説明

再生装置および入力切替装置

【課題】より高音質で信号を再生出力することのできる再生装置等を提供することである。
【解決手段】2chリニアPCM再生部11は、DVDの2chリニアPCMを再生する場合に、再生した再生信号をD/Aコンバータ14及び61937インタフェース16に供給する。なお、デジタル信号は、IEC61937規格の2ch信号に圧縮されている。一方、制御部35は、61937インタフェース33にてデジタル信号を入力しており、かつ、アナログ入力部31にてアナログ信号を入力している場合に、セレクタ34にアナログ入力部31が入力したアナログ信号を選択させる。つまり、2chリニアPCM再生部11にてDVDから再生された再生信号であり、IEC61937の2ch信号に圧縮したデジタル信号よりも高音質のアナログ信号であるため、そのアナログ信号を選択してアンプ36に供給させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再生装置および入力切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、音楽CDや音楽DVD等を再生するプレイヤから送られる再生信号(オーディオ信号等)を適宜増幅し、スピーカシステム等に出力するAVアンプが広く使用されている。このようなAVアンプは、デジタルケーブルやアナログケーブルを介してプレイヤと接続される。そして、これらケーブルを介してデジタル信号やアナログ信号(再生信号)を、AVアンプに供給する構成が一般的に採用されている。なお、プレーヤは、デジタルケーブル及びアナログケーブルの双方が接続されている場合に、これらを介してデジタル信号及びアナログ信号を同時に出力(伝送)する。
そして、AVアンプは、デジタル信号が供給された場合に、そのデジタル信号を処理して再生し、また、デジタル信号が供給されない場合(アナログ信号だけが供給された場合)に、アナログ信号を処理して再生していた。つまり、より高音質となるデジタル信号を優先して再生処理を行っていた。
【0003】
このようなデジタル信号の方が高音質で再生処理できるという思想に基づいて、入力信号(プレイヤから供給されるデジタル信号やアナログ信号)の切り替えを適宜行うことのできる入力切替装置の技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−175661号公報 (第4−5頁、第1図)
【0004】
ところで、プレイヤとAVアンプとの間で、デジタル信号を伝送する規格として、IEC60958(2chリニアPCM)や、IEC61937(圧縮マルチチャンネル)が規格化され使用されている。なお、これらの規格は、一般に同一のデジタルケーブル(ケーブルやコネクタ)が伝送の際に使用され、再生信号の形態(2chリニアPCMや圧縮マルチチャンネル)に応じて、適宜使い分けられている。
例えば、CDやDVDの2chリニアPCM信号は、デジタルケーブル上をIEC60958にて伝送され、一方、DVDのマルチチャンネル信号は、同じデジタルケーブル上をIEC61937にて伝送されていた。
つまり、従来では、種々のデジタル信号の伝送が許可されていたので、1本のデジタルケーブルでプレーヤ側とAVアンプとが接続されていれば、これらの規格に沿って、デジタル信号が伝送され、AVアンプにて再生処理を行うことが可能であった。
【0005】
最近では、高音質での適切な再生を意図して、規格の見直しや新たな規格が順次策定されており、DVD−AudioやSACD(Super Audio CD)などの高音質記録媒体の規格も現実に導入されつつある。これらの高音質記録媒体では、その高音質な音楽データと共に著作権をも保護するために暗号化処理が施されているのが一般的になりつつある。特に極めて高音質な再生信号(原音に忠実な非圧縮のデジタル信号)を提供する2ch再生(リニアPCM)では、暗号化処理が特に重要な意味を持つことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高音質記録媒体に折角暗号化して音楽データを記録したとしても、プレーヤ側が再生したリニアPCMをIEC60958を使用してAVアンプに出力(伝送)してしまっては、高音質記録媒体を適切に保護しようとする製作者側等の意図に反するおそれが生じてしまう。そのため、今後の規格では、暗号化された信号のリニアPCM出力を禁止する可能性が極めて大きくなっている。
【0007】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、暗号化された信号のリニアPCM出力が禁止された場合でも、ユーザの利便性を損なうことなく、可能な限り高音質で信号を再生出力することのできる再生装置および入力切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る再生装置は、
所定規格の音声データからデジタル信号を再生するデジタル再生手段と、
前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号を、所定の非圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号にて出力する第1の出力手段と、
前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号を、所定の圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号にて出力する第2の出力手段と、を備え、
前記デジタル再生手段が再生する際に、記録された音声データの種別に応じて、前記第1及び第2の出力手段の何れか一方から出力する、
ことを特徴とする。
【0009】
上記の再生装置は、前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号をアナログ信号にて出力する第3の出力手段を更に備えてもよい。
【0010】
前記デジタル再生手段は、暗号化されたリニアPCM信号を再生する際に、再生したデジタル信号を圧縮して前記第2の出力手段を介して出力させてもよい。
【0011】
前記デジタル再生手段は、音楽CDからデジタル信号を再生する際に、前記第1の出力手段を介して出力させ、音楽DVDからデジタル信号を再生する際に、前記第2の出力手段を介して出力させてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る入力切替装置は、
外部から供給され得る複数の伝送規格に対応した音声信号を切り替えて入力する入力切替装置であって、
所定の非圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号を入力する第1の入力手段と、
所定の圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号を入力する第2の入力手段と、
アナログ信号を入力する第3の入力手段と、
前記第1、第2及び第3の入力手段が入力した何れかの信号を選択する選択手段と、
前記選択手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1、第2及び第3の入力手段が入力している信号の入力状態に応じて、より高音質となる何れかの信号を特定し、特定した信号を前記選択手段に選択させる、
ことを特徴とする。
【0013】
前記制御手段は、前記第1の入力手段がデジタル信号を入力している場合に、前記選択手段に前記第1の入力手段が入力したデジタル信号を選択させ、前記第2の入力手段がデジタル信号を入力しており、かつ、前記第3の入力手段がアナログ信号を入力している場合に、前記選択手段に前記第3の入力手段が入力したアナログ信号を選択させてもよい。
【0014】
前記制御手段は、前記第2の入力手段がデジタル信号を入力しており、かつ、前記第3の入力手段がアナログ信号を入力していない場合に、前記選択手段に前記第2の入力手段が入力したデジタル信号を選択させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、暗号化された信号のリニアPCM出力が禁止された場合でも、ユーザの利便性を損なうことなく、可能な限り高音質で信号を再生出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態にかかるオーディオシステムについて、以下図面を参照して説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、この発明の実施の形態に適用されるオーディオシステムの構成の一例を示すブロックである。図示するように、このシステムは、デジタル再生機器10と、アナログ再生機器20と、AV(Audio Visual)アンプ30とを含んで構成される。
なお、デジタル再生機器10とAVアンプ30とは、アナログケーブルAC及びデジタルケーブルDCを介して着脱自在に接続されている。また、アナログ再生機器20とAVアンプ30ともアナログケーブルを介して着脱自在に接続されている。
【0018】
デジタル再生機器10は、例えば、音楽CD(Compact Disc)や音楽DVD(Digital Versatile Disk)等を再生可能なプレイヤ等からなり、装着された記録媒体(CDやDVD等)から音楽データ(音声データ)を読み出し、デコード等を行って得た再生信号をAVアンプ30に供給する。
具体的にデジタル再生機器10は、2ch(チャンネル)リニアPCM(Pulse Code Modulation)再生部11と、圧縮2ch再生部12と、マルチチャンネル再生部13と、D/A(Digital/Analog)コンバータ14と、60958インタフェース15と、61937インタフェース16とを含んで構成される。
【0019】
2chリニアPCM再生部11は、CDやDVD等に2chリニアPCMにて記録された音楽データ等を再生する。
具体的に、2chリニアPCM再生部11は、DVDの2chリニアPCM(例えば、暗号化されて記録されている)を再生する場合に、再生した再生信号をD/Aコンバータ14及び、61937インタフェース16(61937 2ch16a)に供給する。なお、61937インタフェース16に供給する際に、2chリニアPCM再生部11は、IEC61937規格の2ch信号に圧縮(デコード)する。
また、2chリニアPCM再生部11は、CDの2chリニアPCMを再生する場合に、再生した再生信号(デジタル信号)をD/Aコンバータ14及び、60958インタフェース15に供給する。
【0020】
圧縮2ch再生部12は、DVD等に圧縮2chにて記録された音声データ等を再生する。
例えば、圧縮2ch再生部12は、ドルビーデジタル(商標)等の音声を再生する場合に、再生した再生信号(デジタル信号)を61937インタフェース16(61937 2ch16a)に供給する。
【0021】
マルチチャンネル再生部13は、DVD等にマルチチャンネルにて記録された音声データ等を再生する。
例えば、圧縮2ch再生部12は、6ch(5.1ch)のサラウンド音声を再生する場合に、再生した再生信号(デジタル信号)を61937インタフェース16(61937 Multi16b)に供給する。
【0022】
D/Aコンバータ14は、2chリニアPCM再生部11により再生された再生信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換する。
例えば、D/Aコンバータ14は、2chリニアPCM再生部11がDVDを再生する場合に、サンプリング周波数を96kHzで、また、量子化ビットを24ビット(若しくは20ビット)でアナログ信号に変換する。
また、D/Aコンバータ14は、2chリニアPCM再生部11がCDを再生する場合に、サンプリング周波数を44.1kHzで、また、量子化ビットを16ビットでアナログ信号に変換する。
D/Aコンバータ14は、変換したアナログ信号をアナログケーブルACを介してAVアンプ30に供給する。
【0023】
60958インタフェース15は、IEC60958規格(非圧縮方式による伝送規格)に沿った送信用インタフェースからなる。60958インタフェース15は、2chリニアPCM再生部11がCDから再生したデジタル信号(2chリニアPCM信号)を、デジタルケーブルDCを介してAVアンプ30に供給する。
【0024】
61937インタフェース16は、IEC61937規格(圧縮方式による伝送規格)に沿った送信用インタフェースからなる。なお、61937インタフェース16は、2ch用の61937 2ch16aと、マルチチャンネル用の61937 Multi16bとに適用可能となっている。
61937インタフェース16は、2chリニアPCM再生部11がDVDから再生したデジタル信号(IEC61937の2ch信号にデコードされたデジタル信号)、圧縮2ch再生部12が再生したデジタル信号(ドルビーデジタル(商標)等)、及び、マルチチャンネル再生部13が再生したデジタル信号(6chサラウンド等)を、デジタルケーブルACを介してAVアンプ30に供給する。
【0025】
すなわち、このような構成のデジタル再生機器10は、図2に示すように、デジタルソースの種別に応じて、アナログケーブルAC及びデジタルケーブルDCを介して、再生信号をAVアンプ30に供給する。
【0026】
また、アナログ再生機器20は、所定のアナログ音声を再生するプレイヤ等からなり、装着された記録媒体(例えば、カセットテープ等)から音声データを読み出して得た再生信号(アナログ信号)をAVアンプ30に供給する。
【0027】
一方、AVアンプ30は、デジタル再生機器10やアナログ再生機器20から供給される再生信号を適宜増幅し、スピーカシステム等に出力する。
具体的にAVアンプ30は、アナログ入力部31と、60958インタフェース32と、61937インタフェース33と、セレクタ34と、制御部35と、アンプ36とを含んで構成される。
【0028】
アナログ入力部31は、アナログケーブルACを介してデジタル再生機器10から供給される再生信号(アナログ信号)を入力する。
また、アナログ入力部31は、アナログ再生機器20から供給される再生信号(アナログ信号)を入力する。
アナログ入力部31は、入力したアナログ信号をセレクタ34に供給する。
【0029】
60958インタフェース32は、IEC60958規格に沿った受信用インタフェースからなる。60958インタフェース32は、デジタルケーブルDCを介してデジタル再生機器10から供給されたデジタル信号(2chリニアPCM信号)を受信する。つまり、2chリニアPCM再生部11がCDを再生した際に供給されるデジタル信号を受信する。
60958インタフェース32は、受信したデジタル信号をデコード等してセレクタ34に供給する。
【0030】
61937インタフェース33は、IEC61937規格に沿った受信用インタフェースからなる。なお、61937インタフェース33は、2ch用の61937 2ch33aと、マルチチャンネル用の61937 Multi33bとに適用可能となっている。 61937インタフェース33は、デジタルケーブルDCを介してデジタル再生機器10から供給されたデジタル信号を受信する。つまり、2chリニアPCM再生部11がDVDから再生したデジタル信号(IEC61937の2ch信号にデコードされたデジタル信号)、圧縮2ch再生部12が再生したデジタル信号(ドルビーデジタル(商標)等)、及び、マルチチャンネル再生部13が再生したデジタル信号(6chサラウンド等)のいずれかのデジタル信号を受信する。
61937インタフェース33は、受信したデジタル信号をセレクタ34に供給する。
【0031】
セレクタ34は、制御部35に制御され、アナログ入力部31、60958インタフェース32、及び、61937インタフェース33が受信(入力)した再生信号から1つの信号を選択して、アンプ36に供給する。
具体的にセレクタ34は、アナログ入力部31、60958インタフェース32、及び、61937インタフェース33から供給される再生信号の有無を制御部35に通知する。そして、制御部35がデジタル再生機器10等の再生状況を判別すると、制御部35からの切り替え指示に応じて、1つの再生信号を選択して、アンプ36に供給する。
【0032】
制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及び、RAM(Random Access Memory)を含んだ1チップマイコン等からなり、AVアンプ30全体を制御する。
具体的に制御部35は、デジタル再生機器10等の再生状況を判別して、セレクタ34等を制御し、より高音質の再生信号をアンプ36に供給させる。
【0033】
例えば、制御部35は、図3に示すように、デジタル再生機器10等の再生状況を判別して、いずれかの再生信号をセレクタ34に選択させる。
まず、デジタル再生機器10にてCDが再生されている状態で、60958インタフェース32にてデジタル信号の受信を検出した場合に、制御部35は、セレクタ34にそのデジタル信号を選択させ、アンプ36に供給する。なお、60958インタフェース32にてデジタル信号の受信を検出しない場合(デジタルケーブルDCが接続されていない場合等)に、セレクタ34にアナログ入力部31が入力したアナログ信号を選択させ、アンプ36に供給する。
【0034】
また、デジタル再生機器10にてDVDが再生されている状態で、61937インタフェース33にてデジタル信号の受信を検出し、そのデジタル信号が2ch(61937 2ch33a)であると検出し、かつ、アナログ入力部31にてアナログ信号の入力を検出した場合に、制御部35は、セレクタ34にそのアナログ信号を選択させ、アンプ36に供給する。つまり、2chリニアPCM再生部11にてDVDから再生された再生信号であり、IEC61937の2ch信号に圧縮したデジタル信号よりも高音質のアナログ信号であるため、そのアナログ信号を選択してアンプ36に供給させる。
一方、61937インタフェース33にてデジタル信号の受信を検出し、そのデジタル信号が2ch(61937 2ch33a)であると検出し、かつ、アナログ入力部31にてアナログ信号の入力を検出しない場合に、制御部35は、セレクタ34にそのデジタル信号を選択させ、アンプ36に供給する。つまり、61937インタフェース33にて受信した再生信号が、圧縮2ch再生部12にて再生されたデジタル信号(ドルビーデジタル(商標)等)であるため、そのデジタル信号を選択してアンプ36に供給させる。
なお、2chリニアPCM再生部11にて圧縮されたデジタル信号を検出し、アナログ信号の入力を検出しない場合(アナログケーブルACが接続されていない場合等)にも、制御部35は、セレクタ34にそのデジタル信号を選択させ、アンプ36に供給する。
【0035】
また、61937インタフェース33にてデジタル信号の受信を検出し、かつ、そのデジタル信号がマルチチャンネル(61937 Multi33b)であると検出した場合に、制御部35は、セレクタ34にそのデジタル信号を選択させ、アンプ36に供給する。つまり、61937インタフェース33にて受信した再生信号が、マルチチャンネル再生部13にて再生されたデジタル信号(6chサラウンド等)であるため、そのデジタル信号を選択してアンプ36に供給させる。
【0036】
なお、アナログ再生機器20にて所定の記録媒体が再生されている場合、アナログ入力部31だけにてアナログ信号の受信を検出するため、制御部35は、セレクタ34にそのアナログ信号を選択させ、アンプ36に供給する。
【0037】
アンプ36は、セレクタ34が選択した再生信号を適宜増幅し、図示せぬ所定のスピーカシステムに出力する。
【0038】
以下、この発明の実施の形態にかかるオーディオシステムの動作について、図4を参照して説明する。
図4は、AVアンプ30(制御部35)にて実行される入力切替処理を説明するためのフローチャートである。この入力切替処理は、デジタル再生機器10から再生信号が供給された際に開始される。
【0039】
まず、制御部35は、60958インタフェース32にてデジタル信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS1)。つまり、2chリニアPCM再生部11にてCDが再生されている状態であるか否かを判別する。
【0040】
制御部35は、60958のデジタル信号の受信を検出したと判別すると、そのデジタル信号をセレクタ34に選択させ、アンプ36に供給する(ステップS2)。つまり、CDの再生に伴う2chリニアPCMのデジタル信号を選択して、アンプ36に供給する。
【0041】
また、上述のステップS1にて60958のデジタル信号の受信を検出していないと判別した場合に、制御部35は、61937インタフェース33にてデジタル信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS3)。
そして、61937のデジタル信号の受信を検出したと判別すると、制御部35は、そのデジタル信号が2ch(61937 2ch33a)であるか否かを判別する(ステップS4)。
【0042】
制御部35は、2ch(61937 2ch33a)のデジタル信号であると判別すると、アナログ入力部31にてアナログ信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS5)。つまり、デジタル再生機器10にてDVDの2chリニアPCM若しくは、圧縮2ch(ドルビーデジタル(商標)等)の何れかが再生されているのかを判別する。
【0043】
制御部35は、アナログ信号の入力を検出したと判別すると、そのアナログ信号をセレクタ34に選択させ、アンプ36に供給する(ステップS6)。つまり、2chリニアPCM再生部11にてDVDから再生された再生信号であり、IEC61937の2ch信号に圧縮したデジタル信号よりも高音質のアナログ信号であるため、そのアナログ信号を選択してアンプ36に供給させる。
【0044】
一方、アナログ信号の入力を検出していないと判別した場合、又は、上述のステップS4にて2chでない(マルチチャンネルであるである)と判別した場合に、制御部35は、そのデジタル信号をセレクタ34に選択させ、アンプ36に供給する(ステップS7)。つまり、圧縮2ch再生部12にて再生されたデジタル信号(ドルビーデジタル(商標)等)や、マルチチャンネル再生部13にて再生されたデジタル信号(6chサラウンド等)であるため、そのデジタル信号を選択してアンプ36に供給させる。
【0045】
また、上述のステップS3にて61937のデジタル信号の受信を検出していないと判別した場合に、制御部35は、アナログ入力部31にてアナログ信号の受信を検出したか否かを判別する(ステップS8)。
そして、アナログ信号の入力を検出したと判別すると、制御部35は、そのアナログ信号をセレクタ34に選択させ、アンプ36に供給する(ステップS9)。つまり、アナログ再生機器20から供給されたアナログ信号(若しくは、デジタルケーブルDCが接続されていない状態でデジタル再生機器10から供給されたアナログ信号)であるため、そのデジタル信号を選択してアンプ36に供給させる。
【0046】
なお、上述のステップS8にてアナログ信号の受信がないと判別した場合、どこからも再生信号が供給されていない状態であるため、制御部35は、そのまま入力切替処理を終える。
【0047】
このように、上述した入力切替処理により、各再生信号の入力状態に応じて、より高音質となる1つの再生信号が特定され、そして、特定された再生信号がスピーカシステム等に出力される。
つまり、DVDの2chリニアPCMがIEC60958を使用して伝送できないようになった場合において、より高音質な再生信号(アナログ信号)が選択される。また、既存のCDの2chリニアPCMが従来通りIEC60958を使用してされた場合でも、より高音質な再生信号(デジタルグ信号)が選択される。
この結果、暗号化された信号のリニアPCM出力が禁止された場合でも、ユーザの利便性を損なうことなく、可能な限り高音質で信号を再生出力することができる。
【0048】
上記の実施の形態では、デジタル再生機器10がCDやDVDを再生する場合について説明したが、再生する記録媒体はこれらに限られず任意である。例えば、SACD(Super Audio CD)等を再生する場合にも適宜適用可能である。
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、暗号化された信号のリニアPCM出力が禁止された場合でも、ユーザの利便性を損なうことなく、可能な限り高音質で信号を再生出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るオーディオシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】デジタル再生機器から出力されるデジタル信号及びアナログ信号の関係を説明するための模式図である。
【図3】AVアンプにて各再生信号の入力状態に応じて選択する再生信号(デジタル信号及び再生信号)について説明するための模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る入力切替処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10 デジタル再生機器
11 2chリニアPCM再生部
12 圧縮2ch再生部
13 マルチチャンネル再生部
14 D/Aコンバータ
15 60958インタフェース
16 61937インタフェース
20 アナログ再生機器
30 AVアンプ
31 アナログ入力部
32 60958インタフェース
33 61937インタフェース
34 セレクタ
35 制御部
36 アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定規格の音声データからデジタル信号を再生するデジタル再生手段と、
前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号を、所定の非圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号にて出力する第1の出力手段と、
前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号を、所定の圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号にて出力する第2の出力手段と、を備え、
前記デジタル再生手段が再生する際に、記録された音声データの種別に応じて、前記第1及び第2の出力手段の何れか一方から出力する、
ことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記デジタル再生手段により再生されたデジタル信号をアナログ信号にて出力する第3の出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記デジタル再生手段は、暗号化されたリニアPCM(Pulse Code Modulation)信号を再生する際に、再生したデジタル信号を圧縮して前記第2の出力手段を介して出力させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記デジタル再生手段は、音楽CD(Compact Disc)からデジタル信号を再生する際に、前記第1の出力手段を介して出力させ、音楽DVD(Digital Versatile Disk)からデジタル信号を再生する際に、前記第2の出力手段を介して出力させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の再生装置。
【請求項5】
外部から供給され得る複数の伝送規格に対応した音声信号を切り替えて入力する入力切替装置であって、
所定の非圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号を入力する第1の入力手段と、
所定の圧縮方式による伝送規格に対応したデジタル信号を入力する第2の入力手段と、
アナログ信号を入力する第3の入力手段と、
前記第1、第2及び第3の入力手段が入力した何れかの信号を選択する選択手段と、
前記選択手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1、第2及び第3の入力手段が入力している信号の入力状態に応じて、より高音質となる何れかの信号を特定し、特定した信号を前記選択手段に選択させる、
ことを特徴とする入力切替装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の入力手段がデジタル信号を入力している場合に、前記選択手段に前記第1の入力手段が入力したデジタル信号を選択させ、前記第2の入力手段がデジタル信号を入力しており、かつ、前記第3の入力手段がアナログ信号を入力している場合に、前記選択手段に前記第3の入力手段が入力したアナログ信号を選択させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の入力切替装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第2の入力手段がデジタル信号を入力しており、かつ、前記第3の入力手段がアナログ信号を入力していない場合に、前記選択手段に前記第2の入力手段が入力したデジタル信号を選択させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の入力切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−213700(P2007−213700A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32278(P2006−32278)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】