説明

再撮指示情報登録が可能な診療画像撮影業務にかかわるシステム及び再撮指示登録方法。

【課題】
放射線情報システム(RIS)(30)、医用画像撮影装置(40)、病院情報システム(HIS)(20)、検像システム(50)、画像サーバ(60)及びレポーティングシステム(70)から構成される診療画像撮影業務に係わるシステムにおいて、撮影後に発見される画像撮影失敗時の再撮要求に対応可能とする。
【解決手段】
該診療画像撮影業務に係わるシステムにさらに再撮指示情報登録手段(150)を設け、再撮指示情報をRIS(30)に送信可能とする。RIS(30)に再撮指示情報受信手段(152)及び再撮指示情報保存手段(153)を設ける。RIS(30)は再撮指示情報を受信して、記録手段(31)に保存する。この際、オーダ情報(100)におけるオーダステータス(101)を再撮状態であることを示すステータスとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、病院や診療所などにおける診療画像撮影業務において、撮影に失敗して撮影のやりなおし(再撮)が発生した場合に対処できる、再撮指示情報登録が可能な放射線情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断のデジタル化・フィルムレス化に伴い、病院や診療所等の医療施設では、医用画像撮影装置(モダリティ)を用いてデジタル画像を撮影することによる検査が行われている。
【0003】
通常、このような検査では、例えば、診療放射線技師による操作に基づき、モダリティが医用画像を生成し、生成された医用画像は画像チェック(検像)が行われる。生成された医用画像のチェック内容は、例えば、医用画像に正確に検査情報が付帯され、検査目的に合致し、診療に耐えうる画像であるかの確認で、もし医用画像に不都合があった場合は適宜修正、もしくは再撮が行われる。
【0004】
そして、技師による検像が完了した医用画像は、医用画像を保管・管理する画像データサーバ(PACS、Picture Archiving and Communication System)等へ転送される。PACSに保管された医用画像は、適宜医師などの医療従事者によって参照される。さらに必要があれば、医師によって読影レポートが作成される。
このような過程の具体的手順を、診療画像撮影業務にかかわるシステムに基づいて以下に説明する。
【0005】
図1は、従来の検査情報管理システムS1の構成の一例を示す図である。図1に示されるように、検査情報管理システムS1は、LAN回線等の通信ネットワーク10を介して互いにデータ通信可能に接続されている病院情報システム(HIS)20、放射線情報システム(RIS)30、モダリティ40、検像システム50、画像データサーバ(PACS)60、レポーティングシステム70、及び任意のデータサーバ(図示せず)、及び任意の他部門システム(図示せず)などを有して構成されている。
【0006】
さらに、通信ネットワーク10に接続されているシステムの内、そのシステムを利用するにあたり検査画像を確認する必要があるシステム、例えば病院情報システム20、放射線情報システム30、検像システム50、PACS60、レポーティングシステム70などには、画像確認のためのディスプレイ装置80が必要に応じて接続され、検査画像を確認することができる。
【0007】
通常、検査が必要な患者がいる場合、医師はこの患者に関する情報や行いたい検査に関する情報(オーダ情報100)などを、検査を行う者、例えば、診療放射線技師に伝え、診療放射線技師は、この伝えられた情報に基づいて、検査を受ける患者と行うべき検査を特定し、特定された患者に対して、特定された検査を、モダリティ40を用いて行う。
【0008】
病院情報システム(HIS)20は、オーダエントリーシステム、電子カルテシステム、医事会計システムなどを内包した、病院内の情報を統合的に管理するシステムである。病院情報システム20は、患者の担当医の入力をうけ、画像診断撮影の依頼内容や、当該患者情報などを含む、オーダ情報100を生成し、それを病院内の通信ネットワーク10を介して、放射線情報システム30に通知する。
【0009】
放射線情報システム(RIS)30は、放射線科において、診療予約、画像撮影検査に係る検査実績情報の管理、材料在庫情報の管理等を行って、放射線科内の情報を統括的に管理するシステムである。放射線情報システム30は、病院情報システム20から送信されたオーダ情報100を受信し、放射線情報システム30に設けられた記録手段31に記録する。
【0010】
なお、オーダ情報100は、検査依頼箋などの紙媒体を用いて伝えるようにしても良いし、ICカードなど持ち運びのできる記憶媒体を用いて伝えるようにしても良い。オーダ情報100が紙媒体を用いて伝えられる場合は、伝えられた診療放射線技師などが、伝えられたオーダ情報100を放射線情報システム30に設けられた記録手段31に記録するようにすると良い。また、オーダ情報100が記憶媒体を用いて伝えられる場合は、放射線情報システム30や放射線情報システム30に接続した端末がこの記憶媒体に記憶された内容を読み取る手段を備え、読み取った情報を放射線情報システム30に設けられた記録手段31が記録するようにすると良い。このようにすることにより、オーダ情報100が紙媒体や記憶媒体を用いて伝えられた場合であっても、放射線情報システム30にオーダ情報100が記録されることになる。
【0011】
オーダ情報100には、患者基本情報110と検査情報120を有する。前者は、患者名、患者ID、性別、生年月日などの患者に関する情報で、病院情報システム(HIS)20に登録されている患者情報のサブセットである。後者の検査情報120は、検査依頼医が病院情報システム20で登録した検査の内容に関する情報である。検査情報120はさらに、検査の予約日時や検査の種類等を示す検査基本情報130と、検査の項目やその項目に対する使用物品や検査条件などを示すショット情報140を含んでいる。
【0012】
記録されたオーダ情報100を元に、診療放射線技師は画像診断撮影業務を行う。放射線情報システム30はオーダステータス101及びショットステータス141を、適宜検査の進捗状況に応じて変化させることで検査の進捗管理を行う。オーダステータス101には例えば「未実施」「受付済」「検査中」「実施済」「実績修正」「中止」などの情報が登録され、ショットステータス141には「未実施」「実施済」「ミスショット」「中止」などの情報が登録される。検査状況が変更されると、放射線情報システム30は適宜、病院情報システム20に前記検査状況を通知し、該検査がどのような状況であるのかを示す。
【0013】
前記オーダステータス101及びショットステータス141は、通常の業務の流れにおいて検査の進捗状況を表現するだけではなく、システム間のデータ整合を取るためにも利用されている。例えば、オーダステータス101は「受付済」以降に検査が進んだとき、それ以降は病院情報システム20ではオーダを取り消し・変更が出来なかったり、「検査中」の検査を複数の検査室(端末)で検査開始の処理が出来なかったり、「実績修正」の検査を他の端末から同時に修正できないよう、病院情報システム20及び、放射線情報システム30は情報変更を禁止するための禁止手段(図示せず)を有している。
【0014】
禁止手段は、例えば「実績修正」の検査に別の端末からアクセスしようとした場合、内容の参照のみを許し、実績内容の修正はできないようにしている。さらに、1つでもショットステータス141が「未実施」の検査が存在する場合、オーダステータス101を「実施済」にすることができなかったり、全てのショットステータス141が「中止」になるとオーダステータス101は「中止」になるなど、オーダステータス101及びショットステータス141間にも適宜、制約を設けている。
【0015】
オーダ情報100、患者基本情報110及び、検査基本情報130の一例を図2に示す。図2は、患者基本情報110を「患者名を特許太郎、患者IDを1234567、性別を男、生年月日を1979年5月17日」、検査基本情報130を「依頼科:胸部外科、依頼医師名:鈴木花子、検査予定日時:2011年1月31日午前10時、検査種:X線検査」、ショット情報130には「該検査は胸部正面と胸部側面とを含む。」であると想定し、放射線情報システム30が病院情報システム20からオーダ情報100が通知されたときの状態、すなわち検査が未実施の状態を示している。このとき、オーダステータス101には「未実施」がセットされる。(図2(1))
【0016】
患者が検査室に検査を受けに来ると、例えば受付係が放射線情報システム30を操作して受付登録を行う。この操作によってオーダステータス101は「受付済」に変更される。
【0017】
検査の順番が来ると、例えば診療放射線技師が放射線情報システム30を操作することで、検査が開始される。検査が開始されると、オーダステータス101は「検査中」に変更される。
また、放射線情報システム30は、前記オーダ情報100を元に、モダリティ40にオーダ情報100を送信し、さらに、該当検査の検査実施情報を病院情報システム20に通知する。モダリティ40と放射線情報システム30との通信については、DICOMに定められた通信を用いると良い。DICOMは、実施される処理をサービスクラスと呼んでおり、通信により送受信するべき情報についても、このサービスクラスごとに定めている。DICOMにおいて、上述したモダリティ40が放射線情報システム30から検査患者情報を取得する処理は、MWM(Modality Worklist Management)と呼ばれるサービスクラスであり、このMWMでは、検査番号や患者ID、患者氏名、性別、生年月日、予約された検査日時、などが送受信すべき情報として定められている。そこで、上述したモダリティ40が放射線情報システム30から取得する検査患者情報の内容としては、このMWMにおいて送受信すべき情報の内容を用いると良い。
【0018】
モダリティ40は、X線撮影装置、CT装置、MRI装置、超音波撮影装置等の医用画像撮影装置として与えられる。モダリティ40は、患者の患部を撮影し、撮影された部位の画像データ(実画像データ)を生成する。さらに、モダリティ40は、放射線情報システム30からMWM接続にて受信したオーダ情報100を元に、前記画像データに関する付帯情報を生成し、画像データに付帯させる。
【0019】
生成した画像は、モダリティ40に接続されているモダリティコンソール41に接続されているモニタを用いて、検査の目的に合致した画像が撮影されているかを目視によりおこなう。そして、診療放射線技師は画像に問題がないことを確認したときに、検像システム50に画像を送信する。また、画像に問題があることを発見したとき、診療放射線技師は適宜撮影のやり直しや、付帯情報の修正を行う。(画像確認1)
【0020】
診療放射線技師は、検査を行った後、行なった検査についての内容などを検査実績情報として、放射線情報システム30を用いて入力する。さらに診療放射線技師の操作を受け、放射線情報システム30はこの入力された情報を記録手段31に記録し、更にオーダステータス101に「実施済」をセットすることで検査完了処理を行う。(図2(2))これにより、検査実績情報を放射線情報システム30により管理することが可能になる。
【0021】
検査実績情報として入力される情報としては、例えばショット情報140の一部である、放射線を用いる検査を行った際に作成される照射録の内容や、検査に使用した物品の情報などがある。診療放射線技師が人体に放射線を照射したときは、照射を受けた者の氏名や照射した年月日、照射の方法などの事項を記載した照射録を作成しなくてはならないことが法律により規定されている(診療放射線技師法28条、診療放射線技師法施行規則16条)。検査に使用した物品の情報は、病院情報システムに20に通知されることで、患者に請求する検査費用の算定に用いられる。検査完了後のオーダ情報100の状態を図2(2)に示す。
【0022】
また、検査実績情報は、モダリティ40から放射線情報システム30に送信されるようにしても良い。モダリティ40にて検査終了の処理が行われると、モダリティ40が行った検査の内容、検査した日時などの情報を放射線情報システム30に送信するようにすることもできる。このモダリティ40から放射線情報システム30への検査実績情報の送信についてはDICOMに定められた、MPPS(Modality Performed Procedure Step)と呼ばれるサービスクラスが利用されることが多く、このMPPSでは、検査の終了時に撮影終了時刻や撮影条件などが、モダリティ40から放射線情報システム30に送信される。そこで、上述したモダリティ40から放射線情報システム30に送信される検査実績情報の内容としては、このMPPSにおいて送受信すべき情報の内容を用いると良い。
【0023】
検像システム50においては、モダリティ40から送信される検査画像(医用撮影画像)を受信して、検像が実行される。「検像」とは、撮影された検査画像が検査情報と整合するものか、検査画像が診断に適した画質を有しているか等を判断することである。検像は、検像システム50に接続される、ディスプレイ装置80を技師が目視することで実行される。(画像確認2)さらに検像システム50は検像が行われた画像を画像データサーバ60に送信する。
【0024】
画像データサーバ(PACS)60は、撮影・検像された検査画像を受信して、検査画像を保存及び管理するデータベースシステムである。PACS60に検査画像が保存されると、院内のLAN回線等の通信ネットワーク10に接続されている端末(システム)からPACS60にアクセスし、各システムに接続されているディスプレイ装置80を用いて該検査の検査画像を参照することができるようになる。
【0025】
レポーティングシステム70は、読影医が作成したレポートを保存及び管理するためのシステムである。読影医はレポーティングシステム70を利用し、PACS60に保存されている検査画像をディスプレイ装置80にて参照することにより読影レポートを記入する。このとき、読影医が検査画像を参照し、検査画像に不都合があると判断した場合、診療放射線技師は該当検査の再撮を行う。(画像確認3)
読影レポートは全ての検査に対して記載されるとは限らず、検査を依頼した医師が検査を依頼すると同時に行うレポート記載依頼等のリクエストに基づき、行われる。
【0026】
検査完了後、検査を依頼した依頼医等の医療従事者が、診察室等に設置されているHIS20等のシステムからHIS20に接続されているディスプレイ装置80を利用して検査画像を、レポーティングシステム70にアクセスして読影レポートを参照することで、依頼した検査の検査結果を参照することが可能となる。このとき、依頼医が検査画像を参照し、検査画像に不都合があると判断した場合、診療放射線技師は該当検査の再撮を行う。(画像確認4)
【0027】
以上が、通常の流れである。画像撮影業務において、撮影に失敗して撮影のやり直し(再撮)が発生することがあるが、その判断を行うタイミングは、上記の画像確認1〜4の各個所が考えられる。
【0028】
画像確認1、すなわち、撮影中または撮影直後に検査画像をモダリティコンソール41上で確認し、再撮を発見した場合である。このときは、モダリティ40及び、放射線情報システム30で検査完了処理をしておらず、かつ患者は検査室近辺に居ることが多く、モダリティコンソール41上で再撮の操作をするだけで容易に撮り直しを行うことができる。画像確認1の段階で再撮が必要になったとき、通常のワークフローからの相違はない。
【0029】
画像確認2、すなわち、検像中に当該検査画像を不適切画像であると判断することがある。その場合、放射線情報システム30及びモダリティ40ともに検査完了処理を行っている状態であるので、検査を追加続行することは不可能である。
【0030】
画像確認3、すなわち、読影室にて読影医がレポートを作成するために、検査画像を参照した際に不適切画像と判断されることがある。このときも、画像確認2同様、検査完了処理を行った状態であるので、検査を追加続行することは不可能である。
【0031】
画像確認4、すなわち、診察室で主治医が検査結果を参照した際に、検査画像が診断に適さないと判断されることがある。このときも、画像確認2同様、検査完了処理を行った状態であるので、検査を追加続行することは不可能である。
【0032】
画像確認2〜4の段階で、再撮が発生したとき、現状ではつぎのような扱いとされている。
再撮を発見したものは、診療放射線技師に再撮の理由などを口頭やメモ書きで申し送りを行い、再撮を行うよう指示をする。また、検像システム50やPACS60などに格納された不具合画像がある場合は画像の削除を行う。さらに、診療放射線技師は再撮の指示の内容を受け、再撮のために患者が検査室に入り、再撮検査を始める直前に放射線情報システム30を用いて当該再撮を行わなくてはならない検査オーダのオーダ情報100を修正し、再撮を行う。
【0033】
「胸部正面」と「胸部側面」のショット情報140を含むオーダのうち、「胸部正面」写真が不良で再撮となる場合を例に説明する。検査完了の状態である放射線情報システム30に保存されている「実施済」の当該検査のオーダステータス101を、再撮担当技師の操作などで、放射線情報システム30上で「実績修正」に変更し、既存「実施済」の「胸部正面」のショットステータス141を「ミスショット(撮影に失敗したことを示す)」に、さらに、「未実施」の胸部正面のショット情報140を追加する。さらに、追加した検査(ショット)のやり直しを行う。必要があればモダリティ40とMWM接続等を行い、放射線情報システム30から患者基本情報110や検査情報120を通知する。この状態から、さらに、検査(再撮)を実施して、最終的にオーダステータス101及び追加した「胸部正面」のショットステータス141を「実施済」とする。ただし、ミスショットに関わる情報は、削除されることなく残る。(図2(3))
【0034】
失敗した胸部正面画像に対して、そのときのショット情報140の削除をせずにミスショットの扱いとするのは、前記の法規上放射線照射条件を管理する要請があるためである。
【0035】
再撮を行うために患者を呼び戻す必要があるが、患者が帰宅した場合などは後日再検査となる場合もある。その場合、前記の処理は実際に患者が再来院した際に行われ、再撮理由などの内容はメモ書き等で再撮が終わるまで記録を残すことになる。
【0036】
すなわち、既存システムで患者が再度検査室を訪れて再撮を行うときは、再撮検査開始直前、つまり患者が検査室に来てからオーダステータス101を「実績修正」ステータスに変更して、前述のメモ書きなどを参照しながら再撮すべき検査のショット情報140を手入力で追加する。さらに、撮影を完了すると追加したショットのステータスを「実施済」にし、使用物品・検査条件を登録して、オーダ情報100を「実施済」として保存するという操作が必要になる。
【0037】
しかし、「実績修正」ステータスとは本来、検査実績情報を間違えて登録してしまったときの修正の際に利用され、他の装置またはシステムからの当該検査実績情報へのアクセス防止を目的として設定されるステータスである。検査情報の修正登録中のみに設定され、検査情報の修正登録を終えて情報を保存すると、もとの「実施済」ステータスに戻る。すなわち、実績修正ステータスは、「実施済」となったあと一時的に移行可能なステータスである。
【0038】
既存システムは一度オーダステータス101が「実施済」なったら、検査は完璧に完了していることを想定する。つまり、再度検査をやり直すことはないということである。しかし、実際の医療現場では検査のやり直しが発生してしまうことがある。その時は、オーダ情報100の内容を編集する手段が、既存技術では「実績修正」ステータスを利用した方法しかない為、本来検査完了後の使用物品や検査条件などを間違えて登録してしまったときに使用している「実績修正」というオーダステータス101を便宜上利用して、再撮ワークフローをカバーしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2010−194086号公報
【特許文献2】特開2002−159483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
以上のように、再撮が発生することがあるにもかかわらず、現状の診療画像撮影業務にかかわるシステムS1ではつぎのような問題点を抱えている。
【0041】
(1)ワークフローが煩雑
「実施済」の検査実績を修正することで、すなわち失敗したショットを「ミスショット」にし、同じショット情報120を「未実施」ショットとして追加して、モダリティ40にMWM接続するショット情報120を選択して、MWM接続を行い、モダリティ40で患者基本情報110や検査情報120などを受信して再撮検査を行う。撮影が終わったらMPPS接続、若しくは手入力で検査使用物品、検査条件などを入力し検査済として登録することで、放射線情報システム30に当該情報を登録し、病院情報システム20に情報を送信する、という煩雑な操作が必要であり、間違いの原因になる。
【0042】
(2)再撮指示情報の登録が出来ない。
再撮の内容を登録する手段がないため、どのショットがなぜ再撮と判断され、再撮を行わなければならないのかといった情報は、通常、口頭伝達またはメモなどで伝達をするため、伝達の不足・間違いが起こりやすい。
【0043】
(3)放射線情報システム30でのみしか、オーダ情報100の変更ができない
検査完了から時間が経ってから再撮が発見される場合、再撮発見者は放射線情報システム30とは離れた場所に設置されている検像システム50や病院情報システム20などを用いて検査画像を参照していることが多く、オーダ情報100の変更(再撮指示情報の登録)を行いたいタイミングで放射線情報システム30を利用していないことが考えられるが、オーダ変更は放射線情報システム30が動作する端末でのみでしか行うことができず、手間が生じている。
【0044】
(4)放射線情報システム30上で再撮のオーダであるか、そうでないのかの判断がつかない。
「実績修正」ステータスとは、本来、放射線情報システム30に保存されている「実施済」のオーダの実績内容変更中を意味しており、入力を間違えて登録してしまった使用物品や検査条件を修正している最中であることを指す。すなわち、修正操作を行っている間のみ「実績修正」ステータスとなり、修正が終了すると「撮影済」ステータスに戻る。さらに、再撮状態を示すステータスがないため、再撮を行わなくてはならない検査も「実施済」ステータスとして表示してしまう。したがって、検査進捗状況を管理している放射線情報システム30では再撮の必要があることの判断をすることができない。再撮は検査未完状態である検査として表示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記課題を解決するために、本願発明は、
(1)医用画像撮影装置(モダリティ)と放射線情報システム(RIS)とを有し、
該RISは、該モダリティを用いて検査を行うにあたり、検査に関する情報であるオーダ情報を記録する記録手段及び該記録手段に記録される該オーダ情報が設定された後に該RIS以外から入力される変更を禁止する禁止手段を有し、
さらに該RISは検査開始信号の入力を受けて当該情報を該モダリティに通知し、
該モダリティは通知された情報を元に、診療画像撮影業務がおこなわれる、診療画像撮影業務に係わるシステムにおいて、
該診療画像撮影業務に係わるシステムは、さらに再撮指示情報登録手段を有し、
該RISはさらに再撮指示情報受信手段及び再撮指示情報保存手段を有し、
該再撮指示情報登録手段から再撮指示情報が該RISに送信され、
該再撮指示情報が該RISの再撮指示情報受信手段にて受信され、
該再撮指示情報保存手段は該禁止手段の変更禁止を解除し、受信された該再撮指示情報を該記録手段に記録することにより、
該モダリティで撮影された検査画像が診断に適さないと判断され、再度の撮影が必要となった場合、RIS以外の装置から再撮指示情報を送信可能とするともに、再検査を行わなくてはいけない検査の存在を知ることを可能とする、ことを特徴とする。
【0046】
さらに本願発明は、上記(1)において、
(2)前記オーダ情報は、検査の過程を識別するオーダステータスを含み、
オーダステータスには、少なくとも検査中を示すステータス(検査中ステータス)、検査が終了したことを示すステータス(実施済ステータス)及び再検査を必要とすることを示すステータス(再撮ステータス)の各ステータスを有し、
前記RISにおいて前記検査開始信号の入力を受けて、該オーダステータスが検査中となり、
この状態から該RISにおいて検査完了信号の入力を受けて、オーダステータスが実施済に変更され、
この状態から、該RISにおいて前記再撮指示情報受信手段にて前記再撮指示情報を受信することにより、オーダステータスが再撮に変更され、
この状態から、該RISにおいて再度の検査開始信号の入力を受けてオーダステータスが検査中となり、
この状態からRISにおいて再度の検査完了信号の入力を受けてオーダステータスが実施済となる、ことを特徴とする。
【0047】
さらに本願発明は、上記(1)または(2)において、
(3)前記オーダ情報は、検査基本情報と検査の詳細項目を示す少なくとも1つのショット情報とを有し、
前記オーダステータスは該検査基本情報に含まれ、
各ショット情報はショットステータスを有し、
さらに、前記再撮指示情報保存手段は、再撮再撮対象の検査詳細項目に対応するショットステータスを「ミスショット」とし、かつ、新たな未実施状態のショット情報を設定する、ことを特徴とする。
【0048】
さらに本願発明は、上記(2)または(3)において、
(4)前記再撮指示情報登録手段は、それに接続されたディスプレイ装置に、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)である再撮指示情報入力画面を表示させ、
該再撮指示情報入力画面から入力された前記オーダ情報の一部をキーとして前記RISに登録されているオーダ情報を検索し、
検索条件に合致し、更に合致したオーダ情報のオーダステータスが「実施済」である場合、該ディスプレイ装置を利用して、当該オーダ情報を該再撮指示情報入力画面に表示し、
それ以外の場合は、該当検査に再撮指示情報登録ができない旨の警告を表示する、ことを特徴とする。
【0049】
さらに本願発明は、上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、
(5)前記再撮指示情報登録手段は、
ユーザID・パスワード、若しくはユーザIDのみを該再撮指示情報登録手段に接続されたディスプレイ装置に設けられた入力画面に入力を受け、若しくは、前記再撮指示情報登録手段に備えられた機能を利用して、前記RISに前記再撮指示情報を送信し、
前記RISに備えられた確認手段を利用し、限定されたユーザのみ再撮指示情報を登録できる、ことを特徴とする。
【0050】
さらに本願発明は、上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、
(6)前記再撮指示情報登録手段は、
再撮指示情報登録手段が起動されたときに、装置ID確認手段を利用、若しくは、該再撮指示情報登録手段に備えられた端末の端末コードの入力を受けることで、
該RISに備えられた確認手段を利用し、特定の装置のみから再撮指示情報を登録できる、ことを特徴とする。
【0051】
さらに本願発明は、上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、
(7)前記再撮指示情報登録手段は、
再撮の理由、申し渡し事項、検査に適さない画像(シェーマ画像)、再撮指示情報登録者、再撮指示情報登録端末名の少なくとも1つを前記再撮指示情報と共にRISへ送信可能とする、ことを特徴とする。
【0052】
さらに本願発明は、上記(1)ないし(3)のいずれかにおいて、
(8)前記再撮指示情報登録手段は、それに接続されたディスプレイ装置を利用して、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)である再撮指示情報入力画面を表示させ、
該再撮指示情報入力画面に入力された再撮指示情報を前記RISに送信する、ことを特徴とする。
【0053】
さらに本願発明は、上記(1)ないし(8)のいずれかにおいて、
(9)前記診療画像撮影業務に係わるシステムはさらに病院情報システム(HIS)、放射線情報システム、検像システム、画像サーバ(PACS)、レポーティングシステム、データサーバ、及び他部門システムの少なくとも1つの構成要素を有し、
前記再撮指示情報登録手段が、該少なくとも1つの構成要素のうち少なくとも1つに備えられることにより、前記診療画像撮影業務に係わるシステム内の前記RIS以外の構成要素から再撮指示情報を出すことが可能である、ことを特徴とする。
【0054】
一方、本願発明は、
(10)医用画像撮影装置(モダリティ)及び、
放射線情報システム(RIS)、ならびに
病院情報システム(HIS)、検像システム、画像サーバ(PACS)、レポーティングシステム、データサーバ、及び他部門システムの少なくとも1つからなるシステムまたは装置(他のシステムまたは装置群)を有し、
該RISは、該モダリティを用いて検査を行うにあたり、検査に関する情報であるオーダ情報を記録する記録手段及び該記録手段に記録される該オーダ情報が設定された後に該RIS以外から入力される変更を禁止する禁止手段を有し、
さらに該RISは検査開始信号の入力を受けて当該情報を該モダリティに通知し、
該モダリティは通知された情報を元に、診療画像撮影業務がおこなわれる、診療画像撮影業務に係わるシステムにおいて、
該他のシステムまたは装置群の少なくとも1つに再撮指示情報登録手段を有し、
該RISはさらに再撮指示情報受信手段及び再撮指示情報保存手段を有し、
該再撮指示情報登録手段から再撮指示情報が該RISに送信され、
該再撮指示情報が該RISの再撮指示情報受信手段にて受信され、
該再撮指示情報保存手段は該禁止手段の変更禁止を解除し、該記録手段に受信された該再撮指示情報を記録することにより、
該モダリティで撮影された検査画像が診断に適さないと判断され、再度の撮影が必要となった場合、該他のシステムまたは装置から再撮指示情報を送信可能とするともに、再検査を行わなくてはいけない検査の存在を知ることを可能とする、ことを特徴とする。
【0055】
また、本願発明は、
(11)診療画像撮影業務がおこなわれる医用画像撮影装置(モダリティ)と、
検査オーダを記録可能である放射線情報システム(RIS)と、
該モダリティで撮影された画像を確認するディスプレイ装置を有し、
該検査オーダの1レコードには、該検査を受ける患者情報の一部である患者基本情報と、
キーになるオーダ番号及び、オーダステータスを含む検査基本情報と、
さらに少なくとも1つのショット番号、ショットステータスを記録することが可能であるショット情報とを有した、診療画像撮影業務に係わるシステムにおけるRISを動作させる方法であって、
該方法は、
該RISの外部から送信された再撮要求信号を受信し、
オーダ番号の入力を受け、
オーダ番号をキーとして検査オーダを検索し、該オーダ番号に対応する検査オーダのレコードを該ディスプレイ装置における再撮指示情報入力画面に表示し、ショット番号の入力を要求し、
再撮が必要な検査のショット番号を受け、
対応オーダ番号のオーダステータスを再撮状態にし、
入力されたショット番号のショットステータスをミスショットに、さらにショットステータスを未実施状態とした新たなショット情報を設定し、
該ディスプレイ装置に再撮指示情報が登録されたことを表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0056】
本願発明は、診療画像撮影が行われるシステムにおいて再撮が発生する現状に鑑み、
(1)再撮発生時のワークフローを簡易化し、
(2)撮影技師同士の情報伝達をスムーズにする、
という顕著な作用効果を有する。
さらに、
(3)再撮指示情報登録手段を有することにより、また、RISの外部から送信された再撮要求信号を受信することにより、再撮指示情報の登録をどこからでも可能とし、
(4)オーダステータスに再撮ステータスを設けた場合には、担当技師に該検査が再撮であることを示すことができ、
(5)ショットステータスを「ミスショット」とし、ショットステータスを未実施とした新しいショット情報を設定する場合は、再撮時の検査記録を容易にし、
また、
(6)該再撮指示情報登録手段を、該診療画像撮影が行われるシステムを構成するいずれかのシステムに備え付けた場合には、検査画像が診断に適さず再撮が必要と判断された場合、ただちに再撮指示情報の登録をすることを可能とし、
(7)特に、再撮指示情報登録手段をRIS以外の装置に設けた場合には、RIS以外の装置から再撮指示情報の登録を可能とする、
という顕著な作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の診療画像撮影業務にかかわるシステムの構成を示す図面である。
【図2】図1のシステムによる、オーダ情報100の1レコードの変化を示す図面である。
【図3】本願発明による診療画像撮影業務にかかわるシステムの構成の一形態を示す図面である。
【図4】本願発明による再撮指示情報登録手段150が「構成要素」内に設けられた場合の、診療画像撮影業務にかかわるシステムの構成の一形態を示す図面である。
【図5】図3または4のシステムによる、オーダ情報100の1レコードの変化の例を示す図面である。
【図6】再撮指示情報入力画面の表示例を示す図面である。
【図7】本願発明による放射線情報システムの動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
LAN回線等の通信ネットワーク 10
病院情報システム(HIS) 20
放射線情報システム(RIS) 30
RIS内の記録手段 31
モダリティ 40
モダリティコンソール 41
検像システム 50
画像データサーバ(PACS) 60
レポーティングシステム 70
任意のデータサーバ (図示せず)
任意の他部門システム (図示せず)
ディスプレイ装置 80
オーダ情報 100
オーダステータス 101
患者基本情報 110
検査情報 120
検査基本情報 130
ショット情報 140
ショットステータス 141
再撮指示情報登録手段 150
再撮指示情報入力画面 151
再撮指示情報受信手段 152
再撮指示情報保存手段 153
【発明を実施するための形態】
【0059】
次に本願発明による診療画像撮影業務にかかわるシステムの構成を説明する。
図3は本願発明による、診療画像撮影業務にかかわるシステムS2のシステム構成の一例を示す図である。これは、図1のシステムと同様に、LAN回線等の通信ネットワーク10を介して互いにデータ通信可能に接続されている病院情報システム(HIS)20、放射線情報システム(RIS)30、モダリティ40、検像システム50、画像データサーバ(PACS)60、レポーティングシステム70、及び任意のデータサーバ(図示せず)、及び任意の他部門システム(図示せず)などを有して構成されている。さらに、検査画像を参照する必要があるシステムには、図1のシステムと同様、ディスプレイ装置80が接続されている。
【0060】
ただし、本願発明の各装置またはシステムにおいて、次の点が図1のものと異なる。
(1) 診療画像撮影業務にかかわるシステムS2に、再撮指示情報登録手段150を備える。図3では、独立な装置として記載されているが、独立な装置と搭載するよりも再撮指示情報登録手段150は、図4のように診療画像撮影業務に係わるシステム内の装置またはシステム、すなわちLAN回線等の通信ネットワーク10に接続されているシステムまたは装置、例えば病院情報システム20、放射線情報システム30、検像システム50、PACS60,レポーティングシステム70など(以後、診療画像撮影業務に係わるシステム内の装置またはシステムを「構成要素」と称する)のうち少なくとも1つに設けることが好ましいとされる。特に放射線情報システム30以外の装置に設けると好都合である。再撮指示情報登録手段が「構成要素」内に設けられた場合は、該「構成要素」内に設けられたディスプレイ装置80に、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)である再撮指示情報入力画面151を表示させ、該再撮指示情報入力画面に入力された再撮指示情報を放射線情報システム30に送信する。もし、独立の装置として再撮指示情報登録手段150を設ける場合は、ディスプレイ装置80を該手段に接続することにより再撮指示情報入力画面151を表示させることが可能となる。
(2) 放射線情報システム30には、再撮に関する情報を受信する再撮指示情報受信手段152及び、保存する手段である再撮指示情報保存手段153を備える。再撮指示情報登録手段150より送信された再撮指示情報は、再撮指示情報保存手段153によって再撮指示情報が記録手段31に登録され、登録されたオーダのオーダステータス101を「再撮」状態とする。これにより「実施済」ステータスである検査の「再撮」ステータスへの変更指示については、オーダ情報100の変更を禁止するための禁止手段(図示せず)を解除し、変更を可能とする。
【0061】
(処理の詳細)
図3及び図4に示したシステムにおいても、新規検査(未実施)から検査終了(実施済)までのオーダ情報100の1レコードの変化は、従来技術における過程と同様である。図5(1)のレコードは検査終了段階であり、これは図2(2)と全く同一である。しかしながら、その後、再撮が発生したときの扱いが異なる。これから、胸部正面写真が不良であると判明した場合を例に挙げてその後の手順を説明する。
【0062】
1.再撮指示情報の入力
再撮指示情報登録手段150を起動する。(以後、「構成要素」に再撮指示情報登録手段150が搭載された場合を考慮し、再撮指示情報登録手段が搭載され、それが起動された「構成要素」を「送信元」と称する。再撮指示情報登録手段150が起動すると、再撮指示情報入力画面151が送信元のディスプレイ装置80に表示される。
【0063】
このとき、ユーザID、パスワードをID・パスワード入力画面(図示せず)などを利用して入力し、再撮指示情報登録手段150の任意の確認手段(図示せず)を利用し、限定されたユーザのみ以後のステップ、すなわち再撮指示情報を実行できるように構築しても良い。このとき、ユーザの特定はユーザIDとパスワードを利用するように構築しても、ユーザIDのみを利用して判断し、次のステップに進むことが出来るように構築しても良い。
【0064】
このようにすることで、再撮指示情報をしようとするユーザを特定し、その正当性を判断し、そのユーザを再撮指示情報登録者として登録することが可能となり、限定されたユーザのみ再撮指示情報登録を可能とし、再撮指示情報登録者を明らかにし、システムのセキュリティの強化を図ることが可能となる。
【0065】
さらに、代替的にあるいはそれと併せて、再撮指示情報登録手段150が起動されたときに、再撮指示情報登録手段150に任意の装置ID確認手段(図示せず)を備えることにより、特定の装置のみから再撮指示情報の実行をできるようにすることも可能である。また、送信元端末の端末コードの入力を受けて、再撮指示情報の登録が可能であるかの判別ができるようにしても良い。
【0066】
このようにすることで、再撮が許されている端末のみからの再撮指示情報を受け付けることができ、指示登録可能な端末を限定することで、よりシステムのセキュリティの強化を図ることが可能となる。
【0067】
再撮指示情報入力画面151に検査を識別するための情報、すなわち、オーダ情報100の一部、例えばオーダ番号を入力し、この情報をキーとして放射線情報システム30に登録されている検査オーダを検索する。検索条件に合致し、更に合致したオーダのオーダステータス101が「実施済」である場合、送信元のディスプレイ装置80に、当該オーダ情報100に関する再撮指示情報入力画面に表示し、それ以外の場合は、該当検査に再撮指示情報の入力ができない旨の警告を表示する。
【0068】
このとき、検索に利用される検査を識別するための情報は、送信元の検査識別情報伝達機能(図示せず)を用いて放射線情報システム30に通知されることも可能である。
【0069】
このようにすることで、再撮指示情報登録者が検査識別情報を入力しなくても、自動的に該検査の再撮指示情報入力画面151を表示することが可能となり、入力の手間の省力化、入力間違いを防止することが可能となる。
【0070】
送信元のディスプレイ装置80では、当該オーダ情報100に関する再撮指示情報入力画面151に表示されるので、これを参考にして、再撮指示情報入力者は再撮指示情報を入力する。図6に再撮指示情報入力画面151の表示例を示す。この例の場合、再撮対象である胸部正面検査に対応するチェックボックスにチェックを入れ、さらに保存ボタンをクリックすることで、再撮指示情報が放射線情報システム30へ送信される。
【0071】
このとき、必要に応じて、再撮の理由や申し渡し事項などコメント、再撮指示情報登録者、再撮指示情報登録端末名などを入力可能とし、前記情報と共に放射線情報システム30へ送信可能とすると好都合である。この時、診断に適さないと判断された検査画像をシェーマ画像として付加し、適さないと判断した箇所にマークなどの印をつけて、前記情報と一緒に放射線情報システム30へ送信可能とするとさらに好都合である。
【0072】
このようにすることで、再撮の理由や申し渡し事項を、正確に再撮検査担当技師に伝達し、更に、再撮指示情報登録者を明らかにし、システムのセキュリティの強化を図ることが可能となる。
【0073】
なお、上記再撮指示情報入力画面151を利用せず、再撮指示情報入力が可能なようにシステムを構築しても良い。その場合、送信元となる再撮指示情報登録手段(図示せず)が再撮すべき検査、すなわち胸部正面検査を特定、登録する。登録された情報は放射線情報システム30に送信され、放射線情報システム30で再撮指示情報受信手段152及び再撮指示情報保存手段153を用いて、情報を受信、記録する。このとき、必要に応じて、再撮の理由や申し渡し事項などコメント、シェーマ、再撮指示情報登録者、再撮指示情報登録端末名などを入力可能とし、前記情報と共に放射線情報システム30へ送信可能とすると好都合である。
【0074】
このようにすることで、再撮指示情報入力画面151を利用せず、再撮すべき検査を特定し、再撮指示情報を放射線情報システム30に登録することが可能となる。
【0075】
2.再撮指示情報の登録
再撮指示情報を放射線情報システム30の再撮指示情報受信手段152が受信すると、再撮指示情報保存手段153が受信した指示内容を保存する。保存された結果が、図5(2)である。当該レコードのオーダステータス101は「再撮」状態に、ショット情報140における胸部正面検査はショットステータス141をミスショットとし、かつ、新たな未実施状態の胸部正面検査(ショット番号003)の項目が設定される。保存内容には再撮指示情報入力画面に入力した、再撮の理由や申し送り事項などのコメントやシェーマのほか、誰がいつ再撮指示を出したかを明確にするため、再撮指示情報を入力したユーザ名、再撮登録日及び送信元装置IDなどを含めることも可能である。図では、再撮指示情報登録者として実案次郎、再撮登録日時として、2011年1月31日16時00分が記録され、さらに送信元装置IDとしてPC01が記録されたことになる。
【0076】
オーダステータスが再撮に変更されると適宜、放射線情報システム30の既存機能にて検査一覧画面などにて再撮オーダを確認でき、更に、病院情報システム20などの他システムにオーダステータス101が変更されたことを通知することが可能である。
【0077】
3.再撮検査開始
診療放射線技師が登録された再撮指示情報を確認後、放射線情報システム20を操作して、再撮オーダを選択し検査開始処理を行うことで、再撮検査を開始する。検査開始処理を行うことで、該当検査のオーダステータス101は「検査中」に変更される(図5(3))。以降、検査のフローは通常時と同様である。
【0078】
4.検査完了
モダリティ40を用いて検査を行った後、放射線情報システム30にて該当検査の使用物品及び検査条件を登録し、病院情報システム20に検査実績情報を送信することで、検査の終了を知らせるとともに、会計処理等が可能となる。これも再撮でない通常の検査と同様である。
【0079】
本願発明の放射線情報システム30の再撮時の登録動作の例を下記に示す。また図7は、そのフローチャートである。これらのうち、S303,S305,S307,S309,S323,S329及びS399は必要に応じて省略可能な任意のステップである。
(1)送信元のシステムから再撮指示情報登録手段150の起動指示を受ける。(S301)なお、送信元は検査画像の確認することが可能なシステム、例えばHIS20、RIS30,検像システム50、PACS60、及びレポーティングシステム70等であり、これらに再撮指示情報登録手段150を備え付けておくものとする。
(2)送信元のシステム若しくは装置から、送信元端末コードの入力若しくは、送信元の機能からの通知を受け(S303)、送信元が再撮登録可能端末か否かを判断する(S305)。もし、送信元が再撮登録不可能な端末の場合、ステップ(16)へ飛ぶ(S399)。
(3)送信元を操作しているユーザのユーザID及びパスワードの入力、若しくは送信元の機能からの通知を受ける。(S307)
(4)さらに、ユーザID及びパスワードによりユーザの正当性を判断する(S309)。もし、正当なユーザであれば、つぎのステップへ、そうでなければステップ(16)へ飛ぶ。
(5)オーダ番号などの検査キー情報の入力を送信元に要求しその入力、若しくは送信元の機能からの通知を受ける(S311)
(6)入力されたオーダ番号などの検査キー情報を利用して検査オーダを検索する。(S313)
(7)検査オーダが放射線情報システム30に登録されているかを判断する(S315)。存在する場合は次のステップへ、しない場合はステップ(16)へ飛ぶ。
(8)該当検査オーダのオーダステータス101が「実施済」ステータスであるかを判断する(S317)。「実施済」である場合は次のステップへ、違う場合はステップ(16)へ飛ぶ。
(9)対応する検査のオーダ情報100を送信元に送信し、再撮指示情報入力画面を送信元に表示、ショット指定チェックボックスなどを利用して、ショットの入力を要求する。(S319)
(10)再撮が必要な検査のショット指定チェックボックス、さらに適宜再撮指示情報コメントや再撮登録者、送信元の装置ID、キー画像などの入力を受ける。(S321)
(11)前記情報を入力している間に他の機能やシステムによって検査オーダ情報100が修正されているかを判別する(S323)。修正されていない場合は次のステップへ、されている場合はステップ(16)へ飛ぶ。
(12)該当検査のオーダステータス101を「再撮」状態にする(S325)
(13)入力されたショットのショットステータス141を「ミスショット」に、さらにショットステータス141を「未実施」状態とした新たなショット項目を設定する。(S327)このとき、放射線情報システム30中の対象レコードは図5(2)に記載したようになる。
(14)必要に応じて、S321で入力された再撮登録者名、送信元の装置ID,再撮指示情報登録日を登録する(S329)。
(15)送信元端末の画面に、再撮指示情報内容が登録されたことを示す画面を表示して(S331)終了となる。
(16)再撮要求拒否信号を送信元端末へ送信する(S399)。送信元端末の画面に登録不可であることを示す画面(図示せず)を表示し、完了とする。
【0080】
本願発明により、再撮が必要である検査を発見したときに、その検査に対して再撮が必要であることを放射線情報システム30に登録することが可能となる。つまり、再撮が登録されたことを、検査担当技師が検査の傍ら確認することが可能となる。さらに、本発明における放射線情報システム30は、前記再撮指示を受信、登録することで、検査担当技師は、再撮が登録され、再検査を行わなくてはいけないことを知ることが可能となる。また、放射線情報システム30の既存機能にて、病院情報システム20などの他システムに該当検査に再撮が登録されたことを通知することが可能である。
【0081】
なお、「未実施」、「受付済」、「検査中」、「実施済」、「一時保存」、「実績修正」、「再撮」というオーダステータス101、「未実施」、「実施済」、「ミスショット」、「中止」というショットステータスを使用しているが、各ステータスの名称はこれらに限定されるものではなく、適宜異なる名称を使用することが可能である。
【0082】
前述した実施形態の機能を実現するべく各種の装置及びシステムを動作させるように、該各装置またはシステム内のコンピュータに対し、前記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、当該コンピュータに格納されたプログラムに従って前記各種装置及びシステムを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0083】
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0084】
本発明を前記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0085】
以上、本発明の実施例を説明した。特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想から逸脱することなく、これらに変更を施すことができることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像撮影装置(モダリティ)と放射線情報システム(RIS)とを有し、
該RISは、該モダリティを用いて検査を行うにあたり、検査に関する情報であるオーダ情報を記録する記録手段及び該記録手段に記録される該オーダ情報が設定された後に該RIS以外から入力される変更を禁止する禁止手段を有し、
さらに該RISは検査開始信号の入力を受けて当該情報を該モダリティに通知し、
該モダリティは通知された情報を元に、診療画像撮影業務がおこなわれる、診療画像撮影業務に係わるシステムにおいて、
該診療画像撮影業務に係わるシステムは、さらに再撮指示情報登録手段を有し、
該RISはさらに再撮指示情報受信手段及び再撮指示情報保存手段を有し、
該再撮指示情報登録手段から再撮指示情報が該RISに送信され、
該再撮指示情報が該RISの再撮指示情報受信手段にて受信され、
該再撮指示情報保存手段は該禁止手段の変更禁止を解除し、受信された該再撮指示情報を該記録手段に記録することにより、
該モダリティで撮影された検査画像が診断に適さないと判断され、再度の撮影が必要と
なった場合、RIS以外の装置から再撮指示情報を送信可能とするともに、再検査を行わなくてはいけない検査の存在を知ることを可能とする、診療画像撮影業務にかかわるシステム。
【請求項2】
前記オーダ情報は、検査の過程を識別するオーダステータスを含み、
オーダステータスには、少なくとも検査中を示すステータス(検査中ステータス)、検査が終了したことを示すステータス(実施済ステータス)及び再検査を必要とすることを示すステータス(再撮ステータス)の各ステータスを有し、
前記RISにおいて前記検査開始信号の入力を受けて、該オーダステータスが検査中となり、
この状態から該RISにおいて検査完了信号の入力を受けて、オーダステータスが実施済に変更され、
この状態から、該RISにおいて前記再撮指示情報受信手段にて前記再撮指示情報を受信することにより、オーダステータスが再撮に変更され、
この状態から、該RISにおいて再度の検査開始信号の入力を受けてオーダステータスが検査中となり、
この状態からRISにおいて再度の検査完了信号の入力を受けてオーダステータスが実施済となる、請求項1に記載されたシステム。
【請求項3】
前記オーダ情報は、検査基本情報と検査の詳細項目を示す少なくとも1つのショット情報とを有し、
前記オーダステータスは該検査基本情報に含まれ、
各ショット情報はショットステータスを有し、
さらに、前記再撮指示情報保存手段は、再撮再撮対象の検査詳細項目に対応するショットステータスを「ミスショット」とし、かつ、新たな未実施状態のショット情報を設定する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記再撮指示情報登録手段は、それに接続されたディスプレイ装置に、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)である再撮指示情報入力画面を表示させ、
該再撮指示情報入力画面から入力された前記オーダ情報の一部をキーとして前記RISに登録されているオーダ情報を検索し、
検索条件に合致し、更に合致したオーダ情報のオーダステータスが「実施済」である場合、該ディスプレイ装置を利用して、当該オーダ情報を該再撮指示情報入力画面に表示し、
それ以外の場合は、該当検査に再撮指示情報登録ができない旨の警告を表示する、
請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記再撮指示情報登録手段は、
ユーザID・パスワード、若しくはユーザIDのみを前記再撮指示情報登録手段に接続されたディスプレイ装置に設けられた入力画面に入力を受け、若しくは、前記再撮指示情報登録手段に備えられた機能を利用して、前記RISに前記再撮指示情報を送信し、
前記RISに備えられた確認手段を利用し、限定されたユーザのみ再撮指示情報を登録できる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記再撮指示情報登録手段は、
再撮指示情報登録手段が起動されたときに、装置ID確認手段を利用、若しくは、該再撮指示情報登録手段に備えられた端末の端末コードの入力を受けることで、
該RISに備えられた確認手段を利用し、特定の装置のみから再撮指示情報を登録できる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記再撮指示情報登録手段は、
再撮の理由、申し渡し事項、検査に適さない画像(シェーマ画像)、再撮指示情報登録者、再撮指示情報登録端末名の少なくとも1つを前記再撮指示情報と共にRISへ送信可能とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記再撮指示情報登録手段は、それに接続されたディスプレイ装置を利用して、グラフィックユーザーインタフェース(GUI)である再撮指示情報入力画面を表示させ、
該再撮指示情報入力画面に入力された再撮指示情報を前記RISに送信することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記診療画像撮影業務に係わるシステムはさらに病院情報システム(HIS)、放射線情報システム、検像システム、画像サーバ(PACS)、レポーティングシステム、データサーバ、及び他部門システムの少なくとも1つの構成要素を有し、
前記再撮指示情報登録手段が、該少なくとも1つの構成要素のうち少なくとも1つに備えられることにより、前記診療画像撮影業務に係わるシステム内の前記RIS以外の構成要素から再撮指示情報を出すことが可能である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載されたシステム。
【請求項10】
医用画像撮影装置(モダリティ)及び、
放射線情報システム(RIS)、ならびに
病院情報システム(HIS)、検像システム、画像サーバ(PACS)、レポーティングシステム、データサーバ、及び他部門システムの少なくとも1つからなるシステムまたは装置(他のシステムまたは装置群)を有し、
該RISは、該モダリティを用いて検査を行うにあたり、検査に関する情報であるオーダ情報を記録する記録手段及び該記録手段に記録される該オーダ情報が設定された後に該RIS以外から入力される変更を禁止する禁止手段を有し、
さらに該RISは検査開始信号の入力を受けて当該情報を該モダリティに通知し、
該モダリティは通知された情報を元に、診療画像撮影業務がおこなわれる、診療画像撮影業務に係わるシステムにおいて、
該他のシステムまたは装置群の少なくとも1つに再撮指示情報登録手段を有し、
該RISはさらに再撮指示情報受信手段及び再撮指示情報保存手段を有し、
該再撮指示情報登録手段から再撮指示情報が該RISに送信され、
該再撮指示情報が該RISの再撮指示情報受信手段にて受信され、
該再撮指示情報保存手段は該禁止手段の変更禁止を解除し、該記録手段に受信された該再撮指示情報を記録することにより、
該モダリティで撮影された検査画像が診断に適さないと判断され、再度の撮影が必要となった場合、該他のシステムまたは装置から再撮指示情報を送信可能とするともに、再検査を行わなくてはいけない検査の存在を知ることを可能とする、診療画像撮影業務にかかわるシステム。
【請求項11】
診療画像撮影業務がおこなわれる医用画像撮影装置(モダリティ)と、
検査オーダを記録可能である放射線情報システム(RIS)と、
該モダリティで撮影された画像を確認するディスプレイ装置を有し、
該検査オーダの1レコードには、該検査を受ける患者情報の一部である患者基本情報と、
キーになるオーダ番号及び、オーダステータスを含む検査基本情報と、
さらに少なくとも1つのショット番号、ショットステータスを記録することが可能であるショット情報とを有した、診療画像撮影業務に係わるシステムにおけるRISを動作させる方法であって、
該方法は、
該RISの外部から送信された再撮要求信号を受信し、
オーダ番号の入力を受け、
オーダ番号をキーとして検査オーダを検索し、該オーダ番号に対応する検査オーダのレコードを該ディスプレイ装置における再撮指示情報入力画面に表示し、ショット番号の入力を要求し、
再撮が必要な検査のショット番号を受け、
対応オーダ番号のオーダステータスを再撮状態にし、
入力されたショット番号のショットステータスをミスショットに、さらにショットステータスを未実施状態とした新たなショット情報を設定し、
該ディスプレイ装置に再撮指示情報が登録されたことを表示させる、ことからなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88969(P2013−88969A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227961(P2011−227961)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(399081213)インフォコム株式会社 (19)
【Fターム(参考)】