説明

再生メタノールを使用したメタクリル酸メチルの製造方法

本発明は、メタクリル酸を製造するための方法、a)イソブチレンおよび三級ブタノールから選択される少なくとも1つのC4原料化合物を含む原料組成物を供給する方法工程と、b)メタノールを供給する方法工程と、c)少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、メチルターシャリーブチルエーテルを含む反応相を得る方法工程と、d)メタノールの少なくとも第1の部分を反応相から分離して、第1のメタノール相、およびメタノールが欠乏した反応相を得る方法工程と、e)反応相、およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つを第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る方法工程と、f)イソブチレンの少なくとも第1の部分を第2の反応相から場合により分離して、第1のイソブチレン相、およびイソブチレンが欠乏した分割相を得る方法工程と、g)第1のイソブチレン相を第1の精製域に場合により供する方法工程と、h)場合により精製された第1のイソブチレン相を第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化層を得る方法工程と、i)酸化相を第2の精製域に場合により供する方法工程と、j)場合により精製された酸化相を第4の触媒反応域に供して、メタクリル酸メチルを含むエステル化相を得る方法工程と、k)エステル化相を第3の精製域に場合により供する方法工程とを含むメタクリル酸メチルを製造するための方法、メタクリル酸を製造するための装置、メタクリル酸メチルを製造するための装置、該装置で実施される方法、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含むポリマーを製造するための方法、少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エステルモノマーを含むポリマー、組成物を製造するための方法、組成物、化学製品、ならびに化学製品における少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、ポリマーおよび/または組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、メタクリル酸を製造するための方法、メタクリル酸メチルを製造するための方法、メタクリル酸を製造するための装置、メタクリル酸メチルを製造するための装置、該装置で実施される方法、該方法によって得られるメタクリル酸、該方法によって得られるメタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位を含むポリマーを製造するための方法、該方法によって得られる少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含むポリマー、少なくとも1つのメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステルおよび/またはポリマーを含む組成物を製造するための方法、組成物、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、ポリマーおよび/または組成物の少なくとも1つを含む化学製品、ならびに化学製品におけるメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル、ポリマーおよび/または組成物の少なくとも1つの使用に関する。
【0002】
メタクリル酸(MAA)およびポリメタクリル酸(PMAA)は、例えば、増粘剤、懸濁剤、凝集剤、樹脂および吸収性材料等に用途を有する重要な工業製品である。しかし、工業的に製造されるMAAの多くは、そのエステル、特にメタクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸メチル、ならびに特定の用途の特殊なエステルの製造に使用される。
【0003】
メタクリル酸メチル(MMA)は、それ自体価値ある工業製品であり、推定される現在の世界製造量は年間330万メートルトンである。それは、主に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)アクリルプラスチックの製造に使用される。PMMA材料は、高度な透明性、耐候安定性および耐引掻性を有するとともに、成形が容易であり、軽量であり、高度な破断強度を有する。それらは、なかでも、自動車および輸送システム、光学素子および通信装置、医療技術ならびに建築および照明の用途に使用される。
【0004】
他の重要な用途は、PVCの変質剤として使用されるメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)コポリマーなどのコポリマーの製造;水性塗料、例えばラテックス家庭用塗料などの塗料およびワニス;接着剤;ならびに最近、LCDコンピュータおよびTVスクリーンに光を均一に分散させるプレート、例えばフラットスクリーンおよびコンタクトレンズである。メタクリル酸メチルは、心臓の冠状動脈などの解剖臓器の防蝕注型の製造にも使用される。
【0005】
例えば、アルキルおよびアリールアルコール、ヒドロキシアルコール、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム誘導体およびアミノアルコール等の特殊なメタクリル酸エステル誘導体は、なかでも、例えば、コンタクトレンズ、塗料、薬物送達、活性物質の制御放出、接着剤、潤滑剤、流動改良剤、ポリマーブレンドの混和剤、結着剤、食品包装、ラッカー、および自動車製造のためのPVCフリーアンダーシール材に用途を有する。
【0006】
アクリロニトリルの加水分解、またはニッケルカルボニル錯体の存在下でのアセチレンと一酸化炭素とアルコールの反応に基づくものなどの、メタクリル酸メチルを製造するための様々な方法が当該技術分野で公知である。アセトンおよびシアン化水素を原料とするアセトンシアノヒドリン(ACH)法も適用される。これらの方法の短所は、ニッケルカルボニルおよびアセトンシアノヒドリンの毒性が極めて強いことである。
【0007】
好適な方法は、メタノールを用いたメタクリル酸のエステル化である。
【0008】
メタクリル酸の製造のための広く使用される工業的方法によれば、イソブチレンまたは三級ブチルアルコール(TBA)を好適な触媒上で酸化して、最初にメタクロレインとし、次いでさらにメタクリル酸にする。次いで、メタクロレインまたはメタクリル酸を、メタクロレインの場合はオキシエステル化反応で、メタノールによりエステル化して、メタクリル酸メチルを形成することができる。
【0009】
いわゆるオキシエステル化方法は、例えば、US4,060,545、US4,014,925、US3,925,463、US3,758,551、US5,670,702、US6,107,515から公知であり、プロピレン、イソブチレン、アクロレインまたはメタクロレインの酸化および酸化生成物のアクリレートまたはメタクリレートへのエステル化は、同じ反応器にて行われる。
【0010】
分解装置から直接供給されるC4部分は、とりわけ、酸化されて、所望のメタクロレイン、メタクリル酸および/またはメタクリル酸メチルから分離するのが困難である望ましくない生成物を形成し得る他の不飽和C4化合物を含むことにより、方法全体の効率を低下させるため、一般には、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸への酸化にそのまま使用するのに十分高い純度のイソブチレンを含まない。加えて、これらの他の不飽和C4化合物は、触媒を阻害して、より高頻度の再生および休止時間を必要とするか、触媒寿命を短くし得る。そのように、分解装置のC4排出物は、一般には、メタクロレイン、メタクリル酸および/またはメタクリル酸メチルへの直接酸化に好適でなく、イソブチレンは、一般には、酸化されてメタクロレインおよび/またはメタクリル酸になる前に当該C4部分から隔離されなければならない。しかし、例えば蒸留による他のC4化合物からのイソブチレンの分離は、困難であり、効率的でない。分解装置のC4部分における他の飽和および不飽和C4化合物からイソブチレンを分離するための先行技術から公知の1つの効率的な方法は、イソブチレンをメタノールと反応させて、例えばアンチノック剤として使用されるそれ自体価値あるメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を形成することである。MTBEを形成するための反応は、イソブチレンに対する選択性が高いため、他のC4化合物からの分離を容易にする。次いで、MTBEをバッククラッキング(「分割」)して、イソブチレンおよびメタノールを得る。副産物とともに主にイソブチレンおよびエタノールを与えるエチルtert−ブチルエーテル(ETBE)の分割からイソブチレンを得ることもできる。
【0011】
本発明の目的は、先行技術に伴う問題を少なくとも部分的に克服することであった。
【0012】
別の目的は、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびそのほかのエステルを、イソブチレンおよび/またはTBAを含むC4供給原料から製造するための経済的で柔軟な方法を提供することであった。
【0013】
さらなる目的は、メタクリル酸、およびメタクリル酸メチルを含むそのエステルを製造するための方法であって、製品の収率および/または品質に悪影響を与えることなく、特に資源の効率的および経済的使用を可能にするために、反応物をできるだけ多く再生することができる方法を提供することであった。
【0014】
特定の目的は、メタクリル酸メチルの製造における毒性の強い化学物質の使用を回避することであった。
【0015】
上記問題の少なくとも1つの解決への貢献は、範疇を形成する請求項の主題によってなされる。範疇を形成する請求項に従属する下位請求項は、本発明による好適な実施形態を示す。
【0016】
上記目的の解決への貢献は、
a)イソブチレンおよび三級ブタノールから選択される少なくとも1つのC4原料化合物を含む原料組成物を供給する工程と、
b)メタノールを供給する工程と、
c)少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、メチルターシャリーブチルエーテルを含む反応相を得る工程と、
d)メタノールの少なくとも第1の部分を反応相から分離して、第1のメタノール相およびメタノールが欠乏した反応相を得る工程と、
e)反応相およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つを第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る工程と、
f)イソブチレンの少なくとも第1の部分を分割相から場合により分離して、第1のイソブチレン相およびイソブチレンが欠乏した分割相を得る工程と、
g)分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つを場合により第1の精製域に供する工程と、
h)場合により精製された分割相および場合により精製された第1のイソブチレン相の少なくとも1つを第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相を得る工程と、
i)酸化相を第2の精製域に場合により供する工程と
を含む、メタクリル酸を製造するための本発明による方法によってなされる。
【0017】
上記目的の解決への貢献は、
a)イソブチレンおよび三級ブタノールから選択される少なくとも1つのC4原料化合物を含む原料組成物を供給する工程と、
b)メタノールを供給する工程と、
c)少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、メチルターシャリーブチルエーテルを含む反応相を得る工程と、
d)メタノールの少なくとも第1の部分を反応相から分離して、第1のメタノール相およびメタノールが欠乏した反応相を得る工程と、
e)反応相およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つを第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る工程と、
f)イソブチレンの少なくとも第1の部分を第2の反応相から場合により分離して、第1のイソブチレン相およびイソブチレンが欠乏した分割相を得る工程と、
g)分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つを場合により第1の精製域に供する工程と、
h)場合により精製された分割相および場合により精製された第1のイソブチレン相の少なくとも1つを第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相を得る工程と、
i)酸化相を第2の精製域に場合により供する工程と、
j)場合により精製された酸化相を第4の触媒反応域に供して、メタクリル酸メチルを含むエステル化相を得る工程と、
k)エステル化相を第3の精製域に場合により供する工程と
を含む、メタクリル酸メチルを製造するための本発明による方法によってなされる。
【0018】
本発明による方法の工程a)で供給された原料組成物に含まれるC4原料化合物、好ましくはイソブチレンは、好ましくは、分解方法、好ましくは熱または触媒分解方法から、好ましくは分解装置のC4排出物から、好ましくは水蒸気分解装置または流体触媒分解装置のC4排出物から得られる。分解装置のC4排出物は、一般には、ブタジエン、イソブチレン、1−ブテンおよび2−ブテンならびに異性体ブタンなどのオレフィンC4化合物の混合物を含む。分解装置C4排出物は、好ましくは、本発明による方法に供給される前に少なくとも1つの精製および/または分離工程に供される。例えば、分解装置のC4排出物に抽出または水素化、特に選択的抽出または水素化を施してブタジエンを除去または変換することができる。次いで、ブタジエン抽出または水素化から得られるブタジエンが欠乏した、またはブタジエンのないラフィネートを、例えば、本発明による方法における原料組成物として使用することができる。次いで、原料組成物は、好ましくは、ブタン、1−ブテン、2−ブテンなどの可変量の他のC4化合物とともにイソブチレンを含む。原料組成物は、好ましくは、原料組成物におけるC4化合物の全量に対して、少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも70質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも88質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは少なくとも92質量%、さらにより好ましくは少なくとも95質量%のイソブチレンを含む。好適な原料組成物は、好ましくは、原料組成物におけるC4化合物の全量に対して、約60質量%未満、好ましくは約50質量%未満、好ましくは約40質量%未満、さらにより好ましくは約30質量%未満、さらにより好ましくは約20質量%未満、より好ましくは約15質量%未満、より好ましくは約12質量%未満、より好ましくは約10質量%未満、さらにより好ましくは約8質量%未満、さらにより好ましくは5質量%未満の1−ブテン、2−ブテンおよびブタンなどのイソブチレン以外のC4化合物を含む。
【0019】
当該組成物を、例えば、上記ブタジエン抽出からのラフィネートとして、または可変量の他のC4化合物、主に1−ブテンおよび2−ブテンとともに主成分としてイソブチレンを含む製品、分留または蒸留の場合は好ましくは主力製品を得るために、ブタジエンが欠乏した、もしくはブタジエンのないラフィネートを分離方法、例えば、抽出、分留、蒸留、好ましくは触媒分留、触媒蒸留または反応蒸留に供した後に得ることができる。分離方法の最終製品は、主として、異性化方法、例えば、Olefins Conversion Technology(OCT)の商品名でABB Lummus Globalから入手可能なものなどの、エチレンを用いたオレフィンメタセシス方法に供することができる2−ブテンを含む。当該異性化方法は、プロピレンの供給源を提供するというさらなる利点を有する。
【0020】
TBAを原料組成物における原料化合物として含める場合は、これを商業的に入手することができ、イソブチレンおよび水、例えば、上記のイソブチレンの供給源から製造することができ、あるいはUS5424458、US5436376、US5274138、Ullmans encyclopedia,5thEdition,Vol.A4,p.492およびそれらに引用されている参考文献に記載されているヒドロペルオキシド化を介する酸化プロペンの製造から得ることができる。
【0021】
本発明による方法の工程b)において、メタノールを供給する。メタノール、すなわちこの工程における本発明による方法に最初に導入されるメタノールの少なくとも一部またはすべてをメタノールの商業的供給源から供給することができる。工程b)において供給されるメタノールの少なくとも一部またはすべてを、例えば、本発明による方法の工程d)、工程f)または工程k)における反応相から分離された少なくとも1つのメタノール相として、本発明による方法の1つ以上の方法工程から工程b)にリサイクルすることもできる。供給するメタノールの少なくとも一部を、本発明による方法の工程f)において分離しておくことが好適である。
【0022】
本発明による方法では、工程b)において、メタノールを少なくとも1つのC4原料化合物と比較してモル過剰、好ましくは化学量論的モル過剰で、好ましくは、C4原料化合物のモル数に対してメタノール:C4原料化合物のモル比を10:1〜1:1、好ましくは9:1〜1:1、より好ましくは8:1〜1:1、より好ましくは7:1〜1:1、さらにより好ましくは6:1〜1:1、より好ましくは5:1〜1:1、さらにより好ましくは4:1〜1:1、より好ましくは3:1〜1:1、より好ましくは2:1〜1:1、より好ましくは1.5:1〜1:1、より好ましくは1.3:1〜1:1、さらにより好ましくは1.1:1〜1:1、さらにより好ましくは1.05:1〜1:1、さらにより好ましくは1.03:1〜1:1で供給するのが好適である。メタノールのモル過剰は、第1の触媒反応域における少なくとも1つのC4原料化合物のMTBEへの変換率を高めるために好適である。過剰が大きくなると、MTBE−メタノール共沸混合物の形成が増大する。
【0023】
本発明による方法の工程c)において、少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、MTBEを含む反応相を得る。イソブチレンをメタノールでエステル化してMTBEを形成するための好適な触媒、温度および圧力を含む例示的な反応条件は、例えば、A.Chauvel,G.Lefevre,"Petrochemical Processes,Technical and Economic Characteristics",Vol.1,Editions Technip,Paris,1989,p.212−213ならびにUS4,665,237、US4,774,365、US4,299,999、US4,806,695、US4,906,788、US5,576,464、US4,570,026およびUS5,336,841等に記載されている。TBAをメタノールでエステル化してMTBEを形成するための好適な触媒、温度および圧力を含む例示的な反応条件は、例えば、EP1149814A1、WO04/018393A1、WO04/052809A1、US5,563,301、US5,243,091、US6,063,966、US5,856,588、US5,576,464等に記載されている。MTBEの製造に関するこれらの文献の開示内容は、参考として本明細書で援用され、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0024】
好ましくは、第1の触媒反応域からの排出物に精製および/または分離、例えば、蒸留、抽出、吸着、吸収、クロマトグラフィーまたは洗浄等の少なくとも1つ、好ましくは蒸留および抽出の少なくとも1つ、好ましくは蒸留を施す。
【0025】
本発明による方法の工程d)において、原料組成物を第1の触媒反応域に供することにより得られた反応相からメタノールの少なくとも第1の部分を分離して、第1のメタノール相およびメタノールが欠乏した反応相を得る。この工程で分離されるメタノールは、本発明による方法の工程b)において供給された過剰メタノールから少なくとも部分的に生じた未反応メタノールである。反応相に存在するメタノールは、少なくとも部分的にMTBEとの共沸混合物の形で存在することもできる。本発明によれば、反応相に含まれるメタノールの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくはすべてを工程d)において反応相から分離する。好適な分離方法は、当業者に公知であり、例えば、蒸留、吸着、吸収、抽出、例えば水抽出、膜を使用する分離、透析蒸発および相分離共沸蒸留等を含む。特に、好適な方法は、J.G.Stichlmair,J.R.Fair,"Distillation: Principles and Practice",Wiley−VCH,2001,(p.238 for azeotropic distillation)、H.Z.Kister,"Distillation Design",McGraw−Hill Professional,1st edition,1992およびH.Z.Kister,"Distillation Operation",McGraw−Hill Professional,1st edition,1990およびDE10238370、ならびにMTBEの製造に関して以上に挙げた参考文献、特にUS5,336,841、US4,665,237、US4,774,365、US4,299,999、US5,243,091に記載されている。MTBEの製造による反応相からのメタノールの分離に関するこれらの文献の開示内容は、参考として本明細書で援用され、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0026】
第1のメタノール相に精製を施して、例えば、水またはそれに含まれる他の望ましくない成分を除去することができる。好適な精製方法は、当業者に周知であり、例えば、蒸留、精留、クロマトグラフィー、洗浄、抽出、吸収、吸着および乾燥等を含む。
【0027】
本発明による方法の好適な実施形態において、第1のメタノール相におけるメタノールに対して、場合により精製された第1のメタノール相に含まれるメタノールの少なくとも一部、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくはすべてを第4の触媒反応域に供給する。
【0028】
第1のメタノール相から第4の触媒反応域に供給されるメタノールの量は、エステル化に必要なメタノールの量、および第4の触媒反応域に誘導されるメタクリル酸の量、ならびに第1のメタノール相に存在するメタノールの量に左右される。
【0029】
本発明による方法によれば、第1の触媒反応域から生じるMTBEおよび別の供給源からのMTBE、例えば市販のMTBEを混合し、混合されたMTBE相を分割のために第2の触媒反応域に供給することが可能である。第1の触媒反応域から生じるMTBEと、商業的供給源から得られるMTBEとは、互いに厳密な組成、特に不純物の組成が異なり得る。このMTBE混合は、例えば、分解装置のC4排出物およびそれらのラフィネート等の種々の供給原料ならびにMTBEのそれぞれの可用性および価格に応じて有利であり得る。
【0030】
本発明による方法において、第1の触媒反応域以外の供給源からのMTBEを第2の触媒反応域に供給する場合は、第1のメタノール相におけるメタノールの量は、メタクリル酸および/またはメタクロレインの全量を第4の触媒反応域に供する場合に、第4の触媒反応域におけるメタクリル酸および/またはメタクロレインの全量をエステル化するのに不十分であり得る。したがって、さらに、1つ以上のさらなるメタノール供給源からメタノールを供給することが必要であり得る。
【0031】
本発明による方法の工程e)において、反応相およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つ、好ましくはメタノールが欠乏した反応相、好ましくはメタノールのない反応相を第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る。MTBEの当該分割、好ましくはMTBEの触媒分割は、当該技術分野で周知であり、当業者に公知の任意の好適な手段によって起こり得る。好適な触媒および反応条件は、EP1149814A1、WO04/018393A1、WO 04/052809A1;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A4,p.488;V.Fattore,M.Massi Mauri,G.Oriani,G.Paret,Hydrocarbon Processing,August 1981,p.101−106;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A16,p.543−550;A.Chauvel,G.Lefebvre,"Petrochemical Processes,Technical and Economic Characteristics",Vol.1,Editions Technip,Paris,1989,p.213 et seq.;US5,336,841、US4,570,026およびそれらに引用されている参考文献に記載されている。これらの参考文献の開示内容は、参考として本明細書で援用され、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0032】
なかでもジメチルエーテル、tert−ブチルアルコール、メチルsec−ブチルエーテル(MSBE)および未反応MTBEなどのさらなる成分も、MTBE分割から得られる分割相に存在する。よって、本発明による方法の好適な態様において、後続の方法工程に使用する前に、分割相に分離および精製の少なくとも1つを施す。任意の方法工程f)において、分割相からのイソブチレンの少なくとも第1の部分を分離して、第1のイソブチレン相およびイソブチレンが欠乏した分割相を得るのが好適である。好適な方法は、例えば、EP1149814A1、WO04/018393A1、WO04/052809A1に記載されている。
【0033】
本発明によれば、イソブチレンの他のC4炭化水素に対する比を第1のイソブチレン相において原料組成物と比較して増加させることが好適である。イソブチレンの他のC4炭化水素に対する比が第1のイソブチレン相において原料組成物と比較して増加していることは、第1のイソブチレン相が、原料組成物と比較して、他のC4炭化水素、特に他の不飽和C4炭化水素を欠乏していることを意味する。以下に記載される本発明による方法の工程g)で場合により精製された第1のイソブチレン相は、好ましくは、場合により精製された第1のイソブチレン相における炭化水素の全質量に対して、少なくとも90質量%のイソブチレン、好ましくは少なくとも91質量%のイソブチレン、より好ましくは少なくとも92質量%のイソブチレン、より好ましくは少なくとも93質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも94質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも95質量%のイソブチレン、より好ましくは少なくとも96質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも97質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも98質量%のイソブチレン、より好ましくは少なくとも99質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも99.5質量%のイソブチレン、さらにより好ましくは少なくとも99.7質量%のイソブチレン、より好ましくは少なくとも99.9質量%のイソブチレンを含む。
【0034】
本発明による方法の工程f)のさらなる好適な態様において、工程e)で形成されたメタノールの少なくとも一部を第2のメタノール相として分割相から分離する。好適な方法は、例えば、EP1149814A1、WO04/018393およびWO04/052809A1に記載されている。第2のメタノール相を上記のように場合により精製し、本発明による方法の工程b)、c)またはj)の少なくとも1つ、好ましくは第1の触媒反応域および第4の触媒反応域の少なくとも1つに供給することができる。
【0035】
本発明による方法の工程g)において、分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つ、好ましくは第1のイソブチレン相を第1の精製域に場合により供する。好適な精製方法は、当業者に公知であり、好ましくは、蒸留、抽出、吸着、吸収、クロマトグラフィーまたは洗浄の少なくとも1つ、好ましくは蒸留および抽出の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも1つの蒸留および少なくとも1つの抽出を含む。この方法工程において、メタノールおよびMTBEの少なくとも1つを分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つ、好ましくは第1のイソブチレン相から少なくとも部分的に分離するのが好適である。分離されたメタノールを場合により精製し、少なくとも部分的に工程b)にリサイクルし、または第4の触媒反応域に供給することができる。分離されたMTBEを場合により精製し、少なくとも部分的に第2の触媒反応域にリサイクルすることができる。
【0036】
本発明による方法の工程h)において、場合により精製された分割相および場合により精製された第1のイソブチレン相の少なくとも1つを第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相を得る。したがって、本発明による方法の工程h)において、イソブチレン相の少なくとも一部に酸化を施すのが好適である。
【0037】
本発明による方法の好適な実施形態において、工程h)における酸化は、単一の酸化段階で生じる。本発明による方法が工程h)に単一の酸化段階を含む場合は、得られた酸化相は、主成分としてメタクリル酸を含むのが好適である。
【0038】
本発明による方法の別の好適な実施形態において、工程h)における酸化は、少なくとも2つの個別の酸化段階、好ましくは2つの個別の酸化段階で生じる。これらの少なくとも2つの酸化段階は、触媒反応域の同じ領域内での酸化段階であり、例えば、触媒反応域が1つ以上の反応器の形である場合は、第1の酸化段階が反応器の第1の酸化領域内であり、さらなる酸化段階が同じ反応器における第1の酸化領域の下流のさらなる酸化領域内であり、あるいは第1の酸化段階が第1の反応器内であり、さらなる酸化段階がさらなる反応器内であり得る。第1の酸化段階とさらなる酸化段階が異なる温度であること、そして好ましくは、第1の酸化段階とさらなる酸化段階が、第1の酸化段階およびさらなる酸化段階のいずれの温度とも異なる中間領域によって隔てられることが好適である。
【0039】
工程b)において、酸化が2つの個別的な酸化段階で生じる本発明による方法の実施形態において、酸化段階の1つまたは両方が気相または液相酸化段階であることが可能である。一方の酸化段階が気相酸化段階であり、他方の酸化段階が液相酸化段階であることも可能である。本発明による方法の好適な態様において、第1および第2の酸化段階は、気相酸化段階である。本発明による方法の別の好適な態様において、第1の酸化段階が気相酸化段階であり、第2の酸化段階が液相酸化段階である。第2の酸化段階が液相酸化段階である場合は、この第2の酸化段階を工程j)と一緒にして、統合液相酸化−エステル化段階とすることも可能である。
【0040】
酸化が少なくとも2つの個別の酸化段階で生じる本発明による方法の実施形態において、少なくとも2つの個別的な酸化段階の少なくとも2つの間に急冷工程を行うことが可能である。この急冷工程は、好ましくは、メタクロレインの単離を可能にする急冷工程である。この実施形態は、第2の酸化段階またはさらなる酸化段階が液相酸化段階である場合、あるいは第2の酸化段階またはさらなる酸化段階を工程j)と一緒にして統合液相酸化−エステル化段階とする場合に特に好適であり得る。この種の急冷を当業者に公知の任意の好適な方法によって実施することができる。好適な方法は、例えば、DE3441207A1およびJP60087241に記載されている。
【0041】
場合により精製された分割相または場合により精製された第1のイソブチレン、好ましくは場合により精製された第1のイソブチレン相に対して、工程h)において、酸素の供給源を添加するのが好ましく、その供給源は、限定されず、過酸化物、分子酸素または酸素濃縮もしくは酸素含有ガスなどの任意の好適な酸素(O2)供給源であり得るため、経済的理由により空気が酸素供給源として好適である。O2供給源は、ここでは、O2を含む、または遊離させる任意の化合物または組成物であると理解される。O2またはO2供給源として供給される分子酸素の量は、好ましくは約0.5〜約20モル、好ましくは、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して約1〜約10モルのO2、より好ましくは、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して約1〜約5モルのO2、より好ましくは、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して約1〜約3モルのO2、より好ましくは、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して約1〜約2モルのO2である。水および/または水蒸気を原料組成物に添加することもできる。水および/または水蒸気を原料組成物に添加する場合は、イソブチレンおよび/またはTBAのモル数に対して、約1〜約20モル、好ましくは約1〜約15モル、好ましくは約1〜約10モル、より好ましくは約1〜約8モルの水および/または水蒸気を原料組成物に添加するのが好適である。工程h)において、水および/または水蒸気を、TBAがそれに含まれる程度までイソブチレン相に添加するのは好適でない。少なくとも1つの希釈剤をイソブチレン相に添加するのがさらに好適であり、その希釈剤は、無機もしくは有機溶媒またはガス、好ましくは、反応条件下で不活性であり、好ましくは窒素、アルゴンおよび二酸化炭素から選択される少なくとも1つの希釈ガスを含むことができ、窒素ガスおよび/または二酸化炭素、好ましくは、触媒または熱燃焼装置、好ましくは触媒燃焼装置からリサイクルされた二酸化炭素が希釈ガスとして好適である。
【0042】
二段階酸化を含む本発明による方法の態様において、第1の酸化段階では、O2の供給量が、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して好ましくは約0.5〜約10モル、好ましくは約1〜約5モル、より好ましくは約1〜約3モル、より好ましくは約1〜約2モルのO2であり、水および/または水蒸気の好適な量が、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して0〜約20モル、好ましくは0〜約10モル、より好ましくは0〜約5モルのH2Oの範囲であるため、O2:イソブチレンおよび/またはTBA:水および/または水蒸気のモル比が2:1:1であるのが好適である。第2の酸化段階において、O2の供給量は、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して好ましくは約0.5〜約10モル、好ましくは約1〜約5モル、より好ましくは約1〜約3モルのO2であり、水および/または水蒸気の好適な量は、1モルのイソブチレンおよび/またはTBAに対して約1〜約20モル、好ましくは約1〜約10モル、より好ましくは約2〜約8モルのH2Oの範囲であるため、第2の酸化段階において、O2:イソブチレンおよび/またはTBA:水および/または水蒸気の好適なモル比は、イソブチレン相に含まれるイソブチレンおよび/またはTBAのモル数に対して、約2:1:2〜6の範囲、好ましくは約2:1:3〜5の範囲である。
【0043】
本発明による方法の工程h)が少なくとも2つの個別の酸化段階で行われる場合は、第1の酸化段階の主要生成物がメタクロレインであり、さらなる酸化段階の主要生成物がメタクリル酸であることが好適である。少なくとも1つの方法工程、特に高温で行われる任意の方法工程におけるメタクリル酸の処理が、好ましくは重合防止剤の存在下で行われるように、重合防止剤をメタクリル酸に添加するのが好ましい。
【0044】
触媒反応域から出る酸化相に、好ましくは急冷および/または精製の少なくとも1つを施して、メタクリル酸を単離し、未反応化合物および/またはメタクロレイン、および/または触媒反応域における1つまたは複数の反応から生じる望ましくない副産物を除去する。
【0045】
本発明による方法の工程i)において、酸化相を第2の精製域、好ましくはメタクリル酸のための精製域に供することができる。工程i)における精製を蒸留、結晶化、抽出、吸収または析出、好ましくは結晶化などによる当業者に公知の任意の好適な精製手段によって実施することができる。当該精製技術は、当該技術分野、例えば、JP01193240、JP01242547、JP01006233、DE10039025A1、US2003/0175159、DE10036881A1、EP297445A2、US6,596,901B1、US6,646,161B1、US5,248,819、US4,618,709B1およびそれらに引用されている参考文献において周知である。精製に関してこれらの開示内容を本明細書で明示的に引用し、それらは、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0046】
工程h)が少なくとも部分的に気相で実施される場合は、上記急冷工程を酸化相の精製前に実施するのが好適である。
【0047】
例えば、アクリル酸およびメタクリル酸の急冷に関するその開示内容が本明細書で援用され、本開示内容の一部を構成するOffenlegungsschrift DE2136396、EP297445A2、EP297788A2、JP01193240、JP01242547、JP01006233、US2001/0007043A1、US6,596,901B1、US4,956,493、US4,618,709B1、US5,248,819に記載されているように、急冷を当業者に公知の任意の好適な急冷方法によって実施することができる。好適な急冷剤は、水、および例えば、芳香族もしくは脂肪族炭化水素などの有機溶媒、またはそれらの少なくとも2種の混合物であり、好適な有機溶媒は、ヘプタン、トルエンまたはキシレンのように、急冷条件下で比較的低蒸気圧を有する。
【0048】
急冷工程および/または精製工程において、メタクロレインを分離するのが好適である。分離されたメタクロレインを触媒反応域にリサイクルすることができ、触媒反応域が2つ以上の酸化段階を含む場合は、分離されたメタクロレインをさらなる酸化段階、好ましくは、2つの酸化段階を含む触媒反応域の第2の酸化段階にリサイクルするのが好ましい。このように、分離されたメタクロレインにさらに酸化を施すことによって、方法全体に効率を向上させ、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルの収率を増加させることができる。
【0049】
上記工程a)からi)で製造されたメタクリル酸を少なくとも部分的に回収することができ、あるいはそれをさらなる反応または方法に誘導することができる。少なくとも1つの重合防止剤をメタクリル酸に添加するのが好ましい。本発明による方法によって得られるメタクリル酸の典型的な収率は、酸化が施された相におけるイソブチレンおよび/またはTBAに対して約50%〜約80%の範囲であり、一般には約55%〜約75%の収率が得られる。
【0050】
メタクリル酸メチルを製造するための本発明による方法の工程j)において、一般には任意であるが、場合によっては必要な急冷および/または精製酸化相を第4の触媒反応域に供して、メタクリル酸メチルを含むエステル化相を得る。
【0051】
本発明による方法による第4の触媒反応域には、第4の触媒反応域に供された酸化相の量、好ましくは第4の触媒反応域に供されたメタクリル酸および/またはメタクロレインのモル数に対して過剰量、例えば約0.5〜約10モル%、好ましくは約0.6〜約5モル%の過剰量、より好ましくは約1〜約2モル%の過剰量でメタノールも供給される。本発明によれば、メタノールは、本発明による方法の工程d)において、第1の触媒反応域から得られた反応相から分離されたメタノールであることが好適である。別の供給源からメタノールを添加することも可能であり、このメタノールと、本発明による方法の工程d)で分離されたメタノールの少なくとも一部とを混合するのが好適である。メタノールの他の可能な供給源は、本発明による他の方法工程で分離されたメタノール、例えば、工程f)または工程k)からのメタノール、ならびに商業的に得られるメタノールである。別の供給源からのメタノールの添加は、本発明による方法の工程d)で分離されたメタノールの量が、本発明による方法の工程j)における可能な限り完全なエステル化に所望される量より少ない場合に好適である。
【0052】
本発明による方法の工程j)におけるエステル化を実施する手段は、特に限定されない。例えば、アウリル酸およびメタクリル酸のエステル化に関するその開示内容が本明細書で援用され、本開示内容の一部を構成するUS6,469,292、JP1249743、EP1254887A1、US4,748,268、US4,474,981、US4,956,493またはUS4,464,229に記載されているようにエステル化を実施することができる。エステル化は、好ましくは、酸触媒によって、または酸基を含む触媒によって、好ましくは酸基を含む固体の触媒によって触媒される。例えば以上に引用されている参考文献に記載されているように、オキシエステル化も可能である。エステル化またはオキシエステル化は、好ましくは、メタクリル酸および/またはメタクリル酸メチルの重合を防止するための重合防止剤の存在下で行われる。
【0053】
メタクリル酸メチルを製造するための本発明による方法の工程k)において、エステル化相を第3の精製域に場合により供する。工程k)において、好ましくは、メタクリル酸メチルを未反応メタノールおよび/またはメタクリル酸ならびに他の不純物などの他のエステル化相成分から分離する。好適な精製方法は、当業者に公知であり、好ましくは、蒸留、結晶化、抽出、クロマトグラフィーまたは洗浄の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも1つの蒸留装置を含む。分離されたメタノールおよび/またはメタクリル酸を、場合により精製後に、他の反応工程、またはエステル化工程にリサイクルすることができる。好ましくは、メタノールを工程b)、c)、f)およびj)の少なくとも1つにリサイクルする。
【0054】
本発明による方法において、少なくとも工程h)、好ましくは、工程h)における2段階酸化の少なくとも1つ、より好ましくは両方の酸化段階が少なくとも部分的に気相で行われることが好適である。他の方法工程を少なくとも部分的に気相で行うことも可能であり、好ましくは、工程c)、e)およびj)の少なくとも1つが少なくとも部分的に気相で行われる。少なくとも1つ、またはすべての方法工程少なくとも部分的に液相で行われることも考えられる。したがって、すべての工程を少なくとも部分的に液相で行うこと、すべての工程を少なくとも部分的に気相で行うこと、あるいは少なくとも1つの工程を少なくとも部分的に液相で行い、1つまたは複数の残りの工程を少なくとも部分的に気相で行うことが可能である。工程j)を工程h)の第2の酸化段階と一緒にして酸化−エステル化工程とする場合は、酸化−エステル化工程が液相で行われ、それに応じて、第2の酸化段階も同様に液相で行われるのが好適である。
【0055】
上記目的の解決への貢献は、
i)それぞれii)と流体連通する、少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段およびメタノールの少なくとも1つの供給手段と、
ii)iii)と流体連通する、原料組成物をMTBEに少なくとも部分的に変換するための第1の触媒反応域と、
iii)iv)と流体連通する、第1の触媒反応域の排出物からメタノールを分離するための少なくとも1つの第1の分離ユニットと、
iv)v)と流体連通する混合ユニットと、
v)vi)と流体連通する、MTBEの少なくとも部分的な分割のための第2の触媒反応域と、
vi)vii)と流体連通する、第2の触媒反応域の排出物から第1のイソブチレン相を分離するための少なくとも1つの第2の分離ユニットと、
vii)第1のイソブチレン相を、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相に少なくとも部分的に酸化するための第3の触媒反応域と
を含む、メタクリル酸を製造するための装置によってなされる。
【0056】
上記目的の解決への貢献は、
i)それぞれii)と流体連通する、少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段およびメタノールの少なくとも1つの供給手段と、
ii)iii)と流体連通する、原料組成物をMTBEに少なくとも部分的に変換するための第1の触媒反応域と、
iii)iv)と流体連通する、第1の触媒反応域の排出物からメタノールを分離するための少なくとも1つの第1の分離ユニットと、
iv)v)と流体連通する混合ユニットと、
v)vi)と流体連通する、MTBEの少なくとも部分的な分割のための第2の触媒反応域と、
vi)vii)と流体連通する、第2の触媒反応域の排出物から第1のイソブチレン相を分離するための少なくとも1つの第2の分離ユニットと、
vii)viii)と流体連通する、第1のイソブチレン相を、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相に少なくとも部分的に酸化するための第3の触媒反応域と、
viii)ix)と流体連通する、酸化相の少なくとも1つの成分をエステル化するための第4の触媒反応域と、
ix)少なくとも1つの第1の分離ユニットと流体連通する、メタノール供給手段と
を含む、メタクリル酸メチルを製造するための装置によってなされる。
【0057】
「流体連通」という用語は、ここでは、液体、気体、蒸気、超臨界流体または任意の他の流体の少なくとも1つであり得る流体が、1つの領域または成分から、それが流体連通する別の領域または成分に流動できることを意味するものと理解される。
【0058】
気体の相または組成物を供給することを意図とする任意の供給手段は、好ましくは、供給される気体の露点温度を超える温度に維持される。例えば、供給手段を加熱または断熱することによって、これを達成することができる。
【0059】
少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段は、好ましくは、イソブチレンおよびTBAの少なくとも1つの少なくとも1つの供給手段である。
【0060】
各供給手段は、それぞれ少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供給するのに好適な手段、例えば、リザーバ、パイプ、ラインまたはチューブ等であり得る。特に、供給手段は、好ましくは、温度および/または圧力の上昇および/または低下に対して耐性を有する。
【0061】
良好な耐熱性および/または耐圧性は、本発明による装置内で生じる1つ以上の反応が気相反応である場合に特に好適である。また、供給手段は、原料組成物の成分のいずれとも、そして本発明による方法に関して以上に言及されている原料組成物に添加され得るさらなる1つまたは複数の成分とも反応しないのが好ましい。
【0062】
本発明による装置の好適な態様において、少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段は、分解装置、好ましくは分解装置のC4排出口と流体連通する。分解装置は、好ましくは、熱または触媒分解装置、好ましくは水蒸気分解装置または流体触媒分解装置である。少なくとも1つの精製および/または分離ユニットは、分解装置のC4排出物を少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段に誘導する前に少なくとも部分的に精製できるように、分解装置の下流に位置するのが好ましい。少なくとも1つの精製および/または分離ユニットは、抽出ユニットまたは水素化ユニット、例えば、ブタジエンを除去または変換する選択的抽出または水素化ユニットを含むことができる。少なくとも1つの精製および/または分離ユニットは、好ましくは、場合により可変量の他のC4化合物、主に1−ブテンおよび2−ブテンとともに、イソブチレンを主成分として含む生成物を分離するのに好適なユニットをさらに含む。当該ユニットは、例えば、抽出ユニット、分留ユニット、蒸留ユニット、好ましくは触媒分留ユニット、触媒蒸留ユニットまたは反応蒸留ユニットであり得る。異性化反応器が、少なくとも1つの精製および/または分離ユニット、好ましくは、Olefins Conversion Technology(OCT)の商品名でABB Lummus Globalから入手可能なものなどのオレフィンメタセシス反応器とさらに流体連通されていてよい。少なくとも1つの精製および/または分離ユニットは、好ましくは、存在すれば異性化反応器に供給される、2−ブテンを主成分として含む組成物をも分離する。当該異性化反応器は、エチレンを含むより低価な2−ブテンをプロピレンに変換すること、および1−ブテンを2−ブテンに変換することによって価値あるプロピレンの供給源を提供するというさらなる利点を有する。
【0063】
本発明による装置は、メタノールの少なくとも1つの供給手段をも含む。メタノール供給手段は、メタノールリザーバまたは再生メタノールの供給源などのメタノール供給源と流体連通し、再生メタノールの好適な供給源は、メタノールを少なくとも部分的に分離する本発明による装置の構成部分の少なくとも1つである。
【0064】
上記供給手段の各々は、原料組成物をMTBEに少なくとも部分的に変換するための第1の触媒反応域と流体連通する。イソブチレンをメタノールでエステル化してMTBEを形成するための好適な触媒、温度および圧力を含む例示的な反応器および反応条件は、当業者に公知であり、MTBEの形成のための方法の開示内容に関連して以上に示されている参考文献、例えば、A.Chauvel,G.Lefevre,"Petrochemical Processes,Technical and Economic Characteristics",Vol.1,Editions Technip,Paris,1989,p.212−213;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Volume A16,p.543−550ならびにUS4,665,237、US4,774,365、US4,299,999、US4,806,695、US4,906,788、US5,576,464、US4,570,026およびUS5,336,841等に記載されている。MTBEを形成するためのメタノールによるTBAのエステル化は、例えば、EP1149814A1、WO04/018393A1、WO04/052809A1、US5,563,301、US5,243,091、US6,063,966、US5,856,588、US5,576,464等に記載されている。MTBEの製造に関するこれらの文献の開示内容は、参考として本明細書で援用され、本発明の開示内容の一部を構成する。
【0065】
第1の触媒反応域は、好ましくは、メタノールを第1の触媒反応域の排出物から分離するための少なくとも1つの第1の分離ユニットと流体連通する。分離ユニットは、第1の触媒反応域の排出物に含まれる他の成分からメタノールを分離するための、好適かつ当業者に公知の任意の手段を含むことができる。好適な手段の例は、抽出器、晶析装置、カラム、蒸留装置、精留装置、膜、透析蒸発装置、相分離装置、吸収装置、吸着装置および洗浄装置である。
【0066】
少なくとも1つの第1の分離ユニットは、好ましくは、混合ユニットと流体連通する。混合ユニットは、MTBEのための少なくとも2つの導入口、好ましくは、第1の触媒反応域から生じるMTBEのための第1の導入口、および別の供給源からのMTBE、例えば市販のMTBEのための第2の導入口を含む。混合ユニットにおいて、第1の導入口と第2の導入口を介して流入するMTBEを混合することができる。次いで、混合されたMTBE相を第2の触媒反応域に供給することができる。
【0067】
したがって、混合ユニットは、好ましくは、MTBEを少なくとも部分的に分割するための第2の触媒反応域と流体連通する。分割ユニットおよびMTBEの分割のための好適な触媒は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A4,p.488;V.Fattore,M.Massi Mauri,G.Oriani,G.Paret,Hydrocarbon Processing,August 1981,p.101−106;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A16,p.543−550;A.Chauvel,G.Lefebvre,"Petrochemical Processes,Technical and Economic Characteristics",Vol.1,Editions Technip,Paris,1989,p.213 et seq.;US5,336,841、US4,570,026およびそれらに引用されている参考文献に記載されているように、当該技術分野で周知であり、当業者の一般的な知識の一部を構成する。
【0068】
第2の触媒反応域は、第1のイソブチレン相を第2の触媒反応域の排出物から分離するための少なくとも1つの第2の分離ユニットと流体連通する。分離ユニットは、抽出器、晶析装置、カラム、蒸留装置、精留装置、膜、透析蒸発装置および洗浄装置の少なくとも1つであり得る。
【0069】
本発明による装置において、少なくとも1つの第2の分離ユニットは、第2のメタノール相のための排出口を含むのが好適である。少なくとも1つの第2の分離ユニットは、メタノール分離ユニット、例えば、抽出器、晶析装置、カラム、蒸留装置、精留装置、膜、透析蒸発装置、吸着装置、吸収装置および洗浄装置の少なくとも1つをさらに含むことができ、またはイソブチレン相を分離するための分離ユニットでメタノールを分離することができる。
【0070】
少なくとも1つの第2の分離ユニットは、好ましくは、イソブチレン相を、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相に少なくとも部分的に酸化するための第3の触媒反応域と流体連通する。
【0071】
本発明による装置において、第3の触媒反応域は、好ましくは、少なくとも1つの酸化ユニットを含む。少なくとも1つの酸化ユニットは、好ましくは少なくとも1つの酸化触媒を含む、イソブチレンおよび/またはTBAをメタクロレインおよびメタクリル酸の少なくとも1つに酸化するのに好適な少なくとも1つの酸化ユニットであるのが好ましい。少なくとも1つの酸化ユニットは、例えば、チューブおよびシェル反応器などのマルチチューブ反応器、プレート反応器または流動床反応器であり得るが、マルチチューブ反応器、好ましくは酸化触媒が充填されたマルチチューブ反応器が好適である。当該反応器は、例えば、MAN DWE GmbH、Deggendorfer Werft(ドイツ)、または石川島播磨重工業(2007年7月1日より株式会社IHI)から商業的に入手可能であり、当業者の一般的知識の一部を構成する。
【0072】
本発明による装置の好適な実施形態において、触媒反応域は、1つの酸化領域、好ましくは1つの酸化ユニットを含むのが好適であり、この酸化領域は、少なくとも1つの触媒、好ましくは1つの触媒、好ましくはイソブチレンおよびTBAの少なくとも1つをメタクロレインおよびメタクリル酸の少なくとも1つ、好ましくはメタクリル酸に酸化することが可能な触媒を含むのが好適である。
【0073】
本発明の装置の別の好適な実施形態において、第3の触媒反応域は、少なくとも第1の酸化領域およびさらなる酸化領域、好ましくは第1の酸化領域および第2の酸化領域を含むのが好適である。第1の酸化領域およびさらなる酸化領域、好ましくは第1の酸化領域および第2の酸化領域は、単一の反応器における異なる酸化領域であり得るか、またはそれらは、それぞれの個別の反応器にそれぞれ存在することができ、すべての反応器が互いに流体連通する。触媒反応域が1つの反応器の形である実施形態において、第1の酸化段階が、好ましくは、反応器における第1の酸化領域にあり、次いでさらなる酸化段階が、同じ反応器における第1の酸化領域の下流のさらなる酸化領域にある。反応器は上記のマルチチューブ反応器であるのが好適である。この場合、少なくとも1つの酸化触媒、好ましくは少なくとも2つの酸化触媒は、好ましくは、第1の酸化段階が少なくとも1つの上流触媒層で生じ、さらなる酸化段階がその下流の少なくとも1つのさらなる触媒層で生じるように、好ましくは層状に供給されるのが好適である。同じチューブにおける触媒層は、互いに直に隣接し得る。少なくとも1つの触媒層を、少なくとも1つの中間領域、例えば、少なくとも1つの混合領域または少なくとも1つの移行領域、例えば、少なくとも1つの特定数のチューブを有する領域と異なる数のチューブを有する領域との間の移行領域によって、あるいは例えば、反応条件下で不活性である充填材または懸濁剤の層によって、少なくとも1つの他の触媒層から隔てることも可能である。第1の酸化およびさらなる酸化が気相で生じる方法において、第1の酸化領域およびさらなる酸化領域が個別の反応器に存在する場合は、すべての反応器がマルチチューブ反応器であるのが好適である。一方、少なくとも1つの反応器が液相反応器、例えば液相オキシエステル化反応器である場合は、この反応器は、好ましくは、マルチチューブ反応器でない。
【0074】
第1の酸化領域と1つまたは複数のさらなる酸化領域が異なる温度であるのが好適である。第1の酸化領域とさらなる酸化領域が、第1の酸化段階およびさらなる酸化段階のいずれの温度とも異なる温度の中間領域によって隔てられるのがさらに好適である。
【0075】
したがって、本発明による装置の好適な態様において、少なくとも1つの酸化ユニットは、少なくとも1つの酸化触媒の少なくとも1つの触媒層を含む。
【0076】
本発明による装置において、装置が、第3の触媒反応域において第1の酸化領域およびさらなる酸化領域を含む場合は、第1の酸化領域は第1の酸化触媒を含み、さらなる酸化領域はさらなる酸化触媒を含み、さらなる酸化領域は、好ましくは第2の酸化領域であり、さらなる酸化触媒は、好ましくは第2の酸化触媒であるのが好適である。第1の酸化触媒は、好ましくは、イソブチレンをメタクロレインに酸化するための触媒であり、さらなる酸化触媒、好ましくは第2の酸化触媒は、好ましくは、メタクロレインをメタクリル酸に酸化するための触媒である。第1の触媒およびさらなる触媒は、特に限定されず、好ましくは、酸化に好適な固体触媒、好ましくは混合金属酸化物触媒である。当該触媒は、例えば、その酸化触媒に関する開示内容が参考として本明細書で援用され、本発明の開示内容の一部を構成するUS2002/0198406A1、EP911313A1、US5,602,280、EP145469A2、US5,218,146、US4,365,087、US5,077,434、US5,231,226またはUS2003/0004374A1、US6,498,270B1、US5,198,579、EP1595600A1、EP1052016A2、US5,583,084およびそれらに引用されている参考文献に記載されているように、当該技術分野で周知である。第1の酸化触媒およびさらなる酸化触媒が含まれる場合は、それらは、好ましくは、上記の少なくとも1つの酸化領域に配置される。
【0077】
本発明の装置の好適な態様において、少なくとも1つのO2供給源の少なくとも1つの供給手段、好ましくは空気の少なくとも1つの供給手段、ならびに水および/または水蒸気の少なくとも1つの供給手段は、触媒反応域および供給手段の少なくとも1つと流体連通する。本発明によれば、少なくとも1つのO2供給源の少なくとも1つの供給手段ならびに水および/または水蒸気の少なくとも1つの供給手段は、それぞれ少なくとも1つのO2供給源ならびに水および/または水蒸気を触媒反応域に直接供給するのが好適である。触媒反応域が少なくとも第1の酸化領域およびさらなる酸化領域を含む場合は、該装置は、好ましくは、酸化領域毎に少なくとも1つのO2供給源の少なくとも1つの供給手段ならびに水および/または水蒸気の少なくとも1つの供給手段を含む。該装置は、窒素、アルゴン、二酸化炭素、飽和炭化水素または燃焼ガス、好ましくは窒素または二酸化炭素、好ましくは、触媒燃焼ユニット(CCU)または熱的燃焼ユニット(TCU)からリサイクルされた少なくとも二酸化炭素を含むリサイクルガスなどの希釈剤の供給手段をさらに含むことができる。
【0078】
本発明による装置が、上記のように、第1の酸化反応器および少なくとも1つのさらなる酸化反応器を含む場合は、第1の酸化反応器の後であって、少なくとも1つのさらなる酸化反応器の前に、好ましくは第1の酸化反応器と第2の酸化反応器との間に急冷ユニットを設けることが可能である。この急冷ユニットは、好ましくは、メタクロレインを単離するように機能する。第1の酸化反応器が気相反応器であり、少なくとも1つのさらなる反応器が液相反応器である場合は、第1の酸化反応器と少なくとも1つのさらなる酸化反応器との間の急冷ユニットが好適である。該装置での使用に好適な急冷ユニットは、好ましくは、例えば、急冷方法工程、特に、2つの酸化段階の間の中間急冷工程に関して以上に引用した参考文献に記載されているものである。
【0079】
本発明による装置は、場合により、第3の触媒反応域の下流にあり、それと流体連通する少なくとも1つの第2の精製ユニットを含む。メタクリル酸メチルを製造するための装置において、少なくとも1つの第2の精製ユニットは、エステル化ユニットの上流にある。少なくとも1つの第2の精製ユニットは、好ましくは、メタクリル酸の精製、好ましくは水および/またはテレフタル酸(TPA)からのメタクリル酸の分離に好適であり、好ましくは、蒸留器、晶析装置、抽出器、洗浄装置およびカラムの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの第2の精製ユニットは、少なくとも1つの晶析装置を含むのが特に好適である。少なくとも1つの第2の精製ユニットは、2つ以上の精製段階を含むことが可能である。未反応のメタクロレインをここで分離し、望まれる場合は、さらなる反応のために触媒反応域に戻すことができる。好適な精製ユニットは、メタクリル酸の精製のための方法工程に関して以上に引用した参考文献に記載されている。
【0080】
本発明による装置の好適な実施形態において、少なくとも1つの急冷ユニットが、触媒反応域と精製ユニットの間に、それらと流体連通して含められる。触媒反応域から出る酸化相に存在するメタクリル酸を急冷ユニットで凝縮させて、主な酸化生成物としてメタクリル酸を含む溶液を形成するのが好適である。未反応のメタクロレインを急冷ユニットにおいて分離し、望まれる場合は、さらなる反応のために触媒反応域に戻すこともできる。本発明による装置での使用に好適な急冷ユニットは、例えば、急冷方法工程に関して以上に引用した参考文献に記載されている。
【0081】
メタクリル酸メチルを製造するための装置において、好ましくは上記の急冷ユニットおよび精製ユニットの少なくとも1つを介する第3の触媒反応域は、好ましくは、酸化相の少なくとも1つの成分をエステル化するための第4の触媒反応域と流体連通する。
【0082】
エステル化ユニットは、特に限定されず、メタクリル酸メチルを形成するためのエステル化に好適な任意のユニットであり得る。それは、好ましくは液相エステル化に好適である。エステル化ユニットは、好ましくは、固体触媒または液体触媒などの不均質または均質触媒であってよく、好ましくは、US6,469,202、JP1249743、EP1254887A1に記載されているもの、またはAmberlyst(登録商標)(Rohm and Haas Corp.)、Dowex(登録商標)(Dow Corp.)もしくはLewertit(登録商標)(Lanxess AG)の商品名で商業的に入手可能であるものなどの酸性イオン交換樹脂、あるいは硫酸、H2SO4などの、エステル化を触媒することが可能な酸であるエステル化触媒を含む。
【0083】
本発明による第4の触媒反応域は、好ましくは、メタノール供給手段と流体連通し、メタノール供給手段は、好ましくは、少なくとも第1の分離ユニットと流体連通する。メタノール供給手段は、好ましくは、メタノールのための精製ユニットを第4の触媒反応域の下流に含む。好適な精製ユニットは、当業者に公知であり、好ましくは、蒸留装置、晶析装置、抽出器、カラムまたは洗浄装置の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも1つの蒸留装置を含む。メタノールのための精製ユニットの例が、EP1254887A1に記載されている。メタノール供給手段は、第2の分離ユニット、第1の精製ユニット、および商業的に入手されたメタノール、または例えば再生メタノール、例えば、第4の触媒反応域におけるエステル化からリサイクルされたメタノールであり得るメタノールの供給源の少なくとも1つと流体連通することもできる。
【0084】
該装置は、メタクリル酸メチルを精製するための少なくとも1つの第3の精製ユニットをエステル化ユニットの下流にさらに含むことができる。好適な精製ユニットは、当業者に公知であり、好ましくは、少なくとも1つの蒸留装置、晶析装置、抽出器、カラムまたは洗浄装置、より好ましくは少なくとも1つの蒸留装置を含む。少なくとも1つの第3の精製ユニットは、メタクリル酸メチルの少なくとも部分的な精製、および副産物、例えば、エステル化から生じる不純物、未反応メタノールおよび/または未反応メタクリル酸の少なくとも部分的な分離を可能にすべきである。未反応試薬を、場合により精製を施した後に、エステル化反応にリサイクルすることができ、または排出することができる。
【0085】
本発明による装置に含まれる各供給手段は、それぞれ所望の原料を該当する装置構成部分または領域、例えばリザーバ、パイプ、ラインまたはチューブ等に供給するのに好適な任意の手段であり得る。特に、供給手段は、好ましくは、温度および/または圧力の上昇および/または低下に対して耐性を有する。良好な耐熱性および/または耐圧性は、本発明による装置内で生じる1つ以上の反応が気相反応である場合に特に好適である。
【0086】
また、供給手段は、原料組成物の成分のいずれとも、そして本発明による方法に関して以上に言及されている原料組成物に添加され得るさらなる1つまたは複数の成分とも反応しない材料、好ましくはステンレス鋼で構成されている。
【0087】
本発明は、また、前記方法が本発明による装置で実施される、メタクリル酸の製造のための本発明による方法に関する。
【0088】
本発明は、また、本発明による方法によって得られるメタクリル酸に関する。
【0089】
本発明は、また、方法が本発明による装置で実施される、メタクリル酸メチルの製造のための本発明による方法に関する。
【0090】
本発明は、また、本発明による方法によって得られるメタクリル酸メチルに関する。
【0091】
本発明は、また、式
[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nおよびmは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数を表し、
Rは、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状炭化水素、および直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状ヘテロ原子含有炭化水素、例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、他の窒素および/または酸素含有残基、グリコール、ジオール、トリオール、ビスフェノール、脂肪酸残基からなる群から選択され、Rは、好ましくは、ブチル、特にn−ブチル、イソブチル、ヒドロキシエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチル、およびヒドロキシプロピル、好ましくは2−ヒドロキシプロピルまたは3−ヒドロキシプロピル、エチル、2−エチルヘキシル、イソデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、ベンジル、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、ステアリル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、2−tert−ブチルアミノエチル、エチルトリグリコール、テトラヒドロフルフリル、ブチルジグリコール、メトキシポリエチレングリコール−350、メトキシポリエチレングリコール500、メトキシポリエチレングリコール750、メトキシポリエチレングリコール1000、メトキシポリエチレングリコール2000、メトキシポリエチレングリコール5000、アリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ジウレタン、エトキシ化ビスフェノールA、例えば10個の酸化エチレン単位を有するエトキシ化ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、場合により例えば25個の酸化エチレン単位を有するエトキシ化C16〜C18脂肪アルコール、2−トリメチルアンモニウムエチルを表す]のメタクリル酸エステルを製造するための方法であって、
α1 請求項1〜10または19までのいずれか一項に記載の方法によりメタクリル酸を製造する工程、または
α2 請求項2〜10または21までのいずれか一項に記載の方法によりメタクリル酸メチルを製造する工程、および
α3 工程α1で得られたメタクリル酸または工程α2で得られたメタクリル酸メチルと式R(OH)mのアルコールとを反応させる工程を含む方法に関する。
【0092】
メタクリル酸エステル誘導体を、工程α3において、当業者に公知の方法、例えばエステル交換によってメタクリル酸メチルから製造することができる。あるいは、工程α3において、本発明によるメタクリル酸をそれぞれのアルコールでエステル交換することによってこれらの誘導体を製造することができる。ヒドロキシエステル誘導体のさらなる可能な製造において、本発明によるメタクリル酸を、開環反応で、対応する酸素含有環、例えば、エポキシド、特に酸化エチレンまたは酸化プロピレンと反応させる。
【0093】
本発明は、また、式
[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nおよびRは、以上に定義されている通りである]のメタクリル酸エステルに関する。好適なメタクリル酸エステルは、メタクリル酸アルキル、特に、メタクリル酸ブチル、特にメタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエステル誘導体、例えばメタクリル酸ヒドロキシエチル、好ましくはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびメタクリル酸ヒドロキシプロピル、好ましくはメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、および特殊なメタクリル酸エステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸2−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸エチルトリグリコール、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ブチルジグリコール、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール−350、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール500、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール750、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール1000、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール2000、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール5000、メタクリル酸アリル、エトキシ化(場合により例えば25モルのEOを有する)C16〜C18脂肪アルコールのメタクリル酸エステル、2−トリメチルアンモニウムメタクリル酸エチル塩化物、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール200、ジメタクリル酸ポリエチレングリコール400、ジメタクリル酸1,3−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸グリセロール、ジメタクリル酸ジウレタン、ジメタクリル酸エトキシ化ビスフェノールA、ジメタクリル酸エトキシ化(場合により例えば10のEOを有する)ビスフェノールA、トリメタクリル酸トリメチロールプロパンである。
【0094】
本発明は、さらに、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、および式
[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nおよびRは、以上に定義されている通りである]のメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーを製造するための方法であって、
A1.本発明の方法によりメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび少なくとも1つのメタクリル酸エステルの少なくとも1つを製造する工程、
A2.
A2a.工程A1で得られたメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび少なくとも1つのメタクリル酸エステルの少なくとも1つ、および
A2b.場合により、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび少なくとも1つのメタクリル酸エステルの少なくとも1つと共重合可能な少なくとも1つのコモノマーを重合する工程を含む方法に関する。
【0095】
重合は、特に限定されず、例えば、US5,292,797、US4,562,234、US5,773,505、US5,612,417、US4,952455、US4,948,668、US4,239,671に記載されているように、当業者に公知であり、好適と思われる任意の方法によって実施され得る。好適な重合方法は、重合条件下でラジカルに分解する開始剤によって開始されるラジカル重合であり、重合は、好ましくは、溶液または乳化重合、好ましくは水溶液重合である。
【0096】
メタクリル酸メチルと共重合が可能であるコモノマーの例は、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルまたはアクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルまたはメタクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルおよび他のメタクリル酸エステル、ならびに酢酸ビニルなどの酢酸エステル、スチレン、ブタジエンおよびアクリロニトリルである。少なくとも1つのコモノマーは、最も好ましくは、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーである。
【0097】
重合は、1つ以上の架橋剤の存在下でも生じ得る。本発明による好適な架橋剤は、少なくとも2つのエチレン不飽和基を1分子内に有する化合物、縮合反応、付加反応または開環反応でモノマーの官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物、少なくとも1つのエチレン不飽和基、および縮合反応、付加反応または開環反応でモノマーの官能基と反応することができる少なくとも1つの基を有する化合物、あるいは多価金属カチオンである。
【0098】
本発明は、また、本発明による方法により得られるポリマー、あるいは本発明によるメタクリル酸モノマーまたは本発明による方法によって得られるメタクリル酸モノマー、本発明によるメタクリル酸メチルモノマーまたは本発明による方法によって得られるメタクリル酸メチルモノマー、本発明によるメタクリル酸エステルまたは本発明による方法によって得られるメタクリル酸エステル、ならびに場合によりコモノマーなどの他の成分および場合により架橋剤から選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーに関する。
【0099】
本発明は、また、本発明によるメタクリル酸、本発明によるメタクリル酸メチル、本発明によるメタクリル酸エステルの少なくとも1つ、ならびにメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーから選択される少なくとも第1の成分を含む組成物を製造するための方法であって、
B1.本発明によるメタクリル酸、本発明によるメタクリル酸メチル、本発明によるメタクリル酸エステル、ならびにメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含む本発明によるポリマーから選択される少なくとも1つの第1の成分を供給する工程、
B2.B1で供給された少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つのさらなる成分とを混合する工程とを含む方法に関する。
【0100】
少なくとも1つのさらなる成分は、好ましくは、例えば置換または非置換ポリスチレン、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、多糖類、シリカおよびナノ材料から選択される天然または合成有機または無機ポリマーから選択される少なくとも1つの成分である。
【0101】
本発明は、また、本発明によるメタクリル酸、本発明によるメタクリル酸メチル、本発明によるメタクリル酸エステル、ならびにメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位、および少なくとも1つのさらなる成分を含む本発明によるポリマー、または本発明による方法により得られるポリマーから選択される少なくとも1つの第1の成分を含む組成物に関する。
【0102】
本発明による組成物において、少なくとも1つのさらなる成分は、好ましくは、組成物を製造するための方法に関して以上に記載されている少なくとも1つの成分である。
【0103】
本発明は、また、本発明によるメタクリル酸、本発明によるメタクリル酸メチル、本発明によるメタクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エステルを含む本発明によるポリマーもしくはコポリマー、ならびに本発明による組成物の少なくとも1つを含む成形品、成形材料、フィルム、シート、粒質物、複合体、発泡体、繊維、潤滑剤、接着剤、増粘剤、懸濁剤、凝集剤、樹脂、プラスチック、塗料、コンタクトレンズ、建築材料、吸収材、医薬品、活性物質の制御放出のための材料、発泡体、繊維、潤滑剤、粉末または粒子などの化学製品に関する。
【0104】
本発明は、また、成形品、成形材料、フィルム、シート、粒質物、複合体、接着剤、増粘剤、懸濁剤、凝集剤、樹脂、プラスチック、塗料、コンタクトレンズ、建築材料、吸収材、医薬品、活性物質の制御放出のための材料、発泡体、繊維、潤滑剤、粉末、粒子などの化学製品における、本発明によるメタクリル酸、本発明によるメタクリル酸メチル、本発明によるメタクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エステルを含む本発明によるポリマーもしくはコポリマー、ならびに本発明による組成物の少なくとも1つの使用に関する。
【0105】
次に、非限定的な図面および実施例を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明による装置1の好適な実施形態を概略的に示す図である。
【0107】
分解装置(不図示)からのC4部分を処理ユニット12で処理して、所望の組成物を得て、それを、供給手段2を介して第1の触媒反応域4に供給する。メタノールを、供給手段3を介して第1の触媒反応域4に供給する。触媒反応域4において、メタノールとイソブチレンを反応させて、MTBEを形成する。第1の触媒反応域4の排出物を第1の分離ユニット5に誘導し、そこでMTBEおよびメタノール相を分離する。メタノール相をメタノール供給手段11に誘導する。MTBE相を混合ユニット6に誘導し、供給手段16によって混合ユニット6に誘導される別の供給源からのMTBEと場合により混合する。混合ユニット6から出るMTBE相を第2の触媒反応域7に誘導し、そこでそれを分解して、主にイソブチレンおよびメタノールを形成する。第2の触媒反応域7の排出物を第2の分離ユニット8に誘導し、そこで第1のイソブチレン相とメタノール相を分離する。メタノール相をメタノール供給手段17に誘導し、第1のイソブチレン相を精製ユニット18に誘導し、そこで不純物ならびにさらなるメタノール相を分離することができる。さらなるメタノール相をメタノール供給手段17に誘導する。次いで、精製された第1のイソブチレン相を、中間的な任意の急冷ユニット22とともに、酸化領域14aおよび14bを含む第3の触媒反応域9に誘導する。1つ以上の酸化ユニット33(理解しやすいように不図示とする)に含まれ得る各酸化領域14a、14bに、それぞれ空気供給手段19、水蒸気供給手段20および希釈剤供給手段21によって空気、水蒸気および希釈剤を供給する。希釈剤供給手段21に、場合により燃焼ユニット34を介して、急冷ユニット23および/または精製ユニット25からのリサイクル流15からの希釈剤を場合により供給する(リサイクル流15および燃焼ユニット34は、理解しやすいように不図示とする)。第1の酸化領域14aにおいて、メタクロレインをイソブチレンの酸化による主な生成物として形成し、第2の酸化領域14bにおいて、メタクリル酸をメタクロレインの酸化の主な生成物として形成する。第3の触媒反応域9から出るメタクリル酸リッチの排出物を急冷ユニット23に誘導し、そこでメタクリル酸を水性形態に転換する。次いで、メタクリル酸相を、メタクリル酸の精製のための第3の精製ユニット25に誘導する。急冷ユニット23および精製ユニット25の一方または双方において、メタクロレインを分離することができる。
【0108】
分離したメタクロレインをメタクロレインリサイクル導管24によって、さらなる酸化反応のための第2の酸化領域14bに戻す。第3の精製ユニット25を出るメタクリル酸相を回収するか、または第4の触媒反応域10に誘導することができる。また、第1の分離ユニット5で分離され、精製ユニット31で場合により精製されたメタノール相をメタノール供給手段11によって第4の触媒反応域10に供給する。メタクリル酸とメタノールが、第4の触媒反応域10で反応して、メタクリル酸メチルを主な生成物として含むメタクリル酸メチル相を形成する。メタクリル酸メチル相を精製ユニット30で精製することができる。未反応のメタノールおよびメタクリル酸を精製ユニット30で分離することもできる。メタノールを第1の触媒反応域4、第4の触媒反応域10または第3の触媒反応域9に、場合により中間的な精製を施してリサイクルすることができる。メタクリル酸を第4の触媒反応域10に、例えば第3の精製ユニット25で場合により中間的な精製を施してリサイクルすることができる。あるいは、第4の触媒反応域10の排出物におけるメタノールおよび/またはメタクリル酸を排出させることができる。
【0109】
2段階反応域として図1に示される第3の触媒反応域を1段階酸化域と考えることも可能である。この実施形態において、精製されたイソブチレン相を、酸化領域14を含む第3の触媒反応域9に誘導する。酸化領域14において、メタクロレインを形成し、連続的にメタクリル酸に変換する。
【0110】
実施例
I)MTBEの製造(工程a)、b)およびc))
US6,657,090B2の第1表から第3表に記載の原料から出発して、その特許の手順に従った。1つまたは複数の精製工程の前に、与えられたMTBEの収率を製品流におけるMTBEの量に基づいて計算する。
【0111】
【表1】

【0112】
MTBEの純度は、14.5%のメタノールとの共沸混合物の形成により約84%である。
【0113】
II)MTBE相からのメタノールの分離(方法工程d))
J.G.Stichlmair,J.R.Fair,"Distillation:Principles and Practice",Wiley−VCH,2001,p.238から当業者に公知の方法によって、共沸混合物をメタノールとMTBEに分離した。
【0114】
【表2】

【0115】
III)MTBEの分割(工程e)、f)、g))
91.01%のMTBE、<2%のメタノール、<0.1%のTBAおよび<0.1%のH2Oからなる、上記実施例IIで得られた組成物から出発して、DE10238370A1の実施例1の手順に従った。97.5質量%のIBEN、3.05質量%のMeOH、0.05質量%のDME、0.04質量%のH2Oの組成を有する分割相を得た。
【0116】
IV)イソブチレンのメタクリル酸への2段階酸化(方法工程h))
実施例3で得られた組成物をEP0807465A1の実施例15の方法に従って、かつ条件下でメタクロレインに酸化した。以下の原料組成物を使用した(第3表)。
【0117】
【表3】

【0118】
次いで、この第1の酸化により得られた第1の酸化相に対して、O2、H2Oおよび希釈ガスを、第1の酸化反応器に供した原料組成物におけるIBENのモル数に基づいて、第4表に記載のモル量で添加した。
【0119】
次いで、この原料を第2の酸化反応器に供した。この第2の反応器において、EP1325780A1の実施例1の方法に従って、かつ条件下でメタクロレインをメタクリル酸に酸化した。
【0120】
【表4】

【0121】
第1の酸化反応器に導入されたIBENのモル数に対して収率60%のメタクリル酸を得た。
【0122】
V)メタクリル酸メチルの製造(方法工程i))
酸性イオン交換樹脂としてAmberlyst(登録商標)(Rohm&Haas Corp.)を使用することを除いてはEP1254887A1に記載されているように、酸性イオン交換樹脂が充填された固定床反応器における液相反応で1.2モルのメタノールと反応させることによって、実施例IV)で得られた1モルのメタクリル酸をメタクリル酸メチルに変換した。使用したメタノールは、所望の量を構成するために溶媒グレードのメタノールが補給された、上記実施例IIに従って分離されたメタノールであった。メタクリル酸のメタクリル酸メチルへの変換率は、メタクリル酸に対して45%であった。
【0123】
VI)メタクリル酸n−ブチルの製造
DE10301007A1の実施例2の方法に従って、上記実施例Vで得られたメタクリル酸メチルのエステル交換によりメタクリル酸n−ブチルを製造した。
【符号の説明】
【0124】
1 装置、 2 C4原料化合物供給手段、 3 メタノール供給手段、 4 第1の触媒反応域、 5 第1の分離ユニット、 6 混合ユニット、 7 第2の触媒反応域、 8 第2の分離ユニット、 9 第3の触媒反応域、 10 第4の触媒反応域、 11 メタノール供給手段、 12 処理ユニット、 13 メタノール排出口、 14 酸化領域、 14a 第1の酸化領域、 14b 第2の酸化領域、 15 希釈剤リサイクル流、 16 MTBE供給手段、 17 メタノール供給手段、 18 第2の精製ユニット、 19 空気供給手段、 20 水供給手段、 21 希釈剤供給手段、 22 中間冷却ユニット、 23 急冷ユニット、 24 メタクロレインリサイクル導管、 25 第2の精製ユニット、 26 メタクリル酸排出口、 27 メタクリル酸リサイクル、 28 メタノールリサイクル、 29 メタクリル酸メチル排出口、 30 第3の精製ユニット、 31 メタノール精製ユニット、 32 メタノール精製ユニット、 33 酸化ユニット、 34 燃焼ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸を製造するための方法であって、
a)イソブチレンおよび三級ブタノールから選択される少なくとも1つのC4原料化合物を含む原料組成物を供給する方法工程と、
b)メタノールを供給する方法工程と、
c)少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、メチルターシャリーブチルエーテルを含む反応相を得る方法工程と、
d)メタノールの少なくとも第1の部分を反応相から分離して、第1のメタノール相およびメタノールが欠乏した反応相を得る方法工程と、
e)反応相およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つを第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る方法工程と、
f)イソブチレンの少なくとも第1の部分を分割相から場合により分離して、第1のイソブチレン相およびイソブチレンが欠乏した分割相を得る方法工程と、
g)分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つを場合により第1の精製域に供する方法工程と、
h)場合により精製された分割相および場合により精製された第1のイソブチレン相の少なくとも1つを第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相を得る方法工程と、
i)酸化相を第2の精製域に場合により供する方法工程と
を含む方法。
【請求項2】
メタクリル酸メチルを製造するための方法であって、
a)イソブチレンおよび三級ブタノールから選択される少なくとも1つのC4原料化合物を含む原料組成物を供給する方法工程と、
b)メタノールを供給する方法工程と、
c)少なくとも1つのC4原料化合物およびメタノールを第1の触媒反応域に供して、メチルターシャリーブチルエーテルを含む反応相を得る方法工程と、
d)メタノールの少なくとも第1の部分を反応相から分離して、第1のメタノール相およびメタノールが欠乏した反応相を得る方法工程と、
e)反応相およびメタノールが欠乏した反応相の少なくとも1つを第2の触媒反応域に供して、イソブチレンおよびメタノールを含む分割相を得る方法工程と、
f)イソブチレンの少なくとも第1の部分を分割相から場合により分離して、第1のイソブチレン相およびイソブチレンが欠乏した分割相を得る方法工程と、
g)分割相および第1のイソブチレン相の少なくとも1つを場合により第1の精製域に供する方法工程と、
h)場合により精製された分割相および場合により精製された第1のイソブチレン相の少なくとも1つを第3の触媒反応域に供して、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相を得る方法工程と、
i)酸化相を第2の精製域に場合により供する方法工程と、
j)場合により精製された酸化相を第4の触媒反応域に供して、メタクリル酸メチルを含むエステル化相を得る方法工程と、
k)エステル化相を第3の精製域に場合により供する方法工程と
を含む方法。
【請求項3】
工程b)において、C4原料化合物のモル数に対して、メタノールのC4原料化合物に対するモル比を10対1、好ましくは9対1、より好ましくは8対1、より好ましくは7対1、さらにより好ましくは6対1、より好ましくは5対1、さらにより好ましくは4対1、より好ましくは3対1、より好ましくは2対1、より好ましくは1.5対1、さらにより好ましくは1.3対1、さらにより好ましくは1.3対1、さらにより好ましくは1.05対1、さらにより好ましくは1.03対1としてメタノールを供給する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のメタノール相の少なくとも一部を第4の触媒反応域に供給する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程f)において、第2のメタノール相を分離する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第2のメタノール相の少なくとも一部を第1の触媒反応域および第4の触媒反応域の少なくとも1つに供給する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程h)において、第1のイソブチレン相の少なくとも一部に酸化を施す、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
酸化は、少なくとも2つの個別の酸化段階で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の酸化段階の主生成物がメタクロレインであり、さらなる酸化段階の主生成物がメタクリル酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも工程h)が、少なくとも部分的に気相で行われる、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
メタクリル酸を製造するための装置(1)であって、
i)それぞれii)と流体連通する、少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段(2)およびメタノールの少なくとも1つの供給手段(3)と、
ii)iii)と流体連通する、原料組成物をMTBEに少なくとも部分的に変換するための第1の触媒反応域(4)と、
iii)iv)と流体連通する、第1の触媒反応域(4)の排出物からメタノールを分離するための少なくとも1つの第1の分離ユニット(5)と、
iv)v)と流体連通する混合ユニット(6)と、
v)vi)と流体連通する、MTBEの少なくとも部分的な分割のための第2の触媒反応域(7)と、
vi)vii)と流体連通する、第2の触媒反応域(7)の排出物から第1のイソブチレン相を分離するための少なくとも1つの第2の分離ユニット(8)と、
vii)第1のイソブチレン相を、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相に少なくとも部分的に酸化するための第3の触媒反応域(9)と
を含む装置(1)。
【請求項12】
メタクリル酸メチルを製造するための装置(1)であって、
i)それぞれii)と流体連通する、少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段(2)およびメタノールの少なくとも1つの供給手段(3)と、
ii)iii)と流体連通する、原料組成物をMTBEに少なくとも部分的に変換するための第1の触媒反応域(4)と、
iii)iv)と流体連通する、第1の触媒反応域(4)の排出物からメタノールを分離するための少なくとも1つの第1の分離ユニット(5)と、
iv)v)と流体連通する混合ユニット(6)と、
v)vi)と流体連通する、MTBEの少なくとも部分的な分割のための第2の触媒反応域(7)と、
vi)vii)と流体連通する、第2の触媒反応域(7)の排出物から第1のイソブチレン相を分離するための少なくとも1つの第2の分離ユニット(8)と、
vii)viii)と流体連通する、第1のイソブチレン相を、メタクロレインおよびメタクリル酸から選択される少なくとも1つのC4酸化生成物を含む酸化相に少なくとも部分的に酸化するための第3の触媒反応域(9)と、
viii)ix)と流体連通する、酸化相の少なくとも1つの成分をエステル化するための第4の触媒反応域(10)と、
ix)少なくとも1つの第1の分離ユニット(5)と流体連通するメタノール供給手段(11)と
を含む装置(1)。
【請求項13】
少なくとも1つのC4原料化合物の少なくとも1つの供給手段(2)が、分解装置(12)と流体連通する、請求項11または請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの第2の分離ユニット(8)が、第2のメタノール相の排出口(13)を含む、請求項11から13までのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
第3の触媒反応域(9)が、少なくとも第1の酸化領域(14a)およびさらなる酸化領域(14b)を含む、請求項11から14までのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項16】
第1の酸化領域(14a)が第1の酸化触媒を含み、さらなる酸化領域(14b)がさらなる酸化触媒を含む、請求項15に記載の装置(1)。
【請求項17】
第3の触媒反応域(9)が、少なくとも1つの酸化ユニット(33)を含む、請求項11から16までのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項18】
少なくとも1つの酸化領域(14)が、少なくとも1つの酸化触媒の少なくとも1つの触媒層を含む、請求項11から17までのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記方法が、請求項11から18までのいずれか一項に記載の装置(1)で実施される、請求項1および3から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1および3から10または19までのいずれか一項に記載の方法によって得られる、メタクリル酸。
【請求項21】
前記方法が、請求項11から18までのいずれか一項に記載の装置(1)で実施される、請求項2から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項2から10または21までのいずれか一項に記載の方法によって得られる、メタクリル酸メチル。
【請求項23】

[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nおよびmは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数を表し、
Rは、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状炭化水素、および直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状ヘテロ原子含有炭化水素からなる群から選択される]のメタクリル酸エステルを製造するための方法であって、
α1 請求項1から10または19までのいずれか一項に記載の方法によりメタクリル酸を製造する工程、または
α2 請求項2から10または21までのいずれか一項に記載の方法によりメタクリル酸メチルを製造する工程、および
α3 工程α1で得られたメタクリル酸または工程α2で得られたメタクリル酸メチルと式R(OH)mのアルコールとを反応させる工程を含む方法。
【請求項24】

[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数を表し、
Rは、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状炭化水素、および直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状ヘテロ原子含有炭化水素からなる群から選択される]のメタクリル酸エステル、または請求項23に記載の方法により得られるメタクリル酸エステル。
【請求項25】
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、または式
[CH2=C(CH3)C(=O)O]n−R
[式中、
nは、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数を表し、
Rは、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状炭化水素、および直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂肪族または芳香族環または直鎖状ヘテロ原子含有炭化水素からなる群から選択される]のメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーを製造するための方法であって、
A1.請求項1から10または19までのいずれか一項に記載の方法によるメタクリル酸、請求項2から10または21までまでのいずれか一項に記載の方法によるメタクリル酸メチルおよび請求項23に記載の方法による少なくとも1つのメタクリル酸エステルの少なくとも1つを製造する工程、
A2.
A2a.工程A1で得られたメタクリル酸メチルおよび少なくとも1つのメタクリル酸エステルの少なくとも1つ、および
A2b.場合により、メタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エステルの少なくとも1つと共重合可能な少なくとも1つのコモノマーを重合する工程を含む、方法。
【請求項26】
少なくとも1つのコモノマーが、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリル酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25または26に記載の方法により得られるポリマー、または請求項20に記載のメタクリル酸、請求項22に記載のメタクリル酸メチルおよび請求項24に記載のメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー。
【請求項28】
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、少なくとも1つのメタクリル酸エステル、ならびにメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーから選択される少なくとも第1の成分を含む組成物を製造するための方法であって、
B1.請求項20に記載のメタクリル酸、請求項22に記載のメタクリル酸メチル、請求項24に記載のメタクリル酸エステル、および請求項27に記載のポリマーから選択される少なくとも1つの第1の成分を供給する工程、
B2.B1で供給された少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つのさらなる成分とを混合する工程とを含む方法。
【請求項29】
少なくとも1つのさらなる成分が、置換または非置換ポリスチレン、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、多糖類、シリカおよびナノ材料から選択される少なくとも1つの成分である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項20に記載のメタクリル酸、請求項22に記載のメタクリル酸メチル、請求項24に記載のメタクリル酸エステル、請求項27に記載のポリマーから選択される少なくとも1つの第1の成分、ならびに少なくとも1つのさらなる成分を含む組成物、または請求項28または29に記載の方法により製造される組成物。
【請求項31】
少なくとも1つのさらなる成分が、置換または非置換ポリスチレン、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、多糖類、シリカおよびナノ材料から選択される少なくとも1つの成分である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項20に記載のメタクリル酸、請求項22に記載のメタクリル酸メチル、請求項24に記載のメタクリル酸エステル、請求項27に記載のポリマーあるいは請求項30または31に記載の組成物の少なくとも1つを含む成形品、成形材料、フィルム、シート、粒質物、複合体、接着剤、増粘剤、懸濁剤、凝集剤、樹脂、プラスチック、塗料、コンタクトレンズ、建築材料、吸収材、医薬品、活性物質の制御放出のための材料、発泡体、繊維、潤滑剤、粉末または粒子から選択される、化学製品。
【請求項33】
成形品、成形材料、フィルム、シート、粒質物、複合体、接着剤、増粘剤、懸濁剤、凝集剤、樹脂、プラスチック、塗料、コンタクトレンズ、建築材料、吸収材、医薬品、活性物質の制御放出のための材料、発泡体、繊維、潤滑剤、粉末、粒子から選択される化学製品における、請求項20に記載のメタクリル酸、請求項22に記載のメタクリル酸メチル、請求項24に記載のメタクリル酸エステル、請求項27に記載のポリマーおよび/または請求項30もしくは31に記載の組成物の少なくとも1つの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−528080(P2010−528080A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509757(P2010−509757)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052226
【国際公開番号】WO2008/145418
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】