説明

再生装置および再生システム

【課題】ユーザへ与える不快感を軽減する再生装置および再生システムを提供する。
【解決手段】認証処理部101が取得したデジタルコンテンツを再生用に処理する処理部102と、この処理部102が処理したデジタルコンテンツを再生する再生部104と、処理部102が処理したデジタルコンテンツを記憶する記憶部103とを備え、再生部104は、認証処理部101と接続する第1配信装置11または第2配信装置から再度認証要求されたとき、記憶部103に記憶したデジタルコンテンツを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルコンテンツを再生する再生装置および再生システムに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内のデジタル機器を相互接続し、ユーザーが各種高画質・高音質で楽しむ家庭内ネットワークが実現されている。例えば、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)は1本のケーブルで映像、音声及び制御信号を伝送可能な次世代AV機器向けのデジタル映像・音声入出力インターフェース規格である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
デジタルコンテンツの著作権保護として、HDCP(High−bandwidth Digital Content Protection)が用いられている。このHDCPでは、デジタルコンテンツを配信するソース部が、デジタルコンテンツを再生するシンク部までの配信経路を認識し、経路に変更が発生すると、一度デジタルコンテンツの配信を停止し、再度ソース部とシンク部間の認証を実施する。(例えば、非特許文献2参照)
このようなHDCPを用いたHDMIの再生システムとして車載用のRSE(Rear
Seat Entertainment)が開発されつつある。RSEでは、特に、複数のソース部と複数のシンク部を有するため、ソース部からシンク部へデジタルコンテンツを分配するための分配部を設けている。
【0004】
図3は、従来の再生システムのブロック図である。
【0005】
図3に示すように、再生システムは、ソース部である配信装置1と、シンク部である再生装置2と、リピータ部である分配機器3とを備える。
【0006】
配信装置1は、複数の配信装置で構成され、第1配信装置11、第2配信装置12を備える。第1配信装置11、第2配信装置12は、例えばBD−P(Blu−lay Disc Player)やDTV(Digital Television)のチューナーで構成される。第1配信装置11、第2配信装置12は、第1再生装置21または第2再生装置22に接続した場合、HDCPによる認証を行う。第1配信装置11、第2配信装置12は、このHDCPによる認証後、接続した第1再生装置21または第2再生装置22にデジタルコンテンツ情報を公開鍵方式によって暗号化して配信する。
【0007】
再生装置2は、複数の再生装置で構成され、第1再生装置21、第2再生装置22を備える。第1再生装置21、第2再生装置22は、例えば車両前席左右のヘッドレスト後部に配置される。
【0008】
分配機器3は、切替部31と、この切替部31を制御する制御部32とを備える。切替部31は、第1配信装置11と第2配信装置12、および、第1再生装置21、第2再生装置22の接続を制御部32の命令に応じて切替える。制御部32は、第1再生装置21や第2再生装置22からの切替命令に応じて切替部31を制御する。切替部31によって、第1再生装置21、第2再生装置が再生するデジタルコンテンツは、すべて同一であるという制約が無く、別々のデジタルコンテンツを再生することができる。
【0009】
第1配信装置11、第2配信装置12は、第1再生装置21または第2再生装置22と
接続したデジタルコンテンツ配信経路を認識している。第1配信装置11、第2配信装置12は、この経路が切替部31によって変更されると、一度デジタルコンテンツの配信を中断し、再度、接続した第1再生装置21または第2再生装置22との認証を行う。例えば、第1配信装置11が第1再生装置21および第2再生装置22と接続している場合に、切替部31によって第2配信装置21が第2再生装置22と接続するよう切替わると、第1配信装置11は再度第1再生装置21に対してHDCPによる認証を行い、第2配信装置11は第2再生装置22に対してHDCPによる認証を行う。
【0010】
このとき、第1再生装置21、第2再生装置22は、第1配信装置11、第2配信装置12からデジタルコンテンツを受信することができない。したがって、例えば第1再生装置21、第2再生装置22が映像表示できる場合、画面が黒く表示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】High−Definition Multimedia Interface Specification Ver.1.3
【非特許文献2】High−bandwidth Digital Content Protection System Revision 1.3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
第1再生装置21および第2再生装置22が第1配信装置11に接続している場合に、切替部31によって第1再生装置21および第2再生装置22が第2配信装置11との接続が切替わった場合、ともに再生内容が変わる。この場合、第1再生装置21および第2再生装置22をそれぞれ視聴している各ユーザは現在の再生内容を中断してもよい意思表示を示しているため、第2配信装置12からデジタルコンテンツの配信が中断されてもユーザが特に違和感を覚えることはない。
【0013】
しかし、第1再生装置21および第2再生装置22が第1配信装置11に接続している場合に、切替部31によって第1再生装置21のみが第2配信装置12との接続に切替わっても、第2再生装置22も再度第1配信装置11の認証が必要になる。第1配信装置11による第2再生装置22の認証作業中、第1配信装置11からのデジタルコンテンツ配信は中断される。このように、第2再生装置22を視聴していたユーザは、第1配信装置11のデジタルコンテンツの視聴を続けたいにもかかわらず中断されるため、不快感をおぼえる。
【0014】
本発明は、この課題を解決するために考えたもので、ユーザへ与える不快感を軽減する再生装置および再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、再生部が、認証処理部と接続する配信装置から再度認証要求されたとき、記憶部に記憶したデジタルコンテンツを再生する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配信装置から再度認証要求されたときにデジタルコンテンツの再生を継続して再生することができるのでユーザの不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における再生装置のブロック図
【図2】本発明の一実施形態の再生装置による配信装置との接続切替時の再生処理の制御を説明するフローチャート図
【図3】従来の再生システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態における再生装置について、図面を用いて説明する。なお、従来の再生システムと同様の構成については、以下、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本発明の一実施形態における再生装置は、第1再生装置21、または、第2再生装置22に相当する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態における再生装置のブロック図である。
【0020】
図1において、再生装置は、認証処理部101と、再生処理部102と、記憶部103と、再生部104と、入力部105と、制御部106とを備える。
【0021】
認証処理部101は、CPUやメモリを備え、公開鍵情報と秘密鍵情報とを有する。認証処理部101は、切替部31を介して第1配信装置11または第2配信装置12と接続する。認証処理部101は、接続した第1配信装置11または第2配信装置12からHDCP認証要求を受けて公開鍵の情報を送信する。認証処理部101は、接続した第1配信装置11または第2配信装置12から認証された後、暗号化されたデジタルコンテンツを取得する。認証処理部101は、この取得したデジタルコンテンツを秘密鍵を用いて復号化する。
【0022】
再生処理部102は、VLSI等で構成され、認証処理部101、記憶部103、表示部104、制御部105と接続する。再生処理部102は、認証処理部101が復号化したデジタルコンテンツを取得し、再生用に処理する。例えば、再生処理部102は、取得したデジタルコンテンツを音声信号や映像信号に変換処理する。再生処理部102は、この再生用に処理したデジタルコンテンツを記憶部103、再生部104に出力する。また、再生処理部102は、制御部106の命令に従って後述の処理を行う。
【0023】
記憶部103は、フレームメモリで構成され、数十秒または数分間のデジタル映像コンテンツを格納しておくことのできる十分な容量を保持している。記憶部103は、再生処理部102と接続する。記憶部103は、再生処理部102が処理したデジタルコンテンツを制御部106の命令によって記憶する。また、記憶部103は、再生処理部102を介して、この記憶したデジタルコンテンツや、あらかじめ記憶している所定の画像や音声を再生部104に出力する。
【0024】
再生部104は、液晶ディスプレイや有機EL等からなる表示部や、スピーカ等からなる音声出力部で構成される。再生部104は、再生処理部102と接続し、再生処理部102や再生処理部102を介して記憶部103から取得したデジタルコンテンツを音声出力や映像表示する。また、再生部104は、再生処理部102からデジタルコンテンツが入力されない場合に再生処理部102を介して記憶部103から取得した黒画像の表示や待機案内を行う。
【0025】
入力部105は、再生部104上に表示されたタッチパネルやリモコンで構成され、ユーザによる第1配信装置11や第2配信装置12の選択を入力する。また、入力部105は、制御部106と接続し、入力部105の入力情報を出力する。
【0026】
制御部106は、CPUやRAMで構成され、再生処理部102、入力部105、制御部32に接続される。制御部106は、入力部105から入力された第1配信装置11または第2配信装置12の選択情報を制御部32に出力する。なお、分配機器3の制御部3
2は、この選択情報に基づいて切替部31を制御し、切替部31に第1配信装置11または第2配信装置12と第1再生装置21との接続を切替させる。そして、制御部106は、分配機器3の切替部31による接続切替の情報を制御部32から取得する。また、制御部106は、後述の処理により、再生処理部102を制御する。
【0027】
次に、本発明の一実施形態の再生装置が配信装置との接続切替時の再生処理について図面を用いて説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態の再生装置による配信装置との接続切替時の再生処理の制御を説明するフローチャート図である。
【0029】
まず、ステップS110に示すように、制御部106は、認証処理部21が接続している第1配信装置11または第2配信装置22から取得した認証後のデジタルコンテンツのデータを再生処理部102で再生用に処理した後、フレームメモリ24に格納させる。
【0030】
次に、ステップS120に示すように、制御部106は、デジタルコンテンツの配信経路に変更がないか否かを判定する。換言すると、制御部106は、入力部105からの切替選択の情報があるか否か、または、制御部32から取得した配信装置1と再生装置2の接続の切替情報に自再生装置の切替情報があるか否か基づいて、配信装置1と再生装置2の接続切替があったか否か判定する。
【0031】
ステップS120で「YES」の場合、すなわち、自再生装置と自再生装置に接続する第1配信装置11または第2配信装置12との接続関係は変更されていないが、自再生装置ではない再生装置の接続関係が変更された場合、ステップS130に示すように、この変更の情報を制御部32を介して受信した第1配信装置11と第2配信装置12は、デジタルコンテンツの配信を停止する。制御部106は、自再生装置と自再生装置に接続する第1配信装置11または第2配信装置12との接続関係は変更されていないが、自再生装置ではない再生装置の接続関係が変更されたことを、入力部105からの入力が無いこと、および、制御部32から接続切替の情報を取得したことから判定することができる。
【0032】
そして、ステップS140に示すように、制御部106は、第1配信装置11と第2配信装置12の再認証による中断で欠落したデジタルコンテンツの欠落データを推定する。
【0033】
そして、ステップS150に示すように、制御部106は、推定したデジタルコンテンツの欠落データをもとに、記憶部103に記憶されたその欠落前後のデータにより欠落データの補完復元を再生処理部102に行わせる。なお、制御部106は、欠落データを削除し、その前後のデジタルコンテンツをつなぎあわせるよう再生処理部102に命令してもよい。
【0034】
そして、ステップS120で「NO」の場合、 またはステップS150の後、ステップS160に示すように、制御部106は、再生処理部102への命令により復元されたデータを表示部104に表示させる。この表示は、記憶部103にデジタルコンテンツを記憶しつつこの記憶部103のデータに基づいた再生であるため、追っかけ再生の効果を奏する 。
【0035】
これにより、第1配信装置11や第2配信装置から再度認証要求されたときにデジタルコンテンツの再生を継続して再生することができるのでユーザの不快感を低減することができる。
【0036】
尚、本構成は代表例として車載環境における再生についての効果を述べているが、それ
に限るものではなく、一般家庭機器環境また、デジタル音声配信の環境についても同様の構成が考えられる。また、伝送部分はデジタルケーブルのものだけではなく、無線化した場合も同様の構成がされうる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる再生装置及び再生システムは、ソース部、シンク部が複数あるHDCPを用いたHDMIシステムに有用である。
【符号の説明】
【0038】
101 認証処理部
102 映像処理部
103 記憶部
104 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルコンテンツを配信する複数の配信装置のいずれかと選択的に接続し、この接続した配信装置から認証された後デジタルコンテンツを取得する認証処理部と、
この認証処理部が取得したデジタルコンテンツを再生用に処理する処理部と、
この処理部が処理したデジタルコンテンツを再生する再生部と、
前記処理部が処理したデジタルコンテンツを記憶する記憶部とを備え、
前記再生部は、前記認証処理部と接続する配信装置から再度認証要求されたとき、前記記憶部に記憶したデジタルコンテンツを再生することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
接続した装置を認証処理した後にデジタルコンテンツを配信する複数の配信装置と、
この複数の配信装置のうち一の配信装置と各々選択的に接続し、この接続した配信装置からデジタルコンテンツを取得する複数の再生装置と、
前記配信装置と再生装置との間に前記配信装置と前記再生装置との接続を切替える切替装置とを備え、
前記再生装置は、
前記配信装置から認証された後にデジタルコンテンツを取得する認証処理部と、
この認証処理部が取得したデジタルコンテンツを再生用に処理する処理部と、
この処理部が処理したデジタルコンテンツを再生する再生部と、
前記処理部が処理したデジタルコンテンツを記憶する記憶部とを有し、
前記再生部は、
前記切替装置が前記配信装置と前記再生装置との接続のうち自再生装置の接続を切替えなかった場合に前記記憶部に記憶したデジタルコンテンツを再生することを特徴とする再生システム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−23932(P2011−23932A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166560(P2009−166560)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】