説明

再生皮革及びその製造方法

本発明は、皮原料から解繊によって得られたコラーゲン繊維が三次元的に絡み合ってなり、見かけ密度が0.35g/cm〜1.4 g/cmである再生皮革及びその製造方法を開示している。該皮革の製造方法は、皮原料を解繊してコラーゲン繊維を製造するステップ、ウェブを形成するステップ、スパンレース及びウェット熱収縮セッティングのステップを含む。該再生皮革は、織編構造、見かけ密度や各強度指標及び耐磨耗性がいずれも本皮革に近い。本皮革に比べて、そのメリットは皮シートが大きくて整然としており、任意に裁断することができ、織編見かけ密度が一致することにある。該再生皮革は、主に製革工業中の皮屑を原料とする。該方法の普及は、製革業における資源の再利用に有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮革に関し、具体的には再生皮革及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製革業は長年の歴史を有し、動物から採取した皮を原料としており、肉取、脱毛、脱脂を行ってから、なめし、充填、染色、加脂の工程を経てそれに一連の化学反応を発生させ、最終的には、一定の酸、アルカリ、ウェット熱を耐えながら柔軟で豊満な完成品皮革を取得する。動物の本皮革は主にコラーゲン繊維、微量の弾性繊維、及び網状繊維から織編されて成り、コラーゲン繊維が皮総重量の95%程度を占める。製革加工は実際にコラーゲン繊維をなめして改質させ、その化学的性質に所定の変化を起こす。
【0003】
動物皮は工業上において、主に製革に用いられる。製革工芸では、原料皮には焼印、肥満シワ、擦れ傷及びその他の原因による欠陥が存在するため、最終的には、25%〜40%のみの原料皮が完成品に加工され、残りは廃材となる。これら廃材は環境を汚染するだけではなく、貴重な天然蛋白質材料が合理的に応用されないことも人類にとって残念なことである。長い間、これら廃材に対しても耐えずに研究開発して利用し、これら材料における少量の用途を実現するようになった。しかしながら、加工技術及び製品品質が低く、応用範囲が小さく、あまり利用されていない。
【0004】
特許文献1はコラーゲン繊維再生革基布及びその製造方法を開示しており、皮原料からコラーゲン繊維を効果的に取得するとともに不織の技術によってそれを基布として織編する方法を提供している。前記方法によって得られた基布はすでに天然皮革に似た織編構造を有するが、それは織編が緩く、見かけ密度が0.25〜0.3g/cmしかなく、500g/mの当該基布の引裂強さも8N程度しかなく、基材に過ぎず、さらなる処理がないのであれば商用に適しない。これら従来の不織工芸技術に限界があるため、コラーゲン繊維だけではなく、ほかの化学繊維や天然繊維も、従来の不織技術、特にスパンレース工芸によって加工されると、その製品の見かけ密度は0.25g/cm以下しかない。本皮の皮革製品の場合は、見かけ密度が一般的に0.6g/cm〜1.0g/cmであり、500g/mの皮革引裂強さが一般的に≧30Nである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第1779002号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術に存在する問題に対して、本発明の主な目的は、織編見かけ密度や各強度指標及び耐磨耗性がいずれも本皮の皮革に近い再生皮革を提供することである。
【0007】
本発明の目的はさらに、上記再生皮革の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は以下の技術方案によって実現される。
【0009】
まず、本発明は、皮原料から解繊によって得られたコラーゲン繊維が三次元的に絡み合ってなり、見かけ密度が0.35g/cm〜1.4g/cmである再生皮革を提供する。該見かけ密度は、中華人民共和国軽工業業界標準QB/T2715−2005「皮革の物理と機械試験の見かけ密度の測定」に提示される方法によって測定される。製革工業用の再なめし剤及びフィラーをさらに含むことができる。
【0010】
好ましくは、本発明による再生皮革は下記重量割合の成分によって構成される。
皮原料から解繊によって得られたコラーゲン繊維: 70%〜98%
再なめし剤及び/又はフィラー: 2%〜30%
人為的に混入したものではないほかの繊維及び非繊維不純物は、無視してもよい。
【0011】
上記製革工業用の再なめし剤は、クロム、ジルコニウム、チタン、鉄なめし剤などのような無機なめし剤、及び、アルデヒド類、植物類、樹脂類なめし剤などのような有機なめし剤を含む。用いるフィラーは、各種の動物油、植物油、鉱物油、その合成油、有機シリコン類、有機フッ素類のような加脂剤、及び、硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、バリウム塩、カルシウム塩のような塩類を含む。
【0012】
本発明は、下記の中心ステップを含む上記再生皮革の製造方法をさらに提供する。
【0013】
(1)皮原料を解繊してコラーゲン繊維を製造するステップ;
(2)コラーゲン繊維からウェブを形成するステップ;
(3)スパンレース加工してスパンレース皮原料を取得するステップ;
(4)スパンレース皮原料からウェット熱収縮セッティングによって再生皮革を取得するステップ。
【0014】
必要に応じて、皮原料に対して再なめし、充填、染色、柔軟化、整理、含浸、塗飾、複膜及び毛羽立加工などのような、製革業で常用の処理を行うことができる。
【0015】
皮原料を解繊する方法によってコラーゲン繊維を取得する。皮原料の繊維が緩く織編されている場合、伝統技術で原料を開反してカーディングすることによってそれを取得することができる。一般的には、中国特許出願公告第100545329号明細書に開示された液体開反機によって解繊するか、或いは、中国特許出願公開第1779002号明細書に開示された方法によって解繊することが好ましい。
【0016】
好ましくは、ステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングは、水茹で収縮セッティング、蒸気収縮セッティング又は熱延収縮セッティングである。
【0017】
ウェット熱収縮セッティング温度は、一般的には60〜105℃である。好ましくは、前記ウェット熱収縮セッティング温度は、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+10℃とする。前記スパンレース皮原料の収縮温度は、中華人民共和国軽工業業界標準QB/T 2713−2005「皮革収縮温度の測量」に提供の方法によって測量される。測定溶液として水を用いる。
【0018】
ステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングの過程は、好ましくは、スパンレース皮原料中のコラーゲン繊維を充水する皮革充水塩溶液によってスパンレース皮原料を処理する。コラーゲン繊維は皮革充水塩溶液によって処理されると、収縮温度が明らかに低くなり、脱塩したら回復することができる。したがって、該技術のウェット熱収縮セッティングのステップにおいて、熱エネルギーを節約するとともに、スパンレース皮原料中のコラーゲン繊維を不可逆的改質温度から離れるようにすることができる。皮革充水塩はリチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ヨウ化物、バリウム塩及びチオシアン酸塩のうちの少なくとも1種であり、濃度範囲が一般的に10wt%〜60wt%である。
【0019】
充水塩類溶液の使用方法は好ましくは下記の2種であるが、それらに限られない。
【0020】
1.ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料を、皮革充水塩を含む溶液に常温浸漬又は加熱浸漬処理してそれを収縮セッティングさせる;前記皮革充水塩を含む溶液の温度は、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+80℃とする。前記スパンレース皮原料の収縮温度は、中華人民共和国軽工業業界標準QB/T 2713−2005「皮革収縮温度の測量」に提供の方法によって測量される。測定溶液として前記皮革充水塩溶液を用いる。
【0021】
2.まずステップ(3)に記載のスパンレース皮原料を、皮革充水塩を含む溶液に浸漬して、さらに蒸気加熱又は熱延処理を行ってそれを収縮セッティングさせる;前記蒸気加熱又は熱延の温度は、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+80℃とする。前記スパンレース皮原料の収縮温度は、中華人民共和国軽工業業界標準QB/T 2713−2005「皮革収縮温度の測量」に提供の方法によって測量される。測定溶液として前記皮革充水塩溶液を用いる。
【0022】
本発明によるステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングの処理の後、材料の長さ、幅の収縮率は一般的に20%〜50%である。
【0023】
本発明による再生皮革は、靴、服装、トランクやバッグ、ソファーなどの、本皮革を応用し得るすべての分野に応用されることができる。
【0024】
従来の皮革基布に比べて、本発明は以下のメリットを有する。
【0025】
(1)本発明は、皮原料を解繊して得られたコラーゲン繊維を主な原料として製造した再生皮革を取得する。該皮革は、織編構造、見かけ密度や各強度指標及び耐磨耗性がいずれも本皮の皮革に近い再生皮革である。本皮皮革に比べて、そのメリットは皮シートが大きくて整然としており、任意に裁断することができ、織編見かけ密度が一致して部位差がなく、厚さ1.0の場合に引裂強さが26Nより大きいことにある。
【0026】
(2)本発明による方法において、特に、コラーゲン繊維の有するウェット熱収縮特性に基づき、収縮セッティングのステップを設けている。コラーゲン繊維はウェブ形成、スパンレースのステップのみによって加工されると、その織編見かけ密度や各強度指標及び耐磨耗性が本皮皮革に比べてまだ差があり、本皮の皮革風合いが強くない。本発明における収縮セッティングによって該織編物を収縮させ、隣り合う繊維及びその分枝とさらに織編交絡させてより大きい織角を形成させ、本皮皮革と繊維織編見かけ密度が一致する製品を取得する。具体的な実施において、異なる原材料に基づいて、それぞれ該材料収縮温度を利用し、収縮セッティングの温度を、その収縮温度から該温度より10℃大きい温度までの範囲に設定する。このようにして、収縮セッティングの目的を達成するとともに、コラーゲン繊維に不可逆的改質をもたらすことがない。
【0027】
(3)該再生皮革は従来の再生革に比べて、品質が高く、使用範囲が広く、製革工業中の皮屑をより多く解決することができ、資源を循環的に再利用することができ、コラーゲン蛋白という天然で貴重な資源の価値を十分に発揮し、伝統皮革業から環境保護型産業への転換に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例を結びつけながら本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の実態様はこれに限られるものではない。
【0029】
本発明による再生皮革の製造の中心ステップは、解繊してコラーゲン繊維を製造すること、ウェブ形成、スパンレース及び収縮セッティングを含む。ここでは、各ステップの好ましい具体的な実施形態をそれぞれ述べる。
【0030】
コラーゲン繊維の製造:原料廃材を液体開反機に入れて解繊を行う。液体開反機は自制可能であり、容器内に少なくとも1つ以上の叩き手と分梳出繊装置を取り付け、液体開反機に用いる溶液は水であり、皮原料の相違によって、水の割合に従って液体内に0.5wt%〜5wt%の乳化油と2wt%〜5wt%の消泡剤を加えることができる。上記液体開反機内の水中に、皮原料は前記叩き手に往復的に叩かれ、繊維は次第に緩くなり、分離するとともに10〜40mmの長さ範囲を保ち、分離された繊維は機内の分梳装置に引き出され、機外に排出される。形成された繊維は設備によって乾燥した又は自然乾燥した後、従来の開反機によって開反され、コラーゲン繊維が得られる。
【0031】
ウェブ形成:上記得られたコラーゲン繊維を従来工芸におけるカーディング、ウェブ敷き技術、又は気流ウェブ形成技術や湿式ウェブ形成技術、或いは2種以上の形式によって、ウェブを複合的に形成させて所要の厚みを有するコラーゲン繊維を形成する。
【0032】
スパンレース:上記コラーゲン繊維をスパンレース機によってスパンレース加工し、コラーゲン繊維とその分枝とを互に交差、絡み合わせて、本皮革に似た網目状織編構造を形成させ、以下それをスパンレース皮原料と称する。
【0033】
ウェット熱収縮セッティング:ウェット熱収縮セッティングは皮革充水塩によって処理された状況及び処理されなかった状況を含む。2つの状況の主な区別は、コラーゲン繊維が皮革充水塩によって処理されたら、その収縮温度が明らかに低下することにある。そうすると、低い温度において収縮セッティングを完成することができ、コラーゲン繊維の保護に有利である。特に高い濃度を有する充水塩溶液を使用する場合、スパンレース皮原料の収縮温度は最低で常温とすることもでき、上限が一般的に、皮革充水塩によって処理される前のスパンレース皮原料の収縮温度付近に制御される。上記の温度域において、収縮セッティングの目的を達成し得るとともに、コラーゲン繊維の不可逆的な改質を招来することもない。実際生産において、具体的な生産条件によると、収縮セッティング温度の選択可能な温度域の幅は、80℃かそれ以上とすることができる。
【0034】
皮革充水塩によって処理された再生革は、水洗によって塩分を除去することができる。
【0035】
上記ステップは本発明の中心ステップに過ぎず、皮原料に対して再なめし、充填、染色、柔軟化、含浸、塗布、整理、複膜、毛羽立加工などの従来工芸によって処理することもできる。これらの工芸ステップは後続処理工芸だけではなく、必要に応じて製革過程の異なる段階で行うことができる。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
(1)コラーゲン繊維の製造:クロムなめしされた本皮革又はその皮屑を液体開反機(中国特許出願公告第100545329号明細書に開示された装置;以下同様)に入れて解繊を行う。液体開反機内に用いる溶液は水であり、水の割合に従って2wt%の乳化油と3wt%の消泡剤を液体内に加える。解繊によって形成された繊維は設備によって乾燥する又は自然乾燥する。さらに、FA104型6ロール式開反機によって十分な開反を行い、コラーゲン繊維を取得する。
(2)ウェブ形成:上記得られたコラーゲン繊維を、K12気流ウェブ形成機を通過させ、200g/mのコラーゲン繊維ウェブを形成する。
(3)スパンレース:上記コラーゲン繊維を1回のパネル式スパンレース、及びスパンレース圧力がそれぞれ60bar、150bar、200bar、100bar及び80barである5回の回転ドラム式スパンレースによって、コラーゲン繊維とその分枝とを互に交差、絡み合わせて、本皮革に似た網目状織編構造を形成させる。それをスパンレース皮原料と称する。
(4)ウェット熱収縮セッティング:まずサンプルを採取し、「QB/T 2713−2005」の方式によって測定し、該スパンレース皮原料の収縮温度が95℃であると測定した。従来技術におけるシングルウェブカーテン浸漬機によって浸漬プレスし、該スパンレース皮原料を浸漬プレス設備に浸して高温浸漬プレスするが、浸漬プレス液の温度を95℃とする。浸漬プレス液にポリウレタン10%を加える。
(5)乾燥セッティング:ドラム式乾燥設備によって連続的に「乾燥」してアイロン掛けを行うが、その温度を80℃とする。
上記工芸ステップで加工した再生皮革は、グラム重が500g/m±10%であり、見かけ密度が0.56g/cmであり、引裂強さが≧28Nである。
【0037】
(実施例2)
工芸説明:
植物タンニンなめしの本皮革又はその皮屑を原料とし、解繊、ウェットウェブ形成(100g/m)、スパンレースを行った後に、収縮温度が80℃であるスパンレース皮原料を取得する。通過式スチームボックスを用いて蒸気加熱を行い、スパンレース皮原料を収縮セッティングさせる。蒸気温度を85℃とする。収縮温度の測定方法は例1と同じである。
残りの工芸は実施例1と同じである。
上記工芸ステップで加工した再生皮革は、グラム重が230g/m±8%であり、見かけ密度が0.38g/cmであり、引裂強さが≧20Nである。
【0038】
(実施例3)
工芸説明:
ウェットブルー皮革又はその皮屑を原料とし、解繊、カーディングウェットウェブ形成(300g/m)、スパンレースを行った後に、収縮温度が95℃であるスパンレース皮原料を取得する。上記のスパンレース皮原料を浸漬プレス車内に浸して浸漬プレスする。浸漬プレス液の温度を35℃とし、浸漬プレス液内に5wt%のタンニンエキス、3wt%のアミノシリコン油を加える。該皮原料を浸漬プレスした後、スチームボックスによって収縮セッティングさせる。スチームボックス内の蒸気温度を96℃にする。収縮温度の測定方法は例1と同じである。
残りの工芸は実施例1と同じである。
上記工芸で加工した再生皮革は、単位グラム重が630g/m±10%であり、見かけ密度が0.42g/cmであり、引裂強さが≧30Nである。
【0039】
(実施例4)
工芸説明:
クロムなめしの本皮革又はその皮屑を原料とする。解繊、ウェットウェブ形成及び気流ウェブ形成によって、上下に積み重ねて複合繊維ウェブ(500g/m)を形成し、スパンレースを行った後に、収縮温度が100℃であるスパンレース皮原料を取得する。まず該スパンレース皮原料のサンプルを採取し、皮革耐湿熱収縮温度測定計を用いて「QB/T 2713−2005」の方式によって測定する。異なるのは、測定溶液は20wt%のリチウム塩水溶液であり、検出の結果として、該スパンレース皮原料の該溶液における収縮温度が70℃に下がる。そして、スパンレース皮原料をシングルウェブカーテン浸漬機によって浸漬する。浸漬機内の溶液は20wt%のリチウム塩水溶液である。浸漬後のスパンレース皮原料を連続式の蒸気セッティングによって湿式蒸着し、温度を70℃とする。或いは熱延車によって熱延し、温度を80℃としてそれを収縮セッティングさせる。そして、水洗によって脱塩し、再なめし、充填、乾燥を行う。
残りの工芸は実施例1と同じである。
上記工芸で加工した再生皮革は、単位グラム重が1000g/m±10%であり、見かけ密度が0.68g/cmであり、引裂強さが≧38Nである。
【0040】
(実施例5)
工芸説明:
植物タンニンなめしの本皮革又はその皮屑を原料とする。解繊、ウェットウェブ形成及び気流ウェブ形成によって、上下に積み重ねて複合ウェブ(500g/m)を形成し、スパンレースを行った後に、収縮温度が100℃であるスパンレース皮原料を取得する。まず該スパンレース皮原料のサンプルを採取し、皮革耐湿熱収縮温度測定計を用いて「QB/T 2713−2005」の方式によって測定する。異なるのは、測定溶液は20wt%のリチウム塩水溶液であり、検出の結果として、該スパンレース皮原料の該溶液における収縮温度が70℃に下がる。そして、スパンレース皮原料をシングルウェブカーテン浸漬機によって浸漬する。浸漬機内の溶液は20wt%のリチウム塩水溶液である。浸漬後のスパンレース皮原料を連続式の蒸気セッティングによって湿式蒸着し、温度を70℃とする。或いは熱延車によって熱延し、温度を80℃としてそれを収縮セッティングさせる。そして、水洗によって脱塩し、再なめし、充填、乾燥を行う。
残りの工芸は実施例1と同じである。
上記工芸で加工した再生皮革は、単位グラム重が1000g/m±10%であり、見かけ密度が1.2g/cmであり、引裂強さが≧38Nである。
【0041】
(実施例6)
工芸説明:
ウェットブルー皮革又はその皮屑を原料とする。解繊、ウェットウェブ形成及び気流ウェブ形成によって、上下に積み重ねて複合ウェブ(500g/m)を形成し、スパンレースを行った後に、収縮温度が100℃であるスパンレース皮原料を取得する。まず該スパンレース皮原料のサンプルを採取し、皮革耐湿熱収縮温度測定計を用いて「QB/T 2713−2005」の方式によって測定する。異なるのは、測定溶液は20wt%のリチウム塩水溶液であり、検出の結果として、該スパンレース皮原料の該溶液における収縮温度が70℃に下がる。そして、スパンレース皮原料をシングルウェブカーテン浸漬機によって浸漬する。浸漬機内の溶液は20wt%のリチウム塩水溶液である。浸漬後のスパンレース皮原料を連続式の蒸気セッティングによって湿式蒸着し、温度を70℃とする。或いは熱延車によって熱延し、温度を80℃としてそれを収縮セッティングさせる。そして、水洗によって脱塩し、再なめし、充填、乾燥を行う。
残りの工芸は実施例1と同じである。
上記工芸で加工した再生皮革は、単位グラム重が1000g/m±10%であり、見かけ密度が1.4g/cmであり、引裂強さが≧38Nである。
【0042】
上記実施例は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に制限されるものではない。本発明の本質や原理と背離しない如何なる改変、修飾、置換え、組合せ及び簡略化も、本発明の保護範囲内に含まれる。例えば、収縮工芸過程に干熱収縮、機械加圧、又は酸、アルカリ、ほかの塩類、酸化、還元、有機溶剤による処理を採用すること、或いは超音波、機械振動補助処理などの方法を採用することは、いずれも等価な置換方式であり、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮原料から解繊によって得られたコラーゲン繊維が三次元的に絡み合ってなり、見かけ密度が0.35g/cm〜1.4g/cmであることを特徴とする再生皮革。
【請求項2】
製革工業用の再なめし剤及びフィラーをさらに成分に含むことを特徴とする請求項1に記載の再生皮革。
【請求項3】
下記重量割合の成分を含むことを特徴とする請求項2に記載の再生皮革。
皮原料から解繊によって得られたコラーゲン繊維: 70%〜98%
再なめし剤及び/又はフィラー: 2%〜30%
【請求項4】
下記ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の再生皮革を製造する方法。
(1)皮原料を解繊してコラーゲン繊維を製造するステップ;
(2)コラーゲン繊維からウェブを形成するステップ;
(3)スパンレース加工してスパンレース皮原料を取得するステップ;
(4)スパンレース皮原料からウェット熱収縮セッティングによって再生皮革を取得するステップ。
【請求項5】
再なめし、充填、染色、柔軟化、整理、複膜及び毛羽立加工のうちの1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の再生皮革の製造方法。
【請求項6】
ステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングが水茹で収縮セッティング、蒸気収縮セッティング又は熱延収縮セッティングであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ウェット熱収縮セッティング温度が、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+10℃とすることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングが、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料を、皮革充水塩を含む溶液に常温浸漬又は加熱浸漬処理してそれを収縮セッティングさせ、
前記皮革充水塩を含む溶液の温度が、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+80℃とすることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ(4)に記載のウェット熱収縮セッティングが、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料を、皮革充水塩を含む溶液に浸漬して、さらに蒸気加熱又は熱延を行ってそれを収縮セッティングさせ、
前記蒸気加熱又は熱延処理の温度が、ステップ(3)に記載のスパンレース皮原料の収縮温度に基づいて確定され、収縮温度をN℃とすると、ウェット熱収縮セッティング温度をN℃〜N+80℃とすることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項10】
前記皮革充水塩がリチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ヨウ化物、バリウム塩及びチオシアン酸塩のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項8又は9に記載の製造方法。

【公表番号】特表2013−517334(P2013−517334A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548332(P2012−548332)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/CN2011/070329
【国際公開番号】WO2011/085696
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512185372)浙江宏展新材料有限公司 (1)
【Fターム(参考)】