説明

再加熱、色および明澄性が改善された、アルミニウム/アルカリまたはアルカリ/チタンを含有するポリエステル

a)アルミニウム原子;およびb)アルカリ土類原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物残基,例えばリチウム原子;およびc)チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む粒子を含むポリエステル組成物であって、粒子がポリエステル組成物の再加熱速度を改善する、ポリエステル組成物である。ポリエステルポリマー組成物はまた、リン触媒不活性化剤/安定剤を含むことができる。ポリエステル組成物および該組成物から形成される物品,例えばボトルプレフォームおよび延伸ブロー成形ボトルは、低ヘイズ、高L*、3未満のb*を維持し、低レベルのアセトアルデヒドを有しつつ、改善された再加熱速度を有する。ポリエステルポリマーを形成するための方法において、ポリマー溶融物は、溶融相プロセスにおいて添加されるかインジェクション成形機または押出機内でポリマーに添加される粒子c)とともに、a)およびb)の存在下で重縮合させる。ポリエステルポリマー組成物は、固相重合を回避しつつ溶融相から高IVに形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、再加熱速度、明澄性および色が改善されたポリエステルポリマーに関し、そしてより詳細には、チタンを添加した、ポリマーのヘイズを増大させることなく再加熱速度を増大させかつポリマーの黄色色相をなくすアルミニウムおよび1種以上のアルカリ土類金属またはアルカリの金属または化合物によって触媒されたポリエステルポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
再加熱ブロー成形プロセスにおいては、優れた色および明澄性を有しかつ改善された再加熱速度も有するポリエステルレジン組成物に対する継続的な要求が存在し続けている。ポリエステルレジン、および特にポリエチレンテレフタレート(PET)の色および明澄性が悪い問題には種々の理由がある。第1に、典型的にはレジンの再加熱速度を増大させるために使用する赤外吸収化合物、例えばカーボンブラック、アンチモン金属、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、不活性鉄化合物、スピネル顔料、および赤外吸収色素は、ヘイズレベルの増大によって、および/または物品が暗い外観(すなわちL*値の低下)を有する原因となることによって、PET容器の目視外観において負の効果を有する傾向がある。第2に、典型的にはPET用の重縮合触媒として用いるアンチモン化合物は、レジンの色および明澄性を低下させる不溶性のアンチモン錯体を形成する傾向があり、または灰色を与える金属形態に還元される。第3に、PETを調製するために用いる触媒はポリマー中での分解反応も触媒し、従って、ポリマーの黄色度を増大(すなわちより高いb*値)させる微量不純物を形成する可能性がある。
【0003】
ポリマーに添加できる吸収化合物の量は、ポリマーの視覚的な特性、例えば明度(これはL*値として表現できる)、色(これはa*値、b*値として測定および表現される)、およびヘイズ(以下でさらに説明するような)に対するその影響によって制限される。
【0004】
プレフォームにおける明度および色の許容可能なレベルを保持してブローされた物品を得るために、再加熱添加剤の量を低減する場合があり、これが転じて再加熱速度を低下させる。よって、ポリエステルレジンに添加する再加熱添加剤の種類および量を調整して再加熱速度の増大と許容可能な明度および色レベルの保持とを所望バランスにすることができる。
【0005】
美観上の理由により、ポリエステル飲料容器、特に水用途用の容器においては青色味が所望される場合がある。青色味を有するポリマー物品は、より人間の目に訴える傾向があり、そして従ってこれらの用途において一般的に好まれる。よって、CIE色度系におけるb*値として測定できる黄色は、消費者包装において特に望ましくない色である場合があり、青味剤,例えばコバルトおよび有機トナーを用いて消費者包装の青色味を増大させ、よってb*値を黄色から青色に(またはより高いb*値からより低く)シフトさせ、より魅力的な包装を作り出してきた。熱可塑性組成物中の再加熱添加剤の濃度が増大するに従い、同時に、再加熱速度を増大させ、かつ黄色度の増大等によって色および明度が低下する速度を低減することが理想的である。反応速度を改善する高度に活性な触媒は問題がある。これらはまた、黄色を与える分解反応を加速するからである。チタン系重縮合触媒は、典型的には高度に活性であり黄色味をポリマーに与えることが公知である。黄色味を制御するためには、少量のチタン触媒を低反応温度で用いてポリエステルポリマーを形成する。このような予防策によっても、ポリマーの黄色味はある程度まで増大する。リチウムおよびアルミニウムの触媒で触媒されたポリエステルレジンもまた高度に活性であるが通常黄色味をポリマーに与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
黄色味が低いかまたはより中間色のb*色であり、低ヘイズで良好な再加熱速度を有しかつ高度に活性な触媒によって形成されるポリエステルレジンを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
3.発明の概要
本発明のポリエステル組成物は、ポリエステルポリマーと、a)アルミニウム原子;およびb)アルカリ土類原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物残基;およびc)チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む粒子とを含み、前記粒子はポリエステル組成物の再加熱速度を改善する。
【0008】
(i)遷移元素金属、
(ii)遷移金属合金、
(iii)ホウ素、炭素もしくは窒素の遷移金属化合物、または
(iv)これらの組合せ
を含む粒子を、ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに、またはその後の任意の時点で添加することにより得られるポリエステルポリマーを含む組成物もまた提供され、粒子中の該遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含み、かつ、アルミニウム原子および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマー溶融物を重縮合することによってポリエステルポリマーが得られる。
【0009】
ポリエステルポリマー溶融物をアルミニウム原子、および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下で重縮合させること、ならびに、重縮合の前、最中または後に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む粒子を添加することを含むポリエステルレジンを製造するための方法も提供される。
【0010】
粒子は、好ましくは、ホウ素、炭素および窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属、および遷移金属合金を含み、遷移原子は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
4.発明の詳細な説明
本発明は、以下の発明の詳細な説明および与えられる例を参照することでより容易に理解できる。プラスチック物品を加工するための具体的な方法および加工条件は変動する場合があるため、本発明は記載される具体的な方法および条件に限定されないことを理解すべきである。種々の態様により1つ以上の利点を実現できるが、特許請求の範囲の発明はこれらの利点に限定されず、全ての場合で全ての利点が得られる必要もないことが更に理解される。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲で使用する単数形「a」「an」「the」および「metal」は、明確な逆の特記がない限り複数の指示対象を含む。例えば、熱可塑性「preform(プレフォーム)」「container(容器)」または「bottle(ボトル)」の加工への言及は、複数の熱可塑性のプレフォーム、物品、容器またはボトルの加工を含むことが意図される。ある温度でまたは触媒を用いて加工することは、1種または複数種の温度または触媒を含むことを意味する。金属を含む粒子は、1種以上の金属を含む粒子を含む。
【0013】
「comprising」または「containing」は、組成物中または物品中に存在しなければならない、少なくとも名前の挙がった化合物、成分、粒子等を意味するが、他の化合物、材料、粒子等の存在は、他のこのような化合物、材料、粒子等が名前の挙がったものと同じ機能を有する場合であっても排除されない。
【0014】
遷移金属と併せて使用する「atoms」は、物質のポリマーまたは組成物に添加されるかこれらの中に存在するかによらず、任意の酸化状態、任意のモルホロジー状態、任意の構造的状態、および任意の化学状態を採る遷移金属原子を意味する。
【0015】
本明細書で用いる「d50粒子サイズ」はメジアン直径であり、体積の50%が、記載されるd50値よりも大きい粒子で構成され、そして体積の50%が、記載されるd50値よりも小さい粒子で構成される。本明細書で用いるメジアン粒子サイズは、d50粒子サイズと同一である。
【0016】
この説明を通じて記載される固有粘度(It.V.)値は、25℃、60/40wt/wt フェノール/テトラクロロエタン中で測定されるインヘレント粘度(Ih.V.)から算出した場合のdL/g単位で記載している。インヘレント粘度は、測定された溶液粘度から算出される。以下の等式はこれらの溶液粘度測定、および後続のIh.V.の計算およびIh.V.からIt.V.への計算を説明する。
【0017】
ηinh=[ln(ts/t0)]/C
(式中、
ηinh=フェノール60質量%および1,1,2,2−テトラクロロエタン40質量%の0.5g/100mlのポリマー濃度における25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
s=キャピラリーチューブを通る試料フロー時間
0=キャピラリーチューブを通る溶媒ブランクフロー時間
C=グラム毎100mL溶媒(0.50%)の単位でのポリマーの濃度
【0018】
固有粘度は、所定粘度のポリマーの無限希釈における極限値である。これは以下の等式:
【0019】
【数1】

【0020】
(式中、
ηint=固有粘度
ηr=相対粘度=ts/t0
ηsp=比粘度=ηr−1
によって規定される。
【0021】
機器の較正は、標準の対照物質を3重に試験すること、および次いで適切な方程式を適用して「許容」Ih.V.値を生成することを含む。較正のために用いる3つの値は0.010の範囲内であるのがよい;そうでない場合、この範囲内の3つの一貫した結果が得られるまで問題を訂正しかつ標準の試験を繰り返す。
【0022】
較正因子=対照物質の許容Ih.V./3重の評価の平均
【0023】
各試料の修正されていないインヘレント粘度(ηinh)は、Viscotek Model Y501 Relative Viscometerにより以下の等式:
ηinh=[ln(P2/KP1)]/C
(式中、
2=キャピラリーP2内の圧力
1=キャピラリーP1内の圧力
ln=自然対数
K=ベースライン読取値から得られる粘度定数
C=グラム毎100mL溶媒の単位でのポリマーの濃度
を用いて算出する。
【0024】
標準対照物質による較正に基づく修正されたIh.V.は以下:
修正されたIh.V.=算出されたIh.V.×較正因子
の通り算出する。
【0025】
固有粘度(It.V.またはηint)は、以下のBillmeyer等式:
ηint=0.5[e0.5×修正されたIh.V.−1]+(0.75×修正されたIh.V.)
を用いて評価できる。
【0026】
これに代えて、It.V.は、ASTM D 5225−98に従って、IVを測定するための差圧粘度計を用いて測定される上記の溶媒および濃度を用いて測定できる。
【0027】
本発明のポリエステル組成物が再加熱特性を有するという場合には、例えば、同様の赤外線加熱、または放射線に露出された際に、問題の粒子を有さない同じポリエステルポリマー組成物と比べて、問題の粒子を含む組成物が、より早く再加熱(再加熱速度が増大)するか、または再加熱エネルギーがより少ない(再加熱効率が増大)か、または両者であることを意味する。再加熱速度の便宜的な指標は、Reheat Improvement Temperature(RIT)である。RITは、再加熱添加剤を有する試料の表面温度を測定し、同一条件下でのエネルギー源への露出後に再加熱添加剤を有さない他は同一である組成物を目標とした試料の表面温度を差引くことにより評価する。
【0028】
本発明のポリエステル組成物が低減された黄色度を有するというとき、または、窒化チタン粒子が青味剤として作用するというときは、得られる組成物がより黄色でなく、もしくはより青色であり、もしくは両者であると思われること、または、本明細書で更に説明する三刺激CIE L***スケールを用いて測定したときのb*値が、本発明の窒化チタン粒子の不存在下の場合よりも低いことを意味する。例えば、b*値は、少なくとも1単位、または少なくとも2単位、または少なくとも3単位、低減できる。
【0029】
本発明のポリエステル組成物がUVブロッキング効果を有するというときは、紫外光の効果に対して組成物が内容物に増大した抵抗性を与えることを意味する。この現象は、UV光の存在下で時間とともに分解する色素等の内容物の目視検査によって評価できる。これに代えて、本発明のポリエステル組成物のUVブロッキング効果は、UV−VIS測定によって、例えばHP8453 Ultraviolet−Visible Diode Array Spectrometerを用いることにより、波長200nmから460nmの範囲、または可視光の低端で行って測定できる。この設備を用いた効果的な比較の指標は、370nmでのUV透過率の百分率の低減であり、本発明のポリエステル組成物は、本発明の窒化チタン粒子を有さないポリエステル組成物と比較した際に、典型的には少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも20%の低減を得る。例えば、変性されていないポリマーが透過率約80%を示す場合、変性されたポリマーは、透過率約60%を示し、低減は25%の低減となる。組成物上に入射するUV光の一部をブロックするためのポリエステル組成物の能力の任意の他の好適な指標を同様に用いることができる。好適な試料厚みは、ボトル側壁厚みを近似する目的で、例えば、約0.012インチ厚、または約0.008から約0.020インチ厚であることができる。
【0030】
「ポリエステルポリマー」は、任意の熱可塑性ポリエステルポリマーである。本発明のポリエステル熱可塑性ポリマーは、該熱可塑性ポリマーが液体(溶融)相中にある間は相当量の秩序構造を有さない点で液晶ポリマーおよび熱硬化性ポリマーとは区別され、これらは再溶融および成形物品へ再成形でき、そして液晶ポリマーおよび熱硬化性ポリマーは容器を形成するための型内での包装または延伸等の意図する用途に対して好適でない。
【0031】
ポリエステルポリマーは、ポリマー鎖中のモノマー単位がブロック式に配列されるよりもランダムに配列されるように、望ましくはランダムポリマーである。
【0032】
ポリエステルポリマーはPET、PEN、またはこれらのコポリマーもしくは混合物であることができる。好ましいポリエステルポリマーは、ポリエチレンテレフタレートである。本明細書で用いるポリアルキレンテレフタレートポリマーまたはポリアルキレンナフタレートポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート単位またはポリアルキレンナフタレート単位を、ポリマー中の単位の総モル数基準でで、それぞれ少なくとも60モル%の量で有するポリマーを意味する。よって、ポリマーは、反応混合物に添加される含有成分のモル%によって測定したときのエチレンテレフタレート単位またはエチレンナフタレート単位を、少なくとも85モル%、または少なくとも90モル%、または少なくとも92モル%、または少なくとも96モル%の量で含むことができる。よって、ポリエチレンテレフタレートポリマーは、エチレンテレフタレート単位およびアルキレングリコールまたはアリールグリコールに由来する他の単位と脂肪族ジカルボン酸またはアリールジカルボン酸とのコポリマーを含むことができる。
【0033】
ポリエチレンテレフタレートの特定の場合において言及するが、ポリマーはポリアルキレンナフタレートポリマーであることもできることを理解すべきである。
【0034】
ポリエチレンテレフタレートは、少なくとも60モル%のテレフタル酸またはC1−C4ジアルキルテレフタレート、または少なくとも70モル%、または少なくとも85モル%、または少なくとも90モル%、および多くの用途については少なくとも95モル%、を含む二酸またはジエステル成分と、少なくとも60モル%のエチレングリコール、または少なくとも70モル%、または少なくとも85モル%、または少なくとも90モル%、および多くの用途については少なくとも95モル%、を含むジオール成分とを反応させることによって製造できる。二酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコールであることが好ましい。1種または複数種の全ての二酸成分についてのモル百分率は全体で100モル%であり、1種または複数種の全てのジオール成分についてのモル百分率は全体で100モル%である。
【0035】
ポリエステルペレット組成物は、ポリアルキレンテレフタレート、PENまたはこれらの混合物の混合剤を、ポリカーボネートおよびポリアミド等の他の熱可塑性ポリマーとともに含むことができる。多くの場合、ポリエステル組成物が半分を超える主要部としてポリアルキレンテレフタレートポリマーまたはPENポリマーを、または、ポリマーの質量(フィラー、化合物、無機化合物もしくは粒子、繊維、衝撃改質剤、または不連続相を形成する場合がある他のポリマーを除く)基準で、少なくとも80wt.%、または少なくとも95wt.%の量で含むことが好ましい。テレフタル酸由来の単位に加えて、本発明のポリエステルの酸成分は、1種以上の他のジカルボン酸,例えば、好ましくは8から14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは4から12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、または好ましくは8から12個の炭素原子を有するシクロ脂肪族ジカルボン酸に由来する単位で変性または置換されていてもよい。酸成分に有用なジカルボン酸単位の例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロへキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等に由来する単位であり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
【0036】
用語「ジカルボン酸」は、これらの酸の対応の酸無水物、エステル、および酸クロリドの使用を含むことを理解すべきである。
【0037】
エチレングリコールに由来する単位に加え、本発明のポリエステルのジオール成分は、好ましくは6から20個の炭素原子を有するシクロ脂肪族ジオールおよび好ましくは2から20個の炭素原子を有する脂肪族ジオールを含む追加のジオールに由来する単位で変性または置換されていてもよい。このようなジオールの例としては、ジエチレングリコール(DEG);トリエチレングリコール(TEG);1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM);1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−へキサンジオール;3−メチル−2,4−ペンタンジオール;2−メチル−1,4−ペンタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール;2−エチル−1,3−へキサンジオール;2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,5−ヘキサンジオール;1,6−へキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,3−へキサンジオール;1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン:2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン;2,2−ビス(3−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン;および2,2−ビス(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0038】
ポリエステルポリマーは、イソフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、またはこれらの組合せで、0モル%超で15モル%以下、または10モル%以下、または8モル%以下の量で変性されていることができる。ジオール成分は、ジエチレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、またはこれらの組合せで、15モル%以下、または10モル%以下、または8モル%以下、または5モル%以下の量で変性されていることができる。
【0039】
ポリエステルポリマーは、望ましくは、アルキレンアリール繰返し単位,例えば、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレート繰返し単位をポリマー鎖中に含む。これらの繰返し単位のより詳細な例としては、エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、およびトリメチレンテレフタレートが挙げられる。より好ましいのは、ポリエステルポリマー中の100モル%のカルボン酸成分残基および100モル%のヒドロキシル成分残基基準で、
(i)テレフタル酸、テレフタル酸の誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸の誘導体、またはこれらの混合物の残基を少なくとも80モル%、または少なくとも90モル%、または少なくとも95モル%含むカルボン酸成分、および
(ii)エチレングリコールまたはプロパンジオールの残基を少なくとも80モル%、または少なくとも90モル%、または少なくとも94モル%含むヒドロキシル成分
を含むポリエステルポリマーである。
【0040】
本発明のポリエステル組成物は、ポリエステルポリマーと:
a)アルミニウム原子;および
b)アルカリ土類原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物残基;および
c)チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む粒子であり、前記粒子がポリエステル組成物の再加熱速度を改善するもの
とを含む。
【0041】
(i)遷移元素金属、
(ii)遷移金属合金、
(iii)ホウ素、炭素または窒素の遷移金属化合物、または
(iv)これらの組合せ
を含む粒子を、ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに、またはその後の任意の時点で添加することによって得られるポリエステルポリマーを含む組成物もまた提供され、ここで粒子中の遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含み、そしてポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマー溶融物をアルミニウム原子および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下で、重縮合させることによって得られる。
【0042】
粒子は、これらが分布するポリエステル組成物の再加熱特性を改善する。本発明の組成物中の再加熱粒子は、好ましくは、ホウ素、炭素および窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属、および遷移金属合金を含み、ここで遷移原子は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む。全体を通じて用いる粒子は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、およびニッケルの群に含まれる遷移金属として広く規定され、これらの存在は、元素分析(AAまたはICPの技術)またはX線蛍光分光法(XRF)等によって分析的に検出できる。
【0043】
第1の態様において、粒子は、粒子の不存在下で形成される同じ組成物と比べて、より低い再加熱エネルギー(再加熱効率が増大)で、既知時間において他が実現するよりも速く(再加熱速度が増大)またはより高温まで再加熱されるポリエステル組成物を与える。このような粒子は、同じ遷移金属原子を有するが顕著な再加熱速度の改善を与えない状態にある粒子に対して有用な差異を与える。典型的には、チタン触媒が再加熱速度における改善を与えることは公知でない。
【0044】
好ましい態様において、粒子はまた、重縮合の間にポリマー溶融物のIt.V.を0.10dL/gを超えて、より好ましくは0.075dL/gを超えて、または0.05dL/gを超えて増大させる原因とはならない。最も好ましい態様において、粒子は、ポリエステルポリマーを形成するための重縮合反応の開始時に添加された場合に、ポリマー溶融物のIt.V.における任意の統計的に顕著な増大の原因とはならない。ポリマーのIt.V.における統計的に顕著な増大は、ポリマー試料毎の2測定での0.04dL/gの増大(既知の試験標準偏差の0.006、α=0.05およびβ=0.90)によって見ることができる。
【0045】
他の態様において、ポリエステルポリマー組成物中に存在する粒子は、遷移元素金属、遷移金属の合金、または炭素、窒素、または臭素の原子の遷移金属化合物(例えば、遷移金属の炭化物、窒化物またはホウ化物)を、溶融相重合プロセスに添加することによって得られる残基である。溶融相プロセスに添加されるこれらの粒子は、触媒であってもそうでなくてもよく、そして好ましくは触媒でなく、ポリマー溶融物のIt.V.は、0.10dL/gを超えて増大しない。ポリマー試料毎の2測定でのIt.V.における0.04dL/g未満の増大は、統計的に顕著ではない(既知の試験標準偏差が0.006、α=0.05およびβ=0.90)。
【0046】
全体を通じて用いる語句「金属」は、酸化状態を暗示するものではなく、金属は任意の酸化状態を採ることができる。しかし「元素」は遷移金属がゼロ酸化状態を採ることを意味する。「合金」中の金属のいずれかの少なくとも一部は同様にゼロ酸化状態を採る。合金材料の量および性質は、合金が再加熱能力をポリマー組成物に与える限り特に臨界的ではない。用語「遷移元素」は従来元素21から29、39から47、57から79、および89からの全公知元素を含むように規定されているが、本明細書における遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せの群からのものとして規定されることになる。好ましい遷移金属は、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケルおよびジルコニウム、そして特に好ましくは元素のチタン、チタン合金、チタン化合物、および元素のニッケル、タングステンおよびモリブデンである。チタンおよびチタン合金としては、参照により本明細書に組み入れられる“Titanium and Titanium Alloys”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.24,4th ed.,(1997)pp.186−224の導入に記載されるものが挙げられる。
【0047】
特許請求の範囲の発明に従って有用な粒子は、質量パーセントでの主要部として遷移金属および典型的な不純物を含む。好ましくは、1種以上の遷移金属の累積モル量は、粒子基準で50%超である。アルファ合金、ベータ合金またはアルファ−ベータ合金混合物をもたらす合金が含まれる。よって、本発明に係る有用な合金は、単独相合金または複数相合金の形状であることができる。重要なα−安定化合金元素としては、例えば、アルミニウム、スズ、およびジルコニウム、ならびに侵入型合金元素の酸素、窒素および炭素が挙げられる。重要なβ−安定化合金元素としては、バナジウム、モリブデン、タンタル、およびニオブ(全てβ同形)ならびにマンガン、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銅およびケイ素(全てβ共析晶)が挙げられる。
【0048】
更に、本発明に係る金属チタン合金粒子中に存在する1つまたは複数の相は、非晶相、固体溶液相、または金属間化合物相の固体溶液の形状であることができ、そしてこれにより、チタンがより高い酸化状態を有するもの等の遷移金属化合物を主要部として含む組成物とは区別できる。しかし、繰り返すが、合金が実質的にこれらの金属特性を保持する限り、合金は合金化プロセスによりもたらされる遷移金属の化合物を無論含むことができる。
【0049】
従って、本発明に係る有用な合金としては、遷移金属の1種および1種以上の他の金属または非金属または他の遷移金属が溶融時等に密に混合され、これらが一緒に融合および互いに溶解して、少なくとも一部で固体溶液を形成するものが挙げられる。無論、約50wt.%以下で存在する測定可能な量の炭化物、窒化物または酸化物を有する合金が実質的な金属特性を保持する限り、このような合金を排除することは意味せず、そしていずれの場合も、存在する遷移金属は、合金中の化合物の存在に関わらずその金属特性を実質的に保持する。
【0050】
25%以上(up 25%)または最大50wt.%未満の量の遷移金属と合金化できる金属としては、遷移金属の任意のものの互いの組合せ、および/またはアルミニウム、スズ、マンガン、ゲルマニウム、鉄、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、または銅の1種以上、特にアルミニウム、スズ、またはジルコニウムのチタンとの組合せが挙げられる。アルミニウムは、存在する場合、例えば約7.5wt.%以下、または約27wt.%以下、または約0.5wt.%から約7.5wt.%、または約0.5wt.%から約27wt.%の量であることができる。本発明に係る使用に好適なチタン合金としては、参照により本明細書に組み入れられるASTM B265“Titanium and Titanium Alloy Strip,Sheet,and Plate”に記載されるものが挙げられる。
【0051】
合金としては、少量,例えば最大約10wt.%、またはそれ以上で存在できる金属および非金属として:金、銀、銅、炭素、酸素、窒素またはケイ素の1種以上が挙げられる。従って合金は、このような合金が少なくとも20wt.%、または少なくとも30wt.%、または少なくとも50wt.%、または少なくとも60wt.%、または少なくとも90wt.%、または少なくとも95wt.%の遷移金属の1種、特にチタンを、例えば元素分析によって評価した場合に含む限り、本発明に係る使用に好適である。
【0052】
炭素、窒素またはホウ素の原子とコンパウンドされた遷移金属もまた提供される。これらの遷移金属化合物においては、より小さい非金属原子が最密金属原子の格子間を占有した状態で、比較的大きい遷移金属原子がホスト格子として作用すると考えられる。イオン性化合物または共有結合性化合物とは逆に、理想的なストイキオメトリーは一般的にこれらの遷移金属化合物では見出されない。このような化合物の組成は、原子価結合よりもむしろ幾何学的な充填配列の作用である。これらの化合物は一般的に顕著な硬度、高融点、および化学的安定性を特徴とし、典型的にはこれらの電気的、磁気的、および光学的な特性において金属的である。しかし、ホウ素、窒素、および炭素の遷移金属化合物はまた、共有結合した化合物を含む。特許請求の範囲の発明に有用な遷移金属化合物の幾つかは、“Transition Metal Carbide and Nitrides”L.E.Tothによる,Academic Press,1971,特にpp.1−28に更に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み入れられる。遷移金属窒化物もまた、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 17,4th ed.,(1996)pp.108−127,および特にpp.108−114に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み入れられる。遷移金属炭化物は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 4,4th ed.,(1992)pp.841−848,および特にpp.844−847に更に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み入れられる。遷移金属ホウ化物は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 4,4th ed.,(1997)pp.423−430に更に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0053】
本発明の遷移金属は、可能におよび典型的には金属酸化物被膜の細かい層で被覆され、そして粒子がポリマー組成物の再加熱速度を増大させる能力に対して酸化被膜が実質的に影響しない限り本発明に従い有用である。
【0054】
遷移金属を含む粒子は、遷移金属が主としてより高い酸化状態で存在するもの等の溶融相プロセスに添加される非金属化合物から区別でき、チタン(II)、チタン(III)、およびチタン(IV)化合物または触媒として一般的に使用されてイオン結合を形成する錯体が挙げられる。例えば、縮合触媒として使用できるチタン化合物,例えばチタンアルコキシドは、元素金属、合金、または炭素、窒素およびホウ素の化合物から区別できる。本発明の遷移金属化合物は、これらの近似の実験式で与えられ、従って、窒化チタン(TiN,Ti2N)、ホウ化チタン(TiB,TiB2,Ti2B,Ti25)、炭化チタン(TiC)、窒化バナジウム(VN,V2N)、ホウ化バナジウム(VB,VB2,V23,V32)、炭化バナジウム(VC,V2C)、窒化ジルコニウム(ZrN,Zr34)、ホウ化ジルコニウム(ZrB,ZrB2,ZrB12)、炭化ジルコニウム(ZrC)、窒化ニオブ(NbN,Nb2N,Nb43,Nb36,Nb45)、ホウ化ニオブ(NbB,NbB2)、炭化ニオブ(NbC,Nb2C)、窒化ハフニウム(HfN,Hf32,Hf43)、ホウ化ハフニウム(HfB,HfB2)、炭化ハフニウム(HfC)、窒化タンタル(TaN,Ta2N,Ta35,Ta56,Ta45)、ホウ化タンタル(TaB,Ta34,Ta32)、炭化タンタル(TaC,Ta2C)、窒化モリブデン(MoN,Mo2N)、ホウ化モリブデン(MoB,Mo2B,MoB2,Mo25)、炭化モリブデン(MoC,Mo2C)、窒化タングステン(WN,W2N)、窒化タングステン(WB,WB2,W2B,W25)、炭化タングステン(WC,W2C)、窒化クロム(CrN,Cr2N)、ホウ化クロム(CrB,CrB2,Cr53,Cr2B,Cr34,CrB4)、炭化クロム(Cr32,Cr73)、窒化鉄(Fe4N,Fe2N)、ホウ化鉄(FeB,Fe2B)、炭化鉄(Fe3C)、窒化ニッケル(NiN,Ni4N,Ni3N,Ni32)、ホウ化ニッケル(NiB,Ni2B,Ni3B,Ni43)、および炭化ニッケル(Ni3C)が挙げられる。
【0055】
従って、一態様においては、遷移金属化合物は1種以上の窒化チタンを含む。窒化チタンは、チタンと窒素との化合物であってチタン原子と窒素原子との間にほぼ1対1の対応があるものと一般的に考えられている。しかし、立方NaCl構造を有する窒化チタンは、アニオンまたはカチオンの欠乏、例えば相対量約TiN0.42から約TiN1.16(この化合物の全ては本発明の範囲内に入ることが意図される)の幅広い範囲に亘って安定であることが金属学分野で公知である。窒化チタンの態様において、粒子は窒化チタンを質量での主要部として含み、そして粒子の残余は元素チタン、または、粒子中の窒素の平均量が実験式に記載されるよりも質量で更に低くなるように溶解した少量の窒素を伴うチタンであることができる。
【0056】
以下の利点:内部に粒子が分布するポリエステル組成物の再加熱特性を改善すること;内部に粒子が分布するポリエステル組成物の青味を増大させるための青味剤としての;または、内部に粒子が分布するポリエステル組成物のUVブロッキング特性を改善すること、の1つ以上を得るために窒化チタン粒子を使用できる。無論、本発明のポリエステル組成物は今説明したものの他に更なる利点を有することができ、そして本発明はこのような更なる利点を同様に包含することを意図する。
【0057】
他の態様において、遷移金属化合物は、1種以上のホウ化チタンを含む。ホウ化チタンの最も一般的な相はTiB2であり、これは六方晶構造を有する灰色の結晶性固体である。しかし、ホウ化チタンはアニオンまたはカチオンの欠乏の範囲に亘って安定であり、この化合物の全ては本発明の範囲内に入ることが意図される。実際に、本発明に係る粒子がホウ化チタンを質量での主要部として含む限り、粒子の残余は元素チタン、または、粒子中のホウ素の平均量が実験式に記載されるよりも質量で更に低くなるように溶解した少量のホウ素を伴うチタンであることができる。
【0058】
同様に、本発明に従い有用な遷移金属化合物は、チタン原子格子の八面体の格子間を炭素原子が占有する面心立方(fcc)のNaCl結晶構造を有することが公知である炭化チタンを含むことができる。格子間位置には空孔が存在でき、TiC1.0からTiC0.47のストイキオメトリーを有する系は安定である。繰り返すが、本発明に従い有用な全ての遷移金属化合物と同様に、本発明に係る粒子が遷移金属化合物を質量での主要部として含む限り、粒子の残余は、粒子中の非金属の平均量が実験式に与えられるよりも質量で更に低くできるように溶解した少量の非金属を伴う元素遷移金属であると思われる。
【0059】
窒化チタンは、チタン、炭素、および窒素の相対量を幅広い範囲で有することができる。窒化チタンは、式Tiaxy(式中、aは1〜2の範囲、xは0.0から0.0.8の範囲、そしてyは0.1から1.0の範囲である)に対応できる。炭素と窒素との間の相対的なストイキオメトリーは、約TiC0.50.5から、約TiC0.80.2または約TiC0.70.3の範囲である。特許請求の範囲の発明に従い有用な窒化チタン化合物は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 24,4th ed.,(1997)pp.225−349,特にpp.231−232に更に記載されており、その関連部分は参照により本明細書に組み入れられる。
【0060】
窒化チタン、炭化チタンおよびホウ化チタンの化合物は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 24,4th ed.,(1997)pp.225−231に更に記載されており、その関連部分は参照により本明細書に組み入れられる。
【0061】
更なる態様において、遷移金属はバナジウムである。バナジウムはまた、非金属の炭素、窒素およびホウ素の原子をその金属格子構造の内部に捕捉することが可能であり、これにより本発明の遷移金属化合物を形成する。準ストイキオメトリー種が可能であるように、考えられる空格子位置の全てが充填されている必要はない。例えば、窒化バナジウム中の窒素量は、VN0.71からVN1.00の範囲であることができる。ホウ化バナジウムにおいて、格子間ホウ素原子は、六角形の層内で結合している。特許請求の範囲の発明の窒化バナジウム化合物は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 24,4th ed.,(1997)p.801に記載されている。バナジウム化合物の粒子は同様に元素バナジウム、および遊離非金属の量を既に記載したように含むことができる。
【0062】
同様に、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、クロム、鉄、ニッケルおよびタンタルの元素金属、合金、ならびに窒化物、炭化物およびホウ化物は、本発明に従い有用であり、そして非金属の窒素、炭素またはホウ素の原子で充填される格子間の空孔の数に応じてストイキオメトリーの範囲を示すこともできる。本発明において有用なジルコニウム、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 25,4th ed.,(1998)pp.872−873に更に記載されている。本発明において有用なタンタル、その合金、およびその化合物は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 23,4th ed.,(1997)p.676において更に記載されている。本発明において有用なクロム、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 6,4th ed.,(1998)pp.228−311において更に記載されている。本発明において有用なタングステン、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 24,4th ed.,(1998)pp.573−601において更に記載されている。本発明において有用なモリブデン、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 16,4th ed.,(1998)pp.925−962において更に記載されている。本発明において有用な鉄、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 14,4th ed.,(1998)pp.829−902において更に記載されている。本発明において有用なニッケル、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 17,4th ed.,(1998)pp.1−42において更に記載されている。
【0063】
また更なる態様において、遷移金属はニオブまたはハフニウムであることができる。これらの遷移金属もまた、非金属の炭素、窒素およびホウ化物の原子をこれらの金属格子構造の内部に捕捉し、これにより本発明の遷移金属化合物を形成することが可能である。準ストイキオメトリー種が可能であるように、考えられる空格子位置の全てが充填されている必要はない。本発明において有用なニオブ、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vo1 17,4th ed.,(1998)pp.43−67において更に記載されている。本発明において有用なハフニウム、その合金、ならびにその窒化物、炭化物およびホウ化物の特性および組成は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Vol 12,4th ed.,(1998)pp.863−881において更に記載されている。
特許請求の範囲の発明に係る有用な遷移金属化合物の粒子は、遷移金属化合物粒子が、遷移金属化合物自体を主として含む限り、そして遷移金属化合物の総量が少なくとも50wt.%、例えば、または少なくとも60wt.%、または少なくとも75wt.%である限り、相当量の酸化物コーティングを含むことができる。
【0064】
ポリエステル組成物中の再加熱および色を改善するための本発明に係る有用な粒子としては、様々な粒子サイズおよび粒子サイズ分布を有するものが挙げられるが、特定の粒子サイズおよび比較的狭い粒子サイズ分布が特定用途において特に好適であることを我々は見出した。例えば、幾つかの態様、特にポリエステルがPETを含むものにおいては、メジアン粒子サイズが約0.05ミクロン(μm)であり、そして比較的狭い粒子サイズ分布を有する再加熱粒子が有利である。
【0065】
特許請求の範囲の発明に係る粒子としては、ここに規定されない1種以上の他の金属または不純物,例えばスズ、マンガン、ゲルマニウム、パラジウム、ルテニウム、コバルト、銅、金、銀、ケイ素、および水素、ならびに酸素を挙げることができる。
【0066】
好ましくは、本発明の粒子は、粒子中に存在する金属の量基準で、累積量で、遷移金属少なくとも50wt.%、または遷移金属少なくとも75wt.%、または遷移金属少なくとも90wt.%、または遷移金属少なくとも95wt.%、を含む。
【0067】
粒子は酸化物被膜の細かい層で被覆されていてもよい。粒子は同様に遷移金属化合物の中空球または遷移金属化合物で被覆された球であることができ、ここでコアは、遷移金属で、遷移金属と他の物質との混合物で、または遷移金属化合物の実質的な不存在下で他の物質で構成されることができる。被膜の厚みは、約0.005μmから約10μm、または0.01μmから5μm、または0.10μmから0.5μmであることができる。このような被膜は、少量の他の物質を既に説明したように含むこともできる。
【0068】
本発明に係るポリエステル組成物中に存在する粒子の量は、幅広い範囲、例えば約0.5ppmから約1,000ppm、または1ppmから750ppm、または5ppmから500ppm、または5ppmから250ppmで変化させることができる。従って、粒子は、例えば少なくとも0.5ppm、または少なくとも1ppm、または少なくとも5ppm、約1,000ppm以下、または約750ppm以下、または約500ppm以下、または約250ppm以下の量で存在できる。無論、本発明に係る熱可塑性濃縮物は、これらを超える量を、本明細書の他の箇所で更に説明するように有することができる。
【0069】
本発明に従い有用な種々の金属化合物の粒子は、種々の粉末冶金技術、例えば、窒化物および炭化物について“Transition Metal Carbides and Nitrides”L.E.Tothによる,Academic Press,1971,p.12に、ホウ化物についてKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 4,4th ed.,(1992)p.426(これらの各々の関連部分は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるものにより生成できることを注記する。従って、本発明に係る金属化合物粒子は、任意の公知手段によって制限なく生成できる。
【0070】
窒化物の場合の方法としては、これらに限定するものではないが、以下:(1)金属粉末または金属水素化物を窒素またはアンモニアで窒素化すること、(2)金属酸化物粉末を炭素の存在下で窒素化すること、(3)金属塩化物とアンモニアとの反応、および(4)金属ハロゲン化物を窒素/水素雰囲気下で反応させることによる気相からの沈殿が挙げられる。
【0071】
炭化物の場合の方法としては、これらに限定するものではないが、以下:(1)金属粉末または金属水素化物と炭素との保護雰囲気中または減圧中での直接反応、(2)金属酸化物と過剰の炭素との保護雰囲気中または還元雰囲気中での直接反応、(3)金属と浸炭ガスとの反応、および(4)金属ハロゲン化物または金属カルボニルを水素中で反応させることによる気相からの沈殿が挙げられる。
【0072】
ホウ化物の場合の方法としては、1,100〜2,000℃の範囲の温度でのホウ素と元素との直接の組合せ、または気相反応もしくは電解によるものが挙げられる。本発明において使用できる粒子の形状としては、これらに限定するものではないが、以下:針状粉末、角状粉末、樹状粉末、等軸(equi-axed)粉末、フレーク粉末、断片化粉末、粒状粉末、不規則粉末、節状粉末、プレートレット粉末、多孔性粉末、円形粉末および球状粉末が挙げられる。粒子は、フィラメント状構造であることができ、ここで個々の粒子が、付着してビーズ様または鎖様の構造を形成するより小さい粒子の緩い凝集体であってもよい。鎖長および分岐度のばらつきにより、粒子の全体サイズは変動しうる。
【0073】
粒子のサイズは生成方法に応じて幅広い範囲内で変化させることができ、そして粒子サイズの数値については粒子の形状および測定方法に従って変化し得る。本発明に従い有用な粒子サイズは、約0.001μmから約100μm、または0.01μmから45μm、または0.01μmから10μm、または0.01μmから5μmであることができる。ポリエステル組成物がPETを含む場合、粒子サイズは0.01μmから5μmが特に好適であるものと我々は予測する。
【0074】
本発明のために好適な平均粒子サイズを有する、本発明に従って有用な粒子は、不規則な形状を有してもよく鎖様構造を形成してもよいが、概略球形の粒子が好ましい場合がある。粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、参照により本明細書に組み入れられるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.22,4th ed.,(1997)pp.256−278のSize Measurement of Particlesの導入に記載されるもの等の方法によって測定できる。例えば、粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、Fisher Subsieve SizerまたはMicrotrac Particle−Size Analyzer(Leeds and Northrop Company製)を用いて、または、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡等の顕微鏡技術によって評価できる。
【0075】
粒子サイズ分布の範囲は、本発明に従って有用である場合がある。本明細書で用いる粒子サイズ分布は、「スパン(S)」(ここで、Sは以下の等式により算出される)により表現できる:
【0076】
【数2】

【0077】
(式中、d90は、体積の90%が規定のd90よりも小さい粒子で構成される粒子サイズを表し、そしてd10は、体積の10%が規定のd10よりも小さい粒子で構成される粒子サイズを表し;そしてd50は、体積の50%が規定のd50よりも大きい粒子で構成され、かつ体積の50%が規定のd50よりも小さい粒子で構成される粒子サイズを表す)
【0078】
従って、スパン(S)が例えば0から50、または0から5、または0.01から2である粒子サイズ分布を本発明に従って用いることができる。
【0079】
特に好ましいのは窒化チタン粒子である。窒化チタン含有粒子は、ポリエステル組成物中で、再加熱速度、色、UVブロッキング、またはこれらの特性の2つもしくは3つの組合せを改善する能力を有する。特定の粒子サイズおよび比較的狭い粒子サイズ分布が特定用途において特に好適であることを我々は見出した。例えば、幾つかの態様、特にポリエステルがPETを含むものにおいては、メジアン粒子サイズが約0.005μmから約0.3μm(ミクロン)、または約0.015μmから約0.25μmであり、そして比較的狭い粒子サイズ分布を有する窒化チタン粒子が、青味剤および再加熱添加剤の両者として特に有利である。繰り返すが、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、青味剤として有効な粒子の効果は、このような粒子、特にサイズが約5nmから約60nmの範囲のものの特異な吸収特性によると思われると我々は予期する。360から500nmの範囲の添加剤の吸収は、500から700nmの範囲の吸収よりも少なく、これは続いて、ポリエステルの青色外観へのシフト(この大きさは、添加剤の濃度および添加剤の不存在下でのポリマーの黄色度に左右される)を生む。より大きいミクロンスケールの粒子が与える青味効果は、今記載したサブミクロンまたはナノメートルスケールの粒子が与えるよりも大幅に低いことを注記する。
【0080】
規定される化学組成の粒子の純度は、規定される組成に関して好ましくは少なくとも50wt.%、または少なくとも75wt.%、または少なくとも90wt.%、または少なくとも95wt.%の純度を含む。
【0081】
好ましい態様において、ポリエステル組成物中に充填する粒子は、ポリエステルポリマーの質量に対する金属原子基準で約1ppmから約20ppm、または4から約15ppm、または4から約10ppmの範囲である。窒化チタンの場合で青味効果が所望される場合、約5ppmから約50ppmの範囲の量が好適である。主要なまたは唯一のUVブロッキング剤として用いる場合、ジュース容器において等顕著なUVブロッキング保護が所望される場合には、充填量は1ppmから最大約100ppmの範囲、または更に大きい。無論、本発明に係る熱可塑性濃縮物は、本明細書の他の箇所で更に記載するように、これらよりも大幅に大きい量を有してもよい。
【0082】
UVブロッキング効果が所望される場合、粒子は、1種以上の公知のUV吸収剤と組合せることができる。公知のUV吸収剤と組合せて用いる場合には、これにより従来のUV吸収剤の必要性が低減される可能性がある。また、公知のUV吸収剤は、これらが用いられるポリマーを黄変させる傾向があるため、窒化チタン粒子の青味効果は、このようなUV吸収剤と組合せて用いる場合には追加の利点となり、追加の青味剤の必要性を低減させることになろう。
【0083】
幾つかの従来の再加熱添加剤の当該分野で公知の不都合は、PET製造プロセスにおけるこれらの不安定さである。例えば、アンチモン金属再加熱添加剤は、PET形成の溶融相または固相の製造プロセスにおいて酸素に暴露されると、アンチモン酸化物(これは再加熱速度の増大において有効でない)への酸化を受けることが公知である。加えて、アンチモンは、プレフォームを形成するために用いるインジェクション成形プロセスにおいて酸化される可能性がある。金属化合物の特性により、本発明のポリエステル組成物は、製造プロセスおよび成形プロセスの間に漏れる酸素の存在下での酸化の問題を被らないと予想される。従って、記載した粒子による再加熱速度の可変性は少ない傾向であり、そして再加熱ブロー成形プロセスの間の再加熱ランプ設定のためになされることが必要な調整はより少ないであろうと我々は予期する。
【0084】
粒子がポリエステル組成物中に取り込まれる時点は限定するものではない。粒子は、重合の間もしくは後にポリマー反応物質系に、ポリマー溶融物に、または物品を形成するための後続の溶融加工ゾーンにおいて成形粉末もしくはペレットもしくは溶融ポリエステルに添加できる。これらは、これらに限定するものではないが、エステル化反応器への入口の最も近く、エステル化反応器の出口の最も近く、エステル化反応器の入口と出口との間の点、再循環ループに沿った任意の位置、第1もしくは唯一の重縮合反応器の入口の最も近く、第1の重縮合反応器への出口の最も近く、第1の重縮合反応器の入口と出口との間の点、重縮合反応を終了させるために典型的に用いる第2の重縮合反応器への入口の最も近く、または第2の重縮合反応器の入口と出口との間の点、または重縮合反応器の出口とペレット、シート、繊維、ボトルプレフォーム等を形成するためのダイとの間の点等の位置で添加してもよい。好ましくは、粒子はエステル化の実質的な完了の後、またはテレフタル酸またはそのエステル誘導体(DMT)の少なくとも90%の変換後、またはエステル化と重縮合の開始との間、またはその後の任意の点,例えばモノマーのIt.V.が少なくとも0.1dL/g、または少なくとも0.2dL/g、または少なくとも0.45dL/g、または少なくとも0.50dL/gである点、または最終重縮合反応器の出口に最も近い点およびその後でポリエステル溶融物を固化するためのダイまでの任意の点で添加する。
【0085】
粒子が熱エチレングリコール中で溶解しやすい場合、例えばチタン金属粒子および窒化チタンを有する場合、粒子は好ましくはエステル化ステップの完了後に添加する。この時点では遊離のエチレングリコール量が粒子の溶解を防止するのに十分に低いからである。
【0086】
粒子を添加する方法も限定するものではない。粒子は、ポリエステルポリマー,例えばPETに添加し、そしてインジェクション成形機に任意の方法、例えば、粒子をインジェクション成形機内で溶融ポリマーに供給することにより、または粒子とPETの供給物とを、ペレットの溶融ブレンドまたはドライブレンドのいずれかによってインジェクション成形機に組合せることにより供給できる。粒子はそのまま(neat)で、またはPET等のポリマー中の濃縮物形状で、または液体もしくは固体の担体中の分散体として、供給できる。好適な担体の例としては、これらに限定するものではないが、液体または固体として与えられる種々の分子量のポリエチレングリコール、ミネラルオイル、水素化ヒマシ油(castor oil)、グリセロールモノステアレート、脂肪酸エステル、エトキシ化脂肪酸エステル、パラフィンオイル、多価アルコール、多価アミン、シリコーンオイル、水素化ひまし油(ricinus oil)、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、および大豆油が挙げられる。
【0087】
粒子は、エステル化反応器に、例えばエチレングリコール供給物とともにおよび介してプレポリマー反応器に、重縮合反応器に、または固相化用の反応器内の固体ペレットに、またはこれらの状態のいずれかの間の任意の点で添加できる。これらの場合の各々において、粒子は、PETまたはその前駆体とそのままで(neat)、PETを含む濃縮物として、または担体で希釈して組合せることができる。担体は、PETと反応性であってもよく、または非反応性であってもよい。粒子は、そのまままたは濃縮物中または担体中およびバルクポリエステルのいずれであるかに関わらず、一緒に混合する前に乾燥させることができる。これらの粒子は、乾燥空気または他の不活性ガス,例えば窒素等の雰囲気中、所望の場合は環境圧力よりも低い圧力で乾燥させることができる。
【0088】
上記したように、粒子は溶融相プロセスまたはその後に任意の形状で,例えば高レベルの粒子を含む固体濃縮物により添加できる。濃縮物は、ポリエステルポリマーとともに溶融相プロセスもしくは押出機内または他の好適な溶融加工ゾーン内に、最終ポリマー組成物および最終的には粒子を0.5ppmから1000ppmの範囲の量で有するプレフォームもしくはボトル等の物品を与えるのに十分な量で落とすかもしくは組合せることができる。よって、固体濃縮物は、その中に分散した再加熱粒子を1000ppm(0.1wt.%)超、または少なくとも2000ppm(0.2wt.%)、または少なくとも4000ppm(0.4wt.%)、または少なくとも1wt.%、または少なくとも1.5wt.%、または少なくとも2wt.%で、約10wt.%以下、または約5wt.%以下の範囲の量で有するポリエステルポリマーを含んで与えられる。好ましくは、濃縮物中のポリエステルのIt.V.は、濃縮物が添加されるポリエステル組成物のIt.V.と同様である。例えば、It.V.の適合は、約+/−0.2、または+/−0.1、または+/−0.07、または+/−0.05以内である。更に、濃縮物中のポリエステルポリマーは、好ましくはバルクポリエステルポリマーと同一種のポリマーである。
【0089】
濃縮物は、粒子をポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、またはこれらの混合物等のポリマーと単軸または二軸の押出機において混合し、そして任意に他の再加熱添加剤とコンパウンドすることにより形成できる。好適なポリカーボネートはビスフェノールAポリカーボネートである。好適なポリオレフィンとしては、これらに限定するものではないが、ポリエチレンおよびポリプロピレン、ならびにこれらのコポリマーが挙げられる。溶融温度は、少なくともポリマーの融点と同じ高さがよい。PET等のポリエステルについて、溶融温度は典型的には250℃〜310℃の範囲である。好ましくは、溶融コンパウンド温度は、可能な限り低く維持する。押出物は、任意の形状,例えばストランド形状で取出し、そしてカット等通常の方法に従って回収できる。
【0090】
濃縮物は、最終物品において用いるのと同様のポリエステル中で調製できる。しかし、幾つかの場合では、濃縮物において他のポリマー,例えばポリオレフィンを用いることが有利である場合がある。ポリオレフィン/粒子濃縮物をポリエステルとブレンドする場合においては、ポリオレフィンをバルクポリエステルに対する成核添加剤として組み込むことができる。
【0091】
濃縮物に代えて、粒子は、液体担体中でスラリーもしくは分散体として、固体濃縮物に関して記載したのと同じ濃度で添加できる。
【0092】
ポリエステル組成物中の再加熱粒子の位置は限定されない。粒子は、ポリエステルポリマー、ペレット、プレフォームまたはボトルの上または内部のどこにでも配置されることができる。好ましくは、ペレット形状のポリエステルポリマーは連続相を形成する。連続相の「内部」に分布することは、少なくともペレットの断面切断部の一部の内部に粒子が見出されることを意味する。粒子はポリエステルポリマーの内部にランダムに分布でき、離れた領域内に分布でき、またはポリマーの一部の内部のみに分布できる。好ましい態様において、粒子はポリエステルポリマー組成物全体を通じて、粒子を溶融物に添加することによって、または粒子を固体ポリエステル組成物と混合した後に溶融および混合することによってランダムに配置される。
【0093】
粒子は、許容可能なプレフォーム色/外観特性を維持しつつ、20オンスボトルプレフォームRITの少なくとも3℃、または少なくとも5℃、または少なくとも10℃を実現するような量で添加できる。
【0094】
別の態様においては、最終再加熱温度が少なくとも105℃、または少なくとも110℃、または少なくとも115℃、または少なくとも120℃で、約130℃以下である本発明のポリエステル組成物から形成されるボトルプレフォームが提供される。プレフォーム試料についての最終再加熱温度は、延伸ブロー成形機内で石英赤外ヒーターのバンクを通過した後のプレフォームの表面温度として規定する。
【0095】
本発明のポリエステル組成物を使用して、包装容器を作製するために使用するプレフォームを形成できる。プレフォームは、典型的には、プレフォームに石英赤外加熱ランプのバンクを通過させ、プレフォームをボトル型内に配置し、そして次いで型の開放端を介して加圧空気をブローすることにより、ポリマー組成物のガラス転移温度を超えて加熱する。
【0096】
本発明は、液体または固体のバルクのポリエステル、および液体、溶融したまたは固体のポリエステル濃縮物組成物を、プレフォームまたはボトルを製造するための機械に供給することを含み、濃縮物が上記のものである、ポリエステルプレフォームまたはインジェクション成形されたボトルを形成するための方法を提供する。本発明に従えば、プレフォームまたはインジェクション成形されたボトルを形成するための段階で濃縮物を添加できるのみでなく、他の態様において、未使用のポリエステルポリマーの製造のために濃縮物ポリエステル組成物を溶融相に添加することを含み、濃縮物が粒子および少なくとも65wt.%のポリエステルポリマーを含む、ポリエステル組成物の製造のための方法が提供される。これに代えて、粒子を再生PETに添加して濃縮物を形成できる。
【0097】
記載する態様の各々において:
(i)遷移元素金属、
(ii)遷移金属合金、
(iii)ホウ素、炭素もしくは窒素の遷移金属化合物、または
(iv)これらの組合せ
を含む粒子を、ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに、またはその後の任意の時点で添加することによって得られるポリエステルポリマーを含む組成物であって、粒子中の遷移金属がチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルの原子またはこれらの組合せを含み、かつ、アルミニウム原子および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマー溶融物を重縮合することによってポリエステルポリマーが得られる組成物もまた提供される。
【0098】
加えて、アルミニウム原子、および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下で、重縮合の前、最中、または後に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、またはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む粒子を加えてポリエステルポリマー溶融物を重縮合することを含むポリエステルレジンを製造するための方法もまた提供される。
【0099】
組成物および方法の各々において、アルミニウム原子およびアルカリ土類金属またはアルカリが存在する。
【0100】
アルミニウム原子はポリエステルポリマー中に存在し、その酸化状態、モルホロジー状態、構造的状態または化学状態は限定されない。アルミニウムの存在の好適な検出方法としては、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−OES)または原子吸光分光法が挙げられる。
【0101】
アルミニウムは、最終的に重縮合相中で単独またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の原子もしくは化合物との組合せのいずれかで触媒として活性であるという条件で、溶融相プロセスに化合物(塩または錯体等)としてまたは金属として添加できる。希釈剤中またはポリエステル形成含有成分との反応性を有する担体中に溶解できるアルミニウム化合物を選択することが望ましい。アルミニウム酸化物はアルミニウムの化合物または金属の意味には含まれない。これらは不溶でポリマー溶融物中での触媒活性が、あるとしても僅かであるからである。好適な液体反応性担体は、任意の分子量,例えば62から約10,000グラム毎モルの範囲を有することができる。アルミニウム化合物は、揮発性であり、および/またはポリエステル形成含有成分との反応性を有する液体中のスラリーまたはサスペンションとして添加することもできる。アルミニウムは、アルミニウム化合物をポリエステルポリマーと好適な押出機内または他の装置内で溶融ブレンドして濃縮物を形成し、続いて溶融相プロセスへの溶融供給物として濃縮物を溶融させることにより溶融相プロセスに添加することもできる。好ましいアルミニウム化合物としては、少なくとも1種の有機置換基を有するアルミニウム化合物が挙げられる。好適な化合物の実例としては、式:
Al[OR]a[OR’]b[OR'']c[OR''']d
(式中、R,R’,R''は独立にアルキル基、アリール基、アシル基、水素であり、R'''はアニオン性基であり、かつa,b,c,dは独立に0または正の整数であり、かつa+b+c+dは4以下である)
のものが挙げられる。
【0102】
アルミニウム化合物の好適な例としては、アルミニウムのカルボン酸塩,例えば酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムアルコレート,例えばアルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリn−ブチレート、モノ−sec−ブチレート、アルミニウムトリ−tert−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、および、アルミニウムアルコレートのアルコキシ基が、アルキルアセトアセテートまたはアセチルアセトン,例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(トリス(アセチルアセテート)、アルミニウムアセチルアセトナート等のキレート剤で部分的または全体的に置換されているアルミニウムキレートが挙げられる。
【0103】
特に好ましいアルミニウム化合物は、アルミニウムの塩基性カルボン酸塩およびアルミニウムアルコレートである。アルミニウムの塩基性カルボン酸塩としては、一塩基化合物および二塩基化合物が挙げられる。用いる塩基性酢酸アルミニウムは、ジアセテートモノヒドロキシ化合物もしくはモノアセテートジヒドロキシ化合物、またはこれらの混合物のいずれかであることができる。特に、塩基性酢酸アルミニウムおよびアルミニウムイソプロキシドは好ましいアルミニウム化合物である。塩基性酢酸アルミニウムをホウ酸で安定化することにより、その溶解性が増大する:しかし、安定化によりコストが増大する。アルミニウムイソプロポキシドはコストの理由で好ましい。
【0104】
重縮合に作用するために必要なアルミニウムの量は、一般的に、ポリマー質量基準で、少なくとも3ppm、または少なくとも5ppm、または少なくとも10ppm、または少なくとも15ppm、または少なくとも20ppm、または少なくとも30ppm、および約150ppm以下、または約100ppm以下、または約75ppm以下、または約60ppm以下の範囲のAlである。
【0105】
アルカリ土類金属残基またはアルカリ残基は、ポリエステルポリマー中に存在するアルカリまたはアルカリ土類原子、またはアルカリ化合物を用いる場合は、ポリマー溶融物中または完成したポリマー中または物品中に存在するアルカリ化合物の残存の残余物である。これらの酸化状態または最終的な物理的、モルホロジー的、構造的または化学的な状態は限定されない。用語「アルカリ」または「アルカリ土類金属」または「金属」は、自身の周期群における自身の許容可能な価数に対応する自身の元素状態または酸化状態の原子を含む。添加時のアルカリの化学状態もまた限定されない。アルカリは、金属化合物、有機金属化合物、または金属を有さない化合物として添加できる。同様に、添加時のアルカリ土類化合物の化学状態は限定されない。
【0106】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、周期表のIA族およびIIA族の金属を含み、これらに限定するものではないが、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Srが挙げられ、そして好ましくはLi,NaまたはKである。迅速な速度が主要な懸案事項である場合、Liは最も好ましい。色が主要な懸案事項である場合、Naは最も好ましい。金属は、対イオン、中でも好ましいのはヒドロキシド、カーボネートおよびカルボン酸、を有する金属化合物(これは錯体または塩を含む)として溶融物相に添加できる。
【0107】
他の好適なアルカリ化合物は、米国特許第6,156,867号(この開示の全部が参照により本明細書に組み入れられる)に言及されるものである。これらは、3級アミン化合物および4級アンモニウム化合物を含む。
【0108】
アルカリ土類金属またはアルカリの量は、ポリマー溶融物の分子量を合理的な程度で増大させるのに有効である。量は、一般的には、ポリマー質量基準で少なくとも約4ppm、または少なくとも6ppm、または少なくとも10ppm、または少なくとも15ppm、または少なくとも20ppm、または少なくとも25ppm、または少なくとも50ppm、または少なくとも75ppm、および約400ppm以下、または約300ppm以下、または250nmまたは150ppm以下、または約100ppm以下、または約75ppm以下の範囲である。質量での用いる詳細な量は、使用するアルカリまたはアルカリ土類金属の種類によって変動する場合があり、これは、広く変動するこれらの原子量または分子量および採用されるアルミニウムの量による。アルミニウムレベルが増大すると速度が増大する:従って、低M:Alモル比(MR)は、低アルミニウムレベルでは遅い速度を与える一方、中程度から高いアルミニウムレベルで合理的な速度を与えることができる。アルカリ土類金属またはアルカリ:アルミニウムのモル比(M:Al MR)は、望ましくは0.5から6、または1から5、または2から4である。アルカリ土類金属またはアルカリ金属の量は、選択されるアルミニウムレベルおよびM:Al MRによって評価する。質量での用いる詳細な量は、アルミニウムおよびM:AI MRの目標ならびに使用するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の種類によって変動する可能性があり、これは、広く変動するこれらの原子量または分子量による。M:AI MRの好ましい範囲は2から6、および最も好ましい範囲は2から4である。
【0109】
高い触媒使用量は、触媒の溶解性に影響する可能性があり、言い換えるとポリマーのヘイズレベルを増大させる可能性がある。しかし、本発明の一態様の有利な特徴は、リン化合物等の不活性化剤の後添加が、高い触媒使用量においてもヘイズレベルを低減させることにある。従って、リン原子を含み、かつ、ポリエステルポリマーの質量を基にし、アルミニウム、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の累積質量基準で、少なくとも60ppm、または少なくとも70ppm、または少なくとも80ppm、または少なくとも90ppmの金属量を含むポリエステル組成物が提供される。リンの量は、望ましくはP:M(アルミニウムおよびアルカリ土類金属およびアルカリ金属の全金属)のモル比で0.5:1から5:1の範囲である。リン原子の典型的な量は、少なくとも70ppm、または少なくとも100ppm、または少なくとも150ppmである。これらのポリマーの高い触媒使用量での溶液ヘイズ値は、30ntu以下、または20ntu以下、または15ntu以下、または10ntu以下の低さであることができる。リンの添加によるヘイズの相対的な低減は、リンなしで形成される同じポリマーに対して40%以上、または50%以上、または60%以上の大きさである。
【0110】
アルカリ土類金属またはアルカリ:アルミニウムのモル比は、望ましくは0.5から6、または1から5、または2から5である。
【0111】
アルミニウム、アルカリ土類金属またはアルカリを添加できる種々の方法、これらの添加順、およびこれらの添加点を以下で更に説明する。
【0112】
アルミニウムおよびアルカリまたはアルカリ土類金属は、溶液、微細分散体、ペースト、スラリーとして、またはそのままで添加できる。これらは好ましくは、メーター測定可能な、液体、溶融物、または自由流動性の固体として添加する。最も好ましくは、これらは液体として、そして特に液体の溶液または分散体として添加する。ポリエステル前駆体反応物質は、溶融相プロセスの第1段階を行うエステル化反応容器に供給する。エステル化プロセスは、直接エステル化またはエステル交換反応(トランスエステル化としても公知である)により進行する。溶融相プロセスの第2段階において、エステル化の間に形成されるオリゴマー混合物を重縮合させてポリエステル溶融物を形成する。溶融物の分子量は溶融相プロセス中に所望のIVまで増大し続ける。本発明の触媒系はポリエチレンテレフタレート系ポリマーを形成するための任意の溶融相プロセスにおいて有用である。
【0113】
更なる例示のために、1種以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸、またはそのエステル形成誘導体、および1種以上のジオール、例えばエチレングリコールの混合物、を、約200℃から300℃の間の温度および環境圧力より大きい圧力の約1psigから約70psigまでの間で運転されるエステル化反応器に連続的に供給する。反応物質の滞留時間は、典型的には約1から5時間の間の範囲である。通常、1種または複数種のジカルボン酸は、1種または複数種のジオールで、高圧下かつ温度約240℃から約285℃で直接エステル化される。所望のオリゴマー混合物(またはその他「モノマー」として公知のものも)を形成するために、エステル化反応は、酸基またはエステル基の変換の少なくとも70%が実現するまで継続させるが、より典型的には、酸基またはエステル基の変換の少なくとも85%が実現するまで継続させる。
【0114】
エステル化ゾーン(これは直接エステル化プロセスおよびエステル交換プロセスを含む)で形成される、得られるオリゴマー混合物としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG、およびエステル化ゾーン内で除去されない縮合副生成物としての微量の水、ならびに原料由来のおよび/または場合により触媒された副反応により生成する他の微量不純物、ならびに他の任意に添加される化合物,例えばトナーおよび安定剤が挙げられる。BHETおよびオリゴマー種の相対量は、プロセスが直接エステル化プロセス(この場合オリゴマー種の量が顕著でかつ主要な種としてさえ存在する)か、またはエステル交換プロセス(この場合BHETの相対量がオリゴマー種を通じて優位になる)かによって変動する場合がある。所望の生成物に向かって平衡を動かすために、エステル化反応が進行するに従って水を除去する。エステル化ゾーンは、典型的には、モノマー種およびオリゴマー種を、存在する場合、一連の1つ以上の反応器内で連続的に生成する。これに代えて、オリゴマー混合物中のモノマー種およびオリゴマー種は、1つ以上のバッチ反応器内で生成できる。しかし、PENを形成するためのプロセスにおいては、反応混合物が、モノマー種のビス(2−ヒドロキシエチル)−2,6−ナフタレートおよびその対応オリゴマーを含むことができることが理解される。この段階で、It.V.は通常測定不能かまたは0.1未満である。溶融オリゴマー混合物の平均重合度は典型的には15未満、およびしばしば7.0未満である。
【0115】
直接エステル化法によってオリゴマー混合物を形成するための反応は、好ましくは、触媒を添加することなく行う。該反応が自己触媒的であることが公知であるからである。トランスエステル化法によりオリゴマー混合物を形成するための反応は、好ましくは触媒を添加して行う。エステル交換反応において使用できる典型的なエステル交換触媒としては、チタンアルコキシドおよびジブチルスズジラウレート、亜鉛化合物、マンガン化合物が挙げられ、各々単独または互いの組合せで使用される。当業者に周知の任意の他の触媒物質は好ましい。しかし最も好ましい態様において、エステル交換反応はチタン化合物の不存在下で進行する。重縮合反応の間に存在するチタン系触媒は、ポリエステルをより黄色にすることによってb*に負に影響する。エステル交換反応の完了後で重縮合の開始前に安定剤でチタン系触媒を不活性化することが可能であるが、最も好ましい態様においては、直接エステル化またはエステル交換反応を、任意の添加されるチタン含有化合物の不存在下で行うことによって、チタン系触媒がポリエステルのb*色に与える負の影響の可能性を排除することが望ましい。好適な代替のエステル交換触媒としては、亜鉛化合物、マンガン化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0116】
オリゴマー混合物が酸基またはエステル基の所望の変換パーセントに形成された時点で、これをエステル化ゾーンまたは反応器から重縮合ゾーンに移送する。重縮合反応の開始は、一般的に、エステル化ゾーン内の運転温度よりも高い実運転温度、またはエステル化ゾーンと比べた圧力の記録される低減、または両者によって記録する。幾つかの場合において、重縮合反応は、エステル化ゾーン内の実運転温度および実運転圧力と比べてより高い実運転温度およびより低い(通常環境圧力より低い)圧力によって記録される。典型的な重縮合反応は、約260℃から300℃の範囲の温度、そして環境圧力より低い圧力の約350mmHgから0.2mmHgの間で起こる。反応物質の滞留時間は、典型的には、約2から約6時間の範囲である。重縮合反応においては、相当量のグリコールが、オリゴマーエステル種の縮合によって、および分子量増大の経過の間に生じる。
【0117】
幾つかのプロセスにおいて、重縮合反応は、前重合ゾーンにおいて溶融相中で開始および継続し、完成ゾーン内の溶融相中で完成され、その後溶融物が固化してポリエステルポリマー溶融相生成物が、一般的には、チップ、ペレット、または任意の他の形態の形状で形成される。各ゾーンは、一連の1つ以上の区別された、異なる条件で運転される反応容器を含むことができ、または、該ゾーンは、単一反応器内で異なる条件で運転する1つ以上の下位段階を用いて1つの反応容器に組合せることができる。すなわち、プレポリマー段階は、連続的に運転される1つ以上の反応器、1つ以上のバッチ反応器、または単一反応容器内で行う更に1つ以上の反応ステップまたは下位段階の使用を含むことができる。溶融物の前重合ゾーン内での滞留時間に対する溶融物の完成ゾーン内の滞留時間は限定されない。例えば、幾つかの反応器設計において、前重合ゾーンは、反応時間に関して重縮合の前半を表し、一方完成ゾーンは重縮合の後半を表す。他の反応器設計は、完成ゾーンと前重合ゾーンとの間の滞留時間を約1.5:1の比またはこれより高く調整できる。多くの設計における前重合ゾーンと完成ゾーンとの間の一般的な区別は、後者のゾーンが前重合ゾーンにおける運転条件と比べて高頻度により高温および/またはより低圧で運転されることである。一般的に、前重合ゾーンおよび完成ゾーンの各々は、1つまたは一連の1つより多い反応容器を含み、そして前重合ゾーンおよび完成反応器はポリエステルポリマーの製造のための連続プロセスの一環として直列に配列している。
【0118】
望ましくは、重縮合ゾーンにおけるポリマー溶融物に適用される温度またはポリマー溶融物の温度は、270℃超であり、約300℃以下である。完成ゾーン内の圧力は、約0.2から20mmHg、または0.2から10mmHg、または0.2から2mmHgの範囲内であることができる。
【0119】
溶融相反応へのアルミニウム化合物およびアルカリ土類金属化合物またはアルカリ化合物の添加は、種々の方法で進行させることができる。大まかに言うと、アルミニウム化合物およびアルカリ土類金属化合物またはアルカリ化合物は、統一流としてまたは別個の流れとしての組合せで添加できる。アルカリ土類金属またはアルカリ化合物およびアルミニウム化合物は、溶液中にエチレングリコール等の溶媒と一緒に組み合わせ、そして統一流として添加することができ、または溶液は更に、エステル化反応器に添加されるジオール流と混合でき、または、これはエステル化反応器に供給される酸/グリコールのペーストに添加できる。アルミニウムおよびアルカリ土類金属またはアルカリ化合物を溶液中で統一流として一緒に添加することは、添加点の数を低減する便宜を与える。
【0120】
好ましくは、アルミニウム化合物は、アルカリ土類金属またはアルカリ化合物の流れから別個の流れとして溶融相反応に添加する。所望の場合、アルカリ化合物またはアルカリ土類金属化合物をまず添加し、続いてアルミニウム化合物を添加する。この場合、アルカリまたはアルカリ土類金属またはアルカリ土類金属化合物を、エステル化ゾーンまたは反応器に、より低いジエチレングリコールレベルまで添加することが望ましく、一方、アルミニウム化合物は、重縮合の初期(例えば、エステル化の少なくとも90%の完了時、または重縮合反応の最初の30分以内)に添加する。リチウム化合物のエステル化反応ゾーンへの添加により、得られるポリエステルポリマー中のジエチレングリコール量が低くなる。従って、リチウムまたは他のアルカリもしくはアルカリ土類金属化合物をエステル化反応の混合物、ゾーン、または反応器に添加することが好ましい。しかし、アルミニウム触媒と、エステル化ゾーン内で発生しアルミニウム触媒を阻害または不活性化してこれにより重縮合速度を遅くさせる可能性がある水との潜在的な不所望の副反応を回避するために、更に別の態様において、アルミニウム化合物をエステル化反応の実質的な完了後または重縮合の初期もしくは最中に添加することが望ましい。更なる態様においては、(変換の意味で)エステル化反応の少なくとも75%、または少なくとも85%、または少なくとも95%を、添加アルミニウム化合物の不存在下で行う。
【0121】
一態様において、エステル化プロセスは、アルカリ土類金属またはアルカリの存在下で行う。アルカリ土類金属またはアルカリの化合物は、エステル化反応混合物に添加する。アルカリ土類金属またはアルカリの化合物は、エステル化の初期に、第1のエステル化反応器に、別個の流れとして、テレフタル酸ペーストと混合して、または好ましくは、エチレングリコールまたは他のジオールの供給物と組合せてエステル化反応器に添加できる。アルカリ土類金属またはアルカリの化合物は、好ましくは、ジオールタンクに添加し、溶液中でエステル化反応器に供給する。
【0122】
エステル化をアルカリ土類金属またはアルカリの存在下で行うことの利点は、エステル化ゾーンから出るオリゴマー中のDEGのレベルがより低いことである。オリゴマー中のDEGのレベルがより低いことにより、ポリマー中のDEGのレベルがより低くされる。ポリマー中のDEGレベルは、延伸ブロー成形中の性能および結晶化挙動に影響する。一般的により低いDEGレベルは望ましい。DEGを低減することは延伸ブロー成形の間により大きい加工ウインドウを与える。
【0123】
アルカリ土類金属またはアルカリの量は、エステル化の速度を増大させ、これにより触媒または開始剤として作用するのに有効である。
【0124】
アルカリ土類金属またはアルカリの化合物は、エステル化完了の前、最中もしくは後、またはエステル化ゾーンと重縮合ゾーンとの間で、または重縮合が開始する点でエステル化ゾーンに添加できる。一態様において、アルカリ土類金属またはアルカリ化合物は、エステル化反応混合物の50%変換前に添加する。一般的に、塩基性アルカリ金属化合物または塩基性アルカリ土類金属化合物のエステル化ゾーンにおける早期の添加は、最も低いDEGレベルをもたらす。DEGレベルはまた、塩基性アルカリ金属化合物または塩基性アルカリ土類金属化合物の添加量と関連する場合がある;しかし低いレベルで十分な場合がある(**ScottがDEGレベル対Liレベル(エステル化において添加される)のデータを有するかを見る**)。DEGレベルの低減がゴールではない他の態様において、アルカリ土類金属またはアルカリは、エステル化ゾーンと前重合ゾーンとの間で、または前重合ゾーンの初期で添加する。
【0125】
本発明の方法において、ポリエステル溶融物は、アルミニウムの化合物または原子の存在下でオリゴマー混合物を重縮合させることによって形成する。アルミニウムは、エステル化反応混合物に、エステル化ゾーンを出るオリゴマー混合物に、または重縮合の開始時に、または重縮合の間ポリエステル溶融物に添加できる。しかし、アルミニウムは、重縮合触媒として作用するため、重縮合反応の早期でアルミニウムをポリエステル溶融物に添加してより短い反応時間またはより高い分子量上昇の利点を与えることが望ましい。アルミニウム化合物がエステル化ゾーン内に存在する水と反応する可能性があることを我々は見出した。これにより、重縮合ゾーン内でより低い活性の触媒がもたらされる。従って、アルミニウム触媒原子は、好ましくは、酸末端基の変換パーセントが少なくとも75%の時点、より好ましくは酸末端基の変換%が少なくとも85%の時点、そして最も好ましくは酸末端基の変換%が少なくとも95%の時点で添加する。
【0126】
好ましい態様において、アルミニウムは、オリゴマー混合物にエステル化の完了時もしくは完了後、またはポリエステル溶融物に溶融物のIVが0.3dL/gに到達するまでに、または溶融物のIVが0.2dL/gに到達するまでに、およびより好ましくはオリゴマー混合物にまたは重縮合の開始前または開始時に添加する。
【0127】
所望の場合には他の触媒金属が存在できる。例えば、Mn,Zn,Sb,Co,Ti,およびGeの触媒を、アルミニウムおよびアルカリ土類金属およびアルカリの触媒と併せて使用できる。窒化チタンまたは有機トナーが好ましいため、好ましくはポリエステルポリマーは溶融相反応にコバルトを添加することなく形成する。特に溶融相加工がエステル交換反応を含む場合には、チタン触媒を使用できる。チタン触媒は、ポリエステル溶融物のIt.Vを少なくとも0.3dL/g(不活性化されない場合)増大させる量で添加される化合物である。典型的には、エステル交換中に添加されるチタン触媒は、得られるオリゴマー混合物を重縮合させる前に不活性化することになる。重縮合前に未処理で残ると、チタン触媒は副反応を含むその高い活性によりポリマーを大幅に脱色させるからである。しかし所望の場合には、少量の活性チタン触媒を本発明の触媒系とともに存在させてもよい。使用する場合のチタン触媒の量は、ポリマー質量基準で一般的には2ppmから15ppmの範囲である。アンチモン触媒もまた本発明の触媒系と組合せて使用できる。アンチモン触媒の量は20ppmから300ppmまたは250ppmの範囲であることができる。AA発生の懸念により、ポリマーの質量を基にしたアンチモンの量は好ましくは125ppm以下である。更に、アンチモン触媒を使用しないことが好ましい。これらはポリエステルのL*および明澄性を低下させることが公知であるからである。アルミニウム、アルカリ土類金属またはアルカリ金属以外の触媒金属が存在する場合、リンの量を増大させることが必要な場合がある。
【0128】
好ましくは、ポリエステルポリマーはチタン触媒、コバルト触媒、アンチモン触媒、または任意の他の重縮合触媒金属またはエステル化触媒金属を、触媒する(反応速度を増大させるか、またはIt.V.を少なくとも0.1dL/g増大させる)のに有効な量で溶融相反応に添加することなく形成し、そしてより好ましくは、ポリエステルポリマーは、任意の触媒金属を、アルミニウム/アルカリ土類またはアルカリの系以外の溶融相反応に添加することなく形成する。しかしコバルトまたはマンガン等の1種以上の金属はポリマー中に低レベルで最も存在しやすいことを理解すべきでる。これらは金属触媒された液相酸化プロセスにより形成されるテレフタル酸組成物に伴って不純物として生じるからである。溶融相プロセスへの原料供給物中に存在する金属不純物は、溶融相プロセスに添加される金属とは見なされない。
【0129】
ポリエステルポリマーは触媒不活性化剤も含む。触媒不活性化剤とは、触媒系の活性を少なくとも部分的に不活性化または阻害するのに有効な化合物を意味する。該化合物は、既知レベルでのその添加による場合に少なくとも部分的に触媒系を不活性化するのに、そして、既知レベルでの化合物の有効性を、a)固相化の速度が、不活性化剤を有さない同一ポリマーと比較して低くなる場合(「添加剤なしの場合」)およびb)より早期に添加された際に、実際の運転条件下での溶融相重縮合の一定It.V.目標への速度が低くなる場合、または添加剤なしの場合と比較して一定時間でポリマーのIt.V.が低くなる場合、の両者に試験するためだけに有効である。好ましくは、触媒不活性化剤はまた、粒子溶融時に、添加なしの場合と比較してAA発生量を低減し、およびより好ましくは、溶融相重合によって得られるIt.V.が少なくとも0.72dL/gである粒子の溶融時にAA発生量を低減させる。
【0130】
触媒不活性化剤は、後続の溶融加工ステップの間の触媒系の活性を制限するために、ポリマー溶融物を加工する間に後添加し、そしてポリマー中に存在するアセトアルデヒド前駆体のアセトアルデヒドへの変換を別に触媒することになる。未処理で残ると、ポリマーは、押出中またはインジェクション成形中に高いアセトアルデヒド発生量を有する。安定剤または不活性化剤は、溶融相重縮合の終点付近、および例えば物品への溶融加工(これなしでは、高粘度溶融物中での更なる反応が起こってポリマー鎖が開裂することになる)中に起こる再溶融中のポリマー溶融物を熱的に安定化する役割も有する。AA前駆体の形成量の低減に加え、安定剤または不活性化剤は、ポリマーの加水分解安定性を改善できる。重縮合触媒系によって少なくとも部分的に触媒される任意の副反応は、重縮合触媒系が少なくとも部分的に不活性化される場合にはそれほど問題ではない。触媒不活性化剤は、アルミニウム化合物またはアルカリ土類金属またはアルカリの化合物の添加と共には添加せず、また、重縮合の速度および金属触媒の触媒活性を妨げる可能性があるため、重縮合の開始時にも添加しない。しかし、全種類または全形状のリン化合物が不活性化剤であるわけではなく、これらがそうでない場合、これらは所望の場合、触媒とともにまたは重縮合の開始時に添加できることに留意すべきである。
【0131】
好適な不活性化化合物は、好ましくはリン含有化合物である。リン化合物は、1つ以上のリン原子を含む。好ましいのはリン酸トリエステル、酸性リン化合物またはこれらのエステル誘導体、および酸性リン含有化合物のアミン塩である。酸性リン化合物は、少なくとも1つのオキシリン酸基、すなわち、1つの酸素に二重結合し、少なくとも1つのヒドロキシル基すなわちOH基に単結合した少なくとも1つのリン原子を有する。リン含有化合物の具体例としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、ホスホン酸誘導体、ならびにこれらの酸性塩および酸性エステルおよび誘導体の各々,例えば酸性リン酸エステル,例えばリン酸モノ−およびジ−エステルおよび非酸性リン酸エステル(例えばリン酸トリエステル),例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、オリゴマー型リン酸トリエステル、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、(トリス)エチレングリコールホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、ジメチルメチルホスフェート、テトライソプロピルメチレンジホスホネート、リン酸とエチレングリコール,ジエチレングリコール,および2−エチルヘキサノールとのモノ−,ジ−,およびトリ−,エステル、または各々の混合物が挙げられる。他の例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、モノ−,ジ−およびトリリン酸水素化合物、ホスファイト化合物、リン酸モノナトリウム、リン酸亜鉛またはリン酸カルシウム等の特定の無機リン化合物、リン酸水素ポリ(エチレン)、シリルホスフェート;サリチル酸メチル、マレイン酸、グリシン、または酒石酸ジブチル等の、ヒドロキシ−またはアミノ−置換されたカルボン酸との組合せで用いるリン化合物;金属触媒残基の不活性化に有用な各々、が挙げられる。
【0132】
好ましい酸性リン化合物の詳細な例としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、ホスホン酸誘導体、およびこれらの酸性塩および酸性エステルおよび誘導体の各々、例えば、前記の酸のいずれかのリン酸モノ−およびジ−エステル等の酸性リン酸部分エステルが挙げられる。非酸性リン化合物の好ましい例としては、オリゴマー型リン酸トリエステル、(トリス)エチレングリコールホスフェート、リン酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、または各々の混合物とのトリエステルが挙げられる。
【0133】
添加できる他のリン化合物としては、リン含有酸のアミン塩が挙げられる。アミンは、環式または非環式であることができ、モノマー、オリゴマーまたはポリマーであることができ、そしてヘイズおよび/または溶解性(後者が問題になる場合には)を最小化するように選択するのがよい。アミンの有機構成成分は原則として任意の有機基であることができる。アンモニアおよび水酸化アンモニウムのような関連化合物は好適である。
【0134】
アミン上の好適な有機基としては、直鎖および分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、ヘテロアリール等が挙げられる。これらの種類の有機基の各々は、置換または非置換であることができ、すなわち、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、ハロ等の基を有することができる。有機基は、カーボネート、ケト、エーテル、およびチオエーテル結合、およびアミド、エステル、スルホキシド、スルホン、エポキシ等も含むことができる。この列挙は例示であって限定ではない。
【0135】
好ましいアミンは5から7員環、好ましくは6員環の環式アミンである。これらの環は単一の「モノマー」種を構成でき、またはより大きいオリゴマーもしくはポリマーの一部であることができる。
【0136】
好ましい環式アミンは、環窒素に隣接する環の位置で置換された有機基を有するヒンダードアミンである。環窒素自体も置換されていることもでき、すなわち、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル等の基で置換されていることができる。ヒンダードアミンはまた、オリゴマー部分またはポリマー部分の一部も含むことができる。
【0137】
他の種類の好ましいアミンはアミノ酸である。重合温度でのまたはこれを超える分解点を有するアミノ酸は特に好ましい。L−光学異性体、D−光学異性体またはこれらの任意の混合物,例えばラセミ混合物を使用できる。アミン基およびカルボン酸基は同一炭素に接していなくてもよい。アミノ酸は、アルファ、ベータまたはガンマであることができる。置換アミノ酸を使用できる。水中で幾らかかの溶解性を有するアミノ酸は、水中で、すなわちVOC(揮発性有機化合物)なしでなされるべき塩の合成を可能にするため特に好ましい。
【0138】
塩を形成するアミンは、リン含有酸との塩の形成が可能な少なくとも1つの窒素を含む。N−アルキル化ピペリジニル部分を含有するヒンダードアミンにおいて、例えば、塩形成は、ピペリジニル窒素、発生種、例えば(しかしこれに限定するものではない):
【0139】
【化1】

【0140】
を含むことができる。
【0141】
塩を形成できるアミン化合物中に1つの窒素が存在する場合、アミン化合物1モル当たり1モルのリン含有酸を使用する。塩を形成できるアミン化合物中に2つ以上の窒素原子が存在する場合、アミン化合物1モル当たり2モル以上の酸を、残存する中和可能な窒素を有さない塩を形成する酸の量またはこの量より若干過剰な量以下で使用できる。
【0142】
アミノ酸のカルボン酸基は、化合物がポリエステル鎖中に反応するという可能性を開拓する。ポリエステル鎖中への反応は、揮発性の低減および抽出性の低減をもたらすことになる。ポリエステル鎖中への反応は、塩の有機部分がヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を有する場合にも達成できる。1つのカルボキシル基またはヒドロキシル基しか有さない場合、塩は末端停止剤として機能できる。全体で2つの反応性基(カルボキシルまたはヒドロキシル)がある場合、塩は常に鎖の末端にあるとは限らない。
【0143】
リン酸塩のリン部分に対する前駆体は、任意のオキシリン酸であることができ、これらに限定するものではないが、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ポリリン酸、ポリ亜リン酸、ピロリン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ホスホネートモノエステル、ピロリン酸モノエステル、ピロリン酸ジエステル、ピロリン酸トリエステル、または、少なくとも1つの酸性水素等をなお有する塩もしくは化合物が挙げられる。P=O基に直接結合した任意のOH基上の水素は酸性である。1つより多い酸性水素を有する化合物は、ポリエーテルオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等によりアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル等の有機基で置換された1つ以上の酸性水素を有することができる。しかし、少なくとも1つの塩形成酸性水素は残存する必要がある。P=O基に直接結合した1つ以上の水素を有するオキシリン酸は、1つ以上のこれらの水素がアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、等の有機基で置換されたものを有することができる。これらの化合物の例としては、これらに限定するものではないが、アルキルホスホン酸、アルキルホスフィン酸およびジアルキルホスフィン酸が挙げられる。アミンと同様に有機基は置換できる。
【0144】
一態様において、1種以上の酸性リン含有化合物と窒素を含む1種以上の塩基性有機化合物との反応によって塩を調製し、リン含有化合物は、好ましくは、式:
【0145】
【化2】

【0146】
(式中、
1およびR2は、独立に、水素、C1-C22アルキル、置換C1-C22アルキル、C3-C8シクロアルキル、置換C3-C8シクロアルキル、ヘテロアリール、およびアリールから選択され;
nは2から500であり;かつ
Xは、水素およびヒドロキシから選択される)
を有する化合物から選択され、そして、窒素を含有する塩基性有機化合物は、式:
【0147】
【化3】

【0148】
【化4】

【0149】
【化5】

【0150】
【化6】

【0151】
【化7】

【0152】
(式中、
1およびR2は、独立に、水素、C1-C22アルキル、置換C1-C22アルキル、C3-C8シクロアルキル、置換C3-C8シクロアルキル、ヘテロアリール、およびアリールから選択される)
を有する化合物から選択される。
【0153】
以下の種類の有機基の各々は、置換または非置換であることができ、すなわち、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、ハロおよび/または他の基、ならびにこれらの任意の組合せを有することができる。有機基は、カーボネート、ケト、エーテル、およびチオエーテル結合、ならびにアミド、エステル、スルホキシド、スルホン、エポキシ等を含むこともできる。この列挙は例示であって限定ではない。
【0154】
3,R4およびR5は、独立に、水素、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキルおよび置換C3-C8−シクロアルキルから選択される(ここで、好ましくは、R3,R4およびR5の少なくともいずれかが水素以外の置換基である);R3およびR4またはR4およびR5は、共同で、これらが結合している窒素原子を伴う環を形成する2価基、例えばモルホリノ、ピペリジノ等を表すことができる。
【0155】
6,R7,R8およびR9は、独立に、水素、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから選択される。
【0156】
10は、水素、−OR6、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキルから選択される。
【0157】
11は、水素、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、−Y1−R3または式:
【0158】
【化8】

【0159】
を有するサクシニミド基から選択され、ここで
12は、水素、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから選択され、芳香環上の3,4または5位に位置でき;
−N(R3)(R4)基は、窒素化合物(5)のピリジン環上の3,4または5位に位置でき;
−CO23およびR1基は、窒素化合物(6)のピリジン環の2,3,4,5,6位のいずれにも位置でき;
Liは、C2−C22アルキレン、−(CH2CH2−Y11-3−CH2CH2−、C3−C8−シクロアルキレン、アリーレンまたは−CO−L2−OC−から選択される2価結合基であり;
2は、C1−C22アルキレン、アリーレン、−(CH2CH2−Y11-3−CH2CH2−およびC3−C8−シクロアルキレンから選択され;
1は、−OC(O)−、−NHC(O)−、−O−、−S−、−N(R1)−から選択され;
2は、−O−または−N(R1)−から選択され;
13およびR14は、独立に、−O−R2および−N(R22から選択され;
Zは、約20以下、好ましくは約6以下の正の整数であり
m1は0から約10より選択され;
n1は、2から約12より選択される正の整数であり;
15およびR16は、独立に、水素、C1-C22−アルキル、置換C1-C22−アルキル、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、およびラジカルAから選択され、ラジカルAは以下の構造:
【0160】
【化9】

【0161】
から選択され;
ラジカルA構造で、*は結合の位置を指定する。
【0162】
好ましくは、R15およびR16の少なくともいずれかがAラジカルであり;そして酸性リン含有化合物のリン原子の数の、塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数に対する比は、約0.05から約2、好ましくは約0.25から約1.1である。
【0163】
用語「C1-C22−アルキル」は、1から22個の炭素を有する飽和炭化水素基を示し、直鎖でも分岐鎖でもよい。このようなC1-C22−アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、tertブチル、ネオペンチル、2−エチルヘプチル、2−エチルヘキシル等であることができる。用語「置換C1-C22−アルキル」は、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、アリール、ヘテロアリール、C3-C8−シクロアルキル、置換C3-C8−シクロアルキル、C1-C6−アルコキシ、C2-C6−アルカノイルオキシ等から選択される1つ以上の置換基で置換されていることができる上記のC1−C22アルキル基を意味する。
【0164】
用語「C3-C8−シクロアルキル」は、3から8個の炭素原子を有するシクロ脂肪族炭化水素基を意味するのに用いる。用語「置換C3-C8−シクロアルキル」は、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン等から選択される少なくとも1つの基を有する上記で説明したC3-C8−シクロアルキル基を示すのに用いる。
【0165】
用語「アリール」は、共役芳香環構造中に6,10または14個の炭素原子を含む芳香族基を意味するのに用い、これらの基は、C1−C6−アルキル;C1−C6−アルコキシ;フェニル、およびC1−C6−アルキル,C1−C6−アルコキシ,C3-C8−シクロアルキルで置換されたフェニル;ハロゲン;ヒドロキシ;カルボキシ:シアノ;トリフルオロメチル等から選択される1つ以上の基で任意に置換されている。典型的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、フェニルナフチル、アントリル(アントラセニル)等が挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、2から約10個の炭素原子およびアリール基上の可能な置換基として上記した基で置換されたこれらのヘテロアリール基との組合せで硫黄、酸素、窒素またはこれらの組合せから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む共役環式基を説明するのに用いる。典型的なヘテロアリール基としては:2−および3−フリル、2−および3−チエニル、2−および3−ピロリル、2,3および4−ピリジル、ベンゾチオフェン−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、ベンズオキサゾール−2−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、イソチアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、キノリル等が挙げられる。
【0166】
用語「C1−C6−アルコキシ」および「C2−C6−アルカノイルオキシ」は、−O−C1−C6−アルキル基および−OCOC1−C6−アルキル基をそれぞれ表すのに用い、「C1−C6−アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む飽和炭化水素を意味し、直鎖でも分岐鎖でもよく、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、フェニル、ヒドロキシ、カルボキシ、アセチルオキシおよびプロピオニルオキシ、から選択される1つ以上の基で更に置換されていてもよい。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表すために用いる。しかし塩素および臭素が好ましい。
【0167】
用語「C2−C22アルキレン」は、2から22個の炭素を含み、直鎖でも分岐鎖でもよく、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、C1−C6−アルコキシ、C2−C6−アルカノリルオキシおよびアリールから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい2価の炭化水素基を意味するために用いる。用語「C3−C8−シクロアルキレン」は、3から8個の炭素原子を有する2価のシクロ脂肪族基を意味するために用い、そしてこれらは任意に1つ以上のC1−C6−アルキル基で置換される。用語「アリーレン」は、1,2−、1,3−および1,4−フェニレン基を意味するのに用い、これらは任意にC1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシおよびハロゲンで置換される。
【0168】
好ましいヒンダードアミンは、アルキル置換されたピペリジニル部分および/またはトリアジン部分を含み、より好ましくは、少なくとも1つのアミン基がトリアジン部分およびアルキル置換されたピペリジン部分の両者によって置換されたヒンダードアミンである。最も好ましいヒンダードアミンにおいて、アミノ基含有部分は、アルキレン基、好ましくは(−CH2−)n基(nは2〜12、好ましくは4〜10、そして最も好ましくは6または8)によって結合している。最も好ましいヒンダードアミンは、式:
【0169】
【化10】

【0170】
の繰返し単位を含むCyasorb(登録商標)UV−3529である。
【0171】
本発明により提供される新規組成物のアミン成分の塩は、酸性リン含有化合物および塩基性窒素含有有機化合物を好適な方法で一緒にすることによって調製できる。好適な方法は、酸性リン含有酸と塩基性有機化合物とを接触させることを含む任意の手順である。例えば、酸性リン含有化合物および塩基性窒素含有有機化合物を適切な溶媒中および混合溶液中に溶解させることができ、次いで反応生成物を沈殿させること;リン含有酸および塩基性有機化合物を溶媒なしで混合すること等である。
【0172】
酸性リン含有化合物中の酸性オキシリン基の数の、塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数に対する比は、約0.05から約2、好ましくは約0.25から約1.1の範囲内であることができる。大過剰の未反応リン含有酸性化合物を含む組成物は、ポリエステル製造、濃縮物製造(存在する場合)またはプレフォーム製造における加工設備の腐食をもたらす場合がある。
【0173】
本発明において使用する触媒系は、少なくとも部分的に極めて容易に不活性化される場合があるため、アンチモン触媒系で好適でないことが既に見出されたリン化合物,例えば酸性リン化合物の一部または全部エステルは、ポリマー溶融物中でおよび本発明の方法においてここで使用できる。更に、アンチモン触媒系でのヘイズの増大の原因となることが見出されたリン化合物,例えば亜リン酸もまた、灰色または黒色への金属の還元によるヘイズの増大に作用することなく、触媒系においてここで使用できる。
【0174】
この方法で用いるリンの量は、アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリの触媒を部分的または全体的に不活性化することによって、溶融相中で生成するポリマーの再溶融時に発生するAAの量を低減するのに有効である。アルミニウム、アルカリまたはアルカリ土類金属、および溶融物中に存在する任意の他の触媒金属の累積量について考慮する。リンのモル数の、アルミニウムならびにアルカリ土類金属またはアルカリ金属の総モル数に対するモル比(P:M MR、ここでMは、アルミニウム、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の合計の累積モル数とされる)は、一般的に、少なくとも0.1:1、または少なくとも0.3:1、または少なくとも0.5:1、または少なくとも0.7:1、または少なくとも1:1、および約5:1以下、より好ましくは約3:1以下、または2:1以下、または1.8:1以下、または1.5:1以下である。ポリマーIt.V.における損失を最小化するために、リン化合物のポリエステル溶融物への添加時には、過剰に多量のリン化合物は回避するのがよい。P:M MRの好ましい範囲は、0.5から1.5である。
【0175】
本発明のある態様において、ポリエステルポリマー組成物は、ポリエステルポリマー質量基準で、アルミニウム原子を10ppmから100ppm、または15から60ppm、または20から40ppmの範囲で含み、アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ原子のモル数を、アルミニウム原子のモル数で除したものは、0.5から6、または1から5、または2から4の範囲であり、そしてP:M比は、0.1から3、または0.3から2、または0.5から1.5の範囲内である。好ましくは、ポリエステルポリマー組成物は、アルミニウム、および、リチウムまたはナトリウムまたは両者の組合せの少なくとも1つを含む。
【0176】
本発明の利点の1つは触媒系を不活性化できる容易性であるため、重縮合速度を遅らせることになるリン化合物をあまり早期に添加しないように注意するのがよい。所望のリンの最終量の添加は重縮合の実質的な完了時およびその後にのみ完了するのがよく、好ましくは、重縮合の実質的な完了またはその後まで、所望のリン化合物の最終量を、溶融相製造プロセスにおけるポリマー溶融物に添加しないのがよい。
【0177】
リン化合物を溶融相重合において添加する態様においては、リンの最終量によって、溶融相加工プロセスを出るポリエステルポリマー中のまたはペレット中に現れるものとしての、所望されるリンの最終量が意味される。所望される場合には、最終量に相当するリンの一部を、重縮合の過程またはその後であるが以下で更に説明する固化の前に後添加することを条件に、一部の量のリン化合物を溶融相加工プロセスの早期、例えば重縮合の初期に添加してもよい。
【0178】
多量のリンを添加する場合のIt.V.損失を最小化するために、または中程度または最適な量のリンを添加する場合にも潜在的なIt.V.損失を更に最小化するために、リン化合物はそのまま(neat)で、すなわち85%以上のリン酸の場合のように更に希釈することなく添加することが望ましい。担体を用いる場合、担体は非反応性、すなわちポリマー鎖の崩壊もAA発生量の増大もさせないことが好ましい。水、アルコール、グリコール、およびより低分子量のPETは、ポリマー鎖を崩壊させることが知られている。最小量のリン化合物および関連するIt.V損失が一旦既知になれば、目標It.V.を実現できるように、不活性化/安定化の前に形成されるIt.V.が予想されるIt.V.損失の量の分だけより高いような溶融相プロセスを実施できる。
【0179】
リン化合物を溶融相重合プロセスに加える一態様においては、重縮合の過程の間で固化の前に触媒安定剤をポリエステル溶融物に後添加する。重縮合反応の過程の間に、以下の条件の1つ以上を満足する時点でまたはその後でポリエステル溶融物の固化前に、不活性化剤をポリエステル溶融物に後添加する:
a)ポリエステル溶融物のIt.V.が少なくとも0.50dL/gに到達すること、または
b)ポリエステル溶融物に適用される減圧(存在する場合)を解放すること、または
c)溶融相重合プロセスにおいてポリエステル溶融物が存在する場合、ポリエステルポリマーを形成するための最終反応器内で、もしくは最終反応器とポリエステル溶融物をカットするためのカッター前との間でリン化合物を添加すること、または
d)溶融相重合プロセスにおいてポリエステル溶融物が存在する場合、ポリエステル溶融物を重縮合するための時間の少なくとも85%に続いて、または
e)ポリエステル溶融物のIt.V.が固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dL/g以内であること、または
f)ポリエステル溶融物が固化する20分以下の範囲内の点。
【0180】
一態様において、ポリエステル溶融物が少なくとも0.50dL/g、または少なくとも0.55dL/g、または少なくとも0.60dL/g、または少なくとも0.65dL/g、または少なくとも0.68dL/g、または少なくとも0.70dL/g、または少なくとも0.72dL/g、または少なくとも0.76dL/g、または少なくとも0.78dL/gのIt.V.、そして最も好ましくは、不活性化剤を添加する時点に関わらず、溶融相製造を出る、得られるポリマーが少なくとも0.68dL/gのIt.V.を得た後に、不活性化剤をポリエステル溶融物に添加する。
【0181】
他の態様において、重縮合反応を行うポリエステル溶融物から減圧を解放する間もしくは後に、または、重縮合ゾーン内または反応器内の圧力を、300mmHg以上、もしくは450mmHg以上、もしくは600mmHg以上のレベル、もしくは環境圧力以上とした後、および好ましくはポリエステル溶融物が固化する前に、ポリエステル溶融物に不活性化剤を添加する。
【0182】
他の態様においては、最終反応器の近傍もしくは端部または最終反応器とカッター前との間の位置で不活性化剤を添加する。例えば、不活性化剤は、最後の重縮合反応器の出口、または最後の重縮合反応器を直接もしくは間接に接続するパイプ、およびカットのためにダイ板を経て溶融物を駆動するための推進力を与えるギアポンプもしくは押出機(ここで前記のパイプは、最後の重縮合反応器の出口または底部の背部にまたは近接して方向付けられる)、または最後の重縮合反応器へのパイプ入口、に最も近い位置で最後の重縮合反応器に添加する。
【0183】
更に他の態様において、不活性化剤は、重縮合時間の少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または約100%に続けてポリエステル溶融物に添加する。重縮合時間は、重縮合ゾーンの出発点と最後の重縮合反応器からのポリエステル溶融物の出口との間で経過する時間の指標である。
【0184】
更なる態様において、不活性化剤は、ポリエステル溶融物のIt.V.が、固化時に得られるIt.V.の0.10dL/g以内、または05dl/g以内、または0.030dL/g以内、または0.02dL/g以内である時点でポリエステル溶融物に添加する。
【0185】
更に他の態様において、不活性化剤は、ポリエステル溶融物の固化の20分以下の範囲内、または10分以下の範囲内、または5分以下の範囲内、または3分以下の範囲内の点でポリエステル溶融物に添加する。ポリエステル溶融物の固化は、典型的には、溶融物がダイ板を経て水浴中に強制的に送られてペレットにカットされる際に、または溶融物が成形物品にインジェクション成形される溶融−成形プロセスにおいて生じる。
【0186】
更により好ましい態様において、ここに規定する態様の各々が連続加工プロセスにおいて生じ、定常状態運転における溶融相プロセスの生成量は、ポリエステルポリマーの少なくとも1トン/日、または少なくとも50トン/日、または少なくとも100トン/日、または少なくとも200トン/日、または少なくとも300トン/日、または少なくとも400トン/日、または少なくとも500トン/日である。
【0187】
0.40dL/gのIt.V.から、少なくとも0.68dL/gから0.80dL/gの範囲内のIt.V.を経ておよびこれに至る溶融物の反応時間は、150分以下、または100分以下、または80分以下、または50分以下である。好ましくは、この範囲で適用される圧力は約2mmHg以下、および約0.05mmHg以上である。
【0188】
後でまたは溶融相プロセスの終点近傍で触媒を安定化または不活性化することにより、AA捕捉剤の不存在下で、後続の溶融加工中のAAの発生量がより少ないポリエステル粒子を得ることができる。リン化合物の後添加により、Al/アルカリ土類金属またはアルカリ触媒系は、触媒不活性化剤/安定剤の存在なしで形成されたポリエステルポリマー、またはリン化合物で同様に後不活性化された従来のアンチモン触媒で形成されたポリエステルよりもAA発生量が少ないポリエステルポリマーを生成できる。
【0189】
アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリの系で触媒されたポリエステル溶融物へのリン化合物の後添加により、AA捕捉剤または他のAA低減添加剤の添加を必要とせずに、水ボトル用途における使用に対して十分低いAAレベルおよびAA発生量を有するポリエステルポリマーを得ることがここで可能である。更に、AA低減添加剤の存在なしで低いAAレベルおよび低いAA発生量の両方を有するこの種のポリマーは、高It.V.(少なくとも0.68dL/g、または少なくとも0.70dL/g、または少なくとも0.72dL/g、または少なくとも0.74dL/g、または少なくとも0.76dL/g)で、ポリマーを固相重合させる必要なく溶融相中に得ることができる。
【0190】
更に、リン化合物の後添加により、ポリマーがアルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリの系で275℃で形成されるか280℃で形成されるかに関わらず、水用途に対して好適なAA発生量を得ることが可能である。重縮合速度は、280℃では275℃でよりも顕著に速いため、アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリ触媒系はまた、より短い完成器時間またはより速い生成速度の潜在性を有する。同じ温度では、この触媒系の多くの組合せはアンチモン触媒よりも活性であり、すなわち、同じIt.V.に到達するための所要時間が少ない。より高い重縮合温度とより高い固有の触媒活性との組合せにより、アンチモン触媒と比べてより短い完成器時間またはより速い生成速度の傾向となる。
【0191】
特により高いAlレベルおよび/またはより高いアルカリ土類金属またはアルカリ金属のレベルで、ポリエステル溶融物へのリン化合物の後添加により、ポリマー中の粒子ヘイズが顕著に低減され、より良好な明澄性を有する成形物品がもたらされる。PET中のより高いAlレベルおよび/またはより高いアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属のレベルにより生成速度が増大するため、リン化合物の後添加は、ヘイズを最小化する一方で生成速度の最大化を促進する。
【0192】
アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリ金属の系により触媒された結晶化ポリマーは、アンチモン系により触媒された結晶化ポリマーと比べて、より明るいかまたはより高いL*色値を有する傾向がある。更に、アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリの系により触媒されたポリエステル溶融物へのリン化合物の後添加は、リンなしの場合と比べて、結晶化した際に更により高いL*色値または高い明度を有するポリマーであって、一層幾らか高いIt.V.を有する場合があるものを生成する。例えば、本発明の方法により得られる結晶化ポリエステルポリマーは、L*の少なくとも70、または少なくとも73、または少なくとも76、または少なくとも79を有する。
【0193】
溶融相プロセスの終点近傍でリン化合物を添加するとともに、アルミニウム/アルカリ土類金属またはアルカリの触媒系を用いて溶融相のみで形成されるPETは、水ボトル用途のために、溶融時に十分低いAA発生量を有することができる一方、従来のアンチモン触媒を用いて形成されるPETと比べたときの、完成器時間の低減または生成速度の増大、溶融物からのより遅い結晶化速度、より低い融点、より低いヘイズ、ならびにトナーまたはコバルトまたは窒化チタンを青味添加剤および再加熱添加剤として用いた調色後の同様のまたは改善された黄色度および明度も示す。溶融物からのより遅い結晶化は、明澄なプレフォームを成形するためのインジェクション成形プロセスの押出部分において必要な熱が少ないことを意味し;従って、冷却時間はより短く、従って、インジェクション成形サイクル時間が低減され、すなわち、更に、単位時間当りに明澄なボトルプレフォームを形成できる。再溶融時の低いアセトアルデヒド発生量の特性により、炭酸入りソフトドリンク市場および水ボトル市場の両者における両用能力を有する単一ポリマーが与えられる。より遅い結晶化速度および付随するより短いサイクル時間の組合せ、1種のポリマーレジンを水市場およびCSD市場の両方に使用することは、AA低減添加剤を使用する費用を回避する。
【0194】
上記した溶融相プロセス条件および反応器構成は溶融相プロセスの例示であって、本発明はこの例示のプロセスに限定されないことを理解すべきである。例えば、特定の別個のIt.V.値で種々の運転条件の参照がなされているが、記載したIt.V.値の内側もしくは外側の種々のプロセス条件を実施でき、または、記載した運転条件は、記載した以外の溶融物におけるIt.V.点で適用できる。更に、溶融物のIt.V.を測定または予測することに代えて反応時間に基づいてプロセス条件を調整できる。プロセスはまた、直列もしくは並列のタンク反応器の使用または各ゾーンに対して異なる容器を使用することに限定されるものではない。プレポリマーゾーンおよび完成ゾーンに重縮合反応を分割することもまた不要である。重縮合反応は、1つの重縮合反応器内で時間と共に運転条件における一連の僅かなバリエーションを伴って、または直列の多くの反応器内で、バッチ、半バッチ、または連続プロセスのいずれもで行うことができるからである。
【0195】
所望のIt.V.を得た時点で、溶融相反応器内の溶融ポリエステルポリマーを溶融相生成物として放出し、好ましくはアセトアルデヒド阻害剤をポリマー溶融物に添加することなく固化させる。アセトアルデヒド阻害剤の添加を回避することは望ましい。アセトアルデヒド阻害剤はコスト高であり、そして、特にAAおよび阻害剤の反応生成物が着色している場合、黄色を消す調色後のポリエステルポリマーのb*色の増大またはそのL*色の低下の原因になる可能性があるからである。AA阻害剤が熱安定性または揮発性の問題を有する場合には、高熱および高度の減圧が適用される重縮合ゾーン内の完成器内で阻害剤を添加する際に、既知量の阻害剤のAA低減における有効性が影響を受ける場合がある。
【0196】
アセトアルデヒド阻害剤は、物理的力または化学反応によってアセトアルデヒドと相互作用してアセトアルデヒドと結合し、そのポリエステルポリマーからの放出を防ぐ化合物またはポリマーである。アセトアルデヒド前駆体の形成および前駆体がAAを形成する後続の反応を防ぐというよりも、阻害剤は、アセトアルデヒドに結合することによって作用する。
【0197】
アセトアルデヒド阻害剤は当業者に公知である。例としては、米国特許第U.S.5,266,413、U.S.5,258,233およびU.S.4,8837,115に開示されるもの等のポリアミド;米国出願第595,460,1996年2月5日出願、に開示されるもの等のポリエステルアミド;ナイロン6および他の脂肪族ポリアミド,例えば日本国特許出願、特願昭62−182065(1987)に開示されるもの;エチレンジアミン四酢酸(米国特許第4,357,461)、アルコキシル化ポリオール(米国特許第5,250,333),ビス(4−[bgr]−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン(米国特許第4,330,661),ゼオライト化合物(米国特許第5,104,965),5−ヒドロキシイソフタル酸(米国特許第4,093,593),超臨界二酸化炭素(米国特許第5,049,647および米国特許第4,764,323)およびプロトン酸触媒(米国特許第4,447,595 および米国特許第4,424,337)、および最も周知のアセトアルデヒド阻害剤は、ホモポリアミドおよびコポリアミド,例えばポリ(カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(m−キシリレン−アジパミド)、および活性メチレン基を有する任意の他の化合物またはポリマー等が挙げられる。
【0198】
溶融相生成物は、非晶ペレット等の所望の形状に加工する。ポリエステルポリマーペレットの形態は限定されず、規則的または不規則な形態の別個のペレットを、これらの寸法の限定なく含むことができ、星形、球形、回転楕円体形、球様形、筒形のペレット、従来のペレット、錠形(pastille)、および任意の他の形態を含むが、ペレットはシート、フィルム、プレフォーム、ストランドまたは繊維からは区別される。
【0199】
ペレットの数平均質量(数平均分子量と混同すべきでない)は特に限定されない。数平均質量は、質量の既知単位当りのペレットの数を意味する。望ましくは、ペレットの数平均質量は、100ペレット当り少なくとも0.10g、より好ましくは100粒子当り1.0g超、および100ペレット当り約100g以下である。
【0200】
溶融相プロセスからポリエステルポリマーを固化させるための方法は限定されない。例えば、溶融相からの溶融ポリエステルポリマーはダイを通して方向付け、または単にカットし、または、ダイを通して方向付けた後に溶融ポリマーをカットする両方であることができる。ダイを介して溶融ポリエステルポリマーを駆動するための推進力としてギアポンプを使用できる。ギアポンプの使用に代えて、溶融ポリエステルポリマーを1軸または2軸の押出機内に供給し、任意に押出機ノズルの温度190℃以上で、ダイを通して押出すことができる。ダイを通った時点で、ポリエステルポリマーはストランドに引き込まれることができ、低温の流体と接触し、そしてペレットにカットされ、またはポリマーは、任意に水中で、ダイヘッドでペレット化できる。ポリエステルポリマー溶融物は、任意にろ別し、指定サイズを超える大きな粒状物をカット前に除去する。任意の従来の高温ペレット化またはダイシング法および装置を使用でき、例えば、これらに限定するものではないが、ダイシング、ストランドペレット化およびストランド(強制移送)ペレット化、錠剤成形機(pastillator)、水封ペレタイザー、加熱面ペレタイザー、水中ペレタイザーおよび遠心分離ペレタイザーが挙げられる。
【0201】
ポリエステルポリマーは結晶化可能なものである。ポリエステルポリマーを結晶化させるために使用する方法および装置は限定するものではなく、気体中または液体中での熱結晶化が挙げられる。結晶化は、機械撹拌された容器内;流動化床;流体運動により撹拌された床;非撹拌の容器またはパイプ;ポリエステルポリマーのTgより高温、好ましくは140℃から190℃での液体媒体中での結晶化;または当該分野で公知の任意の他の手段で生じさせることができる。またポリマーは緊張結晶化してもよい。ポリマーはまた、ポリマー温度をそのTgより低温(ガラスによる)として結晶化装置に供給でき、またはポリマーは、ポリマー温度をそのTgより高温として結晶化装置に供給できる。例えば、溶融相重合反応器からの溶融ポリマーは、ダイ板を通して供給して水中でカットし、次いで直ちに、ポリマーが水中で結晶化する水中熱結晶化反応器に供給できる。これに代えて、溶融ポリマーをカットし、そのTgより低温まで冷却し、次いで水中熱結晶化装置または任意の他の好適な結晶化装置に供給できる。または、任意の従来の方法で溶融ポリマーをカットし、そのTgより低温まで冷却し、任意に貯蔵し、そして次いで結晶化することができる。
【0202】
好ましい固化技術によれば、溶融相製造において熱エネルギーがポリマーに影響しないようにして、ポリマーにカットおよび結晶化度少なくとも20%への結晶化の両方がされる前にTg未満に低下させることによってカットと結晶化とが統合される。1つの統合された固化技術において、溶融ポリエステルポリマーは、ダイを通して方向付け、水中、高温で環境圧力超でダイ板にてカットし、そして熱水によりカッターから一連のパイプを経て掃去して、高温液体水中の粒子をポリマーのTgより高温、および好ましくは約130から180℃で熱的に結晶化させる滞留時間を与え、その後、結晶化した粒子から水を分離し、そして粒子を乾燥させる。他の統合された固化技術において、溶融ポリエステルポリマーは水中でカットし、カット後、粒子は直ちに液体水から分離し、粒子を乾燥させ、そして粒子がなお高温である間で粒子の温度がポリマーのTg未満に下がる前に、そして望ましくは粒子温度が140℃超である間に、加熱手段または加圧手段の外部の適用なしで粒子中の潜熱により粒子を結晶化させるのに十分な床高さの運動床を粒子に形成させる表面または容器の上に乾燥器から粒子を方向付ける。このような表面または容器は、望ましくは、Brookman Kreyenborg GmbHから入手可能なもののように、少なくとも部分的に密閉された振動コンベヤーである。
【0203】
結晶化度は、任意に少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%である。溶融相生成物は、好ましくは実質的にチタン触媒残基を含まず、そして直接エステル化プロセスにおいて、好ましくは、溶融相に、アルミニウム原子およびアルカリ土類またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物を含有する重縮合触媒を、アンチモン化合物の添加なしで添加することにより調製する。触媒の存在は、ポリマー溶融物の分子量またはIt.V.が、同一条件下のポリマー溶融物中の化合物の不存在に対して増大するかによって評価できる。よって、許容可能な色を有する溶融相中で形成されるポリエステルポリマーを、これらの固相での分子量の増大を必要とせずに単離し、そして変換装置に与えることができる。溶融相中で高It.V.の生成物を形成することにより、固相ステップを完全に回避できる。固相にすることは、固相におけるペレットの分子量(およびIt.V.)を、通常少なくとも0.05It.V.ユニット、およびより典型的には0.1から0.5It.V.ユニット増大させるために一般的に用いる。典型的には、固相のポリエステル固体のIt.V.は0.70dL/gから1.15dL/gの範囲である。典型的なSSPプロセスにおいて、結晶化ペレットは、180℃から220℃に加熱された窒素ガスの向流の流れを、It.V.を所望の目標まで増大させるのに必要な時間にわたって受ける。
【0204】
結晶化後、所望の場合、ポリエステル粒子上の残留または遊離のAAは必要であれば低減できる。上記したように、ポリエステルペレットを、残留または遊離のAAが低レベルである溶融加工ゾーンに供給することが好ましい。更に、上記したように、ポリエステル組成物のアセトアルデヒド発生量は、触媒が不活性化または安定化されている場合には低い。
【0205】
AA発生量および遊離のAAは、固体粒子上またはプレフォーム上で測定できる。以下の方法は、固体粒子上のアセトアルデヒド発生を測定するために用いる例示的な方法である。
【0206】
ポリエステルポリマー組成物中の遊離AAのレベルを決定するために使用できる方法は、試験法ASTM # F2013−00である。この試験法は、粒子中、粉末中、プレフォーム中、ボトル中、およびポリエステルポリマー組成物がとり得る任意の他の形状の遊離のアセトアルデヒドのレベルを測定するために使用する。残留または遊離のアセトアルデヒドを測定する目的で、試料を以下に説明する方法に従って試験する。しかし、アセトアルデヒドの発生を測定する目的で、試料は、発生したアセトアルデヒドのレベルを評価するために第2の溶融履歴を受けなければならない。試料が、前溶融相重縮合ステップに加えて溶融ステップを受けていない粒子または粉末である場合、試料をまず下記の試料調製手順に従って処理し、その後分析のために試料をASTM # F2013−00試験に供する。
【0207】
試料上の遊離アセトアルデヒドのレベルを測定するための試験手順は、プレフォーム、ペレット、粉末または他の形状に関わらず、ASTM # F2013−00試験法である。試料は、1.0メッシュスクリーンを備えるWiley Millによって低温破砕する。最終的な破砕物質は、粒子サイズ800μm未満である。試料の一部(0.20g)を20mLヘッドスペースバイアルに計り入れ、シールし、次いで150℃で60分間加熱する。加熱後、PETポリマーのシールした試料の上方のガスをキャピラリーGCカラム上に注入する。アセトアルデヒドを分離し、次いで試料中に存在するアセトアルデヒドのppmを算出する。算出されたアセトアルデヒドの量は、試料中に存在する遊離または残留のアセトアルデヒドの量を表す。
【0208】
プレフォーム上のアセトアルデヒド発生量を測定するためには、プレフォームに更なる溶融履歴を与えることなく上記のこのASTM # F2013−00法を用いることは十分である。プレフォームを形成するため、ペレットはインジェクション成形前に押出機内で溶融するからである。溶融押出またはインジェクション成形により、ポリマー溶融物中のAA前駆体はアセトアルデヒドに変換される機会を有する。
【0209】
アセトアルデヒド発生量は固体粒子上で測定できる。しかし、アセトアルデヒドの発生を測定する目的で、試料は、発生したアセトアルデヒドのレベルを評価するために第2の溶融履歴を受けなければならない。試料が、前溶融相重縮合ステップに加えて溶融ステップを受けていない粒子または粉末である場合、試料をまず下記の試料調製手順に従って処理し、その後分析のために試料をASTM # F2013−00試験に供する。
【0210】
試料調製:アセトアルデヒド発生量を測定する目的で、および溶融相のみで製造される試料が溶融相重縮合に続く溶融履歴を有さない場合、試料をASTM # F2013−00試験に供する前にこの方法に従って調製する。3mmスクリーンを通過するように破砕したポリマー粉末の試料を、オーブン内115℃で減圧下(25〜30in.Hg)で4SCFH窒素パージしながら少なくとも48時間加熱する。1晩の乾燥は水除去のみについては十分で固体状態の試料について必要な全てであるが、この長いオーブン処理はまた、AA発生試験前の溶融相のみの合成の後に高IV粉末中に存在する残留AAを約1ppm以下に脱着させる。より大きい粒子サイズ(より長い拡散パス)によって、残留AAをペレットから約1ppm以下まで脱着させるために、より長時間を要する。ペレット上に、遊離アセトアルデヒドのレベルを約1ppm以下まで低減させる任意の好適なアセトアルデヒド脱蔵技術を採用でき、残留アセトアルデヒドを所望のレベルまで低減させるのに十分な時間、高温不活性ガスをペレット全体に通すことが挙げられる。アセトアルデヒド脱蔵温度は170℃を超えないのがよい。次いで予熱したTinius Olsen押出可塑度計中に、鋼棒を用いて試料を詰め込む。ASTM D 1238に従ってオリフィスダイを調整する。少量の材料を底部からパージして出し、次いで塞ぐ。ピストン棒アセンブリをバレルの頂部に入れる。225gの重りをピストン棒の頂部上に置いて棒をバレルの下内部に保持することができる。ポリマーは295℃で5分間保持する。次いでオリフィス栓をバレルの底部から除去する。大きい質量およびオペレータ圧力を介して、押出品をバレルから氷水浴中に押出す。押出品を押さえて水気を切り、袋中に密封して、ASTM # F2013−00試験を行うまで冷凍庫内に置く。
【0211】
これに代えて、CEAST Model 7027 Modular Melt Flow機器を用いる。温度295℃を維持して5分間、機器のファームウエアにおいて規定される一定流速で溶融PET材料を押出すAA発生プログラムを開始させる。押出品をバレルから氷水浴中に押出すのに従って試料を収集し、押さえて水気を切り、袋中に密封して、ASTM # F2013−00試験を行うまで冷凍庫内に置く。
【0212】
アセトアルデヒドは、Ceast Model 7027 Modular Melt Flowまたは任意の類似の押出可塑度計機器によって、ポリエステルレジン中に発生する可能性がある。この機器の自動機能は、押出バレル内側のポリマーについての一定接触時間を維持することによって試験のばらつきを低減させる。機器のこの粒子モデルは、試験手順の開始時のレジンの自動充填を組み入れる。該機器は、ピストンがバレルの底部より上の特定の高さになるまで材料をバレルから押出すモーター駆動の土台を備える。次いで土台はピストン棒を所定位置に保持し、レジンを加熱してアセトアルデヒドを発生させる。所定の保持時間の終点で、土台は、一定スピードで走行しながらレジンの残りをバレルから押出す。これらのステップは、最終押出ステップを通じた材料の充填による結果におけるばらつきの可能性を排除する。ポリマー充填におけるばらつきはバレルの設計によって低減されるが、ポリマーの充填は自動ではない。
【0213】
アセトアルデヒドは、265℃から305℃の温度範囲を通じて上記の様式で発生する可能性がある。最も一貫性がある結果は、285℃から295℃の間で得られる。レジンがバレル内側に保持される時間の長さが2から15分の間の場合に良好な結果を示す。5から10分間の範囲は材料間の最良の再現性および差異を示す。本発明について記載されるAA発生数については、295℃および5分間を用いた。
【0214】
アセトアルデヒド発生および試験のこの方法の使用により、アセトアルデヒド発生についてのポリエステルレジンのスクリーニングが、評価のための多量の材料、例えばボトルプレフォームの成形物を必要とせずに可能になる。このプロセスでは僅か10グラムの材料を使用してラボ試料を試験するために望ましいものとすることができる。
【0215】
本発明においては、溶融相のみの合成のポリエステルポリマー粒子の供給物を、低い残留アセトアルデヒドと低いアセトアルデヒド発生量との両者を有する後続の溶融加工ステップ(例えば、押出/インジェクション成形)に与えることがここで可能である。有利には、ポリエステル粒子の溶融相生成は、低レベルの残留アセトアルデヒド(<10ppm)を有するポリエステルポリマー粒子を生成するために、低い生成温度に制御する必要も限定する必要ももはやない。これに代えて、残留アセトアルデヒドが低レベルでアセトアルデヒド発生が低いポリエステルポリマー粒子は、ポリエステルポリマーの溶融相生成により、許容可能な生成量または製造量で、ここで得ることができる。この方法により、アセトアルデヒド阻害剤の添加が必要ないかまたは望ましくない、幅広い加工ウインドウの堅固な溶融相生成プロセスが実行可能であり、これにより、ポリエステルポリマーを高It.V.に向上させることができる。この方法により、アセトアルデヒド阻害剤の添加が必要ないかまたは望ましくない、幅広い加工ウインドウの堅固な溶融相生成プロセスが実行可能であり、これにより、アルミニウム/アルカリ金属またはアルカリ土類金属触媒組成物を使用することが可能になり、そしてポリエステルポリマーを高It.V.に向上させることができる。アルミニウム/アルカリ金属またはアルカリ土類金属触媒を不活性化して、溶融相のみの製造プロセスにおいて減圧を解放した後および後続の溶融加工の間に、後続の輸送パイプ内でアセトアルデヒド前駆体の変換が急速に生じないようにすることにより、プレフォームを形成するために適合する粒子をインジェクション成形機に与えることができる。
【0216】
他の態様において、極めて低レベルの残留アセトアルデヒド(<3ppm)を有するポリエステルポリマー粒子は、残留アセトアルデヒドの後溶融相重縮合脱離により得られる。よって、粒子が溶融相生成プロセスから得られた時点で、粒子中に存在する残留アセトアルデヒドは従来の手段によってまたは以下の好ましい手段によって更に低減される。固体粒子中の残留アセトアルデヒドの量は、高価で顕著な分子量の上昇をもたらす固相重合プロセスの他の技術によって低減される。望ましくは、固体粒子中の残留アセトアルデヒドは固体状態において10ppm以下のレベルまで、粒子のIt.V.の0.03dL/gを超える増大なく低減される。より好ましいこの態様において、粒子は、これらのアセトアルデヒドのレベルを低減させるために再溶融および脱蔵せず、粒子は、粒子のIt.V.の0.03dL/gを超える上昇をもたらす固相重合技術を受けることもない。より好ましくは、固体粒子中の残留アセトアルデヒドのレベルは、5ppm以下のレベルまで低減される。最も好ましくは、固体粒子中の残留アセトアルデヒドのレベルは、2ppm以下のレベルまで低減される。
【0217】
粒子中のアセトアルデヒドを低減させるための任意の従来技術は、固相重合技術以外は好適であり、好ましくは、再溶融/脱蔵によるもの以外である。例えばAA発生量試験用の試料調製の一環としての既に記載した減圧手順である;しかしより大きいスケールでは容器でオーブンを置き換えることになる。
【0218】
固体粒子において、分子量を0.03dL/gを超えて上昇させることなくアセトアルデヒドのレベルを低減するための他の技術が、アセトアルデヒド揮散としてここで言及される。この方法により、粒子を容器内に導入して容器内に粒子の床を形成し、そして1時間当りの粒子ポンド当り0.15SCFMを超えないガス流量で導入されるガス流と床を接触させることによって粒子の残留アセトアルデヒドを低減させ、そして残留アセトアルデヒドの低減された量を有する容器から完成粒子を取出す。
【0219】
ガス揮散操作において、空気等のガスまたは窒素等の不活性ガスは、ポリエステルポリマー粒子と並流または向流のいずれかで、好ましくは粒子の流れに対して向流で、容器中で連続プロセスまたはバッチプロセス、好ましくは連続プロセスで接触する。AA揮散容器内に導入されるガスの温度は特に限定するものではなく、環境温度から180℃の範囲であることができるが、好ましくは環境温度から70℃、または約50℃以下、または約40℃以下、そしてより好ましくは約環境温度である。揮散容器から出るガスの温度は、概略、容器内に導入されるペレットの温度になる。よって、粒子を100℃で導入する場合、ガスの出口温度は約100℃+/−20℃になる。容器から出るガスの温度は、固体状態において粒子の分子量が0.03dL/gを超えて上昇する温度を超えないのがよい。粒子の滞留時間は、ガス温度および粒子質量/ガス比に左右されるが、一般的には、滞留時間は1時間から30時間の範囲である。ガス組成物は特に限定するものではないが、窒素、二酸化炭素、または大気が挙げられる。ガスの機能はペレットを乾燥させることではなく残留AAをペレットから揮散させることであるため、ガスは乾燥されている必要はない。しかし所望の場合ガスが乾燥されていてもよい。
【0220】
アセトアルデヒドのガス揮散は、物品を形成するために押出機に供給するドライヤー内でも起こることができるが、ドライヤー内で使用するガス流を低減し、および/または押出機から形成される物品の質を改良するために、既に残留アセトアルデヒドが10ppm以下であるポリマー粒子をドライヤーに供給することが好ましい。更に、AA揮散プロセスにおいて、乾燥ガスはAAを粒子から揮散させる必要がない一方、乾燥プロセスにおいては、乾燥空気流は、一次的には粒子上または粒子中の湿度を低減させ、二次的な利点ではAAの除去もするために、粒子を介して循環する。よって、AA揮散プロセスにおいて、環境空気は、揮散媒体として用いることができ、およびこれが好ましい。本発明は、残留AAレベルを劇的に低減するため、溶融相生成物中の5ppm残留AA以下で開始する場合に、別個のAA揮散ステップをなくし、物品を形成するために押出機に供給するドライヤー中でAAを2ppm以下により低くすることが可能である場合がある。ドライヤー温度、ガス流、乾燥剤種および滞留時間は、物品を形成するために押出機に供給するドライヤー内のAA揮散の効率に影響することになる。
【0221】
AA揮散容器を採用する場合、It.V.が少なくとも0.68dL/gであり、結晶化度が20%から55%の範囲であり、そして残留アセトアルデヒドレベルが5ppm以上、または10ppm以上である粒子を、好ましくは容器の上端を介して高温粒子(例えば100℃から180℃)として容器に供給し、AA揮散の効率を増大させて重力により容器の下端に向かって流れるペレットの床を形成する一方、環境空気等のガスの向流の流れを、該床を介して循環させて、前記のガスは環境条件から70℃、または環境から40℃の温度で容器内に導入し、これにより容器内に導入される粒子上の残留AAのレベルを低減させる態様が提供される。粒子は、ガスの向流の流れの中へこれらを導入して約0.5から30時間以内に容器から取出す。容器は加圧できるが、ガス流によって発生する圧力によるものを除いては加圧しないことが好ましい。容器は好ましくは約0〜5psig、または環境圧力で操作する。
【0222】
揮散させた粒子上に存在する残留アセトアルデヒドのレベルは、10ppm以下、または7ppm以下、または5ppm以下、または3ppm以下、または2ppm以下、または1.5ppm以下である。溶融相重縮合から得られ、そして揮散容器に供給される粒子上に存在する残留アセトアルデヒドのレベルは、一般的に、5ppm以上、または10ppm以上、または20ppm以上、または25ppm以上、または30ppm以上である。別の態様において、揮散容器に入るペレットと容器から出るものとの残留アセトアルデヒドレベルの差は、少なくとも2ppm、または少なくとも5ppm、または少なくとも10ppm、または少なくとも20ppm、または少なくとも30ppmである。
【0223】
ガスは、任意の従来の手段,例えばブロアー、ファン、ポンプ等によって容器内に導入できる。ガスは、並流または向流で、粒子の流れに向かってまたは交差して、容器を通過して流すことができる。粒子の床を通過するガスの好ましい流れは、床を通過する粒子流に対する向流である。ガスは、容器から出る粒子中のアセトアルデヒドのレベルを容器に供給されるものと比べてより低くするのに効率的な、容器の任意の所望の点で導入できる。好ましくは、ガス導入点は、容器内の床高さの下半分であり、そしてより好ましくは床高さの下側1/4である。ガスは、粒子床の少なくとも一部を通過して、好ましくは床の少なくとも50体積%を通過して、より好ましくは粒子床体積の少なくとも75%を通過して流れる。本発明における使用のためには任意のガス,例えば空気、二酸化炭素および窒素が好適である。幾つかのガスは、容易に入手可能であり低コストであるために他よりも好ましい。例えば、窒素よりも空気を使用することは、顕著な操業コスト改善をもたらすことになる。窒素は、ペレットの変色をもたらし他に多くのポリエステルポリマーと環境空気中の酸素との間に生じることになる酸化反応に対して不活性であるため、予熱器または固相化装置の内部等の180℃超での粒子の床を介してガスの高温流を通過させる操作において、窒素ガスの使用は必要であると考えられた。しかし、容器から出るガスが190℃を超えないようにプロセス温度を低く維持することにより、粒子の変色は最小化される。一態様において、ガスは、90体積%未満の窒素、または85体積%未満の窒素、または80体積%未満の窒素を含む。別の態様において、ガスは、酸素を17.5体積%以上の量で含む。環境組成(容器が設置されるプラント建設地での空気の組成)の空気、または分離または精製されていない空気を用いることは好ましい。望ましくは、ガス入口を介して環境空気を供給する。空気は所望の場合乾燥させることができるが、目的はアセトアルデヒドを粒子から除去することであるため、空気を乾燥させることは必要ではない。
【0224】
粒子を収容し、ガスおよび粒子を容器内にまたは容器から供給できるようにするための任意の容器が好適である。例えば、少なくともガス用の入口、およびポリエステルポリマー粒子用の入口、ガス用の出口、および完成粒子用の出口を有する容器が提供される。容器は保温のために好ましくは絶縁されている。ガス入口および完成粒子出口は、望ましくは、ガス出口および粒子入口の下に、好ましくは、ガス出口および粒子入口が容器頂部に向かい、そしてガス入口および完成粒子出口が容器底部に向かうように設置される。ガスは、望ましくは容器内の床内に約1/2以上で、またはより望ましくは容器内に床高さの下側約1/4で導入する。粒子は好ましくは容器の頂部で導入し、そして重力によって容器の底部に移動する一方、ガスは、好ましくは粒子流の方向に対して向流で流れる。粒子は、容器内に堆積して粒子の床を形成し、そして粒子はゆっくりと容器の長さ方向を重力によって容器の底部の完成粒子出口まで降下する。床高さは限定するものではないが、好ましくは、連続プロセスにおいて実質的に一定の高さであり、そして粒子を揮散ゾーン内に収容する容器の高さの少なくとも75%である。容器は好ましくはアスペクト比L/Dの少なくとも2、または少なくとも4、または少なくとも6を有する。プロセスは、粒子が流れないためにガスの流れが任意の方向に粒子の床を介して通過できるバッチ式または半バッチ式で行うことができるが、プロセスは、好ましくは、粒子が容器に供給されるのに従って粒子流が連続的に粒子入口から完成粒子出口まで流れる連続である。
【0225】
容器内に導入され、粒子床の少なくとも一部を介して通過する好適なガス流量は、容器から出る粒子上の残留アセトアルデヒドの量を容器内に導入されるものよりも低くするのに十分なものである。例えば、1時間当りに容器に放出される1ポンド毎の粒子について、容器内に導入される好適なガス流量は、少なくとも0.0001標準立方フィート毎分(SCFM)、または少なくとも0.001SCFM、または少なくとも0.005SCFMである。高流量もまた好適であるが、必要ではなく、そしてガス流量は、ガスポンプ、ファンまたはブロアーによる不必要なエネルギー消費を回避するために十分に低く維持するのがよい。更に、これらの目的のいずれかまたは両者の実現に高いガス流量が典型的に必要となるという理由で、過度の粒子の冷却または粒子の乾燥は望ましくない。1時間当りに放出される1ポンド毎の粒子について、ガス流量は、好ましくは0.15SCFM以下、または0.10SCFM以下、または0.05SCFM以下、または更に0.01SCFM以下である。
【0226】
溶融相プロセスにおいて生成する固体粒子は、295℃で5分間測定した場合に、好ましくは、アセトアルデヒド発生量の20ppm以下、または18ppm以下、または16ppm以下、または13ppm以下、または11ppm以下、または10ppm以下、または8ppm以下を有する。本発明の方法は、粒子を295℃で5分間溶融させて成形物品を形成することを必要としない。
【0227】
検討されたレベルのLi/Alにより触媒されたPET試料は、溶融物からの冷却時の結晶化について、Sb対照よりも低いピーク温度(Tcc)を有する。Tccが低下するとき、これは溶融物からの結晶化速度がより遅くなることを示す。溶融物からの結晶化速度がより遅いことにより、より低い押出機バレル温度を用いることが可能になり、これが転じて要求される冷却時間がより短くなり、より短いインジェクション成形サイクル時間がもたらされる。コンバーターは、インジェクション成形サイクル時間の低減に関連する生産性向上に対して価値がある。
【0228】
検討されたより高いLiおよびAlのレベルで、検討されたより低い重合温度で触媒されたPET試料は、ガラスからの加熱時の結晶化について、Sb対照よりも低いピーク温度(Tch2)を有する。最も低いTch2を有する試料もまた後添加されたリン化合物を有する。Tch2が低くなるとき、これはガラスからの結晶化速度がより速いことを示す。ガラスからの結晶化がより速いことは、熱形成可能なトレイ用途において、および任意に固相での重合前に非晶ペレットを結晶化させるレジン製造者にとって望ましい。
【0229】
他の態様において、プレフォーム中のAAレベルのレベルは、バレル温度285℃および滞留時間108秒で成形されたプレフォームで測定した場合に、11ppm以下、または9ppm以下、または7ppm以下である。
【0230】
更に他の態様において、物品を形成するための溶融ゾーンに供給される固体粒子上の遊離AAは、10ppm以下、または7ppm以下、または5ppm以下、または3ppm以下である。
【0231】
他の態様において、ポリエステル組成物、ボトル、プレフォーム、粒子または任意の他の形状のポリエステルポリマーのAAレベルは、10ppm以下、または7ppm以下、または5ppm以下、または3ppm以下である。
【0232】
本発明の粒子は直接または間接にバルクとして出荷用容器内に詰められ、次いでこれを顧客または卸業者に出荷する。結晶化粒子は、ここに記載する任意のプロセス態様に、粒子を固相重合させることなく、粒子を出荷用容器内に詰める前の任意の時点で供することが好ましい。固相重合を除き、粒子は記載されたステップの間に任意の多数の追加の加工ステップを受けることができる。
【0233】
出荷用容器は陸上、海上または航空便で出荷するために使用する容器である。例としては鉄道車両、セミトラクタートレーラー容器、ゲイロード(Gaylord)ボックス、船殻、または完成したポリエステル粒子を顧客に輸送するために用いる任意の他の容器が挙げられる。顧客は典型的には粒子をプレフォームまたは他の成形物品に変換する変換者の事業体である。
【0234】
出荷用容器は、ポリエステルポリマー粒子のバルクを収容する。バルクは、少なくとも3立方メートルの体積を占める。好ましい態様において、出荷用容器内のバルクは、少なくとも5立方メートル、または少なくとも10立方メートルの体積を占める。
【0235】
一態様においては、溶融相重合において得られる平均It.V.が少なくとも0.68dL/g、または少なくとも0.70dL/g、または少なくとも72dL/g、または少なくとも0.74dL/g、または少なくとも0.76dL/gで、かつ残留アセトアルデヒドレベルが10ppm以下、または5ppm以下である完成ポリエステルポリマー粒子が提供され、前記の粒子は、ここに記載する組成物を含む。好ましくは、ポリマー粒子は、ポリエステルポリマー、ポリマーの質量を基にしたアルミニウム原子を少なくとも5ppm、または少なくとも10ppm、または少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で、アルカリ土類金属またはアルカリ金属を少なくとも25ppmの量で、およびリン原子を少なくとも30ppmの量で、そして任意にチタン原子を少なくとも5ppmの量で含む。好ましくは、出荷用容器内のポリエステル粒子はまた、結晶化度が少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%であり、そして粒子はまた、ゼロでないレベルのアルカリ土類金属またはアルカリ土類金属またはアルカリ金属、およびゼロでないレベルのリン、および上記の再加熱速度向上金属の1種以上を含む。より好ましくは、このような粒子のAA発生量は20ppm未満、または18ppm未満、または16ppm未満であり、そして粒子のL*明度は、少なくとも70、または少なくとも73、または少なくとも76であり、そして有機AA低減添加剤を欠く。粒子は望ましくは出荷用容器内に収容する。最も好ましくは、粒子は固相重合されておらず、そして完成粒子として出荷される。「完成した」粒子は、粒子製造者によって行われる任意の更なる加工ステップなしで粒子を物品に変換するために用いる成形機に付随するドライヤーホッパー内にまたは直接成形機に供給できる状態になっている粒子を生成するために必要な、全ての加工条件を粒子製造者によって受けている粒子を意味する。
【0236】
物品は、溶融相生成物から当業者に公知の任意の従来技術で形成できる。例えば、溶融相生成物、任意には固相重合されたもので、結晶化度が少なくとも20%に結晶化されているものは、飲料容器または食料容器に延伸ブロー成形するために好適なプレフォーム等の形態に溶融物を溶融押出およびインジェクション成形するために機械に供給し、またはインジェクション成形よりも、シート等の他の形状に単に押出すための機械に供給する。物品を形成するための好適なプロセスは公知であり、押出、押出ブロー成形、溶融キャスト、インジェクション成形、溶融成形プロセス、延伸ブロー成形(SBM)、熱形成等が挙げられる。
【0237】
本発明の溶融相生成物およびポリエステルポリマー組成物から形成可能な造形物品の種類の例としては、シート;フィルム;包装材および容器,例えばプレフォーム、ボトル、ジャーおよびトレイ;棒;チューブ;蓋;ならびにフィラメントおよび繊維が挙げられる。水または炭酸入り飲料を保持するために好適なポリエチレンテレフタレートから製造される飲料ボトル、およびボトル中に高温充填される飲料を保持するために好適な熱セット飲料ボトルは、本発明の結晶化ペレットから形成されるボトルの種類の例である。トレイの例は、二重のオーブン使用可能なものおよび他のCPETトレイである。
【0238】
物品を形成するために好適な方法は:
(i)アルミニウム残基;
アルカリ土類金属残基またはアルカリ残基;
リン;
結晶化度の少なくとも20%;および
残留アセトアルデヒドレベルの10ppm以下を有し、
かつ有機アセトアルデヒド阻害剤を欠く、
固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーン内に導入し、粒子を溶融させて溶融ポリエステルポリマー組成物を形成すること;ならびに
(ii)シート、ストランド、繊維、または成形部品を含む物品を溶融ポリマー組成物から形成すること;
を含み、物品は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルまたはこれらの組合せの原子を更に含む。
【0239】
遷移金属は、物品の再加熱速度を改善させる。遷移金属原子は、遷移金属原子を含むポリエステルポリマー粒子を調製することにより、または溶融加工ゾーンに遷移金属原子の供給物を供給することにより、物品中に組み込むことができる。
【0240】
他の態様において、ポリエステルポリマー組成物、ポリエステルポリマー粒子、出荷用容器内のポリエステル粒子のバルク、またはポリエステル粒子の溶融混合ゾーンへの供給物が提供され、ここで物品を形成するための溶融混合ゾーン内のポリエステル組成物またはポリエステル溶融物は:
(1)10から50ppmのLi(ポリマー質量基準でリチウム原子上で)で、酢酸リチウムまたは水酸化リチウム等のリチウム化合物の形態で添加するもの;
(2)10から50ppmのAl(ポリマー質量基準でアルミニウム原子上で)で酢酸アルミニウムまたはアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム化合物の形態で添加されるもの、
(3)チタン系粒子、例えばサイズ約15から60nmの粒子を約1から30ppmの量(ポリマー質量基準でチタン原子上で)で含む窒化チタン;および
(4)リン原子の、80ppmから約200ppmの範囲、または約170ppm以下の量(最終ポリマー中のリン量基準で)、または、P:Mのモル比(ここで、Mは、アルミニウム、アルカリ土類金属、およびアルカリ金属の全体の累積モル数とみなす)が一般的に少なくとも0.1:1、または少なくとも0.3:1、または少なくとも0.5:1、または少なくとも0.7:1、または少なくとも1:1、および約5:1以下、またはより好ましくは約3:1以下、または2:1以下、または1.8:1以下、または1.5:1以下であって、好ましくは重縮合反応の完了時に添加するもの、
を含む。
【0241】
溶融相中に添加する触媒安定剤/不活性化剤は、ポリマー中の触媒残基がアセトアルデヒド前駆体をアセトアルデヒドに変換することを阻害する。この態様において、溶融加工ゾーンに供給される粒子は、好ましくは、固相重合されていない。溶融相のみの合成によって形成されるポリエステル粒子は、望ましくは、分子量勾配が集中し、かつ溶融加工中に受けるIt.V.損失が従来のポリエステルよりも小さい小表面を有する。例えば、ボトルおよび/またはプレフォーム、および特に炭酸入りソフトドリンクまたは水のボトル等の飲料ボトルは、本発明の粒子から形成され、そして、粒子のIt.V.とプレフォームおよび/またはボトルのIt.V.との間のIt.V.の相違は、0.04dL/g以下、好ましくは0.03dL/g以下、および最も好ましくは0.02dL/g以下である。
【0242】
別の態様において、成形物品は、好ましくは有機アセトアルデヒド阻害剤を欠く。好ましくは、溶融加工ステップで固体ポリエステル粒子に添加される含有成分は、有機アセトアルデヒド阻害剤を含まない。
【0243】
溶融加工押出機において、押出機に他の成分を添加してペレットの性能特性を改良することができる。これらの成分は、そのままでバルクのポリエステルペレットに、または液体担体中に、またはバルクのポリエステルペレットに、少なくとも約0.5wt%の成分をポリエステルポリマー中に含む固体ポリエステル濃縮物として、バルクポリエステル中に落として添加することができる。好適な成分の種類としては、結晶化助剤、衝撃改質剤、表面潤滑剤、脱ネスティング剤(denesting agent)、複合物、酸化防止剤、紫外光吸収剤、着色剤、成核剤、他の再加熱速度向上剤、タルク等の粘着性ボトル添加剤、および充填剤等を挙げることができる。これらの添加剤および多くの他のものの全てならびにこれらの用途は当該分野において周知であり、多大な議論は必要としない。
【0244】
上記のように、触媒不活性化剤は重縮合の過程またはその後であるが固化の前に後添加する。ポリエステルポリマーを形成するための溶融相プロセスの間に不活性化剤の総量を添加する態様に加え、別の態様において、不活性化剤の総量の一部をポリエステルポリマーに少なくとも2段階で、1度はポリエステルポリマーを形成するための溶融相プロセスにおいて、そしてもう1度はポリエステルポリマーを固化させた後でポリエステルポリマーから物品を形成する前の任意の時点で、例えば従来なされているように、物品を形成するための押出機内またはインジェクション成形機内でポリエステルポリマーを溶融加工して物品を形成する間に添加する。更なる態様においては、不活性化剤の総量を固化の後で物品を形成する前に添加する。
【0245】
溶融相加工プロセスからの固化後にリン化合物の一部または全体を添加することは、触媒不活性化剤をポリエステルポリマー粒子と溶融コンパウンドして、ランダムに分散した触媒不活性化剤化合物を含むポリエステルポリマー粒子の固体濃縮物を形成し、その後、物品を形成するための溶融加工ゾーンに濃縮物を、ポリエステル粒子の供給流とともに供給することで達成できるか;または、触媒不活性化剤化合物流をそのままの流れとして直接、もしくは液体担体とともに形成されるスラリー中または分散体中で、ポリエステルポリマー粒子流とともに、物品を形成するための溶融加工ゾーンに添加できることで達成できるかのいずれかである。よって、非晶のポリエステルポリマーが溶融相プロセスから後添加の触媒不活性化剤なしで生成され、次いで、触媒不活性化剤をポリエステルポリマーとコンパウンド押出によって、または、乾燥した、液体のもしくは溶融した含有成分を押出機内のポリエステルポリマー流中に溶融ブレンドするのに用いるもの、もしくは、インジェクション成形プロセスにおける押出によって、もしくは任意の他の混合装置内でのブレンドによって成形物品を形成するのに用いるもの等のインジェクション成形プロセスの押出機部分において、混合する態様が提供される。
【0246】
再加熱粒子との組合せで使用できる他の再加熱速度向上添加剤の例としては、カーボンブラック、アンチモン、スズ、銅、銀、金、パラジウム、白金、黒色酸化鉄等、および近赤外吸収色素、例えば、これに限定するものではないが、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,197,851号に開示されるもの、が挙げられる。
【0247】
本発明の組成物は、1種以上のUV吸収化合物を任意に含むことができる。一例としては、コモノマー、側基、または末端基のいずれかとしてポリエステル分子に共有結合したUV吸収化合物が挙げられる。好適なUV吸収化合物は、ポリエステル加工温度で熱的に安定であり、約320nmから約380nmの範囲で吸収し、そしてポリマーからのマイグレートが少ない。UV吸収化合物は、好ましくは、0.012インチ厚のボトル壁または試料を介した波長370nmのUV光の透過の、約20%未満、より好ましくは約10%未満を与える。化学的に反応性を有する好適なUV吸収化合物としては、例えば、置換メチン化合物を挙げることができる。
【0248】
好適な化合物、これらのポリエステルへの製造および組み入れの方法は、その開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,617,374号において更に記載されている。他の好適なUV吸収物質としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンズオキサジノン誘導体が挙げられる。これらの1種または複数種のUV吸収化合物は、約1ppmから約5,000質量ppm、好ましくは約2ppmから約1,500ppm、およびより好ましくは約10ppmから約1000質量ppmの間の量で存在できる。UV吸収化合物の二量体もまた使用できる。2種以上のUV吸収化合物の混合物を使用できる。更に、UV吸収化合物は、ポリマー骨格と反応するかまたはこれに共重合するため、得られるポリマーは、プレートアウト(plateout)および/または揮発等によるUV吸収化合物の損失の低減等の加工性の改善を示す。
【0249】
溶融相プロセスへの触媒不活性化剤/安定剤の添加に加えてまたはこれに代えて、触媒不活性化剤/安定剤は、溶融相プロセスからのポリエステル溶融物の固化後でかつ物品形成前にポリエステルポリマー粒子に任意に添加できる。これは、触媒不活性化剤/安定剤とポリエステルポリマー粒子とを溶融コンパウンドして、ランダムに分散した触媒不活性化剤/安定剤化合物を含むポリエステルポリマー粒子の固体濃縮物を形成し、その後、物品を形成するための溶融加工ゾーンに濃縮物を、ポリエステル粒子の供給流とともに供給することで達成できるか;または、触媒不活性化剤/安定剤化合物流をそのままの流れとして直接、もしくは液体担体とともに形成されるスラリー中または分散体中で、ポリエステルポリマー粒子流とともに、物品を形成するための溶融加工ゾーンに添加できることで達成できるかのいずれかである。よって、非晶のポリエステルポリマーが溶融相プロセスから後添加の触媒不活性化剤なしで生成され、次いで、触媒不活性化剤をポリエステルポリマーとコンパウンド押出によって、または、乾燥した、液体のもしくは溶融した含有成分を押出機内のポリエステルポリマー流中に溶融ブレンドするのに用いるもの、もしくは、押出もしくはインジェクション成形プロセスによって成形物品を形成するのに用いるもの、もしくは任意の他の混合装置内で用いるもの等のインジェクション成形プロセスの押出機部分において、混合する態様が提供される。
【0250】
この態様において、触媒不活性化剤/安定剤を導入する混合装置は、インジェクション成形プロセスの一環であることができ、または、インジェクション成形前の別個のステップであることができる。触媒不活性化剤/安定剤はそのままで、液体担体中でまたはポリマー濃縮物を経由して導入できる。ポリマー担体中での触媒との反応の効率はより低い場合があるため、そのまままたは液体担体中での導入はより好ましい。触媒不活性化剤/安定剤が液体でありそのまま添加される場合、押出機内に導入する前にペレットを液体添加剤でコートするために、環境条件でミキサーを使用できる。ポリマー濃縮物ルートを用いる場合、濃縮物ペレットは、環境条件で、固相のペレットとドライブレンドして「ソルトアンドペッパー」(salt and pepper)型ブレンドを形成することができる。これらの同じ注釈および扱い方は触媒不活性化剤/安定剤と溶融相中のみで形成されたペレットとの溶融ブレンドに当てはまる。
【0251】
この態様は、ペレットが固相重合されている場合に特に有用である。触媒不活性化剤/安定剤を溶融相中に組み込むことは、幾つかの場合、固相化速度をより低くすることがある。ポリエステルペレットの固相重合が望まれる場合、ペレットが固相重合プロセスを受けた後に触媒不活性化剤/安定剤を添加することは有利である。
【0252】
遷移金属再加熱粒子を未使用ポリマーに添加することに加えて、濃縮物を形成するか、またはそのままでもしくは分散体として、前重合反応器の後の溶融相にもしくはインジェクション成形ゾーンに添加するかに関わらず、再加熱粒子はまた、使用済リサイクル(PCR)ポリマーに添加できる。再加熱粒子を含有するPCRは、固体/固体ブレンドによって、または両固体を押出機に供給することによって、未使用バルクポリマーに添加する。
【0253】
これに代えて、再加熱粒子を含むPCRポリマーは、未使用ポリマーを形成するための、前重合ゾーンと完成ゾーンとの間の溶融相に有利に添加される。前重合ゾーンの後の未使用溶融相のIt.V.は十分に高く、この点でPCRを未使用溶融物と溶融ブレンドすることが可能になる。これに代えて、PCRは完成器に添加できる。粒子はPCRと上記の任意の方法で組合せることができ、または別個に供給して加熱容器内で溶融ブレンドし、次いで該粒子を含むPCR溶融物を未使用溶融相にこれらの添加点で添加することができる。
【0254】
本発明のポリエステルはまた、任意に、色安定剤,例えば特定のコバルト化合物を含むことができる。これらのコバルト化合物は、酢酸コバルトまたはコバルトアルコレート(コバルト塩または高級アルコール)として添加できる。これらは、エチレングリコール中の溶液として添加できる。高量のコバルト添加剤を含むポリエステルレジンは、押出機添加のためのマスターバッチとして調製できる。コバルト添加剤の色トナーとしての添加は、レジンの、b*として測定される黄色を更に最小化または排除するために用いる方法である。他のコバルト化合物,例えばコバルトアルミネート、安息香酸コバルト、塩化コバルト等はまた、色安定剤として使用できる。最終レジン生成物中でのDEGの形成を低減または防止するために特定のジエチレングリコール(DEG)阻害剤を添加することもまた可能である。好ましくは、DEG阻害剤の詳細な型は、適用可能なジオールとジカルボン酸またはヒドロキシアルキルもしくはヒドロキシアルコキシ置換されたカルボン酸とのエステル化および重縮合の間のDEGの形成を低減するための酢酸ナトリウム含有組成物を含むことになる。このレジンから生成するボトル、またはシートの耐応力亀裂性を改善するための応力亀裂防止剤もまた可能である。
【0255】
本発明のポリエステルポリマーの具体的な用途としては、ボトル形成のためのプレフォーム、予形成トレイ、予形成カップ等が挙げられ、これらは加熱され引き出されて最終生成物を形成する。更に他の用途は、赤外クエンチカラー(collar)を辺りに有する複数の糸疣を強制的に介するポリエステルのヤーンまたはフィラメントまたは繊維に関する。加えて、本発明は、高度に透明、明澄で更に低ヘイズの粉末コーティングに適用可能であり、所望の透明フィルム等が所望される。本発明の組成物の改善したUVブロッキング効果によって、更なる用途は、インジェクション成形されたボトル、例えばジュース包装用に意図されるものにある。同様に、窒化チタン粒子等の青味剤として使用する場合、パッケージは、再加熱の改善が包装用途についての必須の効果であるかに関わらず、改善された色を有する。
【0256】
再加熱添加剤のポリマーの色への影響は、三刺激色スケール,例えばCIEL***スケールを用いて判定できる。L*値は0から100の範囲で濃から淡の指標である。a*値は赤色度−緑色度の反対色座標であり、正のa*値は赤で負のa*値は緑である。b*値は黄色度−青色度の反対色座標であり、正のb*値は黄で負のb*値は青である。
【0257】
色測定の理論および実際は、参照により本明細書に組み入れられるPrinciples of Color Technology,pp.25−66 Fred W.Billmeyer,Jr.Johnによる,Wiley&Sons,New York(1981)において更に詳細に議論されている。
【0258】
ここで議論される20オンスボトルプレフォームで測定した場合のポリエステル組成物のL*値は、一般的に45超、または少なくとも60、または少なくとも65、または少なくとも70、または少なくとも75、または少なくとも78、または少なくとも80、または少なくとも85であるのがよい。特定のL*明度を指定することは、特定の側壁断面厚みを有するプレフォームが実際に使用されることを暗示するものではなく、L*を測定する場合に、実際に使用するポリエステル組成物が、組成物のL*を試験および評価する目的で、インジェクション成形されて厚み0.154インチのプレフォームを形成するに過ぎない。
【0259】
望ましいポリエステル組成物の色は、一般的に、好ましくは約マイナス4.4からプラス1.6、またはマイナス2.0から約プラス0.5、または約マイナス2.0から約プラス0.1のa*座標値で示される。b*座標値に関し、b*値座標が、−8.6から+10.2、または−3.0から、または−1.5から5.0未満、または4.0未満、または3.8未満、または3.0以下、または2.6以下の正の値までであるボトルプレフォームを形成することが一般的に所望される。これらの色値は、非晶ペレットが300メッシュを通過する粉末に破砕されるかに関わらない任意の形状のポリエステル、またはプレフォームもしくはボトル側壁において示されるものである。好ましい態様において、これらの色値は、公称側壁断面厚み0.154インチの20オンスボトルプレフォームで測定されるものである。
【0260】
*,a*およびb*色値の測定は、以下の方法に従って行う。b*色を測定するために用いる機器は、CIELabスケール(L*,a*,b*)、D65(ASTM)光源、10°視野、および積算球形式を用い、HunterLab UltraScan XE,モデルU3350の能力を有するのがよい。明澄なプラーク、フィルム、プレフォームおよびボトルを、ASTM D1746“Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting.”にて透過モードで試験する。色を測定するための機器は、ASTM E1164“Standard Practice for Obtaining Spectrophotometric Data for Object−Color Evaluation.”にてセットアップする。
【0261】
より好ましくは、試料がプレフォームかボトルかに応じて以下の試験方法を使用できる。色測定は、拡散/8°(照明/視野角)球形光学配置を採用するHunterLab UltraScan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston VA)、またはこれらの同じ基本的な能力を有する同等の設備を用いて行うのがよい。採用する色スケールは、特定のD65光源および10°視野を有するCIEL***スケールである。
【0262】
平均外径0.846インチおよび壁厚み0.154インチのプレフォームを、ASTM D1746“Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting”を用いて標準透過モードで測定する。プレフォームは、機器内の所定位置に、HunterLabから入手できるプレフォームホルダーを用いて保持し、3重の測定を平均し、これにより各測定間で試料をその中心軸周りに90°回転させる。
【0263】
幾つかの態様において、窒化チタン粒子を含むポリエステル組成物、およびこれらの組成物から形成されるプレフォームは、b*色の10.2未満、または3.5未満、または3未満、およびいずれの場合もマイナス2超、またはマイナス9超を有することができる。
【0264】
窒化チタン粒子を含むプレフォームはしばしば青味(対照試料よりも低いb*値)を呈する。
【0265】
種々の他の物品を本発明のポリエステル組成物から形成でき、再加熱が必要でも望ましくもないものが挙げられる。物品としては、シート、フィルム、ボトル、トレイ、他の包装材、棒、チューブ、蓋、繊維およびインジェクション成形物品が挙げられる。任意の種類のボトルが、本発明のポリエステル組成物から形成できる。よって一態様において、水を保持するのに好適なPETから形成される飲料ボトルが提供される。他の態様において、ボトル中に熱充填される飲料を保持するのに好適な熱セット飲料ボトルが提供される。更に他の態様において、ボトルは炭酸入りソフトドリンクを保持するのに好適である。更に、更に他の態様において、ボトルはアルコール飲料を保持するのに好適である。
【0266】
よって、本発明のある他の態様において、プレフォームから形成され、該プレフォームがRIT5℃以上、L*値70以上であるポリエステル飲料ボトルが提供される。
【0267】
本発明は、その態様の更なる例によって更に説明できるが、これらの例は例示の目的のみで含まれ、本発明の範囲の限定を意図しないことが理解されよう。
【0268】
例1:Li/Al触媒系
0.27wt%のLiを含む触媒溶液を、3.97gの酢酸リチウム二水和物(Aldrich Chemical Co.から得た)および96.03gの蒸留水を組合せることによって調製した。0.32wt%のAlを含む他の触媒溶液は、ホウ酸安定剤を含む1.71gの酢酸アルミニウム(CH3CO2Al(OH)2・1/3H3BO3)(Aldrich Chemical Co.から得た)および98.29gの蒸留水を組合せることによって調製した。
【0269】
PETオリゴマーは、精製されたテレフタル酸(PTA)、精製されたイソフタル酸(PIA)およびエチレングリコール(EG)を2Lオートクレーブに充填することにより調製した。充填量は以下の通りであった:651.0g PTA,13.0g PIAおよび396.0g EG。原料を245℃および40psigで200分間反応させた。反応の終点で、オリゴマーを反応器から放出し室温で固化させ、そして次いで粗粉末に粉砕した。
【0270】
第2ステップにおいて、オリゴマーからポリマーを以下の方法で調製した。オリゴマー(111g),Li触媒溶液(1.0g)およびAl触媒溶液(1.0g)を、ポリマーヘッド、頂部スターラー、窒素入口、ドライアイス凝縮トラップ、減圧源、および加熱源としての溶融金属浴を備える500mL重合フラスコに充填した。目標量の触媒および添加剤は、最終ポリマー質量基準で、27ppm Liおよび33ppm Alであった。重合反応は、以下の条件を用いて2段階で行った:
段階1:285℃、25torr、20分間
段階2:285℃、0.5torr、70分間
段階2の終点で、圧力を700torrまで増大させ、そして0.144gの、1つの遊離酸位置を有するリン酸のオリゴマーエステルの触媒不活性化剤/安定剤としての充填物を溶融ポリマーに添加した。圧力を2torrまで低下させ、10分間撹拌することによって不活性化剤/安定剤を組み入れた。最終ポリマー質量を基にした目標リンレベルは120ppmであった。反応の終点で、ポリマーを回収し、Wiley Millを用いて3mmスクリーン通過に破砕した。
【0271】
ポリマー中のLi,AlおよびPの濃度は、誘導結合プラズマ光学発光分光法(ICP−OES)により評価した。ポリマーの固有粘度(It.V.)は、ASTM法 D 5225−98に従って評価した。溶液ヘイズは、分析試験方法BKCA−A−AS−G−TBA−0001−02に従ったHach Ratio Turbidimeterを用いて測定した。
【0272】
試料から、Daca MicroCompounder/Microinjectorを用いて3つの明澄な成形ディスクを作製した。成形ディスクは厚み67milおよび直径2.9cmを有していた。概略のチップ成形条件は以下の通り:278℃のスクリュー温度、283℃のバレル温度、14℃の型温度、120psiのインジェクション圧力、および1.4scfhの供給スロートへの窒素流、である。
【0273】
ディスク上の色測定(L*,a*,b*およびヘイズ)は、拡散/8℃(照明/視野角)球形光学装置を採用するHunterLab UltraScan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston VA)を用いて行った。採用した色スケールは、D65光源および10°視野の仕様を有するCIE LABスケールであった。3つのチップを一緒に積層して、約200mil(0.51cm)厚の試料を得た。3つのチップを一緒に積層して、最大表面積の領域が光源に対して垂直に置かれるように機器の内側の試料ホルダ内に置いた。色測定は、直接試料を通って透過する光と拡散的に散乱する光との両者を測定する全透過(TTRAN)モードにおいて行った。任意厚みでの透過における色を以下:
【0274】
【数3】

【0275】
(式中、
h=目標厚みでの透過率
o=吸収なしの透過率
β=吸収係数
d=試料について測定した透過率
h=目標厚み
d=試料の厚み
に従って再計算できる。
【0276】
ヘイズは、透過率において見られる曇った外観に関与する、ほぼ明澄な被検査物の内部または表面での光の散乱として規定される。透過率ヘイズ測定は、散乱光の、被検査物により透過した光全体に対する比であり、以下の式:
【0277】
【数4】

【0278】
に従って算出する。
【0279】
(HunterLab UltraScan XEでのヘイズ測定は、機器配置の相違によりASTM法 D1003に一致しないことに注意のこと。)
【0280】
成形ディスクの各々の再加熱速度は以下のように決定した。試料にその縁のみに沿って接触した支持体上にディスクを置いた。次いで、アクチュエーターによりパイロメーターの真下にディスクを自動的に移動させて初期温度(Ti)を測定した。次いで、60Vで運転されるバルブ(GE DYHプロジェクションバルブ,250W,120V)を備えるランプ筐体の下でディスクを既定距離移動させた。試料を放射光に20秒間暴露した。ランプの色温度は約2,200℃であった。加熱後、ランプに対向する側(前面側)の中心領域の表面温度(Tf)をランプ消灯後2秒後に記録するパイロメーターに、ディスクを自動的に戻した。連続試験(この間、次の試料を装填する前にファンがランプ筐体を冷却した)間で90秒の冷却サイクルを用いた。再加熱添加剤なしの対照のTfを再加熱添加剤を含む試料のTfから差引くことによって、RITを算出した。
【0281】
例2:Li/Al触媒系および窒化チタン(TiN)
窒化チタン(TiN)をポリマーに添加した他は例1の手順に従った。TiNナノ粉末は、Nanostructured&Amorphous Materials(カタログ番号5350KE)から得た。公称粒子サイズは25nmであり、測定したd50粒子サイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定した場合に15nmであった。0.25wt%TiNを含む分散体を、0.315gのTiNおよび124.685gのEGを組合せることにより調製した。TiN分散体の一部(0.27g)を、LiおよびAlの触媒溶液とともにオリゴマーに添加した。TiNの目標レベルは、最終ポリマー質量基準で6.8ppmTiNであった。ポリマー中のTi濃度を蛍光X線(XRF)により評価した。RITは上記のように評価した。
【0282】
例に基づく結論
例の結果を表中に与える。例1は、Li/Al触媒系およびリン安定剤の重縮合後添加で形成したポリエステルの結果を示す。ポリマーは明るく(すなわち高L*)かつ明澄(すなわち低ヘイズ)であり、高It.V.および高b*(6.13)を有する。
【0283】
例2は、窒化チタン粒子の添加の寄与の再加熱速度および色の改善を示す。RITは4.2℃であり、b*は2.61に低下(すなわち、より青みがかった色に向かうシフト)する。更に、溶液ヘイズおよびディスクヘイズの結果において分かるように、窒化チタン粒子の添加はポリマーのヘイズを顕著に増大させなかった。窒化チタン粒子により作用される青色度の利点は、ポリマーの黄色をマスクするために製造プロセスの間に添加する青色トナーの量を低減できたことである。
【0284】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリマーと:
a)アルミニウム原子;および
b)アルカリ土類原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物残基;および
c)チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルまたはこれらの組合せの原子を含む粒子
とを含み、前記粒子がポリエステル組成物の再加熱速度を改善する、ポリエステル組成物。
【請求項2】
粒子が、ホウ素、炭素、および窒素の原子を含む遷移金属化合物;遷移元素金属、および遷移金属合金を含み、遷移金属原子が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルまたはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メジアン粒子サイズが、約1nmから約500nmの範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
粒子が、ポリエステル組成物の総質量に対して約1ppmから約500ppmの量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリエステル組成物が、飲料ボトルプレフォームの形状である、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
プレフォームL*値を70以上、およびb*値を−8から+5に維持したときの飲料ボトルプレフォームの再加熱改善温度(RIT)が少なくとも5℃である、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
粒子が窒化チタンを含む、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
窒化チタン粒子が、約TiN0.42から約TiN1.16の実験式を有する窒化チタンを含む、請求項7に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
窒化チタン粒子が、窒化チタン粒子の総質量に対して窒化チタンを少なくとも約90wt.%の量で含む、請求項7に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
窒化チタン粒子は、スパン(S)が0.01から2の粒子サイズ分布を有する、請求項7に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
ポリエステルポリマーが、全体で100モル%となる1種または複数種の全酸成分のモル百分率および全体で100モル%となる1種または複数種の全ジオール成分のモル百分率基準で、少なくとも85モル%のテレフタル酸、ナフタレン酸、またはこれらのC1−C4ジアルキルエステルを含む酸成分と、少なくとも90モル%のエチレングリコールを含むジオール成分と、を反応させることによって得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
酸成分が、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、またはこれらの組合せにより、0モル%より大きく15モル%以下より少ない量で変性されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ジオール成分が、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、またはこれらの組合せにより、10モル%以下の量で変性されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
粒子が、ポリエステルポリマーのその製造中でのIt.V.における0.10dL/gを超える増大の原因とならない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
粒子が合金を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
粒子が、ホウ素、窒素または炭素の原子を有する遷移金属化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
粒子が、金属酸化物の層で被覆されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
粒子中の遷移金属が、主体的にはイオン結合していない、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
粒子が、以下の実験式の1種以上を有する以下の金属化合物:TiNもしくはTi2Nとしての窒化チタン;TiB,TiB2,Ti2B,もしくはTi25としてのホウ化チタン;TiCとしての炭化チタン;VNもしくはV2Nとしての窒化バナジウム;VB,VB2,V23もしくはV32としてのホウ化バナジウム;VCもしくはV2Cとしての炭化バナジウム;ZrNもしくはZr34としての窒化ジルコニウム;ZrB,ZrB2もしくはZrB12としてのホウ化ジルコニウム;ZrCとしての炭化ジルコニウム;NbN,Nb2N,Nb43,Nb36,もしくはNb45としての窒化ニオブ;NbBもしくはNbB2としてのホウ化ニオブ;NbCもしくはNb2Cとしての炭化ニオブ;HfN,Hf32,もしくはHf43としての窒化ハフニウム;HfBもしくはHfB2としてのホウ化ハフニウム;HfCとしての炭化ハフニウム;TaN,Ta2N,Ta35,Ta56,もしくはTa45としての窒化タンタル;TaB,Ta34,もしくはTa32としてのホウ化タンタル;TaCもしくはTa2Cとしての炭化タンタル;MoNもしくはMo2Nの窒化モリブデン;MoB,Mo2B,MoB2もしくはMo25としてのホウ化モリブデン;MoCもしくはMo2Cとしての炭化モリブデン;WNもしくはW2Nとしての窒化タングステン;WB,WB2,W2BもしくはW25としてのホウ化タングステン;WCもしくはW2Cとしての炭化タングステン;CrNもしくはCr2Nとしての窒化クロム;CrB,CrB2,Cr53,Cr2B,Cr34もしくはCrB4としてのホウ化クロム;Cr32もしくはCr73としての炭化クロム;Fe4NもしくはFe2Nとしての窒化鉄;FeBもしくはFe2Bとしてのホウ化鉄;Fe3Cとしての炭化鉄;NiN,Ni4N,Ni3NもしくはNi32としての窒化ニッケル;NiB,Ni2B,Ni3BもしくはNi43としてのホウ化ニッケル;またはNi3Cとしての炭化ニッケル;またはこれらの組合せ、の1種以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
粒子が、式Tiaxyの炭窒化チタンを含み、aが1〜2の範囲、xが0.0から0.0.8の範囲、およびyが0.1から1.0の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
メジアン粒子サイズが、約0.001μmから約5μmの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
粒子が、5ナノメートルから60ナノメートルの範囲の平均粒子サイズを有する窒化チタン粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
窒化チタン粒子の量が、1ppmから15ppmの範囲内である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
最終再加熱温度が少なくとも110℃であるボトルプレフォームの形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
アルミニウム原子の量が、10ppmから約100ppmの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
アルミニウム原子が、アルミニウム有機化合物由来である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
アルミニウム有機化合物が、以下の一般式 Al[OR]a[OR’]b[OR'']c[OR''']d
(式中、R,R’,R''は独立にアルキル基、アリール基、アシル基、水素であり、R'''はアニオン性基であり、かつa,b,c,dは独立に0または正の整数であり、かつa+b+c+dは4以下である)
を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
アルミニウム有機化合物が、アルミニウムのカルボン酸塩;アルミニウムアルコレート、水酸化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、およびアルミニウムヒドロキシハライドを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
アルカリおよびアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、もしくはバリウムまたはこれらの組合せの原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
アルカリ土類金属またはアルカリが、リチウムの原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
リチウム原子が、ヒドロキシド、アミンおよびこれらの誘導体、カーボネートまたはハライドの対イオンを有するリチウム塩または錯体に由来する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
ポリマー質量基準で、ポリエステルポリマー中のアルカリ土類金属またはアルカリ金属の量が、少なくとも4ppmで最大250ppmの範囲である、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
ポリマー質量基準で、ポリエステルポリマー中のアルカリ土類金属またはアルカリ金属の量が、25ppmから100ppmの範囲である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
アルカリ土類金属またはアルカリ:アルミニウムのモル比が、望ましくは1:1から5:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
リン原子を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
リン原子の量が、30ppmから400ppmの範囲である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
リン原子の量が、75ppmから300ppmの範囲である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
金属原子の数として測定したときの、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の累積総量に対するリンのモル比が、少なくとも0.5:1で最大3:1である、請求項35に記載の組成物。
【請求項39】
溶融相重合反応により得られるポリエステルポリマーのIt.V.が少なくとも0.72dL/gである、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
ポリエステルポリマーが、少なくとも30パーセントの程度まで部分的に結晶化されており、かつL*の少なくとも70を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
リン原子を更に含み、かつ組成物のアセトアルデヒド発生量が15ppm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
各々ポリエステルポリマー質量基準で、リチウム化合物由来の10から50ppmのLi原子、アルミニウム化合物由来の10から50ppmのアルミニウム;窒化チタン,炭化チタン,ホウ化チタン,またはこれらの組合せを含む粒子、を含み、粒子が、15から60nmの範囲のメジアン粒子サイズを有しかつ約2から30ppmの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
リン原子を100から250ppmの範囲の量で更に含み、アセトアルデヒド発生量が15ppm未満である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
請求項43に記載の組成物から形成されており、b*が3.0未満である、ボトルプレフォーム。
【請求項45】
(i)遷移元素金属、
(ii)遷移金属合金、
(iii)ホウ素、炭素もしくは窒素の遷移金属化合物、または
(iv)これらの組合せ
を含む粒子を、ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに、またはその後の任意の時点で添加することにより得られるポリエステルポリマーを含む組成物であって、粒子中の遷移金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルまたはこれらの組合せの原子を含み、かつ、アルミニウム原子および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下でポリエステルポリマー溶融物を重縮合することによってポリエステルポリマーが得られる、組成物。
【請求項46】
粒子のメジアンサイズが、約1nmから約500nmの範囲である、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
粒子がチタンを含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物がリチウム原子を含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
リン原子を更に含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項50】
粒子が窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、またはこれらの組合せを含み、アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物がリチウムを含み、かつ組成物がリン原子を更に含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項51】
組成物中に存在する粒子の量が1ppmから約50ppmの範囲であり、かつメジアン粒子サイズが0.001μmから5μmの範囲であり、アルミニウム原子が、4ppmから約100ppmの範囲の量で存在し、かつリン原子の量が30ppmから400ppmの範囲である、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
溶融相重合反応により得られるポリエステルポリマーのIt.V.が、少なくとも0.72dL/gである、請求項45に記載の組成物。
【請求項53】
ポリエステルポリマーのIt.V.が0.3dL/gに到達する前にアルミニウムが溶融相プロセスに添加されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項54】
ポリエステル溶融物のIt.V.が0.45dL/gに到達した後に溶融相プロセスにおいて粒子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項55】
粒子が、最終重縮合反応器の出口に最も近い点およびその後でポリエステル溶融物を固化させるためのダイに至るまでの任意の点、または溶融相プロセスにおいて形成されるポリエステルポリマーの固化後の任意の点で溶融相プロセスに添加されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項56】
アルミニウム原子が、アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物を含む流れとは別個の流れとして溶融相プロセスに添加されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項57】
アルミニウムが液体の溶液または分散体として溶融相プロセスに添加されており、アルミニウム原子が、アルミニウムのカルボン酸塩;アルミニウムアルコレート、アルミニウムヒドロキシド、アルミニウムハライド、またはアルミニウムヒドロキシハライドを含むアルミニウム化合物から得られる、請求項45に記載の組成物。
【請求項58】
アルカリおよびアルカリ土類金属が、溶融相プロセスへの液体流として添加されるリチウムの原子を含み、リチウムが、ヒドロキシド、アミンもしくはこれらの誘導体、カーボネートまたはハライドの対イオンを有するリチウム塩または錯体から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項59】
ポリエステルポリマーが直接エステル化プロセスにおいて得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項60】
ポリエステルポリマーが、添加されるチタン含有触媒の不存在下で形成されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項61】
ポリエステルポリマーが、添加されるアンチモン含有触媒の不存在下で形成されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項62】
リチウム原子の存在下でポリエステルポリマーがエステル化されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項63】
リチウム原子が、エステル化反応器へのジオール供給物に添加されている、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
リチウム原子が、エステル化反応混合物の50%変換前に添加されている、請求項62に記載の組成物。
【請求項65】
アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物が、エステル化と重縮合ゾーンとの間で添加されたリチウムを含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項66】
ポリエステル溶融物のIt.V.が0.3dL/gに到達する前にアルミニウムがポリエステル溶融物に添加されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項67】
ポリエステルポリマーが、溶融相中のポリエステルポリマーのIt.V.を0.1dL/gを超えて増大させるために用いるチタン含有触媒、コバルト含有触媒、およびアンチモン含有触媒の不存在下で形成されている、請求項45に記載の組成物。
【請求項68】
ポリエステルポリマーが、アルミニウム含有触媒およびアルカリ土類またはアルカリの触媒の他の任意の金属含有触媒を溶融相プロセスに添加することなく形成されている、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
触媒不活性化剤/安定剤を更に含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項70】
リン原子を更に含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項71】
リン原子が、酸性リン化合物またはこれらのエステル誘導体から得られる、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
リン原子が、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、ホスホン酸誘導体、ならびにこれらの酸性塩および酸性エステルおよび誘導体の各々を含む化合物から得られる、請求項70に記載の組成物。
【請求項73】
リン化合物が、オリゴマーホスフェートトリエステル、(トリス)エチレングリコールホスフェート、リン酸とエチレングリコール,ジエチレングリコールとのトリエステル、または各々の混合物を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
リン原子の量が、少なくとも50ppmである、請求項70に記載の組成物。
【請求項75】
リン原子の量が、75ppmから300ppm以下の範囲である、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
アルカリ土類金属、アルカリ金属、およびアルカリ化合物の累積総量に対するリンのモル比が、少なくとも0.3:1から5:1である、請求項70に記載の組成物。
【請求項77】
アルカリ土類金属、アルカリ金属、およびアルカリ化合物の累積総量に対するリンのモル比が、少なくとも0.5:1から3:1である、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
以下の条件:
a)ポリエステル溶融物のIt.V.が少なくとも0.50dL/gに到達すること、または
b)ポリエステル溶融物に適用される減圧が、存在する場合、解放されること、または
c)溶融相重合プロセスにおいてポリエステル溶融物が存在する場合、ポリエステルポリマーを形成するための最終反応器内、もしくは最終反応器とポリエステル溶融物をカットするためのカッターの前との間でリン化合物を添加すること、または
d)溶融相重合プロセスにおいてポリエステル溶融物が存在する場合、ポリエステル溶融物の重縮合のための時間の少なくとも85%に続き、または
e)ポリエステル溶融物のIt.V.が、固化時に得られるIt.V.の+/−0.15dL/g以内であること;または
f)ポリエステル溶融物の固化の20分以下の範囲内の点であること
のうち1つ以上を満足する時点、またはその後かつポリエステル溶融物の固化の前に、リン原子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項70に記載の組成物。
【請求項79】
ポリエステル溶融物が少なくとも0.72dL/gのIt.V.を得た後で、リン原子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
最終重縮合反応器内の圧力を0.0mmHg以上のレベルにする直前または直後に、リン原子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項81】
最終重縮合反応器の端部近傍もしくは端部の位置、または最終重縮合反応器とポリマー溶融物をカットするためのカッターの前との間でリン原子が添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項82】
重縮合時間の少なくとも90%に続いてリン原子がポリエステル溶融物中に添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項83】
ポリエステル溶融物のIt.V.が固化時に得られるIt.V.の0.05dL/g以内である時点でリン原子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項84】
ポリエステル溶融物の固化の5分以下の範囲内の点でリン原子がポリエステル溶融物に添加されている、請求項78に記載の組成物。
【請求項85】
ポリエステルポリマーが、溶融相プロセスの生成量が少なくとも50トン/日である連続製造プロセスにおいて形成される、請求項45に記載の組成物。
【請求項86】
0.40dL/gのIt.V.から溶融相プロセスにおいて得られる最終It.V.に至るまでのポリエステル溶融物の反応時間が、80分間以下である、請求項45に記載の組成物。
【請求項87】
組成物がリン原子を含み、かつポリエステルポリマーが溶融相プロセスにおいて得られる少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項88】
*が少なくとも73である、請求項45に記載の組成物。
【請求項89】
リン原子を更に含み、かつ有機アセトアルデヒド阻害剤がポリエステルポリマーを形成するための溶融相プロセスに添加されていない、請求項45に記載の組成物。
【請求項90】
請求項45に記載の組成物を出荷用容器内に含む、ペレットのバルク。
【請求項91】
請求項45に記載の組成物を含む、使用済リサイクルポリエステルポリマー。
【請求項92】
リン原子を更に含む、請求項91に記載の使用済リサイクルポリエステルポリマー。
【請求項93】
請求項45に記載の組成物を含み、b*が−8.6から3.0以下の範囲である、ボトルプレフォーム。
【請求項94】
RITが5℃以上である、請求項93に記載のボトルプレフォーム。
【請求項95】
ポリマー質量基準で、10から50ppmのリチウム、10から50ppmのアルミニウム、サイズが15から60nmの範囲で量が約2から30ppmの再加熱粒子を含み、前記再加熱粒子がチタン原子を含む、請求項45に記載のポリエステル組成物。
【請求項96】
ポリマー溶融物への添加リン原子を更に含む、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
最終ポリマーの質量基準で、リン原子の量が75から170ppmの範囲である、請求項96に記載の組成物。
【請求項98】
リン原子が、重縮合反応の完了時またはその後に添加されている、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
粒子がタングステンまたはモリブデンの原子を含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項100】
ポリエステルポリマー溶融物をアルミニウム原子、および少なくとも1種のアルカリ土類金属原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物の存在下で重縮合させること、および、重縮合の前、最中または後に粒子をポリエステルポリマーまたはその反応前駆体に添加することを含み、前記粒子が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、またはニッケルの原子またはこれらの組合せを含む、ポリエステルポリマーを製造する方法。
【請求項101】
ポリエステルポリマーが、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートの繰返し単位を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
ポリエステルポリマーが、エチレンテレフタレートの繰返し単位を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
ポリエステルポリマー溶融物を、アルミニウム原子およびリチウム原子の存在下で重縮合させる、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
粒子が、チタン原子を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
リン原子をポリエステル溶融物に添加することを更に含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
粒子のメジアンサイズが約1nmから約500nmの範囲である、請求項100に記載の方法。
【請求項107】
粒子が窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、またはこれらの組合せを含み、アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物がリチウムを含み、かつ組成物がリン原子を更に含む、請求項100に記載の方法。
【請求項108】
存在する粒子の量が1ppmから約50ppmの範囲であり、メジアン粒子サイズが0.001μmから5μmの範囲であり、アルミニウム原子が4ppmから約100ppmの範囲の量で存在し、かつリン原子の量が30ppmから400ppmの範囲である、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
溶融相重合反応によって得られるポリエステルポリマーのIt.V.が、少なくとも0.72dL/gである、請求項100に記載の方法。
【請求項110】
ポリエステルポリマーのIt.V.が0.3dL/gに到達する前にアルミニウムを溶融相プロセスに添加する、請求項100に記載の方法。
【請求項111】
ポリエステル溶融物のIt.V.が0.45dL/gに到達した後に、溶融相プロセスにおいて粒子をポリエステル溶融物に添加する、請求項100に記載の方法。
【請求項112】
最終重縮合反応器の出口に最も近い点、およびその後でポリエステル溶融物を固化させるためのダイに至るまでの任意の点、または溶融相プロセスにおいて形成されるポリエステルポリマーの固化後の任意の点で粒子を溶融相プロセスに添加する、請求項100に記載の方法。
【請求項113】
アルカリ土類金属またはアルカリ金属またはアルカリ化合物を含む流れとは別個の流れとしてアルミニウム原子を溶融相プロセスに添加する、請求項100に記載の方法。
【請求項114】
液体の溶液または分散液として溶融相プロセスにアルミニウムを添加し、アルミニウム原子が、アルミニウムのカルボン酸塩;アルミニウムアルコレート、アルミニウムヒドロキシド、アルミニウムハライド、またはアルミニウムヒドロキシハライドを含むアルミニウム化合物から得られる、請求項100に記載の方法。
【請求項115】
アルカリおよびアルカリ土類金属が、溶融相プロセスへの液体流として添加されるリチウムの原子を含み、リチウムが、ヒドロキシド、アミンもしくはこれらの誘導体、カーボネートまたはハライドの対イオンを有するリチウム塩または錯体から得られる、請求項100に記載の方法。
【請求項116】
ポリエステルポリマーを、添加されるチタン含有触媒の不存在下で形成する、請求項100に記載の方法。
【請求項117】
ポリエステルポリマーを、添加されるアンチモン含有触媒の不存在下で形成する、請求項100に記載の方法。
【請求項118】
ポリエステルポリマーを、リチウム原子の存在下でエステル化する、請求項100に記載の方法。
【請求項119】
リチウム原子を、エステル化反応器へのジオール供給物に添加する、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
ポリエステルポリマーを、溶融相中のポリエステルポリマーのIt.V.を0.1dL/gを超えて増大させるために用いるチタン含有触媒、コバルト含有触媒、およびアンチモン含有触媒の不存在下で形成する、請求項100に記載の方法。
【請求項121】
アルミニウム含有触媒およびアルカリ土類またはアルカリの触媒の他の任意の金属含有触媒を溶融相プロセスに添加することなくポリエステルポリマーを形成する、請求項100に記載の方法。
【請求項122】
触媒不活性化剤/安定剤を更に含む、請求項100に記載の方法。
【請求項123】
リン原子を更に含む、請求項100に記載の方法。
【請求項124】
リン原子が、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、カルボキシホスホン酸、ホスホン酸誘導体、ならびにこれらの酸性塩および酸性エステルおよび誘導体の各々を含む化合物から得られる、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
リン原子の量が、75ppmから300ppm以下の範囲である、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
アルカリ土類金属、アルカリ金属、およびアルカリ化合物の累積総量に対するリンのモル比が、少なくとも0.3:1から5:1である、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
以下の条件:
a)ポリエステル溶融物のIt.V.が少なくとも0.50dL/gに到達すること、または
b)減圧を適用する場合、重縮合の間減圧を解放すること、または
c)最終反応器の端部近傍もしくは端部の位置または最終反応器とカッターの前との間であること、または
d)重縮合時間の少なくとも75%に続き、または
e)ポリエステル溶融物のIt.V.が、溶融相プロセスから出る最終It.V.の0.03dL/g以内であること;または
f)ポリエステル溶融物の固化の10分以下の範囲内の点であること
の1つ以上が満足された後にポリエステル溶融物にリン原子を添加する、請求項123に記載の方法。
【請求項128】
ポリエステル溶融物が少なくとも0.72dL/gのIt.V.を得た後にリン原子をポリエステル溶融物に添加する、請求項100に記載の方法。
【請求項129】
最終重縮合反応器内の圧力を0.01mmHg以上のレベルにする直前または直後に、リン原子をポリエステル溶融物に添加する、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
最終重縮合反応器の端部近傍もしくは端部の位置または最終重縮合反応器とカッターの前との間でリン原子を添加する、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
重縮合時間の少なくとも90%に続いてリン原子をポリエステル溶融物中に添加する、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
ポリエステル溶融物のIt.V.が溶融相プロセスから出る最終It.V.の0.015dL/g以内である時点でリン原子をポリエステル溶融物に添加する、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
ポリエステル溶融物の固化の5分以下の範囲内の点でリン原子をポリエステル溶融物に添加する、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
ポリエステルポリマーを、溶融相プロセスの生成量が少なくとも50トン/日である連続製造プロセスにおいて形成する、請求項100に記載の方法。
【請求項135】
0.40dL/gのIt.V.から溶融相プロセスにおいて得られる最終It.V.に至るまでのポリエステル溶融物の反応時間が、80分間以下である、請求項100に記載の方法。
【請求項136】
組成物がリン原子を含み、かつ溶融相プロセスにおいて得られるポリエステルポリマーが少なくとも0.72dL/gのIt.V.を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項137】
*が少なくとも73である、請求項100に記載の方法。
【請求項138】
リン原子を更に含み、かつ有機アセトアルデヒド阻害剤がポリエステルポリマーを形成するための溶融相プロセスに添加されていない、請求項100に記載の方法。
【請求項139】
請求項100に記載の組成物を出荷用容器内に含む、ペレットのバルク。
【請求項140】
請求項100に記載の組成物を含む、使用済リサイクルポリエステルポリマー。
【請求項141】
リン原子を更に含む、請求項140に記載の使用済リサイクルポリエステルポリマー。
【請求項142】
請求項100に記載の組成物を含み、b*が−8.6から3.0以下の範囲である、ボトルプレフォーム。
【請求項143】
RITが5℃以上である、請求項142に記載のボトルプレフォーム。
【請求項144】
ポリマー質量基準で、10から50ppmのリチウム、10から50ppmのアルミニウム、サイズが15から60nmの範囲で量が約2から30ppmの再加熱粒子を含み、前記再加熱粒子がチタン原子を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項145】
ポリマー溶融物にリン原子を添加することを更に含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
最終ポリマーの質量基準で、リン原子の量が75から170ppmの範囲である、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
リン原子を、重縮合反応の完了時またはその後に添加する、請求項145に記載の方法。
【請求項148】
粒子がタングステンまたはモリブデンの原子を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項149】
295℃で5分間測定したときのポリエステルポリマーのアセトアルデヒド発生量が、11ppm以下である、請求項100に記載の方法。
【請求項150】
ポリエステルポリマーと:
a)アルミニウム原子;および
b)アルカリ土類原子またはアルカリ金属原子またはアルカリ化合物残基;および
c)チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、クロム、タングステン、モリブデン、鉄、もしくはニッケルまたはこれらの組合せの原子を含む再加熱粒子
とを含む組成物から得られるプレフォーム。
【請求項151】
ポリエステルポリマーのアセトアルデヒド発生量が13ppm以下である、請求項150に記載のプレフォーム。
【請求項152】
前記プレフォーム中のAAのレベルが7ppm以下である、請求項150に記載のプレフォーム。
【請求項153】
ポリエステルポリマーが、プレフォームを形成するための溶融加工ゾーンに供給され、溶融加工ゾーンに供給されるポリエステルポリマーの遊離アセトアルデヒド量が5ppm以下である、請求項150に記載のプレフォーム。
【請求項154】
リン原子を少なくとも30ppmの量で更に含む、請求項150〜153のいずれかに記載のプレフォーム。
【請求項155】
再加熱粒子がチタンの原子を含み、かつアルカリ土類金属またはアルカリがリチウムの原子を含む、請求項150〜153のいずれかに記載のプレフォーム。
【請求項156】
*が−8.6から+3.0未満の範囲である、請求項155に記載のプレフォーム。
【請求項157】
*が少なくとも70である、請求項156に記載のプレフォーム。

【公表番号】特表2009−508988(P2009−508988A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531176(P2008−531176)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034543
【国際公開番号】WO2007/035250
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】