説明

再生微粉末、その回収方法、それを用いたコンクリート組成物及び分級装置

【課題】セメント硬化体由来成分が多く、水酸化カルシウムを多く含む、コンクリート用混和材として有用な再生微粉末、その効率のよい回収方法、及び、本発明の再生微粉末を用いてなる、高強度で中性化が抑制された硬化体を形成しうるコンクリート組成物を提供する。
【解決手段】解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末であり、好ましくは、水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再生微粉末、その回収方法、それを用いたコンクリート組成物及び分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクル資源の有効活用の観点から、解体コンクリート由来の有用な材料を回収して利用する方法が種々検討されている。なかでも解体コンクリートを粉砕し、そこに含まれる粗骨材、細骨材を回収する方法は広く行われている。近年、骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末の利用についても注目されているが、解体コンクリート粉末の再生利用に際しては、回収された解体コンクリート粉末中に活性の高いセメント硬化体由来成分と活性のない骨材成分が混在しており、活性のない骨材成分が多く含有されることから解体コンクリート粉末の活性が低く、再生利用が進んでいないのが現状である。
解体コンクリート粉末の利用方法としては、例えば、加熱処理後の解体コンクリートから骨材を回収する際に生じる解体コンクリート粉末を予熱した後、セメント原料の一部としてロータリーキルンに導入して焼成し、セメントクリンカーを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法は、解体コンクリート粉末の回収に際して、多くのエネルギーを費やす加熱処理を必要とすることから、省エネルギーの観点からの利点は少ない。また、回収した解体コンクリート粉末の微粉部分を用いる提案がなされているが、依然として骨材成分が多く残留しているため、回収粉末中のセメント硬化体由来成分を十分活用できていない。
【0003】
解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末を用いて、再生セメントを作製する方法も提案されているが(例えば、特許文献2、3参照。)、前記したように、活性のない骨材成分が多く含有されることから解体コンクリート粉末の活性が低くセメントとしての性能が十分でない。そのため、普及が進んでいないのが現状であり、解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末の有効利用が熱望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−313056公報
【特許文献2】特開平10−114556号公報
【特許文献2】特開2005−320201公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した問題に鑑みてなされた本発明の課題は、解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末の有効利用、即ち、セメント硬化体由来成分が多く、水酸化カルシウムを多く含む、コンクリート用混和材として有用な再生微粉末、及び、該再生微粉末の効率のよい回収方法を提供することにある。本発明のさらなる課題は、前記本発明の再生微粉末をコンクリート用混和材として用いてなる、高強度で中性化が抑制された硬化体を形成しうるコンクリート組成物を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、解体コンクリート粉末をセメント硬化体由来成分を多く含む微粉(再生微粉末)と、骨材成分を多く含む粗粉に分級することができる分級装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、検討の結果、解体コンクリート粉末において特定の粒子径のものを選択し、再生微粉末とすることで上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成したものである。
さらに、従来の再生微粉末が、単に解体コンクリートの破砕物、または解体コンクリート粉末をそのまま用いていたのに対し、本発明の好適な態様においては、再生微粉末として、セメント硬化体由来成分或いは水酸化カルシウムの含有率が適正なものを選択し、これを使用することにより、コンクリート組成物としてより安定した品質の組成物を提供しうることを見出したものである。
【0007】
すなわち、本発明の構成は以下に示す通りである。
請求項1に記載の再生微粉末は、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の再生微粉末は、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たすことを特徴とする。
(1)セメント硬化体由来成分を40質量%〜90質量%含有する。
(2)水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含有する。
【0008】
請求項3に記載の再生微粉末は、請求項1又は請求項2に記載の再生微粉末であって、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末を、不活性ガス雰囲気下、又は、二酸化炭素遮断雰囲気下で遠心式風力分級装置によって分級されて得られたことを特徴とする。
請求項4に記載のコンクリート組成物は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の再生微粉末を含有することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の再生微粉末の回収方法は、解体コンクリートを竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用いて処理し、粗骨材を回収する粗骨材分離工程と、粗骨材を除去した後に残存する細粒を、遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置を用いて処理し、細骨材と粉末とに分離する細骨材分離工程と、細骨材を除去した後に残存する解体コンクリート粉末を、遠心式風力分級装置によって分級し、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末を得る分級工程と、をこの順で有することを特徴とする。
請求項6に記載の再生微粉末の回収方法は、前記請求項5に記載の再生微粉末の回収方法であって、前記分級工程が、不活性ガス雰囲気下、又は、二酸化炭素遮断雰囲気下で行われることを特徴とする。
【0010】
本発明の再生微粉末は、前記粒径を有することで、粉末に含まれるセメント硬化体由来成分或いは水酸化カルシウムの含有量が、コンクリート組成物に好適な範囲となるため、コンクリート用混和材として有用である。また、本発明の再生微粉末の回収方法によれば、コンクリート組成物に有用な再生微粉末を容易に得ることができる。
【0011】
請求項7に記載の発明に係る分級装置は、解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末を供給する密閉された解体コンクリート粉末供給手段と、密閉した筒体と、前記筒体の側壁に設けられ前記筒体内部に前記解体コンクリート粉末が供給される解体コンクリート粉末供給部と、前記筒体の側壁に設けられ前記筒体内部の前記解体コンクリート粉末を拡散させる拡散気流を吐出する気流吐出手段と、前記筒体の上部に設けられ、前記解体コンクリート粉末を粗粉と微粉に分級する分級手段と、前記分級手段で分級された前記微粉を吸引する微粉吸引部と、前記解体コンクリート粉末供給手段から前記解体コンクリート粉末を前記解体コンクリート粉末供給部に圧送する解体コンクリート粉末圧送手段と、を有する分級装置本体と、前記分級装置本体の外部に設けられ、前記微粉吸引部、前記微粉を回収する微粉回収手段、フィルタ、前記解体コンクリート粉末圧送手段及び前記気流吐出手段をそれぞれ順次連結する密閉された流通路と、前記流通路内に設けられ循環気流を発生させる送風装置と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明によれば、解体コンクリート粉末供給手段が、解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末を分級装置本体に供給する。
解体コンクリート粉末は、分級装置本体の筒体の側壁に設けられた解体コンクリート粉末供給部から、筒体内部に供給される。このとき、圧送手段で解体コンクリート粉末に圧力が加えられて供給される。供給された解体コンクリート粉末は、筒体の側壁に設けられた気流吐出手段から吐出された拡散気流で、拡散され、拡散された解体コンクリート粉末は、筒体の上部に設けられた分級手段で粗粉と微粉に分級される。分級された微粉は、筒体の側壁に設けられた微粉吸引部から吸引され、筒体の外部にとり出される。
【0013】
分級装置本体の外部には密閉された流通路が設けられ、微粉吸引部、微粉を回収する微粉回収手段、フィルタ、解体コンクリート粉末供給部及び気流吐出手段をそれぞれ順次連結している。流通路には送風装置が設けられ、流通路の内部には、送風装置が発生させた循環気流が循環している。
これにより、解体コンクリート粉末を、大気と遮断した状態で、粗粉と微粉に分級することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の分級装置において、前記送風装置は、吸引側の気流で、前記微粉吸引部から吸引した前記微粉を前記微粉回収手段で回収し、吐出側の気流で、前記解体コンクリート粉末供給部の先端から前記解体コンクリート粉末を上方に向けて供給すると共に、前記気流吐出手段からの吐出側の気流で、前記解体コンクリート粉末を拡散させることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、送風装置からの気流で、微粉吸引部から吸引した微粉を微粉回収手段で回収し、解体コンクリート粉末供給部の先端から解体コンクリート粉末を上方に向けて供給すると共に、分岐させた気流吐出手段からの吐出側の気流で解体コンクリート粉末を拡散させる。
これにより、連続して、解体コンクリート粉末を大気と遮断した状態で、粗粉と微粉に分級することができる。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の分級装置において、前記分級手段は、分級ロータを回転させて前記解体コンクリート粉末に与えた遠心力と、前記分級ロータの内部に設けられた前記微粉吸引部の吸引空気による向心力とのバランスで分級点を定め分級することを特徴としている。
請求項9に記載の発明によれば、解体コンクリート粉末を分級する分級点が、分級ロータを回転させて解体コンクリート粉末に与えた遠心力と、分級ロータの内部に設けられた微粉吸引部の吸引空気による向心力(吸引力)とのバランスで定められる。
これにより、解体コンクリート粉末をセメント硬化体由来成分を多く含む微粉(再生微粉末)と、骨材成分を多く含む粗粉に分級することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、解体コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末の有効利用、即ち、セメント硬化体由来成分が多く、水酸化カルシウムを多く含む、コンクリート用混和材として有用な再生微粉末、及び、該再生微粉末の効率のよい回収方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記本発明の再生微粉末を用いてなる、高強度で中性化が抑制された硬化体を形成しうるコンクリート組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、解体コンクリート粉末をセメント硬化体由来成分を多く含む微粉(再生微粉末)と、骨材成分を多く含む粗粉に分級することができる分級装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1、2及び比較例1〜4で得られた再生微粉末の粒度分布を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態に係る分級装置の基本構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る分級装置で分級される解体コンクリート粉末の製造フローを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る分級装置で使用される分級ロータの構造及び作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
<再生微粉末及びその回収方法>
本発明の再生微粉末は、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下であることを特徴とする。
累積50%粒径が10μmを超える粉末の場合、骨材などセメント硬化体由来成分以外の不純物を多く含むことになり、好ましくない。累積50%粒径は、好ましくは、8μm以下であり、より好ましくは、5μm以下である。但し、本発明の再生微粉末における粒径1μm以下の微粉末の含有量が多くなった場合には、粉末の凝集が生じやすくなるなどハンドリング性が低下するため、累積50%粒径の下限値は1μm程度であることが好ましい。
また、累積90%粒径が20μm以下であるとは、本発明の粉末における粒径20μm以上の粉末の含有量が10%以下であることを示すが、累積50%粒径、即ち、平均的な粒径が10μm以下であっても、20μm以上の比較的大きな粒径の粒子を含有する場合には、再生微粉末における成分として、水酸化カルシウムやセメント硬化体由来成分などの有効成分以外の含有量が増えることになり、本発明の優れた効果を発現しない懸念がある。
【0020】
なお、本明細書において、累積50%粒径及び累積90%粒径は、体積を基準として、以下の条件で測定したものであり、本発明においては、この条件にて測定した値を用いている。
粉末0.5gを、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液中で3分間超音波分散させた後、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300:日機装(株)製)にて測定を行った。
【0021】
本発明者らは、検討の結果、再生微粉末における上記累積50%粒径と、得られる粉末の組成に相関があることを見出した。即ち、累積50%粒径が小さくなるほど、得られる粉末中の水酸化カルシウムやセメント硬化体由来成分が増加する傾向にある。
例えば、築44年の建物解体時に発生した解体コンクリートから、まず、竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用いて粗骨材を除去し直径5mm以下の解体コンクリート細粒を製造した。得られた5mm以下の解体コンクリート細粒を遊星ミル型の解体コンクリート細粒処理装置を用いて細骨材と解体コンクリート粉末に分離処理を行った。
得られた解体コンクリート粉末を分級して、粒径と水酸化カルシウム含有量、セメント硬化体由来成分(具体的には、セメント水和物、未水和セメント)含有量を測定したところ、累積50%粒径が16.1μmの粉末では、水酸化カルシウムを3.1質量%、セメント硬化体由来成分を35.7質量%含有するのに対し、累積50%粒径が7.02μmの粉末では、水酸化カルシウムを4.9質量%、セメント硬化体由来成分を55.0質量%含有し、累積50%粒径が3.17μmの粉末では、水酸化カルシウムを7.1質量%、セメント硬化体由来成分を76.5質量%含有するものであり、累積50%粒径が小さいほど、コンクリート組成物に用いた場合に良好な物性を示した。
【0022】
なお、得られた再生微粉末の物性に注目すれば、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下である再生微粉末の組成としては、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たすものであることが好ましく、双方を満たすものであることがより好ましい。以下、これらの条件について説明する。
【0023】
(1)セメント硬化体由来成分を40質量%〜90質量%含有する。
本発明における「セメント硬化体由来成分」とは、セメント水和物、及び、未水和セメントを指し、これらの総量が粉末総量に対し、40質量%〜90質量%含有することが好ましく、60質量%〜90質量%含有することがより好ましい。セメント硬化体由来成分が40質量%未満の粉末では、コンクリート組成物に用いた場合、硬化体の性能向上に寄与しない成分が多く、十分な硬化物性が得られない懸念があり、90質量%を超える粉末を得るためには、より細かい粉末のみを回収するために粉砕や分級を行う必要があり、そのため回収エネルギーを多く要する点で好ましくない。
なお、粉末中に含まれるセメント硬化体由来成分の含有量は、以下に示す方法により測定することができる。
粉末(粉末質量A)を60℃の2N塩酸にて可溶分を完全に溶解後、ろ過して純水で洗浄する。ろ紙に残留した不溶分を80℃の5%炭酸ナトリウム水溶液にて溶解し、残留した不溶分を110℃で乾燥した後、不溶分質量Bを測定する。セメント硬化体由来成分は、この方法における可溶分であるため、セメント硬化体由来成分=(粉末質量A−不溶分質量B)/粉末質量A×100(%)、で求めることができる。
【0024】
(2)水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含有する。
本発明の再生微粉末の第2の好ましい物性としては、水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含むことが挙げられ、粉末が適用されるコンクリート組成物の品質を制御するという観点からは6質量%〜15質量%のものが好ましい。
再生微粉末中の水酸化カルシウム含有率は、熱重量分析法により測定することができる。
再生微粉末の水酸化カルシウムの含有率が4質量%未満の場合には、有効成分の量が少なく、得られるコンクリート組成物の硬化物性が十分に得られないおそれがある。一方、本発明の再生微粉末の原料となるコンクリート廃材の組成を考慮すれば、水酸化カルシウムの含有率が15質量%を超える粉末を得ることが困難である。
【0025】
本発明の再生微粉末は、例えば、解体コンクリートから粗骨材や細骨材を取り除いて得た解体コンクリート粉末を、分級して得ることができる。このとき解体コンクリートから分離された粗骨材や細骨材も再生品として使用することができる。
以下、本発明の再生微粉末について、その製造方法とともに詳細に説明する。
本発明の再生微粉末を製造するには、まず、解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収する骨材除去工程を行う。ここで、粗骨材の分離は、解体コンクリートを粉砕し、粗骨材を回収する公知の方法で行うことができるが、本発明における好ましい再生微粉末の回収方法には、加熱を行わない機械擦りもみ方式により行われることが、製造時の二酸化炭素の削減という観点から好適である。
【0026】
解体コンクリートからの骨材除去工程において、粗骨材回収工程では、竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用い、粗骨材と5mm以下の細粒(解体コンクリート細粒)とを分離し、粗骨材回収後に残存する解体コンクリート細粒からの細骨材回収には遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置を用いる方法がある。
以下、解体コンクリートから粗骨材を回収した後に残存する解体コンクリート細粒から、再生微粉末を回収する方法について、遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置による方法を例に挙げて説明する。
【0027】
遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置を用いて、遊星ミルのミル本体に取付けられ、前記ミル本体の軸回りに公転しながら自転するミルポットに気体を送り、該ミルポット内部で、細骨材の表面にセメント硬化体が付着した解体コンクリート細粒同士をすり合わせ、前記細骨材と前記セメント硬化体を分離させる。
このとき、前記遊星ミルの外部に設けられた粉末除去手段の送風装置から前記ミルポットへ気体を送り、分離された前記セメント硬化体を含む粉末を前記ミルポットから除去させ、除去された前記粉末を粉末回収装置で回収し、これを次工程である分級工程に付す。このとき得られる回収粉末は、本発明にて規定する粒度分布に適合し、セメント硬化体由来成分を多く含む本発明の再生微粉末と、骨材成分を多く含む粗粉が混合した解体コンクリート粉末であり、この解体コンクリート粉末を後述する分級装置により分級することで本発明の再生微粉末が得られる。
また、セメント硬化体が除去された細骨材は、ミルポットの下方に設けた細骨材回収部で回収され、再生細骨材として利用される。
【0028】
得られた解体コンクリート粉末を、分級装置を用いて分級し、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末を得る。
この分級を行う際には、分級を密閉された空間内で行い、空間内の空気中の二酸化炭素を除去する方法、或いは、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを封入した装置内で行う方法をとることで、処理中の炭酸化による水酸化カルシウム含有率の減少を抑制することができ、本発明における如き最適な水酸化カルシウム含有率の粉末を得ることができる。
【0029】
なお、水酸化カルシウムの含有量を前記適切な範囲に維持する目的で、分級工程のみならず、偏心ロータ方式や遊星ミル等の機械擦りもみ装置を用いた骨材除去工程においても、機械すりもみプロセスを密閉された空間内で行い、空間内の空気中の二酸化炭素を除去する方法、或いは、窒素ガスなどの不活性ガスを封入する方法をとることが好ましい態様である。
【0030】
分級装置としては、密封された循環路に気体を循環させることができる遠心式風力分級装置を用いることが好ましい。この分級装置を用いて、密閉された空間にて処理を行うと、分級開始初期に、密閉された空気中の二酸化炭素が粉末中に含まれる水酸化カルシウムと反応して、除去される。そして、二酸化炭素が除去された後は、二酸化炭素の少ない空気が循環することとなる。二酸化炭素の少ない空気を循環させることで、セメントによりアルカリ性となった粉末を、中性化することなく、アルカリ性を保持したまま回収できる。また、分級に用いる気体として、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性気体を用いた場合も、粉末中に含まれる水酸化カルシウムの含有量を好ましい範囲に維持することができる。
【0031】
分級工程を経て、累積50%粒径が10μm以下に調整された再生微粉末は、セメント硬化体由来成分、水酸化カルシウムの含有量が、セメント水和物に近いものであって、含有量も安定したものとなるため、コンクリート組成物に好適に用いられる。
【0032】
<コンクリート組成物>
本発明のコンクリート組成物は、前記本発明の再生微粉末を含有する。
なお、本発明におけるコンクリート組成物とは、粗骨材を含有しないもの、含有するものの双方を包含する意味で用いられる。
本発明の再生微粉末は、セメント硬化体由来成分、水酸化カルシウムの含有量が、セメント水和物に近いため、この粉末をポルトランドセメントなどに添加して使用することができる。
コンクリート組成物における本発明の再生微粉末の含有量は、セメント100質量部に対して、5質量部〜80質量部の範囲であることが好ましく、10質量部〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
【0033】
また、再生微粉末を含有するコンクリート組成物には、さらに、高炉セメントや高硫酸塩スラグセメントを含んでいてもよい。
高炉セメントとは、高炉スラグ微粉末を用いたセメントであり、日本工業規格JIS R5211に高炉セメントが規格化されている。これによれば、高炉セメントA種では高炉スラグ微粉末の含有量が5質量%〜30質量%、B種では30質量%〜60質量%、C種では60質量%〜70質量%と定められており、実際に流通し、使用されているのは、高炉スラグ微粉末の含有量が50質量%前後のB種セメントが大半を占める。
このような高炉セメントを、一般に用いられるポルトランドセメントに代えて使用することができる。高炉セメントを用いるとポルトランドセメントを少なくすることができ、ポルトランドセメント製造時に必要なエネルギーの削減及び発生する二酸化炭素削減の点で好ましい。セメントとして高炉セメントを用いた場合も、本発明の再生微粉末の含有量の好ましい範囲は、上記と同様である。
【0034】
また、本発明のコンクリート組成物には、高硫酸塩スラグセメントを、一般に用いられるポルトランドセメントに代えて使用することができる。
本発明における高硫酸塩スラグセメントとは、高炉スラグ微粉末を60質量%〜95質量%、セッコウを5質量%〜20質量%、ポルトランドセメントを0〜35質量%の割合で含有する混合物である。さらに、高硫酸塩スラグセメントにはアルカリ刺激材として、水酸化カルシウム、生石灰、軽焼マグネシウム、軽焼ドロマイト、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を加えることもできる。
高硫酸塩スラグセメントを用いた場合も、高炉セメントと同様、ポルトランドセメントを少なくすることができ、二酸化炭素削減の点で好ましい。高硫酸塩スラグセメントを用いた場合も、本発明の再生微粉末の含有量の好ましい範囲は、上記と同様である。
【0035】
本発明のコンクリート組成物には、上記必須成分に加え、通常、コンクリート組成物に用いられる各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されない。
〔実施例1、2、比較例1〜4〕
(再生微粉末の製造)
築44年の建物解体時に発生した解体コンクリートから、特許第2128455号公報に記載の竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用いて、粒径5mmを超える再生粗骨材と粒径5mm以下の解体コンクリート細粒と、に分離し、粗骨材を回収した。次に粒径5mm以下の解体コンクリート細粒を、前記遊星ミル型の解体コンクリート細粒処理装置を用いて処理し、粒径0.6mmを超える細骨材を回収した。
次に、細骨材回収後に残留する0.6mm以下の解体コンクリート粉末を、遠心式風力分級装置((株)栗本鐵工所製シャープカットセパレーター KA50)を用いて分級し、抽出した。このとき、気体として、空気を用い、分級速度は2kg/hとした。
分級装置の分級ロータ回転数、風量、等の条件を制御することで、累積50%粒径が3.17μm(実施例1)、7.02μm(実施例2)、16.10μm(比較例1)、45.55μm(比較例2)、321.4μm(比較例3)、及び、7.62μm(比較例4)の粉末を得た。
分級処理後に得られた粉末について、粒度分布を測定した。測定は、粉末0.5gを0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液中で3分間超音波分散させた後、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300)にて測定を行った。図1は、粒度分布を示すグラフである。
また、得られた粉末の成分分析を行い、セメント硬化体由来成分と水酸化カルシウムの含有量を測定した。結果を下記表1に示す。
【0037】
〔実施例3〕
(再生微粉末の製造)
実施例1で用いた築44年の建物解体時に発生した解体コンクリートに代えて、材齢6ヶ月のコンクリート硬化体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の再生微粉末を得た。粒度分布、成分分析を実施例1と同様に行った。結果を下記表1に示す。
〔実施例4〕
(再生微粉末の製造)
分級を密閉された空間内で行うことができる遠心式風力分級装置を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の再生微粉末を得た。粒度分布、成分分析を実施例1と同様に行った。結果を下記表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
上記表1にも明らかなように、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下の実施例1〜実施例4の粉末では、水酸化カルシウムの含有量が実用上好ましい範囲であり、セメント硬化体由来成分が全体の50質量%以上を占め、実用上十分な量であることが確認された。また、実施例2と比較例4との対比より、累積50%粒径が10μm以下であっても、累積90%粒径が20μmを超える再生微粉末では、水酸化カルシウム含有量、セメント硬化体由来成分含有量ともに、実施例1及び2よりも低く、実用に供し得ないレベルであった。
また、実施例3と実施例4との対比より、二酸化炭素を遮断した密閉された空間内で分級を行った実施例4は、実施例3に比べて水酸化カルシウムの含有量が高くなることがわかる。
【0040】
〔比較例5〕
(再生微粉末の製造)
実施例1と同様にして、粒径5mmを超える再生粗骨材と粒径5mm以下の解体コンクリート細粒と分離し、粗骨材を回収した。次に、実施例1と同様にして、粒径5mm以下の解体コンクリート細粒を、前記遊星ミル型の解体コンクリート細粒処理装置を用いて処理し、粒径0.6mmを超える細骨材を回収した。細骨材回収後に残留する0.6mm以下の粉末を比較例5の再生微粉末とした。
【0041】
〔比較例6〕
(再生微粉末の製造)
実施例1で用いたものと同様の築44年の建物解体時に発生した解体コンクリートを50mm以下に粉砕し、ジョークラッシャーを用いて粒径5mm以下に破砕した。その後、これをダブルロールクラッシャーにて、全量を0.6mm以下の粒径に破砕し、得られた粒径0.6mm以下の粉末を比較例6の再生微粉末とした。
〔成分分析〕
比較例5及び比較例6で得られた再生微粉末を、実施例1と同様にして成分分析した。結果を前記表1に併記した。
実施例1に示したのと異なる方法で得られた再生微粉末は、セメント硬化体由来成分、水酸化カルシウム量ともに、実施例1及び実施例2の再生微粉末よりも少なく、コンクリート組成物に使用するには物性が劣るものであった。
【0042】
〔実施例5〜14、比較例7〜14〕
(コンクリート組成物の製造)
以下に示す原料を用いて、下記表2に示す組成のコンクリート組成物を調製した。
再生微粉末:
実施例1で得られた再生微粉末
実施例3で得られた再生微粉末
実施例4で得られた再生微粉末
比較例1で得られた再生微粉末
比較例5で得られた再生微粉末
比較例6で得られた再生微粉末
【0043】
セメント:
c−1:高炉セメントB種(密度3.04g/cm
c−2:高炉スラグ微粉末65%及び普通ポルトランドセメント35%(合計100%)の割合で含有する高炉セメント(密度2.99g/cm
c−3:普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm
c−4:高炉スラグ微粉末60%、普通ポルトランドセメント30%、及び無水セッコウ10%(合計100%)の割合で含有する高硫酸塩スラグセメント(密度2.98g/cm
骨材:
砂(細骨材):大井川産山砂、
砕石(粗骨材):岡崎産砕石
添加剤:
ポリカルボン酸系高性能減水剤
【0044】
【表2】

【0045】
得られたコンクリート組成物の硬化物性のうち、圧縮強度をJIS A 1108(2006年)に準拠して、中性化深さをJIS A 1152(2002年)、JIS A 1153(2003年)に準拠してそれぞれ測定した。これらの結果を下記表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
表3に記載のように、本発明の再生微粉末を含有する実施例5〜実施例14のコンクリート組成物は、比較例7〜比較例14のコンクリート組成物に比べ、得られた硬化物は圧縮強度に優れ、中性深さも小さいことがわかる。
このように、本発明の再生微粉末を用いて、コンクリート組成物を調製することで、得られた成形体の圧縮強度が低下せず、効果的に中性化を抑制しうることがわかる。
【0048】
<分級装置>
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る分級装置10は、遠心式の風力分級装置であり、密閉された筒体17を備えた分級装置本体16を有している。筒体17は、中心線を鉛直方向に向けた円筒状とされ、上部と下部の円筒体をつなぐ中間部が、円錐状にくびれて径が細くされている。分級は筒体17の上部で行われ、分級される解体コンクリート粉末50は解体コンクリート粉末供給機12から、筒体17の中間部に供給される。
【0049】
解体コンクリート粉末供給機12は、投入口62から投入された解体コンクリート粉末50を一時貯蔵すると共に、所定量が供給部64から筒体17へ供給される。筒体17への解体コンクリート粉末50の供給は、解体コンクリート粉末供給機12の下部に設けられたスパイラル羽根63により行われる。スパイラル羽根63の回転により、解体コンクリート粉末50が供給部64を経て解体コンクリート粉末供給管14へ送り出され、解体コンクリート粉末供給管14の先端68から筒体17の内部に供給される。
【0050】
解体コンクリート粉末供給機12は、密閉構造とされており、大気中の二酸化炭素と解体コンクリート粉末50の反応が抑制される。なお、後述するように、分級装置10の全体が密閉構造とされており、分級された微粉74や粗粉72も大気中の二酸化炭素との反応が抑制される。
ここに、解体コンクリート粉末50は、図3の製造フローに示す手順を経て生成される。先ず、建物解体時に発生した解体コンクリート52を破砕し、破砕された粒径40mm以下の解体コンクリート52を竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置54に投入する。竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置54で処理された5mmを超える粗骨材56を回収し、残りの5mm以下の解体コンクリート細粒を連続遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置58に投入する。連続遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置58で処理された粒径が0.6mmを超える細骨材60を回収し、残りの粒径が0.6mm以下の粉末を遠心式風力分級機10に投入する。
【0051】
この粒径0.6mm以下の粉末が、セメント硬化体由来成分を多く含む再生微粉末と、骨材成分を多く含む粗粉と、が混合された解体コンクリート粉末50である。遠心式風力分級機10は、解体コンクリート粉末50を再生微粉末と骨材成分を多く含む粗粉と、に分級するよう制御される。
【0052】
図2に示すように、解体コンクリート粉末供給管14は、分級装置本体16の側壁を貫通して内部に挿入され、円錐体の最もくびれた位置よりやや下方に、粉末供給口68を上方に向けて開口している。解体コンクリート粉末供給管14の分級装置本体16の外側は供給部64と接続され、解体コンクリート粉末50が解体コンクリート粉末供給機12から供給される。また、解体コンクリート粉末供給管14は、ダクト33と解体コンクリート粉末圧送部76で接続され、後述する循環気体で解体コンクリート粉末50に圧力が加えられる。これにより、解体コンクリート粉末50を粉末供給口68から、上方(円錐体の最もくびれた位置)に向けて解体コンクリート粉末50を吹き出すことができる。
【0053】
解体コンクリート粉末供給管14の先端68は、筒体17のほぼ中央に配置されており、解体コンクリート粉末供給管14の先端68を囲む筒体17の側壁には、気流吐出口36が設けられている。気流吐出口36は、筒体17の側壁から拡散気流を吹き出して、筒体17の内部に供給された解体コンクリート粉末50を、筒体17の上部で拡散させる。
分級装置本体16の下部には、筒体17の一部を構成し、粗粉72を回収する粗粉捕集容器66が着脱可能に取り付けられている。
筒体17の上方には、分級ロータ20が設けられている。分級ロータ20は、鉛直方向に設けられた回転軸の軸心y回りに回転し、筒体17の内部に拡散された解体コンクリート粉末50に水平方向の遠心力を付与する。分級ロータ20はモータ70で回転力が与えられる。
【0054】
次に、図4を用いて分級ロータ20の構造、作用を詳細に説明する。
分級ロータ20は、図4(A)の鉛直断面、図4(B)の水平断面で示すように、平板状の羽根38が放射状に並べられた羽根車であり、羽根38は、上側板40と下側板41の間に同心円状に固定されている。
分級ロータ20は、所定の回転数で矢印Aの方向に回転し、拡散された解体コンクリート粉末50に遠心力Fを付与する。遠心力Fを付与された解体コンクリート粉末50は、分級ロータ20から遠ざかる方向に移動する。
【0055】
分級ロータ20の下側板41には、分級ロータ20と軸心yを一致させた微粉吸引管22が設けられている。微粉吸引管22の吸引口23は、下側板41の下方から挿入され、上方に向けて開口している。これにより、吸引口23から吸引される吸引気流で解体コンクリート粉末50に吸引口23に向かう力である向心力(吸引力)Rを与えることができる。
ここに、解体コンクリート粉末50が受ける遠心力Fは(1)式で求められ、向心力Rは(2)式で求められる。
【0056】
【数1】

【0057】
遠心力Fと向心力Rが等しくなる粒子径Dpを分級径とする。粒子径Dpが分級径以上の粉末(粗粉)72は、遠心力Fが向心力Rより大きくなるため分級ロータ20の外に移動した後、自然落下する。この粗粉72は粗粉捕集容器66で回収される。
一方、粒子径Dpが分級径以下の粉末(微粉)74は、向心力Rが遠心力Fより大きくなり、微粉74として微粉回収容器26で回収される。
粒子径Dpが同じであっても、粒子の密度が異なれば遠心力Fも異なる。例えば、骨材粉末46の密度は約2.6g/cmであり、セメント硬化体粉末44の密度は約2.2g/cmである。即ち、骨材粉末46の密度がセメント硬化体粉末44の密度より大きいため、粒子径Dpが同じ場合には、骨材粉末46の遠心力Fがセメント硬化体粉末44の遠心力Fより大きくなる。
【0058】
この密度の違いにより、篩やフィルタによる分別と異なり、解体コンクリート粉末50を、セメント硬化体由来成分を多く含む微粉74と、骨材成分を多く含む粗粉72に分級することができる。
また、図2に示すように、分級装置本体16の外部には、ダクト33、34、35が設けられ、微粉吸引部22、再生微粉末を回収するサイクロン式の微粉回収容器26、バグフィルタ30、解体コンクリート粉末供給機12の順に連結している。ダクト33、34とダクト35の間には、送風機32が設けられており、密閉した状態でダクト33、34、35の内部と分級装置本体16の内部に気体を循環させることができる。
これにより、送風機32は、吸引気流で、微粉吸引部22から微粉74を吸引し、サイクロン式の微粉回収容器26に回収する。また、ダクト33からの吐出気流で、解体コンクリート粉末供給圧送部76を介して解体コンクリート粉末供給管14から解体コンクリート粉末50を分級部本体16の内部に上方に向けて供給する。同時に、ダクト34からの吐出気流で、解体コンクリート粉末50を拡散させる。
【符号の説明】
【0059】
10 遠心式風力分級装置(分級装置)
12 解体コンクリート粉末供給機(解体コンクリート粉末供給手段)
14 解体コンクリート粉末供給管(解体コンクリート粉末供給部)
16 分級装置本体
20 分級ロータ
22 微粉吸引部(微粉吸引管)
26 微粉回収容器(微粉回収手段)
30 バグフィルタ(フィルター)
32 送風機(送風手段)
33 ダクト(流通路)
34 ダクト(流通路)
35 ダクト(流通路)
36 気流吐出口(気流吐出手段)
44 セメント硬化体粉末
46 骨材粉末
50 解体コンクリート粉末
72 粗粉
74 微粉(再生微粉末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末。
【請求項2】
解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末の分級品であって、累積50%粒径が10μm以下であり、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たす再生微粉末。
(1)セメント硬化体由来成分を40質量%〜90質量%含有する。
(2)水酸化カルシウムを4質量%〜15質量%含有する。
【請求項3】
解体コンクリートから粗骨材と細骨材とを回収した後に発生する解体コンクリート粉末を、不活性ガス雰囲気下、又は、二酸化炭素遮断雰囲気下で遠心式風力分級装置によって分級されて得られた請求項1又は請求項2に記載の再生微粉末。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の再生微粉末を含有するコンクリート組成物。
【請求項5】
解体コンクリートを竪型偏心ロータ式再生粗骨材製造装置を用いて処理し、粗骨材を回収する粗骨材分離工程と、粗骨材を除去した後に残存する細粒を、遊星ミル型解体コンクリート細粒処理装置を用いて処理し、細骨材と粉末とに分離する細骨材分離工程と、細骨材を除去した後に残存する解体コンクリート粉末を、遠心式風力分級装置によって分級し、累積50%粒径が10μm以下であり、且つ、累積90%粒径が20μm以下である再生微粉末を得る分級工程と、をこの順で有する再生微粉末の回収方法。
【請求項6】
前記分級工程が、不活性ガス雰囲気下、又は、二酸化炭素遮断雰囲気下で行われる請求項5に記載の再生微粉末の回収方法。
【請求項7】
コンクリートから骨材を回収した際に発生する解体コンクリート粉末を供給する密閉された解体コンクリート粉末供給手段と、
密閉した筒体と、前記筒体の側壁に設けられ前記筒体内部に前記解体コンクリート粉末が供給される解体コンクリート粉末供給部と、前記筒体の側壁に設けられ前記筒体内部の前記解体コンクリート粉末を拡散させる拡散気流を吐出する気流吐出手段と、前記筒体の上部に設けられ、前記解体コンクリート粉末を粗粉と微粉に分級する分級手段と、前記分級手段で分級された前記微粉を吸引する微粉吸引部と、前記解体コンクリート粉末供給手段から前記解体コンクリート粉末を前記解体コンクリート粉末供給部に圧送する解体コンクリート粉末圧送手段と、を有する分級装置本体と、
前記分級装置本体の外部に設けられ、前記微粉吸引部、前記微粉を回収する微粉回収手段、フィルタ、前記解体コンクリート粉末圧送手段及び前記気流吐出手段をそれぞれ順次連結する密閉された流通路と、
前記流通路内に設けられ循環気流を発生させる送風装置と、
を有する分級装置。
【請求項8】
前記送風装置は、吸引側の気流で、前記微粉吸引部から吸引した前記微粉を前記微粉回収手段で回収し、吐出側の気流で、前記解体コンクリート粉末供給部から前記解体コンクリート粉末を上方に向けて供給すると共に、前記気流吐出手段からの吐出側の気流で前記解体コンクリート粉末を拡散させる請求項7に記載の分級装置。
【請求項9】
前記分級手段は、分級ロータを回転させて前記解体コンクリート粉末に与えた遠心力と、前記分級ロータの内部に設けられた前記微粉吸引部の吸引空気による向心力とのバランスで分級点を定め分級する請求項7又は請求項8に記載の分級装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−6811(P2012−6811A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146627(P2010−146627)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/エネルギー・CO2ミニマム(ECM)セメント・コンクリートシステムの研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】