説明

再形成注入装置

【課題】伸びない嚢胞フィルム、例えば金属被覆フィルムとともに使用される堅い嚢胞部分を含む流体リザーバアセンブリと流体連絡した状態に配置することができる1本または数本の実質的に隠された患者針を提供するパッチ状の自給式多成分物質注入装置(1000)のためのシステムおよび方法を改良する。
【解決手段】この装置は、接着剤接触によって皮膚表面に取り付けることができ、加圧システムは、流体リザーバアセンブリの内容物に圧力を加える。この装置での好ましい使用のための再形成用の乾燥粉末製剤の改良も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、治療用化合物または他の化合物を調製し、患者に投与するための医療
装置および方法に関し、より詳細には、薬物および/または他の化合物の最適な再形成(
reconstitutuion)、混合および希釈液を用いた希釈、ならびにその結果
得られた混合物の注入(infusion)型装置によるその後の投与を容易にする、薬
物再形成/投与システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注入療法は、ある期間にわたって薬剤を送達する必要がある患者に対する広く知られた
療法である。約3年間続く高価なポンプの購入を強いる糖尿病の注入ポンプ療法はおそら
く、通院注入療法中、最も大きな集団を形成する。このポンプのこの初期コストはこのタ
イプの療法に対する大きな障害である。しかし、使用者の観点から見ると、ポンプを使用
した圧倒的多数の患者は、残りの人生をポンプとともに生きることを選ぶ。これは、注入
ポンプが、注射器およびペン(pen)よりも複雑ではあるものの、インスリンの連続注
入、正確な投薬およびプログラム可能な送達スケジュールといった利点を提供するためで
ある。これは、より緻密なグルコース制御および健康が改善した実感をもたらす。
【0003】
経口剤に依存していた患者がついにインスリンに移行し、それらの患者の集中療法に対
する関心が高まると、使用者は一般にインスリンポンプに目を向ける。しかし、その高い
コスト(注射器療法の日々のコストのざっと8から10倍)および限られた寿命に加え、
インスリンポンプは比較的に古い技術であり、使用方法が面倒である。さらに、ライフス
タイルの観点からは、使用者の腹部の送達部位とポンプをつなぐ管(「注入セット」とし
て知られている)は非常に不便であり、ポンプは比較的に重く、ポンプの携行は負担にな
る。
【0004】
したがって、ポンプ療法の観察された成長および毎日の注射数の増大を考慮して、より
便利な療法に対する関心が高まっている。この注入例および同様の注入例において、この
高まった関心を完全に満たすために求められているのは、毎日の注射療法の最大の特徴(
低コストおよび使いやすさ)とインスリンポンプのそれ(連続注入および精密投薬)とを
兼ね備え、さらにそれぞれの欠点を回避したインスリン送達または注入形態である。
【0005】
コストが低く使用に便利な歩行可能(ambulatory)なまたは「着装可能な(
wearable)」薬物注入装置を提供する試みがいくつか実施された。これらの装置
のいくつかは、部分的にまたは完全に使い捨てである。理論的には、このタイプの装置は
、付随するコストおよび不便さなしに、注入ポンプの利点の多くを提供することができる
。しかし残念なことに、これらの装置の多くには欠点があり、これには、使用者の不快感
(これは使用される注射針のゲージ(gauge)および/または長さに起因する)、送
達される物質と注入装置の構造中に使用される材料との間の適合性および相互作用、なら
びに使用者によって適切に活動化されない場合の誤動作(例えば装置の未熟な活動化に起
因する「ウェットな(wet)」注射)の可能性が含まれる。これらのタイプの装置、し
たがって液体の形態で冷蔵しなければならないときには大部分の薬物に関して、長期薬物
安定性も問題であった。
【0006】
この薬物安定性の問題に対処するため、薬剤を乾燥粉末の形態にすることによって薬剤
に貯蔵安定性を付与することができる。これを実行するための技法には、凍結乾燥(fr
eeze−drying)、噴霧凍結乾燥(spray freeze−drying)
、凍結乾燥(lyophilization)などがある。しかし、このような薬剤の再
形成は難しく、多くのステップを含む。さらに、再形成された液体の特性は一般に、液体
製剤と同じにはならない。これは少なくとも、再形成中に気泡が形成される可能性がある
ためである。
【0007】
過去において、再形成された製剤中の気泡を崩壊させるさまざまな方法が試みられた。
これらの方法の多くは、超音波エネルギーの付与を使用する。超音波の効果は、キャビテ
ーション(cavitation)として知られているもの、すなわち音波によって形成
された気体を含むキャビティ(cavity)に基づく。これらのキャビティは互いに衝
突し、より大きなキャビティを形成し、次いで液面まで上昇して消える。これらの方法は
、専用のかさばる機器および電源を必要とする。キャビテーションの他の欠点は、気泡が
崩壊するときに発生する瞬間的だが強い熱バースト(burst)である。この発生する
熱が、生成物の中の一部の活性成分または不安定な薬物を破壊することは疑いない。再形
成された溶液から気泡を除去する方法であって、高いエネルギー入力、および発熱などの
問題を持たない方法が望ましい。試みられた他の気泡形成低減方法は、高圧を加える方法
である。気泡の崩壊速度はG(外部張力と気泡の内圧との間の勾配)に比例するため、高
圧は気泡形成を低減させると理論付けられる。より高い外部張力は気泡を収縮させること
ができる。気泡の直径が小さくなると、増大した内部ガス圧によって、気泡内のガスが溶
解し、その結果、ガスの溶解に伴って気泡は崩壊する。それでもやはり、この方法も追加
の機器安全装置を必要とし、安全性とコストの両方の懸念から多くの応用に対して実行可
能とは言えない。さらに、再形成された製品が加圧されたバイアル(vial)から引き
出されたときなど、高圧が除去された後に気泡が再び形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第10/916,649号明細書(Cindrich他、2004年8月12日出願)
【特許文献2】米国特許出願第10/916,648号明細書(Cindrich他、2004年8月12日出願)
【特許文献3】米国特許出願第10/396,719号明細書(Jim Fentress他、「Multi-Stage Fluid Delivery Device and Method」、2003年3月26日出願)
【特許文献4】米国特許出願第10/679,271号明細書(2003年10月7日出願)
【特許文献5】米国特許第6,569,143号明細書(「Method of intradermally Injecting Substances」)
【特許文献6】国際公開第02/083214号パンフレット(「Vaccine Delivery System」)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007
【非特許文献2】Rubins他、Microbial Pathogenesis, 25, 337-342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、現在も、薬剤が安定に貯蔵できる乾燥形態をとり、これを容易に再形成し、注
入型装置によって直接に投与することができる薬剤投与システムが依然として求められて
いる。さらに、再形成された薬物は、予め混合された液体製剤に似た特性を有しなければ
ならない。したがって、インスリンおよび非インスリン応用に対して製造の単純さおよび
使いやすさをさらに提供するインスリン注入ポンプなど、現在の注入装置の代替装置が求
められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の薬物再形成/投与システムは、濃縮された薬物または他の組成物を、予め充填
されたカートリッジアセンブリ(cartrige assembly)からの希釈液と
混合することができる、通常はハウジング(housing)の中に封入された多構成要
素配置であり、このシステムはさらに、その結果得られた混合物を、患者に投与するため
に注入器リザーバ(infuser reservoir)に充填することができる。こ
のシステムはさらに、薬物を、濃縮された形態で効率的に貯蔵し、取り扱うことを可能に
し、さらに、システムの内蔵構成要素の使用による投与の直前の、所望の濃度への薬物の
希釈または再形成を容易にする。
【0012】
示される実施形態によれば、本発明のシステムは、薬物または他の薬剤を収容するため
の容器またはカートリッジを含み、この容器は、容器を閉じるための穿刺可能なストッパ
を有する。このシステムはさらに、充填端および患者針端を有し、これらの間に流路を画
定するリザーバを含む注入器アセンブリを含む。このリザーバは、この流路と流体連絡し
た内部室を画定し、そのため、液体は、この流路を通って、内部室の中へ、および内部室
から外へ移動することができる。このリザーバは、その内容全体が参照によって本明細書
に組み込まれる特許文献1および2のリザーバ構造に従って構築することができる。
【0013】
このシステムはさらに、リザーバアセンブリの中の液体をカートリッジの中の薬剤と混
合するための混合アダプタ(adapter)アセンブリを含む。このアダプタアセンブ
リは、関連カートリッジの穿刺可能なストッパと流体接続するためのアクセス(acce
ss)針を有する全体が円柱形の受取口を含む。この配置によって、カートリッジの端部
およびその中に配置されたストッパを、アダプタアセンブリの受取口スリーブ(slee
ve)の一端に配置することができる。受取口の内径は関連カートリッジの外径よりも大
きく、したがって、システムの使用中に受取口の中にカートリッジアセンブリを、概ね望
遠鏡式に配置することができる。
【0014】
受取口のアクセス針およびカートリッジアセンブリは、互いに選択的に流体連絡するリ
ザーバアセンブリの流路および患者針に接続する。任意選択で、患者針とリザーバの間の
流体経路に弁が置かれる。この配置によって、このシステムは、薬物が充填されたカート
リッジアセンブリを、概ね受取口の開端の中に配置することによって、濃縮された薬物の
再形成を可能にする。これらの構成要素は互いにスライド可能に係合している。この構成
では、カートリッジアセンブリ内の低圧条件の作用によって、リザーバアセンブリの内部
室に予め充填された希釈液などの液体が、アクセス針の流路を通ってカートリッジアセン
ブリの中へ流入するようにすることができる。再形成は、希釈液を薬物と接触させること
によって達成される。カートリッジアセンブリは、受取口の中へ縦にさらにスライドされ
るが、アクセス針ハブ(hub)との相互作用によって、ストッパのさらなる平行移動は
妨げられる。このようにして、ストッパはハウジングに対して固定され、カートリッジア
センブリに対しては平行移動し、その結果、ストッパは、薬物/希釈液混合物を、カート
リッジの内部室から、アクセス針を通して、リザーバアセンブリの中へ押し出す。このよ
うにリザーバアセンブリからの液体は、カートリッジの室の中で、カートリッジからの薬
剤と混合され、加圧下で、リザーバアセンブリの中へ押し戻される。したがって、所望の
希釈された薬物混合物が、充填されたリザーバアセンブリの中に提供され、今は空の室が
受取口の中にはめられている。
【0015】
混合が完了すると、このシステムは、その内容全体が参照によって本明細書に組み込ま
れる特許文献1および2に記載の方法および装置による混合物の投与を容易にする。この
注入器の動作の全般的な説明は次の通りである。この装置は自給式であり、下面に配置さ
れた接着剤によって使用者の皮膚表面に取り付けられる。使用者によって適切に配置され
、活動化された後、装置内のリザーバ表面に作用する加圧システムを使用して、この部分
的に柔軟なリザーバの内容物を、針マニホルドを経由して、1本または数本の患者針から
放出することができる。この混合されたリザーバ内の物質は次いで、使用者の皮膚に打ち
込まれた患者針によって、使用者の皮下に送達される。加圧システムが、事実上機械、電
気および/または化学装置であり、とりわけガス発生加圧手段、機械的アクチュエータま
たは形状記憶合金である異なるタイプのエネルギー装置によって置き換えられた、他の実
施形態も可能であることを理解されたい。
【0016】
この好ましい形態では、その無菌性を維持するため、リザーバアセンブリが、好ましく
は、ピールアウェイシール(peel−away seal)対などが、アダプタアセン
ブリの反対端に配置された要素を閉じるブリスター(blister)包装などによって
、閉じた形態で提供される。この配置は、使い捨て用に構成されることが好ましく、その
ために、それが受取口と接続された後のアダプタアセンブリからのカートリッジの除去を
防ぐロッキング(locking)配置が提供される。
【0017】
さらに、カートリッジ内の薬剤の加圧処理は、再形成された薬物/希釈液溶液の品質に
意外な利益をもたらすことが分かった。例えば、薬物リザーバ内の低圧条件は、リザーバ
への流体接続後にカートリッジに希釈液を充填する目的に資するだけでなく、結果として
生じる混合物は、より少ない量の観測可能な気泡を有する。さらにある種の応用では、カ
ートリッジ内の薬物と一緒に通常は存在する大気中の気体を、不活性ガス、とりわけアル
ゴン、ヘリウムで置き換えて、再形成特性をさらに向上させることが望ましい。
【0018】
本発明のこれらの態様およびその他の態様は実質的に、伸びない(non−diste
nsible)嚢胞フィルム(bladder film)、例えば金属被覆フィルムと
ともに使用される堅い嚢胞部分を含む内容物リザーバアセンブリと流体連絡した状態に配
置することができる1本または数本の実質的に隠された患者針を提供するパッチ状の着装
可能な自給式の再形成物質注入装置のためのシステムおよび方法を提供することによって
達成される。再形成流体および/または乾燥粉末薬物のための接続が提供される。プッシ
ュ型活動化アセンブリが提供され、次いでこれを使用して、保持ピンを除去し、円盤ばね
アセンブリが、リザーバアセンブリの内容物に本質的に一様で一定の圧力を加えることを
可能にすることができる。このプッシュ型活動化アセンブリは次いで、1つまたは複数の
ばね仕掛けの患者針を解放し、患者の皮膚の中に着座させ、患者針と加圧されたリザーバ
内容物の間の流体連絡経路を確立し、それによって使用者の皮膚の中に内容物を注入する
。注入装置の完了および除去後、いくつかの安全機構を係合させて、廃棄のために針をカ
バーすることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態のさまざまな目的、利点および新規の特徴は、以下の詳細な
説明を添付図面とともに読まれたときに、より容易に理解されよう。
【0020】
図面全体を通じて、同様の参照符号は、同様の部品、構成要素または構造を指すことを
理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】活動化の前に2つの成分混合システムを使用する、パッチ状注射器または注入器システムの上面斜視図である。
【図1B】図1Aのパッチ状注射器の下面斜視図である。
【図2A】リザーバアセンブリおよび上部ハウジングを示す、図1Aのパッチ状注射器の第1の分解図である。
【図2B】ボタンアセンブリ、針マニホルドおよび下部ハウジングを示す、図1Aのパッチ状注射器の第2の分解図である。
【図2C】カートリッジアセンブリおよびアクセス針を示す、図1Aのパッチ状注射器の第3の分解図である。
【図3】軸A−A、C−CおよびB−Bを示す、図1Aのパッチ状注射器の平面図である。
【図3A】カートリッジを挿入する前の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図3B】カートリッジを挿入する前の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図3C】カートリッジを挿入する前の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図3D】カートリッジを挿入する前の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【図4A】カートリッジに挿入した後の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図4B】カートリッジに挿入した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図4C】カートリッジに挿入した後の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図4D】カートリッジに挿入した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【図5A】リザーバにアクセスした後の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図5B】リザーバにアクセスした後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図5C】リザーバにアクセスした後の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図5D】リザーバにアクセスした後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【図6A】流体を移した後の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図6B】流体を移した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図6C】流体を移した後の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図6D】流体を移した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【図7A】リザーバを加圧した後の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図7B】リザーバを加圧した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図7C】リザーバを加圧した後の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図7D】リザーバを加圧した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【図8A】針が展開した後の、図3のパッチ状注射器の軸A−Aに沿った側断面図である。
【図8B】針が展開した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った側断面図である。
【図8C】針が展開した後の、図3のパッチ状注射器の軸C−Cに沿った側断面図である。
【図8D】針が展開した後の、図3のパッチ状注射器の軸B−Bに沿った断面上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に説明する本発明の装置の諸態様は、少なくとも2つの成分(一般に希釈液と乾燥
粉末)に分けられた予め計量された量の薬物、または薬剤などの物質を、接着剤で取り付
けられた注入装置によって使用者に送達する、便利なパッチ状装置として使用することが
できる。この装置は自給式(self−contained)であり、下面に配置された
接着剤によって使用者の皮膚表面に取り付けられる。一般に、これらの2つの成分はこの
装置によって混合され、リザーバ(reservoir)に移される。使用者によって適
切に配置され、活動化された後、装置内のリザーバ表面の加圧システムを使用して、この
部分的に柔軟なリザーバの内容物を、針マニホルド(manifold)を経由して、1
本または数本の患者針から放出することができる。この混合されたリザーバ内の物質は次
いで、使用者の皮膚に打ち込まれた患者針によって、使用者の皮下に送達される。
【0023】
加圧システムが、円盤ばねの変形物、円盤ばね、あるいは事実上機械、電気および/ま
たは化学装置である他のタイプのエネルギー蓄積装置(stored energy d
evice)である、他の実施形態も可能であることを理解されたい。また、本明細書で
は、カートリッジ(cartridge)およびリザーバの中の薬物成分の混合物に関し
て言うときに、用語混合と再形成が、相互に交換可能に使用されることを理解されたい。
混合する薬剤成分は、気体、固体、液体、乾燥粉末、懸濁液またはこれらの任意の混合物
とすることができる。本明細書の例の多くは2成分系、例えば乾燥粉末と希釈液だが、3
種類以上の成分が順次混合されるように、複数回の混合操作を実行することもできること
を理解されたい。当業者には理解されることだが、本明細書に開示されるパッチ状注射ま
たは注入器システムを実現する方法は多数ある。図面および以下の説明において示される
実施形態を参照するが、本明細書に開示される実施形態は、開示の発明が包含するさまざ
まな代替設計および実施形態の全てを網羅したものではない。開示されるそれぞれの実施
形態ではこの装置を注入器と呼ぶが、この装置は、注入装置によって一般に達成されるよ
りもはるかに速いボーラス(bolus)速度で物質を注入することもできる。例えば、
短くは数秒で、または長ければ数日かけて内容物を送達することができる。
【0024】
図1Aから8Dに示すように、本発明のある種の態様の実施形態は、さまざまな多成分
薬剤、例えば乾燥粉末/希釈液を患者に送達する目的に使用することができる、パッチ状
の着装可能な自給式物質注入装置を提供するように構築することができる。この装置はさ
らに、患者に送達する薬物の少なくとも1つの成分が充填されたカートリッジと呼ぶ分離
された薬物容器を使用する。この装置は、使用前および使用中に隠される1本または数本
の患者針を提供し、この装置は、接着面を介して患者に固定することができる。リザーバ
の内容物の加圧は、後に詳述するように、ばね保持円盤を除去しまたは取り外して装置の
内容物を加圧することによって達成することができ、次いで、上部プッシュ面(push
surface)に適度な力を加えることによってこの装置を活動化させて、患者針を
着座させる。あるいは、患者が装置の側面を押して、針を着座させる機構を活動化させる
。こうすることで、この装置は、自分自身による注射を容易にし、使用者間の注射技術の
ばらつきを低減させ、または排除する。
【0025】
図1Aから8Dに示した本発明の態様の例示的な一実施形態では、注入装置1000が
リザーバサブアセンブリ(subassembly)100を含み、リザーバサブアセン
ブリ100が、上部ハウジング110、リザーバベース面120、少なくとも1つの円盤
ばね130、保持ピン140、充填栓150、セプタム(septum)160およびリ
ザーバフィルム170を含む。注入装置1000はさらに、下部ハウジング210を含む
ハウジングサブアセンブリ200と、少なくとも1本の患者針222およびマニホルドフ
ィルム224を有する患者針マニホルド220とを含む。ハウジングサブアセンブリ20
0はさらに、針シールド230、針シールド駆動ばね232および調整可能な針キャップ
240を含む。下部ハウジング210の下面には接着剤層250が配置されており、この
接着剤層250を、取外し可能なフィルム(図示せず)およびプルハンドル(pull
handle)260によって覆うことができる。「E」クリップなどのクリップを使用
して、保持ピン140をプルハンドル260に固定することができる。あるいは、ピン1
40を、プルハンドル260と一体に形成してもよい。注入装置1000はさらにプッシ
ュボタン(push button)サブアセンブリ300を含み、プッシュボタンサブ
アセンブリ300は、少なくとも1つの患者針マニホルド駆動ばね310、プッシュボタ
ンスライド(slide)320、少なくとも1本のセプタム針330および流体連絡管
350を含む。プッシュボタンサブアセンブリ300を完成させるためにボタン面360
を提供することができる。この注入装置はさらに、患者に送達する薬剤の一部を含むカー
トリッジアセンブリ3000を含む。カートリッジ3000はハウジング110に挿入さ
れる。続いて、一連のステップによって、リザーバ100の中の薬剤成分が、カートリッ
ジ3000の中の薬剤成分と混合され、最終的には、極微針222によって患者に注入す
るために、リザーバ100の中に置かれる。以下の説明では、用語リザーバがしばしば、
リザーバサブアセンブリ100の組み立てられたリザーバベース面120、充填栓150
、151、セプタム160、161およびリザーバフィルム170を説明するため、およ
びこれらを別々に説明するために使用される。
【0026】
図1Aは、注入装置1000の第1の実施形態の上面斜視図である。図1Aには、組み
立てられた上部ハウジング110および下部ハウジング210がそれぞれ示されており、
その間にプッシュボタンサブアセンブリ300が含まれる。後に詳述するプルハンドル2
60が、エネルギーが加えられる前、活動化される前の位置に示されており、プルハンド
ル260は、保持ピン140を装置の中に固定し、加えられた力からプッシュボタン36
0を保護する役目を果たす。この第1の実施形態の下面斜視図である図1Bにより明確に
示されているように、プルハンドル260は、クリップ270によって、針キャップ24
0および保持ピン140に連結されている。任意選択で、プルハンドル260はさらに、
プッシュボタンスライド320に連結される。
【0027】
図2Aから2Cに示すように、本発明1000のこの実施形態は、患者にさまざまな薬
剤を送達する目的に使用することができるパッチ状の着装可能な自給式の物質注入装置を
提供するため、これらのサブアセンブリから構築することができる。再形成される前、エ
ネルギーが加えられる前、活動化される前の位置にある、図1Aに示された装置1000
は、使用前および使用中に隠される1本または数本の患者針を提供し、この装置は、接着
面を介して患者に固定することができる。送達される完成した薬物の再形成は、ハウジン
グ110にカートリッジ3000を挿入することによって達成することができる。リザー
バの内容物の加圧は、プルハンドル260を取り除いて装置および装置内容物に「エネル
ギーを加える」ことによって達成することができ、次いで、プッシュボタン360に適度
な力を加えることによってこの装置を「活動化」して、患者針を着座させ、リザーバと針
の間の流路を確定することができる。そうすることで、装置1000は自己注射を容易に
し、使用者間の注射技術のばらつきを低減させ、または排除する。
【0028】
図2Aには、注入装置1000のリザーバサブアセンブリ100が示されており、リザ
ーバサブアセンブリ100は、金属被覆フィルムなどの1枚または数枚の伸びない柔軟な
フィルム170とともに使用される堅い部分120からなることができる。リザーバサブ
アセンブリ100は、どちらか一方が堅い部分に対して配置された第1のフィルムと第2
のフィルムの間に、または第1のフィルムと堅い部分の間に、任意の数の物質を含むこと
ができる。リザーバには希釈液が充填されることが好ましい。堅い部分120ないしリザ
ーバベースは、後に詳述するように柔軟なフィルム170をその部分に押し付けることが
できるリザーバの硬い部分からなり、こうようなリザーバの硬い部分の役目を果たすこと
ができる。前述のとおり、図2Aに示した実施形態のリザーバは、好ましくは、硬いシェ
ル(shell)または内面と、この硬いシェルまたは内面の周囲に沿って取り付けられ
た少なくとも1枚の柔軟なフィルムとを有するように構築することができる。柔軟なフィ
ルム170を堅い部分120にヒートシール(heat seal)して、装置内容物を
貯蔵するための室または嚢胞(bladder)を形成することができる。室の少なくと
も1つの壁は柔軟なフィルム170を含み、室の少なくとも1つの壁は堅い表面を含むの
で、柔軟なフィルム170に隣接して1つまたは複数の円盤ばね130を配置し、これを
使用して、柔軟なフィルム170に実質的に一定の圧力を加え、リザーバ室およびその内
容物を加圧することができる。円盤ばねが主として開示されるが、本発明の諸態様におい
ては任意のタイプの加圧システムを使用することができる。極微針222へのアクセス(
access)経路を密閉するために、堅い部分120の凹み1600にセプタム160
が挿入され、カートリッジ3000へのアクセス経路を密閉するために、堅い部分の凹み
1610にセプタム161が挿入される。さらに、リザーバ100の室127を閉鎖する
ため、凹み1500に充填栓150が挿入され、凹み1510に充填栓151が挿入され
る。
【0029】
リザーバサブアセンブリ100のリザーバはさらに、適当な制御された環境で、リザー
バ内容物の定められた貯蔵寿命の間、内容物に不利な影響を及ぼすことなく貯蔵できるこ
とが好ましく、さまざまな環境条件で使用できることが好ましい。さらに、リザーバの諸
構成要素によって提供される障壁は、所望の貯蔵寿命を満たすために許容される輸送速度
よりも大きな速度での内容物の中へのまたは内容物からの気体、液体および固体物質の輸
送を許さない。図2Aに示した実施形態では、リザーバサブアセンブリの材料が、約0°
F(約−18℃)から120°F(約49℃)の温度範囲で貯蔵および操作しうる能力を
有し、2年以上の貯蔵寿命を有することができる。室温貯蔵と低温貯蔵の間の熱サイクル
に耐え、0°F(約−18℃)から120°F(約49℃)の温度範囲を超える動作温度
範囲を有する、他のさまざまな材料を選択することができる。
【0030】
次に、カートリッジアセンブリ3000を示す図2Cを参照する。カートリッジアセン
ブリはカートリッジ筒3100を含む。カートリッジ筒3100は事実上、円柱形の断面
を有する柱体であるが、任意の形状を使用することができる。カートリッジ筒3100は
、ボタン端3175およびアクセス端3125、ならびに内側部分3150を有する。カ
ートリッジ体3100のアクセス端3125には、スライド可能で穿刺可能なストッパ3
160がはめ込まれている。ストッパ3160は、カートリッジ筒3100の内径315
0にスライド可能に係合されている。ストッパ3160は、アクセス端3125からボタ
ン端3175までスライド可能である。カートリッジ筒3100のボタン端3175には
栓3200があり、栓3200は、カートリッジ筒3100のボタン端3175を密閉す
る。カートリッジ筒3100はさらに、少なくとも1つのタング(tang)3300を
有し、図に示すように2つのタング3300Aおよび3300Bを有する。タング330
0があるのは、ハウジング110の中へカートリッジ3000を誘導し、任意選択で、混
合ステップの終わりにハウジング110の中でカートリッジ3000をロックするためで
ある。代替実施形態では、カートリッジ筒3100が、アクセス端を形成する単一の開口
を有する試験管のような構造体であり、したがって栓3200の必要性が排除される。見
た目をよくするため、任意選択で、栓カバー3150が栓3200を覆う。他の代替実施
形態では、カートリッジ筒3100が、アクセス端を形成する単一の開口を有し、排気さ
れた血液採集管に似た障壁特性を有する、排気された血液採集管のような構造体であり、
したがって栓3200の必要性が排除される。組み立てると、カートリッジアセンブリ3
000の構成要素は内部室3500を形成し、内部室3500は、混合され送達される薬
剤の一部、とりわけ乾燥粉末を含む。
【0031】
カートリッジサブアセンブリ3000の材料はさらに、適当な制御された環境で、カー
トリッジ内容物の定められた貯蔵寿命の間、内容物に不利な影響を及ぼすことなく貯蔵で
きることが好ましい。さらに、リザーバの構成要素によって提供される障壁は、所望の貯
蔵寿命を満たすために許容される輸送速度よりも大きな速度での内容物の中へのまたは内
容物からの気体、液体および固体物質の輸送を許さない。図2Cに示した実施形態では、
カートリッジサブアセンブリの材料が、約0°F(約−18℃)から120°F(約49
℃)の温度範囲で貯蔵および操作しうる能力を有し、2年以上の貯蔵寿命を有することが
できる。カートリッジサブアセンブリは、システム全体の貯蔵寿命のため真空を含むよう
に適合されていることが好ましい。室温貯蔵と低温貯蔵の間の熱サイクルに耐え、0°F
(約−18℃)から120°F(約49℃)の温度範囲を超える動作温度範囲を有する、
他のさまざまな材料を選択することができる。
【0032】
図2Cにはさらに、2尖端針アセンブリを有するハブ(hub)であるアクセス針アセ
ンブリ2000の分解図が示されている。この実施形態では、この2尖端針アセンブリが
、ハブ2500に固定された別個のストッパ針2400とセプタム針2330とを有する
。代替実施形態では、アクセス針2000が、ストッパ端2450とセプタム端2350
とを有する単一の2尖端針から形成される。アクセス針2000は、ハウジング110の
中に含まれ、ハウジング110とスライド可能に係合する。ストッパ端2450はストッ
パ3160を貫通するように適合されており、セプタム端2350はセプタム161を貫
通するように適合されている。アクセス針2000は、リザーバ1000の室127から
カートリッジ3000の室3500まで続く選択可能な流体管路を提供する。
【0033】
後に詳述するように、リザーバサブアセンブリ100のリザーバは充填の前に排気され
ていることが好ましい。さらに、リザーバの形状は、使用されるエネルギー付与機構、例
えば任意の直径および高さを有する円盤ばねないし皿ばね130に適合するように成形す
ることができる。さらに、排気された柔軟なリザーバを充填時に使用すると、充填後のリ
ザーバ内の空気または気泡が最小限に抑えられる。柔軟なリザーバの使用はさらに、装置
が、リザーバ内圧の増大につながる可能性のある外圧または温度変化にさらされたときに
非常に有利である。このような場合、柔軟なリザーバは、その内容物とともに膨張、収縮
し、それによって、充填栓150、151およびセプタム160、161にかかる膨張お
よび収縮力に起因する可能な漏れを防ぐ。このことはさらに、環境温度および環境圧力の
変動に起因する投与量の変動を排除するのにも役立つ。さらに、柔軟なリザーバは、再形
成のためのカートリッジ3000の一時的な充填を可能にするカートリッジ内の真空の能
力、およびその後のリザーバ100の再充填を保証する。
【0034】
リザーバサブアセンブリ100の他の特徴は、充填時の、または使用者による使用時の
自動微粒子検査を可能にする能力である。堅い部分120などの1つまたは複数のリザー
バ障壁は、透明(transparent)でクリア(clear)なプラスチック材料
から成形することができ、この材料は、リザーバ内に含まれる物質の検査を可能にする。
この透明でクリアなプラスチック材料は、高い透明度(transparency)およ
びクラリティ(clarity)、少ない抽出物、ならびにリザーバ内に含まれる物質と
の生体適合性を特徴とする環状オレフィン共重合体であることが好ましい。
【0035】
図2Aのリザーバサブアセンブリ100の堅い部分120はさらに、リザーバの主室1
27にアクセスする、図2Aに示されているような少なくとも1つの流体経路128を含
む。図2Aに示した実施形態では、流体経路128は、リザーバの主室127を出、柔軟
なフィルム170を固定するために堅い部分120の周囲に沿って提供されたヒートシー
ル領域の下またはヒートシール領域の中を通り、充填ヘッド(fill−head)スト
ッパ150とセプタム160の間の室129に入り、リザーバの流体がリザーバからセプ
タム160へ移動することを可能にする。図2Aに示した実施形態では、流体経路128
が、死容積を低減させ、充填ヘッドを受け取る幾何形状を含むように構築されることが好
ましい。
【0036】
図2Aのセプタム160は、第1の流体経路128と、セプタム針330、セプタム針
マニホルド322および管350からなる第2の流体経路との間に配置されており、セプ
タム160は、セプタムスパイク(spike)またはセプタム針330によって貫かれ
たときに、リザーバと患者針222の間に無菌流路を生み出すエラストマー栓とすること
ができる。セプタム160を貫通し、第1の流体経路と第2の流体経路の間の流路を生み
出すために使用されるセプタム針330は、セプタム針ブーツ(boot)を含むことが
でき、このブーツは、ブーツがつぶされ流体経路が形成される前および後に、セプタム針
の無菌性を維持する。
【0037】
後に詳述するように、取扱いを容易にし、流れの制限を防ぐため、セプタム針330は
、25〜29ゲージなど、患者針222よりもかなり大きくすることができる。図8Dに
より明瞭に示されているように、セプタム針は、セプタム160と係合し、セプタム16
0の中にはまったままになるようにサイズが決められる。セプタム160とセプタム針3
30の間のこの係合は、セプタム針330がセプタム160を貫通するときに、セプタム
針330が非無菌環境に決してさらされずにその中を移動する無菌環境を生み出す。
【0038】
図2Bに戻る。前述の上部ハウジング110およびリザーバサブアセンブリ100と対
合することができる底部ないし下部ハウジング210が提供される。下部ハウジング21
0を使用して、残りの全ての構成要素を捕らえ、取り込むことができ、下部ハウジング2
10は、構成要素およびハウジング部材を受け取り、取り付けるためのスナップフィーチ
ャ(snap feature)を提供することができる。下部ハウジング210はさら
に、後に詳述するようにボタンスライド320および患者針マニホルド220を固定し、
解放し、導くための1つまたは複数の誘導フィーチャを含むことができる。後述するプッ
シュボタンサブアセンブリは、プレート上ではなく、丈夫なハウジングの中にトップダウ
ンでロードすることができるため、上下のハウジングユニット間の破断線などのユニット
間の破断線は、より安定なアセンブリを生み出す装置の垂直中心に向かって配置すること
ができる。次いで、上部ハウジング110と下部ハウジング210を互いにスナップばめ
し、または互いに超音波接着することができる。
【0039】
開示の装置はさらに、少なくとも1本の患者針222ないし極微針を含むが、図2Bの
プッシュボタンサブアセンブリ300に示された3本の極微針のように数本の針を含むこ
とができる。極微針222はそれぞれ、少なくとも31ゲージか、または34ゲージなど
それよりも細いことが好ましく、極微針222はそれぞれ、リザーバと流体連絡した状態
に配置することができる患者針マニホルド220の中に固定されていることが好ましい。
極微針はそれぞれ、1ポンド(約0.454kg)未満の力ではマニホルド220からの
取り外すことができないように固定される。装置の中に2本以上含まれるときに、極微針
222は、異なる長さまたはゲージ、あるいは異なる長さとゲージの組合せを含むことが
でき、極微針222は、胴の長さに沿って1つまたは複数の口を含むことができ、この口
は、針の先端の近く、または針が先端ベベル(bevel)を有する場合にはその近くに
配置されていることが好ましい。
【0040】
この注入は、はるかに大きなカニューレ(cannula)または針を必要とする注射
器による即時注射に一般に関連した期間よりも長い期間にわたって実施されるので、上述
の実施形態では、34ゲージの数本の針を使用してリザーバ内容物を送達するのが実際的
である。開示の実施形態では、好ましくは皮内または皮下空間を標的とする任意の針を使
用することができるが、図2Bに示した実施形態は、露出長が1から4mm(すなわち2
mm)の極微針を含み、これらの患者針の配置は直線または非直線アレイとすることがで
き、特定の応用が要求する任意の数の針を含むことができる。0.5から1mmなど、他
の長さ範囲の針を使用することもできる。さらに、注射を、本明細書の文脈で論じられる
組織空間に限定する必要はないので、この装置によって実施する注射は、任意の組織空間
に実施することができる。本発明の混合および再形成態様は、非経口投与一般(例えば皮
下、静脈、筋肉内および皮内送達)または体の開口部への薬剤の直接投与(例えば鼻腔内
投与)において有用であろう。したがって、本明細書に開示される特定の実施形態は、皮
内注入装置および方法に関するが、本発明の態様を有する装置は、非経口投与全般を実行
する装置において有用であるため、本発明は、皮内注入装置だけに限定されないことに留
意されたい。
【0041】
図2Bには、プッシュボタンサブアセンブリ300が示されており、プッシュボタンサ
ブアセンブリ300は、セプタム針330、セプタム針マニホルド322およびプッシュ
ボタンスライド320を1片に統合するが、2つ以上のより単純な成形ボタン部品を可能
にするスナップオン(snap−on)式のプッシュボタンフェースプレート(face
plate)360を提供することによって、プッシュボタンサブアセンブリ300の
組立てをいくぶんか単純化することができる。プッシュボタンスライド320はさらに、
患者針マニホルドを格納位置に固定し、装置が適切に活動化されたときにマニホルドを解
放する機構を提供する。後に詳述するように流体経路を確立するために使用される管35
0は、患者針マニホルド220に管が入る側と同じ側からセプタム針マニホルド322を
出、このことは、より容易な組立てを可能にし、セプタム針マニホルドと患者針マニホル
ドの間に柔軟な流体経路を生み出す。患者針222を含む患者針マニホルド220は、ボ
タンスライド320によって提供されるトラック(track)324の中に組み付けら
れ、後に詳述する安定な固定/解放機構を生み出す。このように、セプタム針330、セ
プタム針マニホルド332、管350、針マニホルド220および針222は、リザーバ
100の室127と患者の間の選択的流体管路を提供する。
【0042】
図3に示した第1の実施形態の上面図は、プッシュボタンスライド320と装置の間の
整列、および活動化のために必要な動程を示している。図3Aは第1の実施形態の側立面
図であり、この図は、装置の高さが低いこと、および患者針開口が中心に配置されている
ことを示している。患者針開口のこの中心配置は、図1Bに示した第1の実施形態の下面
図により明確に示されている。図3Aから8Dは、この実施形態のいくつかの断面(図3
のA−A、B−BおよびC−C)を示し、これらの図はそれぞれ、混合前(図3A〜3D
)、混合(図4A〜4D)、混合(図5A〜5D)、充填(図6A〜6D)、エネルギー
付与(図7A〜7D)および活動化後(図8A〜8D)位置におけるそれぞれのサブアセ
ンブリの構造、位置どりおよび動作を示している。これらの位置については、後にそれぞ
れ別のセクションで詳細に説明する。
【0043】
図3A〜3Dに示された注入装置は混合前状態にある。カートリッジはハウジングの外
側にあり、リザーバとカートリッジの室はともに密閉されている。カートリッジ3000
は、ハウジング110に挿入して薬剤成分の混合を開始するのに備えて整列されている。
【0044】
混合ステップの最初の部分である図4Aから4Dに示すように、カートリッジ3000
は、ハウジング110の中に少なくとも部分的に挿入されており、それによりアクセス針
2000のハブ2500はストッパ3160に当接しており、アクセス針のストッパ端2
450は、カートリッジ3000の室3500の中にすでに入っており、その結果、室3
500とアクセス針2000の内部との間の連絡が可能になっている。ハブ2500はス
トッパ3160に当接しており、アクセス針2000はハウジング110とスライド可能
に係合されているため、ハウジング110の中へカートリッジ3000をさらに挿入する
と、アクセス針2000のセプタム端2350がセプタム151に侵入する。
【0045】
混合ステップの第2の部分である図5A〜5Dに示すように、カートリッジ3000は
、図4A〜4Dよりもわずかにさらにハウジング110の中に挿入されている。その結果
、ハブ2500はストッパ3160によって押され、それにより、アクセス針2000の
セプタム端2350がセプタム151を貫通している。室3500、アクセス針2000
およびリザーバ100の室127の間の流体経路が確立され、それによって、薬剤成分の
混合を可能にする室3500とリザーバ100の室127の間の流体連絡が可能となって
いる。室127から室3500の中へ薬剤成分を引き入れるため、室3500は、室12
7よりも低い予め選択された圧力を有することが好ましい。あるいは、室127と室35
00の圧力は実質的に等しくてもよく、流体の流れは、室3500の中へ成分を引き入れ
るカートリッジ3000の操作によって確立される。あるいは、室127と室3500の
圧力は実質的に等しくてもよく、実質的に流体の流れが起こらず、混合は実質的に図6A
〜6Dに示すように起こる。
【0046】
図6Aから6Dに示すように、ハウジング110へのカートリッジ3000のさらなる
挿入によって、室3500の内容物は、リザーバ100の室127の中に実質的に注入さ
れてしまっている。ハウジング110へのカートリッジ3000のこのさらなる挿入は、
カートリッジ3000内のストッパ3160の平行移動を引き起こし、室3500の容積
を低減させた。ストッパがカートリッジ3000の中を平行移動すると、室3500の容
積は所定の死容積に達するまで低減される。室3500の死容積が最小化されることが好
ましい。示されているように、薬剤混合物は、リザーバ100の室127の中に実質的に
含まれる。この時点で、患者は、適当な混合物特性が得られているかどうかを見るために
、リザーバのクリアな部分を通して薬剤混合物を見ることができる。本明細書に記載の本
発明の他の態様は、これらの特性の最適化を提供する。
【0047】
加圧された状態を示す図7A〜7Cに示すように、装置1000の中には、本質的に一
様な一定の力をリザーバに加えてリザーバから内容物を押し出すために、円盤ばね130
の形態の例示的な加圧システムが含まれており、本明細書ではこれを時に「定荷重ばね」
と呼ぶ。定荷重ばね130は、使用時に装置活動化によって解放されたときにリザーバを
加圧するエネルギーを蓄積するために使用される。ばね130は、複数のばね指の中央に
配置されたピン140によって、撓曲した状態に保持される。こうすることで、貯蔵およ
び再形成中に、ばねが、リザーバサブアセンブリ100のフィルム170または残りの装
置構成要素に応力をかけることを防ぐ。
【0048】
ピン140ないし保持ピンは、ばね張力および変形に十分に抵抗し、後に詳述するプル
ハンドル260などの取外し機構にピンを固定するのに足る十分な堅さの適当な任意のピ
ン、管またはリングとすることができる。ピン140は、通常の引張荷重下で破損しては
ならず、または、アセンブリの部分である場合には、出荷および取扱いによって誘起され
る力によってアセンブリから外れ、意図しない活動化を引き起こしてはならない。前述の
保持ピン140の取外しを助けるために、プルハンドル260が提供される。プルハンド
ル260は装置の下面に隣接して配置され、1つまたは複数の部材を含み、これらは装置
の片側に延び、保持ピン140の取外しに有利な機械的利点を生み出す。示したこの実施
形態では、プルハンドル260が、プッシュボタンサブアセンブリ300のボタンヘッド
360を覆い隠す延出した部材262を含む。こうすることで、プルハンドル260は、
プルハンドルが取り外されるまでプッシュボタン360に力が加わるのを防ぐ。これは、
適当に配置される前のプッシュボタンを介した装置の偶発的な活動化を防ぐ。プルハンド
ル260は任意選択で、プッシュボタンに力が加わるのを防ぐ部材を含む。この実施形態
の他の変形形態では、プルハンドルが、プッシュボタンと装置ハウジングの間に延びて、
プッシュボタンに力が加えられたときにプッシュボタンが動くのを防ぐ部材を含むことが
できる。
【0049】
保持ピン140が引っ張られて、円盤ばね130から外れると、ばね指が解放され、ば
ね指がフィルムに向かってバイアスし、そうすることで、リザーバサブアセンブリ100
のフィルムふた170に力を加える。ばね130の縁は、リザーバと上部ハウジングの間
に捕捉され、ばね130の縁は、リザーバ内容物を皮内送達するために好ましくは約1か
ら50psi(約70.4から3520g/cm)、より好ましくは約2から約25ps
i(約140.8から1760g/cm)、最も好ましくは約15から約20psi(約
1056から1408g/cm)の圧力をリザーバ内に生み出すように構成することがで
きる。皮下注射または注入のためには、例えば約2から5psi(約140.8から35
2g/cm)の範囲で十分である。全750マイクロリットルの送達を可能にするため、
円盤ばねは、直径約1.15から1.50インチ(約2.92から3.81cm)、好ま
しくは1.26インチ(約3.20cm)のサイズを有することができる。ベルヴィルワ
ッシャ(Belleville washer)ないし円盤ばねは、ばねが、平らな状態
または撓曲した状態から弛緩状態に移行するときに、平らな位置での負荷偏向のパーセン
テージとして示される、負荷特性を示す。当業者は、ばねのサイズおよびある範囲の体積
を送達する速度を選択することができる。
【0050】
図7Aから7Dに示すように、リザーバサブアセンブリ100の柔軟なフィルム170
に実質的に一様で一定の圧力を加えて、柔軟なフィルム170と堅い部分120の間のリ
ザーバの内容物を圧縮し、リザーバの内容物を1つまたは複数の流路を通して押し出すた
めに、円盤ばね130が提供される。この流路は、流体経路およびリザーバの部分断面図
を示す図8Dにより詳細に示されている。前述のとおり、図1Aのリザーバは、2枚以上
の柔軟な伸びないフィルムから形成することもでき、この場合、内容物は、これらのフィ
ルムの間に収容することができる。少なくとも1枚のフィルムが堅い部分120に取り付
けられて、リザーバの内容物を圧縮し加圧する堅いベースを提供する。リザーバサブアセ
ンブリ100の他の実施形態では、流量が、最初の大きな流量から、1段階または数段階
のより小さな流量に段階的に自動的に調整される。流量調整の追加の詳細は、その内容全
体が参照によって本明細書に組み込まれる特許文献3においてさらに論じられている。
【0051】
図8A〜8Dに示すように、活動化位置または使用時位置が提供される。ボタンスライ
ド320のスライド可能な移動に対して患者針マニホルド220は静止したままなので、
ボタンスライドがスライド可能に係合され、この位置にデテント(detent)された
ときに活動化位置が提供される。活動化位置では、セプタム160が突き通され、マニホ
ルドが解放され、マニホルドはばね310によって駆動されて、使用者の皮膚表面に向か
って下向きに押し出される。図示の実施形態では、この活動化位置へ移動する際にセプタ
ム160に侵入し、セプタムの中で針を移動させ、患者針マニホルド220を解放するの
に必要な力が、一般に2から4ポンド(約908から1816g)である。
【0052】
患者針マニホルドアセンブリ220およびセプタム針マニホルドアセンブリ322はそ
れぞれ、リザーバ内に含まれる流体へのアクセスおよび放出、ならびにこの流体の患者針
222への送達を可能にする。それぞれのマニホルドハウジングはしたがって、セプタム
針330または他の突起物および関連する管または管路350から受け取ったリザーバ内
容物をルーティング(routing)し、この内容物を患者針222および使用者の皮
膚内に送達するためのいくつかの流体流路を含む。患者針222がその中に固定された患
者針マニホルド220は、セプタム針330がその中に固定されたセプタム針マニホルド
322と、撓み管350を介して流体連絡している。あるいは、管350は、2つ以上の
構成要素の流体密(fluid−tight)アセンブリによって形成された管路とする
ことができる。
【0053】
患者針マニホルド220は、1つまたは複数のばね310の負荷がかかった状態で、プ
ッシュボタンサブアセンブリ300および下部ハウジング210によって、解放前状態ま
たは「アップ(up)」状態に保持される。患者針マニホルド220を前述のアップ状態
に固定するこの最初の形態では、患者針マニホルド220が、ボタンスライド320に配
置された一組のトラック324とスライド可能に係合する。患者針マニホルド220は、
下部ハウジング210によって提供されるシュート(chute)212の中で静止した
まま動かないので、ボタンスライド320は、トラック開口325が患者針マニホルド2
20と整列するまでスライド可能に移動し、シュート内の患者針マニホルド220をトラ
ック324から解放する。
【0054】
前述のそれぞれの変形形態では、1つまたは複数の駆動ばね310が、患者針マニホル
ド220の上面に力を加えて、マニホルドが活動化されたとき、すなわちマニホルドがア
ップ状態から解放されたときにマニホルドを駆動し、マニホルドが解放されたときに患者
針222の着座を可能にし、セプタム針、セプタム針マニホルド、撓み管、患者針マニホ
ルドおよび患者針アレイの間に流体経路を生み出す。駆動ばね310は、15から26マ
イル毎時(6から12メートル毎秒)の速度で移動することができるばね仕掛けの患者針
マニホルド220を介して、針を皮膚に「突き刺す」役目を果たす。
【0055】
ボタンスライド320のスライド可能な移動はさらに、セプタム160の中にセプタム
針330を押し込み、リザーバとセプタム針の間の流路を生み出す。マニホルド322を
含むセプタム針は、ボタンスライド320の構成要素に取り付け、またはボタンスライド
320の一構成要素として構築することができ、セプタム針マニホルド322は、活動化
ステップの間、セプタム針330がセプタムブーツ340を貫通し、続いてセプタム16
0を貫通するまで、ボタンスライドと一緒に移動する。所望の手順に応じて、セプタム針
330がセプタム160を貫通する前、またはそれと同時に、あるいはそのわずかに後に
、患者針マニホルド220は解放され、皮膚表面に突き当たり、患者針222を着座させ
、それによって、エネルギーが加えられた流体の、リザーバから、セプタム針、セプタム
針マニホルド、およびセプタム針マニホルドに取り付けられた撓み管を通っての患者針マ
ニホルドの患者針への流出を開始させる。
【0056】
患者極微針222とは別に、1本または数本のセプタム針330を提供して、リザーバ
と患者針の間の完全流体経路の流れをより大きくすることができる。前述の実施形態では
、完全流体経路が、部分的に、2本以上の針、具体的には少なくとも1本のセプタム針3
30および少なくとも1本の患者極微針222を含む。これは、所望の流体経路特性に応
じて、装置が、さまざまな構造の針を含むことを可能にする。例えば、患者極微針222
は、1本または数本の34ゲージ針を含むことができ、セプタム針330は、必要に応じ
て、1本または数本の等しいまたはより大きな針を含むことができる。さらに、患者針と
セプタム針の分離は、装置の動作中の患者針のより自由な移動を可能にする。さらに、装
置内で1つまたは複数のリザーバを使用することができ、このことは、リザーバと患者針
の間の完全流体経路内のより大きなまたは変更された流動特性を可能にする。
【0057】
撓み管350を使用して、セプタム針330および/またはセプタム針マニホルド32
2を患者針マニホルド220に接続することができる。この管結合の柔軟な性質は、患者
針マニホルド220が、装置の残りの構成要素からより独立して移動することを可能にし
、これは、より効果的な針の着座を可能にする。そのため、用語「管」350は、2つ以
上の構成要素からなる流体密アセンブリによって形成されていてもよく、所望のマニホル
ド間の流れを可能にする任意の管路を包含する。適切に定置させると、患者針マニホルド
220は、撓み管350および患者極微針222アレイと使用者の皮膚との間の流体経路
を完成させる。前述のとおり、患者針マニホルド220は、下部ハウジング210の諸フ
ィーチャによって所定の位置に誘導され、前述の駆動ばね310が、患者針マニホルド2
20の上面に力を加え、これが、マニホルドが解放されたときに針の着座を可能にする。
1つまたは4つのコイルばね、あるいは1つまたは複数の板ばねの使用を含む、さまざま
な駆動ばねオプションが存在する。
【0058】
前述のサブアセンブリ実施形態は、それらに限定されるものではなく、前述のサブアセ
ンブリ実施形態は、所与の応用の必要に応じて構成しなおすことができる。本発明の態様
の前述の実施形態は、最初に装置にエネルギーが加えられ、次いで皮膚表面に配置、固定
され、続いて図7Aから8Dに示すようにスライドボタンを静かに押すことによって活動
化される、プッシュボタン設計である。具体的には、使用者は最初に、無菌包装から装置
を取り出し、図7A〜7Cに示すように、ソーダ缶を開け、またはオレンジの皮をむくの
と同様の動作で装置の下面からプルハンドル260を取り外すことによって、システムに
エネルギーを与え、その後、皮膚に装置を貼り付ける。プルハンドル260は装置の片側
に配置され、そこから延出し、それによって、広範囲の使用者が発揮することができる適
度な力(すなわち一般に3ポンド(約1360g)未満)だけで取り外すことができる、
プルハンドルおよび取り付けられた保持ピン140を取り外すのに有利な機械的利点が生
じる。図7Aに示すように、プルハンドル260を取り外すと保持ピン140が外れ、さ
らに、後に詳述するように、プルハンドル260の取外しと同時に、接着剤カバー(図示
せず)および/または針キャップ240を取り外すこともできる。この実施形態の他の変
形形態では、プルハンドル260を製品包装と合体させて、包装を開き、装置を取り出し
たときに、保持ピン140、接着剤カバーおよび/または針キャップ240が同時に取り
外されるようにする。
【0059】
前述の諸特徴は、装置を包装から取り出した後、使用する前に、使用者が装置およびそ
の内容物を検査することを可能にし、これには、足りないまたは損傷した構成要素、使用
期限、曇ったまたは変色した薬物の検査、およびその他の検査が含まれる。使用後、投与
量全体が送達されたことを確認するため、使用者は装置を再び調べることができる。この
点に関して、装置は、投与量インジケータ(indicator)、例えば、装置ハウジ
ングの表面積の少なくとも20%あり、表示された投与量の±10%以内の正確さを有す
る読取り可能なゲージ領域を含むことができる。このようにして、カートリッジ3000
とリザーバ100の両方を調べることができる。
【0060】
検査の後、カートリッジ3000をハウジング110に挿入する。これにより、カート
リッジ3000の室3500の低い圧力によって、リザーバ100の室127からカート
リッジ3000内に薬剤を引き入れることが可能になる。カートリッジ3000内の薬剤
成分と、以前にリザーバ100内にあった薬剤成分とを混合した後、ハウジング110の
中にカートリッジ3000をさらに挿入する。これによって、カートリッジ3000の中
のストッパ3160が移動し、カートリッジ3000からリザーバ100内へ混合物が逆
流する。これで混合物を注射する準備が整ったので、リザーバ100のクリアな部分を通
した観察によって、混合物をさらに調べることができる。検査が完了した後、使用者は保
持ピン140を引き、それによってリザーバ100を加圧する。ピン140を装置から十
分に引っ張って、ピン140をばねから外すと、円盤ばね130の指が解放され、これら
の指は、装置内のリザーバフィルム170を自由に押す。ボタンサブアセンブリ300の
活動化ボタン360およびボタンスライド320を、プルハンドル260に連結し、かつ
/またはプルハンドル260によって覆い隠して、プルハンドル260を取り外すまで、
活動化ボタン360を押すことができないようにし、それによって意図しない活動化また
は使用者による誤った手順を防ぐことができる。プルハンドル260、保持ピン140、
接着剤カバーおよび針キャップ240の取外しが図7Aに示すように達成されると、装置
にはエネルギーが加わり、装置を配置し活動化する準備が整う。このエネルギー付与ステ
ップは円盤ばね130を解放し、円盤ばね130が、リザーバサブアセンブリ100の柔
軟なフィルム170を押すことを可能にし、リザーバを加圧し、同時にセプタム160ま
での物質連絡経路を加圧し、活動化のための装置の準備を整える。
【0061】
加圧後、装置を使用者の皮膚表面に配置し、貼り付ける。パッチと同様に、使用者は装
置をしっかりと皮膚に押し付け、下部ハウジング210は、接着剤層250によって使用
者の皮膚に装置を固定することができる下面を含む。下部ハウジング210のこの下面は
、平坦とし、または起伏を設け、あるいは適当な他の方法で形作ることができ、表面に接
着剤層250を含む。この層はおそらく出荷前にカバーされる。使用の前に、使用者は、
接着剤をカバーしているフィルムなどの接着剤カバーを剥がし、それによって皮膚に対し
て配置する接着剤を露出させる。接着剤は、2ポンド(約908g)以上の剥離力で装置
の下面に付着することが好ましく、接着剤は、1/2ポンド(約227g)未満の剥離力
で接着剤から剥がれることが好ましいカバーを含む。カバーを剥がした後、使用者は次い
で、皮膚に対して装置を配置し、適当な接着力を保証するためにこれを押し付ける(すな
わち3ポンド(約1362g)の垂直荷重をかける)ことができる。取外し可能な針カバ
ー240が提供されるこの実施形態の変形形態では、2ポンド(約908g)以下の力で
針カバーが装置から外れることが好ましい。
【0062】
適切に配置した後、プッシュボタンサブアセンブリ300のボタン360および取り付
けられたボタンスライド320を、図8Aに示すように装置の中心に向かってスライドさ
せることによって、装置を活動化させる。使用者が適度な力(すなわち2から4ポンド(
約908から1816g)を加えるだけで、活動化ボタンを完全に押し下げて、活動化を
可能にすることができる。このボタンおよびボタンスライドは装置の中に延び、非解放位
置で、患者針マニホルド220を、1つまたは複数の駆動ばね310の圧縮力に抗して上
方に保持する少なくとも1つのスロットを含む。
【0063】
使用者がボタンを押したときに起こる最初の事象は、ボタンが、セプタム160の中の
セプタム針330を押し、リザーバと患者針の間に流路を生み出すことである。前述のと
おり、「出荷」位置で、セプタム針とセプタムはすでに接触している。次いで、ボタンを
さらに移動させることによって、前述のとおり患者針マニホルド220が解放され、これ
により、1つまたは複数の駆動ばね310の力によって駆動された患者針222が患者の
皮膚の中に着座する。この時点で、ボタン360およびボタンスライド320は所定の位
置にロックされ、注入が始まったことを指示する明確な聴覚および触覚フィードバックが
使用者に与えられる。
【0064】
同じまたは同様の装置の他の実施形態では、前述のボタンサブアセンブリ300の動作
シーケンスを変更することができる。例えばこのような1つの実施形態では、ボタンが使
用者によって押されたときに起こる最初の事象が、患者針マニホルド220が患者針22
2を解放し、駆動ばね310の力によって駆動された患者針222が患者の皮膚の中に着
座するようにすることである。次いで、ボタンのさらなる移動が、セプタム針330を押
してセプタム針ブーツ340およびセプタム160を貫き、流体経路を生み出す。両方の
方法を実施することができるが、それぞれの故障モードは異なる。例えば、患者針マニホ
ルドが解放される前に流れが開始される動作シーケンスでは、患者針が適切に着座するの
に失敗した場合、ウェット注射が一般に起こる。
【0065】
それぞれの実施形態の撓み管350は、リザーバと流体連絡したセプタム針330また
はセプタム針マニホルド322を、使用者と流体連絡した患者針マニホルド220に接続
し、それぞれの実施形態の撓み管350は、患者針マニホルドが他の装置構成要素とは独
立に移動することができる十分な柔軟性を有する。さらに、前述の患者針マニホルドチャ
ネルによって確立される蛇行性の経路と同様に、管350はさらに、必要に応じて流れ絞
りとしての役目を果たすことができる。
【0066】
活動化させた後、装置内容物を完全に送達するため、使用者は一般に、ある時間、例え
ば5分から72時間、装置をそのままの位置に置く、すなわち装置を「着装」し、次いで
、その下の組織を傷つけることなく装置を外し、廃棄する。しかし、意図的にまたは偶発
的に取り外されたときに、後に詳述するように、1つまたは複数の安全フィーチャが展開
して、活動化の結果として露出した針を遮蔽することができる。この安全フィーチャはし
かし、ボタンおよびボタンスライドが押されず、患者針が延出しなかった場合には、展開
しないように構成することができる。
【0067】
前述の性能利点に加えて、前述の図1の実施形態の他の利点は、組立ての柔軟性を可能
にする、2つ以上の異なる自給式のサブアセンブリを作ることができることである。それ
ぞれのサブアセンブリは自給式で安定であり、リザーバアセンブリを残りの構成要素から
分離する能力を提供し、このことは、これは、リザーバの別々の充填および検査を可能に
し、残りの構成要素の不必要な取扱いを防ぐ。さらに、追加の構成要素が廃棄される場合
には、費用のかかるリザーバ内容物を保持しておき、別のアセンブリで使用することがで
きる。さらに、リザーバは不必要な部品を含まず、その結果、充填操作に低い粒子負荷を
もたらす。さらに、全てのエネルギー蓄積構成要素がボディサブアセンブリの中にあり、
そのため、リザーバの充填中にそれらが不注意で展開されることがない。具体的には、リ
ザーバにはばねが含まれず、このことは、充填中の不必要なばね解放の可能性をなくす。
前述のとおり、リザーバ内の最小限の外来構成要素は粒子負荷を低減させ、リザーバ、ふ
た、セプタム、およびストッパなど、必要な構成要素だけを含む。懸垂部品が存在せず、
残りのサブアセンブリの残りの部品は一般に、ドロップイン(drop−in)組立てス
テップだけを必要とする。
【0068】
前述の図1の実施形態の他の利点は、装置接触面の中心付近に患者針が位置することで
ある。このような配置は、「ロッキング(rocking)」などの装置運動に起因する
針変位の影響を低減させる。1つにはセプタム用に別個のマニホルドが提供されるため、
質量の小さな患者針マニホルドが構築され、したがって活動化時により大きな患者針マニ
ホルド速度が提供される。駆動ばねは患者マニホルドの上に直接に位置し、患者針マニホ
ルドだけを駆動する役目を果たすので、患者針マニホルドには、患者針の独立した直接駆
動が提供される。セプタムを貫通する力およびブーツを圧潰する力は、患者針マニホルド
の移動に影響を及ぼさない。さらに、より大きな針間隔を含める余地があり、より低い活
動化力で十分だが、このような小さな力による不注意による活動化は、数多くの活動化ロ
ックアウト(lockout)によって防止される。
【0069】
従来のセプタムに対する十分な空間、ならびに撓み管の使用、または流れ絞りのための
毛細管などの任意の数の流れリストリクタ(restrictor)の使用を可能する十
分な空間も提供される。これは、より小さな装置接触面を維持しつつ提供することができ
る。さらに、リザーバは装置の上面に位置することができ、これは、透明な構成要素を通
した薬物リザーバの完全で明瞭な目視を可能にし、使用者または製造者がリザーバ内容物
を見ることを可能にする。
【0070】
前述のそれぞれの実施形態では、注入装置のリザーバサブアセンブリが、金属被覆フィ
ルムなどの1枚または数枚の伸びない柔軟なフィルムとともに使用される堅い部分からな
ることができ、どちらか一方が堅い部分に対して配置された第1のフィルムと第2のフィ
ルムの間に、または第1のフィルムと堅い部分の間に、任意の数の物質を含むことができ
る。この堅い部分ないしリザーバベースは、後に詳述するように柔軟なフィルムをその部
分に押し付けることができるリザーバの硬い部分からなり、このようなリザーバの硬い部
分の役目を果たすことができる。この堅い部分は、凹んだ中心セクションと、堅い部分の
周囲に沿って提供されたフランジ(flange)とを含むことができ、このフランジは
、柔軟なフィルムまたはフィルムぶたを堅い部分にヒートシールし、それらの間に内容物
リザーバまたは室を形成することを可能にする。室の少なくとも1つの壁は柔軟なフィル
ムを含み、室の少なくとも1つの壁は堅い表面を含むので、柔軟なフィルムに隣接して1
つまたは複数の加圧システムを配置し、これを使用して、柔軟なフィルムに実質的に一定
の圧力を加え、リザーバ室および内容物を加圧することができる。前述のとおり、リザー
バは、2枚以上の柔軟な伸びないフィルムから形成することもでき、この場合、内容物は
、これらのフィルムの間に収容することができ、少なくとも1枚のフィルムが堅い部分に
取り付けられて、リザーバの内容物を圧縮し加圧する堅いベースを提供する。リザーバサ
ブアセンブリの他の実施形態では、流量が、最初の大きな流量から、1段階または数段階
のより小さな流量に段階的に自動的に調整される。流量調整の追加の詳細は、その内容全
体が参照によって本明細書に組み込まれる特許文献3においてさらに論じられている。
【0071】
リザーバサブアセンブリの柔軟なフィルムは、金属コートフィルム、または他の同様の
物質などの伸びない材料または積層品から製作することができる。例えば、第1の実施形
態のリザーバサブアセンブリにおいて使用することができる1つの可能な柔軟な積層フィ
ルムは、第1のポリエチレン層、障壁特性に基づいて選択される第3の金属層に対する付
着機構を提供することが当業者に知られている第2の化学層、およびポリエステルまたは
ナイロンからなる第4の層からなることができる。金属コートまたは金属被覆フィルムを
堅い部分とともに利用することによって、リザーバの障壁特性は改良され、それによって
中に含まれる内容物の貯蔵寿命を延長し、または向上させる。例えば、リザーバ内容物が
インスリンを含む場合、前述の実施形態のリザーバサブアセンブリの主な接触材料には、
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、環状オレ
フィン共重合体(COC)およびTeflonが含まれる。後に詳述するが、残りのリザ
ーバ内容物流路の主な接触材料には、ポリエチレン(PE)、医療用等級のアクリル樹脂
およびステンレス鋼が含まれる。リザーバサブアセンブリの内容物と長期にわたって接触
するこのような材料は、ISO10−993および他の適当な生体適合性試験に合格して
いることが好ましい。
【0072】
リザーバサブアセンブリのリザーバはさらに、適当な制御された環境で、リザーバ内容
物の定められた貯蔵寿命の間、内容物に不利な影響を及ぼすことなく貯蔵できることが好
ましく、さまざまな環境条件で使用できることが好ましい。さらに、リザーバの諸構成要
素によって提供される障壁は、所望の貯蔵寿命を満たすために許容される輸送速度よりも
大きな速度での内容物の中へのまたは内容物からの気体、液体および固体物質の輸送を許
さない。先に示した実施形態では、リザーバサブアセンブリの材料が、約0°F(約−1
8℃)から120°F(約49℃)の温度範囲で貯蔵および操作しうる能力を有し、2年
以上の貯蔵寿命を有することができる。室温貯蔵と低温貯蔵の間の熱サイクルに耐え、0
°F(約−18℃)から120°F(約49℃)の温度範囲を超える動作温度範囲を有す
る、他のさまざまな材料を選択することができる。
【0073】
安定性要件を満たすことに加え、リザーバはさらに、30psi(約2112g/cm
)試料を20分間漏れなく保持するなど、任意の漏れ試験に合格することによって、動作
を保証することができる。リザーバサブアセンブリの構成に起因する追加の充填、貯蔵お
よび送達利益には、後に詳述する最小化されたヘッドスペース(headspace)お
よび適合性が含まれる。
【0074】
後に詳述するように、リザーバサブアセンブリのリザーバは充填の前に排気されている
ことが好ましい。充填の前にリザーバを排気し、堅い部分の硬い床にわずかな凹みだけを
持たせることによって、リザーバ内のヘッドスペースおよび過剰なウェースト(wast
e)を最小化することができる。さらに、リザーバの形状は、使用されるエネルギー付与
機構、例えば任意の直径および高さを有する円盤ばねないし皿ばねに適合するように成形
することができる。さらに、排気された柔軟なリザーバを充填時に使用すると、充填後の
リザーバ内の空気または気泡が最小限に抑えられる。柔軟なリザーバの使用はさらに、装
置が、リザーバ内圧の増大につながる可能性のある外圧または温度変化にさらされたとき
に非常に有利である。このような場合、柔軟リザーバは、その内容物とともに膨張、収縮
し、それによって、膨張および収縮力に起因する可能な漏れを防ぐ。その内容全体が参照
によって本明細書に組み込まれる特許文献4に記載されている方法などの代替充填法を使
用することもできる。
【0075】
リザーバサブアセンブリの他の特徴は、充填時の、または使用者による使用時の自動微
粒子検査を可能にする能力である。堅い部分などの1つまたは複数のリザーバ障壁は、透
明でクリアなプラスチック材料から成形することができ、この材料は、リザーバ内に含ま
れる物質の検査を可能にする。この透明でクリアなプラスチック材料は、高い透明度およ
びクラリティ、少ない抽出物、ならびにリザーバ内に含まれる物質との生体適合性を特徴
とする環状オレフィン共重合体であることが好ましい。このような応用では、リザーバが
、検査を妨げる可能性がある(すなわち検査中の回転が許される)特徴を最小限に含む。
【0076】
前述の実施形態のリザーバと患者極微針の間の流体経路は、数多くの生体適合性および
貯蔵試験の合格条件を満たす、リザーバサブアセンブリに対して先に説明した材料と同様
のまたは同一の材料から構築される。例えば下表1に示すように、装置内容物がインスリ
ンを含む場合、この実施形態のリザーバサブアセンブリの主な接触材料には、直鎖状低密
度ポリエチレン、環状オレフィン共重合体およびTeflonが含まれ、さらに透明でク
リアなプラスチックを含めることができる。リザーバサブアセンブリと患者針マニホルド
の極微針との間の残りの流路の主たる接触材料には、ポリエチレン、医療用等級のアクリ
ル樹脂および/またはステンレス鋼が含まれる。
【0077】
【表1】

【0078】
具体的には、患者針はステンレス鋼から構築することができ、患者針マニホルドは、ポ
リエチレンおよび/または医療用等級のアクリル樹脂から構築することができる。リザー
バサブアセンブリの内容物と長期にわたって接触するときにこのような材料は、ISO1
0−993生体適合性試験に合格していることが好ましい。
【0079】
前述のそれぞれの実施形態に示すように、この装置には、本質的に一様な一定の力をリ
ザーバに加えてリザーバから内容物を押し出すために、円盤または円盤ばねが含まれてお
り、本明細書ではこれを時に定荷重ばねと呼ぶ。定荷重ばねは、使用時に装置へのエネル
ギー付与によって解放されたときにリザーバを加圧するエネルギーを蓄積するために使用
される。このばねは、複数のばね指の中央に配置された保持円盤またはハンドルによって
、撓曲した状態に保持される。そうすることで、貯蔵中に、ばねが、リザーバサブアセン
ブリのフィルムまたは残りの装置構成要素に応力をかけることを防ぐ。保持円盤は、ばね
張力および変形に抵抗する十分に堅さを有し、通常の引張荷重下で破損してはならない。
【0080】
前述のそれぞれの実施形態はさらに、少なくとも1本の患者針ないし極微針を含むが、
3本の極微針のように数本の針を含むことができる。極微針はそれぞれ、少なくとも31
ゲージか、または34ゲージなどそれよりも細いことが好ましく、極微針はそれぞれ、リ
ザーバと流体連絡した状態に配置することができる患者針マニホルドの中に固定されてい
ることが好ましい。装置の中に2本以上含まれるときに、極微針は、異なる長さまたはゲ
ージ、あるいは異なる長さとゲージの組合せを含むことができ、極微針は、胴の長さに沿
って1つまたは複数の口を含むことができ、この口は、針の先端の近く、または針が先端
ベベルを有する場合にはその近くに配置されていることが好ましい。
【0081】
この注入は、はるかに大きなカニューレまたは針を必要とする注射器による即時注射に
一般に関連した期間よりも長い期間にわたって実施されるので、上述の実施形態では、3
4ゲージの数本の針を使用してリザーバ内容物を送達するのが実際的である。開示の実施
形態では、皮内または皮下空間を標的とする任意の極微針を使用することができるが、先
に示した実施形態は、露出長が0.5から4mm(すなわち2mm)の皮内極微針を含み
、これらの患者針の配置は直線または非直線アレイとすることができ、特定の応用が要求
する任意の数の針を含むことができる。あるいは、他の組織空間への非経口送達のために
、他の長さおよびゲージを使用することもできる。
【0082】
患者針は患者針マニホルドの中に配置される。前述のそれぞれの実施形態の患者針マニ
ホルドでは、それぞれの患者針に、少なくとも1つの流体連絡経路ないしフィードチャネ
ル(feed chanel)が提供される。このマニホルドは単に、1本または数本の
患者針への単一の経路を有することができ、あるいは、それぞれの針に別々に内容物をル
ーティングする複数の流体経路ないしチャネルを提供することができる。これらの経路な
いしチャネルはさらに、内容物が移動するための蛇行性の経路を含むことができ、それに
よって送達の流体圧力および流速に影響を及ぼし、流れリストリクタの働きをすることが
できる。患者針マニホルド内のチャネルないし経路の幅、深さおよび構成は応用に応じて
変更することができ、チャネル幅は一般に約0.015から0.04インチ(約0.38
mmから1.02mm)、好ましくは0.02インチ(約0.51mm)であり、これら
のチャネルないし経路は、マニホルド内のデッドスペースを最小化するように構築される

【0083】
本明細書に記載の装置および方法は、薬剤および医薬品を含むさまざまな物質を患者動
物、特にヒト患者に投与する際に使用するのに適している。本明細書で使用されるとき、
医薬品には、生物活性を有し、体膜および体表、特に皮膚を通して送達することができる
物質が含まれる。後により詳細に列挙されるその例には、抗生物質、抗ウイルス薬、鎮痛
薬、麻酔薬、食欲抑制薬、抗関節炎薬、抗鬱薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗腫瘍薬、
DNAワクチンを含むワクチンなどが含まれる。患者に皮内または皮下送達することがで
きる他の物質には、ヒト成長ホルモン、インスリン、タンパク質、ペプチドおよびそのフ
ラグメント(fragment)が含まれる。タンパク質およびペプチドは天然、合成ま
たは組換え産物とすることができる。さらにこの装置は、樹状細胞の皮内注入など、細胞
療法で使用することもできる。本発明の方法に従って送達することができる他の物質は、
病気の予防、診断、緩和、治療または治癒において使用される薬物、ワクチンなどからな
るグループから選択することができ、その内容全体が参照によって本明細書に明示的に組
み込まれる特許文献5に記載されているように、このような薬物には、α1−抗トリプシ
ン、抗血管形成薬、アンチセンス(Antisense)、ブトルファノール(buto
rphanol)、カルシトニン(Calcitonin)および類似体、セレダーゼ(
Ceredase)、COX−II阻害薬、皮膚用薬、ジヒドロエルゴタミン(dihyd
roergotamine)、ドーパミン(Dopamine)作用薬および拮抗薬、エ
ンケファリン(Enkephalin)および他のオピオイド(opioid)ペプチド
、上皮増殖因子、エリトロポイエチン(Erythropoietin)および類似体、
卵胞刺激ホルモン、G−CSF、グルカゴン(Glucagon)、GM−CSF、グラ
ニセトロン(granisetron)、成長ホルモンおよび類似体(成長ホルモン放出
ホルモンを含む)、成長ホルモン拮抗薬、ヒルジン(Hirudin)およびヒルログ(
hirulog)などのヒルジン類似体、IgEサプレッサ、インスリン、インスリノト
ロピン(insulinotropin)および類似体、インスリン様成長因子、インタ
ーフェロン(Interferon)、インターロイキン(Interleukin)、
黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモンおよび類似体、低分子量ヘパリン(h
eparin)、M−CSF、メトクロプラミド(metoclopramide)、ミ
ダゾラム(Midazolam)、モノクローナル抗体、麻薬性鎮痛薬、ニコチン(ni
cotine)、非ステロイド系抗炎症薬、オリゴ糖、オンダンセトロン(ondans
etron)、副甲状腺ホルモンおよび類似体、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグラ
ンジン(Prostaglandin)拮抗薬、プロスタグランジン、組換え体可溶性リ
セプタ(Recombinant soluble receptor)、スコポラミン
(scopolamine)、セロトニン(Serotonin)作用薬および拮抗薬、
シルデナフィル(Sildenafil)、テルブタリン(Terbutaline)、
血栓崩壊剤、組織プラスミノゲン賦活剤、TNF−およびTNF−拮抗薬が含まれ、ワク
チンには、担体/アジュバントの有無にかかわらず、嗜癖、関節炎、コレラ(chole
ra)、コカイン(cocaine)嗜癖、ジフテリア(diphtheria)、破傷
風、HIB、ライム(Lyme)病、髄膜炎菌、麻疹、耳下腺炎、風疹、水痘、黄熱、R
Sウイルス、ダニ媒介日本脳炎、肺炎球菌、連鎖球菌、腸チフス、インフルエンザ、肝炎
(A、B、CおよびE型を含む)、中耳炎、狂犬病、ポリオ、HIV、パラインフルエン
ザ(parainfluenza)、ロタウイルス(rotavirus)、エプスタイ
ン−バーウイルス(Epstein Barr Virus)、CMV、クラミジア(c
hlamydia)、分類不能型ヘモフィルス(haemophilus)、モラクセラ
カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ヒト乳頭腫ウイルス、
BCGを含む結核菌、淋病、喘息、アテローム性動脈硬化マラリア、E.coli、アル
ツハイマー病、H.Pylori、サルモネラ菌、糖尿病、癌、単純ヘルペス、ヒト乳頭
腫などに関連した予防および治療抗原(サブユニットタンパク質、ペプチドおよび多糖、
多糖抱合体(conjugate)、トキソイド(toxoid)、遺伝子ベースのワク
チン、生の弱毒化された、再集合体の、不活化された、完全な細胞、ウイルスおよび細菌
ベクターを含む。ただしこれらに限定されるわけではない)が含まれ、他の物質には、感
冒薬、抗嗜癖薬、抗アレルギー薬、抗嘔吐薬、抗肥満薬、抗骨粗しょう症薬、抗感染薬、
鎮痛薬、麻酔薬、食欲抑制薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、
抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗片頭痛製剤、抗乗物酔製剤、抗催吐薬、抗腫瘍薬、抗パー
キンソン病薬、止痒薬、抗精神病薬、解熱薬、抗コリン作用薬、ベンゾジアゼピン(be
nzodiazepine)拮抗薬、血管拡張薬(全身、冠状動脈、末梢および大脳を含
む)、骨刺激薬、中枢神経系興奮薬、ホルモン、催眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感
神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、タンパク質、ペプチド、ポリペプ
チドおよび他の巨大分子、精神興奮薬、鎮静薬、性的機能低下および精神安定薬などの主
要な全ての治療薬、ならびに、ツベルクリンおよび他の過敏症薬などの主要な診断薬が含
まれる。
【0084】
本発明の諸態様のシステムおよび方法に従って送達することができるワクチン製剤は、
ヒト病原体に対して免疫応答を顕現させる能力を有する抗原または抗原性組成物からなる
グループから選択することができ、その内容全体が参照によって本明細書に明示的に組み
込まれる特許文献6に記載されているように、この抗原または抗原性組成物は、HIV−
1(tat、nef、gp120またはgp160など)、gDまたはその誘導体、ある
いはHSVIまたはHSV2からのICP27などのイミーディエトアーリータンパク質
(Immediate Early protein)などのヒトヘルペスウイルス(H
SV)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)(CMV(特にヒト
CMV)(gBまたはその誘導体など))、ロタウイルス(生の弱毒化ウイルスを含む)
、エプスタイン−バーウイルス(gp50、またはその誘導体など)、水痘−帯状疱疹ウ
イルス(gp1、II、およびIE63などのVZV)から、あるいはB型肝炎ウイルス
(例えばB型肝炎表面抗原またはその誘導体)、A型肝炎ウイルス(HAV)、C型肝炎
ウイルス、およびE型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスから、あるいはパラミクソウイル
ス(paramyxovirus):RSウイルス(RSV。FおよびGタンパク質また
はその誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイ
ルス、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV。例えばHPV6、11、16、18)、フラビウイ
ルス(flaviviruse)(例えば黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介
性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルス(完全な生のまた
は不活化されたウイルス、卵またはMDCK細胞中で増殖させた分割された(split
)インフルエンザウイルス、あるいは、HA、NP、NAまたはMタンパク質、またはこ
れらの組合せなどの完全なインフルエンザビロソーム(flu virosome)また
はその精製されたまたは組換え体タンパク質)などの他のウイルス性病原体から誘導され
、あるいは、N.gonorrhea(淋菌)およびN.meningitidis(髄
膜炎菌)(例えば莢膜多糖およびその抱合体、トランスフェリン(transferri
n)結合タンパク質、ラクトフェリン(lactoferrin)結合タンパク質、Pi
lC、付着因子)を含むNeisseria spp.(ナイセリア属);S.pyog
enes(化膿性連鎖球菌)(例えばMタンパク質またはそのフラグメント、C5Aプロ
テアーゼ、リポテイコ酸(lipoteichoic acid))、S.agalac
tiae、S.mutans;H.ducreyi(軟性下疳菌);M catarrh
alis(カタル球菌)、別名Branhamella catarrhalis(例え
ば高および低分子量付着因子およびインベーシン(invasin))を含むMorax
ella spp.(モラクセラ属);B.pertussis(百日咳菌)(例えばペ
ルタクチン(pertactin)、百日咳毒素またはその誘導体、糸状血球凝集素、ア
デニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase)、釆(fimbriae)
)、B.parapertussis(パラ百日咳菌)およびB.bronchisep
tica(気管支敗血症菌)を含むBordetella spp.(ボルデテラ属);
M.tuberculosis(ヒト結核菌)(例えばESAT6、抗原85A、Bまた
はC)、M.bovis(ウシ結核菌)、M.leprae(癩菌)、M.avium(
トリ結核菌)、M.paratuberculosis(パラ結核菌)、M.smegm
atis(スメグマ菌)を含むMycobacterium spp.(ミコバクテリウ
ム属);L.pneumophila(レジオネラニューモフィラ菌)を含むLegio
nella spp.(レジオネラ属);腸毒性E.coli(大腸菌)(例えば集落形
成因子、非耐熱性毒素またはその誘導体、耐熱性毒素またはその誘導体)、腸出血性E.
coli、腸病原性E.coli(例えば志賀毒素様毒素またはその誘導体)を含むEs
cherichia spp.(エシェリキア属);V.cholera(コレラ菌)(
例えばコレラ毒素またはその誘導体)を含むVibrio spp.(ビブリオ属);S
.sonnei(ソネ赤痢菌)、S.dysenteriae(志賀赤痢菌)、S.fl
exneri(フレクスナー赤痢菌)を含むShigella spp.(赤痢菌属);
Y.enterocolitica(例えばYopタンパク質)、Y.pestis(ペ
スト菌)、Y.pseudotuberculosis(偽結核エルジニア菌)を含むY
ersinia spp.(エルジニア属);C.jejuni(例えば毒素、付着因子
およびインベーシン)およびC.coliを含むCampylobacter spp.
(カンピロバクター属);S.typhi(チフス菌)、S.paratyphi(パラ
チフス菌)、S.choleraesuis(豚コレラ菌)、S.enteritidi
s(腸炎菌)を含むSalmonella spp.(サルモネラ属);L.monoc
ytogenes(リステリア菌)を含むListeria spp.(リステリア属)
;H.pylori(ヘリコバクターピロリ)を含むHelicobacter spp
.(ヘリコバクター属)(例えばウレアーゼ、カタラーゼ、空胞形成(vacuolat
ing)毒素);P.aeruginosa(緑膿菌)を含むPseudomonas
spp.(シュードモナス属);S.aureus(黄色ブドウ球菌)、S.Epide
rmidis(表皮ブドウ球菌)を含むStaphylococcus spp.(ブド
ウ球菌属);E.faecalisおよびE.faeciumを含むEnterococ
cus spp.(エンテロコッカス属);C.tetani(破傷風菌)(例えば破傷
風毒素およびその誘導体)、C.botulinum(ボツリヌス菌)(例えばボツリヌ
ス毒素およびその誘導体)、C.difficile(例えばクロストリジウム毒素Aま
たはBおよびその誘導体)を含むClostridium spp.(クロストリジウム
属);B.anthracis(炭疽菌)(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)を
含むBacillus spp.(バチルス属);C.diphtheriae(ジフテ
リア菌)(例えばジフテリア毒素およびその誘導体)を含むCorynebacteri
um spp.(コリネバクテリウム属);B.Burgdorferi(例えばOsp
A、OspC、DbpA、DbpB)、B.garinii(例えばOspA、OspC
、DbpA、DbpB)、B.afzelii(例えばOspA、OspC、DbpA、
DbpB)、B.andersonii(例えばOspA、OspC、DbpA、Dbp
B)、B.Hermsiiを含むBorrelia spp.(ボレリア属);E.eq
uiおよびヒト顆粒球性エールリヒア症の作用因子を含むEhrlichia spp.
(エールリヒア属);R.rickettsii(斑点熱リケッチア)を含むRicke
ttsia spp.(リケッチア属);C.Trachomatis(トラコーマクラ
ミジア)(例えばMOMP、ヘパリン(heparin)結合タンパク質)、C.pne
umoniae(クラミジア肺炎病原体)(例えばMOMP、ヘパリン結合タンパク質)
、C.psittaci(オウム病クラミジア)を含むChlamydia spp.(
クラミジア属);L.interrogansを含むLeptospira spp.(
レプトスピラ属);T.pallidum(梅毒トレポネーマ)(例えばレア(rare
)な外膜タンパク質)、T.denticola、T.hyodysenteriaeを
含むTreponema spp.(トレポネーマ属)などの細菌病原体から誘導され、
あるいは、P.Falciparum(熱帯熱マラリア原虫)を含むPlasmodiu
m spp.(プラスモディウム属);T.gondii(トキソプラスマ)(例えばS
AG2、SAG3、Tg34)を含むToxoplasma spp.(トキソプラスマ
属);E.histolytica(赤痢アメーバ)を含むEntamoeba spp
.(エントアメーバ属);B.microtiを含むBabesia spp.(バベシ
ア属);T.cruzi(クルーズトリパノソーマ)を含むTrypanosoma s
pp.(トリパノソーマ属);G.lamblia(ランブル鞭毛虫)を含むGiard
ia spp.(ジアルジア属);L.major(森林型熱帯リーシュマニア)を含む
Leshmania spp.(リーシュマニア属);P.Carinii(ニューモシ
スティスカリニ)を含むPneumocystis spp.(ニューモシスティス属)
;T.vaginalis(膣トリコモナス)を含むTrichomonas spp.
(トリコモナス属);S.mansoni(マンソン住血吸虫)を含むSchisost
oma spp.(住血吸虫属)などの寄生生物から誘導され、あるいは、C.albi
cans(カンジダアルビカンス)を含むCandida spp.(カンジダ属);C
.neoformans(クリプトコックスネオフォルマンス)含むCryptococ
cus spp.(クリプトコックス属)などの酵母から誘導される。
【0085】
これらにはさらに、M.tuberculosis用の他の好ましい特異性抗原、例え
ばTb Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38−1、Erd 14、DPV
、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1が含まれる。M.tuberculos
is用のタンパク質にはさらに、M.tuberculosisの少なくとも2つ、好ま
しくは3つのポリペプチドがより大きなタンパク質に融合された融合タンパク質およびそ
の変種が含まれる。好ましい融合物には、Ra12−TbH9−Ra35、Erd14−
DPV−MTI、DPV−MTI−MSL、Erd14−DPV−MTI−MSL−mT
CC2、Erd14−DPV−MTI−MSL、DPV−MTI−MSL−mTCC2、
TbH9−DPV−MTIが含まれる。クラミジア属用の最も好ましい抗原には例えば、
高分子量タンパク質(HWMP)、ORF3および推定(putative)膜タンパク
質(Pmp)が含まれる。好ましい細菌ワクチンには、S.pneumoniae(肺炎
連鎖球菌)(例えば莢膜多糖およびその抱合体、PsaA、PspA、ストレプトリジン
(streptolysin)、コリン(choline)結合タンパク質)を含むSt
reptococcus spp.(連鎖球菌属)から誘導された抗原、ならびにタンパ
ク質抗原ニューモリジン(Pneumolysin)(非特許文献1、非特許文献2)お
よびその突然変異無毒誘導体が含まれる。他の好ましい細菌ワクチンには、H.infl
uenzae type B(ヘモフィルスインフルエンザタイプB)(「Hib」、例
えばPRPおよびその抱合体)、分類不能型H.influenzae(インフルエンザ
菌)を含むHaemophilus spp.(ヘモフィルス属)から誘導された抗原、
例えばOMP26、高分子量付着因子、P5、P6、タンパク質Dおよびリポタンパク質
D、ならびにフィンブリン(fimbrin)およびフィンブリン誘導ペプチド、あるい
はそれらの多重複写変種(multiple copy variant)または融合タ
ンパク質が含まれる。B型肝炎表面抗原の誘導体は当技術分野ではよく知られており、こ
れにはとりわけPreS1、PreS2 S抗原が含まれる。好ましい一態様では、本発
明のワクチン製剤がHIV−1抗原gp120を含み、特にCHO細胞で発現させたこの
抗原を含む。他の実施形態では、本発明のワクチン製剤が先に定義したgD2tを含む。
【0086】
本明細書に記載された本発明の実施形態は、プッシュ面(すなわちプッシュボタン)設
計を含み、この設計では、装置を皮膚表面に配置し、固定することができ、プッシュボタ
ンまたはプッシュ面を静かに押すことによってエネルギーを与えかつ/または活動化させ
ることができる。具体的には、使用者は最初に、無菌包装から装置を取り出す。使用者は
さらに、接着剤カバー(図示せず)および/または針キャップを取り外すことができる。
前述の諸特徴は、装置を包装から取り出した後、使用する前に、使用者が装置およびその
内容物を検査することを可能にし、これには、足りないまたは損傷した構成要素、使用期
限、曇ったまたは変色した薬物の検査、およびその他の検査が含まれる。使用後、投与量
全体が送達されたことを確認するため、使用者は装置を再び調べることができる。この点
に関して、装置は、投与量インジケータ、例えば、装置ハウジングの表面積の少なくとも
20%あり、表示された投与量の±10%以内の正確さを有する読取り可能なゲージ領域
を含むことができる。次のステップは再形成ステップである。この装置は、ハウジングの
中のリザーバの内容物と相互作用して、再形成された薬剤溶液を形成する、薬物容器を受
け取るための受取口を含むことができる。
【0087】
次のステップは、装置を使用者の皮膚表面に配置し、貼り付けるステップである。パッ
チと同様に、使用者は装置をしっかりと皮膚に押し付ける。この装置は、使用者の皮膚に
装置を固定する接着剤層を有する下面を含む。この下面は、平坦とし、または起伏を設け
、あるいは適当な他の方法で形作ることができ、表面に接着剤層を含む。この層はおそら
く出荷前にカバーされる。接着剤をカバーしているフィルムなどの接着剤カバーが、装置
の遮蔽物の除去または無菌包装からの取出しの際にそれらと同時に剥がされなかった場合
、使用者は、使用前に、この接着剤カバーを剥がし、それによって皮膚に対して配置する
接着剤を露出させる。
【0088】
カバーを剥がした後、使用者は次いで、皮膚に対して装置を配置し、適当な接着力を保
証するためにこれを押し付けることができる。前述のとおり、適切に配置された後、ボタ
ンをスライドさせ、またはプッシュ面を押すことによって、装置を活動化させることがで
きる。この活動化ステップによって円盤ばねが解放され、これによって円盤ばねは、リザ
ーバサブアセンブリの柔軟なフィルム押し、リザーバを加圧する。この活動化ステップが
さらに、患者針マニホルドを解放し、患者針を着座させる役目を果たしてもよい。最後に
、この活動化ステップがさらに、前述の弁アセンブリのうちの1つまたは複数のアセンブ
リを開き、リザーバと患者針の間の流体連絡経路を確立する役目を果たしてもよい。前述
のそれぞれの実施形態の重要な利点は、1回のプッシュボタン操作でそれぞれのステップ
を達成することができることである。さらに、他の重要な利点は、リザーバサブアセンブ
リからなる続流体連絡経路の使用である。
【0089】
活動化させた後、装置内容物を完全に送達するため、使用者は一般に、ある時間、例え
ば10分から72時間、装置をそのままの位置に置く、すなわち装置を着装し、次いで、
その下の組織を傷付けることなく装置を外し、廃棄する。しかし、意図的にまたは偶発的
に取り外されたときに、特許文献1および2により詳細に記載されているように、1つま
たは複数の安全フィーチャが展開することができる。
【0090】
前述の性能利点に加えて、前述の実施形態の他の利点は、組立ての柔軟性を可能にする
、2つ以上の異なる自給式サブアセンブリを作ることができることである。それぞれのサ
ブアセンブリは自給式で安定であり、リザーバアセンブリまたはカートリッジアセンブリ
を残りの構成要素から分離する能力を提供し、このことは、リザーバおよび/またはカー
トリッジアセンブリの別々の充填および検査を可能にし、残りの構成要素の不必要な取扱
いを防ぐ。さらに、追加の構成要素が廃棄される場合には、費用のかかるリザーバ内容物
をとっておき、別のアセンブリで使用することができる。さらに、リザーバは不必要な部
品を含まず、その結果、充填動作に低い粒子負荷をもたらす。さらに、全てのエネルギー
蓄積構成要素がボディサブアセンブリの中にあり、そのため、リザーバの充填中にそれら
が不注意で展開されることがない。具体的には、リザーバにはばねが含まれず、このこと
は、充填中の不必要なばね解放の可能性をなくす。
【0091】
本発明の他の態様は、製品が乾燥製剤として包装に入れられている間、少なくとも部分
的な真空を使用することによって、製品再形成時の気泡形成を低減させる方法を提供する
。気泡形成成分、例えば界面活性剤を含む乾燥製剤は、製剤の再形成時に気泡を発生させ
ると理論付けられる。特に再形成に撹拌が必要なときには特にそうである。大部分の応用
に対して、非経口溶液は、目に見える粒子物質を一切含んではならない。大きさが50ミ
クロン以上の粒子は目視によって検出することができる。50ミクロン未満の粒子を検出
するためには専用の機器が必要である。米国薬局方27/NF22セクション<788>
は、非経口製剤に含まれることが許される微粒子の数およびサイズに対して制限を課して
いる。小体積非経口投与薬に対して、この制限は、10ミクロン以上の粒子で3000個
/容器、25ミクロン以上の粒子で300個/容器である。したがって、健康管理従事者
または患者は、溶質が完全に溶けており、目で見て溶液が透明であることを投与前に確認
する必要がある。再形成された溶液中に気泡が存在すると、溶液が濁って見え、このこと
は、製剤の完全溶解の観察および判定を妨げる。溶液の濁りは、気泡または不溶粒子の存
在の判定を非常に困難にする。前述のとおり、注入溶液中の不溶粒子の存在は望ましくな
い。
【0092】
また、気泡の注射は深刻な問題を引き起こしかねない。したがって、保健管理従事者お
よび患者は、気泡が消え、溶液が透明になるのを待たなければならない。気泡の消失には
非常に長い時間がかかることがあり、粘性の溶液では特にそうである。本発明の方法の諸
態様は、乾燥製剤が真空下または部分真空下で包装、密封され、再形成時にその真空が完
全には失われない場合(例えば注射器を使用し、密封されたバイアルのストッパに突き刺
すことによって希釈液を導入する場合)、この真空は気泡の消失を促進するのに役立つこ
とを示す。詳細を以下の実施例に示す。
【実施例1】
【0093】
この実施例では、所望のpH用のそれぞれのバイアルの中に、抗HIVペプチド216
mg、PEG1500 200mg、ならびに微量の水酸化ナトリウムおよび酢酸を含む
凍結乾燥製剤を使用した。PEG1500は、抗HIVペプチドの溶解度を高めるのに役
立つ。この製剤の再形成時、凍結乾燥ケーキ(cake)はすぐに濡れ、素早く溶解した
。それにもかかわらず、PEG1500の溶解は大量の気泡を発生させ、これらの気泡が
消えるのに約20分かかった。実験用の試料を調製するため、この製剤を再形成し、3m
lまたは5mlの凍結乾燥バイアルを使用した凍結乾燥および噴霧凍結乾燥によって再び
処理した。これらのバイアルを2000mT(部分真空)または大気圧で密封した。次い
で溶解試験を実行した。結果を表2に示す。再形成後にバイアルに残るより高い部分真空
は気泡形成を低減させることが観察された。例えば、両方のバイアル中の試料量は同等で
あるにもかかわらず、5mlバイアル中の試料の製剤溶解および気泡消失は、2000m
Tで密封した3mlバイアルのそれらよりも急速であった。気泡消失に対するバイアルの
この容積効果は意外なものであり、大きなバイアルは、小さなバイアルよりも、希釈液を
加えた後に高い部分真空を維持する能力が高いと理論付けられる。同じ3mlのバイアル
サイズでは、2000mTで密封したバイアルは、1気圧で密封したバイアルよりも気泡
が形成しにくかった。真空は溶液から気泡が脱出するのを助け、したがって溶液はより速
くクリアになると理論付けられる。
【0094】
【表2】

【0095】
従来技術の方法とは違い、本発明の諸態様に基づく気泡低減法および装置は、小規模お
よび大規模生産および包装中に都合よく適用することができる。薬物容器またはカートリ
ッジの製造と同様に、真空は、最初のボトル/バイアル密封中にも適用することができる
。他の実施形態では、再形成時に、専用の装置によって真空を誘導することができる。
【実施例2】
【0096】
薬剤の再形成過程を通じて薬物容器内の圧力を大気圧よりも低く維持することが望まし
い場合がある。希釈液によって導入される蒸気圧は極小であるので、この目的のためには
、約50トル未満の圧力への容器の当初排気で十分であると予想される。22℃における
水の蒸気圧は20トルである。混合後、再形成された水性薬剤の蒸気圧は一般に低下しよ
う。
【0097】
例えば、容積1ml、初圧2トルの薬物リザーバでは、理想気体の法則から、予想され
る終圧を推定することができる。
11=P22
容器に希釈液0.99mlを充填すると、当初気体によるリザーバ内の終圧(P2)は
以下のとおりである。
2T×1ml=P×(1−0.99)ml
全圧は、リザーバ内の当初気体と希釈液の分圧の和として推定することができる。
total=Pvap+P2=20T+2×1/0.01=220T
第2の例として、初圧50トルにおいて希釈液0.9mlを加えると、次のようになる

2=20+50×1/0.1=520T
どちらの例でも終圧は大気圧よりも低い。
【0098】
以上に、本発明の例示的ないくつかの実施形態を詳細に説明したが、本発明の新規の教
示および利点から大幅に逸脱することなく、これらの例示的な実施形態の多くの変更が可
能であることを当業者は容易に理解しよう。したがって、全てのこのような変更は、本発
明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可動壁を有し、第1の物質を第1の圧力で含む第1のリザーバと、
前記第1のリザーバと選択的に流体連絡する少なくとも1本の患者針と、
少なくとも1つの可動壁を有し、第2の物質を第2の圧力で含む第2のリザーバと
を含み、前記第1の圧力と第2の圧力が差圧を形成し、
さらに、
前記第1のリザーバと前記第2のリザーバの間の選択的流体連絡管路であって、前記第1のリザーバと前記第2のリザーバの間の選択的流体連絡管路が使用可能になったときに、前記第1の物質と前記第2の物質が混合されて、薬剤を形成し、それによって前記混合が前記差圧によって引き起こされる選択的流体連絡管路と、
中心開口を有するばねであって、前記第1のリザーバの前記可動壁に圧力を加えて、前記第1のリザーバから前記患者針へ流体が流れるようにするためのばねと、
前記中心開口と係合することができ、前記中心開口から外れることができるピンであって、注入装置が作動したときに、前記ばねが、前記第1のリザーバに第3の圧力を加えることを開始するようにするピンと
を含むことを特徴とするパッチ状注入装置。
【請求項2】
活動化手段をさらに含み、前記活動化手段によって、前記第2のリザーバの前記可動壁が移動し、それによって前記第2のリザーバの容積を低減させ、それによって前記減容が、前記第2の室から前記第1の室への前記薬剤の移動を引き起こすことを特徴とする請求項1に記載のパッチ状注入装置。
【請求項3】
使用者が前記注入装置の別の操作を実行したときに、前記開口からの前記ピンの離脱が自動的に起こることを特徴とする請求項1に記載のパッチ状注入装置。
【請求項4】
前記操作はプッシュボタンを操作することを含むことを特徴とする請求項3に記載のパッチ状注入装置。
【請求項5】
前記操作は、プッシュボタンガードまたはプッシュボタンインタロックを取り外すことを含むことを特徴とする請求項3に記載のパッチ状注入装置。
【請求項6】
前記ばねは円盤ばねであることを特徴とする請求項3に記載のパッチ状注入装置。
【請求項7】
再形成された製剤中の気泡の形成を低減させるための方法であって、
大気圧よりも低い所定の第1の圧力で容器の中に、所定の量の薬剤製剤を供給すること、
所定の体積の希釈液を前記容器に加えること
を含み、
前記希釈液が前記容器に加えられるときに前記容器は所定の第2の圧力を有し、
さらに
前記容器内の前記第2の圧力で前記薬剤製剤と前記希釈液を混合して、前記再形成された製剤を形成すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第2の圧力は大気圧よりも低いことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の圧力は2000mTの真空よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の圧力は、2000mTの真空と大気圧の間の圧力であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記薬剤は凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤は噴霧凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤は凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤は噴霧凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤は凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤は噴霧凍結乾燥粉末であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記薬剤はリポソーム(liposome)であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記薬剤は実質的に乾燥した粉末であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記薬剤はリポソームであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記薬剤は実質的に乾燥した粉末であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤はリポソームであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記薬剤は実質的に乾燥した粉末であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項23】
実質的に不活性ガスからなる雰囲気で、前記再形成された製剤を混合することをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公開番号】特開2012−106025(P2012−106025A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26561(P2012−26561)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2007−531260(P2007−531260)の分割
【原出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】