説明

再生可能なマイクロチップ、それを用いる測定装置、およびマイクロチップの再生方法

【課題】基板の接合の不具合や異物により微細流路に詰まりが生じた場合に、容易に再生可能なマイクロチップを提供する。
【解決手段】再生可能なマイクロチップ1は、表面10aに微細流路12が形成されている第1の基板10を備え、微細流路12は、表面10aにおいて開放状態となるように形成されており、第1の基板10は、微細流路12に詰まりが生じた場合に、開放状態の微細流路12から前記詰まりを除去可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの試料を測定するための再生可能なマイクロチップ、それを用いる測定装置、およびマイクロチップの再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1には、マイクロチップを用いた電気泳動装置が記載されている。このマイクロチップは、一方に微細流路が形成された2枚の基板を予め接合して製造されたものである。この微細流路は、電気泳動の泳動液を充填するためのものである。これらの2枚の基板は、互いに強着されている。また、特許文献1には、キャピラリを形成するためのスリットが開けられたガラス基板の両面に2枚のガラス基板が接合された3層のマイクロ化学システム用チップが記載されている。これらの3枚のガラス基板は、相互に加熱融着または接着剤により接合されている。特許文献2には、2枚の樹脂基板の接合面に真空紫外線を照射し、加圧接合することにより製造された容易に剥離しないマイクロチップが記載されている。これらのマイクロチップは板状であるので、それ以前に使用されていたガラス管よりも破損しにくく、取扱い易いものとなっている。
【0003】
しかしながら、マイクロチップのキャピラリは、微細加工により形成されているため、基板の接合時に、不具合による詰まりを生じやすい。これにより、生産歩留まりが低下する。また、キャピラリ流路は、測定試料などの異物で詰まり易い。キャピラリ流路に異物による詰まりが生じると、マイクロチップは再使用できない。このような場合、マイクロチップは廃棄されることとなり、ランニングコストが増加する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Anal.Chem.1993,283,361−366
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−117279号公報
【特許文献2】特開2006−187730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、基板の接合の不具合や異物による微細流路の詰まりが生じた場合に容易に再生可能なマイクロチップ、それを用いる測定装置、およびマイクロチップの再生方法を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される再生可能なマイクロチップは、表面に微細流路が形成された、第1の基板を備えている、再生可能なマイクロチップであって、前記微細流路は、前記表面において開放状態となるように形成されており、前記第1の基板は、前記微細流路に詰まりが生じた場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去可能に構成されていることを特徴としている。
【0009】
好ましくは、前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返すことができるように構成され、前記表面に接合される接合面を有しており、かつ前記接合面が前記表面上に接合されることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、前記第2の基板は、前記微細流路を開放状態とするために前記第1の基板から分離され、前記詰まりの除去後、再度前記第1の基板に接合される。
【0010】
好ましくは、前記表面および前記接合面の少なくともいずれかは、微粘着性を有する材料から構成されている。
【0011】
好ましくは、前記微粘着性を有する材料は、ポリジメチルシロキサンである。
【0012】
好ましくは、前記表面と前記接合面とは、鏡面加工されている。
【0013】
好ましくは、前記微細流路が開放状態で使用される。
【0014】
好ましくは、前記表面の前記微細流路の周囲に撥水領域を備えている。
【0015】
好ましくは、キャピラリ電気泳動に用いられ、前記微細流路には泳動液が充填される。
【0016】
本発明の第2の側面により提供される測定装置は、表面に微細流路が形成され、かつ前記微細流路は前記表面において開放状態となるように形成されている第1の基板を備えている再生可能なマイクロチップを用いる測定装置であって、前記微細流路に詰まりが生じたか否かを検出する検出手段と、前記微細流路に詰まりが生じていることを検出した場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去する除去手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
好ましくは、前記マイクロチップは、前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返しできるように構成され、前記表面に接合される接合面を有し、かつ前記接合面が前記表面上に接合されることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、前記除去手段が前記微細流路から前記詰まりを除去する前に、前記微細流路を開放状態とするために、前記第2の基板を前記第1の基板から分離する分離手段と、前記除去手段が前記微細流路から前記詰まりを除去した後に、前記第2の基板を前記第1の基板に再度接合させることにより前記マイクロチップを組み立てる組み立て手段と、を備えている。
【0018】
本発明の第3の側面により提供されるマイクロチップの再生方法は、表面に微細流路が形成され、かつ前記微細流路は前記表面において開放状態となるように形成されている第1の基板を備えているマイクロチップの再生方法であって、前記微細流路に詰まりが生じているか否かを検出するステップと、前記微細流路に詰まりが生じていることを検出した場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去するステップと、を有することを特徴としている。
【0019】
好ましくは、前記マイクロチップは、前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返しできるように構成され、前記表面に接合される接合面を有し、かつ前記接合面を前記表面上に接合させることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、前記詰まりを除去するステップの前に、前記微細流路を開放状態とするために、前記第2の基板を前記第1の基板から分離するステップと、前記詰まりを除去するステップの後に、前記第2の基板を前記第1の基板に再度接合することにより組み立てるステップと、を有する。
【0020】
好ましくは、前記表面および前記接合面の少なくともいずれかが微粘着性を有する材料から構成されており、前記組み立てるステップにおいて、前記第2の基板の前記第1の基板への接合は、圧着により行われる。
【0021】
好ましくは、前記組み立てるステップにおいて、前記分離された第2の基板の他に、別の第2の基板を準備し、前記分離された第2の基板および前記別の第2の基板のいずれかを、前記第1の基板に接合させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基板の接合の不具合による詰まりや測定試料等の異物による微細流路の詰まりが生じた場合、マイクロチップを容易に再生できるので、生産歩留まりの向上、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る測定装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】(A)は、本発明に係るマイクロチップの一例を示す全体斜視図である。(B)は、(A)のマイクロチップから第2の基板を分離した状態を示す斜視図である。
【図3】(A)〜(C)は、図1に示す測定装置の組み立て部における図2(A)に示すマイクロチップの組み立てを説明する斜視図である。
【図4】図1に示す測定装置の組み立て部における図2(A)に示すマイクロチップのベルトコンベアへの移し替えを説明する斜視図である。
【図5】(A)〜(C)は、図1に示す測定装置の測定部における図2(A)に示すマイクロチップを用いた測定を説明する斜視図である。
【図6】図1に示す測定装置の分離部における図2(A)に示すマイクロチップの分離を説明する斜視図である。
【図7】(A)および(B)は、図1に示す測定装置の異物除去部における図2(A)に示すマイクロチップの第1の基板からの異物の除去を説明する斜視図である。
【図8】図1に示す測定装置の制御部の動作処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る測定装置の概略構成の他の例を示すブロック図である。
【図10】(A)は、本発明に係るマイクロチップの他の例を示す全体斜視図である。(B)は、(A)に示すマイクロチップのXB−XB線に沿う断面図である。
【図11】(A)〜(C)は、図9に示す測定装置の測定部における図10(A)に示すマイクロチップを用いた測定を説明する斜視図である。
【図12】(A)および(B)は、図9に示す測定装置の異物除去部における図10(A)に示すマイクロチップからの異物の除去を説明する斜視図である。
【図13】図9に示す測定装置の制御部の動作処理手順を示すフローチャートである。
【図14】(A)は、本発明に係るマイクロチップの他の例を示す全体斜視図である。(B)は、(A)のマイクロチップから第2の基板を分離した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
図1〜図7は、本発明が適用された再生可能なマイクロチップおよびこのマイクロチップを用いる測定装置の一例を示している。この測定装置は、キャピラリ電気泳動装置A1である。また、マイクロチップ1は、キャピラリ電気泳動に使用するためのものである。このマイクロチップ1およびキャピラリ電気泳動装置A1は、たとえば病院に設置され、患者から採取された試料を測定するために使用される。本実施形態において、試料は全血であり、測定対象物はグリコヘモグロビンである。
【0027】
図2(A)および図2(B)に示すように、マイクロチップ1は、第1の基板10と第2の基板11とを具備している。マイクロチップ1は、第1の基板10に第2の基板11を圧着して接合することにより、組み立てられている。第1の基板10は、たとえばポリメチルメタクリレート(以下PMMAという)を材料とする板状基板であり、繰り返し使用することができる。第1の基板10の表面10aには、微細流路12が形成されている。微細流路12は、表面10aにおいて開放状態となるように形成されている。微細流路12の周囲の表面10aは平滑な面であり、第2の基板11が接合される。第2の基板11が接合されることにより、泳動液が充填されるキャピラリが形成される。このキャピラリの上部および下部は光透過性とされており、光学的測定が可能となっている。
【0028】
なお、第1の基板10の材質はPMMAに限らず、微粘着性を有するポリジメチルシロキサン(以下PDMSという)を用いてもよい。また、第1の基板10は、微細流路12を形成するためのスリットが開けられたPMMAまたはPDMSの基板をPMMA等の基板に接合して形成してもよい。
【0029】
第2の基板11は、第1部材11aと第2部材11bの2層構造を有している。第2の基板11は、第1の基板10と同様、繰り返し使用することが可能である。第1部材11aは、たとえばPMMAを材料とする板状基板である。第2部材11bは、たとえば、PDMSを材料とする板状基板である。第2の基板11は、第2部材11bの第1の基板10の表面10aとの接合面11cが有する微粘着力によって、少なくとも微細流路12に充填された泳動液等が漏れないように、第1の基板10に接合している。第2部材11bは、接着剤などを用いて第1部材11aに貼り付けられている。比較的大きな強度を有する第1部材11aに貼り付けられることにより、第2部材11bは、粘着面の平面性を保持可能とされている。これにより、第2の基板11を第1の基板10に貼り付けることにより形成されるキャピラリの寸法精度が向上する。
【0030】
なお、マイクロチップ1では、第2の基板11の接合面11cおよび第1の基板10の表面10aの少なくともいずれかが、微粘着性を有する材料から構成されていればよい。従って、接合面11cが微粘着性を有していない場合は、表面10aをPDMS等の微粘着性を有する材料を用いて構成する。
【0031】
また、第2の基板11は、第1部材11aと第2部材11bとを接着剤を用いて接合したものに限らない。第2の基板11は、第1部材11aおよび第2部材11bの少なくともいずれかにPDMSなどの微粘着性を有する材料を用い、第2の基板11を第1の基板10に接合すると同時に、これらを圧着により接合して形成してもよい。これにより、たとえば第2部材11bの接合面のキャピラリ部に汚れが付着して除去できない場合、第2部材11bを第1部材11aからはがして取り替えることができる。もちろん、第2の基板11は2層構造に限らず、PDMSだけで構成することも可能である。
【0032】
第2の基板11には、貫通孔13a,14aが形成されている。これらの貫通孔13a,14aは、第2の基板11が第1の基板10に接合された場合に、上部に開口を有するリザーバ13,14を形成する。これらのリザーバ13,14は、微細流路12に繋がっている。このリザーバ13を介して、キャピラリ電気泳動用の泳動液が微細流路12に充填される。また、リザーバ13には試料が導入される。試料の導入後、リザーバ13,14には電気泳動用の電極が挿入され、電圧の印加により試料中に含まれる測定対象物が微細流路12中で分離される。
【0033】
図2(B)に示すように、マイクロチップ1は、第1の基板10と第2の基板11とに、容易に分離可能とされている。分離は、第1の基板10と第2の基板11との接合の不具合や異物により微細流路12に詰まりが生じた場合に、この詰まりを除去するために実施される。分離により、キャピラリを形成している微細流路12は、開放状態とされる。これにより、異物が露出するため、詰まりの除去が容易となる。また、第1の基板10と第2の基板11との接合の不具合に起因して、微細流路12に詰まりが生じている場合には、第2の基板11を接合しなおすだけで詰まりが解消する。
【0034】
第2の基板11は、一旦第1の基板10に接合された場合でも、第2部材11bの微粘着性は劣化せず、繰り返し第1の基板10に圧着して接合することが可能である。第1の基板10と第2の基板11の組み合わせは1対1に固定されるものではない。別のマイクロチップ1を形成していた第1の基板10と第2の基板11を組み合わせて新たなマイクロチップ1を形成することもできる。
【0035】
図1に示すように、キャピラリ電気泳動装置A1は、制御部2、制御線22、表示部3、操作部4、ベルトコンベア5、組み立て部6、測定部7、分離部8、および異物除去部9を具備している。
【0036】
制御部2は、キャピラリ電気泳動装置A1の動作処理を制御するためのものである。制御部2は、マイクロコンピュータ20(以下、CPUという)とメモリ21とを具備している。CPU20は、制御線22を介して、組み立て部6、測定部7、分離部8、異物除去部9、ベルトコンベア5、表示部3、および操作部4と接続されている。これらの構成要素とCPU20との間には、必要に応じてインターフェース回路(図示略)が配置される。CPU20は、メモリ21に記憶されているプログラムを実行することにより、キャピラリ電気泳動装置A1の動作処理を制御する。また、CPU20は、測定部7が取得したデータに基づいて、試料の測定結果を算出する。メモリ21は、ROM領域とRAM領域を備えている。ROM領域は、キャピラリ電気泳動装置A1の動作処理プログラムやパラメータを格納している。RAM領域は、動作処理プログラムの他、測定部7によって取得されたデータや操作部4から入力されたデータを一時的に記憶する。
【0037】
表示部3は、患者の情報、測定項目、測定条件、測定結果などを表示するためのものである。表示部3としては、たとえば、液晶表示装置(LCD)が使用される。操作部4は、患者の情報、測定項目、測定条件などを入力するためのものである。操作部4としては、たとえば、キーボードが使用される。
【0038】
ベルトコンベア5は、マイクロチップ1またはその部品である第1の基板10および第2の基板11を、組み立て部6、測定部7、分離部8、および異物除去部9の間で搬送するためのものである。マイクロチップ1等の搬送は、矢印で示す方向に行われる。これらの構成要素は、後述するマイクロチップ1等を載置するための載置台を具備しており、マイクロチップ1等に処理を行う場合には、マイクロチップ1等をベルトコンベア5から載置台に移し替える。その一方、構成要素が処理を行わない場合には、マイクロチップ1等は、ベルトコンベア1に載ったまま、その構成要素を通過する。
【0039】
組み立て部6は、第1の基板10に第2の基板11を接合して、マイクロチップ1を組み立てるためのものである。組み立て部6は、本発明でいう組み立て手段に相当する。図1に示すように、組み立て部6は、第1の基板保管ラック62、第2の基板保管ラック63、移し替え装置60、載置台61、および加圧ローラ64を具備している。
【0040】
第1の基板保管ラック62は、複数の第1の基板10を積み重ねて一時保管するためのものである。これらの第1の基板10は、使用者により供給される。または、後述する、微細流路12の詰まりの除去が行われ、再使用のためベルトコンベア5により搬送された第1の基板10が、移し替え装置60によって供給される。第2の基板保管ラック63は、複数の第2の基板11を積み重ねて一時保管するためのものである。これらの第2の基板11は、使用者により供給される。または、後述するようにマイクロチップ1から分離され、再使用のためにベルトコンベア5により搬送された第2の基板11が、移し替え装置60によって供給される。
【0041】
組み立て部6の載置台61は、マイクロチップ1を組み立てるための台である。後述の移し替え装置60によって、第1の基板10および第2の基板11が、この順に載置台61の上に積み重ねられる。図3(A)に示すように、載置台61は固定部61aを具備しており、載置されたマイクロチップ1等が容易に動かないように構成されている。
【0042】
組み立て部6の移し替え装置60は、マイクロチップ1を組み立てるために、第1の基板10および第2の基板11を、第1の基板保管ラック62または第2の基板保管ラック63から載置台61へ移し替えを行うためのものである。また、移し替え装置60は、マイクロチップ1から分離された第1の基板10および第2の基板11を、ベルトコンベア5から第1の基板保管ラック62または第2の基板保管ラック63へ移し替えを行う。また、移し替え装置60は、組み立てが完了したマイクロチップ1を載置台61からベルトコンベア5へ移し替えを行う。図3(A)に示すように、移し替え装置60は、吸引先端60aを具備しており、対象物を吸引して持ち上げることにより移し替えを行う。なお、後述の測定部7、分離部8、および異物除去部9の移し替え装置も吸引先端を具備しており、同様の方式でマイクロチップ1等の移し替えを行う。
【0043】
図3(A)は、移し替え装置60が第1の基板10を第1の基板保管ラック62から載置部61へ移し替える状態を示している。移し替え装置60は、第1の基板保管ラック62の最上部に積み重ねられた第1の基板10を吸引して持ち上げ、矢印で示すように載置台61の固定部61aの位置まで移送する。移し替え装置60は、吸引を解除して第1の基板10を放すことにより、移し替えを完了する。
【0044】
図3(B)は、移し替え装置60が第2の基板11を第2の基板保管ラック63から載置部61へ移し替える状態を示している。移し替え装置60は、第2の基板保管ラック63の最上部に積み重ねられた第2の基板11を吸引して持ち上げ、矢印で示すように載置台61の固定部61aの位置まで移送する。移し替え装置60は、既に載置された第1の基板10の上に第2の基板11を積み重ねた後、吸引を解除して第2の基板11を放す。これにより、第2の基板保管ラック63から載置部61への第2の基板11の移し替えは、完了する。
【0045】
図4は、組み立てが完了したマイクロチップ1が、載置台61からベルトコンベア5に移し替えられる状態を示している。移し替え装置60は、載置台61上のマイクロチップ1を吸引して持ち上げ、矢印で示すようにベルトコンベア5の位置まで移送する。移し替え装置60は、マイクロチップ1をベルトコンベア5上に載せた後、吸引を解除することにより、移し替えを完了する。
【0046】
加圧ローラ64は、第1の基板10に第2の基板11を圧着して接合するためのものである。図3(C)は、載置台61上で第1の基板10上に積み重ねられた第2の基板11に上方から圧力を加える状態を示している。加圧ローラ64は、第1の基板10と第2の基板11との積層体に対して矢印で示すように圧力を加える。これにより、マイクロチップ1の組み立ては完了する。第2の基板11は、微粘着性を有しており、この加圧により第1の基板10に所定の強度で均一に接合される。これにより、泳動液が微細流路12から漏れない状態で、試料の測定を行うことができる。
【0047】
なお、特別に組み立て部6を設けることなく、後述する測定部7に第1の基板保管ラック62、第2の基板保管ラック63、および加圧ローラ64を配置し、マイクロチップ1の組み立てを行うようにしてもよい。
【0048】
測定部7は、試料中の測定対象物を測定するためのものである。図1に示すように、測定部7は、移し替え装置70、載置台71、泳動液分注装置72、廃棄液吸引装置73、試料容器ラック75、試料分注装置74、電圧印加装置76、および光学測定装置77を具備している。
【0049】
測定部7の移し替え装置70は、組み立て部6から搬送されたマイクロチップ1をベルトコンベア5から載置台71に移し替えるためのものである。また、この移し替え装置70は、後述する分離部8に搬送されるマイクロチップ1を載置台71からベルトコンベア5に移し替える。
【0050】
載置台71は、測定に使用されるマイクロチップ1を載置するためのものである。図5(A)に示すように、載置台71は、組み立て部6の載置台61と同様、固定部71aを具備しており、載置されたマイクロチップ1が容易に動かないように構成されている。
【0051】
泳動液分注装置72は、電気泳動用泳動液をマイクロチップ1に分注するためのものである。泳動液分注装置72は、泳動液分注ノズル72a、チューブ72b、泳動液ボトル72cを具備している。また、泳動液分注ノズル72aと泳動液ボトル72cとの間にポンプ(図示略)を具備している。泳動液分注ノズル72aは、マイクロチップ1が載置台71に載置されると、待機位置からマイクロチップ1の上方に移動し、先端をリザーバ13に挿入する。泳動液ボトル72cに貯留された泳動液は、ポンプの駆動によって、チューブ72bを介して泳動液分注ノズル72aの先端からリザーバ13に所定の圧力で吐出される。そして、泳動液は、リザーバ13に繋がる微細流路12に充填される。
【0052】
なお、泳動液分注装置72は、泳動液の微細流路12への充填をリザーバ13への所定の圧力による吐出により行うものに限らない。泳動液分注装置72は、リザーバ13の開口部に配置され、泳動液を供給するための泳動液供給ノズル(図示略)、およびリザーバ14の開口部に配置され、泳動液を吸引するための泳動液吸引ノズル(図示略)を具備するように構成してもよい。この場合、泳動液分注装置72は、泳動液吸引ノズルが発生する陰圧により、泳動液供給ノズルから微細流路12へ泳動液を導く。
【0053】
廃棄液吸引装置73は、泳動液分注装置72による泳動液の分注により押し出されることによりリザーバ14から溢れる前回の測定に使用された廃棄液を吸引するためのものである。この廃棄液は、泳動液と試料とが混合したものである。また、マイクロチップ1が新たに組み立てられたものである場合、廃棄液吸引装置73は、泳動液の分注によりリザーバ14から溢れる泳動液を吸引する。図5(A)に示すように、廃棄液吸引装置73は、吸引ノズル73a、チューブ73b、および廃棄液ボトル73cを具備している。また、吸引ノズル73aと廃棄液ボトル73cとの間にポンプ(図示略)を具備している。吸引ノズル73aは、その先端がリザーバ14の開口部に位置するように移動する。廃棄液吸引装置73は、ポンプの駆動により、リザーバ14から溢れる廃棄液等を吸引ノズル73aから吸引し、チューブ73bを介して廃棄ボトル73cに廃棄する。
【0054】
なお、上述の泳動液分注装置72は、測定部7による測定対象物の測定が終了し、廃棄液吸引装置73がリザーバ14から微細流路12内の廃棄液を抜き取った後、新たな泳動液を充填するように構成してもよい。
【0055】
試料容器ラック75は、試料容器75aをセットするためのものである。試料容器ラック75は、複数の試料容器75aをセットできるようになっている。試料容器75aは、測定されるべき試料を収容するためのものである。この試料は、予め測定に適した希釈率に希釈されたものである。試料分注装置74は、試料容器75aに収容された試料を、マイクロチップ1に分注するためのものである。図5(B)に示すように、試料分注装置74は、試料分注ノズル74aを具備している。試料分注ノズル74aは、待機位置から試料容器75aの上方に移動し、試料を吸引する。次に、試料分注ノズル74aは、矢印で示すようにマイクロチップ1の上方に移動し、リザーバ13中に所定量の試料を吐出する。
【0056】
電圧印加装置76は、マイクロチップ1に電圧の印加を行うためのものである。図5(C)に示すように、電圧印加装置76は、電極保持部76aを具備しており、電極保持部76aの下方に2本の電極76b,76cが突出している。これらの2本の電極76b,76cは、それらの先端が同時にリザーバ13,14中に挿入されるように配置されている。電極76b,76c間には、電気泳動を行うための電圧が印加される。また、電圧印加装置76は、微細流路12の泳動液に流れる電流の測定を行うことができるように構成されている。電流測定は、微細流路12に異物が付着しているか否かを検出するために行われる。また、電流測定は、第1の基板10と第2の基板11との接合の不具合の有無を検出するために行われる。よって、電圧印加装置76は、本発明でいう検出手段に相当する。異物の付着や接合の不具合により微細流路12に詰まりが生じると、電気泳動が正常に行われないからである。微細流路12に詰まりが生じると、微細流路12の電気抵抗が高くなる。電流値が所定の値よりも小さい場合は微細流路12に詰まりが生じていると判断される一方、所定の値よりも大きい場合は微細流路12に詰まりが生じていないと判断される。
【0057】
光学測定装置77は、吸光光度法による測定を行うためのものである。図5(C)に示すように、光学測定装置77は、光源77aおよび受光部77bを具備している。載置台71に載置されたマイクロチップ1の下方に光源77aが配置されている一方で、受光部77bがマイクロチップ1の上方に、電極保持部76aに組み込まれて配置されている。光源77aは、矢印で示すように微細流路12の測定対象物が分離される位置に所定の波長の光を照射し、透過光を受光部77bが検出する。
【0058】
分離部8は、マイクロチップ1から第2の基板11を分離するためのものである。分離部8は、本発明でいう分離手段に相当する。図1に示すように、分離部8は移し替え装置80および載置台81を具備している。
【0059】
図6に示すように、載置台81は、分離に際し、マイクロチップ1を固定するためのものである。この載置台81は、固定部81aに第1の基板10を固定するための係止部(図示略)を具備している。この係止部は、第1の基板10と第2の基板11との接合力よりも相対的に強い力で第1の基板10を載置台81に固定する。移し替え装置80は、吸引先端80aにより、係止部が第1の基板10を固定部81aに固定する力よりも相対的に弱い一方、第1の基板10と第2の基板11との接合力よりも相対的に強い力で第2の基板10を吸引する。これにより、移し替え装置80はマイクロチップ1から第2の基板11を分離する。移し替え装置80は、分離した第2の基板11をベルトコンベア5に載せる。分離により、表面10aにおいて、微細流路12が開放状態となり、異物Eが露出する。
【0060】
なお、分離部8は、第1の基板10と第2の基板11との接合間に挿入するための小さなピン部材(図示略)を更に有するように構成してもよい。分離部8は、このピン部材の挿入を分離のトリガーとすることにより、第2の基板11をマイクロチップ1から、より容易に分離することができる。
【0061】
移し替え装置80は、上記の他、マイクロチップ1をベルトコンベア5から載置台81に移し替える役割を有している。また、移し替え装置80は、載置台81上に残された第1の基板10をベルトコンベア5に移し替える。第1の基板10を載置台81からベルトコンベア5に移し替える際、移し替え装置80は、載置台81が第1の基板10を係止する力よりも相対的に強い力で、第1の基板10を吸引する。
【0062】
異物除去部9は、第1の基板10の微細流路12から異物Eを除去するためのものである。異物除去部9は、本発明でいう除去手段に相当する。図1に示すように、異物除去部9は、移し替え装置90、載置台91、掻き取り装置92、および洗浄装置93を具備している。
【0063】
異物除去部9の移し替え装置90は、第1の基板10をベルトコンベア5から載置台91に移し替えるためのものである。また、移し替え装置90は、第1の基板10を載置台91からベルトコンベア5に移し替える。載置台91は、微細流路12からの異物Eの除去に際し、第1の基板10を固定するためのものである。
【0064】
掻き取り装置92は、微細流路12に付着した異物Eを掻き取るためのものである。図7(A)に示すように、掻き取り装置92は、掻き取り部材92aを具備している。掻き取り部材92aは、待機位置から載置台91に載置された第1の基板10の上方に移動する。掻き取り部材92aは、開放状態となっている微細流路12に沿って矢印の方向に移動することにより、異物Eを掻き取る。
【0065】
洗浄装置93は微細流路12を洗浄するためのものである。図7(B)に示すように、洗浄装置93は、洗浄ノズル93aを具備している。洗浄用ノズル93aは、待機位置から載置台91に載置された第1の基板10の上方に移動する。洗浄用ノズル93aは、微細流路12に沿って洗浄液を吐出しながら矢印の方向に移動し、微細流路12を洗浄する。これにより、洗浄装置93は、掻き取り装置92により掻き取られた異物Eを第1の基板10から除去する。
【0066】
なお、洗浄装置93の洗浄範囲は、微細流路12に限らない。洗浄装置93は、第2の基板11を分離した後の第1の基板10の表面10aをも洗浄できるように構成してもよい。また、分離後の第2の基板11の接合面11cを洗浄できるように構成してもよい。
【0067】
次に、キャピラリ電気泳動装置A1を利用して試料の測定処理を実行する場合におけるマイクロチップ1の再生方法の一例、ならびにキャピラリ電気泳動装置A1の制御部2の動作処理の一例について、図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0068】
先ず、組み立て部6が、第1の基板10に第2の基板11を貼り付けることによりマイクロチップ1を組み立てる(S1)。マイクロチップ1の組み立ては、以下の手順で行われる。先ず、移し替え装置60が、第1の基板10を第1の基板保管ラック62から載置台61へ移し替える。次に、移し替え装置60は、第2の基板11を第2の基板保管ラック63から、先に載置された第1の基板10の上に積み重ねる。次に、加圧ローラ64が、第1の基板10と第2の基板11との積層体に対して圧力を加える。第2の基板11は、その微粘着性により第1の基板10に均一に接合する。これにより、マイクロチップ1の組み立ては完了する。
【0069】
次に、ベルトコンベア5が、組み立て部6で組み立てられたマイクロチップ1を測定部7に搬送する(S2)。搬送の前に、先ず、組み立て部6の移し替え装置60が、組み立てが完了したマイクロチップ1を載置台61からベルトコンベア5に移し替える。次に、ベルトコンベア5は、マイクロチップ1を測定部7に搬送する。測定部7に到着したマイクロチップ1は、測定部7の移し替え装置70により、測定部7の載置台71に移し替えられる。なお、後述する測定部7、分離部8、異物除去部9、および組み立て部6の間のマイクロチップ1等の搬送は、これと同様の手順により行われる。
【0070】
次に、泳動液分注装置72が、マイクロチップ1に泳動液を分注する(S3)。泳動液分注ノズル72aの先端がリザーバ13に挿入され、泳動液がリザーバ13に分注される。リザーバ13に分注された泳動液は、更にリザーバ13に連通している微細流路12に充填される。リザーバ14から溢れ出る泳動液等の廃棄液は、廃棄液吸引装置73の吸引ノズル73aによって吸引され、廃棄ボトル73cに廃棄される。
【0071】
次に、試料分注装置74が、マイクロチップ1に試料を分注する(S4)。試料分注装置74の試料分注ノズル74aが、試料容器75a中の試料を吸入し、所定量の試料をリザーバ13中に分注する。
【0072】
次に、電圧印加装置76が、2本の電極76b,76cをリザーバ13,14に挿入し、両電極76b,76c間に電気泳動を行うための電圧の印加を行う(S5)。電極76b,76c間に電圧が印加されることにより、試料は微細流路12中を分離されつつ泳動し、測定対象物が所定の測定位置に移動する。同時に電圧印加装置76は、両電極76b,76c間に流れる電流の測定を行う(S6)。この電流測定のデータは、制御線22を介して制御部2に送られる。
【0073】
制御部2が、電流値が所定の値よりも大きく、微細流路12に詰まりが生じていないと判断した場合には、測定部7はキャピラリ電気泳動により分離された測定対象物の測定を行う(S7:NO,S15)。測定は、吸光光度法によって行われる。受光部77bによって取得された測定データは、制御線22を介して制御部2に送られる。制御部2のCPU20は、測定データから吸光度を算出し、メモリ21に記憶された検量線に基づいて試料中に含まれる測定対象物の濃度を算出する。算出された測定対象物の濃度はメモリ21に記憶され、患者の情報とともに表示部3に表示される。なお、測定が完了したマイクロチップ1は、載置台71にセットされたままにされ、次の測定に使用される。
【0074】
制御部2が、電流値が所定の値よりも小さく、微細流路12に詰まりが生じていると判断した場合、そのマイクロチップ1は測定に使用されることなく分離部8へ搬送される(S7:YES,S8)。マイクロチップ1の測定部7から分離部8への搬送は、上述した、組み立て部6から測定部7への搬送と同じ手順により行われる。
【0075】
次に、分離部8は、マイクロチップ1から第2の基板11を分離する(S9)。分離部8の移し替え装置80は、載置台81上のマイクロチップ1から第2の基板11を吸引して持ち上げることにより分離する。その後、移し替え装置80は、第2の基板11をベルトコンベア5上に移し替える。第2の基板11は、ベルトコンベア5により組み立て部6に搬送される(S10)。搬送された第2の基板11は、組み立て部6の移し替え装置60によりベルトコンベア5から第2の基板保管ラック63に移し替えられる。
【0076】
次に、分離部8の載置台81に残された第1の基板10は、ベルトコンベア5に移し替えられ、異物除去部9へ搬送される(S11)。第1の基板10の分離部8から異物除去部9への搬送は、上述した組み立て部6から測定部7への搬送と同じ手順により行われる。
【0077】
次に、異物除去部9の掻き取り装置92が、第1の基板10の微細流路12に付着した異物Eの掻き取りを行う(S12)。次に、異物除去部9の洗浄装置93が、微細流路12の洗浄を行う(S13)。これにより、掻き取り装置92によって掻き取られた異物Eが第1の基板10から洗い流される。
【0078】
なお、微細流路12の詰まりが第1の基板10と第2の基板11との接合の不具合により生じたものである場合には、第1の基板10が異物除去部9を通過する構成とすることも可能である。この場合は、分離部8が本発明でいう除去手段を兼ねることになる。
【0079】
次に、異物が除去された第1の基板10は、組み立て部6へ搬送される(S14)。第1の基板10の異物除去部9から組み立て部6への搬送は、上述した組み立て部6から測定部7への搬送と同じ手順により行われる。組み立て部6に搬送された第1の基板10は、組み立て部6の移し替え装置60によって、ベルトコンベア5から第1の基板保管ラック62に移し替えられる。
【0080】
このように、マイクロチップ1は、部品である第1の基板10および第2の基板11が測定装置A1に供給され、測定装置A1内で組み立てられる。組み立てにより微細流路12に詰まり等の不具合が生じた場合には、マイクロチップ1は、一旦第2の基板11と第1の基板10とに分離され、その後、再度組み立てられる。第2の基板11の第1の基板10への接合は、それらが有する微粘着性を利用して行われるので、マイクロチップ1の再生は容易に実施可能である。これにより、マイクロチップ1の生産歩留まりを向上することが可能である。また、微細流路12に測定試料等の異物により詰まりが生じた場合にも、第2の基板11はマイクロチップ1から分離される。第1の基板10から異物が除去された後、マイクロチップ1は、再度の組み立てにより再生される。これにより、マイクロチップ1を廃棄する必要はないので、ランニングコストを低く抑えることが可能である。
【0081】
[第2の実施形態]
図9〜図12は、本発明が適用された再生可能なマイクロチップおよびこのマイクロチップを用いる測定装置の他の例を示している。前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。この測定装置は、キャピラリ電気泳動装置A2である。また、マイクロチップ1Aは、キャピラリ電気泳動に使用するためのものである。測定に使用される試料は、全血であり、測定対象物はグリコヘモグロビンである。
【0082】
図10(A)に示すように、マイクロチップ1Aは、第1の基板10Aを具備している。第1の基板10Aは、たとえばPMMAを材料とする板状基板である。第1の基板10Aの表面10Aaには、微細流路12が形成されている。微細流路12は、表面10Aaにおいて開放状態となっている。微細流路12の両端には、上部に開口を有する円形凹状のリザーバ13A,14Aが形成されている。これらのリザーバ13A,14Aは、微細流路12に連通している。リザーバ13Aを介して、キャピラリ電気泳動用の泳動液が微細流路12に充填される。また、リザーバ13Aには試料が導入される。試料の導入後、リザーバ13A,14Aには後述する電気泳動用の2本の電極76b,76cが挿入され、両電極76b,76c間に電圧が印加されることにより、試料中に含まれる測定対象物が微細流路12中で分離される。
【0083】
図10(A)および図10(B)に示すように、微細流路12の周囲には、撥水処理が施された撥水領域15が設けられている。撥水領域15は、微細流路12に充填された泳動液が溢れることを防止するためのものである。撥水処理は、少なくとも微細流路12と微細流路12が形成された第1の基板の表面10Aaとの境界のエッジ部に施されることが必要である。また、微細流路12の下部は矢印で示すように光透過性とされており、光学的測定が可能である。
【0084】
図9に示すように、キャピラリ電気泳動装置A2は、制御部2、制御線22、表示部3、操作部4、ベルトコンベア5、測定部7A、および異物除去部9Aを具備している。キャピラリ電気泳動装置A2は、測定に用いるマイクロチップ1Aが、第2の基板を具備していないことから、組み立て部および分離部を具備していない。
【0085】
キャピラリ電気泳動装置A2が具備するベルトコンベア5は、マイクロチップ1Aを、測定部7Aおよび異物除去部9Aの間で搬送するためのものである。マイクロチップ1Aの搬送は、矢印で示す方向に行われる。測定部7Aおよび異物除去部9Aは、マイクロチップ1Aの載置台を具備している。測定部7Aおよび異物除去部9Aは、マイクロチップ1Aに処理を行う場合、マイクロチップ1Aをベルトコンベア5からそれぞれの載置台に移し替える。
【0086】
測定部7Aが具備する移し替え装置70は、再使用のため異物除去が行われ、ベルトコンベア5により搬送されたマイクロチップ1Aを後述するマイクロチップ保管ラック78に移し替えるためのものである。また、移し替え装置70は、マイクロチップ1Aをマイクロチップ保管ラック78から載置台71に移し替える。また、この移し替え装置70は、異物を除去すべきマイクロチップ1Aを載置台71からベルトコンベア5に移し替える。
【0087】
測定部7Aが具備するマイクロチップ保管ラック78は、マイクロチップ1Aを積み重ねて一時保管するためのものである。上述のように、再使用のため異物除去が行われ、ベルトコンベア5により搬送されたマイクロチップ1Aが、移し替え装置70によってマイクロチップ保管ラック78に供給される。また、マイクロチップ1Aは、使用者によってもマイクロチップ保管ラック78に供給される。
【0088】
図11(A)に示すように、測定部7Aが具備する泳動液分注装置72は、泳動液分注ノズル72aを具備している。泳動液分注ノズル72aは、マイクロチップ1Aが載置台71に載置されると、待機位置からマイクロチップ1Aの上方に移動し、先端をリザーバ13Aに挿入する。その後、分注ノズル72aは、先端から泳動液を吐出しながらマイクロチップ1Aの微細流路12に沿って矢印の方向に移動する。これにより、泳動液がマイクロチップ1Aの微細流路12に充填される。その際、分注装置72は、微細流路12から泳動液が溢れないように分注する。また、キャピラリ電気泳動装置A2の測定部7Aは、廃棄液吸引装置73を具備している。廃棄液吸引装置73は吸引ノズル73aを具備しており、吸引ノズル73aはリザーバ14Aから溢れる廃棄液等を吸引し、最終的にチューブ73bを介して廃棄ボトル73cに廃棄する。
【0089】
図11(B)に示すように、測定部7Aが具備する試料分注装置74は、試料分注ノズル74aを具備している。試料分注ノズル74aは、試料容器75aに収容された試料を吸引し、マイクロチップ1Aのリザーバ13A中に所定量の試料を吐出する。
【0090】
図11(C)に示すように、測定部7Aが具備する電圧印加装置76は、電極保持部76aの下部に突出した2本の電極76b,76cを具備している。これらの2本の電極76b,76cは、先端が同時にマイクロチップ1Aのリザーバ13A,14A中に挿入されるように配置されている。これらの電極76b,76c間に電気泳動を行うための電圧が印加される。キャピラリ電気泳動装置A2の電圧印加装置76は、第1の実施形態のキャピラリ電気泳動装置A1と同様、両電極76b,76c間に流れる電流の測定を行うことができるように構成されている。制御部2は、測定された電流値に基づいて微細流路12への異物の付着に起因する詰まりの有無を判断する。
【0091】
図9に示す異物除去部9Aが具備する移し替え装置90は、マイクロチップ1Aをベルトコンベア5から載置台91に移し替えるためのものである。また、この移し替え装置90は、マイクロチップ1Aを載置台91からベルトコンベア5に移し替える。
【0092】
異物除去部9Aが具備する掻き取り装置92は、マイクロチップ1Aの微細流路12に付着した異物を掻き取るためのものである。図12(A)に示すように、掻き取り装置92は、掻き取り部材92aを具備している。掻き取り部材92aは、待機位置から載置台71に載置されたマイクロチップ1Aの上方に移動する。掻き取り部材92aは、下降の後、微細流路12に沿って矢印の方向に移動することにより、異物Eを掻き取る。
【0093】
異物除去部9Aが具備する洗浄装置93は、微細流路12を洗浄するためのものである。図12(B)に示すように、洗浄装置93は、洗浄ノズル93aを具備している。洗浄用ノズル93aは、待機位置から載置台91に載置されたマイクロチップ1Aの上方に移動する。洗浄用ノズル93aは、微細流路12に沿って洗浄液を吐出しながら矢印の方向に移動し、微細流路12を洗浄する。これにより、洗浄装置93は、掻き取り装置92により掻き取られた異物Eをマイクロチップ1Aから除去する。
【0094】
次に、キャピラリ電気泳動装置A2を利用して試料の測定処理を実行する場合におけるマイクロチップ1Aの再生方法の一例、ならびにキャピラリ電気泳動装置A2の制御部2の動作処理の一例について、図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
先ず、測定部7Aにおいて、移し替え装置70が、マイクロチップ1Aをマイクロチップ保管ラック78から載置台71へ移し替える(S21)。次に、泳動液分注装置72が、泳動液をマイクロチップ1Aの微細流路12に分注する(S22)。その際、廃棄液吸引装置73が、リザーバ14Aから溢れる泳動液を吸引して廃棄ボトル73cに廃棄する。なお、前回の測定に使用されたマイクロチップ1Aがそのまま使用される場合には、廃棄液吸引装置73は前回の測定に使用された試料と泳動液とが混合した廃棄液を吸引する。
【0096】
次に、試料分注装置74が、試料をマイクロチップ1Aへ分注する(S23)。試料分注装置74の試料分注ノズル74aが、試料容器75a中の試料を吸入し、所定量の試料をリザーバ13A中に分注する。
【0097】
次に、電圧印加装置76が、リザーバ13A,14A中に電極76b,76cを挿入し、両電極76b,76c間に電圧を印加する(S24)。その際、電圧印加装置76は、微細流路12の泳動液に流れる電流を測定し、制御線22を介して測定データを制御部2に送る(S25)。制御部2が、電流値が所定の値よりも大きいため、微細流路に異物Eが付着していないと判断した場合には、光学測定装置77は、キャピラリ電気泳動により微細流路12内で分離された測定対象物の測定を行う(S26:NO,S31)。光学測定装置77によって取得された測定データは制御線22を介して制御部2に送られ、制御部2が測定対象物の濃度を算出する。算出された測定対象物の濃度はメモリ21に記憶され、患者の情報とともに表示部3に表示される。なお、測定が完了したマイクロチップ1Aは、載置台にセットされたままにされ、次の測定に使用される。
【0098】
制御部2が、電流値が所定の値よりも小さいため、微細流路12に異物Eが付着していると判断した場合、マイクロチップ1Aは測定に使用されることなく、移し替え装置70によって載置台71からベルトコンベア5に移し替えられ、異物除去部9Aに搬送される(S26:YES,S27)。
【0099】
次に、異物除去部9Aが具備する掻き取り装置92が、マイクロチップ1Aの微細流路12に付着した異物Eの掻き取りを行う(S28)。掻き取り装置92の掻き取り部材92aが、開放状態の微細流路12に付着した異物Eを掻き取る。次に、洗浄装置93が微細流路12の洗浄を行う(S29)。洗浄装置93の洗浄用ノズル93aは、微細流路12に沿って移動することにより、微細流路12を洗浄する。
【0100】
次に、異物除去部9Aにより異物Eが除去されたマイクロチップ1Aは、移し替え装置90によってベルトコンベア5に移し替えられ、測定部7Aへ搬送される(S30)。測定部7Aに搬送されたマイクロチップ1Aは、測定部7Aの移し替え装置70によって、ベルトコンベア5からマイクロチップ保管ラック78に移し替えられる。
【0101】
このように、マイクロチップ1Aは、第1の基板10Aのみで構成され、組み立ての必要がない。よって、マイクロチップ1Aでは、組み立てによる不具合は生じない。これにより、マイクロチップ1Aの生産歩留まりを向上することが可能である。また、微細流路12に試料等の異物Eにより詰まりが生じた場合であっても、マイクロチップ1Aは、微細流路12から異物Eを除去することにより容易に再生可能である。これにより、異物Eにより微細流路12に詰まりが生じた場合にも、マイクロチップ1Aを廃棄する必要はないので、ランニングコストを低く抑えることが可能である。
【0102】
[第3の実施形態]
図14(A)および図14(B)は、本発明が適用された再生可能なマイクロチップの他の例を示している。前記の実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。このマイクロチップ1Bは、たとえば第1の実施形態に記載したキャピラリ電気泳動装置A1による測定に用いられるものである。測定に使用される試料は、全血であり、測定対象物はグリコヘモグロビンである。
【0103】
図14(A)および図14(B)に示すように、マイクロチップ1Bは、第1の基板10Bと第2の基板11Bとを具備している。マイクロチップ1Bは、第1の基板10Bに第2の基板11Bを圧着して接合することにより、組み立てられている。第2の基板11Bには貫通孔13Ba,14Baが形成されている。これらの貫通孔13Ba,14Baは、第2の基板11Bが第1の基板10Bと接合され、上部に開口を有するリザーバ13B,14Bを形成している。また、第2の基板11Bは、第1の基板10Bの表面10Baに接合されることにより、微細流路12と、泳動液が充填されるキャピラリを形成する。これらのリザーバ13B,14Bおよびキャピラリは、上述の第1の実施形態に記載したマイクロチップ1のものと同様の機能を有している。
【0104】
図14(B)に示すように、マイクロチップ1Bは、第1の基板10Bと第2の基板11Bとに分離可能である。第1の基板10Bと第2の基板11Bとは、接合と分離を繰り返しすることができる。第1の基板10Bは、たとえばPMMAを材料とする板状基板である。第1の基板10Bの表面10Baは、鏡面加工されている。微細流路12が、表面10Baにおいて開放状態となるように形成されている。第2の基板11Bは、たとえばPMMAを材料とする板状基板である。第2の基板11Bは、第1の基板10Bとの接合面11Bcを備えている。この接合面11Bcも鏡面加工されている。第1の基板10Bと第2の基板11Bとの接合は、表面10Baと接合面11Bcを重ね合わせて、所定の圧力を加えることにより行われる。これにより、第1の基板10Bと第2の基板11Bとは、泳動液が充填されても分離しない程度に接合される。
【0105】
マイクロチップ1Bは、異物の付着や接合の不具合により微細流路12に詰まりが生じた場合でも、第1の実施形態のマイクロチップ1と同様、再生可能である。また、第1の実施形態のマイクロチップ1と同様、第1の基板10Bと第2の基板11Bの組み合わせは一対一に固定されるものではない。別のマイクロチップ1Bを形成していた第1の基板10Bと第2の基板11Bとを組み合わせて新たなマイクロチップ1Bを形成することもできる。
【0106】
このように、マイクロチップ1Bは、容易に分解および組み立てが可能である。これにより、マイクロチップ1Bは、組み立ての不具合により詰まりが生じたとしても、生産歩留まりを向上することが可能である。また、測定試料等の異物により微細流路12に詰まりが生じた場合、マイクロチップ1Bは、一旦第2の基板11Bと第1の基板10Bとに分離され、異物の除去の後、再度組み立てられる。これにより、マイクロチップ1Bを廃棄する必要はないので、ランニングコストを低く抑えることが可能である。
【0107】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る再生可能なマイクロチップ、それを使用する測定装置、およびマイクロチップの再生方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0108】
本発明に係る測定装置で測定される試料は、全血に限らない。血球、血漿、血清、尿、唾液、または間質液など、その他の体液とすることが可能である。また、体液以外の試料を対象とすることも可能であり、具体的な種類は限定されない。具体的な測定対象物は、グリコヘモグロビンに限らない。グリコヘモグロビン以外のタンパク質、ペプチド、または核酸などを対象とすることも可能である。また、測定処理の具体的内容も限定されない。
【0109】
本発明に係るマイクロチップは、マイクロチップを測定装置内で再生する使用に限らない。マイクロチップは、接合の不具合または異物による微細流路の詰まりを装置外で除去し、再度組み立てることにより再生することも可能である。
【0110】
本発明に係るマイクロチップの第1の基板および第2の基板は、板状基板に限らない。フィルム状の部材を用いることも可能である。
【0111】
本発明に係るマイクロチップの第1の基板に形成される微細流路は、単一の流路に限らない。第1の基板には、複数の微細流路を形成することも可能である。
【0112】
本発明に係るマイクロチップに使用する微粘着性を有する第2の基板として、弾力性に富むあまり第1の基板の微細流路に入り込む材料は、好ましくない。そのため、弾性率が小さく且つ柔軟な樹脂であることが好ましい。このような条件を満たす材料として、具体的には、PDMSを含むシリコンゴム、ポリウレタン、または熱可塑性エラストマーが使用できる。
【0113】
本発明に係るマイクロチップの第1の基板と第2の基板との接合方法は、基板の微粘着性を利用することまたは鏡面加工された基板を加圧することに限らない。接合は、特表2003−509251号公報に記載されたエネルギーが豊富な照射プロセスによりガラス転移温度が低減された基板を接合する方法、特開2006−187730号公報に記載された真空紫外線照射により前処理した基板を加圧手段により接合する方法、超音波溶着、熱圧着、接着剤、または溶剤接着による接合を容易にはがれるように調整したものでもよい。
【0114】
本発明に係る微細流路の詰まりの検出方法は、電流測定に限らない。エリアセンサを用いて撮影された画像を用いて検出することもできる。
【符号の説明】
【0115】
A1,A2 測定装置
E 異物
1,1A,1B マイクロチップ
12 微細流路
10,10A,10B 第1の基板
10a,10Aa,10Ba 表面
11,11B 第2の基板
11c,11Bc 接合面
15 撥水領域
6 組み立て部(組み立て手段)
76 電圧印加装置(検出手段)
8 分離部(分離手段)
9 異物除去部(除去手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に微細流路が形成されている第1の基板を備える、再生可能なマイクロチップであって、
前記微細流路は、前記表面において開放状態となるように形成されており、
前記第1の基板は、前記微細流路に詰まりが生じた場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去可能に構成されている、再生可能なマイクロチップ。
【請求項2】
請求項1に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返すことができるように構成され、前記表面に接合される接合面を有しており、かつ前記接合面が前記表面上に接合されることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、
前記第2の基板は、前記微細流路を開放状態とするために前記第1の基板から分離され、前記詰まりの除去後、再度前記第1の基板に接合される、再生可能なマイクロチップ。
【請求項3】
請求項2に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記表面および前記接合面の少なくともいずれかは、微粘着性を有する材料から構成されている、再生可能なマイクロチップ。
【請求項4】
請求項3に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記微粘着性を有する材料は、ポリジメチルシロキサンである、再生可能なマイクロチップ。
【請求項5】
請求項2に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記表面と前記接合面とは、鏡面加工されている、再生可能なマイクロチップ。
【請求項6】
請求項1に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記微細流路が開放状態で使用される、再生可能なマイクロチップ。
【請求項7】
請求項6に記載の再生可能なマイクロチップであって、
前記表面の前記微細流路の周囲に撥水領域を備えている、再生可能なマイクロチップ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の再生可能なマイクロチップであって、
キャピラリ電気泳動に用いられ、前記微細流路には泳動液が充填される、再生可能なマイクロチップ。
【請求項9】
表面に微細流路が形成され、かつ前記微細流路は前記表面において開放状態となるように形成されている第1の基板を備えている再生可能なマイクロチップを用いる測定装置であって、
前記微細流路に詰まりが生じたか否かを検出する検出手段と、
前記微細流路に詰まりが生じていることを検出した場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去する除去手段と、
を備える、測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の測定装置であって、
前記マイクロチップは、前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返しできるように構成され、前記表面に接合される接合面を有し、かつ前記接合面が前記表面上に接合されることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、
前記除去手段が前記微細流路から前記詰まりを除去する前に、前記微細流路を開放状態とするために、前記第2の基板を前記第1の基板から分離する分離手段と、
前記除去手段が前記微細流路から前記詰まりを除去した後に、前記第2の基板を前記第1の基板に再度接合させることにより前記マイクロチップを組み立てる組み立て手段と、
を備える、測定装置。
【請求項11】
表面に微細流路が形成され、かつ前記微細流路は前記表面において開放状態となるように形成されている第1の基板を備えているマイクロチップの再生方法であって、
前記微細流路に詰まりが生じているか否かを検出するステップと、
前記微細流路に詰まりが生じていることを検出した場合に、開放状態の前記微細流路から前記詰まりを除去するステップと、
を有する、マイクロチップの再生方法。
【請求項12】
請求項11に記載のマイクロチップの再生方法であって、
前記マイクロチップは、前記第1の基板に対して接合と分離を繰り返しできるように構成され、前記表面に接合される接合面を有し、かつ前記接合面が前記表面上に接合されることにより前記微細流路とキャピラリを形成する第2の基板を更に備えており、
前記詰まりを除去するステップの前に、前記微細流路を開放状態とするために、前記第2の基板を前記第1の基板から分離するステップと、
前記詰まりを除去するステップの後に、前記第2の基板を前記第1の基板に再度接合することにより組み立てるステップと、
を有する、マイクロチップの再生方法。
【請求項13】
請求項12に記載のマイクロチップの再生方法であって、
前記表面および前記接合面の少なくともいずれかが微粘着性を有する材料から構成されており、
前記組み立てるステップにおいて、前記第2の基板の前記第1の基板への接合は、圧着により行われる、マイクロチップの再生方法。
【請求項14】
請求項12に記載のマイクロチップの再生方法であって、
前記組み立てるステップにおいて、前記分離された第2の基板の他に、別の第2の基板を準備し、前記分離された第2の基板および前記別の第2の基板のいずれかを、前記第1の基板に接合させる、マイクロチップの再生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−177599(P2012−177599A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40336(P2011−40336)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【復代理人】
【識別番号】100152342
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 益史
【Fターム(参考)】