説明

再生装置、その制御方法、及びプログラム

【課題】再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データの再生において、撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを容易に選択する。
【解決手段】取得した動画データに含まれる、撮影フレームレートが同一である区間ごとに、撮影フレームレートと、開始フレームを特定する情報と、撮影開始時からの経過時間の範囲の情報とを含む区間情報を取得する。また動画データの再生位置を、撮影開始時からの経過時間で指定された場合に、再生装置は各区間の区間情報を用いて再生位置が含まれる区間を決定する。そして再生装置は、該決定した区間の経過時間の範囲の情報、該区間の撮影フレームレート、該区間の開始フレームを特定する情報、及び再生位置から、再生位置に対応する再生フレームを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置、その制御方法、及びプログラムに関し、特に再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データの再生技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像装置の中には、フレーム画像を取得する1秒あたりの回数(以下、撮影フレームレート)を、動画撮影中に変更可能なものがある。
【0003】
一方、動画データを再生装置で再生する場合は、フレーム画像を読み出す1秒あたりの回数(以下、再生フレームレート)が設定されている。一般的には再生フレームレートは固定値である。撮像装置で撮影された動画を再生する場合、当該動画の撮影フレームレートと再生フレームレートとを等しくすることで、撮影時と同一の時間進行で被写体の動作を再現できる。
【0004】
これに対し、上述したように撮影中に撮影フレームレートが変更されて取得された動画データを再生する場合、再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲のフレームの再生時は、撮影時とは異なる時間進行で被写体の動作が再現される。例えば撮影者が撮影中に10秒間、撮影フレームレートを60fpsから120fpsに切り替えて撮影を行なった範囲を含む動画データを、再生フレームレートが60fpsの再生装置で再生する場合を考える。このとき、当該範囲の再生に要する時間は10秒間×(120fps/60fps)=20秒間となる。即ち、10秒間撮影された動画データを20秒間かけて再生するため、所謂スローモーションのような効果を視聴者に与える。
【0005】
なお、異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データを再生する場合には、再生位置が当該範囲に入った際に再生速度が急変したような印象を視聴者に与えることがある。特許文献1及び2には、このような動画データを再生する際に表示される、経過時間を示すシーケンスバーにおいて撮影フレームレートが異なる範囲を識別可能に表示することで、視聴者に対して通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−254366号公報
【特許文献2】特開2007−166501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に開示される再生装置において動画データを再生する際に表示されるシーケンスバーは、動画データの再生に要する時間が最大経過時間として設定される。例えば、30fpsの撮影フレームレートで34分間撮影した後に、120fpsに切り替えて6分間撮影して得られた1つの動画データを、再生フレームレートが30fpsの再生装置で再生する場合を考える。このとき、動画データの再生画面において表示されるシーケンスバーの最大経過時間は、実際に撮影に要した時間である34分+6分=40分ではなく、実際の再生に要する時間である34分+6分×120fps/30fps=58分が設定される。このため、例えば視聴者が撮影開始から38分の位置から視聴を開始するために、再生するフレームを指示する指標アイコンをシーケンスバーの38/40×58分の位置に移動させたとしても、所望のフレームを指示することはできなかった。実際は当該位置から再生を開始するためには、再生時間に換算した34分+120fps×(38分−34分)/30fps=50分であるため、視聴者は指標アイコンを50/58×58分=50分の位置に移動させる必要がある。
【0008】
即ち、異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データを再生する場合に、当該動画データの撮影に要した時間をシーケンスバーの最大経過時間として設定するものはこれまでなかった。このため視聴者は、撮影開始時からの時間により特定されるフレームからの動画データの再生を、容易に行うことができなかった。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データの再生において、撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを容易に選択可能な再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するために、本発明の再生装置は、以下の構成を備える。
動画データを予め定められた再生フレームレートで再生する再生装置であって、それぞれ任意の撮影フレームレートで撮影された複数の部分動画が連結されている動画データを取得する取得手段と、動画データの再生位置を、撮影開始時からの経過時間で指定する第1の指定手段と、取得手段により取得された動画データの各部分動画の撮影フレームレートと各部分動画の長さを解析して、動画データの中から、第1の指定手段により指定された撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを特定する第1の特定手段と、第1の特定手段により特定されたフレームから再生フレームレートで再生する再生手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このような構成により本発明によれば、再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データの再生において、撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを容易に選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るPC100の機能構成を示したブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る動画ファイルのファイル構造を示した図
【図3】本発明の実施形態に係る動画データ部202のデータ構造を示した図
【図4】本発明の実施形態に係るヘッダ部201のデータ構造を示した図
【図5】本発明の実施形態に係る動画データの区間情報を示した図
【図6】本発明の実施形態に係る動画再生アプリケーションのGUIを示した図
【図7】本発明の実施形態に係る再生制御処理のフローチャート
【図8】本発明の実施形態に係る再生フレーム番号特定処理のフローチャート
【図9】本発明の実施形態に係る経過時間特定処理のフローチャート
【図10】本発明の実施形態に係る動画再生アプリケーションのGUIを示した別の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、再生装置の一例としての、異なるフレームレートで撮影された範囲を含む動画データを再生可能なPCに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、フレームレートが異なる範囲(部分動画)が連結された動画データを再生することが可能な任意の機器に適用可能である。また、本明細書において、「撮影フレームレート」とは、動画データの撮影時に取得する1秒あたりのフレーム画像の数を示すものとする。「再生フレームレート」とは、動画データの再生時に、1秒あたりに当該動画データのフレームの画像を読み出す数を示している。本実施形態では、PC100における動画データの再生において、動画データの撮影フレームレートによらず、再生フレームレートは一定であるものとして説明する。
【0014】
<PC100の機能構成>
図1は、本発明の実施形態に係るPC100の機能構成を示すブロック図である。
【0015】
CPU101は、PC100が備える各ブロックの動作を制御する。具体的にはCPU101は、後述する再生制御処理の動作プログラムを記録媒体104より読み出し、RAM103に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0016】
ROM102は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリであり、PC100の各ブロックの動作に必要なパラメータ等の情報を記憶する。本実施形態では、後述する再生制御処理の動作プログラムは記録媒体104に記録されているものとして説明するが、ハードウェアの構成によっては、当該動作プログラムはROM102に記憶されていてもよい。
【0017】
RAM103は、揮発性メモリであり、再生制御処理の動作プログラムの展開領域としてだけでなく、PC100が備える各ブロックの動作において各ブロックから出力された中間データ等を一時的に記憶するための格納領域としても用いられる。
【0018】
記録媒体104は、例えばHDDやSSD等のPC100に着脱可能に接続される記録装置である。記録媒体104には、後述する再生制御処理の動作プログラムに加え、PC100のオペレーティングシステム(OS)に係るプログラムや、各種アプリケーションの動作プログラム等が記録されている。
【0019】
表示制御部105は、例えばGPUを備え、PC100の描画処理を制御する。具体的には表示制御部105は、不図示の内蔵メモリにGUI用のデータ群を保持し、CPU101の表示指示を受け、例えば動画データのフレーム画像に当該データ群を重畳することにより、GUIを含む表示画像を生成する。表示制御部105により生成された表示画像は、表示制御部105により表示部106に表示される。表示部106は、例えばLCD等の表示装置であり、本実施形態ではPC100に内蔵されているものとして説明するが、表示部106はPC100に接続される外部装置であってもよい。
【0020】
操作入力部107は、例えばマウスやキーボード等のPC100が備えるユーザインタフェースであり、ユーザによる当該ユーザインタフェースの操作に応じた制御信号をCPU101に伝送する。
【0021】
光学ドライブ108は、例えばDVDやCD−ROM、あるいはメモリカード等の外部記録媒体の読み込み機能を有する装置である。本実施形態ではCPU101は、光学ドライブ108に外部記録媒体が挿入されたことを検出すると、当該媒体から動画データを読み出して記録媒体104に記録する。
【0022】
<動画ファイルのファイル構造>
ここで、本実施形態で記録媒体104に記録される動画ファイルのファイル構造について、図を用いて説明する。図2は、動画ファイルのファイル構造を示している。動画データは、ヘッダ部201と動画データ部202とで構成される。
【0023】
(動画データ部202の構造)
動画データ部202は、図示されるように動画データの先頭フレームから順にフレーム番号(#0〜#M)が付され、フレームごとにフレーム画像を含むデータで構成されている。動画データ部202に含まれる、1つのフレームについての情報は、例えば図3のようなデータ構造であってよい。本実施形態では、動画データ部202の各フレームについての情報は、フレーム画像が圧縮された圧縮フレームデータと、当該フレームの撮影時の撮影条件を示す情報を含む記録フレーム情報とで構成される。
【0024】
記録フレーム情報は、
・当該記録フレーム情報の大きさを示す「記録フレーム情報のバイト数」
・フレームに対応する圧縮フレームデータの大きさを示す「圧縮フレームデータのバイ
ト数」
・撮影時のフレームレートを示す「撮影フレームレート」
・撮影開始時からの経過時間を示す「タイムコード」(単位1ms)
・撮影開始時の日時を示す「撮影日時」(単位1ms)
・将来的な割り当て領域として設けられた「予約領域」(全ビット0)
で構成される。
【0025】
(ヘッダ部201の構造)
またヘッダ部201は、図4に示すようなデータ構造であってよい。本実施形態ではヘッダ部には、上述した記録フレーム情報に含まれる撮影フレームレートが同一かつ連続しているフレームで構成される範囲(区間)ごとに、その詳細を示す区間情報が含まれる。
【0026】
ヘッダ部は、
・ヘッダ部の大きさを示す「ヘッダ部のバイト数」
・動画データの全区間の区間情報に要している大きさを示す「全区間情報のバイト数」
・各区間の区間情報が含まれる「全区間情報」
・動画データ部の大きさを示す情報を含む「その他情報」
で構成される。
【0027】
また1つの区間の区間情報は、
・区間を識別するための「区間ID」
・区間の開始フレームを識別するための「開始フレーム番号」
・区間の終了フレームを識別するための「終了フレーム番号」
・区間の開始フレームに対応する撮影開始時からの経過時間を示す「撮影開始時間」(
単位1ms)
・区間の終了フレームに対応する撮影終了時からの経過時間を示す「撮影終了時間」(
単位1ms)
・区間においてフレームを取得する頻度を示す「撮影フレームレート」
で構成される。
【0028】
なお、1つのフレームには撮影フレームレートに応じて変化する一定の時間が割り当てられており、撮影開始時間と撮影終了時間とはそれぞれ対応するフレームについて割り当てられた時間から異なる条件で取得された時間を示している。例えば撮影フレームレートが120fpsであった場合、当該撮影フレームレートで撮影された各フレーム画像には1s/120fps≒8.33msの時間が対応時間として割り当てられている。このため、1つの区間の撮影開始時間とは、当該区間の開始フレームに対応している時間範囲の先頭位置までの撮影開始時からの経過時間を意味する。また1つの区間の撮影終了時間とは、当該区間の終了フレームに対応している時間範囲の終端位置までの撮影開始時間からの経過時間を意味する。
【0029】
本実施形態では、以下の説明において図5に示すような区間情報を有する動画データを例に説明するものとする。図は、1時間34分の動画データ(フレーム番号#0〜#206599)の動画データの全区間情報を示すテーブルであり、撮影フレームレートが異なる毎に新たな区間に分けられた5つの区間の詳細が示されている。
【0030】
なお、本実施形態では区間情報は、動画データの撮影が完了した際に当該動画データのヘッダ部201に記録されるものとして説明するが、区間情報のヘッダ部201への記録のタイミングはこれに限られない。例えば、光学ドライブ108に挿入された外部記録媒体から動画データが読み出されて記録媒体104に転送される際に、CPU101が動画データを解析して区間情報のテーブルを作成し、ヘッダ部201に記録するものであってもよい。また、ユーザによって、記録媒体104に記録された動画データの編集指示や読み出し指示がなされた際に、CPU101が解析を行なってヘッダ部201に記録するものであってもよい。
【0031】
<動画再生アプリケーション>
ここで、本実施形態のPC100で実行される動画再生アプリケーションのGUIについて説明する。図6は、本実施形態の動画再生アプリケーションのGUIを示している。
【0032】
動画再生アプリケーションのGUIは、通常時は図6(a)の構成になる。アプリケーションウィンドウ600には、動画データに係るフレーム画像が表示される動画領域601と、動画データの再生開始あるいは停止を指示する再生ボタン602と停止ボタン603、及び動画データの時間経過を示すシーケンスバー604が含まれる。なお、シーケンスバー604上には撮影開始時からの現在の再生位置を示す指標605(第1の指標)が移動可能に重畳表示されている。
【0033】
本実施形態ではシーケンスバー604は、動画データの撮影開始時からの経過時間を示しており、最大経過時間は動画データの撮影に要した時間に対応している。なお、本実施形態では例えばユーザによるマウス操作に応じて操作入力部107から出力された制御信号によって、シーケンスバー604へのポイント入力がなされたことをCPU101が検出すると、CPU101は表示画面を変更する。具体的にはCPU101は、アプリケーションウィンドウ600にさらに図6(b)のような詳細シーケンスバー606が表示されるように、表示制御部105に描画指示を行う。
【0034】
詳細シーケンスバー606は、例えば現在の再生位置を中心とした、所定の時間範囲が拡張して表示されるものであってよい。ユーザは、例えばマウスを用いて当該詳細シーケンスバー606上に移動可能に配置された詳細指標607を移動させることにより、より詳細に再生位置を変更可能である。なお、詳細シーケンスバー606が示す範囲はこれに限らず、例えば現在の再生フレームを中心とした所定数のフレームや、現在の再生位置が含まれる区間が詳細シーケンスバー606の範囲として設定されてもよい。
【0035】
<再生制御処理>
このような構成をもつ本実施形態のPC100の再生制御処理について、図7のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、CPU101が、例えば記録媒体104に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、RAM103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本再生制御処理は、例えば動画再生アプリケーションにおいて再生する動画ファイルが選択され、当該動画ファイルが記録媒体104より読み出されて再生可能な状態にされた際に開始されるものとして説明する。このとき、動画領域601には、再生対象の動画データの先頭フレームのフレーム画像がCPU101により読み出されて表示される。
【0036】
S701で、CPU101は、動画データの再生位置の変更指示の入力がなされたか否かを判断する。具体的にはCPU101は、ユーザによってシーケンスバー604の指標605、あるいは詳細シーケンスバー606の詳細指標607の移動指示がなされた場合に操作入力部107より出力される制御信号を受信したか否かを判断する。CPU101は、再生位置の変更指示の入力がなされたと判断した場合は処理をS702に移し、なされていないと判断した場合は処理をS704に移す。
【0037】
S702で、CPU101は、変更された再生位置に対応した、動画データの撮影開始時からの経過時間を取得する(第1の指定)。具体的にはCPU101は、再生位置の変更指示の入力がなされたシーケンスバーにおける指標の位置に対応する撮影開始時からの経過時間を算出する。
【0038】
S703で、CPU101は、算出された現在の再生位置に対応する、撮影開始時からの経過時間に応じた動画データのフレーム番号(再生フレーム番号)を特定する再生フレーム番号特定処理を実行する。
【0039】
(再生フレーム番号特定処理)
ここで、現在の再生位置に対応する再生フレーム番号を特定する再生フレーム番号特定処理について図8を用いてさらに説明する。
【0040】
S801で、CPU101は、再生対象の動画データのヘッダ部より1つの区間に対応する区間情報を読み出す。読み出す区間情報は、例えば内部変数として設定された整数型の値(初期値1)に区間IDが対応するものが読み出されるものとする。当該内部変数の値は、次のS802の処理で当該区間に現在の再生位置が含まれないと判断した場合に、1ずつインクリメントされる値であってよい。即ち、S801及びS802の処理では、CPU101は再生対象の動画データのヘッダ部より各区間に対応する区間情報を順に読み出し、現在の再生位置が含まれる区間を特定する。
【0041】
S802で、CPU101は、S801で読み出した区間情報の撮影開始時間及び撮影終了時間の情報を参照し、現在の再生位置に対応する撮影開始時からの経過時間が、当該区間情報の区間に含まれるか否かを判断する。CPU101は、現在の再生位置に対応する撮影開始時からの経過時間が読み出した区間情報の区間に含まれると判断した場合は処理をS803に移し、含まれないと判断した場合は処理をS801に戻す。
【0042】
S803で、CPU101は、現在の再生位置が含まれる区間の区間情報を用いて、現在の再生位置に対応する再生フレーム番号を特定(第1の特定)し、本再生フレーム番号特定処理を完了する。具体的にはCPU101は、以下の式1により再生フレーム番号を算出する。
【0043】
(再生フレーム番号)=fstart+(tcurrent−tstart)×r ・・・(1)
ただし、
・fstart :区間の開始フレーム番号
・tcurrent:現在の再生位置に対応する撮影開始時からの経過時間
・tstart :区間の撮影開始時間
・r :区間の撮影フレームレート
である。
【0044】
このようにして現在の再生位置に対応するフレーム番号を特定した後、CPU101は再生制御処理において処理をS704に移す。なお、動画データの再生開始時からの経過時間は、現在の再生位置に対応するフレーム番号を、動画再生アプリケーションにおいて設定されている再生フレームレートで除することにより得られる。
【0045】
S704で、CPU101は、動画データの再生処理を現在実行しているか否かを判断する。本実施形態では、PC100において動画データの再生処理を実行する場合、CPU101は、予め設定された再生フレームレートで動画データのフレーム画像を読み出し、表示制御部105に伝送して動画領域601に表示させる。本ステップではCPU101は、動画データのフレーム画像を読み出し、表示制御部105に伝送する処理を実行しているか否かを判断する。CPU101は、動画データの再生処理が実行中であると判断した場合は、現在の再生位置に対応するフレーム画像を読み出して表示制御部105に動画領域601に表示させた後に処理をS706に移し、実行中ではないと判断した場合は処理をS705に移す。
【0046】
S705で、CPU101は、動画データの再生指示の入力がなされたか否かを判断する。具体的にはCPU101は、ユーザによって再生ボタン602への指示入力がなされた場合に操作入力部107より出力される制御信号を受信したか否かを判断する。CPU101は、動画データの再生指示の入力がなされたと判断した場合は処理をS706に移し、なされていないと判断した場合は処理をS701に戻す。
【0047】
S706で、CPU101は、現在の再生位置の次のフレーム画像を記録媒体104より読み出して表示制御部105に伝送し、再生フレームレートに応じて当該フレーム画像が動画領域601に表示するように、表示制御部105を制御する。
【0048】
S707で、CPU101は、S706で読み出されたフレーム画像のフレーム番号に対応した、当該動画データの撮影開始時からの経過時間を特定する経過時間特定処理を実行する。
【0049】
(経過時間特定処理)
ここで、フレーム番号に対応した撮影開始時からの経過時間を特定する経過時間特定処理について、図9を用いてさらに説明する。なお、以下の説明では、フレーム番号を基に撮影開始時からの経過時間を特定するものとして説明するが、本処理は再生対象の動画データの先頭から再生位置までの再生に要する時間(第2の指定)を基に特定することも可能であることは容易に想像されよう。この場合、CPU101は、当該先頭から再生位置までの再生に要する時間に、予め定められた再生フレームレートを乗ずることにより得られたフレーム番号を用いて、以下の処理を実行すればよい。
【0050】
S901で、CPU101は、再生対象の動画データのヘッダ部より1つの区間に対応する区間情報を読み出す。読み出す区間情報は、フレーム番号特定処理と同様に、例えば内部変数として設定された整数型の値(初期値1)に区間IDが対応するものが読み出されるものとする。当該内部変数の値は次のS902の処理で当該区間にフレーム番号が含まれないと判断した場合に、1ずつインクリメントされる値であってよい。即ち、S901及びS902の処理ではCPU101は、再生対象の動画データのヘッダ部より各区間に対応する区間情報を順に読み出し、フレーム番号が含まれる区間を特定する。
【0051】
S902で、CPU101は、S901で読み出した区間情報の開始フレーム番号及び終了フレーム番号の情報を参照し、フレーム番号が当該区間情報の区間に含まれるか否かを判断する。CPU101は、フレーム番号が読み出した区間情報の区間に含まれると判断した場合は処理をS903に移し、含まれないと判断した場合は処理をS901に移す。
【0052】
S903で、CPU101は、フレーム番号が含まれる区間の区間情報を用いて、フレーム番号に対応した、再生対象の動画データの撮影開始時からの経過時間を特定(第2の特定)し、本経過時間特定処理を完了する。具体的にはCPU101は、以下の式2により撮影開始時からの経過時間を算出する。
【0053】
(撮影開始時からの経過時間)=tstart+(ftarget−fstart)/r ・・・(2)
ただし、
・fstart :区間の開始フレーム番号
・ftarget:選択されたフレーム番号
・tstart :区間の撮影開始時間
・r :区間の撮影フレームレート
である。
【0054】
このようにしてフレーム番号に対応した撮影開始時からの経過時間を特定した後、CPU101は、再生制御処理において処理をS708に移す。
【0055】
S708で、CPU101は、S707の経過時間特定処理により得られた、現在の再生位置の次のフレーム番号に対応した撮影開始時からの経過時間の情報を表示制御部105に伝送する。そしてCPU101は、当該経過時間に対応する位置に、シーケンスバー604上の指標605、及び詳細シーケンスバー606上の詳細指標607の描画位置を変更した表示画像を表示制御部105に生成させ、表示部106に表示させる。本ステップの処理が完了すると、CPU101は処理をS701に戻す。
【0056】
このようにすることで、撮影開始時からの経過時間を示すシーケンスバーとともにユーザは動画データの閲覧を行うことができる。また、当該撮影開始時からの経過時間を示すシーケンスバーにより再生位置を任意に変更できるため、ユーザは所望の撮影開始時からの経過時間に対応するフレームから動画データを再生できる。
【0057】
なお、本実施形態では動画データの再生位置を、当該動画データの撮影開始時からの経過時間で指定可能なシーケンスバー604あるいは詳細シーケンスバー606が表示されるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限らない。
【0058】
例えば、図10(a)に示すように再生対象の動画データについて、撮影開始時からの経過時間を示すシーケンスバー604に加えて、動画データの先頭からの再生時間を示す再生シーケンスバー1001が表示されてもよい。この場合、ユーザは撮影開始時からの経過時間、及び動画データの再生時間の両方で動画データの再生位置を変更することが可能である。なお、動画データの再生時間(第2の指標で示される時間)に対応する撮影開始時からの経過時間は、上述した経過時間特定処理をCPU101が実行することにより得られる。
【0059】
また例えば、図10(b)に示すように、再生対象の動画データについて、撮影開始時からの経過時間を示すシーケンスバー604と、動画データの先頭からの再生時間を示す再生シーケンスバー1001とを切り替え可能な構成であってもよい。図の例では、ユーザはプルダウンメニュー1002により表示するシーケンスバーの種類を選択可能であり、CPU101は当該選択に応じたシーケンスバー1003を表示する。
【0060】
また、本実施形態ではシーケンスバー上の指標によって動画データの再生開始時からの経過時間、あるいは動画データの先頭からの再生時間を指示するものとして説明したが、例えば直接数値を入力することによって、再生位置を決定する構成であってもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の再生装置は、再生フレームレートと異なる撮影フレームレートで撮影された範囲を含む動画データの再生において、撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを容易に選択して再生することができる。具体的には再生装置は、取得した動画データに含まれる、撮影フレームレートが同一である区間ごとに、撮影フレームレートと、開始フレームを特定する情報と、撮影開始時からの経過時間の範囲の情報とを含む区間情報を取得する。また動画データの再生位置を、撮影開始時からの経過時間で指定された場合に、再生装置は各区間の区間情報を用いて再生位置が含まれる区間を決定する。そして再生装置は、該決定した区間の経過時間の範囲の情報、該区間の撮影フレームレート、該区間の開始フレームを特定する情報、及び再生位置から、再生位置に対応する再生フレームを特定する。
【0062】
なお、本実施形態では、動画データのフレームの各々について撮影フレームレートの情報が含まれている動画ファイルを対象として説明したが、本発明の実施はこれに限られない。例えば動画データが、それぞれが撮影フレームレートに限らず特定のフレームレートを有する複数の区間からなっており、各区間についての区間情報が含まれている動画ファイルについても、本発明の実施は可能である。即ち、各区間について、動画データの先頭から各区間を特定のフレームレートに従って再生した場合に、該区間の再生に対応する経過時間の範囲の情報、該区間について設定されている特定のフレームレート、及び該区間の開始フレームを特定する情報とが少なくとも区間情報として含まれていればよい。
【0063】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データを予め定められた再生フレームレートで再生する再生装置であって、
それぞれ任意の撮影フレームレートで撮影された複数の部分動画が連結されている動画データを取得する取得手段と、
前記動画データの再生位置を、撮影開始時からの経過時間で指定する第1の指定手段と、
前記取得手段により取得された前記動画データの各部分動画の撮影フレームレートと各部分動画の長さを解析して、前記動画データの中から、前記第1の指定手段により指定された前記撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを特定する第1の特定手段と、
前記第1の特定手段により特定されたフレームから前記再生フレームレートで再生する再生手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記動画データの再生位置を、前記再生フレームレートで前記動画データを再生した場合に要する時間で指定する第2の指定手段と、
前記第2の指定手段により前記再生位置が指定された場合に、前記再生位置に対応するフレームを特定する第2の特定手段と、をさらに有し、
前記再生手段は、前記第2の特定手段により特定された前記再生位置に対応するフレームから前記再生フレームレートで再生する
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記第1の指定手段は、前記動画データの撮影に要した時間に対応したシーケンスバーと、該シーケンスバー上に配置された移動可能な第1の指標とを表示手段に表示し、該シーケンスバー上の前記第1の指標の位置に対応する撮影開始時からの経過時間を前記再生位置として指定することを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記第2の指定手段は、前記動画データを前記再生フレームレートで再生する場合に要する時間に対応したシーケンスバーと、該シーケンスバー上に配置された移動可能な第2の指標とを前記表示手段に表示し、該シーケンスバー上の前記第2の指標の位置に対応した再生開始時からの経過時間を前記再生位置として指定することを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
前記第2の指定手段は、前記第1の指定手段による前記第1の指標の位置の変更に応じて、前記第2の指標の位置を変更することを特徴とする請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記第1の指定手段は、前記第2の指定手段による前記第2の指標の位置の変更に応じて、前記第1の指標の位置を変更することを特徴とする請求項4または5に記載の再生装置。
【請求項7】
前記第1の特定手段は、各部分動画の撮影開始時からの経過時間の解析、または、各部分動画のフレームの数の解析、または前記動画データのヘッダ部の記載に基づき各部分動画の長さを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項8】
それぞれが特定のフレームレートを有する複数の区間からなる動画データを、予め定められた再生フレームレートで再生する再生装置であって、
前記動画データを取得する取得手段と、
前記動画データの再生位置を、前記動画データの先頭から各区間をそれぞれの区間に対応する前記特定のフレームレートに従って再生した場合の経過時間で指定する第1の指定手段と、
前記取得手段により取得された前記動画データの各区間に対応する前記特定のフレームレートと各区間の長さを解析して、前記動画データの中から、前記第1の指定手段により指定された前記経過時間に対応するフレームを特定する第1の特定手段と、
前記第1の特定手段により特定されたフレームから前記再生フレームレートで再生する再生手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項9】
前記動画データの再生位置を、前記再生フレームレートで前記動画データを再生した場合に要する時間で指定する第2の指定手段と、
前記第2の指定手段により前記再生位置が指定された場合に、前記再生位置に対応するフレームを特定する第2の特定手段と、をさらに有し、
前記再生手段は、前記第2の特定手段により特定された前記再生位置に対応するフレームから前記再生フレームレートで再生する
ことを特徴とする請求項8に記載の再生装置。
【請求項10】
前記第1の指定手段は、前記動画データの全ての区間を各区間に対応する前記特定のフレームレートで再生した場合に要する時間に対応したシーケンスバーと、該シーケンスバー上に配置された移動可能な第1の指標とを表示手段に表示し、該シーケンスバー上の前記第1の指標の位置に対応する経過時間を前記再生位置として指定することを特徴とする請求項9に記載の再生装置。
【請求項11】
前記第2の指定手段は、前記動画データを前記再生フレームレートで再生する場合に要する時間に対応したシーケンスバーと、該シーケンスバー上に配置された移動可能な第2の指標とを前記表示手段に表示し、該シーケンスバー上の前記第2の指標の位置に対応した再生開始時からの経過時間を前記再生位置として指定することを特徴とする請求項10に記載の再生装置。
【請求項12】
前記第2の指定手段は、前記第1の指定手段による前記第1の指標の位置の変更に応じて、前記第2の指標の位置を変更することを特徴とする請求項11に記載の再生装置。
【請求項13】
前記第1の指定手段は、前記第2の指定手段による前記第2の指標の位置の変更に応じて、前記第1の指標の位置を変更することを特徴とする請求項11または12に記載の再生装置。
【請求項14】
前記第1の特定手段は、前記特定のフレームレートに従って再生した場合の各区間までの経過時間の解析、または、各区間のフレームの数の解析、または前記動画データのヘッダ部の記載に基づき各区間の長さを取得することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項15】
動画データを予め定められた再生フレームレートで再生する再生装置の制御方法であって、
前記再生装置の取得手段が、それぞれ任意の撮影フレームレートで撮影された複数の部分動画が連結されている動画データを取得する取得工程と、
前記再生装置の第1の指定手段が、前記動画データの再生位置を、撮影開始時からの経過時間で指定する第1の指定工程と、
前記再生装置の第1の特定手段が、前記取得工程において取得された前記動画データの各部分動画の撮影フレームレートと各部分動画の長さを解析して、前記動画データの中から、前記第1の指定工程において指定された前記撮影開始時からの経過時間に対応するフレームを特定する第1の特定工程と、
前記再生装置の再生手段が、前記第1の特定工程において特定されたフレームから前記再生フレームレートで再生する再生工程と、
を有することを特徴とする再生装置の制御方法。
【請求項16】
それぞれが特定のフレームレートを有する複数の区間からなる動画データを、予め定められた再生フレームレートで再生する再生装置の制御方法であって、
前記再生装置の取得手段が、前記動画データを取得する取得工程と、
前記再生装置の第1の指定手段が、前記動画データの再生位置を、前記動画データの先頭から各区間をそれぞれの区間に対応する前記特定のフレームレートに従って再生した場合の経過時間で指定する第1の指定工程と、
前記再生装置の第1の特定手段が、前記取得工程において取得された前記動画データの各区間に対応する前記特定のフレームレートと各区間の長さを解析して、前記動画データの中から、前記第1の指定工程において指定された前記経過時間に対応するフレームを特定する第1の特定工程と、
前記再生装置の再生手段が、前記第1の特定工程において特定されたフレームから前記再生フレームレートで再生する再生工程と、
を有することを特徴とする再生装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の再生装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115518(P2013−115518A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258216(P2011−258216)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】