説明

再生可能なポリオキシメチレン組成物およびそれに由来する物品

ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有するポリオキシメチレンポリマーを有するポリオキシメチレン組成物。前記組成物を製造する方法および前記組成物から作製される物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)のもと、現在係属中の米国仮特許出願第61/230789号明細書(2009年8月3日出願)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ポリオキシメチレンが非化石炭素資源から部分的または完全に誘導されることを示すある割合の放射性炭素、すなわち、14Cを有するポリオキシメチレンポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリアセタールまたはポリホルムアルデヒドとしても知られているポリオキシメチレン(POM)は、優れたトライボロジー、硬さ、剛性、中程度の靭性、低い摩擦係数、良好な耐溶剤性および即時に結晶化できる能力を有している。POMポリマーおよびPOM組成物に由来する物品は、特に、物品が、成形技術により簡便に作製できることから、負荷のかかる可動部品、燃料に浸漬される部品等の厳しい環境において、優れた性能を有している。
【0004】
消費者は、環境保全型、すなわち、「環境に優しい」または再生可能な材料でできた物品を用いるのが望ましいと考えており、特に、構成ポリマーが、検証可能な環境に優しい資源から誘導されている場合かかる物品を選んで購入する。
【0005】
厳しい環境において優れた性能を有し、かつ、「環境に優しい」材料でできた物品を消費者が求めるため、環境保全型の資源、すなわち、非化石燃料資源から部分的または完全に誘導されるポリオキシメチレン組成物、およびその製造方法が、尚、求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されているのは、
a)ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーおよびポリオキシメチレンターポリマーからなる群から選択されるポリオキシメチレンポリマーと、
b)潤滑剤、流動性改良剤、可塑剤、核形成剤、熱安定剤、酸化防止剤、染料、顔料およびUV安定剤からなる群から選択される、0〜20重量パーセントの1種以上の添加剤と、
c)0〜50重量パーセントの1種以上のフィラーと
を含むポリオキシメチレン組成物であって、重量パーセントは組成物の総重量を基準とし、ポリオキシメチレンポリマーは、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有する、ポリオキシメチレン組成物である。
【0007】
本明細書にさらに記載されているのは、これらの組成物の製造方法およびそれから作製された物品である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
特許請求の範囲に挙げられ、明細書に記載された要素の意味は、以下および本明細書の定義を参照して解釈するものとする。
【0009】
本明細書で用いる「a」という冠詞は、1つ、同じく、2つ以上も示し、その指示対象名詞を単数に必ずしも限定しない。
【0010】
本明細書で用いる「約〜」および「〜または約〜」という用語は、当該の量または値が、指定の値、または略またはほとんど同じの他の値であってよいことを意味する。この用語は、同様の値で、特許請求の範囲に挙げたのと等価の結果または効果が促されることを伝えようとするものである。
【0011】
本明細書で用いる「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(includes)」、「有している(including)」、「持つ(has)」、「持っている(having)」またはこれらのあらゆるその他の変形の用語は、非排他的な包括を指す。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、リストされた要素に限定されず、明示的にリストされていない、または固有の他の要素を含んでいてよい。さらに、明示的にそれには反するとした場合を除き、「または」は、包括的またはであり、排他的またはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0012】
本明細書で用いる「環境保全型ポリオキシメチレン」、「再生可能なポリオキシメチレン」、「バイオベースのポリオキシメチレン」、「環境に優しいポリオキシメチレン」という用語は、本明細書において以下に定義される「バイオ資源原料」または「再生可能な原料」から誘導される検出可能な量のバイオベースの炭素を有するポリオキシメチレンポリマーを指す。
【0013】
本明細書で用いる「化石炭素」とは、14C同位体または14Cとも呼ばれる放射性炭素をごくわずかに含有する炭素を指す。その年齢が、14Cの半減期5730年より非常に長いからである。化石炭素は、通常、化石燃料から誘導され、その燃料は、地中の死んだ有機体の嫌気性分解により形成されたものであり、その年齢は、典型的に、何百万年である。化石燃料としては、石炭、石油および天然ガスが挙げられ、メタンのような低炭素対水素比の揮発性材料から、液体の石油、無煙炭のような略純粋な炭素で構成された不揮発性材料まで及ぶ。化石燃料にある微量の炭素−14の起源は確かではないが、それでも、現世バイオ材料よりもはるかに濃度が低い。
【0014】
本明細書で用いる「非化石炭素」という用語は、放射性炭素、すなわち、14Cを含有する炭素を指す。非化石炭素としては、バイオベースの有機炭素化合物および/または大気二酸化炭素からの炭素が挙げられる。14Cは、高レベルの14Cが、大気に導入される核実験、または上層大気中の宇宙線により生じる放射の結果として窒素から生成されるような自然のプロセスの結果であろう。
【0015】
本明細書で用いる「バイオ資源原料」、「再生可能な原料」および「バイオ資源材料」という用語は、炭素の再生可能な生物資源を指し、穀物、植物油、セルロース、リグニン、脂肪酸をはじめとする植物、および脂肪、獣脂、油、例えば、鯨油、魚油、動物の排泄物、例えば、肥料等、またはこれらバイオ資源原料から調製された任意の中間体化学物質が挙げられる。「バイオ資源炭素」または「バイオベース炭素」とは、植物性または動物性物質のような再生可能な現代資源の炭素を指す。
【0016】
本明細書で用いる「再生可能なメタノール」、「環境保全型メタノール」、「バイオメタノール」、「環境に優しいメタノール」という用語は、バイオベースの炭素資源から部分的または全体が誘導されたメタノール(CH3OH)を指す。かかる資源は、放射性炭素年代測定に適した十分な放射性炭素を含有する植物および/または動物資源から誘導される。
【0017】
本明細書で用いる「再生可能なホルムアルデヒド」、「環境保全型ホルムアルデヒド」、「バイオホルムアルデヒド」、「環境に優しいホルムアルデヒド」という用語は、例えば、再生可能なメタノールから作られた化石燃料資源でない炭素資源から部分的または全体が誘導されたホルムアルデヒド(CH2O)を指す。
【0018】
本明細書で用いる「放射性炭素年代測定」または「炭素年代測定」という用語は、約58,000〜62,000年までの炭素質材料の年代を求めるために、天然起源の放射性同位体14Cを用いる方法のことを指す。未加工、すなわち、較正していない放射性炭素年代は、通常、「現在」を1950CE年として定義して、「現在以前」の放射性炭素年で記録される。かかる未加工の年代を較正すると、カレンダー日付とすることができる。
【0019】
本明細書で用いる「現代炭素(modern carbon)」という用語は、δ13C=−19%まで正規化されたSRM4990b(原型シュウ酸放射性炭素基準)の比放射能の0.95倍を指す。
【0020】
本明細書で用いる「fM」という用語は、現代炭素に対する14C活性を指す。すなわち、活性が、現代炭素を10%超える場合、fM=1.10(またはパーセンテージ基準だと110%)である。大気14Cにおける1955CE後上昇を反映する結果は、現代炭素値の比として記録される。
【0021】
本明細書で用いる「平均バイオベース含量」という用語は、材料中の合計有機炭素の重量(質量)のパーセントとしての材料中のバイオベースの炭素の量を指す。バイオベースの炭素は、上述したとおり、「バイオ資源原料」または「再生可能な原料」から誘導される。
【0022】
本明細書で用いる「fC」という用語は、ある割合の現世炭素(contemporary carbon)を指す。本明細書で用いる「fM」は、ある割合の現代炭素を指す。fCは、最近十数年にわたる観察値であるfMから計算され、次の組み合わせを含む。すなわち、大気14Cの化石希釈の影響(副)および核実験禁止条約までの1950年代後半の核実験による大気14Cの増加の影響(主)。
【0023】
CとfMの関係は、時間の関数である。例えば、1985年、核実験による大気14Cの増加の因子は、約1.20まで減少した(大気14Cの予測されたレベルに比べて)。すなわち、1985年、完全に現世生物圏資源の炭素は、fC=1.00であったであろう(この値は、定義により設定される。というのは、炭素資源は1985年に形成されたからである)。1985年のfMは、1.20であった。
【0024】
上述した「平均バイオベース含量」という用語はまた、L.A.Currieら、(1989年)「Microchemical and Molecular Dating」、RADIOCARBON,Vol.31(3):448−463にあるように、ある割合の現世炭素としても知られている。
【0025】
「平均バイオベース含量」、「僅かな現世炭素」および「材料中の合計有機炭素の重量パーセントとしての材料中のバイオベース炭素の量」は全て、化石/ガソリン資源から誘導される材料中の炭素とは異なる現世生物資源から誘導される材料中の炭素の尺度を表わしている。
【0026】
本明細書で用いる「ポリアミド」という用語は、ポリアミド6,6のようなアミド繰り返し単位を有する縮合ポリマーのことを指す。
【0027】
本明細書で用いる「ホルムアルデヒド等価物」という用語は、室温で気体であるホルムアルデヒドが、気体状ホルムアルデヒドと同様に挙動し、業界で用いられる誘導体へと容易に変換されるということを指す。かかる誘導体は、ホルムアルデヒド等価物として知られ、そのようなものと当業者に理解されており、これらに限られるものではないが、環状化合物トリオキサン、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリン(フォルマリン)、パラホルムアルデヒド、1,3トリオキサン、メタノール等のアルコールとの可逆錯体およびこれらの混合物が挙げられる。当業者であれば、他のホルムアルデヒド等価物が容易に認識されるであろう。
【0028】
概要
本明細書に記載されているのは、再生可能なポリオキシメチレン[「POM」]ポリマーを含むポリオキシメチレン組成物である。再生可能なPOMポリマーは、現在の植物および動物材料等の生物資源から、炭素を含有するメタノールを精製し、メタノールをホルムアルデヒドまたは1,3トリオキサン等のホルムアルデヒド等価物へ変換することにより調製することができる。ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物を重合するとPOMポリマーが得られ、炭素の生物資源ゆえ、再生可能と呼ぶことができる。
【0029】
ポリオキシメチレン組成物
本明細書に具体的に記載されているのは、ポリオキシメチレンポリマーを含むポリオキシメチレン組成物であり、ポリオキシメチレンポリマーは、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有する。
【0030】
ポリオキシメチレンポリマー
ポリオキシメチレンポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはこれらの混合物であってよい。ポリオキシメチレンホモポリマーは、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒドの環状オリゴマーのようなホルムアルデヒド等価物を重合することにより調製される。好ましいホモポリマーは、重合か、後重合化学反応のいずれかにより、エンドキャップされて、エステルまたはエーテル基を形成する末端基を有する。ホモポリマーの好ましい末端基は、アセテートおよびアルコキシ(特に、メトキシ)であり、コポリマーの好ましい末端基は、ヒドロキシ、アセテートおよびアルコキシ(特に、メトキシ)である。
【0031】
ポリオキシメチレンコポリマーは、ポリオキシメチレン組成物を調製するのに通常用いられる1種以上のコモノマーを含有していてよい。好ましいコポリマーは、完全にエンドキャップされていないが、コモノマー単位からのいくつかの遊離ヒドロキシ末端を有する、または末端がエーテル基である。
【0032】
一般的に用いられるコモノマーとしては、2〜12の連続炭素原子を有するエーテル単位のポリマー鎖への組み込みにつながるアセタールおよび環状エーテルが挙げられる。好ましいコモノマーは、1,3−ジオキソラン、ジオキセパン、エチレンオキシドおよびブチレンオキシドであり、1,3−ジオキソランがより好ましい。ポリオキシメチレンコポリマーを選択する場合、コモノマーの量は、コポリマーの5モルパーセントを超えない、好ましくは、2モルパーセント以下、最も好ましくは、約1モルパーセント以下である。ポリエチレングリコール等のコモノマーを用いると、例えば、非ホルムアルデヒドブロックの重量基準での含量が50%までのブロックコポリマーを調製することができる。イソシアネート、グリシジルエーテルまたは多価アルコール等のコモノマーを用いて、例えば、分岐コポリマーを調製することができる。当業者に明白なとおり、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物の重合で反応するのであれば、好適な反応基を備えたその他のコモノマーを用いることができる。
【0033】
本明細書に記載したポリオキシメチレンポリマーは、分岐または鎖状とすることができ、通常、少なくとも10,000、好ましくは、10,000〜250,000、より好ましくは、10,000〜90,000の数平均分子量を有する。分子量は、Shodex GPC HFIP−806M(登録商標)スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用いた35℃でのヘキサフルオロイソプロパノールにおけるゲル浸透クロマトグラフィーにより、またはASTM D1238またはISO 1133を用いたメルトフローを求めることにより簡便に測定することができる。メルトフローは、射出成形のためには、0.1〜100g/分、好ましくは、0.5〜60g/分、より好ましくは、0.8〜40g/分の範囲であろう。フィルム、繊維およびブロー成形等の他の構造ならびにプロセスは、他の溶融粘度範囲が好ましい場合がある。
【0034】
平均バイオベース含量の測定
本明細書に記載した組成物中の放射性炭素年代測定同位体14C(5730年の半減期)の量を測定するのに依拠する方法を用いて、これらの組成物中の炭素が、バイオ資源から、現代の植物または動物から、化石資源から、またはこれらの混合物から誘導されているか確認することができる。化石資源からの炭素は、通常、ゼロに非常に近い14C量を有する。ポリオキシメチレン[POM]ポリマー自体、POM中間体またはPOMポリマーを含有する物品の14C同位体量を測定すると、材料または物品が、バイオ資源の炭素から誘導されることが確認でき、バイオ資源の炭素のパーセントを定量することができる。
【0035】
ASTM D6866法A−Cを用いて、放射性炭素年代測定と同様に、14C同位体測定により、平均バイオベース含量を測定することができる。これらの方法による14C量の測定によって、試験する材料の平均バイオベース含量、すなわち、試験した材料のバイオベースの炭素の量の測定が、その合計有機炭素の重量(質量)パーセントとしてなされる。最も正確であることから、方法Bが恐らく好ましい。
【0036】
ASTM D6866法の結果はまた、パーセント現代炭素[「pMC」]として記録することもできる。pMCは、1950CE年に相当する既知の放射性炭素含量の米国標準技術局−USA(NIST−USA)規格である放射性炭素年代測定についての参照基準の放射性炭素(14C)の量に対する試験した材料の放射性炭素(14C)の量の比である。1950CEが選ばれた理由の一部は、それが、大気中の過剰な放射性炭素が非常に増える結果となった熱核反応兵器の定期試験前の期間を表わしているからである。放射性炭素年代測定を用いるものについては、1950CEは、「ゼロ歳」に等しい。同じく、100pMCも表わしている。
【0037】
核兵器試験による大気中の過剰の放射性炭素(「爆弾」炭素と呼ばれる)は、1963年までに、放射性炭素の通常のレベルの略2倍に達した。核実験禁止条約以来、大気中、従って、地球上のバイオ資源の材料中の放射性炭素の量は減少した。これは、2004年、2008年についてASTM D6866に約107.5pMCと記録されており、すなわち、AD1950の放射性炭素基準より約7.5%高い。すなわち、2004年、2008CE年、トウモロコシから作られた同時期バイオマス材料、植物等からの油およびそれから誘導された材料は、107.5のpMCを有すると予想された。このように、ASTM D6866では、pMCを計算するとき、0.93の補正因子を用いる。この補正因子によって、大気中での「爆弾」炭素−14の増加と後の減少量を考慮に入れて、同時期炭素資源から誘導された試料のバイオベースの含量をより正確に計算することができる。ASTM D6866、段落9、13、17を参照のこと。
【0038】
107.5pMCが、現在のバイオ資源の炭素を確認し、0pMCが、化石資源の炭素を表わすものと仮定すると、化石資源と現在の資源の両方からの炭素を含有する材料のpMCまたはバイオベースの含量を計算することができる。例えば、現在の生物資源から完全に誘導された材料を、1:1の比で、化石資源の炭素から完全に誘導された材料と混合した場合、すなわち、50%の現代炭素を、50%の化石誘導炭素と混合した場合、ASTM D6866法だと、その混合物について、54pMCを与えると予想される。すなわち、ASTM D6866によるpMCの測定で、材料中の2つの炭素資源の比率が分かるであろう。
【0039】
具体的には、本明細書に記載した組成物について、ホルムアルデヒド前駆体の14C同位体レベルは、バイオ資源の炭素を、化石資源の炭素を混合することにより操作してもよい。次に、この混合物を用いて、POM中間体、POM自体およびそれから作製された物品を生成してもよく、それぞれ、ホルムアルデヒド前駆体と同じ所望の特定のパーセンテージの14C同位体を有している。端的に言って、炭素資源の合成ガスは、バイオ資源の炭素と、都市廃液からでるような化石資源の炭素のブレンドであってもよい。さらに、合成ガスから誘導されたバイオメタノールが、他の未知の炭素資源により汚染または希釈されていない限りは、バイオメタノールの14C含量の測定は、中間体、POMおよびそれから作製された物品に対するPOMによる寄与を評価するのに、正確かつ妥当な方法であろう。
【0040】
別の言い方をすると、pMCを用いて、材料の平均バイオベース含量を計算することができる。例えば、平均バイオベース含量値は、107.5pMCを100%とし、0pMCを0%と割り当てることにより誘導される。これについて、100pMCの材料は、93%の相当する平均バイオベース含量結果を与えるであろう。平均バイオベース含量は、分析した材料内の全成分が、現在生きているか、化石起源のいずれかであったと仮定するものである。
【0041】
ASTM D6866法Bにより得られる結果には、最終成分の放射性炭素の痕跡における変動を考慮して、6%の絶対範囲プラスマイナス3%の平均バイオベース含量が含まれる。材料は全て、現在のものか、化石起源であると仮定される。結果は、材料中に存在するバイオベースの成分の量であって、製造プロセス中に用いるバイオベースの材料の量ではない。
【0042】
ASTM D6866法を行う際、無機フィラーと、存在する場合は他の添加剤を、最も好適な何らかの方法により分離して、POMポリマーの代表的な試料としてよい。
【0043】
いくつかの商業的な分析実験室には、パーセント現代炭素(pMC)を求めるのに、ASTM D6866法を行う設備がある。ここでの分析は、米国、アリゾナ大学、アリゾナ加速器質量分析室で行った。
【0044】
本明細書に記載した組成物および方法において、合成ガスからのバイオメタノール、ホルムルムアルデヒドおよびそれからのPOMポリマーは、ASTM D6866法により求めると、それぞれ、少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有している。あるいは、バイオメタノール、ホルムルムアルデヒドおよびそれから作製されたPOMポリマーは、ASTM D6866法により求めると、それぞれ、少なくとも30、40、50、60、70、80、90および98パーセントの平均バイオベース含量を有していてよい。
【0045】
添加剤
本明細書に記載したポリオキシメチレン組成物は、任意で、潤滑剤、衝撃改質剤、流動性改良剤、熱安定剤、可塑剤、酸化防止剤、染料、顔料、UV安定剤、核形成剤等からなる群から選択される0〜20パーセントの1種以上の有機添加剤を含んでいてよい。
【0046】
好適な衝撃改質剤の例としては、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルポリエーテルエラストマーならびにエチレン/アルキルアクリレートおよびエチレン/アルキルメタクリレートコポリマーが例示される。潤滑剤としては、ジメチルポリシロキサンおよびそれらの誘導体等のシリコーン潤滑剤、オレイン酸アミド、アルキル酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤潤滑剤、炭化水素ワックス、塩化炭化水素、フルオロポリマー、オキシ脂肪酸、脂肪酸の低級アルコールエステル等のエステル、ポリグリコールおよびポリグリセロール等の多価アルコール、ならびにラウリル酸およびステアリン酸等の脂肪酸の金属塩が例示される。好ましい酸化防止剤は、Cibaより入手可能なIrganox(登録商標)245および1090酸化防止剤等のヒンダードフェノール酸化防止剤である。紫外線安定剤としては、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンが例示される。
【0047】
これらの組成物は、グリシジルエステルのエチレンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアミド、トウモロコシおよび可溶性デンプンからのアミロペクチンからなる群から選択される多糖類、ポリエチレン/ビニルアルコールコポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される0.05〜2重量パーセントの1種以上のポリマー熱安定剤を含んでいてもよい。グリシジルエステルのエチレンコポリマーは、式E/X/Yのものであり、式中、
Eは、40〜90重量パーセントのエチレンコポリマーを含み、エチレンから形成されたラジカルであり、
Xは、10〜40重量パーセントのエチレンコポリマーを含み、CH2=C(R1)−C(O)−OR2(式中、R1は、H、CH3またはC25であり、R2は、1〜8の炭素原子を有するアルキル基、酢酸ビニルまたはこれらの混合物である)からなる群から選択されるモノマーから形成されたラジカルであり、
Yは、0.5〜20重量パーセントのエチレンコポリマーを含み、
CH2=C(R1)−C(O)−OR3
(式中、R3は、グリシジルであり、R1は、H、CH3またはC25である)からなる群から選択されるモノマーから形成されたラジカルである。
【0048】
フィラー
これらの組成物は、1種以上のフィラーを含んでいてよく、組成物の総重量を基準として、0〜50重量パーセントのフィラーであってよい。フィラーは、例えば、補強剤およびその他フィラー等に一般的に用いられる任意の材料であってよい。フィラーは、フィラーの組成物のポリマーへの接着力を改善するために、コーティング、例えば、サイズ剤および/またはコーティングを有していてもいなくてもよい。フィラーは、有機または無機であってよい。有用なフィラーとしては、クレイ、セピオライト、タルク、珪灰石、マイカおよび炭酸カルシウム、繊維、ミルドガラス、中空でない、または中空のガラス球等の様々な形態のガラス、カーボンブラックまたはファイバー、二酸化炭素、粉末の形態のアラミド、金属粉末およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
追加のポリマー
これらの組成物は、ポリエチレン、アルキルメタクリレートとのポリエチレンコポリマー、アルキルアクリレートとのポリエチレンコポリマー、アルキルメタクリレートおよびアルキルアクリレートの組み合わせとのポリエチレンコポリマー、スチレンコポリマー、ビニルフェノールとのポリエチレンコポリマー、セルロースエステル、例えば、酢酸、プロピオン酸および酪酸セルロース、ポリ乳酸、グリシジル(メソ)アクリレートのエチレンコポリマー、グリシジル(メソ)アクリレートのエチレンコポリマーの混合物、1種以上の(メソ)アクリレートエステルおよびこれらの混合物をはじめとする1種以上の追加のポリマーをさらに含んでいてもよい。米国特許第7,268,190号明細書には、ポリオキシメチレンとポリ乳酸のブレンドが開示されている。好ましくは、1種以上の追加のポリマーは、組成物の総重量の20重量パーセント未満である。フィラー、追加のポリマーおよびその他のポリマーは、それ自体が、現世バイオカーボンから誘導されてよい(または実質的には、それからなる)が、これらは、後述するポリオキシメチレンから分離でき、炭素−14同位体含量へのそれらの寄与は排除される。
【0050】
平均バイオベース含量を有するポリオキシメチレンポリマーの製造
ポリオキシメチレン[POM]は、実際、ポリホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドである。POMは、ホルムアルデヒドの重合により簡便に作製される。20パーセントを超える平均バイオベース含量を有するPOMポリマーを含む組成物を作製するとは、POMポリマーのホルムアルデヒド中間体が、本明細書に定義したとおり、バイオ資源または再生可能な資源から少なくとも一部生じるということを意味する。
【0051】
ポリオキシメチレンポリマーを作製するプロセスにおいて、中間体前駆体ホルムアルデヒドは、合成ガスから生成されたメタノールから生成することができる。POMのこれらの3つの前駆体は、それぞれ、本明細書に定義したとおり、バイオ資源または再生可能な資源から少なくとも一部生成することができる。
【0052】
一般に、ホルムアルデヒドは、メタノールの触媒酸化により工業的に生成される。ホルムアルデヒドは、式(1)
CH3OH+1/2O2=>CH2O+H2O(1)
に従って、酸化鉄−酸化モリブデン触媒によるメタノールの酸化により商業的に生成することができる。
メタノールは、<10モル%の酸素を含有するガス流へと気化されて、触媒ペレットを含有する多管式反応器へ供給される。反応は、通常、大気圧で、数秒間、300〜400℃でなされる。反応熱は、管の外部冷却により除去される。次に、生成物ガスを冷却し、ホルムアルデヒドを、水への吸収により除去する。メタノールからのホルムアルデヒド合成の詳細は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.12:113,114に開示されている。メタノールをホルムアルデヒドに変換する具体的なプロセスは、本明細書に参考文献として援用される米国特許第1,383,059号明細書に開示されている。本明細書に参考文献として援用される米国特許第3,198,753号明細書には、メタノールのホルムアルデヒドへの変換のための改善された触媒が開示されている。他に、等しく許容されるプロセスは、銀触媒を用いて、同じ変形を行うものである。メタノールを空気を存在させずに脱水素化して、主生成物としてホルムアルデヒドおよび水素を得るプロセスも知られている。
【0053】
ホルムアルデヒド合成にはまた、メタノールを、水素、一酸化炭素、二酸化炭素および水の混合物である合成ガス[シンガスとも呼ばれる]から作製する工程も含まれ、当該技術分野において周知されている。合成ガスが、本明細書に定義されたような、牧草、木、動物性物質、作物残渣、植物油、動物脂肪およびこれらの組み合わせを含む生物資源から予備乾燥した粉末材料の部分酸化により生じるときは、バイオ資源と呼ばれる。生物資源からの材料の部分酸化は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,5th edition,Vol.16:302.に開示されているとおり、限定量の酸素および水を存在させて、高温、例えば、約1000℃以上で行われる。
【0054】
このようにして得られた合成ガスは、触媒条件下で還元すると、バイオメタノールとも呼ばれるメタノールが得られる。米国特許第6,991,769号明細書には、炉においてバイオマスの気化から生成される合成ガスからメタノールを合成することが開示されている。合成ガスの資源は、バイオ資源材料であるため、このプロセスにより生成されるバイオメタノールは、バイオ資源材料と同じ多い14C含量を有する可能性がある。
【0055】
本明細書に記載したポリオキシメチレン組成物の作製には、ホルムアルデヒドを準備する工程と、それを重合して、ASTM−D6866法により求められる平均バイオベース含量が少なくとも20パーセントのポリオキシメチレンポリマーを形成する工程とが含まれる。生成されたポリオキシメチレンポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよく、50パーセント以上、または90パーセント以上、または98パーセント以上の平均バイオベース含量を有することができる。
【0056】
さらに、重合するホルムアルデヒドも、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有していてもよい。ホルムアルデヒドを準備する工程は、炉においてバイオマスの気化から得ることのできる合成ガスを準備し、触媒を用いて、それをメタノールまで還元し、触媒の使用によりメタノールを酸化して、ホルムアルデヒドを生成するサブステップを含むことができる。明確にすると、合成ガス、メタノール、ホルムアルデヒドまたはこれらの任意の組み合わせはまた、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセント以上、または50パーセント以上、または90パーセント以上または98パーセント以上の平均バイオベース含量も有することができる。さらに、POM中間体またはPOM自体が、特定の平均バイオベース含量を有するように決めるとき、他のPOM中間体またはPOMも、同じ、または実質的に同様の特定の平均バイオベース含量を有するであろう。
【0057】
本明細書に記載した方法はまた、本明細書に記載したポリオキシメチレン組成物フィラー、熱安定剤、追加のポリマー、その他添加剤およびこれらの組み合わせとブレンドする工程も含んでいてよい。これらの方法はまた、ポリオキシメチレン組成物から他の成分を分離して、ポリオキシメチレンポリマーを生成する工程も含んでいてよい。
【0058】
これらの方法はまた、後の分解において発生したホルムアルデヒドのASTM−D6866による平均バイオベース含量を測定することにより、化石資源の炭素に対して、現在のバイオ資源の炭素を確認する工程も含んでいてよい。ポリオキシメチレン組成物の試料を約100ミクロンまで粉砕して、酸性水溶液を存在させて、加水分解を行う。加水分解混合物から得られる揮発性分解生成物を連続的に蒸留して、水性ホルムアルデヒド溶液を集め、ASTM−D6866を用いて分析すると、パーセント現代炭素を求めることができる。あるいは、水性ホルムアルデヒド溶液を、蒸留またはその他方法により精製して、有機不純物を除去してから、分析しても、パーセント現代炭素を求めることができる。
【0059】
本明細書に記載したポリオキシメチレン組成物は、本明細書に上述した成分を、任意の公知の方法を用いて溶融ブレンドすることにより作製してもよい。成分材料を、単軸または二軸押出し、ブレンダー、ニーダー、バンブリーミキサー等の溶融ミキサーを用いて均一になるまで混合して、組成物を得る、あるいは、材料の一部を溶融ミキサーで混合してから、材料の残りを添加して、均一になるまでさらに溶融混合すればよい。
【0060】
本明細書に記載したポリオキシメチレン組成物の使用
本明細書に記載した組成物は、射出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、押出し、熱成形、溶融鋳造、真空成形、回転成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、フィラメント押出しおよび繊維紡糸等、当業者に知られた方法を用いて物品へと成形してよい。かかる物品としては、フィルム、繊維およびフィラメント、ワイヤおよびケーブルコーティング、光起電ケーブルコーティング、光ファイバーコーティング、管およびパイプ、車体パネル、ダッシュボード等の車両部品、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫および冷暖房空調設備等の家庭用品の部品、電気/電子用途のコネクタ、コンピュータ等の電子機器の部品、オフィス、屋内および屋外家具の部品、ギア、玩具、ノブ、コンベヤーまたはコンベヤーベルトの部品、ベアリング、燃料容器、自動車安全拘束装置、調剤ディスペンサ、医療用注射器、スキー締め具、ライター本体、ペン本体およびシートベルト拘束装置を挙げることができる。
【0061】
物品を成形するために、本明細書に記載されたポリオキシメチレン組成物を用いる他に、これらのポリオキシメチレン組成物を用いて、ブレンド、複合体またはラミネートを作製することができる。
【実施例】
【0062】
方法
ポリオキシメチレンの添加剤およびフィラーからの分離
ポリオキシメチレンポリマーにおけるパーセント現代炭素含量を求めるには、以下の方法を用いて、添加剤およびフィラーからポリオキシメチレンポリマーを分離すればよい。
【0063】
懸濁液を、室温(RT)にて窒素で30分間パージして、粉砕したポリオキシメチレン組成物(20g、100ミクロンの平均粒子サイズ)およびジメチルホルムアミド(300mL)から調製する。懸濁液を即時に加熱して還流(153℃)し、ポリマーが完全に溶融するまですばやく攪拌し、さらに5分間その温度に保持する。熱溶液を、即時にろ過して、加熱した焼結ガラスフィルタにて、不溶のフィラーを除去する。熱ろ液を、60℃未満に冷却し、ポリオキシメチレンポリマーを沈殿させる。沈殿物をろ過し、メタノールに3回浸漬(各回15分)して洗い、メタノールで少なくとも12時間ソックスレー抽出する。固体ポリオキシメチレンを乾燥し、トリクロロメタンで6時間ソックスレー抽出する。固体をアセトンで3回浸漬(各回15分)して洗い、真空中、70〜90℃で少なくとも12時間乾燥する。
【0064】
パーセント現代炭素の測定
表1に、メタノール、ポリオキシメチレンポリマーの製造における中間体の4つの試料の平均バイオベース含量を示す。ASTM−D6866法Bを行って、パーセント現代炭素(pMC)を求めた。平均バイオベース含量は、107.5pMCを100%とし、0pMCを0%と割り当てることにより誘導される。
【0065】
実施例E1は、Nagasaki Institute of Applied Science,Japanより提供された100%バイオベースのメタノールであった。実施例E2は、合成ガスから生成され、約40%バイオベース、60%化石ベースとされているBiomethanol Chemie Nederland(BioMCN),Netherlandsの部分バイオベースメタノールであった。比較例C1は、バイオベースの炭素がなく、完全に化石ベースとされている、Trinidad and Tobago天然ガスベースの設備から供給されるMethanex Corporationの市販のメタノールであった。比較例C2は、化石資源からのみ誘導された炭素を含有すると考えられるEMD Chemical Company,USAの市販のメタノールであった。
【0066】
【表1】

【0067】
E1に示されるメタノールは、100パーセントバイオベースの炭素であり、他の炭素流(例えば、化石炭素誘導メタノール)を合成に用いない限りは、表1に挙げたのと同じバイオベース含量を有する対応のホルムアルデヒド試料へと変換することができる。ホルムアルデヒド試料は、合成に用いる他の炭素流(例えば、処理溶剤、触媒)のポリオキシメチレンへの組み込みが最小である(<0.1〜2重量パーセント)限りは、表1に挙げたのと実質的に同様のバイオベース含量を有するポリオキシメチレンへと変換することができる。連鎖移動剤(水、メタノール、メチラールおよびその他反応性不純物および無水酢酸)は、ポリマー末端基となり得るが、ポリマー含量へのその寄与は小さく、典型的に、<0.1重量パーセントである。このようにして、化石資源から誘導される従来のポリオキシメチレンよりも大量のバイオベース炭素を有するポリオキシメチレンポリマーを生成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシメチレン組成物であって、
a)ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンターポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択されるポリオキシメチレンポリマーと、
b)0〜20重量パーセントの、潤滑剤、流動性改良剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、染料、顔料、衝撃改質剤、核形成剤およびUV安定剤からなる群から選択される、1種以上の有機添加剤と、
c)0〜50重量パーセントの1種以上のフィラーと
を含むポリオキシメチレン組成物であって、前記重量パーセントは前記組成物の総重量を基準とし、および
前記ポリオキシメチレンポリマーが、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量(Mean Biobased Content)Mean Biobased Content)を有する組成物。
【請求項2】
前記ポリオキシメチレンポリマーの前記平均バイオベース含量が、50パーセント以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシメチレンポリマーの前記平均バイオベース含量が、90パーセント以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシメチレンポリマーの前記平均バイオベース含量が、98パーセント以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシメチレンコポリマーが、前記ポリオキシメチレンコポリマーの重量を基準として、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、オキセタン、ジオキセパン、エチレンオキシドおよびブチレンオキシドからなる群から選択されるコモノマーの共重合から誘導された2モルパーセントまでの繰り返し単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1種以上のフィラーの重量パーセントが、前記組成物の総重量の0.1〜50であり、
前記1種以上のフィラーが、クレイ、セピオライト(sepiolite)、タルク、珪灰石、雲母(マイカ)および炭酸カルシウムから選択される鉱物;
ガラスファイバー、ミルドガラス、固体ガラスおよび中空のガラス球から選択されるガラス;
カーボンブラックおよびカーボンファイバーから選択されるカーボン;
二酸化チタン;
アラミド粉末;
金属粉末、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1種以上のフィラーが、ガラスファイバーである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
グリシジルエステル(glycidyl esters)のエチレンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアミド、トウモロコシからのアミロペクチンおよび可溶性デンプンからのアミロペクチンからなる群から選択される多糖類、ポリエチレン/ビニルアルコールコポリマーおよびこれらの混合物からなる群より選択される、前記ポリオキシメチレン組成物の総重量を基準として0.05〜2重量パーセントの1種以上の熱安定剤をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリエチレン、アルキルメタクリレートとのポリエチレンコポリマー、アルキルアクリレートとのポリエチレンコポリマー、スチレンコポリマー、ビニルフェノールとのポリエチレンコポリマー、セルロースエステル、ポリ乳酸、グリシジル(メソ)アクリレートのエチレンコポリマー、グリシジル(メソ)アクリレートのエチレンコポリマーと1種以上の(メソ)アクリレートエステルとの混合物およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の追加のポリマーをさらに含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を含む物品。
【請求項11】
ギア、ライター本体、ペン本体、医療用注射器、自動車安全拘束装置、コンベヤーベルトの部品、スキーブーツの部品、スキー締め具の部品、玩具、玩具の部品、楽器の部品の形態にある請求項10に記載の物品。
【請求項12】
ポリオキシメチレン組成物を製造する方法であって、
ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物を準備し、そして
前記ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物を重合して、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーおよびポリオキシメチレンターポリマーからなる群から選択されるポリオキシメチレンポリマーを形成することを含み、
前記ポリオキシメチレンポリマーの、ASTM−D6866法により求められる平均バイオベース含量が少なくとも20パーセントである方法。
【請求項13】
前記ホルムアルデヒドの、ASTM−D6866法により求められる平均バイオベース含量が少なくとも20パーセントである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
ホルムアルデヒドを準備することが、
合成ガスを準備し、
触媒を用いて合成ガスをメタノールに変換し、そして
触媒を用いてメタノールを酸化して、ホルムアルデヒドを生成することを含み、
前記ポリオキシメチレン組成物を、前記ポリオキシメチレン組成物の総重量を基準として0.1〜50重量パーセントの、クレイ、セピオライト、タルク、珪灰石、マイカおよび炭酸カルシウムから選択される鉱物;
ガラスファイバー、ミルドガラス、固体ガラスおよび中空のガラス球から選択されるガラス;
カーボンブラックおよびカーボンファイバーから選択されるカーボン;
二酸化チタン;アラミド粉末;金属粉末、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上のフィラーとブレンドすることをさらに含む方法。
【請求項15】
前記合成ガス、前記メタノール、前記ホルムアルデヒドまたはこれらの任意の組み合わせが、ASTM−D6866法により求められる少なくとも20パーセントの平均バイオベース含量を有する請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−501131(P2013−501131A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523713(P2012−523713)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044294
【国際公開番号】WO2011/017357
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】