説明

再生可能エネルギーの蓄積および利用方法

本発明は、太陽、風または波から取り出された再生可能エネルギーを蓄積および利用するための方法を含む。本発明は、たとえば風車(1)の動力となる再生可能エネルギーが液体ポンプ(3)内での加圧された液体の生成に用いられ、その液体はその後液体タービン(9)の作動のために用いられ、その液体タービンが電気エネルギーを生成し、その電気エネルギーは、消費地において取り出され、または現存する配電網に連結される、ということに基づく。風車(1)が消費されるよりも多くのエネルギーを生成するとき、過剰なエネルギーは、たとえばゴムのような可撓性材料から作製された圧力タンク(17)内の加圧された液体に集められ蓄積される。再生可能エネルギー源が、たとえば風車(1)によって、消費に合う十分な電気エネルギーを生成できない期間には、圧力タンク(17)が液体タービンに作動のための液体を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば風車の利用を含む、太陽、波、風などのエネルギー源から取り出された再生可能なエネルギーの利用方法に関する。この方法では、エネルギーは液体ポンプの作動によって蓄積されるが、当該ポンプは液体を圧力タンクへポンプ輸送できるものであり、その後、液体タービンが液体ポンプからの液体および/または圧力タンクからの液体によって作動されることにより、エネルギーは必要に応じて用いられる。
【背景技術】
【0002】
地球規模でのエネルギー需要の結果として、太陽、風および波などの再生可能エネルギー源が、化石燃料の代替品として、ますます多く用いられている。化石燃料は、限りある資源であることのほか、人間を含む自然にとって環境負荷の原因となる。
【0003】
この数十年を通じて、たとえば風車発電は、多くの国、特に先進工業国におけるエネルギー消費に多大な貢献をもたらすようになった。
【0004】
しかしながら、上述した再生可能エネルギー源には、所定の天候条件下でのみエネルギーを生成できるという、実用上の制限がある。
【0005】
一例として、風車は所定の風速の範囲内でのみエネルギーを生成できるが、そのため、風速などの天候条件が最適な期間に再生可能エネルギーを蓄積し、その後、そのエネルギーをたとえば風車がエネルギーを生成できないときに使用できる技術を使用することは魅力的である。
【0006】
そのような技術は、欧州特許出願公開第1637733号明細書から公知である。この文献では、加圧された液体が貯蔵のために圧力タンク内にポンプ輸送され、その後、たとえば天候条件により風車が最適に作動できないとき、タービンを作動させるために液体が用いられることにより、風車で生成されたエネルギーが蓄積される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この公知の技術に関連して、使用される圧力タンクは液体蓄積のために定められた容積を有するので可撓性を有しない、ということを含む、いくつかの欠点があることがわかっている。
【0008】
圧力タンクは、液体ポンプの容量およびタンクの許容最大圧力と同様に、限られた圧力の範囲内にある液体をポンプ輸送することによってのみ、エネルギーを蓄積できる。
【0009】
したがって、公知のタンクは、規定のタンクおよび規定の液体ポンプのために、定められた容積によって規定される比較的小さなエネルギー範囲内においてのみ効率的に作動可能である。
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、再生可能エネルギーの使用のための公知の方法を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、請求項1の前置部分に明記された型の方法であるが、圧力タンクがたとえばゴム含有ポリマーのような曲げられる材料から作製されることを特徴とする方法に
よって、達成される。
【0012】
このようにすれば、たとえば風の強い天気の間に風車によって生成され、加圧された液体で構成され、これまで可能であったよりも相当に大きなエネルギー範囲において圧力タンク内に蓄積される、過剰なエネルギーを貯蔵することができる。
【0013】
本発明の発明に係るさらに好ましい実施の形態は、請求項2および請求項3に規定される。
【0014】
本発明は、図面を参照して、より完全に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】再生可能エネルギーの利用のための風車を基礎とした設備であって、風車により生成されたエネルギーが、加圧された液体を圧力タンク内に蓄積する液体ポンプの作動のため、および/または、液体タービンの作動のために使用される設備の、簡略化された図である。
【図2】圧力タンクを上方から見た簡略化された図である。
【図3】図2に示される同一の圧力タンクを断面視した簡略化された図である。
【図4】図3と同一であるが、圧力タンクの底部に係留のための石または同種の材料が充填されている、簡略化された図である。
【図5】使い古されたオイルタンカーが液体タービンと圧力タンクとの両方を含み、風車により生成された加圧された液体がオイルタンカーに供給される設備の、簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、記号1は三枚の羽根を有する風車を示すが、その風車は、2で示される回転方向に回転する。
【0017】
風車は、たとえば水のような液面18を有する液体中に設置され、たとえば淡水または塩水を有する湖または海の底部19に設置される。
【0018】
風車1は、たとえば回転する羽根とポンプ3との間の、駆動歯車またはシャフトで構成される機械的直結によって、液体ポンプ3を作動させる。
【0019】
液体ポンプ3には、入口4を介して、たとえば水のような液体5が供給される。
加圧された液体は、液体ポンプ3から出口配管6を経由して、運ばれた加圧された液体によって電気エネルギーが生成される液体タービン9、または、いわゆる圧力タンク17へ運ばれる。
【0020】
圧力タンク17は、液体ポンプ3からタンクへ供給される液体に加えて、空気または好ましくは大気を含む気体も含むことを特徴とする。
【0021】
圧力タンクは、液体と気体との両方を通さず、それゆえに、液体および気体の圧力および体積に関する物理法則に従う。
【0022】
使用される圧力、好ましくは20atm(気圧)以下において、液体の体積は一定であるとみなされるが、一方、圧力と体積との積は一定であると明示する公式に従って、タンク内の気体または空気は反応する。
【0023】
たとえば、液体ポンプ3から液体を供給される前の圧力タンク17が、単に圧力1at
mの大気を含んでいれば、圧力タンク17の容積の半分に液体が充填されたときの液体と気体との圧力は2atmであり、タンク17の四分の三に液体が充填されたときの圧力は4atmである。
【0024】
液体ポンプ3が圧力20atmの液体を供給するのであれば、圧力タンクの容積の95%に液体が充填されることに対応するが、それにより、残りの5%は、圧縮空気または気体からなる。
【0025】
風が強いとき、風車1は、液体ポンプ3内で加圧された液体を生成する。
加圧された液体は液体ポンプ3から液体タービン9へ運ばれ、液体タービンは電気エネルギーを生成し、電気エネルギーは電気ケーブルを経由して消費地または現存する配電網へ伝えられる。
【0026】
ある特定の期間に風車で生成されたエネルギーが液体タービン9で生成される電気エネルギーを超えるのであれば、加圧された液体からなる余分のエネルギーは、液体ポンプ3から配管7を経由して、エネルギーが蓄積され得る圧力タンク17へ運ばれる。
【0027】
風車が液体タービン9で生成される電気エネルギーの必要量に合う十分な量のエネルギーを供給できない期間には、液体タービン9の作動のための液体の全部または一部が、圧力タンク17から供給される。
【0028】
液体タービン9へ運ばれた液体は、タービンを通過後、出口配管10を経由して排出される。
【0029】
本設備の主な構成間を連結する配管には、電動弁または油圧駆動弁などの弁(13,14)が設けられ、これにより工程が自動化されている。
【0030】
好ましい工程管理の一例が以下に述べられる。
液体タービン9において消費されるよりも多い液体を液体ポンプ3が生成するのであれば、弁14が開かれると、過剰な液体は配管7を経由して液体ポンプ3から圧力タンク17へ運ばれる。
【0031】
これは、液体ポンプ3によって供給される、圧力タンク17内の圧力が最大圧力に達するまで行なわれる。
【0032】
液体タービン9によって使用されるよりも少ない液体を液体ポンプ3が生成するのであれば、弁13が開くことにより、配管12を経由して圧力タンク17から液体タービン9へ、追加の液体が運ばれる。
【0033】
これは、圧力タンク17内の圧力が、液体タービン9を作動させるために使用されなければならない最低圧力を超えている限り、行なわれる。
【0034】
したがって、上述した工程管理は、
a)液体ポンプ(3)からの液体の圧力および流量
b)圧力タンク(17)内の液体の圧力
c)液体タービン(9)から取り出されるエネルギー
を含む運転パラメータによって制御される。
【0035】
好ましい実施の形態では、この工程は、コンピュータにより制御された制御回路によって自動制御される。
【0036】
配管系および圧力タンクを含む管網において、特定の時刻の圧力により制御されて、設備の管網を液体が自動的に流れるように、逆止弁が適用される制御を含む、いくつかの他の形式の制御を用いてもよい。
【0037】
運転効率との関係において、液体ポンプ3、液体タービン9および圧力タンク17などの設備の主要構成要素は、好ましくは、周辺からの同一の外部圧力によって当該構成要素が影響を受けるように、同一の鉛直方向高さに配置されるのが適切であることが、試験により示された。
【0038】
したがって、当該構成要素は、もし湖または海を中心とした環境に設置されるのであれば、同一の水深に配置されるのが適切である。
【0039】
液体タービンの出口11が、たとえば湖または海を中心とした設備において水面の背圧を受けずに排出されれば、運転上の利点を産み出すことが、さらなる試験により示された。
【0040】
図2は、好ましい型の圧力タンク17を上方から見た簡略化された図である。図2中の断面線21に由来する圧力タンク17の断面図が、図3に示されている。
【0041】
圧力タンク17は、管または筒として作製されている。当該管または筒は、液体と気体または空気との混合物を含み、底部20を取り囲む。底部20には、図4によると、たとえば岩または砂利のような、圧力タンク17が設置される湖底または海底に自然に存在する材料22が充填されている。
【0042】
底部20に充填するために、岩、砂利またはその他の環境にやさしい材料22を使用することにより、単純で効率がよく安価な方法によって圧力タンク17が係留されるという利点が得られる。
【0043】
圧力タンク17は、図2から図4に示されるように、容積の柔軟性を最適化するために曲げることのできる、ゴムを含有するポリマーにより作製されてもよい。
【0044】
これにより、タンクは著しく大きな範囲でエネルギーを蓄積できることが達成されるが、この範囲は、液体ポンプの容量、タンクの最大運転圧力およびタンクの柔軟性により規定される。
【0045】
従来公知の容積不変の圧力タンクと比較して、エネルギー蓄積範囲が100%以上増加したことが、実施試験により示された。
【0046】
図5には、船26が、好ましくは可撓管23を介して、風車1によって作動される液体ポンプ3に連結される、簡略化した図が示される。
【0047】
船26は、有利には、オイルタンカーを含む使い古された元タンカーであってもよく、船の以前の積荷タンク27が設備の圧力タンクを構成するように、船が改造されている。
【0048】
タンカー26はまた、有利には、液体タービンを含んでもよい。液体タービンは電気エネルギーを生成する。この設備は、電気ケーブルを介して、電気エネルギーを船26から消費地または現存する電気供給網へ供給する。
【0049】
圧力タンク27の基礎を成すものとして使い古されたタンカー26を使用することによ
り、超大容量のタンクがごく僅かなコストで得ることができ、これにより設備の総コストが最小化される、という利点が得られる。
【0050】
図5に模式的に示されるように、液体ポンプ3は鉛直方向において、圧力タンク27および液体タービンを含む船26の高さに設置されているのが有利である。
【0051】
液体は、液体タービンを駆動させるものであるが、参照番号25のように使用後に出口配管24を経由して排出されてもよい。
【0052】
船26には、液体タービンおよび圧力タンクに加えて、一つのまたはいくつかの風車1および液体ポンプ3が設けられてもよい。これにより、たとえば使い古されたオイルタンカーにより構成される船26は、再生可能エネルギーの利用および蓄積のための全てのエネルギー設備を物理的に含む。
【0053】
風車などの、一次エネルギー変換器のいくつかが、同一の液体タービンおよび/または水圧タンクの周囲で作動のために連結され得ることは、本発明の一部である。
【0054】
風車や、いわゆるラム(ram)技術に基づく設備を含む波力設備などの、異なる一次エネルギー変換器のいくつかが、同一の液体タービンおよび/または水圧タンクに作動のために連結され得ることは、同様に本発明の一部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たとえば風車(1)の利用を含む、太陽、波、風などのエネルギー源から取り出された再生可能なエネルギーの利用方法であって、前記方法では、前記エネルギーは液体ポンプ(3)の作動によって蓄積されるが、前記ポンプは液体を圧力タンク(17)へポンプ輸送できるものであり、その後、液体タービン(9)が前記液体ポンプ(3)からの液体および/または前記圧力タンク(17)からの液体によって作動されることにより、前記エネルギーは必要に応じて用いられ、
前記圧力タンク(17)はゴム含有ポリマーなどの曲げられる材料から作製されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記圧力タンク(17)は管として成形され、前記管は底部(20)を取り囲むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧力タンク(17)は、砂または岩などの、湖底または海底から採取され前記底部表面(20)に堆積される材料を用いて、湖底または海底に係留されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−520404(P2010−520404A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552064(P2009−552064)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000062
【国際公開番号】WO2008/106967
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509250009)
【氏名又は名称原語表記】I/S BOEWIND
【Fターム(参考)】