸に配列されて構成されたもので、搬送ローラー15の高摩擦層50に対向して該高摩擦層50に当接する位置に配置されたものである。これらローラー17aからなる従動ローラー17には、付勢バネ(図示せず)が取り付けられており、これによって従動ローラー17は、搬送ローラー15側に付勢されている。したがって、従動ローラー17は、搬送ローラー15の高摩擦層50に所定の押圧力(用紙Pに対する挟持力)で接し、搬送ローラー15の回転動作に従動して回転するようになっている。
【0039】
また、搬送ローラー15と従動ローラー17との間で用紙Pを挟持する力が大きくなり、用紙Pの搬送性がより良好になっている。なお、この従動ローラー17の各ローラー17aの表面には、高摩擦層50との摺接による損傷を緩和するため、例えばフッ素樹脂塗装等の低摩耗処理が施されている。
【0040】
また、前述のローラー本体(円筒軸)16は、金属板がプレス加工され、対向する一対の端部(端面)が互いに近接させられ、あるいは当接させられて円筒状に形成されたものである。したがって、このローラー本体16は、一対の端部間に繋ぎ目が形成されているが、この繋ぎ目には、通常は一対の端部(端面)間が僅かながら離間することにより、隙間が形成されている。
【0041】
次に、図4〜図12を用いて、搬送ローラー15(ローラー本体16)の詳細構造及び製造方法について説明する。
搬送ローラー15を製造するには、まず、図4(a)に示すように、矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。この大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。
【0042】
続いて、この大型金属板65をプレス加工することで切断処理し、図4(b)に示すように、前述のローラー本体16に対応する形状の金属板60を形成する。この金属板60は、ローラー本体16の基材となる。金属板60には、例えば3つの領域60a〜60cが設けられる。図中上下方向の中央部には、第一領域60aが設けられる。第二領域60b及び60cは、第一領域60aを図中上下方向に挟むように、当該第一領域60aの図中上下方向両端部にそれぞれ設けられている。
【0043】
第一領域60a、第二領域60b及び第三領域60cは、それぞれ図中左右方向の寸法(L1、L2、L3)がそれぞれ等しくなっている。第二領域60bは、第一領域60aに対して、例えば図中左方向に所定の寸法L5ずれて設けられている。第産領域60cは、第一領域60cに対して、例えば図中右方向に所定の寸法L4だけずれて設けられている。本実施形態では、所定の寸法L4と所定の寸法L5とが等しくなっている。したがって、第二領域60b及び第産領域60cは、第一領域60aの図中左右方向の半分の寸法ずつ左右にそれぞれずれて設けられていることになる。勿論、所定の寸法L4と所定の寸法L5とを異なる寸法に設定しても構わない。
【0044】
なお、例えば図4(c)に示すように、金属板60が、第一領域60aに対して第二領域60b及び第三領域60cが図中左右方向の同一方向にずれて設けられた構成であっても構わない。図4(c)では一例として図中左方向にずれた状態を示しているが、勿論図中右方向にずれた状態であっても構わない。
【0045】
また、図4(b)に戻って、第一領域60aの図中上下方向の寸法H1は、第二領域60bの同方向の寸法H2と、第三領域60cの同方向の寸法H3との和にほぼ等しくなるように形成されていることが好ましい。
【0046】
また、このような金属板60の形成に際しては、一対の長辺(端部61a、61b)をプレス加工によって近接させた際、その間に形成される繋ぎ目においてこれに形成される隙間、すなわち互いに対向する端部(端面)間の距離が、各部位間において後述するような関係になるように寸法等を設計しておき、これに基づいてプレス加工を行う。
【0047】
次いで、金属板60を図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)のプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端部61a及び61bを近接させ、あるいは当接させる。図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)に示すプレス加工工程では、工程内容を理解しやすくするため、金属板60が矩形状になっている場合を想定して説明する。下記のプレス加工工程を行う場合には、例えば金属板60のうち第一領域60a、第二領域60b及び第三領域60cについて個別に行っても構わないし、一括して行っても構わない。
【0048】
すなわち、まず、図5(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。図5(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図5(b)、(c)、図6(a)〜(c)においても同様である。
【0049】
続いて、図5(a)で得られた金属板60の幅方向(曲げ方向)における中央部を、図5(b)に示す雄型103と雌型104とでプレス加工し、円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。次いで、図5(c)に示すように、図5(b)で得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図5(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図6(a)〜(c)に示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面(端部)61a、61bを近接させる。
【0050】
ここで、図5(c)および図6(a)〜(c)に示す芯型105の外径は、形成する円筒状の中空パイプの内径と等しくしてある。また、上型106のプレス面106cの半径と下型107のプレス面107aの半径は、それぞれ、形成する中空パイプの外径の半径と等しくしてある。また、図6(a)〜(c)に示すように上型106は左右一対の割型であり、これら割型106a、106bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
【0051】
すなわち、図5(c)に示す状態から、図6(a)に示すように右側の割型106aを下型107に対して相対的に下降させ(以下、同様に型の移動は相対的移動を意味する)、金属板60の一方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。なお、下型107も上型106と同様左右一対の割型とし(割面107b参照)、この図6(a)に示す工程の際に、同じ側の下型を上昇させてもよい。
【0052】
次いで、図6(b)に示すように、割型106aを少し(一方の側の端部61aと他方の側の端部61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の割型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
【0053】
その後、図6(c)に示すように、芯型105および上型106(割型106a、106b)をともに下降させ、円筒状の中空パイプ(ローラー本体16)を形成する。この状態で左右両側の端部61a、61bは、僅かな隙間を介して十分に近接し、あるいは部分的に当接した状態となる。すなわち、この円筒状の中空パイプにあっては、基材である金属板60の両端部61a、61bが互いに近接しあるいは当接したことにより、これら両端部61a、61b間に繋ぎ目が形成されている。したがって、この繋ぎ目には、通常は両端部61a、61bが僅かながら離間していることで隙間を有したものとなる。
【0054】
なお、図4(c)に示す構成の金属板60を用いて図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)に示すプレス加工工程を行う際、例えば第一領域60aと、第二領域60b及び第三領域60cとを別々に行う場合には、第二領域60b及び第三領域60cについては共通の型部材を用いて一工程で行うことができる。
【0055】
次いで、本実施形態では、形成した中空パイプ(ローラー本体16)の真円度を高め、振れを少なくするべく、従来公知のセンターレス研磨加工を行い、前述の中空パイプ(ローラー本体16)の外周面を研磨する。すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さいローラー本体16、すなわち本発明に係る円筒軸となる。また、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、前述の両端部61a、61b間がより狭まることで、図7に示すようにこれら両端部61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。
【0056】
なお、前述のプレス加工やセンターレス研磨加工では、金属板60の両端部61a、61b間の隙間が無くなるように、すなわち、両端部61a、61bが互いに当接するようにするのが好ましい。しかしながら、得られる中空パイプ(ローラー本体16)の真円度や振れ量を良好にしつつ、この隙間を完全に無くすのは非常に困難であり、したがって、現状ではある程度の隙間が形成されるようになる。
【0057】
図7及び図8に示すように、ローラー本体16の繋ぎ目80は、図4(b)に示した第一領域60aに対応する繋ぎ部分80a、第二領域60bに対応する繋ぎ部分80b、及び、第三領域60cに対応する繋ぎ部分80cを有した構成になっている。繋ぎ部分80a〜80cは、例えばローラー本体16の中心軸16bに平行となるように直線状に形成されている。このうち、繋ぎ部分80aは、本発明における第一繋ぎ部分である。繋ぎ部分80b及び80cは、本発明における第二繋ぎ部分である。
【0058】
繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80bとの間は連結部分80dによって連結されている。繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80cとの間は連結部分80eによって連結されている。連結部分80d及び80eは、ローラー本体16の周方向に沿って形成されている。
【0059】
第一繋ぎ部分である繋ぎ部分80aと、第二繋ぎ部分である繋ぎ部分80b及び80cとは、中心軸16bを挟んだローラー本体16の反対側にそれぞれ形成されている。金属板60を形成する際、第一領域60aに対して第二領域60b及び第三領域60cを等しい寸法L4及びL5ずつずらして形成したことにより、プレス加工の結果、繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80b及び80cとが当該位置関係となる。
【0060】
したがって、金属板60の形成するときに、第一領域60aに対して第二領域60b及び第三領域60cを異なる寸法ずつずらした場合には、繋ぎ部分80bと繋ぎ部分80cとがローラー本体16の周方向にずれた位置に形成されることになる。勿論、中心軸16aを挟んで繋ぎ部分80aの反対側に配置されるのであれば、このような構成としても構わない。
【0061】
例えば、繋ぎ部分80a、繋ぎ部分80b及び繋ぎ部分80cを、ローラー本体16の周方向に例えば120°ずつずれた位置にそれぞれ形成しても構わない。この場合、金属板60を形成するときに、第一領域60aに対して第二領域60b及び第三領域60cを、それぞれ第一領域60aの3分の1の寸法(図4(b)の左右方向の寸法)だけずれるように形成すれば良い。
【0062】
また、繋ぎ部分80aはローラー本体16の中心軸方向の中央部に形成されており、繋ぎ部分80b及び80cは繋ぎ部分80aを挟むように分割されて形成されている。金属板60を形成する際に、第一領域60aの寸法H1を、第二領域60bの寸法H2と第三領域60cの寸法H3との和にほぼ等しくなるように形成した場合、第一繋ぎ部分の中心軸方向の寸法(繋ぎ部分80aの中心軸方向の寸法)は、第二繋ぎ部分の中心軸方向の寸法(繋ぎ部分80b及び80bの合計の寸法)にほぼ等しくなる。
【0063】
本実施形態では、第一繋ぎ部分である繋ぎ部分80aと、第二繋ぎ部分である繋ぎ部分80b及び80cとは、中心軸16bを挟んだローラー本体16の反対側にそれぞれ形成されているため、プレス加工工程における残留応力の緩和の影響が繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80b及び80cとの間で相殺されることになる。このため、ローラー本体16の形状変化が抑制されることになる。
【0064】
なお、上記繋ぎ目80は、金属板60の外周面と内周面とが同じ寸法(幅)であることにより、図9に示すように、ローラー本体16の外周面側で相対的に広く、内周面側で相対的に狭くなっている。この構成は、繋ぎ部分80a〜80cについてほぼ同様となっている。すなわち、これら一対の端部61a、61b間の、ローラー本体16の外周面側での距離d1は、内周面側での距離d2に比べて大になっている。具体的には、本実施形態では外周面側での距離d1(=d4)は20μm程度となり、内周面側での距離d2は8μm程度となっている。
【0065】
このようにして本発明に係る円筒軸となるローラー本体16を形成したら、図3に示したようにこのローラー本体16の表面に高摩擦層50を形成する。この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
【0066】
また、無機粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ;Al)や炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO)等のセラミックス粒子が好適に用いられる。中でもアルミナは、比較的硬度が高く摩擦抵抗を高める機能が良好に発揮され、また、比較的安価であってコストダウンを妨げることもないため、より好適に用いられる。したがって、本実施形態では無機粒子としてアルミナ粒子を用いるものとする。
【0067】
このアルミナ粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整されたものが用いられる。破砕処理によって製造されることにより、このアルミナ粒子は端部が比較的鋭く尖ったものとなり、この鋭く尖った端部によって高い摩擦力を発揮するようになる。
【0068】
また、このアルミナ粒子としては、本実施形態では粒径が15μm以上90μm以下の範囲とされ、かつ、中心径となる加重平均の粒径(平均粒径)が、45μmとなるように調整されたものが用いられている。
【0069】
すなわち、本発明では、アルミナ粒子(無機粒子)としてその平均粒径(中心径)が、前述の繋ぎ目80の外周面側での距離d1(30μm)より大となるものが用いられる。また、特にその粒径分布(粒度範囲)については、繋ぎ目80の外周面側での距離d1より小となり、かつ、内周面側での距離d2(10μm)より大となる粒子を含んでいるのが好ましい。さらに、その粒径分布における最小粒径が、繋ぎ目80における一対の端部61a、61b間の最短距離、例えば内周面側での距離d2より大であるのが好ましい。
【0070】
このような樹脂粒子と無機粒子とを用意したら、まず、ローラー本体16に前述の樹脂粒子を塗布する。すなわち、ローラー本体16を塗装ブース(図示せず)内に配置し、さらにこのローラー本体16を単体の状態で例えば−(マイナス)電位にしておく。
【0071】
そして、樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
【0072】
ここで、樹脂粒子の吹付による樹脂膜の形成は、図3に示した高摩擦層50の形成領域に対応させる。すなわち、ローラー本体16の全長に亘って行うことなく、例えばその両端部をテープ等でマスキングしておくことにより、図10(a)に示すようにこの両端部を除いた中央部のみに行う。つまり、このローラー本体16からなる搬送ローラー15の、少なくとも搬送する用紙(媒体)Pに接触する領域となる中央部に対応する領域であって、例えば繋ぎ部分80aが形成された領域にのみ、選択的に樹脂膜51を形成する。
【0073】
樹脂膜51には、吹付塗装後に+0.5KV程度の微弱な静電気が残存する。なお、この吹付塗装に際しては、ローラー本体16を軸廻りに回転させることにより、その全周に亘って樹脂膜51をほぼ均一な厚さに形成する。この樹脂膜51の膜厚については、前述のアルミナ粒子の粉径を勘案して、例えば10μm〜30μm程度に形成する。このような膜厚については、樹脂粒子の噴出量及び噴出時間等によって適宜に調整することができる。
【0074】
次いで、この樹脂膜51を形成したローラー本体16を前述の塗装ブースから取り出し、ハンドリングロボット(図示せず)によって図11に示す別の塗装ブース90に移す。この塗装ブース90には、その下部に一対の回転駆動部材91、91が設けられており、これら回転駆動部材91、91には、ローラー本体16を略水平に支持するためのチャック92が設けられている。
【0075】
そして、ローラー本体16の両端部をチャック92、92に保持させて固定し、さらに回転駆動部材91によってチャック92、92を回転させる。これにより、ローラー本体16をその軸廻りに、例えば100rpm〜500rpm程度の低速でゆっくり回転駆動させる。なお、ローラー本体16については、若干斜めに支持してもよいのはもちろんである。
【0076】
また、塗装ブース90には、その上部にコロナガン93が配置されており、このコロナガン93は、シャフト94上を図11中左右方向に移動するようになっている。また、塗装ブース90の底部には排気機構90aが設けられている。これにより、塗装ブース90内には下方に向かうゆっくりとした気流が形成されるようになっている。なお、この排気機構94の吸引風量は適宜に設定されるようになっている。
【0077】
このような構成のもとに、ローラー本体16をその軸廻りに回転させつつ、コロナガン93から前述のアルミナ粒子95を噴霧し吹き付けることにより、ローラー本体16に形成した樹脂膜51上に、アルミナ粒子95を選択的に静電吸着させる。アルミナ粒子を樹脂膜51上に選択的に静電吸着させるには、樹脂膜51の形成と同様に、ローラー本体16の両端部をテープ等でマスキングしておくことで行う。
【0078】
この静電塗装時には、チャック92及び回転駆動部材91の表面電位が、ローラー本体16の電位とほぼ等しくなり、しかも塗装ブース90の内面電位が、電気的に中立で略零電位となるように設定する。コロナガン93からのアルミナ粒子95が、ローラー本体16以外の部位に吸着されないようにするためである。この塗装ブース90の内表面電位を電気的に中立に保持するためには、塗装ブース90を、内表面電気抵抗が例えば1011Ω程度の鋼板を用いて製造するのが望ましい。
【0079】
そして、コロナガン93にかける電位を零Vとし、さらにこのコロナガン93に供給するエアーの圧力を0.2Mpa程度に低く設定する。次いで、このコロナガン93を図10中の左右方向に移動させつつ、上方より略零電位のアルミナ粒子95を吹き出させ、アルミナ粒子95を自重で鉛直方向に自然落下させる。
【0080】
すると、前述したように、ローラー本体16の樹脂膜51には、静電塗装によって形成されたことで微弱な静電気(約+0.5KV)が残存しているため、この静電気によってアルミナ粒子95が樹脂膜51の全周にほぼ均一に静電吸着する。このようにして静電吸着したアルミナ粒子95は、樹脂膜51表面に当接しさらに一部入り込んだ状態で、この樹脂膜51をバインダとしてローラー本体16の外周面に付着する。
【0081】
ここで、本実施形態では塗装ブース90の内面電位が電気的に中立で略零電位となっており、しかも塗装ブース90内の気流が下向きにゆっくりとした流れに形成されているので、アルミナ粒子95はその自重によって鉛直方向下方に自然落下する。落下方向の下方には、水平支持されたローラー本体16がその軸廻りにゆっくり回転しているので、このローラー本体16の外周面には、アルミナ粒子95がほぼ均一に散布される。
【0082】
したがって、特にマスキングされていない樹脂膜51の表面にアルミナ粒子95が均一に付着し、これによってローラー本体16には、図10(b)に示すようにその中央部の樹脂膜51中に、アルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出する。すなわち、アルミナ粒子95は、静電吸着力によって樹脂膜51に当接した際、この樹脂膜51中に一部が入り込み、残部が樹脂膜51の表面から突き出た状態になる。その際、アルミナ粒子95はローラー本体16の表面に対して垂直に立った状態になり易いため、アルミナ粒子95は均一に分布され、その殆どが鋭く尖った端部(頂部)を外側に向けて付着する。
【0083】
したがって、アルミナ粒子95は樹脂膜51の表面から突き出た端部により、高い摩擦力を発揮するようになる。ここで、アルミナ粒子95が用紙Pに対して必要かつ十分な摩擦力を発揮するには、樹脂膜51の面積に対して、アルミナ粒子95の占める面積が20%〜80%となるようにするのが好ましい。
【0084】
なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、例えばスプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
【0085】
このようにしてアルミナ粒子95を樹脂膜51上に散布し付着させたら、このローラー本体16を180℃〜300℃程度の温度で20分〜30分間程度加熱し、樹脂膜51を焼成し硬化させる。これにより、アルミナ粒子95をローラー本体16に固着する。こうして、図10(c)に示すように樹脂膜51中にアルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出してなる高摩擦層50が形成され、本発明に係る搬送ローラー15が得られる。本実施形態では、繋ぎ部分80aが形成された領域にのみ摩擦層50が形成されることになり、更に、繋ぎ部分80b、80c及び連結部分80d、80eが摩擦層50から外れた位置に形成されるため、摩擦層50による搬送状態が当該摩擦層50の全体でバラつかずに済む。
【0086】
なお、本実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
【0087】
このようにして高摩擦層50を形成すると、特に図7、図8に示した繋ぎ目80には、金属板60の端部(端面)61a、61b間の隙間に起因する溝が形成されることなく、端部61a、61b間の隙間が主にアルミナ粒子95によって埋め込まれる。
【0088】
すなわち、アルミナ粒子95としてその平均粒径が、繋ぎ目80の、外周面側での距離d1より大となるものを用いているので、アルミナ粒子95はその大半が繋ぎ目80内に入り込むことなく、図11に示すようにローラー本体16の外周面上に樹脂膜51を介して付着している。したがって、繋ぎ目80には金属板60の端部61a、61b間に隙間が形成されているにもかかわらず、アルミナ粒子95がこの隙間上を覆うことにより、この隙間に起因する溝が実質的に形成されなくなる。
【0089】
また、アルミナ粒子95として、前述の繋ぎ目80の外周面側での距離d1より小となり、かつ、内周面側での距離d2(10μm)より大となる粒子95aを含む粒径分布(粒度範囲)のものを用いているので、このような粒子95aが繋ぎ目80に形成された隙間に入り込んでここに留まることにより、繋ぎ目80による溝が確実に形成されなくなる。
【0090】
また、使用時等において、ローラー本体16(搬送ローラー15)に前述の隙間を狭める方向に力が働いても、ここに入り込んだアルミナ粒子95aがこの力に抗するため、ローラー本体16(搬送ローラー15)の変形が抑えられる。したがって、この搬送ローラー15を備えた搬送ローラー機構19にあっては、搬送ローラー15の変形に起因する搬送ムラが防止される。
【0091】
このような搬送ローラー15を構成するローラー本体(円筒軸)16にあっては、一対の端部61a、61b間に形成された繋ぎ目80を、図8に示したように、第2直線部83bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d3が、第1直線部83aにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d4より長くなるように形成しているので、円筒状中空パイプとしての形状や寸法についての精度がより高くなる。
【0092】
すなわち、図9中に実線で示したように、第2直線部83bを形成する凸片88の先端側が外側に浮く分の寸法t2を、図9中に二点鎖線で示した寸法t1に比べて少なく(小さく)することができ、これによって第2直線部83bにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。
【0093】
そして、このように第2直線部83bにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因するローラー本体16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができる。
【0094】
また、折曲部81における第1直線部83a、第2直線部83bを、ローラー本体16の中心軸16aに略平行に形成しているので、基材となる金属板60をプレス加工した際、繋ぎ目80の全長に亘って対向する一対の端部61a、61b間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0095】
また、折曲部81における交差部82を、ローラー本体16の中心軸16aに対して略直交する方向に延在させているので、金属板60をプレス加工した際に、該交差部82において対向する端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0096】
そして、このようなローラー本体16に高摩擦層50を形成してなる搬送ローラー15は、金属板60が円筒状にプレス加工されてなるローラー本体(円筒軸)16を用いていることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になる。また、アルミナ粒子95(無機粒子)を含有してなる高摩擦層50が設けられていることにより、良好な搬送力を発揮するものとなる。さらに、ローラー本体16が前述したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する搬送ムラも抑制されたものとなる。
【0097】
また、一般にローラー本体16(搬送ローラー15)の両先端側は、歯車などの駆動系の連結部品を取り付けるための部位となり、用紙P(記録媒体)に直接接触するのは、ローラー本体16の中央部となる。したがって、本実施形態では、前述の高摩擦層50をローラー本体16の両端部を除く中央部、すなわち用紙(媒体)Pに接触する領域に設けているので、用紙Pの搬送性能を低下させることなく、高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。
【0098】
以上のように、本実施形態によれば、繋ぎ目80を構成する繋ぎ部分80aと、繋ぎ部分80b及び80cとがローラー本体16の中心軸16aを挟んで反対側に設けられているため、残留応力の緩和の影響が繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80b及び80cとで相殺されることになる。これにより、ローラー本体16の形状変化を抑制することができ、安定した形状のローラー本体16を提供することができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、形状の安定したローラー本体16を用いて被搬送媒体である用紙Pを搬送することができるため、所期の搬送精度を維持することが可能な搬送ローラー15を提供することができる。
【0100】
更に、本実施形態によれば、所期の搬送精度を維持することができる搬送ローラー15を駆動させて用紙Pを搬送するため、搬送精度の高い搬送ユニット10を提供することができる。
【0101】
加えて、本実施形態によれば、搬送精度の高い搬送ユニット10を用いて用紙Pを搬送しつつ印刷することができるため、高精度の印刷が可能なインクジェットプリンター1を提供することができる。
【0102】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0103】
例えば、上記実施形態では、一対の端部間に形成される繋ぎ目が直線状に形成された例を説明したが、これに限られることは無く、例えば一対の端部間に形成される繋ぎ目において折曲部が形成された構成であっても構わない。
【0104】
この場合、まず、図13(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。続いて、この大型金属板65をプレス加工することで切断処理し、図13(b)に示すように、前述のローラー本体16に対応する大きさの細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60、すなわちローラー本体16の基材となる金属板60を形成する。
【0105】
ただし、この大型金属板65をプレス加工するに際しては、前述の切断処理と同時に、前述した一対の端部間に形成される繋ぎ目において折曲部を形成するべく、対向する一対の長辺となる端部61a、61bに、矩形波状の凹凸部110を形成する。
【0106】
次いで、第1実施形態と同様に、金属板60を図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)のプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端部61a、61bを近接させ、あるいは当接させる。
【0107】
また、第1実施形態と同様に、プレス加工により形成した中空パイプ(ローラー本体16)の真円度を高め、振れを少なくするべく、センターレス研磨加工を行い、中空パイプ(ローラー本体16)の外周面を研磨する。
【0108】
このようにして形成された繋ぎ目80は、図14(a)に示すように、繋ぎ部分80a〜80cは、例えばローラー本体16の中心軸16bに平行となるように直線状に形成されている。このうち、繋ぎ部分80aは、本発明における第一繋ぎ部分である。繋ぎ部分80b及び80cは、本発明における第二繋ぎ部分である。繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80bとの間は連結部分80dによって連結されている。繋ぎ部分80aと繋ぎ部分80cとの間は連結部分80eによって連結されている。連結部分80d及び80eは、ローラー本体16の周方向に沿って形成されている。
【0109】
また、繋ぎ目80は、図14(b)に示すように、ローラー本体(円筒軸)16の中心軸16aに交差する複数の交差部82と、隣り合う一対の交差部82、82の一方の側の端部間を結ぶ第1直線部83aと、他方の側の端部間を結ぶ第2直線部83bとから構成されている。
【0110】
ここで、第1直線部83aおよび第2直線部83bはローラー本体16の中心軸16aに略平行となるように形成し、交差部82はこれら第1直線部83aおよび第2直線部83bと直交するように、つまりローラー本体16の中心軸に略直交するように形成する。
また、第2直線部83bは第1直線部83aより短く形成する。
【0111】
そして、このローラー本体(円筒軸)16では、特に第2直線部83bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d3を、第1直線部83aにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d4より長く形成する。なお、ここでいう一対の端部間の距離d3、d4は、後述するように、いずれもローラー本体16における外周面に形成される隙間における端部間の距離とする。
【0112】
このようにすれば、ローラー本体16の、円筒状中空パイプとしての形状や寸法の精度をより高くすることができ、したがって、ローラー本体16の変形等に起因する搬送ムラを防止することができる。すなわち、このようなローラー本体16を形成するための基材となる金属板では、第2直線部83bを構成する一方の端部は、隣り合う一対の交差部82、82とこれらの端部間を結ぶ第2直線部83bとを外形とする凸片88となる。
【0113】
したがって、金属板をプレス加工してこの凸片88を対向する端部に近接させようとした際、図14(c)中に二点鎖線で示すように、この凸片88の先端側が円周面状に十分に曲げられずに、対向する端部に対して寸法t1分浮いた状態になる。その結果として、この第2直線部83bおいて段差を形成してしまう。すると、この段差に起因して、得られるローラー本体16には変形等が生じ易くなり、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなってしまう。
【0114】
そこで、この第2直線部83bにおける端部間の距離d3を、この第2直線部83bより長く形成されている第1直線部83aにおける端部間の距離d4よりも長くする。これにより、図14(c)中に実線で示すように、凸片88の先端側が外側に浮く分の寸法t2が前述のt1に比べて少なく(小さく)なり、これによって第2直線部83bにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。
【0115】
なお、図14(c)では、理解を容易にするため寸法t2も大きく記しているが、実際にはこの寸法t2はほとんど零に近くなり、実質的な段差がなくなるようになる。つまり、このように第2直線部83bにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因するローラー本体16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができるのである。
【0116】
また、例えば繋ぎ部分80aを直線状に形成し、繋ぎ部分80b及び80cを矩形波状に形成することもできる。
この場合、まず、図15(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板65を用をプレス加工することで切断処理し、図15(b)に示すように、前述のローラー本体16に対応する大きさの細長い略矩形板状の金属板60、すなわちローラー本体16の基材となる金属板60を形成する。
【0117】
ただし、この大型金属板65をプレス加工するに際しては、前述の切断処理と同時に、前述した一対の端部間に形成される繋ぎ目において折曲部を形成するべく、対向する一対の長辺となる端部61a、61bの、長さ方向における両端部に、矩形波状の凹凸部110を形成する。また、各長辺(端部61a、61b)においては、その両端部に形成した凹凸部110間、つまり中央部に直線部111を形成する。
【0118】
次いで、第1実施形態と同様に、金属板60を図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)のプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端部61a、61bを近接させ、あるいは当接させる。また、第1実施形態と同様に、プレス加工により形成した中空パイプ(ローラー本体16)の真円度を高め、振れを少なくするべく、センターレス研磨加工を行い、中空パイプ(ローラー本体16)の外周面を研磨する。
【0119】
このようにして形成される繋ぎ目80には、図15(b)に示した凹凸部110が嵌合したことにより、図16(a)に示したように、ローラー本体16の両端部に矩形波状の両端折曲部85が形成されている。また、これら両端折曲部85間には、図15(b)に示した直線部111が近接していることにより、中央直線部84が形成されている。この中央直線部84は、後述する高摩擦層と対応する領域、すなわち、少なくとも高摩擦層を形成する領域を含んで形成されている。
【0120】
なお、繋ぎ目80は、上記実施形態と同様、中央直線部84と両端折曲部85とは、例えばローラー本体16の中心軸16bに平行となるように直線状に形成されている。このうち、中央直線部84は、本発明における第一繋ぎ部分である。両端折曲部85は、本発明における第二繋ぎ部分である。中央直線部84と両端折曲部85との間は連結部分84tによってそれぞれ連結されている。連結部分84tは、ローラー本体6の周方向に沿って形成されている。
【0121】
この繋ぎ目80は、前述の金属板60の外周面と内周面とが同じ寸法(幅)であることにより、例えば中央直線部84では、図16(b)に示すように、一対の端部(端面)61a、61b間の距離が、ローラー本体16の外周面側で相対的に広く、内周面側で相対的に狭くなっている。
【0122】
すなわち、これら一対の端部61a、61b間の、ローラー本体16の外周面側での距離d1は、内周面側での距離d2に比べて大になっている。具体的には、本実施形態では外周面側での距離d1は30μmとなり、内周面側での距離d2は10μmとなっている。
【0123】
また、前記両端折曲部85は、図17(a)に示すように、ローラー本体16の中心軸16aと略平行な連結直線部87(第1直線部87a、第2直線部87b)と、これに直交し、したがって中心軸16aに略直交する直線状の交差部86とからなっている。
【0124】
すなわち、繋ぎ目80において両端部に形成した両端折曲部85は、直線状の複数の交差部86と、交差部86の一方の側の端部間を結ぶ第1直線部87aと、他方の側の端部間を結ぶ第2直線部87bと、からなるように形成されている。
【0125】
ここで、連結直線部87のうちの第1直線部87aは、中央直線部84と同一直線上に形成されている。また、この第1直線部87aは、連結直線部87のうちの他方の第2直線部87bより長く形成されている。
【0126】
そして、本実施形態では、この両端折曲部85において、一対の交差部86、86と第2直線部87bとによって形成される凸片88の先端部となる第2直線部87b側の、互いに対向する一対の端部間の距離d7を、中央直線部84において互いに対向する一対の端部間の距離d6(=d1)より長く形成している。
【0127】
また、この第2直線部87bにおける端部間の距離d7については、第1直線部87aにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d8よりも長く形成している。ここで、第1直線部87aにおける端部間の距離d8については、中央直線部84における端部間の距離d6と同じかこれより長く形成するのが好ましい。
【0128】
なお、前述した一対の端部間の距離d6、d7、d8は、いずれもローラー本体16における外周面に形成される隙間における端部間の距離とする。
【0129】
具体的には、本実施形態では中央直線部84における距離d6(=d1)が前述したように30μmであるのに対し、第2直線部87bにおける距離d7は、30μmより長く、例えば40μm以上に形成されている。
【0130】
このように距離d7を距離d6(=d1)より長く形成しているので、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、円筒状中空パイプとしての形状や寸法についての精度がより高くなっている。
【0131】
すなわち、このようなローラー本体16を形成するための基材となる金属板60では、第2直線部87bを構成する一方の端部は、隣り合う一対の交差部86、86とこれらの端部間を結ぶ第2直線部87bとを外形とする凸片88となる。したがって、金属板60をプレス加工してこの凸片88を対向する端部に近接させようとした際、図17(b)中に二点鎖線で示すように、この凸片88の先端側が円周面状に十分に曲げられずに、対向する端部に対して寸法t1分浮いた状態になる。その結果として、この第2直線部87bおいて段差を形成してしまう。すると、この段差に起因して、得られるローラー本体16には変形等が生じ易くなり、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなってしまう。
【0132】
そこで、この第2直線部87bにおける端部間の距離d7を、この第2直線部87bより長く形成されている中央直線部84における端部間の距離d6よりも長くする。これにより、図17(b)中に実線で示すように、凸片88の先端側が浮く分の寸法t2が前述のt1に比べて少なく(小さく)なる。したがって、第2直線部87bにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。
【0133】
なお、図17(b)では、理解を容易にするため寸法t2も大きく記しているが、実際にはこの寸法t2はほとんど零に近くなり、実質的な段差がなくなるようになる。つまり、このように第2直線部87bにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因するローラー本体16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができるのである。
【0134】
また、第1直線部87aにおける端部間の距離d8を、中央直線部84における端部間の距離d6と同じに形成した場合、金属板60の、第1直線部87aを構成する両側端と中央直線部84を構成する両側端とを、それぞれ同じラインに合わせることができる。したがって、金属板60のプレス加工を容易にすることができる。よって、このように構成することにより、得られるローラー本体16の形状や寸法についての精度をより良好にし、変形等を抑えることができる。
【0135】
一方、第1直線部87aにおける端部間の距離d8を、中央直線部84における端部間の距離d6より長く形成した場合には、図17(b)で説明した場合と同様に、この第1直線部87a側を先端部とする凸片89の先端側が浮く分の寸法を少なく(小さく)する。これによって、第1直線部87aにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。このようにして、円筒軸となるローラー本体16を形成したら、上記実施形態と同様に、図3に示したようにこのローラー本体16の表面に高摩擦層50を形成する。
【0136】
なお、樹脂粒子の吹付による樹脂膜の形成は、図3に示した高摩擦層50の形成領域に対応させて、図9(a)に示すように両端折曲部85(両端部)を除いた中央部のみに行う。すなわち、このローラー本体16からなる搬送ローラー15の、少なくとも搬送する用紙(媒体)Pに接触する領域となる中央部、つまり中央直線部84に対応する領域にのみ、選択的に樹脂膜51を形成する。
【0137】
このような搬送ローラー15を構成するローラー本体(円筒軸)16にあっては、一対の端部61a、61b間に形成された繋ぎ目80が、図16(a)に示したように直線状に形成された中央直線部84と、この中央直線部84の両側に形成された両端折曲部85とによって形成されているので、中央直線部84では凹凸による嵌合がなくなる。そのため、繋ぎ目80の全長に亘って凹凸による嵌合部を形成した場合に比べ、ローラー本体16に歪みや捩れ等が生じにくくなり、真円度や振れなど、形状や寸法について良好な精度が得られ易くなる。
【0138】
また、図17(a)に示したように、両端折曲部85における第2直線部87bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d7を、中央直線部84において互いに対向する一対の端部間の距離d6より長く形成しているので、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、円筒状中空パイプとしての形状や寸法についての精度がより高くなっている。
【0139】
すなわち、図17(b)中に実線で示したように、第2直線部87bを形成する凸片88の先端側が外側に浮く分の寸法t2を、図17(b)中に二点鎖線で示した寸法t1に比べて少なく(小さく)することができる。これによって第2直線部87bにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。
【0140】
そして、このように第2直線部87bにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因するローラー本体16の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができる。
【0141】
また、両端折曲部85における連結直線部87(第1直線部87a、第2直線部87b)を、ローラー本体16の中心軸16aに略平行に形成しているので、これら連結直線部87が中央直線部84と略平行になる。したがって、基材となる金属板60をプレス加工した際、繋ぎ目80の全長に亘って、対向する一対の端部61a、61b間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0142】
また、前述の連結直線部87における第1直線部87aを、中央直線部84と同一直線上に形成しているので、これによっても、金属板60をプレス加工した際に繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0143】
また、連結直線部87における第1直線部87aを、他方の第2直線部87bより長く形成しているので、これによっても、金属板をプレス加工した際に繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0144】
さらに、連結直線部87の第2直線部87bにおける端部間の距離d7を、第1直線部87aにおける端部間の距離d8より長く形成しているので、特に第1直線部87aにおける端部間の距離d8を中央直線部84における端部間の距離d6と同じにしても、また、これより長くしても、いずれの場合にも、前述したように得られるローラー本体16に変形等が生じるのを抑えることができる。
【0145】
また、両端折曲部85における交差部86を、ローラー本体16の中心軸16aに対して略直交する方向に延在させているので、金属板60をプレス加工した際に、該交差部86において対向する端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
【0146】
したがって、ローラー本体16(搬送ローラー15)は、上記実施形態と同様に、金属板60が円筒状にプレス加工されてなるローラー本体(円筒軸)16を用いていることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になる。また、アルミナ粒子95(無機粒子)を含有してなる高摩擦層50が設けられていることにより、良好な搬送力を発揮するものとなる。さらに、ローラー本体16が前述したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する搬送ムラも抑制されたものとなる。
【0147】
また、一般にローラー本体16(搬送ローラー15)の両先端側は、歯車などの駆動系の連結部品を取り付けるための部位となり、用紙P(記録媒体)に直接接触するのは、ローラー本体16の中央部となる。したがって、本実施形態では、高摩擦層50をローラー本体16の両端折曲部85を除く中央直線部84、すなわち用紙(媒体)Pに接触する領域に設けているので、用紙Pの搬送性能を低下させることなく、高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。
【0148】
次に、上記のローラー本体16(搬送ローラー15)の両先端側に形成される係合部について、図18〜図22を用いて説明する。
ローラー本体16(搬送ローラー15)の両先端側には、その一方あるいは両方に、図2に示した搬送駆動ギア35やインナーギア39など、種々の連結部品に連結するための係合部が形成可能になっている。
【0149】
例えば、図18(a)、(b)に示すように、円筒状のパイプ(中空パイプ)からなるローラー本体16の相対向する位置、すなわちローラー本体16の直径を規定する二点の形成面に、それぞれ貫通孔71a、71aを形成する。そして、これら一対の貫通孔71a、71aを含んでなる係合孔(係合部)71を形成する。この係合孔71によれば、歯車等の連結部品72を軸やピン等(図示せず)によって固定することができる。
【0150】
また、図19(a)、(b)に示すように、ローラー本体16の端部にDカット状の係合部73を形成することもできる。この係合部73は、円筒状の中空パイプ(ローラー本体16)の端部に形成されたもので、図19(a)に示すようにその一部が平面視矩形状に切り欠かれて開口73aを形成する。これによって、図19(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0151】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、この見掛け上D状に形成された係合部73に係合させることにより、該連結部品をローラー本体16(搬送ローラー15)に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部73については、中空パイプ(ローラー本体16)の内部孔に通じる溝状の開口73aが形成されていることから、この開口73aを利用することによっても、連結部品をローラー本体16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前述の開口73aに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0152】
また、図20(a)、(b)に示すように、ローラー本体16の端部に溝74aとDカット部74bとを有した係合部74を形成することもできる。この係合部74において、Dカット部74bはローラー本体16の外端に形成されており、溝74aはDカット部74bより内側に形成されている。溝74aは、図20(a)に示すように、ローラー本体16がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。
【0153】
Dカット部74bは、溝74aの外側において該溝74aと直交する方向に延在する開口74cを有し、この開口74cの両側に、一対の折曲片74d、74dを有したものである。すなわち、図20(b)に示すようにこれら一対の折曲片74d、74dがローラー本体16の中心軸側に折曲させられたことにより、これら折曲片74d、74dに対応する部分が、ローラー本体16の円形の外周面から凹んだ状態となっている。
【0154】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前述の溝74aに係合させまたはDカット部74bに係合させることにより、該連結部品をローラー本体16(搬送ローラー15)に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部74では、折曲片74d間に形成された開口74cを利用することによっても、連結部品をローラー本体16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前述の開口74cに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0155】
また、図21(a)、(b)に示すように、ローラー本体16の端部に溝75aと開口75bとを有した係合部75を形成することもできる。この係合部75において、開口75bはローラー本体16の外端に形成されており、溝75aは開口75bより内側に形成されている。溝75aは、図21(a)に示すように、ローラー本体16がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。開口75bは、溝75aの外側においてローラー本体16の一部が平面視矩形状に切り欠かれ、これによって図21(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0156】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前述の溝75aに係合させまたは開口75bによって形成された見掛け上D状に形成された部位に係合させることにより、該連結部品をローラー本体16(搬送ローラー15)に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部75でも、図20(a)、(b)に示した係合部73と同様に、開口75bを利用することによって、連結部品をローラー本体16に対し空回りさせることなく取り付けることができる。
【0157】
このような係合孔71や係合部73、74、75を形成するには、金属板60をプレス加工して得られたローラー本体16に対して、さらに切削加工等を施すことで行うことができる。例えば、図20(a)、(b)に示した係合部73については、その端部を切削加工して開口73aを形成することにより、見掛け上D状の係合部73を形成することができる。また、図19(a)、(b)に示した係合孔71についても、ローラー本体16に対して孔開け加工することで、一対の貫通孔71a、71aをより良好に対向させることができる。
【0158】
もっとも、このようにローラー本体16に対してさらに加工を施すのでは、係合部の形成だけのために別途加工工程を追加することで、コストや時間についての効率が低下してしまう。そこで、ローラー本体16にプレス加工する前に、別のプレス加工によって係合部となる展開係合部を金属板に形成しておき、この金属板をプレス加工してローラー本体16とする際に、係合部も同時に形成するのが好ましい。
【0159】
具体的には、図4(a),図13(a)に示した大型の金属板(第1金属板)65を、図4(b),図13(b)に示したような凹凸部110を有した細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60にプレス加工する際、この大型金属板65から小型の金属板60への加工と同時に、得られる金属板60の長辺の長さ方向における端部、すなわち折曲部81、両端折曲部85の外端部に、切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成する。
【0160】
例えば、図22(a)に示すように、金属板60の凹凸部110の外端部の所定位置に一対の貫通孔71a、71aを加工し、これらを展開係合部76aとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで前述の一対の貫通孔71a、71aを対向させ、図18(a)、(b)に示した係合孔71を形成することができる。
【0161】
また、図22(b)に示すように、金属板60の凹凸部110の外端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76bとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで図20(a)、(b)に示した係合部74を形成することができる。すなわち、展開係合部76bとして、一対の切欠部(凹部)74e、74eと一対の突片74f、74fとを形成しておくことにより、係合部74を形成することができる。ただし、この例では、金属板60をプレス加工した後、一対の突片74f、74fを内側に折り曲げ加工して折曲片74dとする必要があるため、加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めるにはやや不十分であるとも言える。
【0162】
そこで、図22(c)に示すように、金属板60の凹凸部110の外端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76cとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで図21(a)、(b)に示した係合部75を形成することができる。すなわち、展開係合部76cとして、一対の切欠部(凹部)75c、75cと一対の突片75d、75dとを形成しておくことにより、係合部75を形成することができる。この例では、金属板60をプレス加工した際に一対の突片75d、75dも円弧状に曲げることにより、これら突片75d、75d間に図21(b)に示した開口75bを形成することができる。したがって、プレス加工によって形成したローラー本体16に対し、さらに加工を追加する必要がなく、これにより加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めることができる。
【0163】
次に、前述の搬送ローラー機構19を備えてなるインクジェットプリンター(印刷装置)1の動作について、図1、図2を参照して説明する。
給紙ローラー13によって給紙された用紙Pは、搬送ローラー機構19の上流側近傍に至ると、搬送ローラー15と従動ローラー17との間に引き込まれ、両ローラーの駆動によって下流側に位置する印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送される。
【0164】
その際、搬送ローラー15には高摩擦層50が形成されており、従動ローラー17がこの高摩擦層50に当接する位置に配置されているので、これら搬送ローラー15と従動ローラー17との間で用紙Pを挟持する力が大きくなり、用紙Pの搬送性がより良好になっている。
【0165】
また、特に搬送ローラー15は、高摩擦層50の形成の際に所定粒径のアルミナ粒子を用いたことで繋ぎ目80による溝がないため、この溝に起因する搬送ムラも防止されている。さらに、ローラー本体16が形状や寸法について良好な精度になっているので、これによっても搬送ムラが防止されている。よって、この搬送ローラー機構19は、より正確で安定した紙送り(搬送)を行うようになっている。そして、用紙Pの印刷開始端が、印字ヘッド(印刷部)21の直下の所定の印刷位置に到達すると、印刷が開始される。
【0166】
その後、用紙Pの始端が排紙ローラー機構27に至ると、排紙動作が開始される。なお、排紙ローラー機構27の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pにはバックテンションが掛かった状態で搬送される。ただし、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているときには、前述したようにその用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。したがって、このように排紙ローラー機構27と搬送ローラー機構19とによって排紙と搬送とを同時に行う際にも、その用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されているため、搬送ムラのない正確で安定した紙送り(搬送)がなされるようになる。
【0167】
以上説明したように、本実施形態の搬送ローラー15にあっては、金属板60が円筒状にプレス加工されてなるローラー本体(円筒軸)16を用いていることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になる。また、アルミナ粒子95(無機粒子)を含有してなる高摩擦層50が設けられていることにより、良好な搬送力を発揮するものとなる。さらに、ローラー本体16が前述したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する搬送ムラも抑制されたものとなる。
【0168】
また、ローラー本体16の両端部を除いた中央部、すなわち用紙P(記録媒体)に直接接触する中央部に高摩擦層50を選択的に設けているので、用紙Pの搬送性能を低下させることなく、高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。また、第2実施形態に係るローラー本体16では、高摩擦層50を、少なくとも中央折曲部84と対応する領域に設けているので、これによっても高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。ただし、本発明の搬送ローラーはこれに限定されることなく、例えばローラー本体16の全長に亘って高摩擦層50を形成することもできる。
【0169】
また、本実施形態の搬送ユニット10にあっては、前述したようにコストダウン及び軽量化が可能であり、さらに搬送ムラが抑制された搬送ローラー15を備えているので、この搬送ユニット自体のコストダウン及び軽量化が可能になる。さらに、搬送ローラー15による記録媒体の搬送性にも優れたものとなる。
【0170】
また、本実施形態のインクジェットプリンター(印刷装置)1は、前述の搬送ユニットを備えているため、コストダウン及び軽量化が可能である。さらに、記録媒体を良好に搬送することができる優れたものとなる。なお、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0171】
例えば、前述した実施形態では本発明に係る円筒軸(ローラー本体)の繋ぎ目について、図8に示したようにその折曲部81(両端折曲部85)における交差部82(86)をローラー本体16の中心軸に対して直交させたが、これに限らない。
【0172】
交差部82(86)を中心軸に対して直交させることなく、折曲部81(両端折曲部85)において一対の交差部82(86)と第2直線部83b(87b)とによって形成される凸片88の先端側の角度αを、鈍角(180°未満)に形成してもよい。このようにすれば、金属板のプレス加工において一対の端部61a、61bを近接させた際、凸片88の先端を対応する凹部に嵌合させ易くなる。したがって、ローラー本体16に歪みや捩れ等が生じるのを抑制することができる。
【0173】
また、前述した実施形態では本発明に係る搬送ローラーを、搬送ローラー機構19における搬送ローラー15に適用したが、これに限らない。排紙ローラー機構27における排紙ローラー29や排紙ギザローラー31に適用することもできる。さらには、搬送ローラー機構19における従動ローラー17(ローラー17a)に適用することもできる。
【符号の説明】
【0174】
1…インクジェットプリンター(印刷装置)、10…搬送ユニット、15…搬送ローラー、16…ローラー本体(円筒軸)、16a…中心軸、17…従動ローラー、19…搬送ローラー機構、21…印字ヘッド(印刷部)、50…高摩擦層、51…樹脂膜、60…金属板、61a,61b…端部、62a,62b…側部、65…大型の金属板、80…繋ぎ目、80a〜80c…繋ぎ部分、80d、80e…連結部分、82…交差部、83a…第1直線部、83b…第2直線部、84…中央直線部、85…両端折曲部、86…交差部、87…連結直線部、87a…第1直線部、87b…第2直線部、88,89…凸片、90…塗装ブース、95…アルミナ粒子(無機粒子)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸であって、
前記繋ぎ目は、
前記円筒軸の中心軸方向に延在する第一繋ぎ部分と、
前記中心軸を挟んで前記第一繋ぎ部分とは反対側に設けられ、前記第一繋ぎ部分の端部に連結され、前記中心軸方向に延在する第二繋ぎ部分と、
を有する
ことを特徴とする円筒軸。
【請求項2】
前記第二繋ぎ部分は、前記中心軸方向に前記第一繋ぎ部分を挟む位置に分割されて設けられることを特徴とする請求項1に記載の円筒軸。
【請求項3】
前記第一繋ぎ部分は、前記円筒軸の前記中心軸方向の中央部に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒軸。
【請求項4】
前記第二繋ぎ部分は、前記円筒軸の周方向にずれた位置に設けられることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の円筒軸。
【請求項5】
前記第一繋ぎ部分と前記第二繋ぎ部分とは、前記中心軸方向にほぼ等しい寸法に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の円筒軸。
【請求項6】
前記第二繋ぎ部分を形成する前記一対の端部は、当該一対の端部の一方の端部と他方の端部とを嵌合させる凹凸部を有する
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の円筒軸。
【請求項7】
回転可能に設けられた円筒軸と、
前記円筒軸の表面に設けられ、被搬送媒体を搬送する搬送部と、を備え、
前記円筒軸として、請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の円筒軸が用いられる
ことを特徴とする搬送ローラー。
【請求項8】
前記搬送部は、無機粒子が含有された高摩擦層を有することを特徴とする請求項7に記載の搬送ローラー。
【請求項9】
前記円筒軸の前記第一繋ぎ部分は、前記搬送部に設けられていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の搬送ローラー。
【請求項10】
前記円筒軸の前記第二繋ぎ部分は、前記搬送部から外れた部分に設けられていることを特徴とする請求項7から請求項9のうちいずれか一項に記載の搬送ローラー。
【請求項11】
回転可能に設けられ、被搬送媒体を搬送する搬送部を有する搬送ローラーと、
前記搬送ローラーを駆動する駆動装置と、
前記搬送ローラーとの間で前記被搬送媒体を保持して回転する従動ローラーと、を備え、
前記搬送ローラーとして、請求項7から請求項10のうちいずれか一項に記載の搬送ローラーが用いられる
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
被搬送媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送装置によって搬送される前記被記録媒体に対して印刷処理を行う印刷部と、を備え、
前記搬送部として、請求項11に記載の搬送装置が用いられる
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−137533(P2011−137533A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99(P2010−99)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】