説明

再生区間抽出方法、プログラムおよび記憶媒体、並びに再生区間抽出装置および輸送機器搭載装置

【課題】適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【解決手段】走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶ステップと、映像データを取得する映像データ取得ステップと、映像データの中から、イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定ステップと、特徴区間に基づいて、映像データから再生区間を抽出する再生区間抽出ステップと、を備え、再生区間抽出ステップは、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間が映像データに存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて再生区間を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出方法、プログラムおよび記憶媒体、並びに再生区間抽出装置および輸送機器搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両上から撮影した走行映像を編集して、ルート画像データ(ルートガイド用の映像データ)を生成し、表示部を有した端末装置に配信する情報処理装置が知られている。この情報処理装置は、走行映像である動画像データを記憶する記憶部と、動画像データ中の各区間に重要度を設定する重要度設定部(画像識別部)と、重要度に基づいて上記各区間のフレームレートを変化させて、動画像データからルート画像データを生成するデータ変換部と、ルート画像データを端末装置に送信する通信部と、を備えている。すなわち、データ変換部により、走行映像中において重要度の低い区間のフレームレートを低くすることで、ルート画像データのデータ量を削減している。また、重要度設定部は、ルートガイド上の始点、終点、信号機、交差点等を主要位置とし、これら主要位置付近の走行時に撮影した区間について、重要度を高く設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−42796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、走行映像の利用方法として、ドライブ時の走行映像を撮影し、これを自宅で再生して楽しむものがある。このような利用方法においては、撮影した走行映像をそのまま再生するのではなく、走行映像のダイジェスト(要約映像)を作成し、これを再生することが求められている。
これに対し、従来の構成を利用して走行映像中の各区間に重要度を設定し、当該重要度に基づいてダイジェストを自動作成することが考えられる。すなわち、重要度の高い区間を再生区間として抽出し、これを繋げてダイジェストを生成する。しかしながら、これでは、ルートガイド上の始点、終点、信号機、交差点等おける映像しか含まれないため、走行映像の視聴を楽しむことはできない。そこで、走行時のイベント(例えば、快走や右左折、低速走行、渋滞等)を判定し、これを考慮してダイジェストを生成することが考えられる。すなわち、走行速度や方位等の車両状態に基づいて、走行映像中から上記各イベントに該当する区間を判定し、判定した区間のうち、重要度の高いイベントに該当する区間を再生区間として抽出して、ダイジェストを生成するものである。
しかしながら、このような構成であっても、以下のような問題が発生する。例えば、低速で走行していることを示すイベント「低速走行」と、渋滞状態であることを示すイベント「渋滞」とがあるとき、イベント「渋滞」の区間が存在すると、その区間の前後に一部重複して、イベント「渋滞」により副次的に発生したイベント「低速走行」の区間が存在するケースがよくある。このようなケースにおいて、イベント「渋滞」の区間と前後のイベント「低速走行」の区間とを再生区間とすると、この一連のイベント群を長々と再生することになり、ユーザーにとって退屈な映像となってしまう。かかる場合、これらを一連のイベント群の区間として捉え、その一部を再生区間として抽出することが好適であるが、上記の構成では、このようなケースに対応した適切なダイジェスト再生を行うことができない。
【0005】
本発明は、適切なダイジェスト再生を行うことができる再生区間抽出方法、プログラムおよび記憶媒体、並びに再生区間抽出装置および輸送機器搭載装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の再生区間抽出方法は、走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出方法であって、走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶ステップと、映像データを取得する映像データ取得ステップと、映像データの中から、イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定ステップと、特徴区間に基づいて、映像データから再生区間を抽出する再生区間抽出ステップと、を備え、再生区間抽出ステップは、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間が映像データに存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて再生区間を抽出することを特徴とする。
【0007】
上記の再生区間抽出方法において、再生区間抽出ステップは、特定区間内の特徴区間については、代表特徴区間の開始点および終了点の少なくとも一方に基づいて再生区間を抽出することが好ましい。
【0008】
本発明の再生区間抽出装置は、走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出装置であって、走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶部と、映像データを取得する映像データ取得部と、映像データの中から、イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定部と、特徴区間に基づいて、再生区間を抽出する再生区間抽出部と、を備え、再生区間抽出部は、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間が存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて再生区間を抽出することを特徴とする。
【0009】
本発明の輸送機器搭載装置は、走行映像を撮影して、当該走行映像を記録した映像データを生成する映像撮影手段と、生成した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出手段と、を備え、再生区間抽出手段は、走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶部と、映像データの中から、イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定部と、特徴区間に基づいて、再生区間を抽出する再生区間抽出部と、を有し、再生区間抽出部は、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間が存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて再生区間を抽出することを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間をまとめて特定区間とする。すなわち、当該2以上の特徴区間を一連のイベント群の区間として扱い、そのうち、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間(代表特徴区間)のみに基づいて再生区間を抽出することで、一連のイベント群が生じたケースに対応した、適切なダイジェスト再生を行うことができる。特に、副次的に発生したイベントを無視して、再生区間を抽出することができるので、退屈な映像になることを防止することができる。なお、「少なくとも一部」が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間とは、「一部」が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間であっても良いし、「全部」が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間であっても良い。ひいては、一方の特徴区間の終了点と他方の特徴区間の開始点とが一致し、開始点および終了点のみが重なる2以上の特徴区間(すなわち、連続する2以上の特徴区間)の和集合の区間であっても良い。
【0011】
上記の再生区間抽出方法において、再生区間抽出ステップは、特定区間内の特徴区間については、代表特徴区間の開始点から所定時間T1経過した時点を、再生区間の終了点として抽出することが好ましい。
【0012】
上記の再生区間抽出方法において、再生区間抽出ステップは、特定区間内の特徴区間については、代表特徴区間の開始点から所定時間T2溯った時点を、再生区間の開始点として抽出することが好ましい。
【0013】
2以上の特徴区間を一連のイベント群の区間として扱うため、代表特徴区間のみを再生区間とするよりも、開始点を前後(オフセット)し、他の特徴区間も含めて再生した方が、適切なケースがある。
上記の構成によれば、再生区間の開始点または終了点を、上記代表特徴区間の開始点から所定時間T1、T2前後させることで、このようなケースに対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0014】
上記の再生区間抽出方法において、イベントは、所定走行距離D1内における平均速度が所定速度V1以下であることを示すイベント「渋滞」と、所定速度V2未満で所定走行距離D2以上走行していることを示すイベント「低速走行」と、を含み、イベント「渋滞」は、イベント「低速走行」より優先度が高いことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、イベント「渋滞」とイベント「低速走行」との特徴区間が少なくとも一部が重なって発生し、一連のイベント群の区間として扱われた場合に、イベント「渋滞」により副次的に発生したイベント「低速走行」を無視して再生区間を抽出するため、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0016】
また、イベントは、所定時間T3内における走行速度の変化量がV3(V3>0km/h)以上であることを示すイベント「急加速」と、所定時間T3内における走行速度の変化量がV4(V4<0km/h)以下であることを示すイベント「急減速」と、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」と、を含み、イベント「急加速」およびイベント「急減速」は、イベント「停止」より優先度が高いことが好ましい。
【0017】
急加速や急減速する場合には、急加速や急減速の前後が停止状態であるケースがよくある。
上記の構成によれば、当該ケースにおいて、イベント「急加速」または「急減速」とイベント「停止」との特徴区間を、一連のイベント群の区間として扱い、当該ケースに対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0018】
さらに、イベントは、所定の操作が行われたことを示すイベント「ユーザー操作」を含み、イベント「ユーザー操作」は、他の全てのイベントより優先度が高いことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、所定の操作により、ユーザーが優先的に再生する区間を指定することができるため、ユーザーの趣向に合わせたダイジェスト再生を行うことができる。
【0020】
一方、イベントは、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」を含み、再生区間抽出ステップでは、特定区間に、イベント「停止」に該当する特徴区間が含まれている場合、再生区間から、当該特徴区間を除外することが好ましい。
【0021】
イベント「停止」時には、これが生じている区間を再生しても、映像に変化がなく好適とは言い難い。
上記の構成によれば、イベント「停止」に該当する特徴区間を再生区間から除外することで、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。なお、特定のイベントの特徴区間を再生区間から除外する構成であれば、イベント「停止」の特徴区間を再生区間から除外するものに限らず、例えば、後述のイベント「急減速」の特徴区間を再生区間から除外するものであっても良い。
【0022】
また、イベントは、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」を含み、再生区間抽出ステップでは、イベント「停止」に該当する特徴区間が特定区間に含まれない場合であって、当該イベント「停止」に該当する特徴区間に基づいて、映像データから再生区間を抽出する場合、当該特徴区間の直前の所定長さ区間および直後の所定長さ区間のいずれか一方を、再生区間として抽出することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、イベント「停止」に該当する特徴区間の直前、直後の区間を再生することができるため、イベント「停止」に対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0024】
さらに、イベントは、所定時間T3内における走行速度の変化量がV4(V4<0km/h)以下であることを示すイベント「急減速」を含み、再生区間抽出ステップでは、イベント「急減速」に該当する特徴区間が特定区間に含まれない場合であって、当該イベント「急減速」に該当する特徴区間に基づいて、映像データから再生区間を抽出する場合、当該特徴区間の直前の所定長さ区間および直後の所定長さ区間のいずれか一方を、再生区間として抽出することが好ましい。
【0025】
イベント「急減速」時には、これが生じている区間を再生しても、その大部分の映像に変化がなく好適とは言い難い。すなわち、イベント「急減速」時には、その前後の区間の方を再生することが好適である。
上記の構成によれば、イベント「急減速」に該当する特徴区間の直前、直後の区間を再生することができるため、イベント「急減速」に対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0026】
上記の再生区間抽出方法において、映像データと同期して、走行映像を撮影した輸送機器の単位時間毎の状態を示す輸送機器情報を取得する輸送機器情報取得ステップを、更に備え、特徴区間特定ステップでは、取得した輸送機器情報に基づいて、特徴区間を特定することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、輸送機器情報を用いて、特徴区間を特定するため、イベントに該当する特徴区間を精度良く特定することができる。なお、「輸送機器」とは、乗り物全般を含む概念であり、例えば、車両、船舶、航空機等を含む概念である。
【0028】
また、映像データを解析して、映像中に含まれた各イベントに関連する関連情報を、当該関連情報が得られた撮影時点の時刻情報と共に取得する情報取得ステップを、更に備え、特徴区間特定ステップでは、取得した関連情報および時刻情報に基づいて、特徴区間を特定することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、映像データを解析して得られた情報を用いて、特徴区間を特定するため、特段のセンサー類を必要とせず、簡単な構成で特徴区間を特定することができる。
【0030】
上記の再生区間抽出方法において、再生区間抽出ステップでは、1再生区間あたり、最大再生時間T4を上限として、再生区間を抽出することが好ましい。
【0031】
また、再生区間抽出ステップでは、1再生区間あたり、最小再生時間T5を下限として、再生区間を抽出することが好ましい。
【0032】
1再生区間は、長すぎても短すぎても適切ではない。具体的には、1再生区間が長すぎると、映像変化が小さすぎて退屈な映像になるし、1再生区間が短すぎると、映像変化が大きすぎて頻繁に映像が切り替わり、ドライブ内容が把握できない。
上記の構成によれば、最大再生区間や最小再生区間を設け、これを上限、下限として、再生区間を抽出するため、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0033】
一方、再生区間抽出ステップでは、隣り合う2つの特徴区間の間隔区間が所定の最大時間T6を超える場合、当該間隔区間の一部を再生区間として抽出することが好ましい。
【0034】
隣り合う特徴区間の間隔が長すぎると、再生区間の間隔も長くなってしまい、結果、撮影時刻が隔絶する。そのため、内容が飛びすぎる印象を与えてしまい、好適でない。
これに対し、上記の構成によれば、所定の最大時間を超える間隔区間の一部を再生区間として抽出することで、内容が補足され、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0035】
上記の再生区間抽出方法において、特徴区間特定ステップでは、隣り合う2つの特徴区間の間隔区間が所定の最小時間T7未満である場合、連続する区間であると判断することが好ましい。
【0036】
特定した特徴区間の間隔区間が極小さい場合、特徴区間の誤特定等によって、本来、連続する区間にもかかわらず、2つの特徴区間に分割されて特定されている場合がある。
上記の構成によれば、間隔区間が所定の最小時間未満である場合に、連続する区間であると判断することで、これに対応することができる。
【0037】
上記の再生区間抽出方法において、通常モードと、通常モードに対し、イベントを、特定のイベントに限定した1以上の特殊モードとの間で、再生モードを設定するモード設定ステップを、更に備え、再生区間抽出ステップでは、設定した再生モードに基づいて、再生区間を抽出することが好ましい。
【0038】
この構成によれば、設定により、特定のイベントのみを再生する特殊モードによって、ダイジェスト再生を行うことができるため、ユーザーの趣向に合わせたダイジェスト再生を行うことができる。なお、イベント記憶部が、再生モード毎に異なる優先情報を記憶する構成であっても良い。かかる場合、再生モードによって、優先度を変更することができ、よりユーザーの趣向に合わせたダイジェスト再生を行うことができる。
【0039】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の再生区間抽出方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0040】
本発明の記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能であることを特徴とする。
【0041】
これらの構成によれば、コンピューターに本プログラムを搭載するだけで、上記の再生区間抽出方法を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ダイジェスト作成システムを示したシステム構成図である。
【図2】ダイジェスト作成システムを示した機能ブロック図である。
【図3】車両情報リスト、イベントリストおよび優先度リストを示した図である。
【図4】ダイジェストの表示画面を示した図である。
【図5】ダイジェスト作成動作を示したフローチャートである。
【図6】個別処理を示したフローチャートである。
【図7】各パターンにおける再生区間抽出処理を例示した図である。
【図8】再生区間抽出処理の変形例を例示した図である。
【図9】再生モード毎の優先順位リストを示した図である。
【図10】変形例のカーナビゲーションシステムを示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態に係る再生区間抽出方法、プログラムおよび記憶媒体、並びに再生区間抽出装置および輸送機器搭載装置について説明する。実施形態では、再生区間抽出装置であるダイジェスト作成装置と、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムと、から成るダイジェスト作成システムを例示する。
【0044】
図1に示すように、ダイジェスト作成システムSYは、走行映像のダイジェストA1を作成するダイジェスト作成装置(再生区間抽出装置)1と、車両(輸送機器)に搭載され、誘導案内を行うと共に走行映像を撮影するカーナビゲーションシステム(輸送機器搭載装置)2と、を備えている。カーナビゲーションシステム2で撮影した走行映像の映像データ等は、メモリーカードMを介して、ダイジェスト作成装置1に入力される。
【0045】
ダイジェスト作成装置1としては、キーボード71、マウス72、ディスプレイ73および制御部74等を有するパーソナルコンピューター(コンピューター)を利用可能である。つまり、CD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクに格納されているダイジェストA1作成用のPCアプリケーションをパーソナルコンピューターにインストールすることによって、本実施形態のダイジェスト作成装置1として機能させることができる。制御部74は、CPU(Central Processing Unit)75、ROM(Read Only Memory)76、RAM(Random Access Memory)77およびHDD(Hard Disk Drive)78を有している。また、ダイジェスト作成装置1は、メモリーカードドライブ79を有し、カーナビゲーションシステム2からのデータを、メモリーカードMを介して取得可能に構成されている。
【0046】
カーナビゲーションシステム2は、車両のバックミラーに前方向きに取り付けられた車載カメラ(映像撮影手段)11と、車両の内部または外部に取り付けられた音声マイク12と、車載カメラ11および音声マイク12に接続されたナビゲーション端末装置13と、を備えている。車載カメラ11は、車両の進行方向前方の映像(走行映像)を撮影する。音声マイク12は、車両内部または外部の音声を録音する。
【0047】
ナビゲーション端末装置13は、GPS(Global Positioning System)受信機21、アンテナ22、自律航法ユニット23、ディスプレイ24、操作部25、メモリーカードドライブ26、制御部27および接続バス28を備えている。
【0048】
GPS受信機21は、アンテナ22を介してGPS情報(位置情報および時刻情報を含む)を受信する。自律航法ユニット23は、速度センサー、走行距離センサー、ジャイロセンサー、加速度センサー等を有し、車両の各種センシングを行う。また、自律航法ユニット23は、GPS受信機21との組み合わせにより、車両の現在位置を特定するために利用されると共に、車両の走行速度、走行距離、方位等の検出に利用される。なお、速度センサーおよび走行距離センサーは、車両から得られた車速パルスに基づいて、走行速度、走行距離を検出する。
【0049】
ディスプレイ24は、地図・道路情報に基づく誘導案内情報(ナビゲーション情報)を表示する。操作部25は、必要に応じて各種操作を行うためのものであり、各種ボタン群を有している。なお、ディスプレイ24に操作画面を表示させ、ディスプレイ24に重畳配置したタッチパネルを用いて、操作を行う構成であっても良い。メモリーカードドライブ26は、記憶媒体であるメモリーカードMにデータ書込みを行う。なお、本実施形態においては、メモリーカードMを用いて、ダイジェスト作成装置1へのデータ入力を行う構成であるが、他の記憶媒体を用いても良いし、無線通信を介してダイジェスト作成装置1にデータ入力を行う構成であっても良い。
【0050】
制御部27は、CPU31、ROM32、RAM33およびフラッシュROM34から成る。CPU31は、中央処理装置であり、各種演算処理を行う。なお、特に図示しないが、CPU31は、現在時刻を計時するタイマを有している。ROM32は、CPU31が各種演算処理を行うための制御プログラムを記憶し、RAM33は、CPU31が各種演算処理を行う際のワークエリアとして用いられる。フラッシュROM34は、地図データベースおよび登録データベースを含んでいる。地図データベースは、地図上の各道路、各交差点、各施設等の位置、形状、種別の情報である地図・道路情報(いわゆる道路地図のデータ)と各施設の案内情報とを記憶する。一方、登録データベースは、地点登録された地点登録情報や各種設定・登録情報を記憶する。また、フラッシュROM34は、車載カメラ11が撮影した映像データと、音声マイク12が録音した録音データと、自律航法ユニット23等により検出した車両情報と、を記憶する。なお、地図・道路情報は、車両位置が道路上になるように合わせ込むマップマッチングにも利用される。
【0051】
ここで図2を参照して、ダイジェスト作成システムSYの機能構成について説明する。図2は、ダイジェスト作成システムSYを示した機能ブロック図である。図2に示すように、カーナビゲーションシステム2は、走行映像取得部41、音声取得部42、車両情報取得部43、データ記憶部44およびデータ出力部45を備えている。
【0052】
走行映像取得部41は、車載カメラ11を主要部とし、ドライブ中の走行映像(車両上から見える風景の映像)を撮影して、当該走行映像を記録した映像データを取得(生成)する。音声取得部42は、音声マイク12を主要部とし、ドライブ中の音声を録音して、当該音声を記録した音声データを取得(生成)する。
【0053】
車両情報取得部43は、GPS受信機21および自律航法ユニット23を主要部とし、走行映像を撮影した車両の車両情報(輸送機器情報)を取得する。厳密には、映像データおよび音声データと同期して、1秒毎の車両の状態を車両情報として取得する。ここで取得する車両情報しては、車両の位置情報(緯度および経度)、走行距離、走行速度、方位(車両の向き)、傾斜度および加速度センサーの測定値等がある。
【0054】
データ記憶部44は、フラッシュROM34を主要部とし、映像データ記憶部51、音声データ記憶部52および車両情報記憶部53を有している。映像データ記憶部51は、走行映像取得部41により取得した映像データを、ドライブ毎に記憶する。すなわち、映像データ記憶部51は、各回のドライブに割り当てられたドライブIDに対応付けて、映像データを記憶し、また、映像データを、その走行映像の撮影日時を共に記憶する。
【0055】
音声データ記憶部52は、音声取得部42により取得した音声データを、ドライブ毎に記憶する。すなわち、上記ドライブIDに対応付けて、音声データを記憶し、また、音声データを、その音声の録音日時を共に記憶する。
【0056】
図3(a)は、車両情報記憶部53により記憶した車両情報リストである。図3(a)に示すように、車両情報記憶部53は、車両情報取得部43により取得した車両情報を、1秒毎で記憶する。すなわち、1秒単位の各取得時刻における、車両の位置情報(緯度および経度)、走行距離、走行速度、方位(車両の向き)、傾斜度および加速度センサーの測定値を記憶する。そのほか、車両情報として、バック情報(バックの有無)、停止の有無、目的地・立ち寄り地付近であるか否か、道路種別変化点であるか否か、SA(Service Area)/PA(Parking Area)/JCT(junction)などの高速道路施設付近であるか否か、ガソリンスタンド、コンビニなどの店舗付近であるか否か、ひいては、優先的に再生する区間を指定するための所定のユーザー操作の有無等の情報を記憶する。なお、ここにいう所定のユーザー操作(所定の操作)は、例えば、指定したい区間の開始点と終了点とで、特定のボタンを2回押す操作であり、例えば、指定したい区間の間、特定のボタンを押し続ける操作である。
【0057】
データ出力部45は、メモリーカードドライブ26を主要部とし、データ記憶部44に記憶した映像データ、音声データおよび車両情報をメモリーカードMに書き込んで、これらのデータを出力する。
【0058】
図2に示すように、ダイジェスト作成装置1は、走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出し、これを繋げてダイジェスト再生を行うものであり、データ入力部(映像データ取得部)61、データ記憶部(イベント記憶部)67、特徴区間特定部62、再生区間抽出部64、ダイジェスト作成部66および映像音声再生部65を備えている。データ入力部61は、メモリーカードドライブ79を主要部とし、メモリーカードMから映像データ、音声データおよび車両情報を読み出して(取得して)、これらのデータをダイジェスト作成装置1に入力する。
【0059】
データ記憶部67は、走行時における各イベントのイベントリストと、各イベントの優先順位を示した優先順位リスト(優先情報)と、を記憶している。図3(b)は、イベントリストを示した図である。図3(b)に示すように、イベントは、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」と、所定走行距離D1(D1=50m)内における方位の変化量が、方位角45°以上であることを示すイベント「左折」と、所定走行距離D2(例えばD2=50m)内における方位の変化量が、方位角−45°以下であることを示すイベント「右折」と、1秒間における走行速度の変化量が5km/h以上であることを示すイベント「急加速」と、1秒間における走行速度の変化量が−5km/h以下であることを示すイベント「急減速」と、車両の傾斜度が2°以上であることを示すイベント「上り坂」と、車両の傾斜度が−2°以下であることを示すイベント「下り坂」と、50km/h以上で走行距離2km以上走行したことを示すイベント「快走」と、30km/h未満で1km以上走行していることを示すイベント「低速走行」と、500m区間の平均速度が10k/m以下であることを示すイベント「渋滞」と、車両がバックしたことを示すイベント「後退」と、を含んでいる。
【0060】
また、イベントは、このほか、イベント「衝撃検知」、「目的地・立ち寄り地付近」、「道路種別変化点」、「オフロード」、「高速道路施設」、「ワインディング」および「リルート実行」と、上記所定のユーザー操作が行われたことを示すイベント「ユーザー操作」と、を含んでいる。
【0061】
図3(c)は、優先度リストを示した図である。図3(c)に示すように、各イベントの優先順位は、優先順位の高い順から、イベント「ユーザー操作」、「衝撃検知」、「目的地・立ち寄り地付近」、「左折」、「右折」、「道路種別変化点」、「オフロード」、「高速道路施設」、「上り坂」、「下り坂」、「ワインディング」、「急加速」、「急減速」、「快走」、「渋滞」、「低速走行」、「リルート実行」、「後退」、「停止」となっている。
【0062】
特徴区間特定部62は、制御部74を主要部とし、映像データの中から、各イベントに該当する区間である特徴区間を特定する。厳密には、特徴区間特定部62は、イベントリストを参照し、ドライブ中の各取得時刻における車両情報に基づいて、これら各イベントに該当する特徴区間を特定する。
【0063】
優先度設定部63は、制御部74を主要部とし、各特定区間の優先度を設定する。優先度設定部63は、優先順位リストを参照し、これに基づいて、特定した各特徴区間の優先度を設定する。
【0064】
再生区間抽出部64は、制御部74を主要部とし、特定した特徴区間に基づいて、映像データから再生区間を抽出する。かかる際、音声データにおいても、再生区間を抽出する。詳細は後述するが、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の組においては、その組のうちの、最も優先度が高い特徴区間(代表特徴区間)に基づいて、再生区間が抽出される。
【0065】
ダイジェスト作成部66は、抽出した抽出区間の映像データおよび音声データを、時系列的に繋げてダイジェストA1を作成する。なお、映像データと音声データとは、同期付けて、ダイジェストA1が作成される。
【0066】
映像音声再生部65は、ディスプレイ73を主要部とし、作成したダイジェストA1を再生する(ダイジェスト再生)。ここで図4を参照して、ダイジェストA1の表示画面について説明する。図4に示すように、当該表示画面では、ダイジェストA1と共に、ダイジェストA1と同期した地図画面A2を表示する。地図画面A2では、地図81と、地図81上に表示したドライブ中の車両の走行経路82と、ダイジェストA1と同期した位置に移動する車両アイコン83と、ドライブ中に発生した各イベントに対応するイベントアイコン84と、を有している。イベントアイコン84は、イベントの発生地点付近に配設され、これをクリックすることで、当該イベント時の走行映像を表示可能であることが好ましい。そして、ダイジェストA1の映像データおよび音声データと、地図画面A2の映像データとをディスプレイ73に出力することで、各データをディスプレイ73上で再生する。なお、表示画面に、ダイジェストA1のみを表示する構成であっても良い。
【0067】
次に図5を参照して、ダイジェスト作成装置1のダイジェスト作成動作について説明する。本動作は、カーナビゲーションシステム2上で、ドライブ中の映像データ、音声データおよび車両情報が記録され(輸送機器情報取得ステップ)、その各種データを記憶したメモリーカードMが、ダイジェスト作成装置1に導入された状態で行われるものとする。また、データ記憶部67は、予めイベントリストおよび優先順位リストを記憶し(イベント記憶ステップ)、その状態で本動作が行われるものとする。さらに、ドライブIDに基づき、各回のドライブ毎に行われる。
【0068】
図5に示すように、まず、データ入力部61により、メモリーカードMから映像データ、音声データおよび車両情報を読み出し、これらのデータをダイジェスト作成装置1に入力する(S1:映像データ取得ステップ)。これらのデータが入力されたら、特徴区間特定部62により、ドライブ中の各取得時刻における車両情報を参照して、ドライブ中の各イベントに該当する区間を特徴区間として特定する(S2:特徴区間特定ステップ)。例えば、12時24分15秒の走行速度と、12時24分16秒の走行速度とで、7km/hの変化量を有する場合、1秒間における走行速度の変化量が5km/h以上であることを示すイベント「急加速」であると判断する。このように、ドライブ中の各区間が各イベントに該当するか否かを判断し、各イベントの特徴区間を特定する。
【0069】
各特徴区間が特定されたら、優先度設定部63により、上記優先度リストの優先順位に従って、特定した各特徴区間に対し優先度を設定する(S3)。優先度を設定したら、再生区間抽出部64により、特徴区間に基づいて、映像データからの再生区間抽出処理を行う(S4)。
【0070】
再生区間抽出処理では、設定された優先度の順に各特徴区間を対象とし、以下の個別処理を実行する。図6は、この個別処理を示したフローチャートである。図6に示すように、まず、対象の特徴区間が、他の特徴区間と一部または全部が重なるか否かを判定する(S11)。他の特徴区間と重なる場合(S11:Yes)には、今度は、重なる他の特徴区間の中に、対象の特徴区間より優先度が高いものがあるか否かを判定する(S12)。優先度が高いものがある場合(S12:Yes)には、本対象への個別処理をキャンセルし、次の対象への個別処理に移行する。
【0071】
一方、対象の特徴区間が他の特徴区間と重ならない場合(S11:No)や、重なる他の特徴区間の中に対象の特徴区間より優先度が高いものが無い場合(S12:No)には、対象の特徴区間がイベント「停止」の特徴区間であるか否かを判定する(S13)。イベント「停止」の特徴区間である場合(S13:Yes)には、対象の特徴区間の、直前の所定長さ区間(例えば、5秒)を、映像データおよび音声データから再生区間として抽出する(S14)(図7(a)参照)。
【0072】
一方、対象の特徴区間がイベント「停止」の特徴区間でない場合(S13:No)には、対象の特徴区間が、1再生区間あたりの最大再生時間である所定の最大再生時間(例えば、10秒)以下であるか否かを判定する(S15)。所定の最大再生時間を越える場合(S15:No)には、その超過分だけ特徴区間をカット(削除)した区間を、映像データおよび音声データから再生区間として抽出する(S16)。すなわち、この最大再生時間を上限として、再生区間が抽出される。
【0073】
一方、対象の特徴区間が、最大再生時間以下である場合(S15:Yes)には、対象の特徴区間が、1再生区間あたりの最小再生時間である所定の最小再生時間(例えば、5秒)以上であるか否かを判定する(S17)。最小再生時間未満である場合(S17:No)には、その不足分だけ、特徴区間を拡張した区間を、映像データおよび音声データから再生区間として抽出する(S18)。すなわち、この最小再生時間を下限として、再生区間が抽出される。なお、カットおよび拡張の仕方は、前後いずれか一方を拡張するものであっても良いし、前後両方を均等に拡張するものであっても良い。
【0074】
一方、対象の特徴区間が、最小再生時間以下である場合(S17:Yes)には、当該特徴区間を、映像データおよび音声データから再生区間として抽出する(S19)。すなわち、特徴区間の開始点および終了点を、再生区間の開始点および終了点とする。
【0075】
このような個別処理を各特徴区間に行うことによって、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間の和集合の区間である特定区間が存在する場合、当該特定区間においては、最も優先度の高い特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて再生区間を抽出する構成となっている。例えば、図7(b)に示すように、イベント「渋滞」の特徴区間の前後に一部重複して、イベント「低速走行」の特徴区間が存在するパターンがある。かかるパターンの場合、最も優先度の高いイベント「渋滞」の特徴区間(代表特徴区間)を対象とした個別処理では、当該特徴区間を再生区間として抽出する。一方、イベント「低速走行」の特徴区間を対象とした個別処理では、処理をキャンセルする。すなわち、代表特徴区間であるイベント「渋滞」の特徴区間のみに基づいて、再生区間が抽出される。
【0076】
また、例えば、図7(c)に示すように、イベント「急減速」の特徴区間の後に一部重複して、イベント「停止」の特徴区間が存在するパターンがある。かかるパターンの場合、最も優先度の高いイベント「急減速」の特徴区間(代表特徴区間)を対象とした個別処理では、当該特徴区間を再生区間として抽出する。一方、イベント「停止」の特徴区間を対象とした個別処理では、処理をキャンセルする。すなわち、代表特徴区間であるイベント「急減速」の特徴区間のみに基づいて、再生区間が抽出される。なお、イベント「急加速」の前に一部重複して、イベント「停止」が存在するパターンでも同様である。
【0077】
また、例えば、図7(d)に示すように、イベント「上り坂」の特徴区間上に重なってイベント「右折」の特徴区間が存在するパターンがある。かかるパターンの場合、最も優先度の高いイベント「右折」の特徴区間(代表特徴区間)を対象とした個別処理では、当該特徴区間を再生区間として抽出する。一方、イベント「上り坂」の特徴区間を対象とした個別処理では、処理をキャンセルする。すなわち、代表特徴区間であるイベント「右折」の特徴区間のみに基づいて、再生区間が抽出される。なお、イベント「上り坂」の特徴区間上に重なってイベント「左折」の特徴区間が存在するパターンや、「下り坂」または「渋滞」の特徴区間上に重なってイベント「右折」や「左折」の特徴区間が存在するパターンでも同様である。その他、イベント「快速」の特徴区間上に重なってイベント「ユーザー操作」の特徴区間が存在するパターンにおいても、優先度の高いイベント「ユーザー操作」の特徴区間のみに基づいて、再生区間が抽出される。
【0078】
図5に示すように、再生区間抽出処理(S4)が終了したら、次に、再生区間抽出部64により、追加区間抽出処理を行う(S5)。追加区間抽出処理では、隣り合う2つの特徴区間の間の区間である各間隔区間に対し、所定の最大時間(例えば、30秒)を超えているか否か判定し、所定の最大時間を越える場合には、映像データおよび音声データから、当該間隔区間の中央に位置する一部の区間を再生区間として抽出する。なお、請求項にいう再生区間抽出ステップは、再生区間抽出処理および追加区間抽出処理により構成されている。
【0079】
再生区間抽出処理(S4)および追加区間抽出処理(S5)が終了したら、ダイジェスト作成部66により、抽出した再生区間のデータを、時系列的に繋げてダイジェストA1を作成し(S6)、本動作を終了する。作成されたダイジェストA1は、ユーザーの操作に伴って、映像音声再生部65により、適宜再生される(ダイジェスト再生)。
【0080】
以上のような構成によれば、少なくとも一部が重なる2以上の特徴区間をまとめて特定区間とする。すなわち、当該2以上の特徴区間を一連のイベント群の区間として扱い、そのうち、最も優先度の高いまたは最も優先度の低いイベントに該当する特徴区間(代表特徴区間)のみに基づいて再生区間を抽出することで、一連のイベント群が生じたケースに対応した、適切なダイジェスト再生を行うことができる。特に、副次的に発生したイベントを無視して、再生区間を抽出することができるので、退屈な映像になることを防止することができる。
【0081】
また、イベント「低速走行」の優先度よりイベント「渋滞」の優先度を高くすることで、イベント「渋滞」とイベント「低速走行」との特徴区間が少なくとも一部が重なって発生した場合に、イベント「渋滞」により副次的に発生したイベント「低速走行」を無視して再生区間を抽出することができるため、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0082】
さらに、イベント「停止」の特徴区間に対し、当該特徴区間の直前の区間を再生することにより、イベント「停止」に対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0083】
またさらに、車両情報を用いて、特徴区間を特定するため、イベントに該当する特徴区間を精度良く特定することができる。
【0084】
また、イベント「急加速」およびイベント「急減速」を、イベント「停止」より優先度が高くすることにより、急加速や急減速の前後が停止状態であるケースに対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0085】
さらに、最大再生区間や最小再生区間を設け、これを上限、下限として、再生区間を抽出することにより、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0086】
またさらに、追加区間抽出処理において、所定の最大時間を超える間隔区間の一部を再生区間として抽出することで、内容が補足され、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。
【0087】
なお、本実施形態においては、再生区間を抽出する際(S19)、特徴区間の開始点および終了点を、そのまま再生区間の開始点および終了点として抽出したが、代表特徴区間の開始点から所定時間経過した時点を、再生区間の終了点として抽出しても良いし、代表特徴区間の開始点から所定時間溯った時点を、再生区間の開始点として抽出しても良い。かかる場合、開始点を前後(オフセット)し、他の特徴区間も含めて再生することができるため、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。例えば、図7(b)のケースにおいて、図8(a)のように、代表特徴区間の開始点から所定時間T2溯った時点を、再生区間の開始点として抽出することで、イベント「低速走行」からイベント「渋滞」に至る部分を再生することができるため、一連のイベントの流れを見とりやすくすることができる。なお、かかる際、再生区間の終了点は、再生区間の開始点から所定時間後(例えば、5秒後)として規定しても良いし、代表特徴区間の開始点から所定時間後(例えば、3秒)として規定しても良い。
【0088】
そのほか、代表特徴区間の開始点および終了点の少なくとも一方に基づいて、再生区間を抽出するものであれば、例えば、再生区間の開始点および終了点の一方のみを、代表特徴区間と合わせ、再生区間の開始点および終了点の他方を、開始点および終了点の一方から所定時間遡った(若しくは経過した)地点とする構成であっても良い。
【0089】
また、本実施形態において、特定区間に、イベント「停止」に該当する特徴区間が含まれている場合、再生区間から、当該特徴区間を除外する構成としても良い。例えば、図8(b)のように、イベント「右折」の特徴区間上にイベント「停止」が存在するパターンがある。かかるパターンの場合、本来、イベント「右折」の全特徴区間が再生区間となるが、これに対しイベント「停止」の特徴区間を再生区間から除外する。この際、イベント「右折」の特徴区間が分断されてしまうので、分断した後側の特徴区間(最も長い特徴区間)のみを再生区間として抽出する。すなわち、イベント「右折」の特徴区間内に、イベント「停止」の特徴区間が含まれている場合、イベント「右折」の特徴区間とイベント「停止」との重複区間と、当該重複区間の前のイベント「右折」の特徴区間を削除する。かかる構成によれば、映像変化の無いイベント「停止」の特徴区間を除外することができるため、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。なお、イベント「左折」の場合も同様である。ひいては、再生する必要のない特定のイベントであれば、イベント「停止」に加え(または代えて)、他のイベント(例えば、イベント「急減速」)の特徴区間についても、再生区間から除外する構成であっても良い。
【0090】
さらに、本実施形態においては、イベント「停止」の特徴区間を対象とした個別処理において、当該特徴区間の直前の所定長さ区間を再生区間として抽出したが、イベント「停止」に加え、イベント「急減速」の特徴区間を対象とした個別処理においても、同様に、当該特徴区間の直前の所定長さ区間を再生区間として抽出しても良い。または、イベント「急減速」の特徴区間を対象とした個別処理においてのみ、当該特徴区間の直前の所定長さ区間を再生区間として抽出しても良い。かかる構成によれば、イベント「急減速」に対応した、より適切なダイジェスト再生を行うことができる。なお、かかる際、特徴区間の直前の所定長さ区間を再生区間とするのではなく、直後の所定長さ区間を再生区間とする構成であっても良い。
【0091】
またさらに、本実施形態においては、車両情報に基づいて、特徴区間を特定したが、映像データを解析して、映像中に含まれた各イベントに関連する関連情報(例えば、建物や標識等の付近であるか否かの情報や、走行速度、方位の変化量、等)を、当該関連情報が得られた撮影時点の時刻情報と共に取得し(情報取得ステップ)、車両情報に加え、取得した関連情報および時刻情報に基づいて、特徴区間を特定しても良い。または、取得した関連情報および時刻情報のみに基づいて、特徴区間を特定しても良い。かかる構成によれば、映像データを解析して得られた情報を用いて、特徴区間を特定するため、特段のセンサー類を必要とせず、簡単な構成で特徴区間を特定することができる。
【0092】
また、本実施形態において、特徴区間特定部62により、特徴区間を特定する際、隣り合う2つの特徴区間の間隔区間が所定の最小時間(例えば、1秒)未満である場合、連続する区間であると判断するようにしても良い。ひいては、最小時間未満の間隔区間で連続する特徴区間も、特定区間の区間に含む構成であっても良い。例えば、特徴区間Aと特徴区間Bとが、間隔区間が最小時間未満で連続し、特徴区間Bと特徴区間Cが少なくとも一部重なる場合、特徴区間A、特徴区間Bおよび特徴区間Cの和集合の区間を特定区間とする。すなわち、図6の個別処理のフローチャートにおいて、他の特徴区間と重複しているか否かを判断する際(S11)、これに代えて、他の特徴区間と重複しているか若しくは他の特徴区間と連続しているか否か、を判断し、重複した特徴区間に対象の特徴区間より優先度が高いものがあるか否かを判断する際(S13)、重複した特徴区間および連続した特徴区間に対象の特徴区間より優先度が高いものがあるか否かを判断する。
【0093】
さらに、本実施形態において、通常モードと、通常モードに対し、イベントを、特定のイベントに限定した1以上の特殊モードとの間で、ユーザーの操作に伴って再生モードを設定し(モード設定ステップ)、再生区間抽出処理では、設定した再生モードに基づいて、再生区間を抽出する構成であっても良い。例えば、1以上の特殊モードとして、スポーツモードと、注意喚起モードと、を有する。スポーツモードでは、個別処理の対象とする特徴区間のイベントを、イベント「衝撃検知」、「高速道路施設」、「上り坂」、「下り坂」、「ワインディング」、「急加速」、「急減速」および「快走」に限定する。一方、注意喚起モードでは、個別処理の対象とする特徴区間のイベントを、イベント「衝撃検知」、「急減速」、「低速走行」、「渋滞」および「リルート実行」に限定する。また、データ記憶部67は、再生モード毎の優先順位リスト(図9参照)を記憶し、再生モード毎に優先順位を変えても良い。かかる構成によれば、設定により、特定のイベントのみを再生する特殊モードによって、ダイジェスト再生を行うことができるため、ユーザーの趣向に合わせたダイジェスト再生を行うことができる。
【0094】
またさらに、本実施形態においては、ダイジェスト作成装置1とカーナビゲーションシステム2とにより構成されたダイジェスト作成装置1に本発明を適用したが、ダイジェスト作成装置1の各部を、カーナビゲーションシステム2に搭載し、カーナビゲーションシステム2単体のものに本発明を適用しても良い。具体的には、図10に示すように、カーナビゲーションシステム2は、走行映像取得部41、音声取得部42、車両情報取得部43、データ記憶部44、特徴区間特定部62、優先度設定部63、再生区間抽出部64、ダイジェスト作成部66、映像音声再生部65を備え、データ記憶部44は、映像データ、音声データ、車両情報、イベントリストおよび優先順位リストを記憶する。すなわち、ナビゲーション端末装置13により再生区間抽出手段を構成する。かかる構成によれば、データ出力部45およびデータ入力部61を省略することができる。
【0095】
なお、本実施形態において、ナビゲーション端末装置13として、車両に対して着脱可能なもの(例えば、携帯電話をナビゲーション端末装置として用いたもの)を用いても良いし、車両に固定取り付けされたものを用いても良い。
【0096】
また、クラウドコンピューティング等を用いて、本発明を実現するものであっても良い。すなわち、ダイジェスト作成装置1の各機能を、ネットワーク上の機器(サーバー)によって実現する。この場合、ネットワーク上の機器が、操作画面(ブラウザ領域)を表示するためのブラウザ(上記実施形態におけるダイジェストA1の表示画面)を作成し、ネットワーク上の機器(サーバ)に接続されたユーザー端末(例えば、携帯電話)に送信することになる。その場合、ユーザー端末には最低限、表示装置と操作装置があればよい。
【符号の説明】
【0097】
1:ダイジェスト作成装置、 2:カーナビゲーションシステム、 11:車載カメラ、 13:ナビゲーション端末装置、 61:データ入力部、 62:特徴区間特定部、 64:再生区間抽出部、 67:データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出方法であって、
走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶ステップと、
前記映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記映像データの中から、前記イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定ステップと、
前記特徴区間に基づいて、前記映像データから再生区間を抽出する再生区間抽出ステップと、を備え、
前記再生区間抽出ステップは、少なくとも一部が重なる2以上の前記特徴区間の和集合の区間である特定区間が前記映像データに存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて前記再生区間を抽出することを特徴とする再生区間抽出方法。
【請求項2】
前記再生区間抽出ステップは、前記特定区間内の特徴区間については、前記代表特徴区間の開始点および終了点の少なくとも一方に基づいて前記再生区間を抽出することを特徴とする請求項1に記載の再生区間抽出方法。
【請求項3】
前記再生区間抽出ステップは、前記特定区間内の特徴区間については、前記代表特徴区間の開始点から所定時間T1経過した時点を、前記再生区間の終了点として抽出することを特徴とする請求項2に記載の再生区間抽出方法。
【請求項4】
前記再生区間抽出ステップは、前記特定区間内の特徴区間については、前記代表特徴区間の開始点から所定時間T2溯った時点を、前記再生区間の開始点として抽出することを特徴とする請求項2または3に記載の再生区間抽出方法。
【請求項5】
前記イベントは、所定走行距離D1内における平均速度が所定速度V1以下であることを示すイベント「渋滞」と、所定速度V2未満で所定走行距離D2以上走行していることを示すイベント「低速走行」と、を含み、
前記イベント「渋滞」は、前記イベント「低速走行」より優先度が高いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項6】
前記イベントは、所定時間T3内における走行速度の変化量がV3(V3>0km/h)以上であることを示すイベント「急加速」と、所定時間T3内における走行速度の変化量がV4(V4<0km/h)以下であることを示すイベント「急減速」と、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」と、を含み、
前記イベント「急加速」および前記イベント「急減速」は、前記イベント「停止」より優先度が高いことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項7】
前記イベントは、所定の操作が行われたことを示すイベント「ユーザー操作」を含み、
前記イベント「ユーザー操作」は、他の全てのイベントより優先度が高いことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項8】
前記イベントは、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」を含み、
前記再生区間抽出ステップでは、前記特定区間に、前記イベント「停止」に該当する特徴区間が含まれている場合、前記再生区間から、当該特徴区間を除外することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項9】
前記イベントは、走行速度ゼロであることを示すイベント「停止」を含み、
前記再生区間抽出ステップでは、前記イベント「停止」に該当する特徴区間が前記特定区間に含まれない場合であって、当該イベント「停止」に該当する特徴区間に基づいて、前記映像データから再生区間を抽出する場合、当該特徴区間の直前の所定長さ区間および直後の所定長さ区間のいずれか一方を、前記再生区間として抽出することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項10】
前記イベントは、所定時間T3内における走行速度の変化量がV4(V4<0km/h)以下であることを示すイベント「急減速」を含み、
前記再生区間抽出ステップでは、前記イベント「急減速」に該当する特徴区間が前記特定区間に含まれない場合であって、当該イベント「急減速」に該当する特徴区間に基づいて、前記映像データから再生区間を抽出する場合、当該特徴区間の直前の所定長さ区間および直後の所定長さ区間のいずれか一方を、前記再生区間として抽出することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項11】
前記映像データと同期して、前記走行映像を撮影した輸送機器の単位時間毎の状態を示す輸送機器情報を取得する輸送機器情報取得ステップを、更に備え、
前記特徴区間特定ステップでは、取得した前記輸送機器情報に基づいて、前記特徴区間を特定することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項12】
前記映像データを解析して、映像中に含まれた前記各イベントに関連する関連情報を、前記映像データを撮影した撮影時点の時刻情報と共に取得する情報取得ステップを、更に備え、
前記特徴区間特定ステップでは、取得した前記関連情報および時刻情報に基づいて、前記特徴区間を特定することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項13】
前記再生区間抽出ステップでは、1再生区間あたり、最大再生時間T4を上限として、前記再生区間を抽出することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項14】
前記再生区間抽出ステップでは、1再生区間あたり、最小再生時間T5を下限として、前記再生区間を抽出することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項15】
前記再生区間抽出ステップでは、隣り合う2つの前記特徴区間の間隔区間が所定の最大時間T6を超える場合、当該間隔区間の一部を前記再生区間として抽出することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項16】
前記特徴区間特定ステップでは、隣り合う2つの前記特徴区間の間隔区間が所定の最小時間T7未満である場合、連続する区間であると判断することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項17】
通常モードと、通常モードに対し、前記イベントを、特定のイベントに限定した1以上の特殊モードとの間で、再生モードを設定するモード設定ステップを、更に備え、
前記再生区間抽出ステップでは、設定した前記再生モードに基づいて、再生区間を抽出することを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに1項に記載の再生区間抽出方法。
【請求項18】
コンピューターに、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の再生区間抽出方法における各ステップを実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
走行映像を記録した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出装置であって、
走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶部と、
前記映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データの中から、前記イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定部と、
前記特徴区間に基づいて、前記再生区間を抽出する再生区間抽出部と、を備え、
前記再生区間抽出部は、少なくとも一部が重なる2以上の前記特徴区間の和集合の区間である特定区間が存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて前記再生区間を抽出することを特徴とする再生区間抽出装置。
【請求項21】
走行映像を撮影して、当該走行映像を記録した映像データを生成する映像撮影手段と、
生成した映像データの中からダイジェスト再生の対象となる再生区間を抽出する再生区間抽出手段と、を備え、
前記再生区間抽出手段は、
走行時における各イベントを、イベントの優先度を示す優先情報と共に記憶するイベント記憶部と、
前記映像データの中から、前記イベントに該当する特徴区間を特定する特徴区間特定部と、
前記特徴区間に基づいて、前記再生区間を抽出する再生区間抽出部と、を有し、
前記再生区間抽出部は、少なくとも一部が重なる2以上の前記特徴区間の和集合の区間である特定区間が存在する場合、当該特定区間内の特徴区間については、最も優先度の高いイベントに該当する特徴区間である代表特徴区間のみに基づいて前記再生区間を抽出することを特徴とする輸送機器搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−244193(P2012−244193A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108746(P2011−108746)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】