説明

再帰反射性フィルム

【課題】基板に接着される場合に、常温加工ステップ(例えば、刻印するステップ、浮き彫りにするステップ、または押圧するステップ)に対応し得る再帰反射性フィルムを提供する。
【解決手段】カバー層40、プリズム層42、反射性層44、接着層46および保護ライナー48を含む再帰反射性フィルム30であって、プリズム層42は、その後表面上に形成された再帰反射性プリズムエレメントを有し、反射性層44は、該プリズムエレメントの後表面をカバーする。フィルム30は、少なくとも20%の伸び率を有し、刻印すること、浮き彫りにすること、または押圧することなどの常温加工プロセスに対応し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に再帰反射性フィルムに関し、より具体的には、浮き彫りにされた、刻印された、押圧された、またはそれ以外の不規則な表面状態を有する基板を有する物品(例えば、ライセンスプレート)において使用され得る再帰反射性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
再帰反射性フィルムは、ライセンスプレート、高速道路のサイン、安全標識、および他の再帰反射性製品などの多くの物品において使用され得る。上記用途の多くにおいて、フィルムが再帰反射性であるだけではなく、刻印された、浮き彫りにされた、押圧された、またはそれ以外の不規則な基板の表面に対応することが可能であることが重要である。例えば、ライセンスプレートは、一般的に、英数字および/または他のしるしに対応する隆起したエリアを提供するために、刻印され、浮き彫りにされ、押圧された、またはその他の常温加工された比較的に平らな基板(例えば、アルミニウムプレート)を含む。再帰反射性フィルムがライセンスプレートにおいて使用される場合には、ライセンスプレートがいまだ平らなときに(例えば、刻印すること、浮き彫りにすること、またはプレシングすることに先行して)、基板にラミネート加工され、それによって、再帰反射性フィルムが常温加工ステップに対応することができなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(本発明の概要)
本発明は、基板に接着される場合に、常温加工ステップ(例えば、刻印するステップ、浮き彫りにするステップ、または押圧するステップ)に対応し得る再帰反射性フィルムを提供する。そのようにして、フィルムは、基板が英数字および/または他のしるしに対応する隆起したエリアを形成するように常温加工される再帰反射性の物品(例えば、ライセンスプレート)に組み込まれ得る。再帰反射性フィルムは、プリズム層を組み込み、それによって、特定の再帰反射性製品を開発する場合に、より広範囲な設計の柔軟性を可能にし、および/またはそれによって高度な再帰反射性能力を提供する。
【0004】
本発明はまた、基板が30%未満の可視光透過率を有し、再帰反射性フィルムの層が30%未満の可視光透過率を有する再帰反射性の物品(例えば、ライセンスプレート)を提供する。例えば、基板は、実質的に不透明であるアルミニウムプレートを含み得る。さらに、または代替的に、フィルムは、低可視光透過率を有する、そのプリズム層の後に再帰反射性層(例えば、金属化された層)を含み得る。いずれの場合にも、物品の後部を通る光の損失は妨げられ、それによって、再帰反射性を最大にすることを助ける。
【0005】
本発明のおよび他の特徴は、十分に記載され、特に請求項の範囲で指摘される。詳細に示される以下の記載および図面においては、本発明の特定の例示的な実施形態は、本発明の原理が採用され得る種々の方法のうちの1つだけを示すものである。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
平面エリア(12)と隆起したエリア(14)とを有する再帰反射性の物品(10)であって、該物品(10)は、基板(20)と該基板(20)の前表面に接着された後表面を有する再帰反射性フィルム(30)とを備え、
該基板(20)は、該平面エリア(12)に対応する平面エリア(22)と該隆起したエリア(14)に対応する隆起したエリア(24)とを有し、該再帰反射性フィルム(30)は、該平面エリア(12)に対応する平面エリア(32)と該隆起したエリア(14)とに対応する隆起したエリア(34)とを有し、
該再帰反射性フィルム(30)は、該反射性フィルム(30)の後表面上に形成された再帰反射性プリズムエレメント(60)を有するプリズム層(42)を備え、
該再帰反射性フィルム(30)は、少なくとも20%の伸び率を有し、
該基板(20)は、30%未満の可視光透過率を有し、および/または該プリズム層(42)の後部に位置している該フィルム(30)の層(44)は、30%未満の可視光透過率を有する、再帰反射性の物品(10)。
(項目2)
前記再帰反射性フィルム(30)は、少なくとも50%の伸び率を有する、項目1に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目3)
前記再帰反射性フィルム(30)は、少なくとも60%の伸び率を有する、項目1または項目2に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目4)
前記再帰反射性フィルム(30)は、少なくとも70%の伸び率を有する、項目1〜項目3に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目5)
前記隆起したエリア(24/34)は、前記平面(22/32)を基準にして約0.3
mmから約3mmの範囲の高さを有する、項目1〜項目4のいずれかに記載の帰反射性の物品(10)。
(項目6)
前記平面エリア(12)は、バックグランドを形成し、前記隆起したエリア(14)がしるしを形成している、項目1〜項目5のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目7)
前記しるしは、英数字を含む、項目1〜項目6のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目8)
ペイント(16)は、前記隆起したエリア(14)に塗布される、項目1〜項目7のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目9)
前記平面エリア(12)と前記ペイント(16)とは、異なる色である、項目1〜項目8のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目10)
前記基板(20)は、金属から造られている、項目1〜項目9のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目11)
前記基板(20)は、軟金属から造られている、項目1〜項目10のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目12)
前記基板(20)は、アルミニウムまたは銅または銀または金から造られている、項目1〜項目11のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目13)
前記基板(20)は、0.05mm〜5mmの範囲の厚さを有する、項目1〜項目12のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目14)
前記基板(20)は、30%未満の可視光透過率を有する、項目1〜項目13のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目15)
前記基板(20)は、25%未満の可視光透過率を有する、項目1〜項目14のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目16)
前記基板(20)は、20%未満の可視光透過率を有する、項目1〜項目15のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目17)
前記基板(20)は、10%未満の可視光透過率を有する、項目1〜項目16のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目18)
前記基板(20)は、実質的に不透明な材料から造られている、項目1〜項目17のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目19)
前記基板(20)は、実質的に不透明なアルミニウム板から造られている、項目1〜項目18のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目20)
前記基板(20)は、2mm以下の厚さを有する、項目1〜項目19のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目21)
前記物品(10)は、ライセンスプレートであり、前記隆起したエリア(14)が該プレートに特有であるライセンス番号しるしを形成している、項目1〜項目20のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目22)
前記再帰反射性フィルム(30)は、前記プリズム層(42)の後表面に隣接して位置している反射性層(44)を備えている、項目1〜項目21のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目23)
前記反射性層(44)は、反射性金属の層を含む、項目22に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目24)
前記反射性金属は、アルミニウムまたは銀または金または銅である、項目23に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目25)
前記金属は、前記再帰反射性エレメント(60)の表面上に蒸着される、項目23または項目24に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目26)
前記反射性層(44)の厚さは、0.02μmと0.125μmとの間にある、項目22〜項目25のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目27)
前記反射性層(44)は、30%未満の可視光透過率を有する、項目22〜項目26のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目28)
前記反射性層(44)は、25%未満の可視光透過率を有する、項目27に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目29)
前記反射性層(44)は、20%未満の可視光透過率を有する、項目28に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目30)
前記反射性層(44)は、10%未満の可視光透過率を有する、項目29に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目31)
前記プリズム再帰反射性エレメント(60)は、1つの頂点で出会う3つの相互に垂直である面を各々が有する一並びの立方体角エレメントを含む、項目1〜項目30のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目32)
前記プリズム再帰反射性エレメント(60)は、微小立方体を含む、項目31に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目33)
前記プリズム層(42)は、アクリル酸またはポリカーボネートから造られている、項目1〜項目32のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目34)
前記再帰反射性エレメント(60)は、35μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目33のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目35)
前記再帰反射性エレメント(60)は、75μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目34のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目36)
前記再帰反射性エレメント(60)は、100μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目35のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目37)
前記再帰反射性エレメント(60)は、150μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目36のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目38)
前記再帰反射性エレメント(60)は、200μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目37のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目39)
前記再帰反射性エレメント(60)は、250μm超の高さhelementを有する、項目1〜項目38のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目40)
前記プリズム層(42)は、該プリズム層の前記前表面と前記再帰反射性プリズムエレメント(60)との間に達するサブレイヤ(64)を備えている、項目1〜項目39のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目41)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、55μm未満の厚さtsublayerを有する、項目40に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目42)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、50μm未満の厚さtsublayerを有する、項目41に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目43)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、45μm未満の厚さtsublayerを有する、項目42に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目44)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、40μm未満の厚さtsublayerを有する、項目43に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目45)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、35μm未満の厚さtsublayerを有する、項目44に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目46)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、30μm未満の厚さtsublayerを有する、項目45に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目47)
前記プリズム層(42)のサブレイヤ(64)は、25μm未満の厚さtsublayerを有する、項目46に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目48)
前記再帰反射性エレメント(60)は、115μm未満の高さhelementを有し、前記サブレイヤ(64)は、50μmと25μmとの間の厚さtsublayerを有する、項目40〜項目47のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目49)
再帰反射性エレメント(60)は、115μm超の高さhelementを有し、前記サブレイヤ(64)は、25μm未満の厚さtsublayerを有する、項目40〜項目47のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目50)
前記再帰反射性フィルム(30)は、日中の明るさを増すために前記プリズム層(42)の表面に事前印刷された非透明パターン(70)を有する、項目49に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目51)
前記パターン(70)は、前記プリズム層(42)の前表面(62)上に印刷されている、項目50に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目52)
前記再帰反射性フィルム(30)は、前記プリズムフィルム(42)の前面に位置するカバー層(40)を備えている、項目1〜項目51のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目53)
前記カバー層(40)は、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリマーから造られている、項目52に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目54)
前記カバー層(40)は、ビニルまたはポリウレタンから造られている、項目53に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目55)
前記カバー層(40)は、150μm超の厚さを有する、項目52〜項目54のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目56)
前記カバー層(40)は、180μm超の厚さを有する、項目1〜項目55のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目57)
前記カバー層(40)は、200μm超の厚さを有する、項目1〜項目56のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目58)
前記カバー層(40)は、230μm超の厚さを有する、項目1〜項目57のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目59)
前記カバー層(40)は、250μm超の厚さを有する、項目1〜項目58のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目60)
前記カバー層(40)は、30μm未満の厚さを有する、項目52または項目53に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目61)
前記再帰反射性フィルム(30)は、日中の明るさを増すために前記カバー層(40)の表面に事前印刷された非透明パターン(70)を有する、項目52〜項目60のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目62)
前記パターン(70)は、前記カバー層(40)の後表面に事前印刷されている、項目1〜項目61のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目63)
前記反射性層(44)の後表面に隣接して位置する接着層(46)をさらに備えている、項目1〜項目62のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目64)
前記接着層(46)は、感圧性接着剤を含む、項目63に記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目65)
前記接着層(46)は、恒久的な接着剤を備えている、項目63または項目64のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)。
(項目66)
基板(20)の隆起したエリア(24)と再帰反射性フィルム(30)の隆起したエリア(34)とを同時に形成し、それによって、物品(10)の隆起したエリア(14)を形成するステップを包含する、項目1〜項目65のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)を製作する方法。
(項目67)
前記同時に形成するステップは、
前記基板(20)の前表面は、前記再帰反射性フィルム(30)の後表面に接着されるように、前記隆起したエリア(24)の形成に先行して、該基板(20)を作り、前記隆起したエリア(34)の形成に先行して、該再帰反射性フィルム(30)を作ることと、
該隆起したエリア(24/34)を形成するように該基板/フィルム作りを常温加工することと
を包含する、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記常温加工ステップは、刻印すること、または浮き彫りにすること、または押圧することを包含する、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記基板(20)の前表面は、前記再帰反射性フィルム(30)の後表面に接着されるように、前記隆起したエリア(24)の形成に先行して、該基板(20)を作り、前記隆起したエリア(34)の形成に先行して、該再帰反射性フィルム(30)を作ることと、
該隆起したエリア(24/34)を形成するように該基板/フィルム作りを常温加工することと
のステップを包含する、項目1〜項目65のいずれかに記載の再帰反射性の物品(10)を製作する、方法。
(項目70)
前記常温加工ステップは、刻印すること、または浮き彫りにすること、または押圧することを包含する、項目69に記載の方法。
(項目71)
少なくとも20%の伸び率を有し、プリズム層(42)を有する、再帰反射性フィルム(30)。
(項目72)
接着層(46)および該接着層(46)の後表面をカバーする剥離ライナー(48)をさらに備えている、項目71に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目73)
プリズム層の後表面に形成された再帰反射性プリズムエレメント(60)およびプリズム層(42)の前表面(62)と該再帰反射性プリズムエレメント(60)との間に広がるサブレイヤ(64)を有するプリズム層(42)を有する再帰反射性フィルム(30)であって、該再帰反射性フィルム(30)は、
該再帰反射性エレメント(60)は、115μm未満の高さhelementを有し、該サブレイヤ(64)は、50μmと25μmとの間である厚さtsublayerを有するか、または、該再帰反射性エレメント(60)は、115μm超の高さhelementを有し、該サブレイヤ(64)は、25μm未満の厚さtsublayerを有する、再帰反射性フィルム(30)。
(項目74)
前記プリズム層(42)の前面に位置するカバー層(40)をさらに備えている再帰反射性フィルム(30)であって、該カバー層(40)は、150μm超の厚さを有する、項目73に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目75)
前記カバー層(40)は、180μm超の厚さを有する、項目74に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目76)
前記カバー層(40)は、200μm超の厚さを有する、項目75に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目77)
前記カバー層(40)は、230μm超の厚さを有する、項目76に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目78)
前記カバー層(40)は、少なくとも250μmの厚さを有する、項目77に記載の再帰反射性フィルム(30)。
(項目79)
不透明な基板(20)と該基板(20)の隆起したエリア(12)に対応し得る再帰反射性フィルム(30)とを備える、再帰反射性の物品(10)。
(項目80)
基板(20)と再帰反射性フィルム(30)とを含む再帰反射性の物品(10)であって、該再帰反射性の物品(10)は、プリズム層(42)と該プリズム層(42)の後表面に隣接して位置する反射性層(44)とを備え、該反射性層(44)は、30%未満の可視光線透過率を有する、再帰反射性の物品(10)。
(項目81)
金属基板(20)とプリズム層(42)を有する再帰反射性フィルム(30)とを備えている、ライセンスプレート(10)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明にしたがう再帰反射性の物品(例えば、ライセンスプレート)の正面図である。
【図1A】図1Aは、図1におけるライン1A〜1Aに沿って見られる再帰反射性の物品の断面図示であり、本図示は、平面バックグランド形成エリアを示す。
【図1B】図1Bは、図1におけるライン1B〜1Bに沿って見られる再帰反射性の物品の断面図示であり、本図示は、隆起したしるし形成エリアの1つを示す。
【図2】図2は、本発明にしたがう再帰反射性フィルムの接写断面図示である。
【図3】図3は、再帰反射性フィルムのプリズム層の後部からの図示である。
【図4】図4は、再帰反射性フィルムのカバー層の後部からの図示および/またはプリズム層の正面図示である。
【図5】図5は、プリズム層の側面拡大図示である。
【図6】図6は、ライセンスプレートに入出する光線の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(詳細な説明)
ここに図面、最初に図1を参照すると、本発明にしたがう再帰反射性の物品10が示される。例示された物品は、例えば、乗用車などの自動車にはめ込まれ得るライセンスプレート10である。ライセンスプレート10は、バックグランドを形成する平面エリア12および英数字および/または他のしるしを形成する隆起したエリア14を含む。
【0008】
平面バックグランド形成エリア12の前表面(すなわち、観察者の対面する基板)は、ライセンスプレート10の可視性を改善するために再帰反射性である。ペイント16(および/または別のカバーリング)は、しるし形成エリア14を非反射性にするために隆起したしるし形成エリア14に塗布され得る。バックグランドおよびしるし(例えば、ペイント16)は、同じ色であり得るが、ほとんどの場合に、しるしの注目度を増すために異なる色である。
【0009】
さらに図1Aおよび図1Bを参照することによって最良に示されるように、物品10は、基板20およびラミネートされるか、または他の方法で該基板20の前表面に接着された再帰反射性フィルム30を包含する。基板20は、ライセンスプレート10の平面エリア12に対応する平面エリア22および該ライセンスプレート10の隆起したエリア14に対応する隆起したエリア24を有する。再帰反射性フィルム30は、ライセンスプレート10の平面エリア12に対応する平面エリア32および該ライセンスプレート10の隆起したエリア14に対応する隆起したエリア34を有する。隆起したエリア24/34は
、一般的には、平面エリア22/32を基準にして約0.3mmから約3mmの範囲の高さを有する。
【0010】
ライセンスプレート10にしるし形成エリア14を形成するために、隆起したエリア24および34が同時に形成される。例えば、基板20(隆起したエリア24なしに)および再帰反射性フィルム30(隆起したエリア34なしに)は、該基板20の前表面が該再帰反射性フィルム30の後表面に接着されるように、作られ得る。次いで、基板/フィルム作成20/30は、隆起したエリア24/34を生成するために、刻印され、浮き彫り
にされ、押圧され、または他の方法で常温加工され得る。
【0011】
基板20は、望まれる加工(すなわち、しるし形成)の方法に対応する材料から造られるべきであり、厚さおよび/または耐張力強度を有するべきである。例えば、基板20は、金属またはプラスチックから造られ得、良好な引張り特性を有する軟金属(すなわち、アルミニウム、銅、銀、金)であることがたいていは好ましい。基板20は、金属である場合には、0.05mmから5mmの範囲の厚さを有し得る。基板20は、透明でも半透明でもない実質的に不透明な材料、および/または30%未満、25%未満、20%未満および/または10%未満の可視光透過率を有する材料から造られ得る。例示された実施形態において、基板20は、実質的に完全に不透明である薄い(例えば、2mm以下)のアルミニウムプレートであり得る。
【0012】
本発明にしたがって、再帰反射性フィルム30は、隆起したエリア34(例えば、しるし形成エリア)の形成に対応するように構成される。特に、フィルム30は、望まれる加工方法(すなわち、刻印すること、浮き彫りにすること、押圧すること)に耐え得るべきである。該目的のために、再帰反射性フィルム30は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、および/または少なくとも70%の伸び率を有する。実際、本発明の再帰反射性フィルム30は、100%を超える伸び率を有するように設計され得る。伸び率は、フィルムが破断することなしに1つ以上の次元で延展され得る程度をいい、その「伸び」は、この破断のポイントである。
【0013】
再帰反射性フィルム30の構成は、図2により詳細に示される。例示されたフィルム30は、カバー層40、プリズム層42、反射性層44、接着層46および剥離ライナー48(例示された向きで最上部から最下部への順)を包含する。カバー層40は、例示された実施形態において最前層(すなわち、観察者に最も近い)であり、いかなる場合にも、プリズム層の前面に位置する。したがって、カバー層40は、光がプリズム層42に達することを可能にするように透明および/または半透明であるべきであり、好ましくは、高度に透明である。
【0014】
カバー層40は、天気、摩擦、剥離、高温、および/または酸性雨に対して他の層(および特にプリズム層42)の一体性を保護するように構成される。例示された実施形態において、ペイント16は、カバー層40に塗布されるが、それにより、該カバー層40および/または該ペイント16を選択する場合に、その適合性が考慮されるべきである。カバー層40は、ビニルまたはポリウレタンなどの熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリマーから造られ得る。カバー層40は、例えば、カレンダービニルである場合には、150μm(約6mil)超、180μm(約7mil)超、200μm(約8mil)超、230μm(約9mil)、250μm(約10mil)超、または少なくとも300μm(約12mil)の厚さを有し得る。カバー層40が、例えば、鋳造ビニルである場合に、30μm(約1.2mil)程度の厚さを有し得る。カバーコーティング(図示されず)は、保護または他の目的のためにカバー層40上に置かれ得る。カバー層40は、透明色(例えば、黄色、赤色、青色、緑色、茶色、オレンジ色など)を生成するために色素を組み込み得る。
【0015】
プリズム層42は、その上に浮き彫りにされた、鋳造された、成形された、または他の方法で形成された複数の再帰反射性エレメント60を有する。図3を簡潔に参照することによって最良に理解されるように、再帰反射性エレメント60は、各々単一の角または頂点で出会う3つの相互に垂直な面を有する一並びの立方体角エレメント(すなわち、プリズム構造)を含み得る。各再帰反射性エレメント60の立方体の総面積は、約1mm以下であり得、その場合には、エレメント60は、微小光学エレメントおよび/または微小立方体と考えられ得る。本発明は、微小立方体の使用および/またはより大きな立方体角エレメントを考える。
【0016】
プリズム層42は、透明色を生成する色素を組み込み得る。組み込みは、色素を含むカバー層40の付加、または代替であり得る。層40および層42の両方が色素を組み込む場合には、通常は同じ色であり、しかしながら、2つの異なる色素の使用はもちろん可能である。
【0017】
一般的には、プリズム層42は、第一のおよび第二の平面を有する薄板材料から形成される。再帰反射性エレメント60は、薄板材料の第一の表面に浮き彫りにし、鋳造し、または成形することによって形成され、エレメント60は、薄板材料の中に一定の深さまで達する。したがって、プリズム層42は、エレメント形成方法(例えば、浮き彫りにすること、鋳造すること、成形すること)と適合可能である、透明/半透明である(好ましくは高度に透明である)材料で造られる。適切な材料は、例えば、アクリル酸またはポリカーボネートを含む。図4を簡潔に参照することによって最善に理解されるように、エレメント60と層42の上部表面62との間の材料部分は、ベースサブレイヤまたは本体サブレイヤ64を形成する。プリズム層42は、上部表面62から再帰反射性エレメント60の低部頂点まで達する厚さtlayerを有するものとして見られ得る。再帰反射性エレメント60は、低部頂点からサブレイヤ64の底部表面までに測定される高さhelementを有するものとして見られ得る。サブレイヤ64は、底部表面から上部表面62まで測られた厚さtsublayerを有するものとして見られ得る。
【0018】
プリズム層42のサブレイヤ64は、55μm(約2.17mil)未満、50μm(約1.97mil)未満、45μm(約1.77mil)未満、40μm(約1.57mil)未満、35μm(約1.37mil)未満、30μm(約1.18mil)未満、および/または25μm(約0.97mil)未満の厚さtsublayerを有し得る。再帰反射性エレメント60は、35μm(約1.4mil)超、75μm(約3mil)超、100μm(約4mil)超、150μm(約6mil)超、200μm(約8mil)超、および/または250μm(約10mil)超の高さhelementを有し得る。再帰反射性エレメント60が115μm(約4.5mil)未満の高さhelementを有する場合には、最良の伸び特徴は、50μm(約2mil)と25μm(約1mil)との間である厚さtsublayerによって獲得され得る。再帰反射性エレメント60が115μm(約4.5mil)超の高さhelementを有する場合には、最良の伸び特徴は、25μm(約1mil)未満である厚さtsublayerによって獲得され得る。
【0019】
図4を簡潔に参照することによって最良に理解されるように、カバー層40の底部表面および/またはプリズム層42の最上部表面は、例示されたシェルパターンなどの不透明(すなわち、半透明または不透明)パターン70をもって必要に応じて事前印刷され得る。例示されるパターンにおいて、各シェルは、直径約3mmから4mm(円形に近い場合には)である。パターン70の目的は、可視光透過率における大幅な妥協なしに日中の明るさを増すことである。
【0020】
反射性層44は、蒸着された、または他の方法で立方体角エレメント60の露出された表面上に塗布された反射性金属(例えば、銀、アルミニウム、金、銅)の層を含み得る。層44は、代替的に、反射性金属の薄片が埋め込まれるバインダー層を包含し得る。金属が灰色がかった色を有し、カバー層40およびプリズム層42が明るい色(例えば、白)である場合には、フィルム30は、時々「灰色」と称される。
【0021】
反射性層44の厚さは、通常、プリズム層42(例示目的のために図面においてやや誇張されてはいるが)よりも相当に小さい。例えば、層44は、0.02μm(約0.0008mil)から0.125μm(約0.005mil)までの範囲の厚さを有し得る。反射性層44は、実質的に不透明(すなわち、透明でも半透明でもない)であり得、および/または30%未満、25%未満、20%未満、および/または10%未満の可視光透過率を有し得る。
【0022】
接着層46は、アクリル酸ベースの接着剤またはエマルジョンベースの接着剤を含み得る。接着剤は、加熱活性、溶剤活性、または感圧性(たいていは好ましい)であり得る。接着剤は、恒久的であり得(すなわち、添加された媒体は目立った損傷なしに除去され得ない)および/または除去可能であり得る(しかし、通常は、ライセンスプレート状態では恒久的である)。いかなる場合にも、層46は、フィルム30を基板20に接着する機能目的を果たす。しかしながら、他の基板粘着技術は、本発明を用いて可能であり、本発明によって考えられる。例えば、基板20は、フィルム接着目的のために前表面上に接着層を含み得るが、または接着剤は、基板フィルムを接着するステップが実行されるその位置に塗布され得る。さらに、ヒートボンディング、またはメカニカルアタッチングなどの非接着剤技術が、フィルム30を基板20に接着するために使用され得る。上述の例において、フィルム30は、接着層46(別の間隙充填媒体が時々必要とされ得るが)を含む必要はない。
【0023】
剥離ライナー48は、剥離剤(例えば、ポリエチレンまたはシリコーン)でコーティングされた担体網(例えば、紙またはポリエステル)を含み得る。剥離ライナー48の機能は、物品10のアセンブリ中基板フィルム接着ステップが実行されるまで接着層46をカバーすること、および/または接着層46の形成中に担体層として機能することである。いずれの場合にも、フィルム30が接着層46を含まない場合には、該フィルム30は、恐らく剥離ライナー48を含む必要はない。さらに、接着層46がプリアセンブル保護および/またはキャリング媒体が必要ではないような場合には、剥離ライナー48は、フィルムの構造から省略され得る。いずれの場合にも、フィルム30が剥離ライナー48を含む場合には、一般的には、フィルムの再帰反射性の物品10への組み込みに先行してフィルム30は除去される。
【0024】
本発明にしたがう再帰反射性の物品10および/または再帰反射性フィルム30は、プリズム層の代わりにマイクロレンズの(および/またはビードされた)層を有するフィルムと比較する場合に、高度の再帰反射性(例えば、ルクス−平方メーター当たりのカンデラ単位−cd/lux−mにおいて測定される)を達成し得る。詳しくは、例えば、0.1°の観察角および−4°の照射角では、250cd/lux−mの再帰反射性が獲得され得、30°の観察角および照射角では、180cd/lux−mの再帰反射性が獲得され得る。0.2°の観察角ならびに−4°および30°の照射角では、200cd/lux−mおよび150cd/lux−mの再帰反射性が各々獲得され得る。0.5°の観察角ならびに−4°および30°の照射角では、95cd/lux−mおよび65cd/lux−mの再帰反射性が各々獲得され得る。図6で概略的に示されるように、照射角θは、反射平面に向かって行く光の方向と物品10の反射平面に垂直である(例示される実施形態においては水平である)線との間の角度である。観察角αは、反射平面に向かって行く光の方向と反射平面から離れて行く光の方向(該角は、このような小さな角は描くことが困難であるので図6ではやや誇張されている)との間の角である。
【0025】
ここに基板20に接着される場合に常温加工ステップに対応し得る再帰反射性フィルム30を本発明が、提供するということが理解され得る。そのようにして、特にフィルム30は、ライセンスプレート製造に対して修正可能である。上述されるように、本発明の再帰反射性フィルム30は、例えば、サイン(例えば、交通、警告、規制、住所、サービス、一般的な識別)、安全装置(例えば、コネックス、車線の仕切り、車線マーカー、チャネルファンネル)および他の物品を造るための他の大きさ/形の基板を用いて使用され得る。実際、再帰反射性フィルム30は、特に関連する表面(例えば、道路、壁、軌道、自動車部品など)が不規則な形状を有する場合には、基板のない状態での用途もまた見い出し得る。
【0026】
発明は特定の好ましい実施形態に関して示され、記載されたが、均等の、かつ明白な変形例および変更例が、本明細書の読解および理解に基づき他の当業者に想起されることは明白である。本発明は、このような変形例および変更例のすべてを含み、以下の特許請求の範囲によってだけ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−237820(P2011−237820A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−150973(P2011−150973)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【分割の表示】特願2007−550548(P2007−550548)の分割
【原出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【Fターム(参考)】