説明

再生油製造装置及び再生油製造方法

【課題】 比較的簡単な装置により、船舶内に発生する廃油から燃料として利用可能な再生油を製造する。
【解決手段】 1次水分離器11は、遠心分離器1から排出されるスラッジ油から水を分離する。2次水分離器13は、1次水分離器11から排出される分離油と、油水分離器7から排出される分離油と、油を使用するポンプなどの設備又は機器を開放したときに排出される廃油等と、を含む廃油から、さらに水を分離する。燃料改質器21は、2次水分離器13から排出される分離油、及び逆洗浄型の機関前ストレーナ17から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成する。ストレーナ23は濾過器であり、約100ミクロンを超える固形成分を除去することにより、再生油をさらに良質の燃料にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃油から再生油を製造する再生油製造装置及び再生油製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の機関の燃料油及び潤滑油、並びに機関以外の機械の潤滑油などから生じる廃油は、船内に設置される焼却炉で処分したり、産業廃棄物として専門業者に有料で引き取ってもらったりしていた。しかし、相当量の廃油を焼却するには、相応の処理能力を有する焼却炉を要し、焼却のための燃料をも要する。さらに廃油の焼却は、二酸化炭素の放出を伴い、大気汚染にもつながる。また、廃油を専門業者に引き取ってもらうには、出費を要するという問題があった。
【0003】
かかる船舶内に発生する廃油を処理し、ボイラー燃料としての利用を可能にする技術が知られている(特許文献1)。当該従来技術は、廃油の再利用を図るものであり、実用性の高いものであれば、上記問題の解決となり得るものである。しかし、当該従来技術は、加熱処理、エマルジョン分解処理、三相分離といった、複雑な工程を要するものであり、コスト高となるという問題点があった。また、船舶だけでなく、工場その他の陸上の施設を含む施設一般に、廃油の問題は同様に存する。これらの施設一般においても、特許文献1の技術を適用した場合には、同様の問題を生起することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−10509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、比較的簡単な装置又は方法により廃油を処理し、それにより再生油を製造する再生油製造技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、油水分離器と、少なくとも2段の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記油水分離器は、前記廃油から油分を分離するものである。前記少なくとも2段の水分離器は、前記油水分離器から排出される分離油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質器は、最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0007】
この構成によれば、廃油に、油水分離器、少なくとも2段の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、水を分離する3段の機器を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の機器は何れも、水分離能力の低いもので足りる。例えば、少なくとも2段の水分離器には、油の流路に多数のじゃま板が固定された周知の構造を有する動力不要のものが利用可能である。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0008】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、比較的簡単な装置の構成により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成による再生油製造装置は、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造装置であって、少なくとも2段の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記少なくとも2段の水分離器は、前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段に受け、水分濃度の低い廃油ほど後段に受けることにより、廃油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質器は、最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0010】
この構成によれば、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油に、少なくとも2段の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、少なくとも2段の水分離器を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の水分離器は何れも、水分離能力の低いもので足りる。しかも廃油のうち、水分濃度の低い廃油ほど後段の水分離器で受けるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0011】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、比較的簡単な装置の構成により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成による再生油製造装置は、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0012】
本発明のうち第3の態様に係るものは、燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、第1の水分離器と、第2の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記第1の水分離器は、前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離するものである。前記第2の水分離器は、前記第1の水分離器から排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離するものである。前記燃料改質器は、前記第2の水分離器から排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0013】
この構成によれば、遠心分離器及び油水分離器という既存の設備を有する船舶に発生する廃油に、第1の水分離器、第2の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。第1の水分離器は、遠心分離器から排出されるスラッジ油の水分濃度を、油水分離器から排出される分離油の水分濃度程度にまで、低くすることができるものであれば足りる。また第2の水分離器は、油水分離器から排出される分離油の水分濃度を、燃料として利用可能な再生油の水分濃度にまで、低くすることができるものであれば足りる。それゆえ、第1及び第2の水分離器は何れも、水分離能力の低いもので足り、例えば、油の流路に多数のじゃま板が固定された周知の構造を有する動力不要のものが利用可能である。しかも、船舶内に発生する廃油のうち、水分濃度の低い油水分離器からの分離油は、第2の水分離器で処理されるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0014】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、既存の船内設備を利用しつつ、比較的簡単な装置を付加することにより、船舶内に発生する廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、付加される装置は、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0015】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第3の態様に係る再生油製造装置であって、 前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えた船舶であり、前記燃料改質器は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成するものである。
【0016】
この構成によれば、逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油が、再生油と同程度にまで低い水分濃度を有する一方、スラッジを多く含むことを利用して、逆洗浄油が燃料改質器によって処理される。それにより、逆洗浄型の濾過器を船内設備として備える船舶からの廃油として、逆洗浄油をも含めた廃油から、再生油が得られる。すなわち、廃油から再生油への製造効率が高められる。
【0017】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第3又は第4の態様に係る再生油製造装置であって、前記第2の水分離器は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とするものである。
【0018】
この構成によれば、油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油が、第2の水分離器によって水分離の対象とされ、当該廃油からも再生油が得られる。このため、再生油の製造効率が高められる。水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油としては、例えば、船内の設備又は機器の洗浄に用いられた軽油、油を使用するポンプなどの設備又は機器を開放したときに排出される廃油があり得る。
【0019】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1ないし第5の何れかの態様に係る再生油製造装置であって、前記燃料改質器が生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過器を、さらに備えるものである。
【0020】
この構成によれば、燃料改質器により改質された再生油に残留する固形成分のうち、ある大きさ以上のものが除去されるので、良質の再生油が得られる。
【0021】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第6の態様に係る再生油製造装置であって、前記濾過器は、約100ミクロンを超える固形成分を除去するものである。
【0022】
この構成によれば、燃料改質器により改質された再生油に残留する固形成分のうち、約100ミクロンを超えるものが除去されるので、更に良質の再生油が得られる。
【0023】
本発明のうち第8の態様に係るものは、廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、油水分離と、少なくとも2段の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記油水分離は、前記廃油から油分を分離するものである。前記少なくとも2段の水分離は、前記油水分離により排出される分離油から水を分離するものである。前記燃料改質は、最終段の水分離により排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0024】
この構成によれば、廃油に、油水分離、少なくとも2段の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、水を分離する3段の処理を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の処理は何れも、水分離能力の低いもので足りる。例えば、少なくとも2段の水分離には、油の流路に多数のじゃま板を配置する周知の方法が利用可能である。燃料改質には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0025】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、比較的簡単な処理により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成の再生油製造方法が、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0026】
本発明のうち第9の態様に係るものは、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造方法であって、少なくとも2段の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記少なくとも2段の水分離は、前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段で受け、水分濃度の低い廃油ほど後段で受けることにより、廃油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質は、最終段の水分離から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0027】
この構成によれば、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油に、少なくとも2段の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、少なくとも2段の水分離を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の水分離は何れも、水分離能力の低い処理で足りる。しかも、廃油のうち、水分濃度の低い廃油ほど後段の水分離で処理するので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質には、例えば、フィンを高速回転させることによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0028】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、比較的簡単な処理により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成の再生油製造方法が、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0029】
本発明のうち第10の態様に係るものは、燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、第1の水分離と、第2の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記第1の水分離は、前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離するものである。前記第2の水分離は、前記第1の水分離により排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離するものである。前記燃料改質は、前記第2の水分離により排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0030】
この構成によれば、遠心分離器及び油水分離器という既存の設備を有する船舶に発生する廃油に、第1の水分離、第2の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。第1の水分離は、遠心分離器から排出されるスラッジ油の水分濃度を、油水分離器から排出される分離油の水分濃度程度にまで、低くする処理であれば足りる。また第2の水分離は、油水分離器から排出される分離油の水分濃度を、燃料として利用可能な再生油の水分濃度にまで、低くする処理であれば足りる。それゆえ、第1及び第2の水分離は何れも、水分離能力の低い処理で足りる。しかも、船舶内に発生する廃油のうち、水分濃度の低い油水分離器からの分離油は、第2の水分離で処理されるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質には例えば、フィンを高速回転させることによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0031】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、既存の船内設備を利用しつつ、比較的簡単な処理を付加することにより、船舶内に発生する廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0032】
本発明のうち第11の態様に係るものは、第10の態様に係る再生油製造方法であって、前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えており、前記燃料改質は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成するものである。
【0033】
この構成によれば、逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油が、再生油と同程度にまで低い水分濃度を有する一方、スラッジを多く含むことを利用して、逆洗浄油に燃料改質処理が施される。それにより、逆洗浄型の濾過器を船内設備として備える船舶からの廃油として、逆洗浄油をも含めた廃油から、再生油が得られる。すなわち、廃油から再生油への製造効率が高められる。
【0034】
本発明のうち第12の態様に係るものは、第10又は第11の態様に係る再生油製造方法であって、前記第2の水分離は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とするものである。
【0035】
この構成によれば、油水分離器による分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油が、第2の水分離によって水分離の対象とされ、当該廃油からも再生油が得られる。このため、再生油の製造効率が高められる。水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油の例としては、本発明の第5の態様に係る再生油製造装置の説明の中で例示した通りである。
【0036】
本発明のうち第13の態様に係るものは、第8ないし第12の何れかの態様に係る再生油製造方法であって、前記燃料改質により生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過を、さらに備えるものである。
【0037】
この構成によれば、燃料改質処理により改質された再生油に残留する固形成分のうち、ある大きさ以上のものが除去されるので、良質の再生油が得られる。
【0038】
本発明のうち第14の態様に係るものは、第13の態様に係る再生油製造方法であって、前記濾過は、約100ミクロンを超える固形成分を除去するものである。
【0039】
この構成によれば、燃料改質処理により改質された再生油に残留する固形成分のうち、約100ミクロンを超えるものが除去されるので、更に良質の再生油が得られる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように本発明によれば、比較的簡単な装置又は処理により、廃油を処理し、それにより燃料として利用可能な再生油を製造することが可能となる。それゆえ本発明は、廃油を排出する業者に対して廃油の処理に要する出費を抑え、逆に再生油の販売による収入をもたらすとともに、地球環境に対しても、省エネルギー及び環境保護の面で貢献をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態による再生油製造装置の構成を、船舶の既存の設備とともに示すブロック図である。
【図2】本発明の別の実施の形態による再生油製造装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の一実施の形態による再生油製造装置の構成を、船舶の既存の設備とともに示すブロック図である。この再生油製造装置101は、主要な構成要素として、1次水分離器11、2次水分離器13、再生前廃油タンク19、燃料改質器21、ストレーナ23、及びポンプ33,35,37を有している。また再生油製造装置101は、いくつかの既存の船舶設備の存在を前提として構成されている。かかる船舶設備には、遠心分離器1、遠心分離器スラッジタンク3、ビルジウェル5、油水分離器7、廃油スラッジタンク9、機関15、ストレーナ17、及びポンプ31が含まれる。
【0043】
遠心分離器1は、船舶の機関等の燃料油及び潤滑油を洗浄するものであり、注水洗浄が行われるため、多量の水分を含むスラッジ油が廃油として排出される。スラッジ油は、例えば、スラッジを含む油分を5%程度含んでおり、残る95%程度は水分である。当該スラッジ油は、遠心分離器スラッジタンク3に溜められる。
【0044】
ビルジウェル5は、船内に発生した排水や廃油を溜める一種の下水槽であり、船底の一部を利用したものである。ビルジウェル5に溜められた油分を含む排水は、ポンプ31により油水分離器7に送られる。油水分離器7は、送られた排水に含まれる油分を除去する。国際基準の15PPM以下となるまで油分が除去された排水は、船外に排出される。油水分離器7により分離された分離油は、30%程度の水分を含んでいる。当該分離油は、廃油スラッジタンク9に廃油として排出される。
【0045】
廃油スラッジタンク9には、船舶内に発生する廃油であって、油水分離器7から排出される分離油と同等程度に水分濃度の低いものが、併せて排出される。このような廃油には、例えば、船内の設備又は機器の洗浄に用いられた軽油、油を使用するポンプなどの設備又は機器を開放したときに排出される廃油が含まれる。
【0046】
1次水分離器11は、遠心分離器スラッジタンク3に溜められたスラッジ油から水を分離する。分離された水はビルジウェル5に排出され、分離された油はポンプ33により廃油スラッジタンク9に送られる。1次水分離器11は、分離油の水分濃度を30%程度に低くすれば足りる。このため1次水分離器11として、動力を要しない簡単な構造のものが利用可能である。例えば、油の流路に多数のじゃま板が固定された構造を有する周知のものが利用可能である。1次水分離器11には、分離されて成る水と油との境界面を検知するセンサー(図示略)が設置されている。水がある程度溜まることにより、境界面が一定の高さを超えたことが検知されると、底に設けられたバルブ(図示略)を開くことにより、底の方から水がビルジウェル5に排出される。例えば、予め設定された時間、バルブが開かれる。バルブの開閉は自動で行われる。
【0047】
2次水分離器13は、廃油スラッジタンク9に溜められている廃油から、さらに水を分離する。分離された水はビルジウェル5に排出される。2次水分離器13は、燃料として利用可能な再生油の水分濃度である約2%以下にまで水分濃度を低くした油を、分離油として排出する。当該分離油は、ポンプ35により、再生前廃油タンク19に送られる。2次水分離器13は、水分濃度が30%程度の廃油から、水分濃度が約2%以下の分離油を生成すれば足りる。このため1次水分離器11と同様に、2次水分離器13として、動力を要しない簡単な構造のものが利用可能である。例えば、油の流路に多数のじゃま板が固定された構造を有する周知のものが利用可能である。
【0048】
1次水分離器11と同様に、2次水分離器13にも、分離されて成る水と油との境界面を検知するセンサーが設置されており、境界面が一定の高さを超えると、底の方から水がビルジウェル5に排出される。なお図1において、遠心分離器スラッジタンク3、廃油スラッジタンク9及び再生前廃油タンク19の各々からビルジウェル5へ至る流路は、これらのタンクの清掃時などに、廃水及び廃油を排出するためのドレインである。これらのドレインには、例えば手動操作により開閉する、バルブ(図示略)が設けられている。
【0049】
船舶には、機関15に供給される燃料等の油を濾過するストレーナ17が設置されている。ストレーナ17は逆洗浄型であり、間欠的に行われる逆洗浄に伴い、逆洗浄油を排出する。当該逆洗浄油は、水分濃度が再生油と同程度に低いため、再生前廃油タンク19には、当該逆洗浄油も注ぎ込まれる。再生前廃油タンク19に溜められた再生前廃油は、ポンプ37により燃料改質器21に送られる。
【0050】
再生前廃油タンク19に溜められた再生前廃油は、大量のゲル状のスラッジを含んでいる。燃料改質器21は、ポンプ37により送られた再生前廃油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該再生前廃油を改質し、それにより再生油を生成する。燃料改質器21には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。燃料改質器21により生成される再生油は、すでに燃料として再利用可能なものである。
【0051】
燃料改質器21により生成される再生油は、ストレーナ23に送られる。ストレーナ23は、再生油になお含まれ、所定の限度を超える大きさの固形成分を除去するフィルタを有する濾過器である。当該限度は、例えば約100ミクロンである。再生油は当該ストレーナ23を通過することにより、さらに良質の燃料油となる。
【0052】
以上のとおり、再生油製造装置101は、比較的簡単な構成により、船舶内に発生する廃油を低コストで処理し、再生油を製造することを可能にする。すなわち、水混じりの船内の廃油から、燃料として使用可能な再生油が低コストで得られる。廃油を焼却炉で処分する必要がないから、船内に焼却炉を要せず、焼却のための燃料も不要となる。また、廃油を有料で廃油処理業者に引き取ってもらう必要がなくなるか、あるいは引き取ってもらうべき廃油の量が低く抑えられる。それにより、船舶を利用する業者は、廃油の処理に要する経費を抑えることができる。そればかりか、逆に再生油を回収業者に売り渡すことにより、船舶利用業者には収入がもたらされる。回収業者も利益に預かることとなる。また、廃油の無駄な燃焼処理を無くすることにより、地球環境の保全にも寄与し得る。すなわち再生油製造装置101は、省エネルギー及び環境保護にも貢献するものである。
【0053】
なお図1には、再生油製造装置101が船舶内に固定的に設置されている例を示した。これに対して、再生油製造装置101は、船舶の停泊時など、必要なときに船内に導入され、遠心分離器1等の船内の設備に接続して使用されるものであっても良い。船舶が航海しているときなど、再生油製造装置101が導入される前までは、船舶内に発生する廃油は、遠心分離器スラッジタンク3及びスラッジタンク9に貯留しておくと良い。逆洗浄型のストレーナ17から排出される逆洗浄油は、再生前廃油タンク19を船舶に設置しておき、当該タンク19に貯留しておくと良い。あるいは、再生油製造装置101が導入されたときに、ストレーナ17の逆洗浄を行っても良い。
【0054】
また、再生油製造装置101を停泊中の船舶等に臨時に設置するのではなく、地上の設備として港湾等に設置しておき、船舶内の遠心分離器スラッジタンク3及びスラッジタンク9等に貯留される廃油を、例えばパイプ等で地上の設備に導入するようにしても良い。あるいは、再生油製造装置101を搭載した専用船を、停泊中の船舶等に接舷させ、船舶内の廃油をパイプ等で当該専用船内の再生油製造装置101に導入しても良い。また、再生油製造装置101を港湾から離れた場所に設置しておき、停泊中の船舶等から廃油をパイプ等で、港湾内に導入された車両等の輸送手段に導入し、当該輸送手段により再生油製造装置101まで廃油を輸送しても良い。何れの形態であっても、船舶内の設備と再生油製造装置101との間にパイプ等の搬送手段、あるいは車両等の輸送手段が介在するか否かの相違に過ぎず、再生油製造装置101を使用することにより、船舶内の廃油を処理し、再生油を製造することに変わりはない。また、何れの形態であれ、再生油製造装置101を使用することにより、船舶内の廃油を処理し、再生油を製造することは、本発明の再生油製造方法の具体例に該当する。
【0055】
再生油製造装置101は、2段の水分離器11、13を備えるものであった。これに対して、水分離器を3段、あるいはそれ以上備えることにより、船舶内に発生する廃油から再生油の製造を行うことも可能である。水分濃度の最も高い廃油を初段に受け、水分濃度の低い廃油ほど後段に受けるようにすることにより、効率よく廃油から再生油を製造することができる。
【0056】
図2は、本発明の別の実施の形態による再生油製造装置の構成を示すブロック図である。この再生油製造装置102は、一例として工場その他の陸上の施設に発生する廃油を処理し、それにより再生油を製造するものである。当該施設には、廃油を貯留する廃油回収タンク51が、既存の設備として設置されている。再生油製造装置102は、一例として、廃油回収タンク51に貯留される廃油を処理するものとして、当該施設に導入される。なお、廃油回収タンク51は、再生油製造装置102の構成要素の1つとして、施設に導入されるものであってもよい。
【0057】
再生油製造装置102は、油水分離器63、水分離器73、水分離器79、及び燃料改質器88を含んでいる。油水分離器63は、廃油回収タンク51に貯留される廃油から油分を分離するものである。水分離器73は、油水分離器63から排出される分離油から水を分離するものである。水分離器79は、水分離器73から排出される分離油から水を分離するものである。燃料改質器88は、水分離器79から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、この分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。生成された再生油は、例えばタンクローリーなどの搬送手段91により、再生油を必要とする他業者の設備などへ搬送される。
【0058】
このように、再生油製造装置102は、廃油に、油水分離、2段の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油を製造する。水分濃度の最も高い廃油から、水を分離する3段の機器63、73、79を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。このため、各段の処理を施す機器63、73、79は何れも、水分離能力の低いもので足りる。
【0059】
油水分離器63は、廃油を水と油とに粗く分離するものであり、大量の廃油を処理するのに適している。分離された油には水分が含まれる。油水分離器63は、例えば、廃油に圧力を付加することにより、分離槽内に設置されるフィルターを通過させる周知の構造のものが利用可能である。この構造では、廃油がフィルターを通過するのに伴い、廃油に含まれる油滴が粗大化し、その結果、油分が分離槽内の上層に溜まり、水分が下層に溜まる。
【0060】
水分離器73及び79は、油に含まれる水分を取るためのものである。水分離器73及び79は、再生油製造装置101(図1)の水分離器11、13と同様に、一例として、油の流路に多数のじゃま板が固定された周知の構造を有する動力不要のものが利用可能である。この場合、水の表面張力を利用することにより水を捕捉するためにじゃま板に形成される多数の孔は、前段の水分離器73よりも後段の水分離器79の方が小さく設定される。すなわち、じゃま板のメッシュは、前段の水分離器73よりも後段の水分離器79の方が小さく設定される。
【0061】
このように、再生油製造装置102は、油水分離器63により廃油を油と水とに粗く分け、さらに水分離器73及び79により、油になお含まれる水分を除去する。すなわち再生油製造装置102は、油水分離器63を初段に配置し、複数段の水分離器73及び79とを後段に配置するという、装置の巧みな組み合わせにより、比較的簡単な構成でありながら、廃油から再生油のレベルにまで水分濃度を低くした油を得るのである。後段の水分離器79は、前段の水分離器73から排出される分離油から、吸収性ポリマーを含むフィルタに水を吸収させることにより、水を分離するものであってもよい。吸収性ポリマーを利用した水分離器79は、簡単な構造で、少量の水をも除去する能力を発揮する。燃料改質器88には、再生油製造装置101(図1)の燃料改質器21と同様に、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0062】
このように、再生油製造装置102によれば、比較的簡単な装置の構成により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。施設を運営する業者は、比較的低廉な経費により再生油製造装置102を導入することにより、それまで産業廃棄物として処分に経費を要していた廃油を、経済的価値を有する再生油に転換して、他の業者等へ引き渡し、対価を得ることができるようになる。
【0063】
次に、再生油製造装置102の構成及び動作について、より詳細に説明する。再生油製造装置102は、さらに、サービスタンク59、分離水タンク61、サービスタンク83及び制御器71を含んでいる。サービスタンク59は、廃油回収タンク51に貯留される廃油を、油水分離器63へ供給する常用のタンクである。油水分離器63に供給すべき廃油の流動性を適度に高めるために、サービスタンク59には、廃油を加熱するヒータ60が設置されている。ヒータ60の発熱量は、制御器71により制御される。
【0064】
サービスタンク59に供給される廃油は、廃油回収タンク51の上層から汲み上げられる。図2に例示するように、廃油回収タンク51に貯留される廃油は、水分濃度の高い下層の水層と、その上にあって水と油とがエマルジョン状態となっているエマルジョン層と、最上部にある水分濃度の低い油層との3層を成す。廃油回収タンク51内には、油に浮くフロートポンプ55が投入されており、このフロートポンプ55が油層の表面部分から油を吸い込み、サービスタンク59へ送り出す。フロートポンプ55の動作は、制御器71により制御され、それによりサービスタンク59内の油が適量に保持される。
【0065】
廃油回収タンク51内には、さらに、比重式の液面センサ53が投入されている。液面センサ53は、油と水との境目、例えば油とエマルジョン層との界面を検知するものである。液面センサ53の検知信号は制御器71に送られる。制御器71は、例えば、液面センサ53の検知する界面が、設定された基準レベルに達すると、ポンプ57を作動させることにより、廃油回収タンク51の底から水分濃度の高い廃油を分離水タンク61へ排出させる。廃油回収タンク51が、施設に既存の設備である場合には、フロートポンプ55及び液面センサ53は、再生油製造装置102の一部として、他の機器と併せて導入されるものであってもよい。
【0066】
油水分離器63も、上述の通り、高い油水分離能力を必要としないため、簡素な構造のもので足りる。油水分離器63には、油と水との境目を検知するセンサ67が設置されている。制御器71は、センサ67が油水の境目を検知すると、油水分離器63の下方に設置されるバルブ65を開くことにより、油水分離器63内の水を分離水タンク61に排出させる。これにより油水分離器63は、例えば50%程度の水分濃度の油を上方から排出する。バルブ65は、例えば電磁弁である。バルブ65の制御は、例えば、開放後一定時間の後に閉止させるタイマー制御であってもよい。制御器71は、各センサーの検知信号を参照しつつ、各機器を制御するものであり、例えばシーケンサ(プログラムロジックコントローラ;PLC)を含んでいる。制御器71は、操作者が各部の動作あるいは制御の仕方を設定することを可能にする操作パネル(図示略)を含んでいても良い。例えば、バルブ65の開放時間を操作者が設定し得るように、制御器71を構成することができる。
【0067】
油水分離器63の上方から水分濃度の低い油が、ポンプ69により汲み出され、水分離器73に送られる。ポンプ69の動作は制御器71によって制御される。水分離器73にも、油水分離器63と同様に、油と水との境目を検知するセンサ75が設置されている。制御器71は、センサ75が油水の境目を検知すると、水分離器73の下方に設置されるバルブ77を開くことにより、水分離器73内の水を分離水タンク61に排出させる。これにより水分離器73は、例えば30%程度の水分濃度の油を上部から排出する。バルブ77の構造及び動作は、例えばバルブ65と同様である。
【0068】
水分離器73の上方から水分濃度の低い油が、水分離器79に送られる。水分離器79にも、水分離器73と同様に、油と水との境目を検知するセンサ76が設置されている。制御器71は、センサ76の検出信号に基づき、水分離器79の下方に設置されるバルブ81を開くことにより、水分離器79内の水を分離水タンク61に排出させる。これにより水分離器79は、例えば1%程度の水分濃度の油を上部から排出する。バルブ81の構造及び動作は、例えばバルブ65と同様である。水分離器79が、吸収性ポリマーを含むフィルタを利用するものである場合には、当該フィルタは、適時に交換される。
【0069】
水分離器79の上部からは、燃料として利用可能な再生油の水分濃度である約2%以下にまで水分濃度を低くした油が排出される。排出された油は、サービスタンク83に一時的に貯留される。サービスタンク83には、油の液面の上限付近に、油の液面を検知する液面センサ85が設置されている。制御器71は、液面センサ85が液面を検知すると、ポンプ69の運転を停止させることにより、サービスタンク83のオーバーフローを防止する。
【0070】
タンクローリー等の搬送手段91により再生油を搬送するときには、ポンプ87と燃料改質器88とを動作させる。それにより、サービスタンク83内の油が燃料改質器88に送り込まれ、送り込まれた油は燃料改質器88により、再生油に改質される。再生油は搬送手段91に移送される。ポンプ87及び燃料改質器88は、例えば、搬送手段91の操作者が制御器71の操作パネルを操作することにより、動作を開始し、さらに動作を停止する。燃料改質器88により生成される再生油は、例えば再生油製造装置101のストレーナ23と同様のろ過器を通過させることにより、さらに良質の燃料油に改善した上で、搬送手段91に送り出してもよい。
【0071】
分離水タンク61に溜められた分離水は、タンクローリー等の搬送手段93によって、例えば廃棄物処理業者の施設へ搬送される。分離水の不純物濃度が公的基準値を下回るほどに低い場合には、河川等への廃棄も可能となる。
【0072】
なお、再生油製造装置102は、2段の水分離器73および79を有していたが、3段以上の水分離器を有していても良い。また、再生油製造装置102は、船舶内に発生する廃油を処理するものであってもよい。その場合には、再生油製造装置102は、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。また、何れの形態であれ、再生油製造装置102を使用することにより、廃油を処理し、再生油を製造することは、本発明の再生油製造方法の具体例に該当する。
【符号の説明】
【0073】
1 遠心分離器
5 ビルジウェル
7、63 油水分離器
11 1次水分離器(第1の水分離器)
13 2次水分離器(第2の水分離器)
17 ストレーナ
21、88 燃料改質器
23 ストレーナ(濾過器)
73、79 水分離器
101、102 再生油製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、
前記廃油から油分を分離する油水分離器と、
前記油水分離器から排出される分離油から水を段階的に分離する少なくとも2段の水分離器と、
最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質器と、を備える再生油製造装置。
【請求項2】
水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造装置であって、
前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段に受け、水分濃度の低い廃油ほど後段に受けることにより、廃油から水を段階的に分離する少なくとも2段の水分離器と、
最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質器と、を備える再生油製造装置。
【請求項3】
燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、
前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離する第1の水分離器と、
前記第1の水分離器から排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離する第2の水分離器と、
前記第2の水分離器から排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質器と、を備える再生油製造装置。
【請求項4】
前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えた船舶であり、
前記燃料改質器は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成する、請求項3に記載の再生油製造装置。
【請求項5】
前記第2の水分離器は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とする、請求項3又は4に記載の再生油製造装置。
【請求項6】
前記燃料改質器が生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過器を、さらに備える請求項1ないし5の何れかに記載の再生油製造装置。
【請求項7】
前記濾過器は、約100ミクロンを超える固形成分を除去する、請求項6に記載の再生油製造装置。
【請求項8】
廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、
前記廃油から油分を分離する油水分離と、
前記油水分離により排出される分離油から水を分離する少なくとも2段の水分離と、
最終段の水分離により排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質と、を備える再生油製造方法。
【請求項9】
水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造方法であって、
前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段で受け、水分濃度の低い廃油ほど後段で受けることにより、廃油から水を段階的に分離する少なくとも2段の水分離と、
最終段の水分離から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質と、を備える再生油製造方法。
【請求項10】
燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、
前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離する第1の水分離と、
前記第1の水分離により排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離する第2の水分離と、
前記第2の水分離により排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成する燃料改質と、を備える再生油製造方法。
【請求項11】
前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えており、
前記燃料改質は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成する、請求項10に記載の再生油製造方法。
【請求項12】
前記第2の水分離は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とする、請求項10又は11に記載の再生油製造装置。
【請求項13】
前記燃料改質により生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過を、さらに備える請求項8ないし12の何れかに記載の再生油製造方法。
【請求項14】
前記濾過は、約100ミクロンを超える固形成分を除去する、請求項13に記載の再生油製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−60573(P2013−60573A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98273(P2012−98273)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(598140434)株式会社コンヒラ (8)
【Fターム(参考)】