説明

再剥離性重ね合わせシート

【課題】複数の基材を重ね合わせて、後に所定の基材を剥離させる再剥離性重ね合わせシートに関し、剥離する基材の剥離時における剥離終端部分でのカール発生を防止する。
【解決手段】下基材15から剥離する上基材31に形成される剥離剤層34を、複数の島状剥離剤層34A,34Bのパターン配置として島状剥離剤層34A,34Bの配置を表記部13Bに対応する剥離開始端から対角方向の剥離終端の領域にかけて少なくとも剥離終端の島状剥離剤層34Bとそれ以外の島状剥離剤層34Aとの単位面積あたりの形成面積の差による剥離力を大から小の少なくとも2段階に設定した単層で構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基材を重ね合わせて、後に所定の重ね合わせ面を剥離させる再剥離性重ね合わせシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、配送品を届け先に配送するにあたって、配送品に配送伝票を貼付することが一般的となっており、配送伝票は少なくとも配達票と貼付票とで構成され、配達後に配達票を持ち帰られるように、当該配達票は再剥離性接着剤により通常は接着状態で容易に分離できる構造とされる。このような配送伝票は、剥離させた配達票のカールを防止し、特に剥離終端のカールを防止して取り扱い性を向上させることが望まれている。
【0003】
従来、再剥離性重ね合わせシートとして、以下の特許文献で提案されているものがある。特許文献1は、本票と分離票とからなる表面基材と裏面基材とから構成し、分離票の裏面に、剥離力の異なる軽剥離部の層を形成し、当該軽剥離部上に重剥離部を格子状に形成した剥離層を設け、又は、重剥離部と軽剥離部とを単層で交互に形成した剥離層を設けた配送伝票が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−131582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の剥離層は、分離票の周縁部にも設けられ、当該分離票を剥離したときに剥離終端部分の重剥離部からの剥離で当該終端部分がカールを生じやすいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、剥離する基材の剥離時における特に剥離終端部分でのカール発生を有効的に防止する再剥離性重ね合わせシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、複数の基材が重ね合わされ、後に所定の基材が剥離される再剥離性重ね合わせシートであって、剥離対象であり、何れかの隅部の剥離開始端に対して対角方向の剥離終端の領域における剥離剤による剥離力を、少なくとも他の領域より小として少なくとも2段階とさせた単層の剥離剤層が形成された上基材と、貼着材層が形成されて前記上基材の剥離剤層側を接着させた下基材と、を有する構成とする。
【0008】
請求項2〜5の発明では、「前記剥離剤層は、前記剥離終端の領域部分を任意数の島状とし、前記剥離開始端から剥離終端の領域までを小形の島状とさせて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる」構成であり、
「前記剥離剤層は、任意数の同一大の島状とし、前記剥離開始端から剥離終端の領域までを疎パターンとし、当該剥離終端の領域部分を密パターンとして、剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる」構成であり、
「前記剥離剤層は、剥離剤により4辺に形成されるもので、前記剥離開始端からの両側2辺の剥離剤塗布幅に対して当該2辺以外の前記剥離終端の領域に続く2辺の塗布幅を小として当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる」構成であり、
「前記剥離剤層は、第1剥離剤層を前記剥離開始端から前記剥離終端の領域までに続く辺に形成させ、少なくとも前記剥離終端の領域部分に第1剥離剤層より剥離力が小の第2剥離剤層を形成させて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる」構成である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3の発明によれば、下基材から剥離する上基材に形成される剥離剤層を、何れかの隅部の剥離開始端と対角方向の剥離終端の領域における剥離剤による剥離力を、少なくとも他の領域より小として少なくとも2段階とさせて単層で形成されるものであり、剥離剤層を、剥離終端の領域部分を任意数の島状とし、剥離開始端から剥離終端の領域までを小形の島状とさせて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせ、又は、任意数の同一大の島状とし、剥離開始端から剥離終端の領域までを疎パターンとし、当該剥離終端の領域部分を密パターンとして、剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる構成することにより、単層とすることで製造効率が向上すると共に、上基材の剥離終端部分に対応する剥離剤層による剥離力が剥離開始端に比べて小となることから、容易に剥離させやすくなって剥離する上基材の剥離時における特に剥離終端部分でのカール発生を有効的に防止することができるものである。
【0010】
請求項4,5の発明によれば、剥離剤層を、剥離剤により4辺に形成されるもので、剥離開始端からの両側2辺の剥離剤塗布幅に対して当該2辺以外の剥離終端の領域に続く2辺の塗布幅を小として当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせ、又は、剥離剤層を、第1剥離剤層を剥離開始端から剥離終端の領域までに続く辺に形成させ、少なくとも剥離終端の領域部分に第1剥離剤層より剥離力が小の第2剥離剤層を形成させて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせる構成とすることにより、剥離剤層を島状としない場合であっても、上記同様に、単層とすることで製造効率が向上すると共に、上基材の剥離終端部分に対応する剥離剤層による剥離力が剥離開始端に比べて小となることから、容易に剥離させやすくなって剥離する上基材の剥離時における特に剥離終端部分でのカール発生を有効的に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る再剥離性重ね合わせシートの構成図である。
【図2】図1に係る再剥離性重ね合わせシートの作製概念図である。
【図3】図1に係る再剥離性重ね合わせシートにおける再剥離の状態の概念図である。
【図4】本発明に係る再剥離性重ね合わせシートの他の剥離剤層の構成概念図(1)である。
【図5】本発明に係る再剥離性重ね合わせシートの他の剥離剤層の構成概念図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。本実施形態では、発明の理解を容易とするために寸法を無視している。また、本実施形態は、再剥離性重ね合わせシートとして、配送伝票について示すが、これに限らず、重ね合わせシートにおける剥離対象の基材のカール防止が望まれる総てのものに適用可能である。また、本発明では、剥離力が大とは、接着力が強くはがすために強い力を要することを示し、剥離力が小とは、接着力が大の状態より相対的に接着力が弱く、剥がれ易い状態を示す。
【0013】
図1に、本発明に係る再剥離性重ね合わせシートの構成図を示す。図1(A)、(B)において、再剥離性重ね合わせシートの一例としての配送伝票11は、同一平面で形成される貼付票12及び配達票13により構成され、分離線14で配達票13が再剥離自在に設けられたものである。
【0014】
配送伝票11は、貼付票12及び配達票13の共通の基材となる例えば上質紙35Kgの下基材15の裏面(図面の下面)に粘着層16が形成され、剥離基材17が設けられる。当該粘着層16は、当該配送伝票11を対象物品に強接着で貼り付けるためのもので、接着剤、粘着剤の何れでもよい。そして、当該剥離基材17には後に剥がし易いようにスリット18が形成される。
【0015】
上記下基材15上にメジウム層19が形成され、当該メジウム層19上に、後述の剥離開始の目印とされる表記部に対応した糊抜き部20Aを除き、貼着材層である接着層20が形成される。当該接着層20は、ここでは、水性エマルジョン接着剤で形成される。また、貼着材層としては、これに限らず、天然ラテックスにデンプンやシリカ等の微粒状充填剤を混入させたもの等、その他接着剤(固化による接着)や粘着剤(粘性を保持しながら接着)の何れでもよい。特に水性エマルジョン接着剤を用いた場合には、上記メジウム層19によって、下基材15への水分の浸透を防止することができるものである。
【0016】
上記メジウム層19は、酸化チタンなどを含有する一般的なメジウムによって形成される。メジウムは液状インキ用のものとペーストインキ用のものとがあり、何れもインキの濃度調整や光沢付与でインキに加えられるものであるが、単体で使用される場合には防水性の特性がある。その意味では、メジウムに限らず、ニスやフッ素系コーティング剤等の防水性能を有するものであれば何れでもよい。接着層20に水性の接着剤が使用されなければ、メジウム層19は不要である。
【0017】
上記貼付票12は、例えば上質紙70Kgの貼付票基材21の表面(図面の上面)上に「貼付票」、「送り主」、「届け先」などの記入欄及び各配送伝票固有のバーコード12Aや伝達内容などの第1情報層22が印刷される。当該記入欄内には、筆記又はプリンタ(感熱、インクジェット、ノンインパクトのプリンタ)で記載される。当該貼付票12は、下基材15の対応領域(半分)の接着層20上に接着された形態となる。
【0018】
上記配達票13は、例えば上質紙70Kgの上基材31の表面(図面の上面)上に、貼付票12と同様に、印字面又は筆記面として、「貼付票」、「送り主」、「届け先」などの記入欄及び各配送伝票固有のバーコード13A、剥離開始の目印とさせる表記部13Bなどの第2情報層32が印刷される。なお、貼着材層20の形成にあたって、剥離開始端の剥離ガイドとして表記部13Bに対応する糊抜き部20Aを設けた場合を示したが、剥離開始端を意図するものであれば糊抜き部20Aに限らず弱接着部としてもよい。また、剥離開始端の角部先端を切り欠きとすることで糊抜き部20Aや弱接着部を用いない構成としてもよいものである。そして、当該記入欄には、筆記又はプリンタ(感熱、インクジェット、ノンインパクトのプリンタ)で記載される。当該上基材31の裏面(図面の下面)には収縮層33が形成される。
【0019】
上記収縮層33は、硬化にあたっての収縮特性を具備させて配達票13の中部分のカールを防止させると共に、接着層22及び低密度接着層23に水性エマルジョン接着剤を用いた場合の上基材41への水分の浸透を防止することができるものである。この収縮層43は本発明においては特に必要な要件ではない。
【0020】
また、上記収縮層33の面上に剥離剤層34が形成される。当該剥離剤層34は、例えば剥離剤として一般的な剥離ニス(紫外線硬化型であってもよい)を使用することができる。また、剥離剤層34は、複数の島状の剥離剤層をパターン配置したもので、その配置にあたってを当該表記部13Bに対応する剥離開始端から対角方向の剥離終端の領域にかけて単位面積あたりの形成面積の差による剥離力を大から小の少なくとも2段階に設定した単層で形成されたものである。
【0021】
具体的には、図1(C)に示すように、表記部13Bが剥離開始端となり、当該剥離開始端から対角方向が剥離方向Toffとなる。そして、剥離終端の領域に大形島状剥離剤層34Bが任意数パターン形成され、それ以外の剥離開始端からの領域に小形島状剥離剤層34Aがパターン形成されるものであり、小形島状剥離剤層34Aと大形島状剥離剤層34Bとは、単位面積あたりの形成面積に差を設けている。すなわち、単位面積あたり大の大形島状剥離剤層34Bでは剥離力が剥離しやすい小となるのに対し、単位面積あたり小の小形島状剥離剤層34Aでは剥離する際に当該大形島状剥離剤層34Bの領域における剥離よりも剥離させる力が必要とされる大の剥離力とさせたものである。なお、小形島状剥離剤層34A及び大形島状剥離剤層34Bの個々の形状を問うものではない。
【0022】
そして、配達票13は、剥離剤層34側が下基材15の対応領域(貼付票領域の残り半分)の接着層20上に接着された形態となる。
【0023】
ここで、図2に、図1に係る再剥離性重ね合わせシートの作製概念図を示す。図2(A)において、まず、下基材15の裏面に粘着層16が塗布されて剥離紙17を接着され、スリット18が形成される。そして、下基材15の表面上に、例えば紫外線硬化型のメジウムを塗布して紫外線を照射することでメジウム層19を形成する。このメジウム層19上に、例えば水性エマルジョン接着剤を塗布して接着層20を形成する。
【0024】
続いて、図2(B)において、貼付票12となる貼付票基材21上に第1情報層22が印刷によって形成される。一方、配達票13となる上基材31の表面上に第2情報層32が印刷によって形成される。すなわち、配送に必要な貼付票表記及び配達票表記とさせる内容や表記部13Bが印刷される。
【0025】
続いて、上基材31の裏面に紫外線硬化型のメジウムを厚さ44μmで塗布し、紫外線を照射して硬化させることで収縮層33を形成する。また、当該収縮層33の面上に例えば紫外線硬化型の剥離ニスを、例えばスクリーン印刷と同様の手法で図1(C)に示すような小形島状剥離剤層34A及び大形島状剥離剤層34Bのパターンで塗布し、紫外線を照射して硬化させることで剥離剤層34を形成する。
【0026】
そして、下基材15に形成された接着層20に、上基材31に形成された剥離剤層34を当接させて接着させ、また、貼付票基材21(貼付票12)を接着させることで、図1に示す貼付票12及び配達票13が同一平面とされた配送伝票11を作製するものである。
【0027】
そこで、図3に、図1に係る再剥離性重ね合わせシートにおける再剥離の状態の概念図を示す。図3(A)において、下基材15より配達票13が表記部13Bの部分を剥離開始端として持ち上げられながら対角方向の剥離終端に向けて剥離されていく。この場合、当該配達票13は上基材31、収縮層33及び剥離剤層34が一体となったものである。この状態では、配達票13は、下基材15上の貼着材層20に対して小形島状剥離剤層34Aとの関係で大の剥離力による剥離となる。
【0028】
そして、図3(B)に示すように、配達票13の剥離開始端から剥離が進むと、小形島状剥離剤層34Aの大の剥離力による剥離から大形島状剥離剤層34Bの小の剥離力による剥離になる。すなわち、小形島状剥離剤層34Aによる剥離力より大形島状剥離剤層34Bによる剥離力が小であることから、剥離終端に向けて当該配達票13をそれほど曲げながら剥離させる必要がなくなり、剥離終端での完全な剥離まで続けられる。これによって、剥離された配達票13の剥離終端部分での角部分においても曲げの少ない剥離が可能となって、この部分でカールすることを防止することができるものである。
【0029】
このように、少なくとも剥離終端部分の剥離剤層34Bの剥離力を、その他の領域の剥離剤層34Aより単位面積あたりの形成面積の差による剥離力より小に設定させたことにより、剥離する配達票13の剥離時における剥離終端部分でのカール発生を防止することができるものである。また、剥離剤層34全体を単層として同一の剥離剤を使用することで、一工程で形成することができ、前述の特許文献1記載の発明と比較して作製にあたって製造効率を向上させることができるものである。さらに、特許文献1記載の発明が当該剥離層が軽剥離部と重剥離部との2種類の剥離剤が使用されているのに対して、上記実施形態の発明は1種類の剥離剤でよいことから、配送伝票の作製にあたって少なくとも剥離剤の2度の塗布工程を必要とせずに製造効率を向上させることができるものである。
【0030】
次に、図4及び図5に、本発明に係る再剥離性重ね合わせシートの他の剥離剤層の構成概念図を示す。図4(A)は、各島状の剥離剤層34Cを同一大とし、剥離方向Toffの剥離開始端から剥離終端の領域までを疎パターン41で形成させ、剥離終端の領域部分を密パターン42で形成させて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の2段階とさせたものである。
【0031】
また、図4(B)は、図4(A)に示す剥離終端の領域部分をベタ状の島状剥離剤層34Dとしたもので、各島状の剥離剤層34Cは図4(A)と同様として当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の2段階とさせたものである。
【0032】
このように、剥離開始端から剥離終端までの剥離剤層の単位面積あたりの形成面積の差を図4(A)のように同一大によるパターンの疎密で設定し、また、図4(B)のように剥離終端の領域部分をベタ状に設定することによっても剥離する配達票13の剥離時における剥離終端部分でのカール発生を防止することができるものである。
【0033】
続いて、図5(A)は、剥離剤層51を、4辺に剥離剤により帯状に形成させたもので、剥離開始端からの両側2辺となる剥離剤層51Aが剥離剤塗布幅aで形成されると共に、当該2辺以外の剥離終端の領域に続く2辺となる剥離剤層51Bが剥離剤塗布幅bとして当該剥離剤層51Aの塗布幅aより小(a>b)で形成される。例えば、配達票13の寸法が横100mm×縦92mmの場合として、剥離剤層51Aの塗布幅aを5mmとし、剥離剤層51Bの塗布幅bを3mmとする。そして、剥離剤層51の内側における剥離終端の領域部分を含む領域に、剥離力が当該剥離剤層51(51A,51B)の剥離力より小の剥離剤層52を形成させることで、当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の2段階とさせたものである。
【0034】
この場合、剥離剤層51,52の形成として、同一の剥離剤を使用して剥離開始端から剥離終端の領域までの塗布面積を異ならせることで形成面積あたりの剥離力を大から小の2段階とさせるものである。他に、同一の剥離剤を使用して剥離剤層51を30パーセント網点状で例えばスクリーン印刷と同様の手法により形成し、剥離剤層52を50パーセント網点状で例えばスクリーン印刷と同様の手法で形成することによって、塗布面積と併せて塗布密度を異ならせることで剥離開始端から剥離終端の領域部分の剥離力を大から小の2段階とさせるものである。剥離剤層51,52を網点状で形成することは、剥離力の調整を容易とすることができるものである。なお、上記網点の比率は、剥離剤の種類に応じて適宜設定されるものである。さらに、剥離剤層51を剥離力の大の剥離剤で形成し、剥離剤層52を剥離力の小な剥離剤で形成することによっても同様である。
【0035】
図5(B)は、剥離剤層を、剥離終端の領域部分を除く4辺に剥離剤により帯状に同一幅で形成させたもので、剥離開始端から剥離終端の領域までに続く辺に第1剥離剤層51Aを形成させ、当該第1剥離剤層51の内側及び剥離終端の領域部分に第1剥離剤層51Aより剥離力が小の第2剥離剤層52Aを形成させて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせたものである。
【0036】
この場合、剥離剤層51A,52,52Aの形成として、同一の剥離剤を使用して剥離剤層51Aを30パーセント網点状で例えばスクリーン印刷と同様の手法により形成し、剥離剤層52,52Aを50パーセント網点状で例えばスクリーン印刷と同様の手法で形成することによって、塗布密度を異ならせることで剥離力を大から小の2段階とさせるものである。また、剥離剤層51Aを剥離力の大の剥離剤で形成し、剥離剤層52,52Aを剥離力の小な剥離剤で形成することによっても同様である。
【0037】
図5(A)、(B)のように、剥離開始端側が剥離剤層51では剥離力が剥離終端の領域部分より大であり、剥離終端の領域部分では剥離力が小であることから、剥離する際に、その終端で容易に剥離することが可能となり、剥離する配達票13の剥離時における剥離終端部分でのカール発生を防止することができるものである。また、剥離剤層51,52を単層として同一の剥離剤を使用した場合には、一工程で形成することができると共に、1種類の剥離剤でよく、前述の特許文献1記載の発明と比較して作製にあって製造効率を向上させることができるものである。
【0038】
なお、上記各実施形態では、それぞれの剥離剤層の剥離力を剥離開始端から剥離終端にかけて2段階とさせた場合を示したが、それ以上の多段階で剥離力を調整してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の再剥離性重ね合わせシートは、再剥離可能に複数の基材を接着させた多層シートに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
11 配送伝票
12 貼付票
13 配達票
14 分離線
15 下基材
16 粘着層
17 剥離基材
19 メジウム層
20 接着層
21 貼付票基材
22 第1情報層
31 上基材
32 第2情報層
33 収縮層
34,51,52 剥離剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基材が重ね合わされ、後に所定の基材が剥離される再剥離性重ね合わせシートであって、
剥離対象であり、何れかの隅部の剥離開始端に対して対角方向の剥離終端の領域における剥離剤による剥離力を、少なくとも他の領域より小として少なくとも2段階とさせた単層の剥離剤層が形成された上基材と、
貼着材層が形成されて前記上基材の剥離剤層側を接着させた下基材と、
を有することを特徴とする再剥離性重ね合わせシート。
【請求項2】
請求項1記載の再剥離性重ね合わせシートであって、前記剥離剤層は、前記剥離終端の領域部分を任意数の島状とし、前記剥離開始端から剥離終端の領域までを小形の島状とさせて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせることを特徴とする再剥離性重ね合わせシート。
【請求項3】
請求項1記載の再剥離性重ね合わせシートであって、前記剥離剤層は、任意数の同一大の島状とし、前記剥離開始端から剥離終端の領域までを疎パターンとし、当該剥離終端の領域部分を密パターンとして、剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせることを特徴とする再剥離性重ね合わせシート。
【請求項4】
請求項1記載の再剥離性重ね合わせシートであって、前記剥離剤層は、剥離剤により4辺に形成されるもので、前記剥離開始端からの両側2辺の剥離剤塗布幅に対して当該2辺以外の前記剥離終端の領域に続く2辺の塗布幅を小として当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせることを特徴とする再剥離性重ね合わせシート。
【請求項5】
請求項1記載の再剥離性重ね合わせシートであって、前記剥離剤層は、第1剥離剤層を前記剥離開始端から前記剥離終端の領域までに続く辺に形成させ、少なくとも前記剥離終端の領域部分に第1剥離剤層より剥離力が小の第2剥離剤層を形成させて当該剥離開始端から剥離終端にかけて剥離力を大から小の少なくとも2段階とさせることを特徴とする再剥離性重ね合わせシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−28050(P2013−28050A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165073(P2011−165073)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)