説明

再生画像読み取り方法及び再生画像読み取り装置

【課題】複数の情報が重ねて記録された複屈折ラベルから情報を個別に読み取る。
【解決手段】複屈折ラベル12は、短辺方向に平行な赤色の直線偏光(第1読み取り光L1)で再生される第1バーコードと、長辺方向に平行な緑色の直線偏光(第2読み取り光L2)で再生される第2バーコードが記録されている。プローブ13は複屈折ラベル12から第1,第2バーコードを各々読み取る読み取り装置であり、第1,第2光源21,22、撮像部23を備える。第1光源21は、第1読み取り光L1を複屈折ラベル12に照射する。第2光源22は、第1読み取り光L1とは異なるタイミングで第2読み取り光L2を複屈折ラベル12に照射する。撮像部23は、透過軸の方向を複屈折ラベル12の短辺方向に向けた偏光板36を通して複屈折ラベル12を撮像し、第1バーコードが再生された画像と第2バーコードが再生された画像をそれぞれ取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一箇所に複数のデータが多重記録された記録媒体から、各々のデータを読み取る方法及び装置に関し、さらに詳しくは、照射される直線偏光の偏光方向に応じて再生される画像が異なる記録媒体から、複数の画像を各々に読み取る読取方法及び読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
販売した商品の商品名や価格,数量,日時等の情報を収集し、管理するシステムとして販売時点情報管理システム(POSシステム)が知られている。販売時点情報管理システムにより得られた情報は、例えば、商品の仕入れ量の判断等に利用される。また、同様の管理システムは小売業だけでなく、製造業や流通業における物品管理等、様々な分野に導入されている。
【0003】
上述のような、複数の物品を管理するシステムでは、販売時等の適切なタイミングで各物品を識別することが求められる。このため、各々の物品にはマーキングされる。前述の販売時点情報管理システムでは、例えば、各商品にバーコードに貼付しておき、バーコードから各商品のIDを読み取ることによって識別する。また、こうした管理システムで利用されるマーキング用のラベルとしては、ラインアンドスペース状のバーコードの他に、バーコードよりも情報量の多い2次元コードや、無線通信で情報を読み取るために読み取り範囲が広く、ほぼ同時に複数個の読み取りを行うことができるICタグが知られている。
【0004】
さらに、近年では、複屈折物質の分布によって情報を記録したラベル(以下、複屈折ラベルという)が知られている(特許文献1,2)。複屈折ラベルは、面内及び厚さ方向に複屈折物質を分布させることによって情報を記録したラベルであり、直線偏光を入射させた場合に、入射させた直線偏光の偏光方向及び波長に対応した情報を観察することができる。また、複屈折ラベルは、複屈折物質の分布を工夫することによって、偏光方向や波長が異なる種々の直線偏光に対応させた複数の情報を同じ箇所に重ねて記録しておくことができることが知られている。例えば、複数の画像情報を同じ位置に重ねて記録した場合、所定の偏光方向及び波長の直線偏光で観察することによって、重ねられた複数の画像情報のうち、観察に用いた直線偏光に対応した画像だけを選択的に観察することができる。このように同一箇所に複数の情報を重ねて記録した複屈折ラベルは、バーコード等の代わりに、マーキング用ラベルとして利用することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−001130号公報
【特許文献2】特開2009−069793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、物品に貼付されるマーキング用のラベルから情報を読み取るときには、使用するラベルの様態に応じて異なる読み取り装置が必要になる。バーコードから情報を読み取る場合には、いわゆるバーコードリーダーを用いる。バーコードリーダーは、例えば、バーコードに読み取り光を照射して、反射光の強度分布を2値化することにより、バーコードのパターンを読み取る。また、2次元コードの場合には、2次元コードを撮影した画像からパターンを識別し、所定のロジックでデコードすることによって記録された情報を読み取る。また、ICタグは保有する情報を受信機に向けて無線発信し、受信機はこれを受けることによってICタグに記録された情報を読み取る。
【0007】
複屈折ラベルは、前述のように、バーコードや2次元コード,ICタグ等の周知のラベルと、情報を記録する様態が異なる。このため、既知のラベルからの情報を読み取る読み取り装置では、複屈折ラベルから情報を取得することはできない。特に、複屈折ラベルの場合には、単に複屈折ラベルを撮影しても、複屈折ラベルに記録された情報を画像として取得することはできない。
【0008】
また、複数の情報が重ねて記録された複屈折ラベルでは、複屈折ラベルを撮影することにより、記録された情報のうち一つを画像として読み取ることができたとしても、重ねられた他の情報を読み取ることはできない。さらに、複数の情報を同時に撮影できたとしても、これらの情報は重ね合わされて写されるので、一つ一つの情報を峻別することは難しい。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、複数の情報が重ねて記録された複屈折ラベルから、一つ一つの情報を個別に読み取る読み取り方法及び読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の再生画像読み取り装置は、照射される直線偏光の偏光方向及び波長に応じて再生画像が異なる記録媒体に、偏光方向及び波長が定められた直線偏光の第1読み取り光を照射する第1光源と、偏光状態,偏光方向,波長のうち少なくともいずれか1つが前記第1読み取り光と異なる第2読み取り光を、前記第1読み取り光とは異なるタイミングで前記記録媒体に照射する第2光源と、少なくとも前記第1読み取り光の照射時に、透過軸の方向を前記第1読み取り光の偏光方向の直線偏光が透過する方向に向けた偏光フィルタを通して、前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る受光手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記受光手段は、前記第1読み取り光と前記第2読み取り光の照射時に共通して用いられる1つの光センサからなることを特徴とする。
【0012】
また、前記受光手段は、前記偏光フィルタが前面に配置され、前記第1読み取り光の照射時に前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る第1光センサと、前記第1光センサとは別個に設けられ、前記第2読み取り光の照射時に前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る第2光センサとからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記第1光源と前記第2光源は一体に形成され、前記第1読み取り光と前記第2読み取り光をほぼ同じ位置及び方向から前記記録媒体に照射することを特徴とする。
【0014】
また、前記第2読み取り光は、前記第1読み取り光と偏光方向が異なる直線偏光であることを特徴とする。
【0015】
また、前記第2読み取り光は、前記第1読み取り光と偏光方向が等しく、波長が異なる直線偏光であることを特徴とする。
【0016】
また、前記第2読み取り光は無偏光であることを特徴とする。
【0017】
また、前記光センサと前記記録部材を相対的に移動させながら、前記記録媒体の一方の側から前記再生画像を読み取ることを特徴とする。
【0018】
また、前記偏光フィルタは、前記光センサの前面を被覆する被覆位置と前記光センサの前面を露呈する露呈位置とに移動自在に設けられ、前記第1読み取り光の照射時に前記被服位置に移動され、前記第2読み取り光の照射時に前記退避位置に移動されることを特徴とする。
【0019】
また、前記偏光フィルタは、前記光センサの前面で、前記第1読み取り光を透過する方向と前記第2読み取り光を透過する方向の2方向に前記透過軸を回転自在に設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、前記偏光フィルタは、液晶に印加する電圧に応じて前記透過軸の方向を自在に変化させる液晶素子であることが好ましい。
【0021】
本発明の再生画像読み取り方法は、照射される直線偏光の偏光方向及び波長に応じて再生画像が異なる記録媒体に、偏光方向及び波長が定められた直線偏光の第1読み取り光を照射して、前記第1読み取り光に対応した前記再生画像を読み取る第1ステップと、前記第1読み取りステップの前または後に、偏光状態,偏光方向,波長のうち少なくともいずれか一つが前記第1読み取り光と異なる第2読み取り光を前記記録媒体に照射して、前記第2読み取り光に対応した前記再生画像を読み取る第2ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の情報が重ねて記録された複屈折ラベルから、一つ一つの情報を個別に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】読み取り装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】読み取り装置の光学的,電気的構成を示すブロック図である。
【図3】第1光源で複屈折ラベルを照明する場合に、複屈折ラベルからバーコードを読み取る様態を示す説明図である。
【図4】第2光源で複屈折ラベルを照明する場合に、複屈折ラベルからバーコードを読み取る様態を示す説明図である。
【図5】第1光源と第2光源を一体に形成した例を示す説明図である。
【図6】2つの撮像部を設けた例を示す説明図である。
【図7】透過型の複屈折ラベルから情報を読み取るプローブの外観を概略的に示す説明図である。
【図8】透過型の複屈折ラベルから情報を読み取るプローブの構成を示す説明図である。
【図9】無偏光によって複屈折ラベルを照明する場合に好適なプローブの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、読み取りシステム11は、複数の情報を重ねて記録した複屈折ラベル12から各々の情報をそれぞれ読み出し、記録するシステムであり、プローブ13(読み取り装置)と情報入力端末14を備える。
【0025】
複屈折ラベル12は、複屈折体を面内方向及び厚さ方向に分布させることにより、第1バーコード(再生画像)と第2バーコード(再生画像)の2種類のバーコードを重ねて記録している。また、複屈折ラベル12は、長方形に形成された反射型の複屈折ラベルであり、前述の複屈折体の分布は反射膜上に形成される。このため、複屈折ラベル12に記録されたバーコードは、反射膜による反射光によって観察することができる。このため、複屈折ラベル12は商品16の表面に予め貼付して使用され、商品16の販売時点等の所定のタイミングでプローブ13によって第1バーコードや第2バーコードが読み取られる。
【0026】
複屈折ラベル12は、前述のように複屈折体を適宜分布させた構成となっていることで、特定の偏光方向かつ特定の波長の直線偏光を入射させたときに、これに応じた特定のバーコードを画像として選択的に再生する。例えば、第1バーコードは、偏光方向が短辺に平行な方向の赤色の直線偏光(以下、第1読み取り光という)によって再生される。このため、第1バーコードは、偏光板等を介し、第1読み取り光の反射光を選択的に観察することによって可視化する。一方、第2バーコードは、偏光方向が長辺に平行な方向の緑色の直線偏光(以下、第2読み取り光という)を複屈折ラベル12に入射させた場合に再生される。したがって、第2バーコードは、偏光板等を介して、第2読み取り光の反射光を選択的に観察することによって可視化する。このため、偏光板等を介さずに、自然光(無偏光)下で複屈折ラベル12を観察した場合には、第1バーコードも第2バーコードも観察することができない。
【0027】
プローブ13は、複屈折ラベル12から情報を読み取るプローブであり、ほぼ長方形状に形成された先端部17を近接させて複屈折ラベル12を撮影する。同時に、プローブ13は、撮影した画像に写されたバーコードをデコードすることによって、ID等の商品16に関する情報を取得する。このとき、プローブ13は、先端部17の長手方向を複屈折ラベル12の長手方向を一致させるように、複屈折ラベル12に対して先端部17の向きを合わせて近接される。また、プローブ13は、情報入力端末14にフレキシブルな信号伝達用のケーブルで接続されており、商品16の向きや大きさ等によらず、把持部18を把持して、貼付された複屈折ラベル12に先端部17の位置や向きをあわせることができるようになっている。さらに、プローブ13で取得した情報は、前述のケーブルによって情報入力端末14に入力される。
【0028】
情報入力端末14は、図示しないキーボードやディスプレイ等からなり、これらを用いて複屈折ラベル12からの情報の読み取りと同時に、商品16を販売した時刻、商品16を購入した顧客の年齢層や性別等の情報をデータベースに入力する端末である。また、情報入力端末14は、入力された情報と、複屈折ラベル12から読み取られた情報を関連付けてデータベースに記録する。
【0029】
図2に示すように、プローブ13は、第1光源21、第2光源22、撮像部23(受光手段)、制御部24を備える。
【0030】
第1光源21は、赤色の直線偏光を複屈折ラベル12の全体に、ほぼ正面から一様に照射する光源であり、LED31と偏光板32とからなる。LED31は、複屈折ラベル12に第1バーコードを再生させる赤色光を発する。偏光板32は、LED31から発せられた赤色光を直線偏光に整える。また、偏光板32は、プローブ13を複屈折ラベル12に近接させたときに、透過軸の方向が複屈折ラベル12の短辺方向と一致するように配置される。したがって、第1光源21は、第1バーコードを再生させる第1読み取り光L1を複屈折ラベル12に照射する。
【0031】
第2光源22は、緑色の直線偏光を複屈折ラベル12の全体に、ほぼ正面から一様に照射する光源であり、LED33と偏光板34とからなる。LED33は、複屈折ラベル12に第2バーコードを再生させる緑色光を発する。偏光板34は、LED33から発せられた緑色光を直線偏光に整える。また、偏光板34は、プローブ13を複屈折ラベル12に近接させたときに、透過軸の方向が複屈折ラベル12の長辺方向と一致するように配置される。したがって、第2光源22は、第2バーコードを再生させる第2読み取り光L2を複屈折ラベル12に照射する。
【0032】
撮像部23は、複屈折ラベル12からの反射光によって複屈折ラベル12を撮像し、偏光板36(偏光フィルタ)、レンズ37、イメージセンサ38からなる。また、撮像部23は、第1光源21と第2光源22の間に、プローブ13を複屈折ラベル12に近接させたときに、複屈折ラベル12のほぼ正面に位置するように配置される。このため、第1読み取り光L1によって複屈折ラベル12を照明したときには、撮像部23には複屈折ラベル12から反射光R1がほぼ正面から入射し、第2読み取り光L2によって複屈折ラベル12を照明したときには、撮像部23には複屈折ラベル12から反射光R2がほぼ正面から入射する。
【0033】
偏光板36は、透過軸の方向が第1光源21の偏光板32と同様に、プローブ13を複屈折ラベル12に近接させたときに、複屈折ラベル12の短辺方向にほぼ一致するように配置され、複屈折ラベル12からの反射光R1,R2を、その偏光方向に応じて透過または吸収する。また、レンズ37は、偏光板36を透過した光をイメージセンサ38の撮像面に結像させる。イメージセンサ38は、CMOS型のエリアセンサであり、偏光板36を透過した反射光R1,R2によって複屈折ラベル12を撮像する。イメージセンサ38が出力する複屈折ラベル12の画像は、図示しないメモリに一時的に格納される。
【0034】
制御部24は、プローブ13の動作を統括的に制御する。例えば、制御部24は、第1光源21のLED31や第2光源22のLED33を点灯,消灯やそのタイミングを制御したり、イメージセンサ38の動作を制御する。また、こうしたプローブ13の動作制御は、図示しないボタン等の操作をトリガーとして行われる。
【0035】
また、制御部24は、デコーダ26を備える。デコーダ26は、イメージセンサ38によって撮像された複屈折ラベル12の画像から、第1バーコードや第2バーコードの像を認識し、デコードすることにより、認識したバーコードに記録されたID等の情報を取得する。こうして、各バーコードから取得された情報は、情報入力端末14に送信され、前述のように、情報入力端末14で入力される情報と関連付けられて、データベース(DB)27に記録される。
【0036】
以下、プローブ13によって複屈折ラベル12から第1バーコードと第2バーコードを各々個別に読み取る様態を説明する。図3に示すように、プローブ13によって複屈折ラベル12から情報を読み取るときには、まず、第1光源21のLED31が点灯され、複屈折ラベル12に第1読み取り光L1が照射される。同時に、第1読み取り光L1の反射光によって、複屈折ラベル12が撮像される(第1ステップ)。
【0037】
複屈折ラベル12を模式的に表すと、図3(A)に示すように、反射膜40上に、第1バーコードが記録された第1記録層41と第2バーコードが記録された第2記録層42が積層された構造となっている。なお、図3(A)では、第1読み取り光L1及びその反射光R1の各所での偏光状態を矢印で模式的に示す。
【0038】
第1記録層41には、複屈折区画43と等方性区画44とが第1バーコードのラインアンドスペースの様態に合わせて分布している。複屈折区画43は、第1読み取り光L1が透過したときに、これを円偏光に変換する複屈折性を有した区画であり、赤色光にだけ選択的に作用するように構成されている。このため、複屈折区画43は、実質的に第1読み取り光L1に対してのみ作用する。したがって、複屈折区画43に、無偏光や第2読み取り光L2のように、第1読み取り光L1とは偏光方向が異なる直線偏光や波長の異なる直線偏光が入射した場合には、複屈折区画43は、等方的な性質を示し、入射時とほぼ同じ偏光状態のまま透過する。また、等方性区画44は、第1読み取り光L1と第2読み取り光L2のどちらに対しても等方的な性質を示すように構成された区画である。このため、等方性区画44に入射した第1読み取り光L1は入射時と同じ偏光状態を維持したまま透過する。
【0039】
同様に、第2記録層42には、複屈折区画46と等方性区画47とが第2バーコードのラインアンドスペースの様態に合わせて分布している。複屈折区画46は、第2読み取り光L2が透過したときに、これを円偏光に変換する複屈折性を有した区画であり、緑色光にだけ選択的に作用するように構成されている。このため、複屈折区画46は、実質的に第2読み取り光L2に対してのみ作用する。したがって、第2記録層42の複屈折区画46に第1読み取り光L1が入射した場合には、第1読み取り光L1は、入射時と同じ偏光状態を維持したまま透過する。また、等方性区画47は、第1読み取り光L1と第2読み取り光L2のどちらに対しても等方的な性質を示すように構成された区画である。このため、第2記録層42の等方性区画47に第1読み取り光L1が入射したときには、第1読み取り光L1は入射時と同じ偏光状態を維持したままこれを透過する。
【0040】
複屈折ラベル12が上述のように構成されているために、複屈折区画43を透過した第1読み取り光L1aは、第2記録層42で透過する区画46,47の種類によらず、円偏光に変換され、反射膜40で反射される。このため、第1読み取り光L1aの反射光R1aは、第1読み取り光L1aと回転方向が等しく、進行方向が逆向きの円偏光となって、第1読み取り光L1aが透過した複屈折区画43を透過する。このとき、反射光R1aは、複屈折区画43によって第1読み取り光L1aに対して偏光方向が90度回転された直線偏光に変換され、イメージセンサ38前の偏光板36に入射する。しかし、偏光板36は、前述のように、第1光源21の偏光板32と透過軸の向きが一致するように配置されているので、反射光R1aは偏光板36に吸収され、イメージセンサ38には到達しない。
【0041】
一方、等方性区画44を透過する第1読み取り光L1bは、第2記録層42で透過する区画46,47の種類によらず、入射時と同じ偏光状態を維持したまま反射膜40に到達し、反射される。また、第1読み取り光L1bの反射光R1bは、第1読み取り光L1bが透過した等方性区画44に入射するが、入射時と同じ偏光状態のままこれを透過し、偏光板36に入射する。したがって、反射光R1bは偏光板36を透過して、イメージセンサ38に到達する。
【0042】
これらのことから、第1読み取り光L1によって照明しながら複屈折ラベル12を撮像すると、第1記録層41の複屈折区画43と等方性区画44の分布だけを反映し、図3(B)に示すように、第1バーコード51だけが再生された複屈折ラベル12の画像52が取得される。
【0043】
こうして第1バーコード51だけが再生された複屈折ラベル12の画像52を取得すると、図4に示すように、プローブ13は、第1光源21(LED31)を消灯し、第2光源22(LED33)を点灯して、複屈折ラベル12に第2読み取り光L2を照射する。同時に、第2読み取り光L2の反射光によって、複屈折ラベル12が撮像される(第2ステップ)。なお、図4(A)では、第2読み取り光L2及びその反射光R2の各所での偏光状態を矢印で模式的に示す。
【0044】
前述のように、複屈折ラベル12は、第2読み取り光L2に対して、第2記録層42の複屈折区画46だけが複屈折性を示す。このため、図4(A)に示すように、第2記録層42の複屈折区画46を透過した第2読み取り光L2aは、第1記録層41で透過した区画43,44の種類によらず、円偏光に変換されて、反射膜40で反射される。そして、第2読み取り光L2aの反射光R2aは、第2読み取り光L2aと回転方向が等しく、進行方向が逆向きの円偏光となって、第2読み取り光L2aが透過した複屈折区画46を透過する。このとき、反射光R2aは、複屈折区画46によって第2読み取り光L2aに対して偏光方向が90度回転された直線偏光に変換され、偏光板36に入射する。
【0045】
第2読み取り光L2は、もともと第1読み取り光L1に対して偏光方向が90度をなす直線偏光なので、複屈折区画46を透過した反射光R2aは偏光方向が偏光板36の透過軸と等しい直線偏光となっている。したがって、反射光R2aは、偏光板36を透過し、イメージセンサ38に到達する。
【0046】
一方、第2記録層42の等方性区画47を透過する第2読み取り光L2bは、第1記録層41で透過する区画43,44の種類によらず、入射時と同じ偏光状態を維持したまま反射膜40に到達し、反射される。また、第2読み取り光L2bの反射光R2bは、第2読み取り光L2bが透過した等方性区画47に入射するが、入射時と同じ偏光状態のままこれを透過し、偏光板36に入射する。したがって、反射光R2bは偏光板36に吸収され、イメージセンサ38には透過しない。
【0047】
これらのことから、第2読み取り光L2によって照明しながら複屈折ラベル12を撮像すると、第2記録層42の複屈折区画46と等方性区画47の分布だけを反映し、図4(B)に示すように、第2バーコード53だけが再生された複屈折ラベル12の画像54が取得される。
【0048】
こうして第1読み取り光L1で照明しながら撮像した画像52と、第2読み取り光L2で照明しながら撮像した画像54を順に取得すると、プローブ13は、デコーダ26によって各画像52,54から第1バーコード51,第2バーコード53をそれぞれ認識し、各バーコード51,53に記録されたID等の情報を取得する。また、複屈折ラベル12から取得した情報は、情報入力端末14に送信され、情報入力端末14で入力された情報と関連付けられてDB27に記録される。
【0049】
上述のように、プローブ13は、第1バーコード51と第2バーコード53が重ねて記録された複屈折ラベル12から、第1バーコード51と第2バーコード53をそれぞれ個別に読み取ることができる。
【0050】
なお、上述の実施形態では、複屈折ラベル12に第1読み取り光L1を照射する第1光源21と、第2読み取り光L2を照射する第2光源22を各々別個に設ける例を説明したが、これに限らない。例えば、複屈折ラベル12の様態によっては、第1光源21と第2光源22を一体に形成しても良い。なお、第1実施形態のプローブ13と同様の部材には第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図5に示すように、プローブ61は、第1光源21及び第2光源22の替わりに、光源62を配置したプローブである。光源62は、LED63と偏光板67とからなる。LED63は、赤色光を発する赤色光チップ64と緑色光を発する緑色光チップ66の2種類のチップを内蔵した1個のLEDであり、制御部24によっていずれか一方のチップから選択的に光が発せられる。また、偏光板67は、撮像部23の偏光板36と同様に、透過軸方向が複屈折ラベル12の短辺方向にほぼ平行になるように配置される。
【0052】
したがって、プローブ61では、赤色光チップ64から赤色光を発したときに、第1実施形態のプローブ13と同様に、光源62から第1読み取り光L1が複屈折ラベル12に照射される。このため、第1読み取り光L1を照射して、第1バーコード51を読み取ることができる。
【0053】
一方、緑色光チップ66から緑色光を発したときには、複屈折ラベル12に緑色の直線偏光が照射されるが、偏光板67が赤色光チップ64と共通であるため、複屈折ラベル12に照射される緑色の直線偏光は、第1読み取り光L1と偏光方向が等しく、波長だけが異なる第3読み取り光L3となる。このため、プローブ61で読み取る複屈折ラベル68は、第2バーコード53を記録した第2記録層を、第3読み取り光L3にだけ選択的に作用する複屈折区画を用いて形成しておけば、前述の第2読み取り光L2による第2バーコード53の読み取りと同様にして第2バーコード53を読み取ることができる。
【0054】
上述の複屈折ラベル68のように、偏光方向が等しく、波長が異なる光に対して選択的に作用する複屈折区画の分布によって第1,第2バーコード51,53をそれぞれ記録し、複数の色の直線偏光を発する1つの光源62を用いれば、プローブ61をよりコンパクトに形成することができる。
【0055】
なお、ここでは、1個のLEDが内に赤色光チップ64と緑色光チップ66が内蔵された例を説明したが、赤色光を発するLED31と緑色光を発するLED33をほぼ隣接して配置し、これらの前面に共通の偏光板を配置する場合にも同様である。
【0056】
なお、上述の実施形態では、複屈折ラベル12を第1読み取り光L1で照明する場合と、第2読み取り光L2で照明する場合に、共通の撮像部23で複屈折ラベル12を撮像したが、これに限らず、第1読み取り光L1で照明する場合と、第2読み取り光L2で照明する場合とでそれぞれ異なるイメージセンサで複屈折ラベル12を撮像するようにしても良い。なお、上述の実施形態のプローブ13と同様の部材には上述の実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図6に示すように、プローブ71は、プローブ13の撮像部23の替わりに、第1撮像部72と第2撮像部73の2つに分かれた撮像部(受光手段)を配置したプローブである。第1撮像部72及び第2撮像部73は、プローブ13の撮像部23と同様に構成される。このため、第1撮像部72及び第2撮像部73は、それぞれ偏光板36,レンズ37,イメージセンサ38(第1光センサ,第2光センサ)を備える。イメージセンサ38は、第1光源21によって第1読み取り光L1が複屈折ラベル12に照射されたときに、その反射光R1によって複屈折ラベル12を撮像する。このため、第1撮像部72は、第1バーコード51が再生された複屈折ラベル12の画像52を取得する。また、第2撮像部73は、第2光源22によって第2読み取り光L2が複屈折ラベル12に照射されたときに、その反射光R2によって複屈折ラベル12を撮像する。このため、第2撮像部73は、第2バーコード53が再生された複屈折ラベル12の画像54を取得する。
【0058】
上述のように、第1撮像部72と第2撮像部73を設けると、第1撮像部72による複屈折ラベル12の撮像と、第2撮像部73による複屈折ラベル12の撮像を独立して行うことができるようになる。このため、例えば、反射光R1が第1撮像部72にだけ入射し、反射光R2が第2撮像部73にだけ入射するように第1光源21,第2光源22,第1撮像部72,第2撮像部73の位置や角度変えて配置することができ、第1バーコード51の読み取りと、第2バーコード53の読み取りを同時に行うことができるようになる。これにより、複屈折ラベル12からの複数の情報の読み取りをより短時間に行うことができるようになる。
【0059】
また、第1撮像部72に赤色光だけを選択的に透過するカラーフィルタを、第2撮像部73に緑色光だけを選択的に透過するカラーフィルタをそれぞれ組み合わせることで、前述と同様に、第1バーコード51の読み取りと、第2バーコード53の読み取りを同時に行うことができる。例えば、第1撮像部72のイメージセンサ38の前に赤色のカラーフィルタを配置し、第2撮像部73のイメージセンサ38前に緑色のカラーフィルタを配置しておく。この場合、第1撮像部72と第2撮像部73が近接しており、第1撮像部72に緑色の第2反射光R2が入射したり、第2撮像部73に赤色の第1反射光R1が入射してしまっても、第1撮像部72では赤色の第1反射光R1だけによって複屈折ラベル12が撮像され、第2撮像部73では緑色の第2反射光R2だけによって複屈折ラベル12が撮像される。このため、第1読み取り光L1と第2読み取り光L2を複屈折ラベル12に同時照射して、第1バーコード51と第2バーコード53を第1撮像部72と第2撮像部73で同時に撮像することができる。これにより、複屈折ラベル12からの複数の情報の読み取りをより短時間に行うことができるようになる。
【0060】
なお、上述の実施形態では、反射型の複屈折ラベル12から第1,第2バーコード51,53の読み取りを行うプローブ13の例を説明したが、これに限らず、複屈折ラベルは透過型であっても良い。
【0061】
図7(A)に示すように、複屈折ラベル81は、透過型のラベルであり、一方の表面側から入射した光を他方の表面側に透過する透過型のラベルであり、商品16に吊り下げられる値札82等に一定の向きで組み込まれる。また、複屈折ラベル81は、前述の反射型の複屈折ラベル81と同様に、複屈折体の分布によって第1バーコード51と第2バーコード53が重ねて記録されている。但し、複屈折ラベル81内の複屈折体の具体的な分布は、第1,第2バーコード51,53が透過光によって再生されるように定められる。
【0062】
図7(B)に示すように、読み取りシステム80は、複数の情報を重ねて記録した透過型の複屈折ラベル12から各々の情報をそれぞれ読み出し、記録するシステムであり、プローブ83と、上述の実施形態と同様の情報入力端末14を備える。プローブ83は、値札82ごと複屈折ラベル81を挿入する凹部84が形成される。また、凹部84の内壁は、透明で等方的な材料で形成される。また、情報入力端末14は、上述の実施形態と同様である。
【0063】
図8に示すように、プローブ83は、第1光源86,第2光源87,撮像部88,制御部24を備える。第1光源86及び第2光源87は、上述の実施形態の第1光源21,第2光源22と同様にそれぞれ偏光板32,34とLED31,33とからなる。第1光源86及び第2光源87は、凹部84に挿入された透過型の複屈折ラベル81に対して第1読み取り光L1,第2読み取り光L2をそれぞれほぼ垂直に照射するように、凹部84の一方の側面に配置される。また、撮像部88は、上述の実施形態の撮像部23と同様に偏光板36,レンズ37,イメージセンサ38から構成され、第1光源86及び第2光源87と凹部84を介して対向するように、凹部84の他方の側面に向けて配置される。
【0064】
したがって、プローブ83は、凹部84に値札82が挿入されたときに、第1光源86から複屈折ラベル81に向けて第1読み取り光L1を照射し、複屈折ラベル81からほぼ垂直に出射する透過光T1によって複屈折ラベル81を撮像する。これにより、上述の実施形態と同様に、第1バーコード51だけが再生された複屈折ラベル81の画像が取得される。また、プローブ83は、第2光源87から複屈折ラベル81に向けて第2読み取り光L2を照射し、複屈折ラベル81からほぼ垂直に出射する透過光T2によって複屈折ラベル81を撮像する。これにより、上述の実施形態と同様に、第2バーコード53だけが再生された複屈折ラベル81の画像が取得される。なお、こうして取得した画像から、第1,第2バーコード51,53の読み取りを行い、情報を取得,記録する様態は上述の実施形態と同様である。
【0065】
なお、ここでは、上述の実施形態のように、プローブ83が2つの光源86,87と1つの撮像部88を備える例を説明したが、これに限らない。例えば、上述の実施形態の変形例として、第1光源21と第2光源22を一体に形成する例や、第1光源21と第2光源22にそれぞれ対応するように第1撮像部72,第2撮像部73を設ける例を説明したが、これらの変形例の場合にも、プローブに凹部84を形成し、この凹部84を介して光源と撮像部が対向するように光源及び撮像部を配置することで、透過型の複屈折ラベル81から情報を読み取ることができる。
【0066】
なお、上述の実施形態及び変形例では、複屈折ラベル12には第1バーコード51と第2バーコード53の2種類のバーコードが記録され、これらのバーコードからそれぞれ情報を読み取る例を説明したが、これに限らない。例えば、複屈折ラベルには1種類のバーコードを記録しておき、このバーコードから情報を読み取るとともに、複屈折ラベルを無偏光で撮影することによって、無偏光下で複屈折ラベルが何も再生しないという状態をひとつの情報として扱うようにしても良い。また、偏光板を介さずに自然光等の無偏光状態の光を入射させ、その反射光によって観察できるように、複屈折体の分布ではなくインク等によって反射膜40上に第2バーコードを描いておき、無偏光による撮影画像からはこの第2バーコードから情報を読み取るようにしても良い。また、こうして無偏光の読み取り光を複屈折ラベルに照射するときには、第1読み取り光L1の照射時にイメージセンサ38の前面を覆う被覆位置に移動し、無偏光の第2読み取り光の照射時には、イメージセンサ38の前面を露呈する露呈位置に退避するように、偏光板36を移動自在に設けても良い。
【0067】
このように、無偏光による撮影画像を取得する場合には、図9に示すように、プローブを、光源と撮像部をそれぞれ1つずつ備えたものとし、光源部及び撮像部の偏光板を前述の被覆位置及び露呈位置に移動自在に設けることが好ましい。図9に示すように、プローブ91は、上述の実施形態の第1光源21,22のかわりに1つの光源92を設け、撮像部23のかわりに撮像部93を設けたものである。光源92は、上述の実施形態の第1光源21と同様にLED31と偏光板32とからなるが、偏光板32がLED31の前面を覆う被覆位置(図9A)と、LED31の前面を露呈する露呈位置(図9B)とで移動自在に設けられている。このため、光源92は、赤色の直線偏光である第1読み取り光L1を発する光源(第1光源)として機能するとともに、無偏光を発する光源(第2光源)としても機能する。また、撮像部93は、上述の実施形態の撮像部23と同様に偏光板36,レンズ37,イメージセンサ38からなるが、偏光板36がイメージセンサ38の前面を覆う被覆位置(図9A)と、イメージセンサ38の前面を露呈する露呈位置(図9B)とで移動自在に設けられている。
【0068】
このように構成されるプローブ91によって複屈折ラベル12から情報を読み取るときには、図9(A)に示すように、まず、偏光板32,36をそれぞれ被覆位置に配置して、第1読み取り光L1によって照明しながら、その反射光R1によって複屈折ラベル12を撮影し、第1バーコード51が再生された複屈折ラベル12の画像を取得する。そして、上述の実施形態と同様に第1バーコード51の情報を読み取る。次に、図9(B)に示すように、偏光板32,36をそれぞれ露呈位置に退避させ、赤色の無偏光L4によって照明しながら、その反射光R4によって複屈折ラベル12を撮影し、第1バーコード51及び第2バーコード53がいずれも再生されていない複屈折ラベル12の画像を取得し、複屈折ラベル12がバーコード51,52を再生していないことを確認する。これにより、例えば、先に読み取った第1バーコード51が、インク等で描かれた不正なバーコードではなく、複屈折体の分布で描かれた正規のものであることを確認して、データベース27へ情報を記録することができる。
【0069】
また、上述の実施形態及び変形例では、撮像部23の偏光板36を、透過軸方向が第1光源21の偏光板32の偏光軸方向と一致するように配置する例を説明したが、撮像部23の偏光板36を回転自在に配置し、複屈折ラベル12に照射する読み取り光の偏光方向に応じて透過軸方向を変化させるようにしても良い。同様に、上述の実施形態では、第1光源21や第2光源22に配置された偏光板32,34は、透過軸の方向を固定して配置されるが、上述と同様に、これらの偏光板32,34の透過軸方向が可変となるように、回転自在に配置しても良い。
【0070】
また、このように偏光板の透過軸方向を回転させるかわりに、液晶と1枚の偏光板を組み合わせた液晶素子を用い、液晶に電圧を印加するか否かによって、直線偏光の偏光方向を選択するようにしても良い。例えば、上述の実施形態の第1光源21(図2)において、偏光板32のかわりに、TN液晶と1枚の偏光板32を組み合わせた液晶素子をLED31側から偏光板32,TN液晶の順になるように配置する。この場合、TN液晶に電圧を印加しない状態では、偏光方向が偏光板32の透過軸方向に平行な直線偏光(読み取り光L1)が第1光源21から出射され、TN液晶に電圧を印加した状態では、偏光方向が偏光板32の透過軸方向に垂直な直線偏光が第1光源21から出射されるようになる。なお、ここでは、TN液晶を例にしたが、他のタイプの液晶でも同様である。
【0071】
なお、上述の実施形態及び変形例では、複屈折ラベル12に2種類のバーコードが重ねて記録され、これらのバーコードから各々に情報を読み出す例を説明したが、上述の実施形態及び変形例で説明したプローブ13,61,71,83は、バーコード等が1種類記録された複屈折ラベルからの情報の読み出しにも好適に用いることができる。また、バーコードを横に並べて記録した複屈折ラベルからの情報の読み取りにも、上述の実施形態及び変形例で説明したプローブ13,61,71,83を好適に用いることができる。
【0072】
なお、上述の実施形態及び変形例では、複屈折ラベル12から2種類のバーコードを読み取る例を説明したが、これに限らず、複屈折ラベル12に予め3以上の情報を記録しておき、これらの3以上の情報を読み取るようにしても良い。この場合、複屈折ラベル12から読み取る情報の数に応じて、複屈折ラベル12に照射する読み取り光の種類(偏光状態,偏光方向,または波長)を増やす必要がある。
【0073】
なお、上述の実施形態及び変形例では、複屈折ラベル12に対してプローブ13を固定した状態で、複屈折ラベル12から情報を読み取る例を説明したが、プローブ13と複屈折ラベル12を相対的に移動させながら情報の読み取りを行うようにしても良い。例えば、プローブ13を小型に形成し、複屈折ラベル12に沿って先端部17をスライドさせながら、複屈折ラベル12の情報を読み取るようにしても良い。また、プローブ13を固定しておき、プローブ13の先端部17に対して複屈折ラベル12をスライドさせながら、複屈折ラベル12の情報を読み取るようにしても良い。
【0074】
なお、上述の実施形態及び変形例では、第1読み取り光L1によって照明しながら複屈折ラベル12を撮影して第1バーコード51の情報を読み取り、次に第2読み取り光L2等によって照明しながら複屈折ラベル12を撮影して第2バーコード53の情報を読み取る例を説明したが、撮影の順序や情報を読み取るタイミングはこれに限らない。例えば、上述の実施形態等とは逆順に、第2読み取り光L2等によって照明しながらの撮影を先に行い、次いで第1読み取り光L1によって照明しながらの撮影を行っても良い。また、情報を読み取るタイミングは、各撮影の直後に行うことに限らず、第1読み取り光L1を照明しながらの撮影と第2読み取り光L2による撮影をともに終えた後、各々の撮影で取得した画像から、バーコード51,53の情報を読み取るようにしても良い。
【0075】
なお、上述の実施形態及び実施例では、複屈折ラベル12が長方形である例を説明したが、これに限らず、複屈折ラベル12の形状は任意の形状で良い。但し、正方形や円など、複屈折ラベル12を対称な形状とするときには、複屈折ラベル12から情報を読み取ることができるように、プローブを近接させる向きを指定するマーカー等を設けておくことが好ましい。
【0076】
なお、上述の実施形態及び変形例では、撮像部23にエリアイメージセンサ(イメージセンサ38)を用いる例を説明したが、撮像部23は複屈折ラベル12からの光を受光することができれば良いので、撮像部23には、イメージセンサ38のかわりに、ラインセンサやPD(フォトダイオード)を用いても良い。
【0077】
また、上述の実施形態及び変形例では、複屈折ラベルに読み取り光を照射する光源にLEDを用いる例を説明したが、LEDのかわりに、LDやランプ等を用いても良い。
【0078】
なお、上述の実施形態及び実施例では、複屈折ラベル12にバーコードが記録され、このバーコードから情報を読み取る例を説明したが、複屈折ラベル12に2次元コードや任意の画像を記録しておき、これらの画像から情報を読み取るようにしても良い。
【符号の説明】
【0079】
11,80 読み取りシステム
12,68,81 複屈折ラベル
13,61,71,83,91 プローブ(読み取り装置)
14 情報入力端末
21,86 第1光源
22,88 第2光源
23,72,73,88,93 撮像部(受光手段)
24 制御部
26 デコーダ
27 データベース
31,33,63 LED
32,34,36,67 偏光板(偏光フィルタ)
37 レンズ
38 イメージセンサ
40 反射膜
41 第1記録層
42 第2記録層
43,46 複屈折区画43
44,47 等方性区画44
51 第1バーコード(再生画像)
53 第2バーコード(再生画像)
62,92 光源
64 赤色光チップ64
66 緑色光チップ66

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射される直線偏光の偏光方向及び波長に応じて再生画像が異なる記録媒体に、偏光方向及び波長が定められた直線偏光の第1読み取り光を照射する第1光源と、
偏光状態,偏光方向,波長のうち少なくともいずれか1つが前記第1読み取り光と異なる第2読み取り光を、前記第1読み取り光とは異なるタイミングで前記記録媒体に照射する第2光源と、
少なくとも前記第1読み取り光の照射時に、透過軸の方向を前記第1読み取り光の偏光方向の直線偏光が透過する方向に向けた偏光フィルタを通して、前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る受光手段と、
を備えることを特徴とする再生画像読み取り装置。
【請求項2】
前記受光手段は、前記第1読み取り光と前記第2読み取り光の照射時に共通して用いられる1つの光センサからなることを特徴とする請求項1記載の再生画像読み取り装置。
【請求項3】
前記受光手段は、前記偏光フィルタが前面に配置され、前記第1読み取り光の照射時に前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る第1光センサと、前記第1光センサとは別個に設けられ、前記第2読み取り光の照射時に前記記録媒体からの光を受光し、前記再生画像を読み取る第2光センサとからなることを特徴とする請求項1記載の再生画像読み取り装置。
【請求項4】
前記第1光源と前記第2光源は一体に形成され、前記第1読み取り光と前記第2読み取り光をほぼ同じ位置及び方向から前記記録媒体に照射することを特徴とする請求項1または2記載の再生画像読み取り装置。
【請求項5】
前記第2読み取り光は、前記第1読み取り光と偏光方向が異なる直線偏光であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の再生画像読み取り装置。
【請求項6】
前記第2読み取り光は、前記第1読み取り光と偏光方向が等しく、波長が異なる直線偏光であることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の再生画像読み取り装置。
【請求項7】
前記第2読み取り光は無偏光であることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の再生画像読み取り装置。
【請求項8】
前記光センサと前記記録部材を相対的に移動させながら、前記記録媒体の一方の側から前記再生画像を読み取ることを特徴とする請求項1ないし7いずれかに記載の再生画像読み取り装置。
【請求項9】
前記偏光フィルタは、前記光センサの前面を被覆する被覆位置と前記光センサの前面を露呈する露呈位置とに移動自在に設けられ、
前記第1読み取り光の照射時に前記被服位置に移動され、前記第2読み取り光の照射時に前記退避位置に移動されること
を特徴とする請求項7記載の再生画像読み取り装置。
【請求項10】
前記偏光フィルタは、前記光センサの前面で、前記第1読み取り光を透過する方向と前記第2読み取り光を透過する方向の2方向に前記透過軸を回転自在に設けられていること
を特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の再生画像読み取り装置。
【請求項11】
前記偏光フィルタは、液晶に印加する電圧に応じて前記透過軸の方向を自在に変化させる液晶フィルタであること
を特徴とする請求項10記載の再生画像読み取り装置。
【請求項12】
照射される直線偏光の偏光方向及び波長に応じて再生画像が異なる記録媒体に、偏光方向及び波長が定められた直線偏光の第1読み取り光を照射して、前記第1読み取り光に対応した前記再生画像を読み取る第1ステップと、
前記第1読み取りステップの前または後に、偏光状態,偏光方向,波長のうち少なくともいずれか一つが前記第1読み取り光と異なる第2読み取り光を前記記録媒体に照射して、前記第2読み取り光に対応した前記再生画像を読み取る第2ステップと、
を備えることを特徴とする再生画像読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−44095(P2011−44095A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193394(P2009−193394)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】