説明

冊子

【課題】製作の単純化を図りつつ見開き性にも優れた冊子を提供する。
【解決手段】複数枚の中紙2と、これら中紙2の綴元を柔軟性のある糊層3を介して結合する背表紙4と、少なくとも表面部分全域をこの背表紙4の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙5および裏表紙6とを備え、糊層3に裏打ちされた背表紙4の曲げ強さを、中紙2の中央頁を見開いた時に背表紙4が中紙2の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数枚の中紙と、表面が連続する表表紙、背表紙および裏表紙とを備えた種々の冊子が知られている。比較的廉価な冊子として、複数枚の中紙の綴元を柔軟性の無い又は乏しい固い糊(主なものとしてホットメルト接着剤)層を介して背表紙に結合したものが挙げられる(例えば、下記特許文献を参照)。また、複数枚の中紙の綴元を糸を用いて綴じ、綴元の柔軟性を保つとともに、これら複数枚の中紙を連続する比較的硬い表表紙、背表紙および裏表紙によって覆った上製本が挙げられるが、高価である。
【特許文献1】特開平10−129147号公報
【特許文献2】特開平10−129148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記ホットメルト接着剤を用いた冊子は、柔軟性に乏しい糊層を介して複数枚の中紙を背表紙に結合したものであるため、背表紙自体が変形し難く、見開いた際に中紙の綴元近傍部位が盛り上がった(浮き上がった)状態となり、見開き性が悪いという問題があった。
【0004】
一方、前記上製本は、見開き性の点においてホットメルト接着剤を用いた冊子よりも優れたものであるが、背表紙自体は、複数枚の中紙の綴元を結合する役割を担うものではなく主として中紙を覆い隠す役割を担うものであり、複数枚の中紙の綴元を糸を用いて綴じる作業とは別に、連続する表表紙、背表紙および裏表紙を取り付ける作業が要求されるため、製作の煩雑化を招来するという不具合があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、製作の単純化を図りつつ見開き性にも優れた冊子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の冊子は、複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙と、少なくとも表面部分全域をこの背表紙の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙および裏表紙とを具備してなり、前記糊層に裏打ちされた前記背表紙の曲げ強さが、前記中紙の中央頁を見開いた時に前記背表紙が前記中紙の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定されていることを特徴とする。
【0007】
具体的には、前記糊層を上にして表面が平らで均一な面に置き、その上から100gfの重りを乗せたときの前記背表紙と前記裏表紙との見開き幅および前記均一面からの高さを測定し、それら見開き幅および高さを用いて算定した見開き角度が150度〜180度となるよう、糊層に裏打ちされた背表紙の曲げ強さを設定する。
【0008】
このようなものであれば、中紙の中央頁を見開いた時に背表紙が中紙の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形することにより、良好な見開き性を確保することができるとともに、中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して背表紙に結合するため、糸を用いて複数枚の中紙を綴じる制作工程が不要であり、上製本と比較して製作が簡単であり、コストを抑えることができる。しかも、表表紙、背表紙および裏表紙の各表面部分全域を相互に連続させているため、これら表表紙、背表紙および裏表紙に、連続する共通の画像データや文字列等を印刷する、または共通の表面処理(例えばエンボス加工や本革調や布調にする加工等)を施すことにより、冊子の外観を一体感のあるデザインにすることができ、種々の需要に応じたオリジナリティーに富む冊子、或いは高級仕様の冊子等、高い付加価値を付与した冊子を提供することが可能である。
【0009】
製作上の手間を有効に削減するには、前記背表紙と前記糊層とによる中紙の結合部分を無線綴じ構造とすればよい。
【0010】
特に、ミシン目を境にして二つ折りにされた中紙を1単位とし、複数単位の中紙が、前記ミシン目に前記糊層を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられていれば、見開き時に背表紙が屈曲し得る程度の柔軟性を確保しつつ、各中紙と背表紙との結合強度を向上させることができ、耐久性にも優れたものになる。コールドグルータイプの糊とは、加熱せずにそのまま使用できる糊である。
【0011】
好適な実施態様としては、前記背表紙が、前記糊層に直に接する1枚の可撓シートにより構成され、前記表表紙および前記裏表紙が、前記背表紙の可撓シートに連続する可撓シートと、この可撓シートの内面に重合させた補強シートとを備えてなるものである態様が挙げられる。このようなものであれば、構造の単純化を図りつつ、これら背表紙、表表紙および裏表紙が中紙の保護機能を発揮し得るものとなる。
【0012】
また、上記態様とは異なる好適な実施態様としては、前記背表紙が、前記糊層に直に接する背表紙用の内可撓シートと、この内可撓シートの外面に貼着される背表紙用の外可撓シートとから構成され、前記表表紙および前記裏表紙が、前記背表紙用の外可撓シートに連続する可撓シートと、この可撓シートの内面に重合させた補強シートとを備えてなるものである態様が挙げられる。このようなものであれば、それぞれ二層状に形成された背表紙、表表紙および裏表紙が中紙の保護機能を有効に発揮し得るものとなる。
【0013】
これら好適な実施態様のうち、特に後者の態様においては、複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙用の内可撓シートと、綴元側の縁部外面に前記内可撓シートの一端縁部を接合させてなる表表紙用の補強シートと、綴元側の縁部外面に前記内可撓シートの他端縁部を接合させてなる裏表紙用の補強シートとによって冊子本体を構成し、この冊子本体の外面全域に、相互に連続する表表紙用の可撓シートと、背表紙用の外可撓シートと、裏表紙用の可撓シートとを貼着していることが望ましい。このようなものであれば、ユニット化された冊子本体を作り置きしておき、需要に応じてデザインを変更した表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートを必要な数だけ冊子本体に貼着して冊子を作製することが可能となり、余分な在庫の発生を抑制することができる。
【0014】
前記背表紙が、前記外可撓シートと、この外可撓シートよりも薄い内可撓シートとからなっていれば、内可撓シートによって冊子本体をユニット化することができるとともに、背表紙用の外可撓シートがこの内可撓シートのバックアップ部材として機能し、良好な耐久性を有する冊子になる。
【0015】
さらに、前記冊子本体の外面全域に、相互に連続させた表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートを、水分を含有しない接着剤を用いて貼着していれば、水分を含有する接着剤を用いた場合に特に表表紙および裏表紙に生じ得る不要な反りを防止することができる。なお、本明細書において、接着剤とは粘着剤をも含んだ概念である。
【0016】
特に、前記接着剤が、表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートの内面にドットパターンをなすように塗布されたものであれば、これら表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートを冊子本体の外面全域に貼着する際に空気が逃げて泡が残らないきれいな表表紙、背表紙および裏表紙を形成することができる。
【0017】
良好な質感や手触り感を実現するためには、前記可撓シートとして、紙に樹脂コーティングを施した素材を適用すればよい。
【0018】
また、前記中紙が、筆記用の罫線を備えたものであれば、罫線により筆記領域が確保され、筆記に適した冊子を提供することができる。
【0019】
そして、筆記に適した冊子としては、複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙と、少なくとも表面部分全域をこの背表紙の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙および裏表紙とを具備してなり、前記糊層に裏打ちされた前記背表紙の曲げ強さが、前記中紙の中央頁を見開いた時に前記背表紙が内方へ鋭角的に屈曲変形して前記表表紙の全域と前記裏表紙の全域とを略面一に展開することができるように設定されているものが挙げられる。このようなものであれば、見開いた際に表表紙および裏表紙の全域又は略全域が共通の平坦面に接した状態となり、見開き性の向上を図ることができるとともに、安定した見開き状態を維持することができ、特に中紙のうち綴元側の領域への筆記も適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、製作の単純化を図りつつ見開き性にも優れた冊子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
<第1実施形態>第1実施形態に係る冊子1は、図1〜図4等に示すように、複数枚の中紙2と、これら中紙2の綴元を柔軟性のある糊層3を介して結合する背表紙4と、表面部分全域をこの背表紙4の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙5および裏表紙6とを具備したものである。
【0023】
中紙2は、図2および図3に示すように、ミシン目21を境にして二つ折りにされたものを1単位とするものであり、1単位が例えばA4やB5等の規格に対応した長方形又は略長方形状をなすものである。複数単位の中紙2が、前記ミシン目21に糊層3を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられている。ここでは、コールドグルータイプの一種である水性エマルジョン糊を用いて糊層3を形成するものとする。そして、これら中紙2の綴元を柔軟性のある糊層3を介して背表紙4に直接結合している。つまり、背表紙4と糊層3とによる中紙2の結合部分は、無線綴じ構造をなしている。各中紙2には、筆記用の罫線22が印刷されている。これにより、本実施形態に係る冊子1は、筆記用ノートとしての用途に適したものとなる。
【0024】
背表紙4は、図3に示すように、糊層3に直に接する1枚の可撓シート(以下「背表紙用可撓シート41」と称す)により構成されたものである。本実施形態では、背表紙用可撓シート41として、紙に樹脂コーティングを施した素材を適用している。
【0025】
表表紙5および裏表紙6は、図3に示すように、それぞれ背表紙用可撓シート41に連続する可撓シート(以下「表表紙用可撓シート51」、「裏表紙用可撓シート61」と称す)と、これら表表紙用可撓シート51および裏表紙用可撓シート61の内面にそれぞれ重ね合せた補強シート(以下「表表紙用補強シート52」、「裏表紙用補強シート62」と称す)とにより構成されたものである。表表紙用補強シート52および裏表紙用補強シート62は、表表紙用可撓シート51および裏表紙用可撓シート61とともに中紙2を保護し得る機能を有するものである。本実施形態では、表表紙用補強シート52および裏表紙用補強シート62として板紙を適用している。この板紙は無地、好ましくは白色無模様のものとする。表表紙用可撓シート51および裏表紙用可撓シート61は、水分を含有しない接着剤(粘着材)7によって表表紙用補強シート52および裏表紙用補強シート62にそれぞれ貼着している。本実施形態では、表表紙用可撓シート51および裏表紙用可撓シート61の内面に前記接着剤7をドットパターンをなすように塗布している(図3参照)。補強シート52、62は紙であり、可撓シート41、51、61の内面も紙であるので、補強シート52、62に可撓シート41、51、61を接着するときの接着性は十分に確保されている。
【0026】
これら相互に連続する表表紙用可撓シート51、背表紙用可撓シート41および裏表紙用可撓シート61により、表表紙5および裏表紙6の各表面部分全域が背表紙4の表面部分全域にそれぞれ連続したものとなる。そして、図4に示すように、これら連続する表表紙5、背表紙4および裏表紙6の表面に、連続する共通の画像データを印刷している。つまり、表表紙用可撓シート51、背表紙用可撓シート41および裏表紙用可撓シート61の表面に、連続する共通の画像データを印刷している。また、本実施形態では、表表紙5および裏表紙6の表面にそれぞれ文字列を印刷している。なお、これら表表紙5、背表紙4および裏表紙6の表面に、連続する共通の画像データを印刷することに加えて又は代えて、これら表表紙5、背表紙4および裏表紙6に共通の表面処理、例えばエンボス加工処理や、本革調又は布調にする加工処理を施す等して、冊子1の外観上のデザインを種々の需要に対応できるようにしている。
【0027】
このような構成をなす本実施形態に係る冊子1は、図4〜図6に示すように、所望の中紙2を見開いた時に柔軟性のある糊層3の特性により背表紙4自体が屈曲変形する。なお、図4は、閉じた状態と見開き状態との略中間状態にある冊子1を背面側から見た図である。
【0028】
そして、図5に示すように、前記糊層3に裏打ちされた背表紙4の曲げ強さを、中紙2の中央頁を見開いた時に背表紙4が中紙2の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定している。なお、「内方へ鋭角的に屈曲変形」とは、図6に示すように、内方へ鋭角に屈曲変形する事象はもちろんのこと、図7に示すように、屈曲部分に丸みを帯びるように内方へ鋭角的に屈曲変形する事象も含む概念である。つまり、「内方へ鋭角的に屈曲変形し得る」とは、内方へV字状又は略V字状に屈曲変形し得る事象と、内方へU字状又は略U字状に屈曲変形し得る事象の両方を意味するものである。さらに、「内方へ鋭角的に屈曲変形」とは、屈曲部分の折れ角度が90度未満であればよく、屈曲部分の折れ角度が0度以下の事象(図示省略)も含む概念である。
【0029】
また、この冊子1は、図5〜図7に示すように、中紙2の中央頁を見開いた時に表表紙5の全域と裏表紙6の全域とを略面一に展開することができるように設定されている。「前記表表紙5の全域と前記裏表紙6の全域とを略面一に展開することができる」とは、見開き時に自重により表表紙5の全域と裏表紙6の全域とが共通の平坦面8に略密着することになる事象と、自重に加え冊子1を破壊しない範囲の力で押圧して表表紙5の全域と裏表紙6の全域とを共通の平坦面8に略密着させることができる事象の両方を意味するものである。
【0030】
このように、本実施形態に係る冊子1は、糊層3に裏打ちされた背表紙4の曲げ強さを、中紙2の中央頁を見開いた時に背表紙4が中紙2の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定しているため、良好な見開き性を確保することができるとともに、糸を用いて複数枚の中紙2を綴じる制作工程が不要であり、上製本と比較して低コストに抑えることができる。しかも、表表紙5、背表紙4および裏表紙6の各表面部分全域を相互に連続させているため、これら表表紙5、背表紙4および裏表紙6に連続する共通の画像データを印刷する、または共通の表面処理(例えばエンボス加工や本革調や布調にする加工等)を施すことにより、冊子1の外観上のデザインを種々の需要に応じて柔軟に変更することができ、オリジナリティーに富む冊子、或いは高級仕様の冊子等、高い付加価値を付与した冊子1を提供することが可能である。
【0031】
特に、ミシン目21を境にして二つ折りにされた中紙2を1単位とし、複数単位の中紙2が、前記ミシン目21に前記糊層3を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられているため、見開き時に背表紙4が屈曲し得る程度の柔軟性を確保しつつ、各中紙2と背表紙4との結合強度を向上させることができ、耐久性にも優れたものである。
【0032】
さらに、背表紙4が、糊層3に直に接する1枚の背表紙用可撓シート41により構成され、表表紙5および裏表紙6が、背表紙用可撓シート41に連続する表表紙用可撓シート51、裏表紙用可撓シート61と、これら可撓シート51、61の内面に重合させた表表紙用補強シート52、裏表紙用補強シート62とを備えたものであるため、背表紙4自体の構造を単純化することができるとともに、二層状に形成された表表紙5および裏表紙6が背表紙4とともに中紙2の保護機能を有効に発揮し得るものとなる。
【0033】
水分を含有しない接着剤7によって表表紙用可撓シート51および裏表紙用可撓シート61の全域又は略全域を表表紙用補強シート52および裏表紙用補強シート62に貼着しているため、水分を含有する接着剤を用いた場合に生じ得る表表紙5および裏表紙6の不要な反りを防止することができる。しかも、接着剤7をドットパターンをなすように塗布しているため、貼着する際に空気が逃げて泡が残らないきれいな表表紙5および裏表紙6を形成することができる。
【0034】
また、中紙2が、筆記用の罫線22を備えたものであるため、罫線22によって筆記領域が確保された筆記用の冊子1、つまりノートとしての用途に適した冊子1となり、見開き性が優れていることにより、書きやすさが格段に向上する。
【0035】
加えて、糊層3に裏打ちされた背表紙4の曲げ強さが、中紙2の中央頁を見開いた時に背表紙4が内方へ鋭角的に屈曲変形して表表紙5の全域と裏表紙6の全域とを略面一に展開することができるように設定されているため、共通の平坦面8上において見開いた際に表表紙5および裏表紙6の全域又は略全域が共通の平坦面8に接した状態となり、見開き性の更なる向上を図ることができるとともに、安定した見開き状態を維持することができ、特に中紙2のうち綴元側部分への筆記もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0036】
<第2実施形態>第2実施形態に係る冊子A1は、図8〜図10等に示すように、前記第1実施形態に係る冊子1と比較して、背表紙A4が、糊層A3に直に接する背表紙用の内可撓シート(以下、「背表紙用内可撓シートA41」と称す)と、この背表紙用内可撓シートA41の表面に貼着される背表紙用の外可撓シート(以下、「背表紙用外可撓シートA42」と称す)とから構成され、表表紙A5および裏表紙A6が、背表紙用外可撓シートA42に連続する可撓シート(以下、「表表紙用可撓シートA51」、「裏表紙用可撓シートA61」と称す)と、この可撓シートA51、A61の内面に重合させた補強シート(以下「表表紙用補強シートA52」、「裏表紙用補強シートA62」と称す)とを備えてなるものであるという点で構成上の差異を有している。なお、以下の説明および図8〜図14では、前記第1実施形態の冊子1の各部位に対応する部位には、それぞれ符号の頭に「A」を付して示す。
【0037】
具体的には、この第2実施形態に係る冊子A1は、複数枚の中紙A2と、これら中紙A2の綴元を柔軟性のある糊層A3を介して結合する薄紙様の背表紙用内可撓シートA41と、綴元側の縁部外面に前記背表紙用内可撓シートA41の一端縁部を接合させてなる表表紙用補強シートA52と、綴元側の縁部外面に前記背表紙用内可撓シートA41の他端縁部を接合させてなる裏表紙用補強シートA62とによって冊子本体A9を構成している(図12参照)。
【0038】
中紙A2は、ミシン目A21を境にして二つ折りにされたものを1単位とするものである点、ミシン目A21に糊層A3を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられている点、筆記用の罫線A22が複数段印刷している点等、第1実施形態で示したものと同様又は略同様のものであり、詳細な説明は省略する。
【0039】
背表紙用内可撓シートA41は、背表紙用外可撓シートA42よりも薄く、また柔らかい。本実施形態において、内可撓シートA41は、単独では使用に耐え得る中紙綴じ強度を発揮し得ないものである。本実施形態では、背表紙用内可撓シートA41の両端縁部を表表紙用補強シートA52および裏表紙用補強シートA62の綴元側の縁部外面に重なり合うように折り曲げている。
【0040】
表表紙用補強シートA52および裏表紙用補強シートA62は、それぞれ板紙である。この板紙は無地、好ましくは白色無模様のものとする。表表紙用補強シートA52および裏表紙用補強シートA62のうち、折り曲げた背表紙用内可撓シートA41の端縁部に重なる綴元側の縁部外面を、該背表紙用内可撓シートA41の各端縁部に貼着している。内可撓シートA41と補強シートA52、A62とはともに紙であり、互いを接着するときの接着性は十分に確保されている。
【0041】
このような構成をなす冊子本体A9は、背表紙用内可撓シートA41が単独では使用に耐え得る中紙綴じ強度を発揮し得ないものであるため、単独では使用に適した耐久性を有するものではないが、背表紙用内可撓シートA41によりユニット化されたものである。
【0042】
そして、図11および図12に示すように、冊子本体A9の外面全域又は略全域に、相互に連続する表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61を貼着することにより、使用に適した耐久性を有する冊子A1となる。具体的には、冊子本体A9の外面全域又は略全域に、相互に連続する表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61を、水分を含有しない接着剤A7を用いて貼着している。本実施形態では、表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61の内面に接着剤A7をドットパターンをなすように塗布している(図10参照)。表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61は、紙に樹脂コーティングを施した共通の素材からなる。内可撓シートA41は非常に薄いので、内可撓シートA41の外面と補強シートA52、A62の外面との段差も非常に小さく、接着した外可撓シートA51、A61にも(内可撓シートA41の外面と補強シートA52、A62の外面との段差に起因する)目立った段差は発生しない。内可撓シートA41、補強シートA52、A62、並びに外可撓シートA42、A51、A61の内面は何れも紙であり、内可撓シートA41および補強シートA52、A62に外可撓シートA42、A51、A61を接着するときの接着性は十分に確保されている。
【0043】
これら相互に連続する表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61により、表表紙A5および裏表紙A6の各表面部分全域が背表紙A4の表面部分全域にそれぞれ連続したものとなる。そして、図11および図12に示すように、これら連続する表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6の表面に、連続する共通の画像データを印刷している。つまり、表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61の表面に、連続する共通の画像データを印刷している。また、本実施形態では、表表紙用可撓シートA51および裏表紙用可撓シートA61の表面にそれぞれ文字列を印刷している。なお、これら表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6の表面に、連続する共通の画像データを印刷することに加えて又は代えて、これら表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6に共通の表面処理、例えばエンボス加工処理や、本革調又は布調にする加工処理を施す等して冊子A1の外観上のデザインを種々の需要に対応できるようにしている。
【0044】
このような構成をなす本実施形態に係る冊子A1は、図11、図13および図14に示すように、所望の中紙A2を見開いた時に柔軟性のある糊層A3の特性により背表紙A4自体が屈曲変形する。なお、図11は、閉じた状態と見開き状態との略中間状態にある冊子A1を背面側から見た図である。
【0045】
そして、図13に示すように、前記糊層A3に裏打ちされた背表紙A4の曲げ強さを、中紙A2の中央頁を見開いた時に背表紙A4が中紙A2の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定している。なお、「内方へ鋭角的に屈曲変形」とは、図14に示すように、内方へ鋭角に屈曲変形する事象はもちろんのこと、屈曲部分に丸みを帯びるように内方へ鋭角的に屈曲変形する事象(図示省略)も含む概念である。つまり、「内方へ鋭角的に屈曲変形し得る」とは、内方へV字状又は略V字状に屈曲変形し得る事象と、内方へU字状又は略U字状に屈曲変形し得る事象の両方を意味するものである。さらに、「内方へ鋭角的に屈曲変形」とは、屈曲部分の折れ角度が90度未満であればよく、屈曲部分の折れ角度が0度以下の事象(図示省略)も含む概念である。
【0046】
また、この冊子A1は、中紙A2の中央頁を見開いた時に前記表表紙A5の全域と前記裏表紙A6の全域とを略面一に展開することができるように設定されている。「前記表表紙A5の全域と前記裏表紙A6の全域とを略面一に展開することができる」とは、見開き時に自重により表表紙A5の全域と裏表紙A6の全域とが共通の平坦面8に略密着することになる事象と、自重に加え冊子A1を破壊しない範囲の力で押圧して表表紙A5の全域と裏表紙A6の全域とを共通の平坦面8に略密着させることができる事象の両方を意味するものである。
【0047】
このように、第2実施形態に係る冊子A1も、第1実施形態に係る冊子1と同様に、糊層A3に裏打ちされた背表紙A4の曲げ強さを、中紙A2の中央頁を見開いた時に背表紙A4が中紙A2の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定しているため、良好な見開き性を確保することができるとともに、糸を用いて複数枚の中紙2を綴じる制作工程が不要であり、上製本と比較して低コストに抑えることができる。しかも、表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6の各表面部分全域を相互に連続させているため、これら表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6に連続する共通の画像データを印刷する、または共通の表面処理(例えばエンボス加工や本革調や布調にする加工等)を施すことにより、冊子A1の外観上のデザインを種々の需要に応じて柔軟に変更することができ、オリジナリティーに富む冊子、或いは高級仕様の冊子等、高い付加価値を付与した冊子A1を提供することが可能である。
【0048】
さらに、背表紙A4が、糊層A3に直に接する背表紙用内可撓シートA41と、この背表紙用内可撓シートA41の外面に貼着される背表紙用外可撓シートA42とから構成され、前記表表紙A5および前記裏表紙A6が、前記背表紙用外可撓シートA42に連続する表表紙用可撓シートA51、裏表紙用可撓シートA61と、この可撓シートA51、A61の内面に重ね合わせた表表紙用補強シートA52、裏表紙用補強シートA62とを備えてなるものであるため、それぞれ二層状に形成された背表紙A4、表表紙A5および裏表紙A6によって中紙A2の保護機能を有効に発揮し得るものとなる。
【0049】
また、複数枚の中紙A2と、これら中紙A2の綴元を柔軟性のある糊層A3を介して結合する背表紙用内可撓シートA41と、綴元側の縁部外面に背表紙用内可撓シートA41の一端縁部を接合させてなる表表紙用補強シートA52と、綴元側の縁部外面に背表紙用内可撓シートA41の他端縁部を接合させてなる裏表紙用補強シートA62とによって冊子本体A9を構成し、この冊子本体A9の外面全域に、相互に連続する表表紙用可撓シートA51と、背表紙用外可撓シートA42と、裏表紙用可撓シートA61とを貼着したものであるため、ユニット化された冊子本体A9を作り置きしておき、需要に応じてデザインを変更した連続する表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61を必要な数だけ冊子本体A9に貼着して冊子1を作製することが可能となり、在庫リスクの軽減化を図ることができる。
【0050】
特に、背表紙4が、背表紙用外可撓シートA42と、この背表紙用外可撓シートA42よりも薄く単独では使用に耐え得る中紙綴じ強度を発揮し得ない背表紙用内可撓シートA41とからなっているため、背表紙用内可撓シートA41によって冊子本体A9をユニット化することができるとともに、背表紙用外可撓シートA42がこの背表紙用内可撓シートA41のバックアップ部材として機能し、良好な耐久性を有する冊子1になる。
【0051】
また、冊子本体A9の外面全域に、相互に連続させた表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61を、水分を含有しない接着剤A7を用いて貼着しているため、水分を含有する接着剤を用いた場合に特に表表紙5および裏表紙6に生じ得る不要な反りを防止することができる。しかも、接着剤A7が、表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61の内面にドットパターンをなすように塗布されたものであるため、貼着する際に空気が逃げて泡が残らないきれいな表表紙A5、背表紙A4および裏表紙A6を形成することができる。
【0052】
さらに、相互に連続させた表表紙用可撓シートA51、背表紙用外可撓シートA42および裏表紙用可撓シートA61が、紙に樹脂コーティングを施した素材であるため、質感や手触りが良い冊子A1を提供することができる。
【0053】
さらに、第1実施形態係る冊子1と同様の効果として、ミシン目A21を境にして二つ折りにされた中紙A2を1単位とし、複数単位の中紙A2が、前記ミシン目A21に前記糊層A3を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられているため、見開き時に背表紙A4が屈曲し得る程度の柔軟性を確保しつつ、各中紙A2と背表紙A4との結合強度を向上させることができ、耐久性にも優れたものである点、中紙A2が筆記用の罫線A22を備えたものであるため、罫線A22によって筆記領域が確保された筆記用の冊子A1、つまりノートとしての用途に適した冊子A1となり、見開き性が優れていることにより、書きやすさが格段に向上する点が挙げられる。
【0054】
加えて、糊層A3に裏打ちされた背表紙A4の曲げ強さが、中紙A2の中央頁を見開いた時に背表紙A4が内方へ鋭角的に屈曲変形して表表紙A5の全域と裏表紙A6の全域とを略面一に展開することができるように設定されているため、共通の平坦面8上において見開いた際に表表紙A5および裏表紙A6の全域又は略全域が共通の平坦面8に接した状態となり、見開き性の更なる向上を図ることができるとともに、安定した見開き状態を維持することができ、特に中紙A2のうち綴元側の領域への筆記もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0055】
以降、冊子1、A1の背表紙4、A4が備えるべき柔軟性、見開き性に関して補足する。テストピースとして、冊子1、A1と同等の基本構造を有したサンプル(1)、(2)と、従来のホットメルト糊製本によるサンプル(3)、(4)、(5)とを用い、下記の試験を行う。サンプルの寸法は表紙幅120mm、表紙高さ90mmで、サンプル(1)の中紙は30枚、サンプル(2)の中紙は100枚、サンプル(3)の中紙は96枚、サンプル(4)の中紙は88枚、サンプル(5)の中紙は24枚である。また、各サンプルの背幅、いわば冊子1、A1の厚みtについては、サンプル(1)は3.9mm、サンプル(2)は10.8mm、サンプル(3)は6.5mm、サンプル(4)は9.5mm、サンプル(5)は2.9mmである。
【0056】
これら各サンプルを、室温23℃、湿度50%の環境下で、表面が平らで均一な金属面上に、冊子1、A1の略中央の頁を開いて背表紙4、A4が上になるようにして置く。しかして、その上から所定重量の重り9を乗せた状態で、図16に示す表表紙の外側縁から裏表紙の外側縁までの見開き幅L、および均一面から背表紙4、A4の上縁までの高さhを計測する。ここでは、重り9の重さを100gfとする。さらに、計測した見開き幅Lおよび高さhを基に、見開き角度θを算定する。簡易な見開き角度θの計算式は、
θ≒2tan-1{(L/2)/h}=2tan-1(L/2h)
である。各サンプル(1)、(2)、(3)、(4)、(5)を3冊ずつ用意して試験した結果を、図17に示す。サンプルに重り9を乗せたとき、コールドグルー糊製本であるサンプル(1)、(2)は、重りを乗せていないときと比較して高さhが約1/2〜1/10になる。一方、ホットメルト糊製本であるサンプル(3)、(4)、(5)では、高さhが約1/2〜1/3になる。全体的に、ホットメルト糊製本の方が高さhが高く、見開き角度θが小さい。
【0057】
サンプルの背幅tを加味し、(理想的には見開き角度θ=180度となるときにh=t/2となることに基づき)より精確な見開き角度θを算定するようにしてもよい。この場合の見開き角度θの計算式は、
θ≒2tan-1{(L/2)/(h−t/2)}=2tan-1{L/(2h−t)}
となる。各サンプル(1)、(2)、(3)、(4)、(5)のより精確な見開き角度θを、図18に示す。
【0058】
ノート等としての使用感は、サンプル(3)、(4)、(5)よりもサンプル(1)、(2)の方が優れている。従って、冊子1、A1の背表紙4、A4の柔軟性、換言すれば背表紙4、A4の曲げ強さは、背表紙4、A4側に100gfの重り9を乗せたときの見開き幅Lおよび高さhを用いて算定される見開き角度θが150度以上、より好ましくは160度〜180度となるように設定することが望ましい。
【0059】
上記では、見開き角度θを指標に背表紙4、A4の曲げ強さを定義したが、Lとhとの比、あるいはLと(h−t/2)との比を指標として、背表紙4、A4の曲げ強さを定義しても構わない。L/h、およびL/(h−t/2)の値を、図18に示している。これらの比は最低でも10、特にL/(h−t/2)は18〜20以上であることが望ましい。
【0060】
なお、本発明は以上に詳述した各実施形態に限られるものではない。例えば、図15に示すように、背表紙B4が、糊層B3に直に接する1枚の樹脂製の可撓シートB41により構成され、表表紙B5および裏表紙B6が、背表紙4の可撓シートB41に連続する1枚の樹脂製の可撓シートB51、B61により構成されたものであってもよい。この場合、背表紙用の可撓シートB41を、表表紙用の可撓シートB51および裏表紙用の可撓シートB61よりも薄く設定すれば、見開き時における背表紙B4の変形容易性を確保することができる(図15では、背表紙用の可撓シートB41、表表紙用の可撓シートB51および裏表紙6の可撓シートB61が全て同一厚み寸法を有する態様を示している)。なお、図15では、前記第1実施形態の冊子1の各部位に対応する部位には、それぞれ符号の頭に「B」を付して示す。
【0061】
また、ノート以外の用途、例えば、日記帳や手帳としての用途に適した冊子、或いはカタログ等の主として閲覧に供される冊子であっても構わない。各用途に合わせて、中紙のデザインも適宜変更すればよい。
【0062】
柔軟性のある糊層を形成する糊として、水性エマルジョン以外の糊を使用することができる。さらには、図6、図7、図14、図17に示しているような柔軟性、見開き性を確保できるのであれば、コールドグルータイプでない糊を採用しても構わない。にかわ糊は、コールドグルータイプではないが、本発明を実施するのに必要な柔軟性を具現し得るものの一例である。
【0063】
その他、各部の具体的構成についても上記各実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冊子の全体斜視図。
【図2】同実施形態に係る冊子の見開いた状態を示す全体斜視図。
【図3】同実施形態係る冊子の要部拡大断面を模式的に示す図。
【図4】同実施形態において閉じた状態と見開いた状態との略中間状態にある冊子を背面側から見た図。
【図5】同実施形態に係る冊子の見開いた状態を模式的に示す図。
【図6】図5の要部拡大を図3に対応させて示す図。
【図7】同実施形態に係る冊子を見開いた際における図6とは異なる背表紙の屈曲変形度合を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る冊子の全体斜視図。
【図9】同実施形態に係る冊子の見開いた状態を示す全体斜視図。
【図10】同実施形態に係る冊子の要部拡大断面を模式的に示す図。
【図11】同実施形態において閉じた状態と見開いた状態との略中間状態にある冊子を背面側から見た図。
【図12】同実施形態に係る冊子の分解斜視図。
【図13】同実施形態に係る冊子の見開いた状態を模式的に示す図。
【図14】図13の要部拡大を図11に対応させて示す図。
【図15】本発明の係る冊子の一変形例を図3に対応させて示す図。
【図16】糊層に裏打ちされた背表紙の曲げ強さの計測手法を例示する図。
【図17】背表紙の曲げ強さの測定試験結果を例示する図。
【図18】背表紙の曲げ強さの測定試験結果を例示する図。
【符号の説明】
【0065】
1、A1、B1…冊子
2、A2、B2…中紙
21、A21、B21…ミシン目
22、A22…罫線
3、A3、B3…糊層
4、A4、B4…背表紙
41…背表紙用可撓シート
5、A5、B5…表表紙
51、A51…表表紙用可撓シート
52、A52…表表紙用補強シート
6、A6、B6…裏表紙
61、A61…裏表紙用可撓シート
62、A62…裏表紙用補強シート
7、A7…接着剤
A41…背表紙用内可撓シート
A42…背表紙用外可撓シート
A9…冊子本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙と、少なくとも表面部分全域をこの背表紙の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙および裏表紙とを具備してなり、
前記糊層に裏打ちされた前記背表紙の曲げ強さが、前記中紙の中央頁を見開いた時に前記背表紙が前記中紙の綴元とともに内方へ鋭角的に屈曲変形し得るように設定されていることを特徴とする冊子。
【請求項2】
前記背表紙と前記糊層とによる中紙の結合部分が、無線綴じ構造をなしている請求項1記載の冊子。
【請求項3】
ミシン目を境にして二つ折りにされた中紙を1単位とし、複数単位の中紙が、前記ミシン目に前記糊層を形成するコールドグルータイプの糊の一部を侵入させた状態で綴じられている請求項2記載の冊子。
【請求項4】
前記背表紙が、前記糊層に直に接する1枚の可撓シートにより構成され、前記表表紙および前記裏表紙が、前記背表紙の可撓シートに連続する可撓シートと、この可撓シートの内面に重合させた補強シートとを備えてなるものである請求項1、2又は3記載の冊子。
【請求項5】
前記背表紙が、前記糊層に直に接する背表紙用の内可撓シートと、この内可撓シートの外面に貼着される背表紙用の外可撓シートとから構成され、前記表表紙および前記裏表紙が、前記背表紙用の外可撓シートに連続する可撓シートと、この可撓シートの内面に重合させた補強シートとを備えてなるものである請求項1、2又は3記載の冊子。
【請求項6】
複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙用の内可撓シートと、綴元側の縁部外面に前記内可撓シートの一端縁部を接合させてなる表表紙用の補強シートと、綴元側の縁部外面に前記内可撓シートの他端縁部を接合させてなる裏表紙用の補強シートとによって冊子本体を構成し、この冊子本体の外面全域に、相互に連続する表表紙用の可撓シートと、背表紙用の外可撓シートと、裏表紙用の可撓シートとを貼着している請求項5記載の冊子。
【請求項7】
前記背表紙が、前記外可撓シートと、この外可撓シートよりも薄い前記内可撓シートとからなっている請求項5又は6記載の冊子。
【請求項8】
前記冊子本体の外面全域に、相互に連続させた表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートを、水分を含有しない接着剤を用いて貼着している請求項6又は7記載の冊子。
【請求項9】
前記接着剤が、表表紙用の可撓シート、背表紙用の外可撓シートおよび裏表紙用の可撓シートの内面にドットパターンをなすように塗布されたものである請求項8記載の冊子。
【請求項10】
前記可撓シートが、紙に樹脂コーティングを施した素材である請求項4、5、6、7、8又は9記載の冊子。
【請求項11】
前記中紙が、筆記用の罫線を備えたものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の冊子。
【請求項12】
複数枚の中紙と、これら中紙の綴元を柔軟性のある糊層を介して結合する背表紙と、少なくとも表面部分全域をこの背表紙の表面部分全域にそれぞれ連続させた表表紙および裏表紙とを具備してなり、
前記糊層に裏打ちされた前記背表紙の曲げ強さが、前記中紙の中央頁を見開いた時に前記背表紙が内方へ鋭角的に屈曲変形して前記表表紙の全域と前記裏表紙の全域とを略面一に展開することができるように設定されている冊子。
【請求項13】
前記糊層に裏打ちされた前記背表紙の曲げ強さを、
前記糊層を上にして表面が平らで均一な面に置き、その上から100gfの重りを乗せたときの前記表表紙と前記裏表紙との見開き幅および前記均一面からの高さを測定し、それら見開き幅および高さを用いて算定した見開き角度が150度〜180度となる
ように設定している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の冊子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−36369(P2010−36369A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199029(P2008−199029)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)